特許第5984609号(P5984609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984609
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】粉粒体散布装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20160823BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A01C15/00 G
   A01M9/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-224340(P2012-224340)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-75989(P2014-75989A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】福永 究
(72)【発明者】
【氏名】林 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−147734(JP,A)
【文献】 実開平01−083463(JP,U)
【文献】 特開2012−100606(JP,A)
【文献】 特開2004−141099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部に貯留された粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記貯留部から前記粉粒体が供給される供給経路と、が備えられ、
前記繰出し手段に、前記供給経路を閉塞する閉状態と前記供給経路内に通過用開口を形成する開状態とにわたりスライド移動自在なシャッター部材と、前記シャッター部材を前記閉状態と前記開状態とに切り換えるアクチュエータと、が備えられ、
前記シャッター部材が、前記供給経路を形成する壁部のうち一方側の側壁と交差するようにスライド移動自在とされており、
前記シャッター部材の上面と前記一方側の側壁の端部との間に、クリアランスが設けられてある粉粒体散布装置。
【請求項2】
前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記一方側の側壁に、前記供給経路の内側へ向けて張り出された張出部が形成されてあり、
前記クリアランスが、前記シャッター部材と前記張出部における前記供給経路の内側端部との間に設けられており、
前記張出部のうち前記内側端部よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記クリアランスよりも上下幅の大きな空間が形成されてある請求項1に記載の粉粒体散布装置。
【請求項3】
前記張出部の上面が、前記供給経路の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されてある請求項2に記載の粉粒体散布装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、前記供給経路の外側に備えられ、
前記供給経路と前記アクチュエータとの間に、
前記供給経路と前記アクチュエータとを仕切るシール部材が備えられてある請求項1ないし3のいずれか一項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項5】
前記シール部材に、前記シャッター部材のスライド移動に伴って弾性変形する可動部が備えられてある請求項4に記載の粉粒体散布装置。
【請求項6】
前記シール部材を保持する保持部が備えられ、
前記シール部材に、前記保持部と前記シール部材とを密着させる凸部が備えられてある請求項4または5に記載の粉粒体散布装置。
【請求項7】
前記シャッター部材のうち前記一方側の側壁よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記粉粒体の排出孔が上下方向に開口されてある請求項1ないし6のいずれか一項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項8】
前記排出孔が、前記シャッター部材の上面側の断面積が前記シャッター部材の下面側の断面積よりも大きくなるように形成されてある請求項7に記載の粉粒体散布装置。
【請求項9】
前記閉状態にある前記シャッター部材の先端部と、前記壁部のうち前記一方側の側壁と前記供給経路を挟む反対箇所に位置された他方側の側壁との間に、前記シャッター部材の移動方向に沿った隙間が設けられてある請求項1ないし8のいずれか一項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項10】
前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記他方側の側壁に、前記閉状態の前記シャッター部材の前記先端部よりも前記供給経路について内側の箇所に位置された庇部が設けられてある請求項9に記載の粉粒体散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター部材を有する繰出し手段が備えられた粉粒体散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような粉粒体散布装置が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の粉粒体散布装置では、供給経路において、通過用開口が形成されている開口形成板がシャッター部材の上面側に上下に重なる状態で密接して配置されている。シャッター部材は、アクチュエータによりスライド移動させることにより、通過用開口を閉塞する閉状態と通過用開口を粉粒体が通過できるように開放する開状態とを切り換えることができる。
