特許第5984672号(P5984672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984672移設可能な放射線遮蔽室、組立ておよび使用方法、並びに、放射線療法設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984672
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】移設可能な放射線遮蔽室、組立ておよび使用方法、並びに、放射線療法設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/08 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   E04H3/08 B
【請求項の数】33
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-537089(P2012-537089)
(86)(22)【出願日】2010年10月29日
(65)【公表番号】特表2013-509515(P2013-509515A)
(43)【公表日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】US2010054601
(87)【国際公開番号】WO2011053748
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年10月28日
(31)【優先権主張番号】61/256,984
(32)【優先日】2009年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508153408
【氏名又は名称】ラッド・テクノロジー・メディカル・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】レフクス,ジョン・ジェイ,ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ランダウ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】オークイスト,シェリー・エイ
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−140842(JP,A)
【文献】 特開2000−160687(JP,A)
【文献】 特公昭59−04992(JP,B2)
【文献】 特表2004−529357(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/093588(WO,A1)
【文献】 特開2009−228349(JP,A)
【文献】 特開2003−221974(JP,A)
【文献】 特公昭58−051115(JP,B2)
【文献】 特許第3303218(JP,B2)
【文献】 特許第3175586(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 5/00 − 5/12
E04H 3/08
G21F 3/00 − 3/04
E04B 1/58
E02D 27/00 − 27/02
E04H 9/02
E06B 1/00 − 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の放射線療法装置が稼動中止にされる間、放射線療法を提供する方法であって、
稼動中止にされる必要がある既存の放射線療法装置を有する放射線療法設備を提供する工程と、
前記既存の放射線療法装置が稼動中止にされる間に使用される一時放射線療法設備の現場を提供する工程と、
前記現場で前記一時放射線療法設備の基礎を設ける工程と、
前記基礎の上に、少なくとも453.6トン(1,000,000ポンド)の放射線遮蔽材料を備える放射線遮蔽室の内部に放射線療法装置を備える一時放射線療法設備を構築する工程と、
前記既存の装置が稼動中止にされる時から12ヶ月未満の期間内に前記一時放射線療法設備を前記現場から撤去する工程と、を備え、
前記一時放射線療法設備を撤去する工程は、前記放射線療法装置および前記放射線遮蔽室を前記現場から撤去することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記一時設備の内部の前記放射線療法装置は、高エネルギー放射線療法装置を備える、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記設備を撤去する工程は、少なくとも453.6トン(1,000,000ポンド)の放射線遮蔽材料を撤去することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、
前記現場は、前記設備のオペレータによって所有または賃借される土地を備える、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法において、
前記一時設備は、前記既存の設備がアップグレードおよび/または改造される間使用される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記既存の設備は、前記一時設備での前記放射線療法装置の使用がアップグレードされる装置を使用するための訓練の役割をするように、前記一時設備の前記放射線療法装置と実質的に同様な放射線療法装置にアップグレードされる、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、
前記基礎は、地面より下方に引っ込められた鉄筋コンクリート梁のパターンを備える、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、
前記一時設備は、前記基礎から延びて地面より上方の取付板で終端する複数の支えの上に構築される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記支えは、台板を有し、当該支えの台板は、前記基礎のくぼみ内に設けられる、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記支えの前記台板は、前記基礎に形成された細長いスロット内に設けられる、方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法において、
