特許第5984690号(P5984690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984690
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/08 20060101AFI20160823BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20160823BHJP
   A01C 7/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A01C7/08 310F
   A01C11/02 342Z
   A01C7/06 B
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-8728(P2013-8728)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-138565(P2014-138565A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福永 究
(72)【発明者】
【氏名】三本 松夫
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−097112(JP,A)
【文献】 特開平10−295127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/00− 9/08
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ
前記複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在に備えられ、
前記溝切り器に、車体前後方向後方側に近づくに連れて斜め下方に向かって傾斜する傾斜部が備えられ、
前記溝切り器は、前記傾斜部が少なくとも前記横軸芯よりも車体前後方向後方側の領域を含む状態で、前記他の整地フロートの底面における車体前後方向後方側に備えられている水田作業機。
【請求項2】
複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ、
前記複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在で、且つ、上下揺動範囲が設定範囲内に規制される状態で備えられ、
前記溝切り器が備えられる整地フロートにおける上下揺動範囲が、それ以外の整地フロートにおける上下揺動範囲よりも狭く設定されている水田作業機。
【請求項3】
複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ、
前記他の整地フロートの底面と前記溝切り器の端縁との間の接合箇所における両者の接触面よりも車体前方側に位置して前記接触面よりも下方に突出する凸部が備えられている水田作業機。
【請求項4】
前記複数の整地フロートは、夫々の底面が田面に対して同じ高さになるように上下位置が設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項5】
前記複数の整地フロートに、田面に粉粒体を供給するための溝を形成する作溝器と、溝内に粉粒体が供給されたのちに溝を埋め戻すための覆土板とが備えられ、
前記他の整地フロートの底面に、前記覆土板よりも車体後方側に位置する状態で前記溝切り器が備えられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項6】
前記覆土板と前記溝切り器とが、車体正面視において車体横幅方向に沿って一部重複する状態で配備されている請求項5記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、田面に種籾を供給する直播機や田面に苗を植えつける田植機等の水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記水田作業機の一例としての直播機において、従来では、次のように構成されたものがあった。
すなわち、走行車体の後部に位置する作業装置に、車体横幅方向に並ぶ状態で田面を整地する複数の整地フロートが備えられ、それら複数の整地フロートのうちで車体横幅方向中央に位置するセンターフロートが作業高さ検出用の整地フロートとして設定されており、車体側面視において整地フロートよりも前部側で且つ前後方向視で整地フロートに対して横幅方向にずれた箇所において、田面に排水用の溝を形成するための溝形成部材(溝切り器)が備えられる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−30439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、作業を実行するために走行車体が圃場を走行するに伴って、溝形成部材により作成された排水用の溝の左右両横側箇所を整地フロートが通過することになる。そうすると、整地フロートにより押された泥土が溝に入り込み、溝形成部材にて作成された溝が崩される等、田面への溝の形成が良好に行えないものとなる不利がある。
【0005】