このように、シャッター部材の上面側に開放形成板を密接して配置していると、シャッター部材が開き動作を行う際、通過用開口にてシャッター部材の上面に載った粉粒体を摺り切ることができる。これにより、アクチュエータ側へ粉粒体が漏れることが極力防止され、アクチュエータ等に粉粒体が接触することが防止される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4892104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、シャッター部材の上面側に開口形成板を密接して配置しているので、シャッター部材が開口形成板に対して摺動する構造となっている。このため、開口形成板とシャッター部材との間に粉粒体が噛み込むと、開口形成板とシャッター部材との間の摺動抵抗が過度に大きくなり、アクチュエータにかかる負荷が過大となってシャッター部材がスライド移動し難くなるおそれがあった。
本発明は、粉粒体の望ましくない漏れを防ぎつつ、繰出し手段における粉粒体の噛み込みを防止できる粉粒体散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る粉粒体散布装置の第一特徴は、貯留部に貯留された粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記貯留部から前記粉粒体が供給される供給経路と、が備えられ、前記繰出し手段に、前記供給経路を閉塞する閉状態と前記供給経路内に通過用開口を形成する開状態とにわたりスライド移動自在なシャッター部材と、前記シャッター部材を前記閉状態と前記開状態とに切り換えるアクチュエータと、が備えられ、前記シャッター部材が、前記供給経路を形成する壁部のうち一方側の側壁と交差するようにスライド移動自在とされており、前記シャッター部材の上面と前記一方側の側壁の端部との間に、クリアランスが設けられてある点にある。
【0006】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
繰出し手段において、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に、例えば粉粒体のうち主に粉体の通過を許すクリアランスを設けると、粉粒体のうちで比較的寸法の小さな粉体は、このクリアランスを通過できる。よって、シャッター部材がスライド移動された際に、少なくとも粉体は、クリアランスにおいて流動でき、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に、粉体の噛み込みが発生することが防止される。これにより、シャッター部材を閉状態と開状態とに切り換えるアクチュエータにかかる負担が過大となることが防止され、シャッター部材がスライド移動し難くなることを防止できる。
また、このクリアランスを前述のように粉粒体のうち主に粉体の通過を許す程度の大きさに設定すると、全ての粉粒体がクリアランスを通過できるわけではない。このため、シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間から不当に粉粒体が漏出することを防止できる。
【0007】
本発明に係る粉粒体散布装置の第二特徴は、前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記一方側の側壁に、前記供給経路の内側へ向けて張り出された張出部が形成されてあり、前記クリアランスが、前記シャッター部材と前記張出部における前記供給経路の内側端部との間に設けられており、前記張出部のうち前記内側端部よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記クリアランスよりも上下幅の大きな空間が形成されてある点にある。
【0008】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材の上面と一方側の側壁の端部との間に設けられたクリアランスが、供給経路におけるシャッター部材よりも上流箇所において、一方側の側壁に、供給経路の内側へ向けて張り出された張出部における供給経路の内側端部との間に設けられている。そして、張出部のうち内側端部よりも供給経路について外側の箇所に、このクリアランスよりも上下幅の大きな空間が形成されている。
【0009】
このため、クリアランスを通過した例えば粉粒体のうち主に粉体は、クリアランスよりも上下幅の大きな空間に退避されるので、シャッター部材と一方側の側壁との間に噛み込むことが防止される。しかも、もしクリアランスにおいて粉体等が噛み込んだとしても、クリアランスは張出部のうち内側端部にだけ設けられているため、作動抵抗を生ずる面積が小さくなり、アクチュエータにかかる負荷の増大を小さく抑えることができる。
【0010】
本発明に係る粉粒体散布装置の第三特徴は、前記張出部の上面が、前記供給経路の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されてある点にある。
