【実施例1】
【0032】
図1は、実施例1のケーシングが適用される蒸気タービンの概略構成図である。
図2は、蒸気タービンのケーシングを軸方向から見たときの正面図である。実施例1のケーシング11は、例えば、供給される蒸気によって回転する蒸気タービン10に適用される。なお、実施例1のケーシング11は、蒸気タービン10に限らず、ケーシングを有するタービンであれば、いずれのタービンであってもよい。
【0033】
図1に示すように、実施例1の蒸気タービン10は、ケーシング11と、ケーシング11の内部に設けられるタービンロータ(以下、「ロータ」という)12とを備えている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ケーシング11は、第1ケーシングとなる外部車室ケーシング21と、第2ケーシングとなるグランドケーシング22とを有する。なお、実施例1では、第1ケーシングを外部車室ケーシング21とし、第2ケーシングをグランドケーシング22としたが、この構成に限定されない。つまり、第1ケーシングと、第1ケーシングに取り付けられる第2ケーシングであれば、いずれのケーシングであってもよく、例えば、第1ケーシング及び第2ケーシングの両方が車室ケーシングであってもよい。
【0035】
外部車室ケーシング21は、ロータ12の軸方向の周囲に設けられている。外部車室ケーシング21には、ロータ12が挿通される円形開口の挿通孔24が、ロータ12の軸方向の両側に形成されている。このため、ロータ12は、軸方向の中央部が、外部車室ケーシング21の内部に収容される。一方で、ロータ12は、軸方向の両端部が、両側の挿通孔24から外部車室ケーシング21の外側にそれぞれ位置する。外部車室ケーシング21の上部には、軸方向の中央に蒸気供給口23が設けられており、蒸気供給口23を介して、外部車室ケーシング21の内部に蒸気が供給される。
【0036】
外部車室ケーシング21は、挿通孔24を挟んで上下に分割可能となっており、車室合わせ面(第1合わせ面)P1(
図2参照)を境にして、上部車室ケーシング(第1B半部ケーシング)21aと、下部車室ケーシング(第1A半部ケーシング)21bとに分割される。上部車室ケーシング21aには、車室合わせ面P1に沿って周囲に設けられ、外側に突出する車室側上部フランジ41が形成される。また、下部車室ケーシング21bには、車室合わせ面P1に沿って周囲に設けられ、外側に突出する車室側下部フランジ42が形成される。そして、外部車室ケーシング21は、車室合わせ面P1において車室側上部フランジ41と車室側下部フランジ42とを面合わせした状態で、上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとがボルトで締結されることにより構成される。
【0037】
この車室合わせ面P1は、ロータ12の軸中心を通る水平面となっている。このため、挿通孔24は、車室合わせ面P1において上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとが面合わせされることで形成される。また、外部車室ケーシング21には、グランドケーシング22を取り付けるためのグランド取付面(取付面)P2(
図3参照)が形成されている。グランド取付面P2は、外部車室ケーシング21の外面に平坦面となるように形成されており、円形開口の挿通孔24の縁部に沿って円環状に形成されている。このグランド取付面P2は、ロータ12の軸方向に直交する面となっている。このため、車室合わせ面P1とグランド取付面P2とは直交する。
【0038】
図3は、グランドケーシングの斜視図である。グランドケーシング22は、外部車室ケーシング21の挿通孔24と、挿通孔24に挿通されたロータ12との間を覆っており、挿通孔24からの蒸気のリークを抑制している。
図2及び
図3に示すように、グランドケーシング22は、平面視円形状に形成されている。グランドケーシング22には、外部車室ケーシング21に取り付けるための車室取付面P3が形成されている。車室取付面P3は、グランドケーシング22の外部車室ケーシング側に形成され、平面視円形状のグランドケーシング22の縁部に形成されている。このとき、車室取付面P3は、グランド取付面P2と相補的形状となるように平坦面に形成されている。そして、グランドケーシング22は、外部車室ケーシング21のグランド取付面P2に、車室取付面P3を面合わせした状態で、複数の縦継手ボルト(締結ボルト)37で締結することにより取り付けられる。
【0039】