前記室が、側壁を有する治療部屋を備え、
前記治療部屋の上方の放射線遮蔽材料の重量が、前記側壁から間隔を置いたせん断壁によって支えられる、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
各せん断壁は、鉄筋コンクリートの地面高梁の上方に配置される、方法。
【請求項13】
放射線療法設備の改修または構築の間、患者集団に対する治療の連続性を維持する方法であって、
少なくとも1人の治療構成員を含むサポートスタッフによって患者集団にサービスが提供される第1の放射線療法装置を有する第1の放射線療法設備を提供する工程と、
前記患者集団を短期的に治療するために、放射線遮蔽室の内部に第2の放射線療法装置を有する第2の放射線療法設備を構築する工程と、
前記患者集団に対してサービスが12ヶ月未満の期間提供される前記第2の設備に前記治療構成員を移す工程と、
その後、前記治療構成員を前記第1の設備または新規に構築された第3の設備に移すことにより、移行の期間に前記治療構成員が前記患者集団にサービスを提供することを可能にする工程と、備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記治療構成員が前記第1の設備または前記新規に構築された第3の設備に移された後に、前記第2の設備が撤去される方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第2の設備の撤去が少なくとも453.6トン(1,000,000ポンド)の遮蔽材料の撤去を含む、方法。
【請求項16】
鉄筋コンクリート梁のパターンを備える基礎と、
前記基礎によって支持され、人間の占有に適合する中心治療エリアと当該中心治療エリアを実質的に取り巻く放射線遮蔽障壁とを形成するように接続された複数のモジュールと、
前記中心治療エリア内の放射線放出装置と、を備え、
前記モジュールの1つは、底部フレームを含み、
前記放射線放出装置は、前記底部フレームに取り付けられ、
前記基礎の前記梁の前記パターンは、前記底部フレームの基礎となって当該底部フレームを支持する、放射線遮蔽室。
【請求項17】
請求項16に記載の放射線遮蔽室において、
前記梁が周囲の地面より下方に引っ込められている、放射線遮蔽室。
【請求項18】
請求項16または17に記載の放射線遮蔽室において、
前記モジュールが、前記地面高梁から垂直に延びる複数の支えを介して周囲の地面よりの上方に支持されている、放射線遮蔽室。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
前記パターンが、様々な方向に延びる相互接続された梁を備える、放射線遮蔽室。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
前記パターンが、ほぼ直交方向に延びる相互接続された梁を備える、放射線遮蔽室。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
少なくとも2本の、間隔を置いた梁が、一対の、間隔を置いて配置されたせん断壁用の基礎を提供する、放射線遮蔽室。
【請求項22】
請求項16に記載の放射線遮蔽室において、
前記複数のモジュールが、地面高梁によって画定されたスロットに挿入された取付板を使用することにより、前記基礎に接続されている、放射線遮蔽室。
【請求項23】
放射線遮蔽室であって、
側壁を有する、室中央の部屋と、
前記室中央の部屋内の放射線放出装置と、
前記室中央の部屋の上方に多量の放射線遮蔽材料を保持するプラットフォームと、を備え、
前記プラットフォームが、前記室中央の部屋の側壁の外側に配置されたせん断壁によって支持されている、放射線遮蔽室。
【請求項24】
請求項23に記載の放射線遮蔽室において、
前記プラットフォームが2つのトラスの間に配置されている、放射線遮蔽室。
【請求項25】
請求項23または24に記載の放射線遮蔽室において、
前記せん断壁が地面高梁によって支持されている、放射線遮蔽室。
【請求項26】
請求項23乃至25のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
前記放射線放出装置が、第1の地面高梁によって支持されており、前記せん断壁が、前記第1の地面高梁のいずれかの側に配置された一対の第2の地面高梁によって支持されている、放射線遮蔽室。
【請求項27】
請求項23乃至26のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
放射線遮蔽材料が、前記せん断壁と前記室中央の部屋の側壁との間に設けられている、放射線遮蔽室。
【請求項28】
放射線室をコンクリート基礎の上に支持する方法であって、
前記基礎のコンクリート内の複数の細長いスロットと、台板、垂直スパンおよび天板を有する複数の支えとを設ける工程と、
前記支えの前記台板が前記スロット内に配置され、当該支えの前記垂直スパンが当該スロットの側壁に接触して側方結合をもたらすように当該スロットのそれぞれに支えを挿入する工程と、
前記放射線室を前記支えの前記天板で支持する工程と、を備える、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記スロットの少なくとも1つが複数の方向で細長い方法。
【請求項30】
請求項28または29に記載の方法において、
前記放射線室が撤去された後に、前記支えが撤去される、方法。
【請求項31】
放射線療法を管理する放射線療法設備であって、
放射線療法治療部屋と、
中央の前記治療部屋と接触することも当該中央治療部屋にのしかかることもなく、または前記治療部屋の高さまたはレベルに影響を及ぼすことなく、当該中央治療部屋の上方に支持され、懸架された流動性放射線遮蔽材料と、備える、放射線療法設備。
【請求項32】
放射線遮蔽室であって、
室内部に放射線療法装置25を備える治療部屋20を有する第1モジュール102と、
前記第1モジュールに近接して配置される第2モジュール101,103と、
