特許第5984600号(P5984600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984600車両整備場における給排ホースの収納確認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984600
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】車両整備場における給排ホースの収納確認装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/00 20060101AFI20160823BHJP
   B61D 35/00 20060101ALI20160823BHJP
   F16L 55/00 20060101ALN20160823BHJP
【FI】
   B65H75/00 Z
   B61D35/00 B
   !F16L55/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-205904(P2012-205904)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-58397(P2014-58397A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181572
【氏名又は名称】篠原電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 基一郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 敏彦
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−285027(JP,A)
【文献】 特開2002−127900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00 〜 75/50
B61D 35/00
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両整備場に設置してある給排ホース(1)が、適正な収納位置に収納されているか否かを確認する収納確認装置であって、
収納確認装置は、給排ホース(1)の一端に設けた接続金具(9)に連結される蓋金具(15)と、蓋金具(15)に装着されて接続金具(9)の有無を検知する検知部(16)と、作業者の注意を喚起する警告具(17)と、検知部(16)の検知状態に基づいて警告具(17)の作動状態を制御する制御部(18)とを備えており、
前記接続金具(9)の周囲の対向位置には、一対の操作ハンドル(11)と一対の係止体(12)とが設けられており、
蓋金具(15)は、接続金具(9)の金具端面(10)を覆う蓋部(21)と、接続金具(9)の下部周面を支持する受止部(22)とを一体に備えていて、蓋金具(15)が吊持具(29)で所定の地上高さに吊持されており、
一対の係止体(12)と蓋部(21)の対向側部(24)とを相対的にスライド係合して、給排ホース(1)が蓋金具(15)に連結し収納してあることを特徴とする、車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項2】
接続金具(9)の金具端面(10)と正対する蓋部(21)にガスケット(23)が設けられており、
接続金具(9)を蓋金具(15)に連結した状態において、金具端面(10)を含む開口面がガスケット(23)で閉止してある、請求項1に記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項3】
蓋部(21)に一対の平行な対向側部(24)と、対向側部(24)の上端に連続する係合案内縁(25)とが設けられており、
一対の対向側部(24)の対向長さ(B1)が、接続金具(9)の一対の係止体(12)の対向間隔(B2)より僅かに小さく設定されている、請求項1または2に記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項4】
蓋金具(15)に連結した接続金具(9)の上端より上側にはみ出る蓋部(21)の上部外面に、吊持具(29)で支持されるブラケット(30)が固定されており、
