【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、刈取作業に伴ってグレンタンク内に脱穀処理物が貯留されるが、刈取作業に伴って、例えば、作物に付着している土や砂又はその他の塵埃等の夾雑物がグレンタンク内に混入することがある。そこで、上記従来構成では、グレンタンクの底部に開閉自在な蓋体を設ける構成として、作業を停止させた状態で蓋体を開放させることにより、グレンタンク内に貯留堆積している夾雑物を除去することができるようになっている。
【0005】
稲や麦等のように、収穫対象である穀粒が地面から高い位置に存在するような作物を収穫するときは、上記したような夾雑物の混入量は少ないが、例えば、大豆等のように、茎稈における地面に近い箇所を切断して収穫するような作物であれば、刈取部が地面に接触して土や砂等が作物と共にグレンタンク内に入り込むことがあり、夾雑物の混入量が多くなる。このようにグレンタンク内に夾雑物の混入量が多くなると、貯留された脱穀処理物を外部のトラック等に排出させるときに、スクリューコンベア等からなる排出用の搬送装置に夾雑物が詰まり、搬送装置が損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、グレンタンク内に多量の夾雑物が混入して堆積しないように、刈取作業を実行している間に、夾雑物をグレンタンクから排出させる構成とすることが考えられる。しかし、このように構成すると、グレンタンクから排出される夾雑物が泥土の飛散防止用のカバー体の上面に堆積するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、脱穀処理物に混入する夾雑物に起因して発生する不具合を解消することが可能となるコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、
脱穀処理物を貯留するグレンタンクが、走行装置を備えた走行機体に搭載され、
前記走行機体に、前記グレンタンクの下方に位置する状態で前記走行装置から泥土が飛散するのを阻止する泥除けカバーが備えられ、
前記グレンタンクの底部
近くに、そのグレンタンク内に貯留されている穀粒を横送り搬送して機外へ排出する底スクリューが配設され、
前記底スクリューの下方側における前記グレンタンクの底部に、脱穀処理物に含まれる夾雑物を排出する排出部が形成され、
前記排出部が、前記脱穀処理物の通過を阻止し且つ前記夾雑物の通過を許容する網目を有する網目部材にて構成され、
前記泥除けカバーに、
前記排出部の下方において開口して前記排出部から排出される夾雑物を下方に落下排出させる開口が形成されている点にある。
【0009】
本発明によれば、グレンタンクの底部に排出部が形成されるので、刈取作業に伴ってグレンタンク内に夾雑物が混入することがあっても、排出部からグレンタンクの下方側外方に夾雑物が落下排出されることになる。
【0010】
そして、グレンタンクの下方には、走行装置から泥土が飛散するのを阻止する泥除けカバーが備えられているが、この泥除けカバーに開口が形成されており、排出部から排出される夾雑物をこの開口を通して下方に落下排出させることができる。泥除けカバーの下方には走行装置が存在するので、落下した夾雑物は走行装置により地面上に放出される。つまり、夾雑物は地面に放出されることになり、走行機体には残らない。
【0011】
その結果、収穫に伴って夾雑物が多く混入し易い作物を刈取対象とする場合であっても、グレンタンク内に夾雑物が堆積することがなく、例えば、スクリューコンベア等からなる排出用の搬送装置が損傷する不具合を回避できる。
【0012】
又、泥除けカバーを備えることにより、走行装置からグレンタンクに向けて泥土が飛散することを回避できるものでありながら、グレンタンクから排出された夾雑物は開口から排出されるので、泥除けカバーの上部面に堆積するという不具合を回避できる。
【0013】
泥除けカバーに開口が形成されるので、走行装置からグレンタンクに向けて泥土が飛散するおそれがあるが、夾雑物を排出するためのものであるから、開口は、小形のものでよく、開口からのグレンタンクに対する飛散量を少ないものに抑制することができる。
従って、脱穀処理物に混入する夾雑物に起因して発生する不具合を解消することが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0014】
本構成によれば、グレンタンクに貯留されている脱穀処理物は、排出部における網目を通過することができないので下方に落下排出されることはない。そして、グレンタンク内において脱穀処理物に混入している夾雑物は、排出部における網目を通過することができるので、下方に落下排出される。
従って、刈取作業を実行しているときに、グレンタンク内に脱穀処理物を残したまま夾雑物だけをグレンタンクの下方外方に排出させることができ、脱穀処理物を良好に貯留することができるものでありながら、グレンタンク内に夾雑物が堆積する不具合を的確に回避できるものとなる。