本発明の目的は、田面に排水用の溝を良好に形成することが可能となる水田作業機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水田作業機の特徴構成は、複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ
前記複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在に備えられ、
前記溝切り器に、車体前後方向後方側に近づくに連れて斜め下方に向かって傾斜する傾斜部が備えられ、
前記溝切り器は、前記傾斜部が少なくとも前記横軸芯よりも車体前後方向後方側の領域を含む状態で、前記他の整地フロートの底面における車体前後方向後方側に備えられている点にある。
【0007】
本発明によれば、整地フロートに溝切り器が備えられるので、走行車体が圃場内で走行するに伴って、複数の整地フロートにより田面の表面が整地されるとともに、複数の整地フロートのうちの作業高さ検出用の整地フロート以外の整地フロートに備えられた溝切り器によって田面に排水用の溝が形成される。
【0008】
車体走行に伴って整地フロートが田面の表面を均しながら移動するときに、その均し作用を受けた田面に対して、溝切り器によって排水用の溝が形成される。このように整地フロートにより均された後の田面は、泥土の押し移動による溝の崩れのおそれはないので、溝切り器により田面に形成された溝が良好に維持されることになる。
【0009】
ところで、作業高さ検出用の整地フロートは、田面に対する作業高さを検出するために、広い範囲にわたり上下移動自在に枠体に支持されるので、このような作業高さ検出用の整地フロートに溝切り器を備えさせると、田面に対して相対的に上昇したときには、田面に良好に溝を形成することができなくなるおそれがある。
【0010】
これに対して、作業高さ検出用の整地フロート以外の整地フロートは、広い範囲にわたって上下動させる必要がないので、この整地フロートに溝切り器を備えることで、田面に良好に溝を形成することができるものとなる。
【0011】
従って、田面に排水用の溝を良好に形成することが可能となる水田作業機を提供できるに至った。
【0012】
本発明においては、前記複数の整地フロートは、夫々の底面が田面に対して同じ高さになるように上下位置が設定されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、複数の整地フロートは夫々の底面が田面に対して同じ高さであるから、例えば、車体横幅方向に並ぶ複数箇所において作業を行うような場合であっても、水田作業機の左右傾斜姿勢が安定し易いものとなる。
【0014】
又、作業高さ検出用の整地フロートと、それ以外の整地フロートとは共に田面に対して同じ高さになるので、溝切り器を備えた整地フロートが他の整地フロートに対して相対上下位置が異なることがないので、溝切り器による溝の形成が良好に行えるものとなる。
【0015】
本発明に係る水田作業機の特徴構成は、複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ、
前記複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在で、且つ、上下揺動範囲が設定範囲内に規制される状態で備えられ、
前記溝切り器が備えられる整地フロートにおける上下揺動範囲が、それ以外の整地フロートにおける上下揺動範囲よりも狭く設定されている点にある
【0016】
本構成によれば、複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在であるから、例えば、硬めの圃場において、作業走行に伴って複数の整地フロートが田面に接触しながら移動するときに、田面に部分的に突部が存在するような場合には、その箇所に位置する整地フロートが上方に退避揺動することで、無理な力がかかって損傷するといった不利を回避し易いものとなる。
【0017】
そして、溝切り器が備えられる整地フロートにおける上下揺動範囲が広すぎると、溝切り器により溝を良好に形成することができないおそれがあるが、溝切り器が備えられる整地フロートにおける上下揺動範囲をそれ以外の整地フロートにおける上下揺動範囲よりも狭く設定することで、当該整地フロートの上方退避を可能にしながら、田面に溝を良好に形成することができるものとなる。
【0018】
本発明においては、前記複数の整地フロートが、車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在に備えられ、
前記溝切り器が、少なくとも前記横軸芯よりも車体前後方向後方側の領域を含む状態で、前記他の整地フロートの底面における車体前後方向後方側に備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、整地フロートは車体前後方向後方側に位置する横軸芯周りで上下揺動自在であるから、整地フロートが田面に接地しながら移動走行するとき、田面に押されてその前部側の領域が上向きに揺動変位しがちになる。つまり、整地フロートにおける上下揺動するときの横軸芯よりも車体前後方向後方側の領域は、前部側の領域とは反対に下方側に変位しがちになる。その結果、溝切り器は、田面に対して下方側に変位しがちになり、田面に対する溝の形成を良好に行い易いものとなる。
