(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態につき、
図1〜
図13を参照しつつ説明する。本実施形態は、打撃工具の一例として電動式のハンマドリル100を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、電動式のハンマドリル100は、ハンマビット119を装着し、装着されたハンマビット119を長軸方向に直線動作及び長軸方向回りに回転させて、被加工材に対して穴明けやハツリ等の加工作業を行う打撃工具である。このハンマビット119が、本発明における「工具ビット」に対応する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ハンマドリル100は、ハンマドリル100の外郭を形成する外側ハウジング101を備えている。この外側ハウジング101が、本発明における「アウタハウジング」に対応する。外側ハウジング101の先端領域には、ハンマビット119が筒状のツールホルダ159を介して着脱自在に取付けられる。ハンマビット119は、ツールホルダ159のビット挿入孔内に挿入され、その長軸方向への相対的な往復動が可能に、かつその周方向への相対的な回動が規制された状態で保持される。
【0022】
外側ハウジング101の先端領域の反対側端部には、作業者が握るハンドグリップ109が形成されている。ハンドグリップ109は、ハンマビット119の長軸方向と交差する
図1の上下方向に延在する握り部109Aを有し、当該握り部109Aの延在方向の各端部が外側ハウジング101に連接された側面視で略D型のメインハンドルとして備えられている。このハンドグリップ109が、本発明における「ハンドル部」に対応する。
【0023】
なお、本実施形態では、便宜上、外側ハウジング101の長軸方向におけるハンマビット119側を、「前側」ないし「前方側」として規定し、ハンドグリップ109側を、「後側」ないし「後方側」として規定する。また、
図1中の紙面上方を、「上側」ないし「上方側」と規定し、紙面下方を、「下側」ないし「下方側」と規定する。
【0024】
図1に示すように、外側ハウジング101内には、内側ハウジング103と電動モータ110が収容されている。内側ハウジング103は、外側ハウジング101内の上部側に配置される。内側ハウジング103内には、運動変換機構120及び打撃要素140が収容されている。この内側ハウジング103が、本発明における「インナハウジング」に対応する。運動変換機構120を駆動する電動モータ110は、運動変換機構120の下方において、その回転軸線(出力軸)が外側ハウジング101の長軸方向(ハンマビット119の長軸方向)と概ね直交する上下方向となるように、外側ハウジング101内の後方下部側に収容されている。この電動モータ110が、本発明における「モータ」に対応する。なお、電動モータ110は、ハンドグリップ109に配置されたトリガ109aを作業者が引き操作することにより通電駆動されるように構成されている。
【0025】
電動モータ110の回転は、運動変換機構120によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素140に伝達され、当該打撃要素140を介してハンマビット119を長軸方向(
図1における左方向)に打撃する。この運動変換機構120及び打撃要素140が、本発明における「工具ビットを駆動する駆動機構」に対応する。
【0026】
運動変換機構120は、電動モータ110の回転運動を直線運動に変換して打撃要素140に伝達するものであり、電動モータ110によって駆動されるクランク軸121、連接ロッド123、ピストン125等からなるクランク機構によって構成される。ピストン125は、打撃要素140を駆動する駆動子を構成するものであり、シリンダ141内をハンマビット長軸方向と同方向に摺動可能とされる。この運動変換機構120が、本発明における「運動変換機構部」に対応する。
【0027】
打撃要素140は、シリンダ141内に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダ159内に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。シリンダ141は、ツールホルダ159の後方に同心状に配置されるとともに、ピストン125及びストライカ143によって仕切られる空気室141aを有する。ストライカ143は、ピストン125の摺動動作に伴う空気室141aの空気ばねを介して駆動され、インパクトボルト145に衝突し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119を打撃する。この打撃要素140が、本発明における「打撃機構部」に対応する。