【0011】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
張出部の上面が、供給経路の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されているので、張出部の上面に載った粉粒体が供給経路の内側へ向けて自然に流下される。よって、張出部の上面に粉粒体が滞留することが防止され、粉粒体の重量が張出部のうち内側端部に過度にかかることが防止される。よって、シャッター部材と張出部における供給経路の内側端部との間に設けられているクリアランスに粉体等が噛み込んだとしても、アクチュエータにかかる負荷が過大に増加することを防止できる。
【0012】
本発明に係る粉粒体散布装置の第四特徴は、前記アクチュエータが、前記供給経路の外側に備えられ、前記供給経路と前記アクチュエータとの間に、前記供給経路と前記アクチュエータとを仕切るシール部材が備えられてある点にある。
【0013】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シール部材により、供給経路の外側に備えられたアクチュエータを粉粒体が流動する供給経路から仕切ることができるので、シャッター部材側からアクチュエータ側へ粉粒体が漏出することを防止できる。このため、アクチュエータ側に配置されたアクチュエータや制御装置等の機器に粉粒体が接触することを防止でき、これらの機器を保護できる。
【0014】
本発明に係る粉粒体散布装置の第五特徴は、前記シール部材に、前記シャッター部材のスライド移動に伴って弾性変形する可動部が備えられてある点にある。
【0015】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
例えば、シャッター部材のスライド移動に伴って壁部に対して摺動移動する形式の他のシール部材であると、シール部材の摺動部分に粉体等が噛み込んで、アクチュエータにかかる負荷が増大するおそれがある。本特徴構成であれば、シャッター部材のスライド移動に伴ってシール部材の可動部が弾性変形するので、シール部材に対する粉体等の噛み込みが発生せず、アクチュエータにかかる負荷が増大することを防止できる。このため、供給経路からアクチュエータ側への粉体等の移動を防止できながら、シャッター部材がスムーズにスライド移動できる状態を維持できる。
【0016】
本発明に係る粉粒体散布装置の第六特徴は、前記シール部材を保持する保持部が備えられ、前記シール部材に、前記保持部と前記シール部材とを密着させる凸部が備えられてある点にある。
【0017】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シール部材に備えられた凸部を保持部に密着させていることにより、供給経路とアクチュエータ側とを凸部によって確実にシールでき、粉粒体がシール部材と保持部との間からアクチュエータ側に侵入することを確実に防止できる。
【0018】
本発明に係る粉粒体散布装置の第七特徴は、前記シャッター部材のうち前記一方側の側壁よりも前記供給経路について外側の箇所に、前記粉粒体の排出孔が上下方向に開口されてある点にある。
【0019】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材のうち一方側の側壁よりも供給経路について外側の箇所に、粉粒体の排出孔が上下方向に開口されているので、クリアランスを通過してきた粉粒体、特に粉体が、排出孔によりシャッター部材の下方へと排出される。これにより、シャッター部材と一方側の側壁との間に粉粒体が噛み込むことを防止でき、アクチュエータにかかる負荷が過大となることを防止できる。
【0020】
本発明に係る粉粒体散布装置の第八特徴は、前記排出孔が、前記シャッター部材の上面側の断面積が前記シャッター部材の下面側の断面積よりも大きくなるように形成されてある点にある。
【0021】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
シャッター部材に形成された排出孔が、シャッター部材の上面側の断面積が下面側の断面積よりも大きくなるように開口されている。このため、シャッター部材が閉じる方向に移動した際に、クリアランスを通過してきた粉粒体のうち主に粉体を、シャッター部材の下面側へ効率よく排出することができる。これとともに、下面側の断面積が上面側の断面積よりも小さくなるので、シャッター部材の下面側では肉厚が十分となり、シャッター部材の強度の低下を抑えることができる。
【0022】
本発明に係る粉粒体散布装置の第九特徴は、前記閉状態にある前記シャッター部材の先端部と、前記壁部のうち前記一方側の側壁と前記供給経路を挟む反対箇所に位置された他方側の側壁との間に、前記シャッター部材の移動方向に沿った隙間が設けられてある点にある。
【0023】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
閉状態のシャッター部材の先端部と、壁部のうち他方側の側壁との間に、シャッター部材の移動方向に沿った隙間が設けられているので、シャッター部材と他方側の側壁とにより粉粒体が押し潰されてしまうことを防止できる。これにより、潰された粉粒体がシャッター部材の先端部や、他方側の側壁に付着することが無くなり、アクチュエータにかかる負荷が変動することを防止できる。
【0024】