蓋部(21)の上下中途部の外面に、蓋金具(15)を保持するハンドル(32)が固定してある、請求項1、2または3のいずれかひとつに記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項5】
検知部(16)が、投光器(16a)と受光器(16b)を備えた回帰反射型の光センサーユニットで構成されており、
制御部(18)は、接続金具(9)が蓋金具(15)から分離されて、受光器(16b)の検知信号が出力されていない状態において、警告具(17)を作動させるように構成してある、請求項1から4のいずれかひとつに記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項6】
接続金具(9)の金具端面(10)の上端部と正対する蓋部(21)に検知窓(26)が開口され、検知窓(26)の外面に臨んで断面ハット形のセンサーホルダー(31)が固定されており、
センサーホルダー(31)の上壁の内面に検知部(16)が配置してある、請求項1から5のいずれかひとつに記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【請求項7】
車両整備場の作業ピット(P)に設けたキャットウォーク(6)の通路下面に、蓋金具(15)を吊持する金属製のチェーン(29)と、警告具(17)とが配置されており、
蓋金具(15)の吊持高さ(H1)が、車両側の給排口(4)の地上高さ(H2)にほぼ一致させてある、請求項1から6のいずれかひとつに記載の車両整備場における給排ホースの収納確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両整備場において給排ホースが車両の供給口や排出口から分離されて、適正な収納位置に収納されていることを確認するための収納確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の収納確認装置は、例えば特許文献1に公知である。そこでは、汚物排出ホースを載置するための載置台と、載置台のホース載置部に汚物排出ホースが載置してあるかどうかを検知する検知部と、検知部から出力される検知信号に基づいて汚物排出ホースの有無を判定する判定部と、報知部などで収納確認装置を構成している。検知部は照射部および受光部と反射板などの光センサーで構成してあり、ホース載置部に汚物排出ホースが載置してあるか否かを、受光部の受光状態の有無によって検知している。報知部は回転灯、スピーカー、ブザーなどで構成され、汚物排出ホースがホース載置部に載置されていない場合、つまり汚物排出ホースが車両に接続されたままである場合に報知動作を実行して、作業者の注意を喚起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−285027号公報(段落番号0029〜0032、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収納確認装置によれば、汚物排出ホースが車両に接続されたままであることを回転灯で明示するので、汚物排出作業が終了したのち、汚物排出ホースが接続された状態のままで車両が発進して、汚物排出ホースが引き千切られてしまう事故を防止できる。しかし、汚物排出ホースを収納するために載置台を用意し、そのホース載置部に検知部を設ける必要があるので、汚物排出ホースを含む収納確認装置の占めるスペースが大きくなるのを避けられず、例えば、車両整備場における作業用ピットが狭い場合に設置するのが困難であった。また、収納確認装置の全体コストが嵩む不利もあった。
【0005】
特許文献1の収納確認装置においては、汚物排出ホースの端部に固定した接続金具を蓋金具で閉止する必要がある。しかし、蓋金具の重量が大きく、しかも接続金具に対して位置合わせした状態で回転操作しなければならないため、蓋金具の着脱に余分な手間が掛かる。さらに、蓋金具の重量分だけ汚物排出ホースの全体重量が大きくなり、ホースの取出しあるいは収納を行うのに大きな力を要し作業性が悪い。この種の作業は、アルバイト従業員や、高齢の臨時作業者などによって行われることが多いため、作業性が悪いことに関連して作業の安全性を確保しにくい不利もある。検知部を構成する反射板が、ホース載置部に臨んで配置してあるため、汚物排出ホースを収納する際に反射板に汚物が付着することがあり、そのつど反射板を清掃しなければならない煩わしさがあった。
【0006】
本発明の目的は、収納確認装置が占めるスペースを小さくでき、しかも全体コストを削減して収納確認装置の導入費用を低コスト化できる、車両整備場における給排ホースの収納確認装置を提供することにある。