グランドケーシング22は、挿通孔24を挟んで上下に分割可能となっており、グランド合わせ面(第2合わせ面)P15を境にして、上部グランドケーシング(第2B半部ケーシング)22aと、下部グランドケーシング(第2A半部ケーシング)22bとに分割される。このとき、グランド合わせ面P15は、車室合わせ面P1と同一面となっている。上部グランドケーシング22aには、グランド合わせ面P15に沿ってロータ12の軸方向外側に突出するグランド側上部フランジ27が形成される。また、下部グランドケーシング22bには、グランド合わせ面P15に沿ってロータ12の軸方向外側に突出するグランド側下部フランジ28が形成される。そして、グランドケーシング22は、グランド合わせ面P15においてグランド側上部フランジ27とグランド側下部フランジ28とを面合わせした状態で、上部グランドケーシング22aと下部グランドケーシング22bとが複数の水平フランジボルト(締結ボルト)38で締結されることにより構成される。
【0040】
以上から、上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとが車室合わせ面P1において面合わせされることで、外部車室ケーシング21が形成される。また、上部グランドケーシング22aと下部グランドケーシング22bとがグランド合わせ面P15において面合わせされることで、グランドケーシング22が形成される。そして、外部車室ケーシング21のグランド取付面P2と、グランドケーシング22の車室取付面P3とを面合わせして取り付けることで、ケーシング11が形成される。
【0041】
図1に示すように、ロータ12は、回転軸31と、複数のタービン翼(図示省略)とを有する。ロータ12は、ロータ12を回転自在に軸支する軸受32によって支持されている。軸受32は、外部車室ケーシング21の外側に設けられており、コンクリート等からなる基礎台35の上に設けられる軸受台36に支持されている。
【0042】
次に、
図4から
図6を参照して、外部車室ケーシング21及びグランドケーシング22の詳細について説明する。
図4は、車室ケーシングの車室側上部フランジ周りを示す斜視図である。
図5は、グランドケーシングのグランド側上部フランジ周りを示す斜視図である。
図6は、車室合わせ面に直交する面で切った各フランジ周りの断面図である。
【0043】
図4は、上部車室ケーシング21aの車室合わせ面P1近傍におけるグランド取付面P2周りを示している。車室合わせ面P1において分割される上部車室ケーシング21aのグランド取付面P2は半円となっている。上部車室ケーシング21aは、半円となるグランド取付面P2の両端部にそれぞれ設けられた車室側上部テーパ突起部(第1B半部テーパ突起部)25を有している。この車室側上部テーパ突起部25は、グランド取付面P2から車室合わせ面P1に沿ってロータ12の軸方向外側に突出して設けられている。このため、車室側上部テーパ突起部25は、その下方側の面(下面)が、車室合わせ面P1において後述する車室側下部テーパ突起部26と面合わせされる。また、車室側上部テーパ突起部25には、車室合わせ面P1の反対側の面(上面)が、突出方向に向かって広がる(上り)斜面となる車室側上部テーパ面(第1Bテーパ面)P4が形成されている。車室側上部テーパ突起部25の径方向内側の面は、挿通孔24の内周面と同一面となっており、径方向外側の面は、グランド側上部フランジ27の径方向外側の面と同一面となっている。
【0044】
また、車室側上部テーパ突起部25の突出方向の先端側における車室側上部先端面(第1B側先端面)P5は、グランド取付面P2と平行な面となっており、グランド側上部フランジ27によって覆われる。
【0045】
車室側上部テーパ突起部25には、水平フランジボルト(第1締結部材)38が挿通される貫通孔44が貫通形成されている。貫通孔44は、車室合わせ面P1に対し直交する方向(鉛直方向)に形成されており、水平フランジボルト38が鉛直方向に移動自在となっている。
【0046】
図6に示すように、下部車室ケーシング21bは、半円となるグランド取付面P2の両端部にそれぞれ設けられた車室側下部テーパ突起部(第1A半部テーパ突起部)26を有している。この車室側下部テーパ突起部26は、車室側上部テーパ突起部25と同様の構成となっており、グランド取付面P2から車室合わせ面P1に沿ってロータ12の軸方向外側に突出して設けられている。このため、車室側下部テーパ突起部26は、その上方側の面(上面)が、車室合わせ面P1において車室側上部テーパ突起部25と面合わせされる。また、車室側下部テーパ突起部26には、車室合わせ面P1の反対側の面(下面)が、突出方向に向かって広がる(下り)斜面となる車室側下部テーパ面(第1Aテーパ面)P6が形成されている。車室側下部テーパ突起部26の径方向内側の面は、挿通孔24の内周面と同一面となっており、径方向外側の面は、グランド側下部フランジ28の径方向外側の面と同一面となっている。