【0028】
また、
図1に示すように、電動モータ110の回転動力は、複数のギアを主体として構成される動力伝達機構150によって適宜減速された上で最終軸としてのツールホルダ159を介してハンマビット119に伝達され、これにより当該ハンマビット119が周方向に回転されるように構成されている。なお、動力伝達機構150の動力伝達経路中には、電動モータ110の回転出力をハンマビット119に伝達又は遮断する噛み合い式のクラッチ151が配置されている。このクラッチ151が動力伝達状態に切替えられた場合には、ハンマビット119が長軸方向の打撃と周方向の回転とを行い、クラッチ151が動力遮断状態に切替えられた場合には、ハンマビット119が打撃動作のみを行う構成である。
【0029】
なお、ハンマドリル100は、外側ハウジング101の上面領域に作業モード切替ダイヤル147を有しており、作業者がこの作業モード切替ダイヤル147を回動操作することにより、ハンマビット119に長軸方向への打撃力のみを加えて被加工材の加工作業を行うハンマモードと、長軸方向への打撃力と周方向への回転力とを加えて被加工材の加工作業を行うハンマドリルモードとの間で切替可能に構成されている。
【0030】
上記のように構成されるハンマドリル100において、
図4に示すように、内側ハウジング103は、前後方向において、2つに分割された構成とされる。すなわち、内側ハウジング103は、クランクハウジング103Aと、クランクハウジング103Aの前方に配置される概ね筒状に形成されたバレル部103Bとに分割されている。クランクハウジング103Aが運動変換機構120及び動力伝達機構150を収容し、バレル部103Bが打撃要素140及びツールホルダ159の後方部分を収容する。このクランクハウジング103Aが、本発明における「第1インナハウジング」に対応し、バレル部103Bが、本発明における「第2インナハウジング」に対応する。
【0031】
そして、
図5〜
図7に示すように、クランクハウジング103Aとバレル部103Bとは、その分割面、すなわち接合面を互いに当接させた状態で複数(本実施形態では4本)の連結ボルト161により着脱自在に連結され、これにより内側ハウジング103が構成される。
図3に4本の連結ボルト161が示される。具体的には、
図4に示すように、クランクハウジング103Aの前端部は、円筒形に形成され、その円筒部の外側には、ネジ孔付きボス部163が周方向に所定間隔で複数形成されている(
図5〜
図7参照)。なお、ネジ孔は、後方に向かって所定長さで延びている。一方、これに対応して、バレル部103Bは、円筒形に形成されるとともに、その後端部には、ボルト通し孔を有する接合用鍔部165が周方向に複数形成されている。そして、クランクハウジング103Aの分割面とバレル部103Bの分割面とを互いに当接させ、且つバレル部103Bの接合用鍔部165をクランクハウジング103Aのネジ孔付きボス部163の前面に当接させた状態で、六角孔付き連結ボルト161を接合用鍔部165の通し孔に挿入してネジ孔付きボス部163のネジ孔にネジ込むことにより、クランクハウジング103Aとバレル部103Bを接合している。この連結ボルト161が、本発明における「連結部材」に対応する。なお、連結ボルト161の頭部161aと、接合用鍔部165の前面との間には座金162が介在されている。
【0032】
一方、外側ハウジング101は、
図1及び
図2に示すように、ハンマドリル100の上下方向において、内側ハウジング103を収容する本体ハウジング101Aと、電動モータ110を収容するモータハウジング101Bとに分割されている。本体ハウジング101Aが、本発明における「第1アウタハウジング」に対応し、モータハウジング101Bが、本発明における「第2アウタハウジング」に対応する。
【0033】
外側ハウジング101のうち、本体ハウジング101Aは、内側ハウジング103及びモータハウジング101Bに対し、防振のために相対移動可能に弾性連結される。なお、この弾性連結構造については後述する。一方、モータハウジング101Bは、内側ハウジング103のうちのクランクハウジング103Aの下方において、当該クランクハウジング103Aの下部側を覆うように配置された状態でクランクハウジング103Aにネジ等の固定手段(便宜上図示を省略する)により固定されている。
【0034】
本体ハウジング101Aは、前後方向において、前側ハウジング部101Fと後側ハウジング部101Rとに更に分割されている。前側ハウジング部101Fは、内側ハウジング103の前半分、すなわち主としてバレル部103Bを収容する防塵カバーとして備えられ、後側ハウジング部101Rは、内側ハウジング103の後側部分、すなわち主としてクランクハウジング103Aを収容する防塵カバーとして備えられる。