前記第1モジュール及び第2モジュールの上方に配置された屋根モジュール105,106と、
前記第1モジュール及び第2モジュールの上方に配置され、前記治療部屋上方の放射線遮蔽材料Mを支持する支持パネル80と、
を備え、
前記第2モジュールは、前記屋根モジュール及び前記支持パネルを支持する剪断壁64,62を内部に有し、
前記剪断壁は、前記第1モジュールから離間しており、
前記屋根モジュールは、前記剪断壁との間にトラス82,84を形成し、
前記屋根モジュールと前記支持パネルとは、前記トラスを通じて前記剪断壁に支持される、放射線遮蔽室。
【請求項33】
請求項32に記載の放射線遮蔽室において、
間隔を置いて平行に配置され、前記第1モジュールの基礎となって支持する一対の第1梁210,212と、
前記一対の第1梁の間に架かり、前記治療部屋の基礎となって支持する横梁214,215,216と、
前記一対の第1梁から間隔を置いて配置され、前記剪断壁に基礎を提供する第2梁230,220と、
を備える、放射線遮蔽室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年10月31日出願の米国仮出願第61/256,984号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、治療用放射線生成(または放出)装置と治療用放射線を安全に生成するのに必要な遮蔽構造を備える完全放射線治療設備、ならびに完全放射線治療設備の製作方法および使用方法に関する。より具体的には、しかし排他的ではなく、本発明は、既存の設備が装置のアップグレードまたは設備改修を受けている期間中など、一時的な使用に適した放射線治療室および統合臨床機能に関する。本明細書に例示され、記述される種々の構造的特徴は、ひとまとめにすると、完備統合された放射線治療臨床設備をもたらす。開示された統合的解決策の更なる構造的特徴は、性能面の要求および必要条件が付与された全体的な小型化である。
【0003】
放射線放出装置は、多数の周知の用途を有する。放射線放出装置は、国境で荷物および貨物を点検するためや、非破壊検査を行うために使用される。医療分野では、放射線放出装置は、多数の病気の診断および治療に使用される。当然ながら、この装置の製造業者は絶えず改良を行っている。「治療的」または「治療用」と記述されるタイプの装置によって放出される放射線は、しばしば「高エネルギー」と呼ばれ、通常1mvより高い。
【0004】
例えば、(放射線療法としても知られる)放射線治療法は、癌および他のいくつかの非悪性疾患の治療に広く使用されてきており、近代的な放射線療法装置は、周囲の健全な組織には危害を及ぼさないようにしながら特定の組織に目標を定めて破壊する能力を向上させてきた。その結果、最新の放射線療法装置の使用は、患者転帰の改善をもたらすことに加え、設備のオペレータに、使いやすさの向上、効率上昇、および/または患者スループット増大など、その他の利益を提供することができる。
【0005】
これらの利益にもかかわらず、既存の多くの放射線療法設備の最新化は実用的になっていない。既存の放射線療法装置は、通常、他の多数のタイプの放射線放出装置と同様、周辺の人員を放射線の有害な影響から保護するように放射線遮蔽室の内部に収容されている。高放射線レベル(すなわち、通常1MV超)を伴うために、既存の放射線遮蔽室は、地下に、および/または厚さ数フィートのコンクリート壁を伴って構築されることが多い。その結果、既存の装置を撤去して、最新の交換ユニットを据え付け、必要な改造および再構成を行うプロセスは、通常、3ヶ月〜5ヶ月のプロセスになり、一部のプロジェクトについては最高1年を要する。放射線療法設備がそのような長期間稼動中止になるという見通しになり、その結果、患者への治療の中断、設備に対する収入の損失、および患者紹介の減少の恐れをまねくことは、多くの設備オペレータにとって断じて容認できない。その結果、技術的に旧式で早急に交換を必要とする多数の医療用線形加速器が今日でも使用されていると推定される。
【0006】
1つの形で、本発明はこの必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,973,758号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、放射線生成装置と、放射線遮蔽室とを備える統合放射線治療設備を構築して使用するシステムおよび技術を提供する。本明細書で取り上げられる本発明の実際の性質は本明細書に添付された特許請求の範囲に基づいてのみ決定され得るが、本明細書に開示された実施形態の特徴を示す本発明の特定の態様を以下のように簡単に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、本発明は、既存の設備がアップグレードまたは最新化されている期間中に使用される、一時的で、建築基準に準拠した放射線療法設備を提供する。
【0010】
別の態様によれば、本発明は、装置移行の間に放射線治療の連続性を維持する方法を提供する。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、迅速かつ費用効率よく組み立てて使える状態にすることができる、建築基準に準拠した一時放射線療法設備を提供する。
【0012】
別の態様によれば、本発明は、放射線遮蔽室用の基礎を構築する新規な方法を提供する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、放射線遮蔽室を基礎に結合する新規な方法を提供する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、治療エリア上方の放射線遮蔽材料を支持し、その放射線遮蔽材料の支持基礎に対する荷重を分散させる新規な手法を提供する。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、治療部屋を支持する基礎が治療部屋上方の放射線遮蔽材料の質量を支持する基礎から分断される、放射線療法設備の構築を提供する。
【0016】