【0047】
また、車室側下部テーパ突起部26の突出方向の先端側における車室側下部先端面(第1A側先端面)P7は、グランド取付面P2と平行な面となっており、車室側上部先端面P5と同一面となる。車室側下部先端面P7は、グランド側下部フランジ28によって覆われる。
【0048】
車室側下部テーパ突起部26には、水平フランジボルト38が挿通される貫通孔45が貫通形成されている。貫通孔45は、車室合わせ面P1に対し直交する方向(鉛直方向)に形成されており、水平フランジボルト38が鉛直方向に移動自在となっている。
【0049】
上記のように構成された車室側上部テーパ突起部25と車室側下部テーパ突起部26とを車室合わせ面P1において面合わせすると、
図6に示すように、車室側上部テーパ面P4と車室側下部テーパ面P6とは、突出方向に向かって広がる面となる。
【0050】
図5に示すように、グランド側上部フランジ(第2B半部フランジ)27は、その一部が、車室側上部テーパ突起部25を覆うように設けられている。グランド側上部フランジ27には、車室側上部テーパ面P4と相補的形状となるグランド側上部テーパ面(第2Bテーパ面)P8が形成されている。グランド側上部テーパ面P8は、突出方向に向かって広がる(上り)斜面となっており、車室側上部テーパ面P4と面合わせされる。また、グランド側上部フランジ27には、車室側上部先端面P5と相補的形状となるグランド側上部当接面(第2B側当接面)P9が形成されている。グランド側上部当接面P9は、グランド取付面P2と平行な面となっており、車室側上部先端面P5と面合わせされる。さらに、グランド側上部フランジ27には、グランド側下部フランジ28に当接する上部当接面(第2当接面)P10が形成されている。上部当接面P10は、グランド合わせ面P15と同一面となっており、後述する下部当接面P13と面合わせされる。
【0051】
グランド側上部フランジ27には、水平フランジボルト38が挿通される貫通孔46が貫通形成されている。貫通孔46は、車室合わせ面P1に対し直交する方向(鉛直方向)に形成されており、水平フランジボルト38が鉛直方向に移動自在となっている。このグランド側上部フランジ27には、水平フランジボルト38の頭部が当接する。
【0052】
また、グランド側上部フランジ27には、縦継手ボルト(第3締結部材)37が挿通される貫通孔51が貫通形成されている。貫通孔51は、ロータ12の軸方向に形成されており、縦継手ボルト37が鉛直方向に移動自在となっている。このグランド側上部フランジ27には、縦継手ボルト37の頭部が当接する。このとき、車室側上部テーパ突起部25の車室側上部先端面P5には、縦継手ボルト37が締結される雌ねじ穴52が形成されている。
【0053】
図6に示すように、グランド側下部フランジ(第2A半部フランジ)28は、その一部が、車室側下部テーパ突起部26を覆うように設けられている。グランド側下部フランジ28には、グランド側上部フランジ27と同様に、車室側下部テーパ面P6と相補的形状となるグランド側下部テーパ面(第2Aテーパ面)P11が形成されている。グランド側下部テーパ面P11は、突出方向に向かって広がる(下り)斜面となっており、車室側下部テーパ面P6と面合わせされる。また、グランド側下部フランジ28には、車室側下部先端面P7と相補的形状となるグランド側下部当接面(第2A側当接面)P12が形成されている。グランド側下部当接面P12は、グランド取付面P2と平行な面となっており、車室側下部先端面P7と面合わせされる。さらに、グランド側下部フランジ28には、グランド側上部フランジ27の上部当接面P10に当接する下部当接面(第1当接面)P13が形成されている。下部当接面P13は、グランド合わせ面P15と同面となっており、上部当接面P10と面合わせされる。
【0054】
グランド側下部フランジ28のグランド側下部テーパ面P11には、水平フランジボルト38が締結される雌ねじ穴47が形成されている。雌ねじ穴47は、車室合わせ面P1に対し直交する方向(鉛直方向)に没入形成されており、水平フランジボルト38を締結可能となっている。
【0055】