本発明の目的は、蓋金具の接続金具に対する着脱を簡便に、しかも安全に行なうことができる、車両整備場における給排ホースの収納確認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給排ホースの収納確認装置は、車両整備場に設置してある給排ホース1が、適正な収納位置に収納されているか否かを確認するために設ける。図1に示すように、収納確認装置は、給排ホース1の一端に設けた接続金具9に連結される蓋金具15と、蓋金具15に装着されて接続金具9の有無を検知する検知部16と、作業者の注意を喚起する警告具17と、検知部16の検知状態に基づいて警告具17の作動状態を制御する制御部18とを備えている。接続金具9の周囲の対向位置には、一対の操作ハンドル11と一対の係止体12とが設けてある。蓋金具15は、接続金具9の金具端面10を覆う蓋部21と、接続金具9の下部周面を支持する受止部22とを一体に備えていて、蓋金具15が吊持具29で所定の地上高さに吊持されている。一対の係止体12と蓋部21の対向側部24とを相対的にスライド係合して、給排ホース1が蓋金具15に連結し収納してあることを特徴とする。
【0008】
接続金具9の金具端面10と正対する蓋部21にガスケット23を設ける。接続金具9を蓋金具15に連結した状態において、金具端面10を含む開口面をガスケット23で閉止する。
【0009】
蓋部21に一対の平行な対向側部24と、対向側部24の上端に連続する係合案内縁25とを設ける。図4に示すように、一対の対向側部24の対向長さB1を、接続金具9の一対の係止体12の対向間隔B2より僅かに小さく設定する。
【0010】
蓋金具15に連結した接続金具9の上端より上側にはみ出る蓋部21の上部外面に、吊持具29で支持されるブラケット30を固定する。蓋部21の上下中途部の外面に、蓋金具15を保持するハンドル32を固定する。
【0011】
検知部16は、投光器16aと受光器16bを備えた回帰反射型の光センサーユニットで構成する。制御部18は、接続金具9が蓋金具15から分離されて、受光器16bの検知信号が出力されていない状態において、警告具17を作動させるように構成する。
【0012】
接続金具9の金具端面10の上端部と正対する蓋部21に検知窓26を開口し、検知窓26の外面に臨んで断面ハット形のセンサーホルダー31を固定する。センサーホルダー31の上壁の内面に検知部16を配置する。
【0013】
車両整備場の作業ピットPに設けたキャットウォーク6の通路下面に、蓋金具15を吊持する金属製のチェーン29と、警告具17とを配置する。蓋金具15の吊持高さH1を、車両側の給排口4の地上高さH2にほぼ一致させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、給排ホース1の接続金具9に連結される蓋金具15と、接続金具9の有無を検知する検知部16と、警告具17と、警告具17の作動状態を制御する制御部18などで収納確認装置を構成して、同装置の全体構造を簡素化した。従って、本発明の収納確認装置によれば、給排ホースを載置するための載置台が不可欠であった従来のこの種の装置に比べて、全体コストを削減して装置の導入費用を低コスト化できる。また、吊持具29で所定の地上高さに吊持した蓋金具15に接続金具9を連結して、給排ホース1を吊持した状態で収納するので、収納確認装置の設置に要するスペースを最小限化でき、車両整備用の作業ピットPが狭い場合にも収納確認装置を容易に設置できる。
【0015】
さらに、接続金具9に設けた一対の係止体12を、蓋部21の対向側部24に対して相対的にスライド操作するだけで、接続金具9と蓋金具15を連結し、あるいは分離できるので、蓋金具15と接続金具9との着脱を簡便に、しかも安全に行なうことができる。もちろん、給排ホース1が、適正な収納位置に収納されているか否かを収納確認装置で確認するので、給排ホース1が車両に接続された状態のままで車両が発進してホースが引き千切られる事故を確実に防止できる。
【0016】
蓋部21にガスケット23を設け、接続金具9を蓋金具15に連結した状態において、金具端面10を含む開口面をガスケット23で閉止すると、給排ホース1に雨水や雪、あるいは塵埃が入込むのを確実に防止できる。とくに給排ホース1が飲料水を供給する給水ホースである場合には、飲料水に雨水、雪、塵埃などが混入するのを確実に防止して、衛生的な状態を保持できる。また、給排ホースが汚物排出ホース1である場合には、異臭や悪臭が汚物排出ホース1の収納部の周辺に拡散するのを防止でき、さらに昆虫が接続金具9に群がって不衛生な状態になるのを防止できる。