本発明に係る粉粒体散布装置の第十特徴は、前記供給経路における前記シャッター部材よりも上流箇所において、前記他方側の側壁に、前記閉状態の前記シャッター部材の前記先端部よりも前記供給経路について内側の箇所に位置された庇部が設けられてある点にある。
【0025】
本特徴構成によると、以下の発明の作用および効果を奏する。
供給経路におけるシャッター部材よりも上流箇所において、他方側の側壁に閉状態のシャッター部材の先端部よりも供給経路について内側の箇所に位置された庇部が設けられていることにより、閉状態のシャッター部材の先端部と他方側の側壁との間に設けられた隙間を、庇部で覆うことができる。これにより、シャッター部材の先端部と他方側の側壁との間の隙間から粉粒体が不当に漏出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】乗用型田植機の全体側面図である。
図2】乗用型田植機の全体平面図である。
図3】薬剤散布装置の背面図である。
図4】薬剤散布装置の縦断側面図である。
図5】薬剤散布装置の底面図である。
図6】シャッター部材が閉状態のときの繰出し機構の縦断側面図である。
図7】シャッター部材が開状態のときの繰出し機構の縦断側面図である。
図8】繰出し機構の横断平面図である。
図9図8のIX−IX断面図である。
図10】シール部材の斜視図である。
図11】別実施形態における繰出し機構の縦断側面図である。
図12】別実施形態における繰出し機構の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔乗用型田植機の基本構成〕
まず、乗用型田植機の基本構成について簡単に説明する。
図1に示すように、乗用型田植機10(「水田作業車」に相当)は、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体13の前部側に、エンジン14及びミッションケース15が備えられている。走行機体13の中央部には、ステアリングハンドル16等を装備した操縦部17と運転座席18とが備えられており、走行機体13の左右両側には、予備苗載せ台19が配設されている。走行機体13の後方には、リフトシリンダ20の操作によりリンク機構21を介して昇降操作自在に苗植付装置22が連結され、その苗植付装置22の後方に、粉粒体としての例えば除草剤等の薬剤を散布する薬剤散布装置23(「粉粒体散布装置」に相当)が備えられている。図2に示すように、苗植付装置22は4条植型式に構成されている。ミッションケース15には、変速レバー26を操作することにより変速操作される不図示の静油圧式の無段変速装置が備えられている。
【0028】
図1及び図2に示すように、苗植付装置22は、1個のフィードケース24に連結された機体左右方向に延びる不図示の支持フレームに、2個の伝動ケース25が後向きに片持ち状に連結されている。伝動ケース25の後部の左右両側部には、植付アーム28がクランク機構27により上下に揺動自在に支持されており、植付アーム28には植付爪32が備えられている。この苗植付装置22の下部には接地フロート29が支持されている。苗植付装置22には、左右に一定ストロークで往復横送り駆動自在な苗載せ台30が備えられており、苗載せ台30には、苗載せ台30がストロークエンドに達する毎に、載置された苗を所定量だけ下方に送るベルト式の縦送り装置31が備えられている。
【0029】
フィードケース24に伝達される動力により苗載せ台30が往復横送り駆動される。これに並行して、フィードケース24に伝達される動力が伝動ケース25に伝達され、伝動ケース25に伝達される動力により、植付アーム28が上下に揺動運動するように駆動される。この際、苗載せ台30が往復横送りのストロークエンドに達すると、フィードケース24に伝達される動力により縦送り装置31が駆動されて、苗載せ台30に載置された苗が下方に送られる構成となっている。このようにして、苗載せ台30が往復横送り駆動されながら、植付アーム28の先端部に備えられた植付爪32により苗載せ台30の下部から1株ずつ苗が取り出され、田面に植え付けられる。
【0030】
〔薬剤散布装置〕
次に、薬剤散布装置23について説明する。
図1図3に示すように、左右両側の伝動ケース25に夫々固定されて架設された支持フレーム33Aの中間部から支持体33Bが固定立設されている。この支持体33Bの上部に、苗植付け状態において田面から設定距離上方に位置する状態で薬剤散布装置23が支持される構成となっている。
そして、図4に示すように、薬剤散布装置23には、薬剤を貯留する貯留ホッパー34(「貯留部」に相当)と、その貯留ホッパー34の下部に位置して貯留される薬剤を繰り出す繰出し機構35(「繰出し手段」に相当)と、供給経路36を通して落下供給される薬剤を拡散させる回転式の拡散手段としての拡散放出機構37と、繰出し機構35および拡散放出機構37の作動を制御するための制御装置としての電気制御ユニット38とが備えられている。
【0031】
繰出し機構35及び拡散放出機構37は、ケーシング39に収納されている。図3図5に示すように、ケーシング39は、左右両側の分割ケーシング部分39A,分割ケーシング部分39Bを合わせ面同士で接続する左右2つ割り構造となっている。