また、グランド側下部フランジ28には、縦継手ボルト(第2締結部材)37が挿通される貫通孔53が貫通形成されている。貫通孔53は、ロータ12の軸方向に形成されており、縦継手ボルト37が鉛直方向に移動自在となっている。このグランド側下部フランジ28には、縦継手ボルト37の頭部が当接する。このとき、車室側下部テーパ突起部26の車室側下部先端面P7には、縦継手ボルト37を締結する雌ねじ穴54が形成されている。
【0056】
上記した車室側上部テーパ突起部25、車室側下部テーパ突起部26、グランド側上部フランジ27及びグランド側下部フランジ28は、水平フランジボルト38によって一体に締結される。具体的に、各フランジ27,28,41,42は、車室側上部テーパ突起部25と車室側下部テーパ突起部26とが車室合わせ面P1において面合わせされ、車室側上部テーパ面P4とグランド側上部テーパ面P8とが面合わせされ、車室側下部テーパ面P6とグランド側下部テーパ面P11とが面合わせされ、上部当接面P10と下部当接面P13とが面合わせされ、グランド取付面P2と車室取付面P3とが面合わせされた状態となる。この状態で、水平フランジボルト38が、貫通孔44,45,46に挿通され、雌ねじ穴47に締結されることで、各フランジ27,28,41,42が一体に締結される。なお、水平フランジボルト38は、複数設けてもよく、この場合、水平フランジボルト38の数に応じて、貫通孔44,45,46及び雌ねじ穴47を適宜形成することが好ましい。
【0057】
ここで、各フランジ27,28,41,42を一体に締結する水平フランジボルト38は、グランド側上部フランジ27に当接する座面の下方側において面圧を付与可能な面圧付与領域E内に、車室側上部テーパ突起部25と車室側下部テーパ突起部26とが面合わせされる車室合わせ面P1、面合わせされた車室側上部テーパ面P4及びグランド側上部テーパ面P8、面合わせされた車室側下部テーパ面P6及びグランド側下部テーパ面P11、面合わせされた上部当接面P10及び下部当接面P13のそれぞれが収まるように配置されている。
【0058】
面圧付与領域Eは、水平フランジボルト38の座面の外形を頂点として、水平フランジボルト38の軸方向(鉛直方向)と、水平フランジボルト38の軸方向から外側に傾斜する傾斜方向とがなす角度が所定の角度θとなる領域である。なお、角度θは、例えば、45度である。
【0059】
また、上記した車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27は、縦継手ボルト37によって一体に締結される。具体的に、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27は、車室側上部先端面P5とグランド側上部当接面P9とが面合わせされた状態となる。この状態で、縦継手ボルト37が、貫通孔51に挿通され、雌ねじ穴52に締結されることで、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27は、一体に締結される。同様に、上記した車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28は、縦継手ボルト37によって一体に締結される。具体的に、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28は、車室側下部先端面P7とグランド側下部当接面P12とが面合わせされた状態となる。この状態で、縦継手ボルト37が、貫通孔53に挿通され、雌ねじ穴54に締結されることで、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28は、一体に締結される。これにより、車室合わせ面P1、グランド合わせ面P15、車室側上部先端面P5とグランド側上部当接面P9との合わせ面、及び車室側下部先端面P7とグランド側下部当接面P12との合わせ面は、十字形状となる。なお、縦継手ボルト37も、複数設けてもよく、この場合、縦継手ボルト37の数に応じて、貫通孔51,53及び雌ねじ穴52,54を適宜形成することが好ましい。
【0060】
次に、
図7から
図12を参照し、蒸気タービン10のケーシング11の組立方法について説明する。
図7から
図11は、本実施例に係るケーシングの組立方法に関する一例の説明図である。
図12は、ケーシングの組立方法に関するフローチャートである。ケーシング11を組み立てる場合、先ず、下部車室ケーシング21bが設置される。
