【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る粉粒体散布装置の第一特徴は、貯留部に貯留された粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記貯留部から前記粉粒体が供給される供給経路と、が備えられ、前記繰出し手段に、前記供給経路を閉塞する閉状態と前記供給経路内に通過用開口を形成する開状態とにわたりスライド移動自在なシャッター部材と、前記シャッター部材を前記閉状態と前記開状態とに切り換えるアクチュエータと、が備えられ、前記シャッター部材が、前記供給経路を形成する壁部のうち一方側の側壁と交差するようにスライド移動自在とされており、前記シャッター部材の上面と前記一方側の側壁の端部との間に、クリアランスが設けられてある点にある。
【0006】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
繰出し手段において、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に、例えば粉粒体のうち主に粉体の通過を許すクリアランスを設けると、粉粒体のうちで比較的寸法の小さな粉体は、このクリアランスを通過できる。よって、シャッター部材がスライド移動された際に、少なくとも粉体は、クリアランスにおいて流動でき、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に、粉体の噛み込みが発生することが防止される。これにより、シャッター部材を閉状態と開状態とに切り換えるアクチュエータにかかる負担が過大となることが防止され、シャッター部材がスライド移動し難くなることを防止できる。
また、このクリアランスを前述のように粉粒体のうち主に粉体の通過を許す程度の大きさに設定すると、全ての粉粒体がクリアランスを通過できるわけではない。このため、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間から不当に粉粒体が漏出することを防止できる。
【0007】
本発明に係る粉粒体散布装置の第二特徴は、前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記一方側の側壁に、前記供給経路の内側へ向けて張り出された張出部が形成されてあり、前記クリアランスが、前記シャッター部材と前記張出部における前記供給経路の内側端部との間に設けられており、前記張出部のうち前記内側端部よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記クリアランスよりも上下幅の大きな空間が形成されてある点にある。
【0008】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に設けられたクリアランスが、供給経路におけるシャッター部材よりも上流箇所において、一方側の側壁に、供給経路の内側へ向けて張り出された張出部における供給経路の内側端部との間に設けられている。そして、張出部のうち内側端部よりも供給経路について外側の箇所に、このクリアランスよりも上下幅の大きな空間が形成されている。
【0009】
このため、クリアランスを通過した例えば粉粒体のうち主に粉体は、クリアランスよりも上下幅の大きな空間に退避されるので、シャッター部材と一方側の側壁との間に噛み込むことが防止される。しかも、もしクリアランスにおいて粉体等が噛み込んだとしても、クリアランスは張出部のうち内側端部にだけ設けられているため、作動抵抗を生ずる面積が小さくなり、アクチュエータにかかる負荷の増大を小さく抑えることができる。
【0010】
本発明に係る粉粒体散布装置の第三特徴は、前記張出部の上面が、前記供給経路の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されてある点にある。
【0011】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
張出部の上面が、供給経路の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されているので、張出部の上面に載った粉粒体が供給経路の内側へ向けて自然に流下される。よって、張出部の上面に粉粒体が滞留することが防止され、粉粒体の重量が張出部のうち内側端部に過度にかかることが防止される。よって、シャッター部材と張出部における供給経路の内側端部との間に設けられているクリアランスに粉体等が噛み込んだとしても、アクチュエータにかかる負荷が過大に増加することを防止できる。
【0012】
本発明に係る粉粒体散布装置の第四特徴は、前記アクチュエータが、前記供給経路の外側に備えられ、前記供給経路と前記アクチュエータとの間に、前記供給経路と前記アクチュエータとを仕切るシール部材が備えられてある点にある。