図4に示すように、ケーシング39には、貯留ホッパー34から繰出し機構35を介して拡散放出機構37に薬剤を落下供給する供給経路36を構成する筒状部40が形成されている。ケーシング39における筒状部40に対する横一側箇所には、ソレノイド41(「アクチュエータ」に相当)を収納するためのソレノイド収納室42が形成されており、反対側箇所には、拡散放出機構37における電動モータ43を収納するモータ収納室44が形成されている。ソレノイド収納室42の下方には、電気制御ユニット38を収納する制御ユニット収納室45が形成されている。ソレノイド収納室42と制御ユニット収納室45との間は隔壁48により筒状部40に寄った側の一部が仕切られている。電気制御ユニット38は、コネクタ38Aに電線38Bで接続されており、コネクタ38Aを介して、走行機体13側より給電を受ける。ソレノイド41は、電気制御ユニット38に、隔壁48で仕切られていない部分を通る電線41Aにより接続されており、電気制御ユニット38から給電を受ける。電動モータ43は、電気制御ユニット38に、電線43Aで接続されており、電気制御ユニット38から給電を受ける。
【0032】
制御装置としての電気制御ユニット38は、繰出し機構35のソレノイド41および拡散放出機構37の電動モータ43を駆動する。そして、走行機体13には充電式のバッテリーが搭載されておらず、エンジン14によって駆動される発電機(例えば、前照灯等を点灯させるために設けられる発電機等)にて発電された電力が電気制御ユニット38に供給されるように構成されている。走行機体13にはバッテリーが搭載されていないので、エンジン14は不図示のリコイル式の始動装置により始動される構成となっている。
【0033】
図4図6図7に示すように、筒状部40は、壁部に囲まれた構造となっている。壁部には、ソレノイド収納室42側に位置する一方側の側壁46と、一方側の側壁46と供給経路36を挟む反対箇所に位置された他方側の側壁47とが備えられている。
【0034】
供給経路36には、薬剤が通過するための通過用開口49が形成されている。繰出し機構35には、通過用開口49を閉塞する閉状態と通過用開口49を薬剤が通過できるように開放する開状態とにわたりスライド移動自在な樹脂製のシャッター部材50と、そのシャッター部材50を閉状態と開状態とに切り換える上述のソレノイド41とが備えられている。通過用開口49から落下した薬剤は、シャッター部材50の開閉動作に応じて、拡散放出機構37へと落下供給される。
【0035】
図6に示すように、シャッター部材50が通過用開口49を閉鎖する位置までスライド移動されると、通過用開口49を閉じると閉状態となって薬剤の落下供給が停止される。一方、図7に示すように、シャッター部材50が通過用開口49を開放する位置までスライド移動されると、通過用開口49が開放されて開状態となる。この開状態では、通過用開口49を通して薬剤が下方に落下供給される構成となっている。
【0036】
図6図7に示すように、一方側の側壁46には、シャッター部材50を挿通するためのスリット孔52が形成されている。シャッター部材50は、スリット孔52を通過することにより、一方側の側壁46と交差するようにスライド移動自在とされている。一方側の側壁46のうちスリット孔52よりも上部には、上壁部53が形成され、一方側の側壁46のうちスリット孔52よりも下部には、第一排出壁54、第二排出壁55、第三排出壁56が形成されている。上壁部53には、案内壁58と、案内壁58から供給経路36の内側へ向けて張り出された張出部59が形成されている。張出部59の上面59Aは、供給経路36の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されている。上壁部53のうち、案内壁58よりもソレノイド収納室42側には、縦断側面視でΓ字状の掻出部60が形成されている。
【0037】
張出部59の供給経路36の内側端部箇所には、張出部59の下端部から下方へ垂下するように延出された舌片61が形成されている。シャッター部材50の上面50Aと舌片61の下端部との間には、薬剤のうち寸法の小さな主に粉体の通過を許す上下方向の第一クリアランス62(「クリアランス」に相当)が設けられてある。
【0038】
この第一クリアランス62の寸法は、薬剤の寸法や割れやすさ等の性状に応じて設定され、例えば、薬剤のうち砕けて寸法が小さくなった粒体や粉体のみの通過を許す寸法とされている。つまり、第一クリアランス62は、薬剤のうち寸法が大きなものの通過は許さず、シャッター部材50についての噛み込みの原因となる小さな寸法の薬剤の通過のみを許すような寸法とされている。例えば、薬剤が、比較的割れやすく、平均して直径が1〜2mm、高さが2〜5mmの大きさとされた円柱状の形状を有する粒体である場合は、第一クリアランス62は、例えば数mm程度以下の寸法とされる。
【0039】
張出部59のうち内側端部に位置する舌片61よりも供給経路36について外側箇所には、第一クリアランス62よりも上下幅の大きな空間63が形成されている。空間63は、一方側の側壁46に形成されており、張出部59における舌片61よりもソレノイド収納室42側の部分と掻出部60の内面とに亘って上方に凸な、縦断側面視で矩形状の凹部空間として形成されている。空間63には、第一クリアランス62を通過してきた粉粒体が一時的に退避されて貯留される。掻出部60の下端部とシャッター部材50の上面50Aとの間には、上下方向の第二クリアランス64が形成されている。第二クリアランス64は、第一クリアランス62と略同じ大きさに形成されている。
【0040】
第一排出壁54は、シャッター部材50の直下に形成されており、掻出部60の下方位置において、下方へいくにつれて供給経路36の内側に向けて位置されるような傾斜面54Aが形成されている。第一排出壁54は、その途中に供給経路36側を凸とする折曲部54Bを有している。折曲部54Bから下部は、供給経路36に沿って略鉛直に垂下されて形成されている。