図7に示すように、グランド取付面P2と車室取付面P3との面を合わせ、また、車室側下部テーパ面P6とグランド側下部テーパ面P11との面を合わせ、さらに、車室側下部先端面P7とグランド側下部当接面P12との面を合わせた状態で、設置された下部車室ケーシング21bに下部グランドケーシング22bを取り付ける(
図12のステップS11:第1取付工程)。第1取付工程S11では、面合わせしたグランド取付面P2及び車室取付面P3を、縦継手ボルト37により締結することで、下部車室ケーシング21bに下部グランドケーシング22bを取り付ける。
【0061】
続いて、
図8に示すように、上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとを車室合わせ面P1において面を合わせ、また、車室側上部テーパ突起部25と車室側下部テーパ突起部26とを車室合わせ面P1において面を合わせた状態で、下部車室ケーシング21bに上部車室ケーシング21aを取り付ける(
図12のステップS12:第2取付工程)。
【0062】
次に、
図9に示すように、グランド取付面P2と車室取付面P3との面を合わせ、また、車室側上部テーパ面P4とグランド側上部テーパ面P8との面を合わせ、さらに、車室側上部先端面P5とグランド側上部当接面P9との面を合わせた状態で、上部車室ケーシング21aに上部グランドケーシング22aを取り付ける(
図12のステップS13:第3取付工程)。第3取付工程S13では、面合わせしたグランド取付面P2及び車室取付面P3を、縦継手ボルト37により締結することで、上部車室ケーシング21aに上部グランドケーシング22aを取り付ける。
【0063】
そして、
図10に示すように、水平フランジボルト38を、貫通孔44,45,46に挿通し、雌ねじ穴47に締結することで、車室側上部テーパ突起部25、車室側下部テーパ突起部26、グランド側上部フランジ27及びグランド側下部フランジ28が一体に締結される(
図12のステップS14:第1締結工程)。第1締結工程S14では、各フランジ27,28,41,42を一体に締結することで、車室合わせ面P1、車室側上部テーパ面P4及びグランド側上部テーパ面P8、車室側下部テーパ面P6及びグランド側下部テーパ面P11、上部当接面P10及び下部当接面P13に面圧を付与することができる。このとき、グランド側上部フランジ27及びグランド側下部フランジ28は、面圧が付与されることで、車室側上部テーパ面P4に沿ってグランド側上部テーパ面P8がグランド取付面P2側に僅かに位置ズレし、同様に、車室側下部テーパ面P6に沿ってグランド側下部テーパ面P11がグランド取付面P2側に僅かに位置ズレする。このため、第1締結工程S14では、各フランジ27,28,41,42を一体に締結することで、グランド取付面P2及び車室取付面P3にも面圧が付与される。
【0064】
この後、
図11に示すように、縦継手ボルト37を、貫通孔51に挿通し、雌ねじ穴52に締結することで、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27が一体に締結され、また、縦継手ボルト37を、貫通孔53に挿通し、雌ねじ穴54に締結することで、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28が一体に締結される(
図12のステップS15:第2締結工程)。第2締結工程S15では、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27を一体に締結することで、車室側上部先端面P5及びグランド側上部当接面P9に面圧を付与することができる。また、第2締結工程S15では、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28を一体に締結することで、車室側下部先端面P7及びグランド側下部当接面P12に面圧を付与することができる。そして、第2締結工程S15を実行することで、ケーシング11の組立方法が完了する。
【0065】