図4には前側ハウジング部101Fと後側ハウジング部101Rに分割された状態の本体ハウジング101Aが示されている。前側ハウジング部101Fと後側ハウジング部101Rは、互いの分割面、すなわち接合面を当接させた状態において、後側ハウジング部側から前側ハウジング部側にネジ込まれる複数のネジ106(
図4参照)によって着脱自在に連結される構成とされる。
【0035】
後側ハウジング部101Rの後方には、前述したハンドグリップ109が形成されている。ハンドグリップ109は、
図1及び
図2に示すように、ハンマビット119の長軸方向と交差する上下方向に延在する握り部109Aと、握り部109Aの上の端部から前方に延びて後側ハウジング部と一体に連接する上部連接領域109Bと、握り部109Aの下の端部から前方に延びてモータハウジングに対し相対移動可能に連接する下部連接領域109Cとを有する側面視で略D形ハンドルとして形成される。すなわち、ハンドグリップ109は、上部連接領域109Bを介して後側ハウジング部101Rと一体化されており、本体ハウジング101Aの一部として設定されている。
【0036】
本体ハウジング101Aは、防振のために内側ハウジング103に対して弾性部材を介して前後方向に相対移動可能に連結されている。具体的には、
図12に示すように、上部連接領域109Bが防振用の第1圧縮コイルスプリング171を介してクランクハウジング103Aの後部に弾性連結され、下部連接領域109Cがモータハウジング101Bに防振用の第2圧縮コイルスプリング181を介して弾性連結される。また、
図1に示すように、本体ハウジング101Aの前側ハウジング部101Fが弾性リング189を介してバレル部103Bに弾性連結される。第1圧縮コイルスプリング171及び弾性リング189が、本発明の「弾性部材」に対応する構成の一例である。
【0037】
かくして、ハンドグリップ109を含む本体ハウジング101Aは、内側ハウジング103及び内側ハウジング103に固定されたモータハウジング101Bに対してハンドグリップ109の上下の各連接領域109B,109Cと前側ハウジング部101Fの前端領域との合計3箇所で弾性連結されている。これにより本体ハウジング101Aは、内側ハウジング103及び内側ハウジング103に固定されたモータハウジング101Bに対して前後方向、すなわちハンマビット119の長軸方向に相対移動可能に弾性連結された防振ハウジングとされる。
【0038】
次に外側ハウジング101の各弾性連結部位の構造につき、
図10〜12を参照しつつ説明する。ハンドグリップ109の上部連接領域109Bの弾性連結部位は、左右の摺動ガイド173と左右の第1圧縮コイルスプリング171とを主体として構成される。摺動ガイド173は、
図10及び
図12に示すように、ハンマビット119の長軸線を挟んだ上方位置に左右対称に配置される。左右2個の各摺動ガイド173は、上部連接領域109Bの内面側に一体に設けられ、前方へ直線状に突出する筒状ガイド174と、クランクハウジング103Aに固定されて後方へ直線状に突出する金属製のガイドロッド175とからなり、ガイドロッド175が筒状ガイド174の筒孔に摺動自在に嵌入されている。これにより上部連接領域109Bがクランクハウジング103Aに前後方向に摺動自在に支持される。
【0039】
第1圧縮コイルスプリング171は、
図12に示すように、ハンマビット119の長軸線を挟んだ上方位置に左右対称に配置される。左右の第1圧縮コイルスプリング171は、中心軸方向がハンマビット119の長軸方向に対して概ね平行となるように定められ、クランクハウジング103A側のスプリング受け171aと、上部連接領域109Bの内面側に設けたスプリング受け171bとの間に弾発状に配置されてハンドグリップ109に対し後方に向かう弾発力を付与する構成とされる。なお、クランクハウジング103A側のスプリング受け171aは、クランクハウジング103Aにネジ178で固定された固定部材177に設けられている。
【0040】
ハンドグリップ109の下部連接領域109Cの弾性連結部位は、
図11及び
図12に示すように、左右の摺動ガイド183と、左右の第2圧縮コイルスプリング181とを主体として構成される。摺動ガイド183は、ハンマビット119の長軸線を挟んだ下方位置において左右対称に配置される。左右2個の各摺動ガイド183は、下部連接領域109Cの前端面側に一体に設けられ、前方へ直線状に突出する円柱状のガイドロッド184と、モータハウジング101Bの後端部に設けられて後方へ直線状に突出する筒状ガイド185と、筒状ガイド185内に嵌入された円筒形の金属製のスリーブ186とからなり、ガイドロッド184がスリーブ186に摺動自在に嵌入されている。これにより、下部連接領域109Cがモータハウジング101Bに前後方向に摺動自在に支持される。ガイドロッド184には、ネジ187が前方から長軸方向に捻じ込まれ、ネジ187の頭部が筒状ガイド185の前端面に当接することでガイドロッド184を筒状ガイド185に対して抜け止めする。