【0041】
第二排出壁55は、シャッター部材50の直下に形成されており、第二排出壁55の上端部が第一排出壁54の上端部と一体とされている。第二排出壁55は、掻出部60の下方位置において、略鉛直に下方へ垂下されて、その途中にソレノイド収納室42側を凸とする折曲部55Aを有している。折曲部55Aから下部は、下方へいくにつれて供給経路36の内側に向けて位置されるような傾斜面55Bが形成されている。
【0042】
第三排出壁56は、第一排出壁54および第二排出壁55の下方に配置されている。第三排出壁56は、第二排出壁55よりもソレノイド収納室42側の箇所より、下方へいくにつれて供給経路36の内側に向けて位置されるような傾斜面56Aが形成されている。第三排出壁56は、供給経路36側を凸とする折曲部56Bを有している。折曲部56Bから下部は、略鉛直下方に垂下されて、拡散放出機構37へと繋がる供給経路36に合流するように構成されている。
【0043】
他方側の側壁47には、縦壁部66と、縦壁部66からソレノイド収納室42側へ突出された突出部67(「庇部」に相当)が設けられている。他方側の側壁47には、スリット孔52の高さ位置と略同じ高さ位置において、供給経路36に対してソレノイド収納室42がある側とは反対側へ縦壁部66からコ字状に突出された凹入部68が形成されている。突出部67は、供給経路36におけるシャッター部材50よりも上流箇所に形成されてあり、閉状態のシャッター部材50の先端部51よりも供給経路36について内側の箇所に位置されている。
【0044】
図4図6ないし図9に示すように、スリット孔52の下部側には、幅方向両側部にシャッター部材50を受止め支持する下側ガイド部69が左右両側の分割ケーシング部分39A,分割ケーシング部分39Bの夫々に形成されている。
【0045】
[シャッター部材]
図6図7に示すように、シャッター部材50は、ソレノイド41に備えられるコイルバネ70が座金71を介して連結ピン72に作用することにより閉状態の位置(通過用開口49を閉じる位置)に移動付勢されている。ソレノイド41に通電することによりコイルバネ70の付勢力に抗して引き操作することによりシャッター部材50を開状態の位置(通過用開口49を開放する位置)に移動操作することができるように構成されている。
【0046】
閉状態にあるシャッター部材50の先端部51と、他方側の側壁47の凹入部68との間には、シャッター部材50の移動方向に沿った左右方向の隙間73が設けられてある。突出部67は、隙間73の上方に位置され、平面視でシャッター部材50を閉状態としたときの隙間73を覆い隠すように構成されている。突出部67の上面67Aは、下方へ行くほど、他方側の側壁47から供給経路36の内側へ位置するような傾斜面を形成している。突出部67と、閉状態にあるシャッター部材50の上面50Aとの間には、第一クリアランス62と略同じ大きさとされた上下方向の第三クリアランス74が設けられている。通過用開口49は、張出部59と突出部67との間に挟まれるようにして形成されている。
【0047】
シャッター部材50は、帯板状に形成されて、ソレノイド41の操作ロッド75に対してシャッター部材50の連通部80が連結ピン72で枢支連結される構成となっている。シャッター部材50の供給経路36側に位置する先端部51よりもソレノイド収納室42側に寄った箇所に、第一排出孔77(「排出孔」に相当)、第二排出孔78(「排出孔」に相当)、第三排出孔79(「排出孔」に相当)が形成されている。第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79は、いずれも、シャッター部材50と一方側の側壁46との間に挟まり込んだ薬剤を下方に落下させるための上下方向に貫通する孔である。第一排出孔77は、シャッター部材50の幅方向に横長の孔として形成されており、シャッター部材50の先端側に位置されている。第二排出孔78は、円形状の孔として形成されており、第一排出孔77よりも、ソレノイド41側に寄った箇所に位置されている。第三排出孔79は、円形状の孔として形成されており、第二排出孔78とシャッター部材50の幅方向に並ぶように位置されている。第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79は、それぞれ、シャッター部材50の上面50A側の断面積がシャッター部材50の下面50B側の断面積よりも大きくなるように形成され、縦断側面視において上開きのテーパ状に形成されている。
【0048】
シャッター部材50のうち第二排出孔78および第三排出孔79よりもソレノイド収納室42側に寄った箇所には、上下方向に突出したストッパ81が設けられている。ストッパ81が、一方側の側壁46の端部に当接することにより、閉状態にあるシャッター部材50の位置決めがなされる。
【0049】
〔シール部材〕
図4図6図7に示すように、供給経路36とソレノイド41との間には、ゴム製のシール部材87が配置されている。シール部材87は、ソレノイド収納室42と、供給経路36との間を仕切るように配置されている。より具体的には、シール部材87は、ソレノイド41の操作ロッド75とシャッター部材50のストッパ81との間に配置されている。図6図7図10に示すように、シール部材87には、円形状の可動部88と、可動部88の外周部から延出されたフランジ状の固定部89と、固定部89の外周部の中央部から突出されたドーナツ状の凸部90とが備えられている。