以上のように、実施例1の構成によれば、水平フランジボルト38によって、車室側上部テーパ突起部25、車室側下部テーパ突起部26、グランド側上部フランジ27及びグランド側下部フランジ28を一体に締結することができる。このため、水平フランジボルト38を締結することで、車室合わせ面P1、グランド合わせ面P15、車室側上部テーパ面P4及びグランド側上部テーパ面P8、車室側下部テーパ面P6及びグランド側下部テーパ面P11、上部当接面P10及び下部当接面P13、グランド取付面P2及び車室取付面P3に面圧を与えることができる。これにより、上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとの間の面圧、上部グランドケーシング22aと下部グランドケーシング22bとの間の面圧及び外部車室ケーシング21とグランドケーシング22との間の面圧を確保することができるため、上部車室ケーシング21aと下部車室ケーシング21bとの間、上部グランドケーシング22aと下部グランドケーシング22bとの間及び外部車室ケーシング21とグランドケーシング22との間を気密に封止することができる。
【0066】
また、実施例1の構成によれば、縦継手ボルト37によって、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27を一体に締結することができる。このため、縦継手ボルト37を締結することで、車室側上部先端面P5及びグランド側上部当接面P9に面圧を与えることができる。これにより、車室側上部先端面P5とグランド側上部当接面P9との間の面圧を確保することができるため、車室側上部テーパ突起部25とグランド側上部フランジ27の間を気密に封止することができる。同様に、縦継手ボルト37によって、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28を一体に締結することができる。このため、縦継手ボルト37を締結することで、車室側下部先端面P7及びグランド側下部当接面P12に面圧を与えることができる。これにより、車室側下部先端面P7とグランド側下部当接面P12との間の面圧を確保することができるため、車室側下部テーパ突起部26とグランド側下部フランジ28との間を気密に封止することができる。
【0067】
また、実施例1の構成によれば、水平フランジボルト38を、貫通孔44,45,46に挿通し、雌ねじ穴47に締結することで、車室側上部テーパ突起部25、車室側下部テーパ突起部26、グランド側上部フランジ27及びグランド側下部フランジ28を一体に締結することができる。このとき、水平フランジボルト38がグランド側下部フランジ28に締結されることから、グランド側上部フランジ27、車室側上部テーパ突起部25及び車室側下部テーパ突起部26の移動を規制することがないため、車室側上部テーパ面P4及び車室側下部テーパ面P6に対する、グランド側上部テーパ面P8及びグランド側下部テーパ面P11の位置ズレを許容することができる。
【0068】
また、実施例1の構成によれば、面圧付与領域E内に、車室側上部テーパ突起部25と車室側下部テーパ突起部26とが面合わせされる車室合わせ面P1、面合わせされた車室側上部テーパ面P4及びグランド側上部テーパ面P8、面合わせされた車室側下部テーパ面P6及びグランド側下部テーパ面P11、面合わせされた上部当接面P10及び下部当接面P13を、それぞれ収めることができる。このため、水平フランジボルト38による締結によって、各面P1、P4、P6、P8、P10、P11、P13、に面圧を確実に付与することができる。
【0069】
なお、実施例1では、縦継手ボルト37によって、車室側上部テーパ突起部25及びグランド側上部フランジ27を一体に締結し、車室側下部テーパ突起部26及びグランド側下部フランジ28を一体に締結したが、縦継手ボルト37を省いた構成であってもよい。
【0070】
また、実施例1では、外部車室ケーシング21が、車室合わせ面P1を境にして上下に分割される分割構造となっていたが、この構成に限らず、外部車室ケーシング21が分割されないバレル型(樽型)のものであってもよい。この場合、車室側上部テーパ突起部25及び車室側下部テーパ突起部26を一体にすることが好ましい。つまり、車室側上部テーパ突起部25及び車室側下部テーパ突起部26を一体にすることで、グランド取付面P2から突出する第2Aテーパ面(グランド側下部テーパ面)及び第2Bテーパ面(グランド側上部テーパ面)を有するテーパ突起部として機能させることが好ましい。
【0071】
また、実施例1では、ケーシング11が外部車室ケーシング21とグランドケーシング22とを有し、第1ケーシングを外部車室ケーシング21とし、第2ケーシングをグランドケーシング22としたが、
図13に示す変形例に示す構成としてもよい。
【0072】
図13は、変形例に係る蒸気タービンのケーシングの斜視図である。