別の態様によれば、本発明は、放射線治療室の上に屋根を設けるための新規なデザインを提供する。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、放射線室用の遮蔽ドアを据え付ける新規な機構を提供する。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、特異で簡潔かつ完全な解決策で、必要な医療用放射線療法部屋および加速器装置を必要な電気的および機械的支援システムと統合する。
【0019】
これらの態様およびその他の態様を以下に説明する。
【0020】
本発明の特有の特徴は特許請求の範囲で具体的に指摘されるが、本発明自体、および本発明が製作および使用される方法は、その一部を形成する添付の図面に関連して挙げられた以下の説明を参照することによってより深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態にかかる完成された放射線療法設備の平面図を示す。
図2図1の設備の全断面の側面図である。
図3図1の設備の全断面の端面図である。
図4図1の設備のための基礎の上面配置図である。
図5図4の線5−5に沿って見た、基礎の部分端面断面図である。
図6】基礎梁内への支えの据付けを示す斜視図である。
図7】基礎梁内への別の支えの据付けを示す斜視図である。
図8】米国特許第6,973,758号に対応するシステムの既存設備(Rad Pro)に従ったコンクリートスラブへの支えの据付けを示す斜視図である。
図9図1の設備に据え付けられた放射線遮蔽ドアカセットを示す立面図である。
図10図9の線10−10に沿って見た部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の原理の理解を深める目的で、ここで図面に示す実施形態を参照し、実施形態を説明するために特有の用語を使用する。しかしながら、これによって本発明の範囲のいかなる限定も意図されるものではないことは理解される。例示された装置の変化や更なる変更および本明細書に例示されるような本発明の原理の更なる応用は、本発明が関連する分野の当業者にとって通常想到するものであると考えられる。
【0023】
総括
1つの形では、本発明は、短期間の使用向けの完全に機能する一時放射線療法設備の提供を伴う。一時設備は、指定された現場で提供され、既存の放射線療法設備がアップグレードまたは最新化されている期間中に患者を治療するために使用することができる。アップグレードが完了すると、一時設備は、現場から撤去され、同様のサービスを必要としている別の現場に移設させることができる。
【0024】
図1図3を参照すると、一時放射線療法設備10は、放射線療法装置25を備える治療部屋20と、放射線療法装置25用の制御ステーション22とを備える。設備10の内部は、待機エリア30、受付/スケジュール調整エリア31、更衣エリア35、洗面所34、および収納エリア32、38を備える。機械エリア33は、必要な加熱冷却装置を納めており、追加収納エリア36と同様に、外部からアクセスされる。設備は、電気室27、スタッフ流し28、飲料水および排水タンク29をさらに備える。
【0025】
治療部屋20へのアクセスは、放射線遮蔽ドア40と廊下37を経由する。一旦治療部屋20内に入ると、患者が治療台24の上に横たわり、制御ステーション22でオペレータによって入力された治療パラメータに従って、放射線療法が放射線療法装置25を介して実施される。
【0026】
設備10は、完全に構築されたとき、適用建築基準に準拠する。さらに、設備10は、使用時の患者および医療関係者の支援という文脈で「居住に適している」。本明細書において使用される、「基準に準拠した」および「建築基準」は、適用建築基準に従って要求されることに適合するか、または忠実であるように、開示された組み合わせの基本的構造部材を構築および構成する能力を含むことを意図している。地方自治体の基準は時が経つと変わる可能性があるので、本明細書に開示された構造的な実施形態は、本明細書で言及される他の基準も含め、ICC国際建築基準法(登録商標)2009年度版(ISBN:1580017258)に現在記載されているような基準必要条件を対象としている。
【0027】
TRV設計
設備10は、構造物を組み立てて分解するプロセスを速めるように多数のプレハブのモジュールを使って設計されており、一時放射線療法室(TRV)と呼ぶことができる。図1に示すように、一階は4つの異なるモジュールで構成され、各モジュールは概ね長方形の設置面積を有する。モジュール101、102、103は、長さが等しく、互いに並んで配置され、モジュール104は、モジュール101、102、103の端部(図1の右側)を横切って配置されている。代わりの構成または実施形態が、4つを超える様々なモジュールを組み込むこともあり得る。
【0028】
この例示の構成では、治療室はモジュール102内に完全に入っている。モジュール101、102、103は、組み立てられたときに治療部屋20の周りに多数の空きスペース50、52、54、56、58、60を画定するように設計されている。これらの空きスペース(すなわち、容器)は、1280〜2000kg/m3(80〜125ポンド/ft3の密度範囲を有する流動性顆粒状充填剤など、放射線遮蔽材料Mが充填されるよう設計されている。並んだ空きスペース(例えば、50と54、54と52、52と58)は、一旦遮蔽材料が充填されると、治療部屋20の周りに放射線遮蔽材料の実質的に連続する障壁が形成されるように流体連通状態にある。顆粒状充填剤(すなわち、遮蔽材料M)は、永久流動状態で残存することによって、沈降や地震の事象によって亀裂を起こさない。
【0029】
屋根モジュール105、106が、モジュール101、102、103の上方に配置され、モジュール101のせん断壁64からモジュール103のせん断壁62に架かるトラス84、82を有するように設計されている。支持パネル80が、その後、トラス84とトラス82の間に取り付けられ、屋根モジュール106、105に組み入れられたパネル81、83とともに、パネル80、81、83の下面と治療部屋20の最上部との間に隙間110を維持しながら、治療部屋20上方の遮蔽材料Mを支持する。代わりの構成および実施形態は、支持パネルの代わりに追加の屋根モジュールを組み込むこともあり得る。その結果、治療部屋20直上の遮蔽材料の荷重を、治療部屋自体にのしかかるのではなく、トラスを通してせん断壁62、64に分散させることができる。この隙間は、治療部屋を隔絶させるとともに、治療部屋をその上方の遮蔽材料の過度の重量のせいで起こる可能性のあるいかなる基礎のずれや沈降の影響からも保護する。図2および図3に示すように、治療部屋20の直上にない上位の遮蔽エリア70、72、74は、下位の空きスペース50、52、54、58に通じている。連結棒88が、トラス84、82の上部間に架かっており、すべての遮蔽材料が供給されたときに据え付けられる布または膜の屋根92に形状および支えを付与する手助けをする。