【0041】
左右の第2圧縮コイルスプリング181は、左右の摺動ガイド183の外側に位置するように配置される。左右の第2圧縮コイルスプリング181は、中心軸方向がハンマビット119の長軸方向に対して概ね平行となるように定められ、下部連接領域109C側のスプリング受け181bと、モータハウジング101B側のスプリング受け181aとの間に弾発状に配置されてハンドグリップ109に対し後方に向かう弾発力を付与する構成とされる。
【0042】
なお、下部連接領域109Cの弾性連結部位は、モータハウジングとの間に配置された弾性変形可能な樹脂製又はゴム製の蛇腹状部材188により周囲を覆われている。これにより、粉塵の弾性連結部位内への侵入を防止している。
【0043】
前側ハウジング部101Fの先端領域の弾性連結部位は、弾性リング189を主体として構成される。弾性リング189はゴム製であり、
図1に示すように、外側ハウジング101の前側ハウジング部101Fの先端領域内面とバレル部103Bの先端領域外面との間に配置されている。弾性リング189は、バレル部103Bに対する本体ハウジング101Aの径方向(ハンマビット119の長軸方向と交差する方向)の位置決めをなすとともに、長軸方向及び径方向に弾性変形することによってバレル部103Bに対する本体ハウジング101Aの相対移動を許容し、当該方向に関する防振部材として機能する。
【0044】
ところで、ハンマドリル100を構成する部材のうち、摺動運動を行う部材は、摩耗に応じて交換が必要とされる。例えば、インパクトボル145トの外周に配置されたOリング145a(
図4参照)はその典型例である。
【0045】
上記のように構成されたハンマドリル100においては、外側ハウジング101の本体ハウジング101Aのうち、ハンドグリップ109を含む後側ハウジング部101Rは、内側ハウジング103のクランクハウジング103Aと外側ハウジング101のモータハウジング101Bに対して弾性連結されている。一方、本体ハウジング101Aの前側ハウジング部101Fは、内側ハウジング103のバレル部103Bに弾性リング189を介して弾性連結されている。従って、本体ハウジング101Aの後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとのネジ106による連結を解除した状態で、内側ハウジング103のクランクハウジング103Aとバレル部103Bとの連結ボルト161による連結を解除することができれば、ハンマドリル100は、前後方向において、後側ハウジング部101R、クランクハウジング103A及びモータハウジング101Bをグループとする後側のブロックと、前側ハウジング部101F及びバレル部103Bをグループとする前側のブロックとに分離することが可能となる。この分離状態が
図4に示される。このような分離は、部品を交換するときの修理性の向上に有効である。
【0046】
そこで、この実施形態では、外側ハウジング101の外側から連結ボルト161にアクセスすることを可能としている。具体的には、
図5〜
図7に示すように、本体ハウジング101Aのうち、バレル部103Bを収容する前側ハウジング部101Fは、前方側が細く後方側が太い段付き筒形の外形形状に形成され、軸方向と交差する方向の面部、すなわち径方向の段差面部191を備えている。
【0047】
この段差面部191は、前述した連結ボルト161によるバレル部103Bとクランクハウジング103Aとの連結箇所よりも前方位置に設定されている。そして、段差面部191に、各連結ボルト161に対するアクセスを可能とするための貫通孔193が設けられている。すなわち、段差面部191には、前側ハウジング部101Fの外部から内部に通じる円形の貫通孔193が前後方向に貫通されており、この貫通孔193を通して六角孔付き連結ボルト161に外側ハウジング101の外部からねじ回し工具としての六角棒レンチによるアクセスを可能としている。貫通孔193は、ハンマビット119の先端側に向かって開口している。この貫通孔193が、本発明における「開口部」に対応する。
【0048】
ハンマドリル100により加工作業は、ハンマビット119を加工作業すべき被加工材に当接させてハンドグリップ109に前方への押圧力を加えた状態で行う。従って、外側ハウジング101のうち、防振構造の本体ハウジング101Aは、第1圧縮コイルスプリング171、第2圧縮コイルスプリング181及びバレル部103Bの弾性リング189を弾性変形させつつ前方へと移動する。この移動状態が