図13に示すように、変形例に係る蒸気タービン10は、複数の車室を有しており、複数の車室は、例えば、HIP(High and Intermediate Pressure)車室61と、HIP車室61に連なるLP(Low Pressure)車室62とを有している。また、蒸気タービン10は、LP車室62に連なる排気室63を有している。
【0073】
この蒸気タービン10は、そのケーシング11が、HIP車室61を構成するHIP車室ケーシング71と、LP車室62を構成するLP車室ケーシング72と、排気室63を構成する排気室ケーシング73と、図示しないグランドケーシング22とを有する。各ケーシング71、72、73、22は、上下に分割可能となっている。
【0074】
ここで、HIP車室ケーシング71は、外部車室ケーシング21とほぼ同様の構成となっており、ロータ12が挿通される円形開口の挿通孔24が、ロータ12の軸方向の一方側に形成されている。一方で、HIP車室ケーシング71の軸方向の他方側には、LP車室ケーシング72が接続されている。また、HIP車室ケーシング71の上部には、軸方向の中央に蒸気供給口23が設けられており、蒸気供給口23を介して、HIP車室ケーシング71の内部に蒸気が供給される。LP車室ケーシング72は、その軸方向の他方側に、排気室ケーシング73が接続されている。
【0075】
上記のように構成される蒸気タービン10のケーシング11では、第1ケーシング及び第2ケーシングを下記のように対応させてもよい。例えば、実施例1のように、第1ケーシングをHIP車室ケーシング71とし、第2ケーシングをグランドケーシング22としてもよい。また、蒸気タービン10では、第1ケーシングをHIP車室ケーシング71とし、第2ケーシングをLP車室ケーシング72としてもよい。さらに、第1ケーシングをLP車室ケーシング72とし、第2ケーシングを排気室ケーシング73としてもよい。このような構成とすることで、実施例1のように、外部車室ケーシング21及びグランドケーシング22に限らず、第1ケーシングに取り付けられる第2ケーシングであれば、いずれのケーシングとしてもよい。
【実施例2】
【0076】
次に、
図14から
図16を参照して、実施例2に係る蒸気タービン100のケーシング110について説明する。
図14は、蒸気タービンのケーシングを軸方向から見たときの正面図である。
図15は、車室ケーシングの車室側上部フランジ周りを示す斜視図である。
図16は、車室合わせ面に直交する面で切った各フランジ周りの断面図である。なお、実施例1と重複する記載を避けるべく、実施例1と異なる部分について説明する。実施例1のケーシング11では、外部車室ケーシング21の車室合わせ面P1と、グランドケーシング22のグランド合わせ面P15とを同一面としたが、実施例2のケーシング110では、外部車室ケーシング121の車室合わせ面P1と、グランドケーシング122のグランド合わせ面P15とを異なる面としている。以下、実施例2に係るケーシング110について説明する。
【0077】
図14に示すように、ケーシング110は、第1ケーシングとなる外部車室ケーシング121と、第2ケーシングとなるグランドケーシング122とを有する。
【0078】
外部車室ケーシング121は、実施例1と同様に、挿通孔24を挟んで上下に分割可能となっており、車室合わせ面P1を境にして、上部車室ケーシング121aと、下部車室ケーシング121bとに分割される。また、外部車室ケーシング21には、グランドケーシング22を取り付けるためのグランド取付面P2が形成されている。
【0079】
グランドケーシング122は、実施例1と同様に、挿通孔24を挟んで上下に分割可能となっており、グランド合わせ面P15を境にして、上部グランドケーシング122aと、下部グランドケーシング122bとに分割される。また、グランドケーシング122は、外部車室ケーシング121に取り付けるための車室取付面P3が形成されている。
【0080】
このとき、
図14に示すように、グランド合わせ面P15は、車室合わせ面P1と異なる面となっている。具体的に、グランド合わせ面P15は、水平面となる車室合わせ面P1に対して、ロータ12の回転軸を中心に、所定の角度分だけ回転させた面となっている。
【0081】
車室合わせ面P1とグランド合わせ面P15とが異なる面となる場合、
図15に示すように、上部車室ケーシング121aのグランド取付面P2には、実施例1の車室側上部テーパ突起部25及び車室側下部テーパ突起部26に代えて、テーパ突起部131が設けられている。同様に、図示は省略するが、下部車室ケーシング122aのグランド取付面P2にも、テーパ突起部131が設けられている。このテーパ突起部131は、上部車室ケーシング121aの半円となるグランド取付面P2の一端部に設けられ、また、下部車室ケーシング122aの半円となるグランド取付面P2の他端部に設けられている。