【0030】
制御ステーション22のための床スペースの一部がモジュール104によって与えられているが、モジュール102の放射線療法装置25に配線接続された関連のコンピュータ機器を有することが好ましい。この場合、コンピュータ機器は、モジュール102の収納位置から図1に示す位置に移動できるように、車輪付きのカート上に設けられる。
【0031】
放射線遮蔽
放射線遮蔽材料の正確な量と所望の配分は、装置25から放出される放射線の特性に依存する。説明したように、設備10は、アイソセントリックな配置の高エネルギー線形加速器を使用するよう構成されており、高エネルギー線形加速器は、通常4〜25MVの範囲で動作する。一例は、カリフォルニア州パロアルトのバリアン・メディカル・システムズ(Varian Medical Systems)のトリロジー(Trilogy)である。適切な遮蔽レベルを提供するためには、遮蔽材料の総重量は453.6トン(1,000,000ポンド)907.2トン(2,000,000ポンド)、またはそれ以上であってもよい。線形加速器が高MVのエネルギー(すなわち、10MV超)で稼動される限りは、治療部屋の内側を木製パネルとホウ素入りポリエチレンシートで覆うことによって中性子シールドが提供される。
【0032】
設備10は、また、通常1〜3MVの範囲で動作する、ガンマナイフや高線量率近接照射療法(HDR)など、他のタイプの放射線療法を行うために使用されてもよい。設備10は、また、10〜15MVの範囲で動作するサイクロトロンや、40〜250MVの範囲で動作する陽子加速器とともに使用するよう構成されてもよい。
【0033】
基礎
既存のラドプロ(Rad Pro)基礎
米国特許第6,973,758号に対応する既存のモジュール式放射線室(すなわち、ラド・プロ・システム(Rad Pro System))が、多数の常設物の鉄筋コンクリートスラブ基礎上に建てられている。プロシステム(Pro System)のポッドの底部は、通常、図8に示すように一連のスタブ柱150によってスラブの数インチ上方に持ち上げられていた。これらのスタブ柱150は、高張力鋼から製造され、各端部に水平板151、152を有する中空の縦支柱153を備えていた。縦柱153は、正方形の水平断面をもつ矩形の立体形状であった。せん断突起154が、全体で「+」を形成するように直角に交差する1対の縦方向延長板の形で底板の下面に溶接されていた。使用時には、正方形断面のくぼみ155が、最初にコンクリートスラブ156に設けられた。くぼみ155には、その後、グラウト(図示せず)が充填され、せん断突起154が、グラウトが充填されたくぼみにはめ込まれた。
【0034】
TRV用の新規な基礎
図4図7を参照すると、TRV(設備10)用の基礎200は、鉄筋コンクリートの細長い梁のパターン(図4)から構成されている。鉄筋コンクリートの個々の梁は、通常、地面の高さまたは地面高より上に構築されるので、従来、地面高梁(grade beams)と称されている。TRV基礎用の地面高梁は、数インチ(例えば、3〜6インチ)地中に引っ込められている。地中梁、地面高梁を使用すると、地中梁、地面高梁の上を埋め戻すことができるので、TRVが撤去された際に現場を元の状態に復帰させることが容易になる。
【0035】
パターンは、多数の平行および直交する梁ならびに梁部分を備えている。これらの梁はTRV構造の様々な部分の基礎となり、図4の配置図は図1の床平面図に相当する。注目すべきなのは、平行梁210、212がモジュール102の細長い側部の基礎となり、短い横梁214、215、216が梁210、212の間に複数箇所で梁210、212の長さに沿って架かっている。これらの短い横梁214、215、216は、梁210、212の間にある程度の一体化または結合をもたらすのに役立ち、また、放射線療法装置25が取り付けられるモジュール102の底部フレーム26の基礎となって支持するのにも役立つ。その一方で、梁214、215、216は外側の梁220または梁230と交差せず、これにより、これらの外側梁は、それぞれの内方の梁212、210から相対的に分断されている。言い換えると、梁214、215、216の存在は、梁210が梁230に対してよりも梁212に対してより結合されることを保証する。
【0036】
このことは、梁220および梁230がそれぞれモジュール103およびモジュール101のせん断壁62およびせん断壁64の基礎となって支持するよう設計されているので、重要である。前述したように、プラットフォーム80、81、83とトラス82、84との関係性のゆえに、これらせん断壁62、64は、治療部屋20上方に配置されるすべての懸架遮蔽材料の荷重を支える。これは大量の材料であるので、地震性の事象(すなわち、地震)の間に起きるいかなる側方運動にも大きな慣性抵抗をもたらす。その結果、様々な建築基準を満たすためには、大きな横応力に耐え得る、基礎とせん断壁との横方向の結合を有することが一般的に必要である。懸架遮蔽材料の静荷重は、また、部屋形状と高さに影響を与える恐れのある、支持梁214、215、216に対するいかなる障害も回避するのに十分治療部屋20から遠く離れて配置されている。
【0037】
キー溝
図6および図7を参照して、TRVモジュールと基礎の地面高梁との結合は、2種類の支えのうちの1種類によってもたらされる。支え160は一般にI梁の形であり、垂直部分166によって結合された平面台164と天板162とを有する。支え160は、地面高梁240に形成されたものなど、細長い水平スロット168に取り付けられるよう設計されている。地面高梁240、250を図4に示す。支え160の平面台164がスロット168に差し込まれることにより、スロット168の側壁が台164および垂直スパン166の側部との接触を通して側方結合をもたらす。スロット168が当初長すぎて適切な側方結合接触をもたらすことができない場合、そのような接触は、スロット168の端部にグラウトを供給することによって促進させることができる。