【0015】
本発明においては、前記開口が、平面視で前記排出部と重複する状態で形成されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、泥除けカバーに形成された開口が、平面視でグレンタンクに形成された排出部と重複するので、夾雑物は、排出部を通してグレンタンクから下方に排出されたのち、そのまま、開口を通して泥除けカバーを通過して下方に落下排出される。
従って、排出部から排出される夾雑物が、泥除けカバーの上部面に落下して、そこで堆積することを回避し易いものとなる。
【0017】
本発明においては、前記泥除けカバーは平板状の板材で構成され、前記開口が前記板材を上下方向に貫通する貫通孔によって形成されていると好適である。
【0018】
本発明においては、
前記排出部は、前記グレンタンクの底部において前後で複数箇所に分散配置され、前記開口は、複数箇所の前記排出部に対応する位置で前後に分散して前記泥除けカバーに設けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、1つの開口を小さくして、走行装置からグレンタンク側への泥土の飛散をできるだけ少なくしながら夾雑物を落下排出させることができ、しかも、複数の開口が形成されることにより、全体としての夾雑物の排出量を多くすることができ、夾雑物がグレンタンク内に残留することを回避し易いものとなる。
【0020】
本発明においては、
前記開口は前後方向に長い細長形状に形成され、前記泥除けカバーの上部面
のうち、前記開口の左右両側に位置する部分が、前記開口に近づくほど低位置になる傾斜形状に形成されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、泥除けカバーの上部面に夾雑物が落下した場合、例えば、機体の振動に伴って、夾雑物は傾斜形状に形成されている上部面に沿って開口に向けて移動案内されて開口から落下排出される。
【0022】
従って、泥除けカバーの形状を工夫することで、走行装置からグレンタンク側への泥土の飛散を防止できる本来の機能を備えながら、泥除けカバーの上部面に夾雑物が落下することがあっても、夾雑物が泥除けカバーの上部面に堆積することを回避し易いものとなる。
【0023】
本発明においては、前記開口が、前記排出部と略同じ大きさであると好適である。
【0024】
本構成によれば、排出部を通してグレンタンクから下方に排出された夾雑物の略全量が、そのまま、開口を通して泥除けカバーを通過して下方に落下排出されることになる。夾雑物の略全量を落下排出させるためには、開口を排出部より大に形成してもよいが、本構成では、開口が排出部と略同じ大きさであるから、開口を必要以上に大型にせず、走行装置からグレンタンク側への泥土の飛散をできるだけ少なくしながら、夾雑物を落下排出させることができる。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
本発明においては、
前記開口を閉塞する閉状態と開放する開状態とに切り換え自在な蓋体が備えられ
、前記蓋体が前記泥除けカバーの上側に位置していると好適である。
【0029】
本構成によれば、グレンタンク内に夾雑物の混入のおそれが大となる作物を刈取作業する場合等においては、蓋体を開状態に切り換えることにより、走行装置からグレンタンク側への泥土が少し飛散するおそれはあるものの、グレンタンク内に夾雑物が堆積することを回避できる。又、夾雑物の混入のおそれが少ない作物を刈取作業する場合等においては、蓋体を閉状態に切り換えることにより、走行装置からグレンタンク側への泥土の飛散を確実に防止することができる。
【0030】
本発明においては、前記蓋体が、水平軸芯周りで揺動することにより、
前記泥除けカバーの上側で、前記開状態と前記閉状態とに切り換え自在に構成されていると好適である。
【0031】
本構成によれば、蓋体を水平軸芯周りで揺動させて開状態と閉状態とに切り換える構成であるから、開状態及び閉状態のいずれにおいても、蓋体を、泥除けカバーの上部面に重なる状態で載置させることができ、この場合には、蓋体は自重により下方付勢されて安定した姿勢を維持できる。つまり、蓋体を位置保持するための特別な保持機構を設けなくても姿勢保持することが可能となる。
【0032】
本発明においては、前記蓋体が、
前記泥除けカバーの上側で水平方向にスライド移動することにより、前記開状態と前記閉状態とに切り換え自在に構成されていると好適である。
【0033】
本構成によれば、蓋体を水平方向にスライド移動させて開状態と閉状態とに切り換える構成であるから、開状態と閉状態との切り換えを行うときにおける蓋体の上下方向での変位量が少なく、上下方向での収納スペースを小さくした状態で、蓋体を配備することができる。