【0017】
蓋部21に設けた一対の対向側部24の対向長さB1が、接続金具9の一対の係止体12の対向間隔B2より僅かに小さく設定してあると、蓋金具15と接続金具9との着脱を簡便にしかも円滑に行えるので、接続金具9の着脱作業をより安全に行なうことができる。
【0018】
蓋部21の上部外面に配置したブラケット30を吊持具29で支持すると、蓋金具15を常に安定した姿勢で吊持できる。また、蓋部21に固定したハンドル32を片手で保持することにより、蓋金具15の姿勢や高さなどを自在に操作できる。従って、蓋金具15と接続金具9を着脱する際に、両者の位置合わせや、相対スライド動作をより的確に行って、蓋金具15と接続金具9の着脱を容易に、しかも安全に行なうことができる。蓋金具15に連結した接続金具9の上端より上側にはみ出る蓋部21の上部外面に、ブラケット30を固定するので、接続金具9を蓋金具15に対して着脱する際に、ブラケット30が邪魔になるのを解消できる。さらに、接続金具9の上端より上側にはみ出る蓋部21の壁面を、仮位置決め面として利用することができるので、接続金具9の蓋金具15に対する連結をより容易に行える。
【0019】
投光器16aと受光器16bを備えた回帰反射型の光センサーユニットで検知部16を構成すると、透過型の光センサーユニットで検知部16を構成する場合に比べて、検知部16を一個所に集約できるので、その分だけ収納確認装置の構造を簡素化できる。とくに、接続金具9の金具端面10を利用して、投受光を行なう場合には、反射鏡や反射板を省略することができるので、検知部16のコストをさらに節約することができる。また、回帰反射型の光センサーユニットで構成した検知部16は、非接触で接続金具9の有無を検知するので故障する可能性が低く、検知機能を長期にわたって安定した状態で発揮できる。接続金具9が蓋金具15から分離された状態で警告具17を作動させるのは、給排ホース1が使用中であることと、警告具17が作動していることとを一致させて、作業者に対する警告具17の注意喚起作用を明確化し理解しやすくして、勘違いを排除するためである。
【0020】
検知窓26の外面にセンサーホルダー31を固定し、その上壁の内面に検知部16を配置すると、検知部16が直射日光、雨滴あるいは雪片などに晒されるのをセンサーホルダー31で防止できるので、検知部16が誤作動するのを防止できる。とくに、検知部16が光センサーで構成してある場合には、投光器16aの投光面や受光器16bの受光面に雨滴や雪片が付着するのを防止して誤作動状態に陥るのを確実に防止できる。
【0021】
キャットウォーク6の通路下面にチェーン29と、警告具17とを配置すると、チェーン29や警告具17を取付けるための柱や支柱、あるいは台等を別途設ける必要がないので、収納確認装置の設置構造をさらに簡素化して、そのコストを削減できる。また、警告具17が表示灯や警告等などの発光表示具である場合には、日光に対する遮蔽物のない空間に発光表示具が設けてある場合に比べて、通路下面に配置した警告具17の発光状態を明確化して、作業者の注意をさらに確実に喚起できる。蓋金具15の吊持高さH1が、車両側の給排口4の地上高さH2にほぼ一致させてあると、接続金具9を大きく動かす必要もなく蓋金具15と給排口4に着脱することができるので、車両に対する給水作業や汚物抜取り作業の作業負荷をさらに軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る給排ホースの収納確認装置の概略を示す断面図である。
図2】収納確認装置の概略を示す正面図である。
図3】接続金具と蓋金具の分解斜視図である。
図4】接続金具を蓋金具に連結する途中状態を示す断面図である。
図5】接続金具を蓋金具に連結した状態の横断平面図である。
図6】検知部の詳細構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係る収納確認装置の実施例を示しており、給排ホースが汚物排出ホースである場合について説明する。図2において符号1は汚物排出ホース、2は車両の汚物タンク、3は汚物タンク2の側面に設けられた排出バルブ、4は排出バルブ3の排出口(給排口)である。汚物排出ホース1は、車両整備場の作業ピットPに設けた自在継手5に接続されており、自在継手5が回動することにより、汚物排出ホース1の向きや姿勢を自由に変更できるようになっている。作業ピットPの上方には、車両の窓や車体を清掃する際の作業台となるキャットウォーク6が設けてある。