【0038】
垂直スパン166を1つしか有さないように図示されているが、支え160は、天板162と台168との間に追加の、または別の垂直スパンを備えるように再構成されてもよい。例えば、天板162と台168との間に追加的に結合をもたらすように、垂直板が支え160の両端に付設されてもよい。これらの端板は、垂直スパン166に直交することになり、支え160全体の剛性を増大させることになる。
【0039】
支え260は、平面取付板262と平面台264を有し、平面台264が地面高梁221のスロット222に受け入れられるという点で、支え160と同様である。しかしながら、スロット222は、スロット222が2つの直交方向で細長いとみなされるような一対の交差スロットを備えている。支え260の台264も、「+」または交差形状からなっており、使用時には、支え260の台がスロット222に受け入れられて、複数方向に側方接触結合をもたらすようにスロットと係合する。
【0040】
支え260も、追加の垂直板で補われてもよい。特に、4枚の垂直端板が支え260の4つの端部に付設されることが考えられる。2枚の対向する板が垂直支え266に直角に付加され、2枚の板が垂直支え268に直角になる。
【0041】
ドアカセット
図9および図10は、モジュール101に据え付けられたドアカセット300を示す。ドアカセット300は、遮蔽ドア40と、その周囲のフレーム部分320、330、324と、ドア40直上の放射線遮蔽欄間領域310とを備える。カセット300全体は、全体としてモジュール101から持ち上げられるように構成されている。所定位置に挿入される際、フレーム324の下部(すなわち、敷居)は、モジュール101の床(図示せず)の対応する開口の中に差し込まれる。フレーム330のヒンジ側が、モジュール101の溝形鋼に当接し、締め金336を介して所定位置にボルト留めされる。それに対向するフレーム320のドア側が、くさび板338で埋められた隙間を有し、その後、フレーム320のドア側が締め金337を介してモジュール101にボルト留めされる。図1を参照すると、顆粒状充填剤遮蔽材料Mを充填することができない廊下37のせいで、さもなければ失われる遮蔽を提供するように、モジュール101に追加の遮蔽板66が設けられている。
【0042】
使用方法
本発明にかかる1つの検討された方法は、稼動中止にされる必要がある既存の放射線療法装置を有する放射線療法設備の特定を含む。通常、設備がその必要性を自己特定する。
【0043】
次に、一時放射線療法設備のための現場が特定される。現場は中断を最小限にするように既存の設備に適切に近接している必要があり、空き地や駐車場であってもよい。特定された現場で、一時装置用の基礎が作られる。基礎は単純なコンクリートスラブであってもよいが、好ましくは、前述したような引っ込められた地面高梁のパターンである。
【0044】
次に、一時放射線療法設備が基礎上に組み立てられる。一時放射線療法設備は、通常、放射線遮蔽室の内部に放射線療法装置を備え、前述したTRVに相当してもよい。室は、顆粒状充填剤や、水を含む前述の何らかの他の種類など、少なくとも約453.6トン(1,000,000ポンド)の放射線遮蔽材料を含んでもよい。
【0045】
例えば、改修が完了したなどの理由で、放射線療法設備の必要性が終えたとき、設備は撤去される。通常の交換の場合、12ヶ月未満になる。一時設備の撤去は、TRVの構成要素の一部または全部および空きスペースに含まれる放射線遮蔽材料の一部または全部の撤去を含んでもよい。
【0046】
1つの改良では、TRVに、既存の設備で据え付けられる装置に実質的に同様の放射線療法装置が装備されている。これにより、作業員は、TRVで作業しながら、新しい装置の訓練を受けることができる。
【0047】
本明細書で検討された別の本発明の方法は、放射線療法設備の改修または構築の期間中、患者集団に対する治療の連続性を維持することを含む。これは、少なくとも1人の治療構成員を含むサポートスタッフによって既存の設備で患者集団にサービスが提供される第1の放射線療法装置を有する既存の(第1の)放射線療法設備と関係して達成されてもよい。治療構成員は、例えば、医者、看護師、セラピスト、線量測定士、または物理学者であってもよい。
【0048】
前述したTRVなど、放射線遮蔽室内部に第2の放射線療法装置を有する第2の放射線療法設備が、一時的に患者集団を治療するために構築される。一時設備が完成すると、治療構成員が第2の設備に移り、第1の放射線療法設備の改修および/またはアップグレードの期間中、第2の設備で患者集団にサービスを提供する。その後、第1の放射線療法設備の改修および/またはアップグレードが完了すると、治療構成員が、同じ患者集団にサービスを提供し続けることができる第1の設備に(または新たに構築された第3の設備に)移る。移行期間は、装置最新化および/または全く新しい設備の構築によって起こり得る。
【0049】
放射線療法装置のアイソセンタ維持
放射線療法装置は、効果的に使用されるために、慎重に較正されなければならない。位置合わせおよび/または較正特性の1つは、治療機械のすべての可動軸の回転中心となる三次元空間内の点である「アイソセンタ」と呼ばれる。理解されるように、安定したアイソセンタが重要である。特定の用途では、アイソセンタがわずか直径0.5ミリの半径しか有さない球として画定および指定される。目標の治療エリア、通常腫瘍が治療の間中アイソセンタに配置される。治療機械の様々な構成要素(ガントリー、コリメータ、および治療台)は、治療送り出しの間に様々に異なる角度に動かされるので、機械のどの部分もアイソセンタで目標を見失わせるような方法で屈曲または移動させないようにすることが不可欠である。
【0050】
すべての構造は下降、変位、または移動さえ行うことができる。すべての構造は、全体が損傷を受けることなく、下降、変位、移動を行うように設計されている。しかしながら、治療部屋の壁、床または天井の変位は、技術者の設計上の挑戦とは通常関係のない影響をもたらす。スラブ基礎を使用すると、1枚の合板が泥の中へ靴の沈み込みを切り抜けるのと全く同様に、スラブが土壌沈下エリア上に橋を架けることができるので、土壌沈下が抑制される。沈下があっても、スラブによって緩和されるか、またはより長期間、通常数年をかけて起こるように少なくとも遅延される。