【0050】
固定部89は、その上端部89Aが上保持部95(「保持部」に相当)に密着されて保持され、その下端部89Bが下保持部97(「保持部」に相当)に密着されて保持されている。凸部90は、上保持部95の天面95Aおよび下保持部97の底面97Aに隙間なく密着されている。固定部89は、可動部88よりも厚肉に形成されており、弾性変形しにくい構成とされている。
【0051】
一方で、可動部88は、弾性変形可能な膜状の部材として形成されている。可動部88には、円形の平面部91と、平面部91の中心に開口された円形の孔部92と、平面部91の外周部から延出され、供給経路36側に折り曲げられた円輪状の第一屈曲部93と、第一屈曲部93の外周部から延出され、ソレノイド41側に折り曲げられた円輪状の第二屈曲部94とが備えられている。第二屈曲部94の外周部が固定部89に一体化されている。つまり、可動部88は、蛇腹状の形状を呈している。孔部92には、シャッター部材50の連通部80が連通され、孔部92を封止するように可動部88と連通部80とが密着されている。
【0052】
[拡散放出機構]
図4に示すように、拡散放出機構37には、横向き姿勢の受止め面99Aを備えるとともに縦向きの回転軸芯P周りで駆動回転される受止め体99と、その受止め体99の受止め面99Aに立設された拡散用羽根体100と、受止め体99を縦向きの回転軸芯周りで回転駆動する上述の電動モータ43とが備えられている。また、図5に示すように、ケーシング39の下部には、縦軸心周りに揺動可能な左右一対の放出調整体101が備えられている。
【0053】
〔作用〕
以下、上記構成により奏される作用について説明する。
シャッター部材50が閉状態から開状態(図6に示す状態から図7に示す状態)に切り換えられると、シャッター部材50が引退されて通過用開口49が形成され、供給経路36を薬剤が落下する。この際、薬剤のうち主に寸法の小さい粒体や粉体は、シャッター部材50の引退に伴って、シャッター部材50の閉じ方向へ引き込まれて第一クリアランス62を通過する。第一クリアランス62を通過した薬剤は、空間63に一時的に退避される。このとき、舌片61とシャッター部材50の上面50Aとの間に第一クリアランス62を設けているので、舌片61とシャッター部材50の上面50Aとの間に薬剤の粉体等が入り込んでも、作動抵抗を生じる面積が小さいので、ソレノイド41にかかる負荷が過大となることがない。
【0054】
また、シャッター部材50が閉状態から開状態に切り換えられると、空間63に存在していた薬剤の粉体等は、シャッター部材50の引退に伴って、シャッター部材50の閉じ方向へ引き込まれて掻出部60に当たり、掻き出されるようにして、第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79からシャッター部材50の下方に排出される。このようにして排出された薬剤の粉体等は、第一排出壁54に案内され、第三排出壁56を伝って供給経路36へと合流される。掻出部60により掻き出されずに、第二クリアランス64を通過した薬剤の粉体等は、掻出部60よりもソレノイド収納室42側において、第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79からシャッター部材50の下方に排出される。このようにして排出された薬剤の粉体等は、シール部材87の可動部88または固定部89と第二排出壁55との間を案内され、第三排出壁56を伝って供給経路36へ合流される。また、シャッター部材50が閉状態から開状態に切り換えられる際には、シール部材87の可動部88が弾性変形するので、ソレノイド41にかかる負荷が過大となることが防止されている。
【0055】
一方、シャッター部材50が開状態から閉状態(図7に示す状態から図6に示す状態)に切り換えられると、シャッター部材50が突出されて通過用開口49が閉じられ、供給経路36における薬剤の落下が停止される。この際、閉状態にあるシャッター部材50の先端部51と、凹入部68との間に隙間73が設けられているので、シャッター部材50の先端部51と凹入部68との間で粉粒体が餅つきのように押し潰されてしまうことを防止できる。そして、隙間73の上方には突出部67が設けられているので、薬剤が隙間73に達しにくくされており、隙間73から薬剤が不当に漏出することが防止されている。
【0056】
また、シャッター部材50が開状態から閉状態に切り換えられると、空間63に存在していた薬剤の粉体等は、舌片61に当たり、掻き出されるようにして、第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79からシャッター部材50の下方に排出される。このように排出された薬剤の粉体等は、第一排出壁54に案内され、第三排出壁56を伝って供給経路36へと合流される。
【0057】
また、シャッター部材50が開状態から閉状態に切り換えられると、掻出部60よりもソレノイド収納室42側に存在していた薬剤の粉体等は、シャッター部材50の突出に伴って、掻出部60に当たり、掻き出されるようにして、第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79からシャッター部材50の下方に排出される。このようにして排出された薬剤の粉体等は、シール部材87の可動部88または固定部89と第二排出壁55との間を案内され、第三排出壁56を伝って供給経路36へ合流される。