図7に示される。この移動により本体ハウジング101Aの段差面部191が連結ボルト161の頭部161aから離れるため、加工作業により発生した粉塵が
図7に矢印で示すように、貫通孔193と頭部161aとの間の隙間を通って外側ハウジング101の内部、すなわち本体ハウジング101Aの内部空間に侵入後、クランクハウジング103Aとモータハウジング101Bとの間を通って電動モータ110側へと流れ、電動モータ110に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、ハンマビット119を上に向けて建造物の天井に加工を加える上向き作業では、貫通孔193がハンマビット119の先端側に開口しているため、段差面部191に粉塵が堆積し、より侵入し易い状況となる。
【0049】
そこで、本実施形態においては、粉塵が貫通孔193から外側ハウジング101の内部に侵入することを回避するべく、前記段差面部191に装着した防塵用の防塵カバー195により貫通孔193を外側から覆う構成としている。この防塵カバー195が、本発明における「カバー部材」に対応する。防塵カバー195は、
図8に示すように、リング状の合成樹脂製であり、前側ハウジング部101Fの外側に前方から後方に向かって嵌め込まれることで前側ハウジング部101Fに装着される。防塵カバー195の内面には、周方向に複数の凹部195aが設けられている。この凹部195aに対応して前側ハウジング部101Fの外面には、周方向に複数の突部195bが形成されている。防塵カバー195は、突部195bに防塵カバー195の凹部195aが弾発状に係合することで所定の装着位置に保持される。
【0050】
このように、本実施形態によれば、外側ハウジング101のうちの本体ハウジング101Aが防振ハウジングとして構成され、且つ修理性向上のために、内側ハウジングング103の連結ボルト161に対して外側ハウジング101外部からのアクセスを可能とする貫通孔193を備えたハンマドリルにおいて、貫通孔193を防塵カバー195により外側から覆う構成としている。このため、加工作業時に発生した粉塵が貫通孔193と連結ボルト161との間を通って外側ハウジング101内に侵入することを防止できる。これにより、外側ハウジング101の防振構造及び修理性向上を維持しつつ、外側ハウジング101内に収容されている電動モータ110を粉塵から保護することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、外側ハウジング101につき、本体ハウジング101Aとモータハウジング101Bとに分割した構成である。このため、本体ハウジング101Aとモータハウジング101Bとを、例えば合成樹脂で成形する場合であれば、互いに色を変えることが可能であるし、あるいは互いに異なる材料で形成することが可能である等、成形に関する自由度が得られる。
【0052】
また、本実施形態によれば、複数の貫通孔193をリング状の単一の防塵カバー195によって覆う構成のため、各貫通孔193を個別的に覆う構成に比べ、防塵カバー195に関する構造の簡素化を図ることができる。
【0053】
なお、本実施形態に係るハンマドリル100は、
図1に示すように、外側ハウジング101の上面領域に作業モード切替ダイヤル147を備え、そして、この作業モード切替ダイヤル147を外的衝撃から保護するために金属製のメタルカバー107により作業モード切替ダイヤル147の周辺を覆う構成としている。本実施形態では、このメタルカバー107につき、外側ハウジング101における本体ハウジング101Aの後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとをネジ106によって連結する際に、後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとにより前後方向から挟持する構成としている。
【0054】
具体的には、メタルカバー107は、
図13に示すように、上部外周縁にフランジ部107aを有する略円形の皿形に形成されるとともに、フランジ部107aの端部には、フランジ上面より低い段差部107bが形成されている。一方、後側ハウジング部101Rの上面側分割面と前側ハウジング部101Fの上面側分割面とは、後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとを合わせたときに、両上面側分割面でメタルカバー107のフランジ部107aの端面形状に対応した開口を形成するような形状に設定されている。
【0055】