【0051】
局部エリアでの急速な沈下は、一体スラブの利益を得ることができないので、地面高梁に影響を及ぼす可能性がある。開示の手法は、本明細書に述べたように、治療部屋を巨大な遮蔽質量、特に治療部屋直上の質量によって引き起こされる沈下によって影響されない独立した構造的保護区域にすることによって、許容差を盛り込むことである。これは、治療部屋構造と支持された上方の遮蔽質量との間に6インチの隙間を作ることによって達成される。この達成にさらに寄与することは、地面高梁を独立して動かせるようにし、さらに、遮蔽質量の荷重を独立の地面高梁上で適切な距離だけ治療部屋荷重から離すことである。
【0052】
本発明は、図面および前述の説明で詳細に示され、説明されたが、特性において例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。特定の実施形態のみが図示および説明されており、本明細書に記載された本発明の精神に含まれるすべての変更、同等物、および変形が保護されることが望まれる。したがって、本明細書および付属図面の詳細は、本発明の範囲をその詳細に限定すると解釈されるべきではない。それどころか、本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲に基づいて判断されるべきである。
【0053】
特許請求の範囲を読む際に、「1つ」(「a」)、「1つ」(「an」)、「少なくとも1つ」、「少なくとも一部」などの言葉が使用される場合、特許請求の範囲に特にそれに反することが述べられない限り、特許請求の範囲を1つだけの項目に限定する意図がないことが意図されている。また、「少なくとも一部」および/または「一部」という用語が使用される場合、特にそれに反することが述べられない限り、特許請求の範囲は一部および/または項目全体を含むことがある。同様に、「入力(input)」という用語が流体処理装置や電気装置などの装置またはシステム構成要素に関して使用される場合、文脈の中で必要に応じて、単数または複数および1つまたはそれ以上の信号チャンネルまたは流体ラインを含むと理解されるべきである。最後に、本明細書で引用されたすべての出版物、特許、および特許出願は、それぞれが参照により組み込まれ、その全体が本明細書に述べられるように具体的かつ個別に示されたかのように、本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
〔態様1〕
既存の放射線療法装置が稼動中止にされる間、放射線療法を提供する方法であって、
稼動中止にされる必要がある既存の放射線療法装置を有する放射線療法設備を提供する工程と、
前記既存の放射線療法装置が稼動中止にされる間に使用される一時放射線療法設備の現場を提供する工程と、
前記現場で前記一時放射線療法設備の基礎を設ける工程と、
前記基礎の上に、少なくとも約1,000,000ポンドの放射線遮蔽材料を備える放射線遮蔽室の内部に放射線療法装置を備える一時放射線療法設備を構築する工程と、
前記既存の装置が稼動中止にされる時から12ヶ月以内に前記一時放射線療法設備を前記現場から撤去する工程と、を備え、
前記一時放射線療法設備を撤去する工程は、前記放射線療法装置および前記放射線遮蔽室を前記現場から撤去することを含む、方法。
〔態様2〕
態様1記載の方法において、
前記一時設備の内部の前記放射線療法装置は、高エネルギー放射線療法装置を備える、方法。
〔態様3〕
態様1または2に記載の方法において、
前記設備を撤去する工程は、少なくとも約1,000,000ポンドの放射線遮蔽材料を撤去することを含む、方法。
〔態様4〕
態様1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、
前記現場は、前記設備のオペレータによって所有または賃借される土地を備える、方法。
〔態様5〕
態様1乃至4のいずれか1項に記載の方法において、
前記一時設備は、前記既存の設備がアップグレードおよび/または改造される間使用される、方法。
〔態様6〕
態様5に記載の方法において、
前記既存の設備は、前記一時設備での前記放射線療法装置の使用がアップグレードされる装置を使用するための訓練の役割をするように、前記一時設備の前記放射線療法装置と実質的に同様な放射線療法装置にアップグレードされる、方法。
〔態様7〕
態様1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、
前記基礎は、地面より下方に引っ込められた鉄筋コンクリート梁のパターンを備える、方法。
〔態様8〕
態様1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、
前記一時設備は、前記基礎から延びて地面より上方の取付板で終端する複数の支えの上に構築される、方法。
〔態様9〕
態様8に記載の方法において、
前記支えは、台板を有し、当該支えの台板は、前記基礎のくぼみ内に設けられる、方法。
〔態様10〕
態様9に記載の方法において、
前記支えの前記台板は、前記基礎に形成された細長いスロット内に設けられる、方法。
〔態様11〕
態様1乃至10のいずれか1項に記載の方法において、
前記室が、側壁を有する治療部屋を備え、
前記治療部屋の上方の放射線遮蔽材料の重量が、前記側壁から間隔を置いたせん断壁によって支えられる、方法。
〔態様12〕
態様11に記載の方法において、
各せん断壁は、鉄筋コンクリートの地面高梁の上方に配置される、方法。
〔態様13〕
放射線療法設備の改修または構築の間、患者集団に対する治療の連続性を維持する方法であって、
少なくとも1人の治療構成員を含むサポートスタッフによって患者集団にサービスが提供される第1の放射線療法装置を有する第1の放射線療法設備を提供する工程と、
前記患者集団を短期的に治療するために、放射線遮蔽室の内部に第2の放射線療法装置を有する第2の放射線療法設備を構築する工程と、
前記患者集団に対してサービスが12ヶ月未満の期間提供される前記第2の設備に前記治療構成員を移す工程と、