【0058】
シャッター部材50が閉状態になったとき、突出部67と、閉状態にあるシャッター部材50の上面50Aとの間には、薬剤のうち寸法が大きなものは通過を許さないような第三クリアランス74しか設けられていない。このため、突出部67と、閉状態にあるシャッター部材50の上面50Aの間から薬剤が不当に漏出することが防止される。また、隙間73の上方に突出部67が設けられているので、平面視で突出部67が隙間73を覆い、隙間73から薬剤が不当に漏出することが防止される(図8参照)。
【0059】
このようにして貯留ホッパー34から供給経路36を通して繰出し機構35から繰り出された薬剤は、拡散放出機構37の受止め体99に落下供給される。そして、電動モータ43の駆動により回転される拡散用羽根体100により薬剤が跳ね飛ばされ、左右一対の放出調整体101の案内で飛散方向や飛散範囲が調整されて、圃場へ拡散放出される。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、アクチュエータとしてソレノイド41を例に説明したが、これに限られない。ソレノイド41以外にステッピングモータ等の他のアクチュエータであってもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、張出部59は、その上面59Aが、供給経路36の内側へ向かうにつれて下方に位置するような傾斜面として形成されている例を示したが、これに限られない。張出部59の上面が略水平状の面として形成されていてもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、庇部として、縦壁部66からソレノイド収納室42側へ突出された突出部67を一例に示したが、これに限られない。図11に示すように、隙間73の上方にその下端部が位置するように形成され、閉状態にあるシャッター部材50と凹入部68との間の隙間73を平面視で覆うような縦壁部126としてもよい。
【0063】
(4)上記実施形態では、空間63は、張出部59における舌片61よりもソレノイド収納室42側の部分と掻出部60の内面とに亘って上方に凸な凹部空間として形成されているものを例に説明したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、供給経路36の内側に向けて縦断側面視において先細りとなる嘴状の形状をした張出部119とし、嘴状の先端部に第一クリアランス62が設けられ、その先端部よりも供給経路36について外側箇所に、第一クリアランス62よりも上下幅の大きな空間123を設けられたものであってもよい。この場合、空間123は、供給経路36からソレノイド収納室42側へ向かうにつれて上下幅の大きくなる縦断側面視でクサビ状のものとなる。
【0064】
(5)上記実施形態では、シール部材87と、シャッター部材50の連通部80の間を密着させるようにしているが、シール部材87と、シャッター部材50の連通部80との間を熱可塑性樹脂等の封止材で密封するようにしてもよい。
【0065】
(6)上記実施形態では、可動部88および固定部89が備えられたシール部材87を例に説明したがこれに限られない。シャッター部材50のスライド移動に伴って、内壁を摺動移動する形式の他のシール部材としてもよい。
【0066】
(7)上記実施形態では、第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79が、それぞれ、シャッター部材50の上面50A側の断面積がシャッター部材50の下面50B側の断面積よりも大きくなるように形成されている例を示したが、これに限られない。第一排出孔77、第二排出孔78、第三排出孔79が、それぞれ、シャッター部材50の上面50A側から下面50B側にかけて断面積が不連続に変化するものであってもよいし、断面積が一定の円筒孔としたものであってもよい。
【0067】
(8)上記実施形態では、閉状態にあるシャッター部材50の先端部51と、他方側の側壁47との間に隙間73が設けられてある例を示したが、このような隙間73が設けられていないものであってもよい。
【0068】
(8)上記実施形態では、乗用型田植機10に薬剤散布装置23を装備した例を示したが、これに限られない。乗用型直撒機等の他の水田作業機に薬剤散布装置23を装備したものであってもよい。
【0069】
(9)上記実施形態では、粉粒体散布装置として薬剤散布装置23を例に挙げたが、粉粒体として肥料を用いる肥料散布装置等の他の粉粒体散布装置であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
23 :薬剤散布装置(粉粒体散布装置)
34 :貯留ホッパー(貯留部)
35 :繰出し機構(繰出し手段)
36 :供給経路
41 :ソレノイド(アクチュエータ)
46 :一方側の側壁
47 :他方側の側壁
49 :通過用開口
50 :シャッター部材
50A :上面
51 :先端部
59 :張出部
59A :上面
62 :第一クリアランス(クリアランス)
63 :空間
67 :突出部(庇部)
73 :隙間
77 :第一排出孔(排出孔)
78 :第二排出孔(排出孔)
79 :第三排出孔(排出孔)
87 :シール部材
88 :可動部
90 :凸部
95 :上保持部(保持部)
97 :下保持部(保持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12