【0082】
テーパ突起部131は、グランド取付面P2からロータ12の軸方向外側に突出して設けられている。テーパ突起部131は、突出方向に向かって広がる(上り)斜面となるグランド側上部テーパ面P8と接する突起部上部テーパ面P21と、突出方向に向かって広がる(下り)斜面となるグランド側下部テーパ面P11と接する突起部下部テーパ面P22とを有している。また、テーパ突起部131の突出方向の先端側における突起部先端面P23は、グランド取付面P2と平行な面となっている。突起部先端面P23には、グランド側上部フランジ127のグランド側上部当接面P9と、グランド側下部フランジ128のグランド側下部当接面P12とが面合わせされる。
【0083】
図16に示すように、上記したテーパ突起部131、グランド側上部フランジ127及びグランド側下部フランジ128は、水平フランジボルト38によって一体に締結される。具体的に、テーパ突起部131、グランド側上部フランジ127及びグランド側下部フランジ128は、突起部上部テーパ面P21とグランド側上部テーパ面P8とが面合わせされ、突起部下部テーパ面P22とグランド側下部テーパ面P11とが面合わせされ、上部当接面P10と下部当接面P13とが面合わせされ、グランド取付面P2と車室取付面P3とが面合わせされた状態となる。この状態で、水平フランジボルト38が締結されることで、テーパ突起部131、グランド側上部フランジ127及びグランド側下部フランジ128が一体に締結される。
【0084】
また、上記したテーパ突起部131、グランド側上部フランジ127及びグランド側下部フランジ128は、縦継手ボルト37によって一体に締結される。具体的に、テーパ突起部131及びグランド側上部フランジ127は、突起部先端面P23とグランド側上部当接面P9とが面合わせされた状態となる。この状態で、縦継手ボルト37が締結されることで、テーパ突起部131及びグランド側上部フランジ127は、一体に締結される。同様に、テーパ突起部131及びグランド側下部フランジ128は、突起部先端面P23とグランド側下部当接面P12とが面合わせされた状態となる。この状態で、縦継手ボルト37が締結されることで、テーパ突起部131及びグランド側下部フランジ128は、一体に締結される。これにより、グランド合わせ面P15、突起部先端面P23とグランド側上部当接面P9との合わせ面、及び突起部先端面P23とグランド側下部当接面P12との合わせ面は、T字形状となる。
【0085】
以上のように、実施例2の構成によれば、水平フランジボルト38によって、テーパ突起部131、グランド側上部フランジ127及びグランド側下部フランジ128を一体に締結することができる。このため、水平フランジボルト38を締結することで、グランド合わせ面P15、突起部上部テーパ面P21及びグランド側上部テーパ面P8、突起部下部テーパ面P22及びグランド側下部テーパ面P11、上部当接面P10及び下部当接面P13、グランド取付面P2及び車室取付面P3に面圧を与えることができる。これにより、上部グランドケーシング122aと下部グランドケーシング122bとの間の面圧及び外部車室ケーシング121とグランドケーシング122との間の面圧を確保することができるため、上部グランドケーシング122aと下部グランドケーシング122bとの間及び外部車室ケーシング121とグランドケーシング122との間を気密に封止することができる。
【0086】
また、実施例2の構成によれば、縦継手ボルト37によって、テーパ突起部131及びグランド側上部フランジ127を一体に締結することができる。このため、縦継手ボルト37を締結することで、突起部先端面P23及びグランド側上部当接面P9に面圧を与えることができる。これにより、突起部先端面P23とグランド側上部当接面P9との間の面圧を確保することができるため、テーパ突起部131とグランド側上部フランジ127の間を気密に封止することができる。同様に、縦継手ボルト37によって、テーパ突起部131及びグランド側下部フランジ28を一体に締結することができる。このため、縦継手ボルト37を締結することで、突起部先端面P23及びグランド側下部当接面P12に面圧を与えることができる。これにより、突起部先端面P23とグランド側下部当接面P12との間の面圧を確保することができるため、テーパ突起部131とグランド側下部フランジ128との間を気密に封止することができる。