その後、前記治療構成員を前記第1の設備または新規に構築された第3の設備に移すことにより、移行の期間に前記治療構成員が前記患者集団にサービスを提供することを可能にする工程と、備える、方法。
〔態様14〕
態様13に記載の方法において、
前記治療構成員が前記第1の設備または前記新規に構築された第3の設備に移された後に、前記第2の設備が撤去される方法。
〔態様15〕
態様14に記載の方法において、
前記第2の設備の撤去が少なくとも約1,000,000ポンドの遮蔽材料の撤去を含む、方法。
〔態様16〕
鉄筋コンクリート梁のパターンを備える基礎と、
前記基礎によって支持され、人間の占有に適合する中心エリアと当該中心治療エリアを実質的に取り巻く放射線遮蔽障壁とを形成するように接続された複数のモジュールと、
前記中心エリア内の放射線放出装置と、を備える、放射線遮蔽室。
〔態様17〕
態様16に記載の放射線遮蔽室において、
前記梁が周囲の地面より下方に引っ込められている、放射線遮蔽室。
〔態様18〕
態様16または17に記載の放射線遮蔽室において、
前記モジュールが、前記地面高梁から垂直に延びる複数の支えを介して周囲の地面よりの上方に支持されている、放射線遮蔽室。
〔態様19〕
態様16乃至18のいずれか1項に記載の基礎において、
前記パターンが、様々な方向に延びる相互接続された梁を備える、基礎。
〔態様20〕
態様16乃至19のいずれか1項に記載の基礎において、
前記パターンが、ほぼ直交方向に延びる相互接続された梁を備える、基礎。
〔態様21〕
態様16乃至20のいずれか1項に記載の基礎において、
前記パターンが、第1の梁、第2の梁、第3の梁、および第4の梁を備える、基礎。
〔態様22〕
態様21に記載の基礎において、
前記第4の梁が、前記第1の梁、前記第2の梁、および前記第3の梁と相互接続されている、基礎。
〔態様23〕
態様21または22に記載の基礎において、
第5の梁が、前記第3の梁ではなく、前記第1の梁および前記第2の梁と相互接続されている、基礎。
〔態様24〕
態様23に記載の基礎において、
第6の梁が、前記第3の梁ではなく、前記第1の梁および前記第2の梁と相互接続されている、基礎。
〔態様25〕
態様16乃至24のいずれか1項に記載の基礎において、
少なくとも2本の、間隔を置いた梁が、一対の、間隔を置いて配置されたせん断壁用の基礎を提供する、基礎。
〔態様26〕
態様16に記載の基礎において、
前記複数のモジュールが、地面高梁によって画定されたスロットに挿入された取付板を使用することにより、前記基礎に接続されている、基礎。
〔態様27〕
放射線遮蔽室であって、
側壁を有する、室中央の部屋と、
前記室中央の部屋内の放射線放出装置と、
前記室中央の部屋の上方に多量の放射線遮蔽材料を保持するプラットフォームと、を備え、
前記プラットフォームが、前記室中央の部屋の側壁の外側に配置されたせん断壁によって支持されている、放射線遮蔽室。
〔態様28〕
態様27に記載の放射線遮蔽室において、
前記プラットフォームが2つのトラスの間に配置されている、放射線遮蔽室。
〔態様29〕
態様27または28に記載の放射線遮蔽室において、
前記せん断壁が地面高梁によって支持されている、放射線遮蔽室。
〔態様30〕
態様27乃至29のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
前記放射線放出装置が、第1の地面高梁によって支持されており、前記せん断壁が、前記第1の地面高梁のいずれかの側に配置された一対の第2の地面高梁によって支持されている、放射線遮蔽室。
〔態様31〕
態様27乃至30のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
放射線遮蔽材料が、前記せん断壁と前記室中央の部屋の側壁との間に設けられている、放射線遮蔽室。
〔態様32〕
放射線室をコンクリート基礎の上に支持する方法であって、
前記基礎のコンクリート内の複数の細長いスロットと、台板および天板を有する複数の支えとを設ける工程と、
前記支えの前記台板が前記スロット内に配置されるように当該スロットのそれぞれに支えを挿入する工程と、
前記放射線室を前記支えの前記天板で支持する工程と、を備える、方法。
〔態様33〕
態様32に記載の方法において、
前記スロットの少なくとも1つが複数の方向で細長い方法。
〔態様34〕
態様32または33に記載の方法において、
前記放射線室が撤去された後に、前記支えが撤去される、方法。
〔態様35〕
放射線遮蔽室であって、
中央部屋と、当該中央部屋を実質的に取り巻く放射線遮蔽材料とを備える地面レベルと、
複数のモジュールを備える、前記中央部屋の上方の上位レベルと、
前記放射線遮蔽室の屋根を形成するように前記複数のモジュール上方の布または他の軽量材料と、を備える、放射線遮蔽室。
〔態様36〕
態様35に記載の放射線遮蔽室において、
前記上位レベルが、間隔を置いて配置された一対のトラスを備える、放射線遮蔽室。
〔態様37〕
態様35または36に記載の放射線遮蔽室において、
前記トラスの上部が、連結棒または連結支持体によって結合されており、前記屋根が当該連結棒または連結支持体と接触している、放射線遮蔽室。
〔態様38〕
態様35乃至37のいずれか1項に記載の放射線遮蔽室において、
前記トラスの上面に天幕が張られている、放射線遮蔽室。
〔態様39〕
遮蔽ドアと、当該遮蔽ドアに関連するフレームと、当該ドア上方の遮蔽欄間エリアとを備える遮蔽ドアカセットおよび放射線遮蔽室のための1階モジュールを提供する工程と、
前記遮蔽ドアカセットを前記モジュールに挿入して、当該カセットの少なくとも一部が前記モジュールの床のくぼみに受け入れられる工程と、
前記カセットを前記モジュールに結合する工程と、を備える、方法。
〔態様40〕
放射線療法を管理する放射線療法設備であって、
放射線療法治療部屋と、
中央の前記治療部屋と接触することも当該中央治療部屋にのしかかることもなく、または前記治療部屋の高さまたはレベルに影響を及ぼすことなく、当該中央治療部屋の上方に支持され、懸架された流動性放射線遮蔽材料と、備える、放射線療法設備。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10