【0024】
汚物排出ホース1は、一端が自在継手5に接続されるプラスチック製のフレキシブルホース8と、同ホース8の端部に固定される接続金具9とを備えている。接続金具9は、アルミニウムを素材とするダイキャスト成形品からなり、図3に示すように、フランジ状に張出された金具端面10の周囲の対向位置に一対の操作ハンドル11が突設され、両操作ハンドル11の基端部外面に断面がL字状の係止体12が一体に設けてある。一対の操作ハンドル11の間の金具周面には一対のバヨネット爪13が張出してある。汚物排出ホース1を排出口4に接続し、排出バルブ3を開操作することにより、汚物タンク2内の汚物を排出することができる。
【0025】
汚物排出ホース1が適正な収納位置に収納されているか否かを確認して、作業者の不注意で汚物排出ホース1が引き千切られるのを防止するために、作業ピットPに収納確認装置を設けている。収納確認装置は、汚物排出ホース1を支持する蓋金具15と、蓋金具15に装着されて接続金具9の有無を検知する検知部16と、作業者の注意を喚起する警告具17と、検知部16の検知状態に基づき警告具17の作動状態を制御する制御部18などで構成する。
【0026】
図3において蓋金具15は、接続金具9の開口面を覆う平板状の蓋部21と、接続金具9の下部周面を支持する円弧枠状の受止部22と、接続金具9の開口面と正対する蓋部21の平坦面に接着固定したガスケット23とで構成する。蓋部21および受止部22はステンレス板材を素材にして形成してあり、ガスケット23は弾性を有するゴムシート、例えばNBRゴムを素材にして蓋部21と同形に形成してある。
【0027】
蓋部21は小判形に形成されていて、上下方向に平行な一対の対向側部24と、対向側部24の上端に連続する半円状の係合案内縁25とを備えている。対向側部24に連続する蓋部21の下縁は部分円弧状に形成してあり、この下縁に沿って部分円弧状に折曲げられた受止部22が溶接してある。蓋部21およびガスケット23の上部には、横長四角形状の検知窓26が開口してあり、同窓26を介して金具端面10の上部と正対する蓋外面に検知部16が配置してある。受止部22の中央部には水抜穴27が形成してある。
【0028】
接続金具9は、その金具端面10に設けた一対の係止体12と、蓋部21の対向側部24とを相対的にスライド係合するだけの簡単な操作で、汚物排出ホース1を蓋金具15に連結して収納状態に保持できる。因みに、従来の蓋金具は、蓋金具側の係止体をバヨネット爪と位置合わせした状態で蓋金具を回転操作して、蓋金具と接続金具を連結していたが、こうした面倒な操作は一切必要ない。同様に、接続金具9を蓋部21から取外す場合には、一対の係止体12と、蓋部21の対向側部24とを相対的にスライド操作するだけで、給排ホース1を蓋金具15から容易に分離できる。一対の係止体12と、蓋部21の対向側部24とのスライド係合、あるいはスライド操作を簡便に行うために、一対の対向側部24の対向長さB1は、接続金具9の一対の係止体12の対向間隔B2より僅かに小さく設定してある(図4参照)。接続金具9を蓋金具15に接続した状態では、ガスケット23が金具端面10を含む開口面を閉止するので、悪臭が周辺部に拡散するのを防止できる。
【0029】
小判形に形成した蓋部21の外面には、図1に示すように、上側から順に金属製のチェーン(吊持具)29で支持されるブラケット30と、検知部16を取付けるためのセンサーホルダー31と、蓋金具15を保持するハンドル32が記載順に固定してある。ブラケット30は、接続金具9を蓋金具15に装着した状態において、接続金具9の上端より上側にはみ出る蓋部21の上部外面に固定してあり、その連結穴33に通したシャックル34と、シャックル34にねじ込まれるボルト35を介してチェーン29に連結してある。図2に示すように、チェーン29で支持した蓋金具15の吊持高さH1は、車両側の排出口4の地上高さH2にほぼ一致させてあるので、接続金具9の排出バルブ3に対する着脱を容易に行なうことができる。
【0030】
図6に示すように、センサーホルダー31は、ステンレス薄板を断面ハット形に折曲げて形成してあり、全体が検知窓26の外面に臨む状態で配置されて、上下一対の取付座36が4個のビス37で固定してある。ハンドル32はステンレス製の丸棒をコ字状に折曲げて形成してあり、その長手方向中心が汚物排出ホース1の中心と対向する状態で水平に配置されて、図示していないビスで蓋部21に固定してある。図1に示すように、チェーン29の上端は、キャットウォーク6の通路下面に固定してある。