【0013】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シール部材により、供給経路の外側に備えられたアクチュエータを粉粒体が流動する供給経路から仕切ることができるので、シャッター部材側からアクチュエータ側へ粉粒体が漏出することを防止できる。このため、アクチュエータ側に配置されたアクチュエータや制御装置等の機器に粉粒体が接触することを防止でき、これらの機器を保護できる。
【0014】
本発明に係る粉粒体散布装置の第五特徴は、前記シール部材に、前記シャッター部材のスライド移動に伴って弾性変形する可動部が備えられてある点にある。
【0015】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
例えば、シャッター部材のスライド移動に伴って壁部に対して摺動移動する形式の他のシール部材であると、シール部材の摺動部分に粉体等が噛み込んで、アクチュエータにかかる負荷が増大するおそれがある。本特徴構成であれば、シャッター部材のスライド移動に伴ってシール部材の可動部が弾性変形するので、シール部材に対する粉体等の噛み込みが発生せず、アクチュエータにかかる負荷が増大することを防止できる。このため、供給経路からアクチュエータ側への粉体等の移動を防止できながら、シャッター部材がスムーズにスライド移動できる状態を維持できる。
【0016】
本発明に係る粉粒体散布装置の第六特徴は、前記シール部材を保持する保持部が備えられ、前記シール部材に、前記保持部と前記シール部材とを密着させる凸部が備えられてある点にある。
【0017】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シール部材に備えられた凸部を保持部に密着させていることにより、供給経路とアクチュエータ側とを凸部によって確実にシールでき、粉粒体がシール部材と保持部との間からアクチュエータ側に侵入することを確実に防止できる。
【0018】
本発明に係る粉粒体散布装置の第七特徴は、前記シャッター部材のうち前記一方側の側壁よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記粉粒体の排出孔が上下方向に開口されてある点にある。
【0019】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材のうち一方側の側壁よりも供給経路について外側の箇所に、粉粒体の排出孔が上下方向に開口されているので、クリアランスを通過してきた粉粒体、特に粉体が、排出孔によりシャッター部材の下方へと排出される。これにより、シャッター部材と一方側の側壁との間に粉粒体が噛み込むことを防止でき、アクチュエータにかかる負荷が過大となることを防止できる。
【0020】
本発明に係る粉粒体散布装置の第八特徴は、前記排出孔が、前記シャッター部材の上面側の断面積が前記シャッター部材の下面側の断面積よりも大きくなるように形成されてある点にある。
【0021】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材に形成された排出孔が、シャッター部材の上面側の断面積が下面側の断面積よりも大きくなるように開口されている。このため、シャッター部材が閉じる方向に移動した際に、クリアランスを通過してきた粉粒体のうち主に粉体を、シャッター部材の下面側へ効率よく排出することができる。これとともに、下面側の断面積が上面側の断面積よりも小さくなるので、シャッター部材の下面側では肉厚が十分となり、シャッター部材の強度の低下を抑えることができる。
【0022】
本発明に係る粉粒体散布装置の第九特徴は、前記閉状態にある前記シャッター部材の先端部と、前記壁部のうち前記一方側の側壁と前記供給経路を挟む反対箇所に位置された他方側の側壁との間に、前記シャッター部材の移動方向に沿った隙間が設けられてある点にある。
【0023】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
閉状態のシャッター部材の先端部と、壁部のうち他方側の側壁との間に、シャッター部材の移動方向に沿った隙間が設けられているので、シャッター部材と他方側の側壁とにより粉粒体が押し潰されてしまうことを防止できる。これにより、潰された粉粒体がシャッター部材の先端部や、他方側の側壁に付着することが無くなり、アクチュエータにかかる負荷が変動することを防止できる。
【0024】
本発明に係る粉粒体散布装置の第十特徴は、前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記他方側の側壁に、前記閉状態の前記シャッター部材の前記先端部よりも前記供給経路について内側の箇所に位置された庇部が設けられてある点にある。
【0025】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
供給経路におけるシャッター部材よりも上流箇所において、他方側の側壁に閉状態のシャッター部材の先端部よりも供給経路について内側の箇所に位置された庇部が設けられていることにより、閉状態のシャッター部材の先端部と他方側の側壁との間に設けられた隙間を、庇部で覆うことができる。これにより、シャッター部材の先端部と他方側の側壁との間の隙間から粉粒体が不当に漏出することを防止できる。