従って、後側ハウジング部101Rの上面側分割面と前側ハウジング部101Fの上面側分割面とにより、メタルカバー107のフランジ部107aの段差部107bを上側から抑え込みつつ、フランジ部107aを前後方向から挟んだ状態で両ハウジング部101R,101Fをネジ106によって連結すれば、メタルカバー107のフランジ部107aを、後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとにより前後方向から挟持して保持することができる。
【0056】
なお、作業モード切替ダイヤル147は、作業者による操作部としての摘み部147aと、摘み部147aから下方に延びる軸部147bとを有し、軸部147bがメタルカバー底部の通し孔107cを通じて内側ハウジング103、具体的にはクランクハウジング103A内に挿入されるとともに、クランクハウジング103Aに相対回動自在に支持される。このように装着された作業モード切替ダイヤル147は、摘み部147aの上面がメタルカバー107のフランジ部107aの上面から上方に突出しないようにメタルカバー107内に配置される。これにより摘み部147aの周辺がメタルカバー107で覆われ、摘み部147aを外的衝撃から保護できる。
【0057】
上記のように、本実施形態では、後側ハウジング部101Rと前側ハウジング部101Fとによりメタルカバー107を挟持して取付ける構成としたので、取付構造の簡素化を図ることができる。一方、メタルカバー107については、金属製としたことで合成樹脂に比べて高い強度を確保し、地面等との干渉による損傷が回避可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、複数の貫通孔193を単一の防塵カバー195によって覆う構成としたが、各貫通孔193を防塵カバー195により個別的に覆う構成に変更してもよい。また、本実施形態では、防塵カバー195により覆う対象としての開口部につき、ハンマビット119の先端側に向かって開口する貫通孔193の場合で説明したが、これに限られるものではない。例えば、メタルカバー107に形成された通し孔107cのように、ハンマビット119の長軸方向と交差する方向に向かって開口する構成の開口部分でもよい。また、防塵カバー195につき、本実施形態では、ゴム製としたが、材料の種類については特に限定されない。
【0059】
また、本実施形態では、外側ハウジング101のうち、本体ハウジング101Aが内側ハウジング103Aに対して弾性連結された構成の防振ハウジングの場合で説明したが、外側ハウジング101が防振ハウジングでなくても構わない。その場合、ハンドグリップ109については、外側ハウジング101に対して弾性連結された防振ハンドルとして構成することが好ましい。
【0060】
また、本実施形態では、打撃工具の一例としてハンマドリル100の場合で説明したが、ハンマビット119に長軸方向の打撃動作のみを行わせるハンマに適用してもよい。
【0061】
(実施形態の各構成要素と本発明の構成要素との対応関係)
本実施形態における各構成要素と、本発明における構成要素との発明特定事項との関係は、以下のとおりである。もちろん、本実施形態における各構成要素は、対応する本発明の特定事項に関する一つの実施構成例に過ぎず、本発明の各構成要素はこれに限定されるものではない。
ハンマビット119が、本発明の「工具ビット」に対応する構成の一例である。
運動変換機構120及び打撃要素140が、本発明の「駆動機構」に対応する構成の一例である。
運動変換機構120が、本発明の「運動変換機構部」に対応する構成の一例である。
打撃要素140が、本発明の「打撃機構部」に対応する構成の一例である。
電動モータ110が、本発明の「モータ」に対応する構成の一例である。
外側ハウジング101が、本発明の「アウタハウジング」に対応する構成の一例である。
本体ハウジング101Aが、本発明の「第1アウタハウジング」に対応する構成の一例である。
モータハウジング101Bが、本発明の「第2アウタハウジング」に対応する構成の一例である。
内側ハウジング103が、本発明の「インナハウジング」に対応する構成の一例である。
クランクハウジング103Aが、本発明の「第1インナハウジング」に対応する構成の一例である。
バレル部103Bが、本発明の「第2インナハウジング」に対応する構成の一例である。
貫通孔193が、本発明の「開口部」に対応する構成の一例である。
防塵カバー195が、本発明の「カバー部材」に対応する構成の一例である。
第1圧縮コイルスプリング171及び弾性リング189が、本発明の「弾性部材」に対応する構成の一例である。
ハンドグリップ109が、本発明の「ハンドル部」に対応する構成の一例である。
連結ボルト161が、本発明の「連結部材」に対応する。