【0031】
図3および図4に示すように、検知部16は、投光器16aと受光器16bを備えた市販の回帰反射型の光センサーユニットで構成されており、先に説明したセンサーホルダー31の上壁の内面にビスで固定してある。センサーホルダー31で支持された検知部16は、接続金具9を蓋金具15に装着した状態において、投光器16aおよび受光器16bが検知窓26を介して金具端面10と対向しているので、投光器16aから照射されて金具端面10で反射した検知光を受光器16bで受光できる。また、断面がハット形のセンサーホルダー31の上壁の内面に検知部16を配置するので、雨天時や積雪時に、投光器16aの投光面や受光器16bの受光面に雨滴や雪片が付着するのを防止できる。さらに、汚物排出ホース1を収納している状態においては検知窓26が金具端面10で塞がれるので、埃などの塵埃が投光面および受光面に付着するのをよく防止でき、全体として、収納確認装置のメンテナンスの手間を軽減できる。
【0032】
警告具17は、ドーム状のレンズ内部にLED光源を備えた市販の防水型表示灯からなり、レンズ部分は黄色に着色してある。警告具17は、キャットウォーク6の通路下面にレンズ部分が下向きになる状態で固定してある。制御部18は、プラスチック製の筐体の内部にサーキットブレーカー、DC電源回路、補助リレー、端子台、電源スイッチなどを収容して構成してあり、その筐体を開閉する蓋体の外面に収納確認装置が作動中であることを明示するランプが設けてある。制御部18は、DC電源回路で整流した直流電流を、投光器16aおよび警告具17に供給しており、接続金具9が蓋金具15から分離された状態において、受光器16bの受光状態に基づいて警告具17を作動させる。
【0033】
不使用状態における汚物排出ホース1は、図2および図5に示すように、ホース端部に設けた接続金具9が蓋金具15に連結された状態で、作業ピットPに沿って収納されており、制御部18の電源はオフされ、警告具17は消灯状態になっている。車両の汚物タンク2から汚物を排出する場合には、まず、制御部18の電源をオン状態に切換えて、投光器16aを発光させ検知光を照射させる。このとき、検知部16の投光器16aと受光器16bは、検知窓26を介して金具端面10の上部と正対しているので、投光器16aから照射された検知光は、金具端面10で反射されて受光器16bに受光され、受光器16bから制御部18に対して検知信号が出力される。検知信号を受取った制御部18は、汚物排出ホース1が蓋金具15に連結された状態であると判定して、警告具17の消灯状態を維持する。
【0034】
次に、接続金具9を蓋金具15から取外すが、このとき、接続金具9の操作ハンドル11を片方の手で握り持ち、他方の手で蓋金具15のハンドル32を握った状態で、接続金具9を上向きにスライド操作することにより、接続金具9を蓋金具15から簡単に取外すことができる。この状態における投光器16aおよび受光器16bは、検知窓26を介して汚物排出ホース1が占めていた空間と正対する。そのため、投光器16aから照射された検知光が反射されて受光器16bに受光されることはなく、受光器16bは無信号状態を維持する。このように、接続金具9が蓋金具15から分離されたのちの制御部18は、汚物排出ホース1が排出バルブ3に接続されている状態であるとみなして警告具17を点灯する。
【0035】
警告具17が点灯している状態は、車両のメンテナンス作業に携わっている作業者が一見するだけで確認できるので、汚物排出ホース1が収納位置へ戻されていない状態であることを作業者に報知できる。つまり、作業者の注意を喚起して、汚物排出ホース1を収納位置へ戻す必要があることを明確に報知できる。排出バルブ3から取外した汚物排出ホース1が、作業ピットPのどこかに置いてある場合にも、同様に警告具17は点灯状態を維持する。
【0036】
次に、接続金具9を排出バルブ3の排出口4に接続し、排出バルブ3を開状態に切換えて、汚物を汚物排出ホース1を介して作業ピットPの地下に設けた下水道へ排出する。汚物の排出が終了したら、排出バルブ3を閉状態に切換えたのち、接続金具9を排出バルブ3から切離して水洗いしたのち、再び蓋金具15に連結して収納する。このとき、接続金具9の操作ハンドル11を片方の手で握り持ち、他方の手で蓋金具15のハンドル32を握った状態で、図4に示すように、接続金具9の一対の係止体12を、蓋金具15の上方から係合案内縁25に仮掛止することにより、接続金具9を蓋金具15に容易に連結できる。
【0037】
詳しくは、一対の係止体12を係合案内縁25に仮掛止した状態では、汚物排出ホース1および接続金具9の重みによって、接続金具9が係合案内縁25に案内されて下降移動するので、作業者は下降する接続金具9の姿勢を矯正するだけで、両係止体12を各対向側部24に適正に係合できる。従って、蓋金具15と接続金具9との連結を簡便に、しかも安全に行なうことができる。上記のように、接続金具9を蓋金具15に再度連結した状態では、受光器16bから制御部18に対して検知信号が出力されるので、制御部18は、汚物排出ホース1が蓋金具15に連結された状態であると判定して警告具17を消灯する。最後に、制御部18の電源をオフ状態に切換えて、その蓋に設けたランプを消灯することにより、一連の作業を終了する。
【0038】
上記構成の収納確認装置においては、吊持具29で支持した蓋金具15を、汚物排出ホース1の支持部材として利用し、接続金具9を蓋金具15に連結して汚物排出ホース1を吊持した状態で収納するので、従来のこの種の装置に比べて、収納確認装置の全体構造を簡素化して全体コストを削減でき、収納確認装置の導入費用を低コスト化できる。さらにその設置に要するスペースを最小限化できるので、充分な広さが確保されていない作業ピットPであっても、収納確認装置を容易に設置することができる。また、接続金具9に設けた一対の係止体12を、蓋部21の対向側部24に対して相対的にスライド操作するだけで、接続金具9を蓋金具15に連結し、あるいは、接続金具9を蓋金具15から分離できるので、蓋金具15と接続金具9との着脱を簡便に、しかも安全に行なうことができる。
【0039】
上記の実施例では、給排ホースが汚物排出ホース1である場合について説明したが、本発明の収納確認装置は、給排ホースが飲料水や、水洗トイレ用の洗浄水を供給する給水ホースである場合にも同様に適用することができる。警告具17としては、回転警告灯、一定間隔おきに明滅する表示灯、警告音を同時に発生できる警告灯などの発光体を適用することができる。また、スピーカー、ブザーなどの発音体で警告具17を構成することができる。受止部22は部分円弧状の枠体で形成する必要はなく、蓋部21の複数個所に固定した棒状体や突起、あるいは逆ハ字状に配置した板材などで形成することができ、要は、接続金具9の下部周面を支持できる構造であればよい。ガスケット23は、接続金具9の金具端面10に対応して無端環状に形成してあってもよい。
【0040】
係合案内縁25は、上すぼまり状に傾斜する一対の傾斜縁で形成することができる。検知部16は、回帰反射型の光センサーユニットで構成する必要はなく、透過型の光センサーユニットで構成することができる。その場合には、投光器16aと受光器16bを、接続金具9のフランジ壁を厚み方向へ挟む位置に配置し、そのいずれか一方をセンサーホルダー31に配置するとよい。また、必要があれば、リミットスイッチ、近接スイッチ、リードスイッチなどのセンサーを検知要素にして検知部16を構成することができる。
【0041】
吊持具29は、蓋金具15を操作するときの自由度が高い点でチェーンが好ましいが、その必要はなく、ワイヤー、ベルト、ロープなどで吊持具29を構成することができる。必要があれば、全方位方向へ揺動可能に支持した棒材や管材で吊持具29を構成してもよい。また、吊持具29および警告具17は、キャットウォーク6の下面に配置する必要はなく、作業ピットPに設けてある柱や支柱、あるいは電力ケーブルを支持するケーブルラック等を利用して設置することができる。蓋金具15を引っ張りばねで上向きに移動付勢して、少なくとも蓋金具15の重量を引っ張りばねのばね力で相殺して、接続金具9の着脱作業を補助することができる。
【0042】
本発明の給排ホースの収納確認装置は、列車等の車両整備場において好適に使用できるが、長距離バスの車両整備場においても同様に使用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 給排ホース(汚物排出ホース)
8 フレキシブルホース
9 接続金具
10 金具端面
11 操作ハンドル
12 係止体
15 蓋金具
16 検知部
17 警告具
18 制御部
21 蓋部
22 受止部
23 ガスケット
24 対向側部
26 検知窓
29 吊持具(チェーン)
31 センサーホルダー
P 作業ピット
図1
図2
図3
図4
図5
図6