【0020】
本発明においては、前記複数の整地フロートに、田面に粉粒体を供給するための溝を形成する作溝器と、溝内に粉粒体が供給されたのちに溝を埋め戻すための覆土板とが備えられ、
前記他の整地フロートの底面に、前記覆土板よりも車体後方側に位置する状態で前記溝切り器が備えられていると好適である。
【0021】
本構成によれば、車体の移動走行に伴って、整地フロートに備えられた作溝器により田面に溝が形成されて、その溝に、例えば肥料等の粉粒体が供給され、さらに、溝内に粉粒体が供給されたのち、整地フロートに備えられた覆土板により溝が埋め戻される。そして、覆土板よりも後方側に位置する状態で他の整地フロートの底面に備えられた溝切り器により排水用の溝が形成される。
【0022】
つまり、整地フロートにより整地されて均された田面を利用して、均された田面に粉粒体を埋め込む処理を行うようにしながら、その粉粒体の供給を阻害しない状態で、溝切り器により排水用の溝を形成することができる。
【0023】
又、溝切り器と覆土板とを車体横幅方向に沿って並ぶ状態で備えると、両者の間の隙間に泥の塊が付着堆積して塞いでしまうおそれがあるが、上記したように溝切り器が覆土板よりも後方側に位置する構成としたので、溝切り器と覆土板との間に間隔をあけて泥を良好に通過させることができる。
【0024】
本発明においては、前記覆土板と前記溝切り器とが、車体正面視において車体横幅方向に沿って一部重複する状態で配備されていると好適である。
【0025】
本構成によれば、車体走行に伴って溝切り器が田面に作用する領域が、作溝器により形成された溝を覆土板にて埋め戻し作用する領域と一部重複するので、溝切り器による泥押し作用により、覆土板による埋め戻し作用を補助することができる。その結果、例えば、覆土板を小形の構造簡素なものにしたり、溝切り器により覆土板を兼用する構成として覆土板を省略する等、構成を簡素化させることが可能となる。
【0026】
本発明に係る水田作業機の特徴構成は、複数の整地フロートが、車体横幅方向に沿って並ぶ状態で、且つ、複数のうちのいずれかを作業高さ検出用の整地フロートとする状態で備えられ、
前記複数の整地フロートのうちの前記作業高さ検出用の整地フロート以外の少なくとも1つの他の整地フロートに、田面に排水用の溝を形成する溝切り器が備えられ、
前記他の整地フロートの底面と前記溝切り器の端縁との間の接合箇所における両者の接触面よりも車体前方側に位置して前記接触面よりも下方に突出する凸部が備えられている点にある
【0027】
本構成によれば、整地フロートと溝切り器との接合箇所に、圃場内に存在するワラ屑等の夾雑物が挟み込まれて堆積する等の不利を回避することができる。
【0028】
説明を加えると、整地フロートは、広い接地面を有するとともに、中空状に形成されるものであるから、一般的に合成樹脂による一体成形にて構成される。これに対して、溝切り器は、田面に溝を形成するための耐久性を備えるために金属材にて構成される。従って、合成樹脂材である整地フロートの表面に金属材からなる溝切り器を取付けると、整地フロートの底面と溝切り器の端縁との間の接合箇所に隙間が発生して、ワラ屑等の夾雑物が挟み込まれるおそれがある。
【0029】
そこで、両者の接合箇所における接触面よりも下方に突出する凸部を備えることで、整地フロートの底面と溝切り器の端縁との間の接合箇所にワラ屑等の夾雑物が挟み込まれることを回避することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】水田作業機の側面図である。
図2】水田作業機の平面図である。
図3】作業部の側面図である。
図4】作業部の縦断側面図である。
図5】作業部の背面図である。
図6】作業部の縦断背面図である。
図7】作業部下部の配置構成を示す平面図である。
図8】作業部の伝動系統図である。
図9】作業部フレームの斜視図である。
図10】昇降制御機構配設部の切欠き側面図である。
図11】ローリングロック機構を示す正面図である。
図12】ローリングロック機構を示す側面図である。
図13】サイドフロート配設部の縦断側面図である。
図14】サイドフロート配設部の平面図である。
図15】支持部材の斜視図である。
図16】別実施形態のサイドフロート配設部の縦断側面図である。
図17】別実施形態の溝切り器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明に係る水田作業機の実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、水田作業機は、左右一対の前輪1と左右一対の後輪2とを備えた走行車体3に運転部4を備えるとともに、走行車体3の後端に昇降用油圧シリンダ5の操作によりリンク機構6を介して昇降自在に作業部Aを連結して構成されている。運転部4には、左右の前輪1を操向操作するステアリングハンドル7、走行用変速レバー8、作業部Aの昇降操作等を行う操作レバー9等が備えられている。
【0032】
走行車体3の前部に搭載されたエンジン10からの駆動力をミッションケース11を介して前輪1に伝えると共に、後輪駆動ケース12を介して後輪2に伝える走行伝動系を備えている。また、ミッションケース11からの駆動力が外部出力軸13に伝えられ、更に、この外部出力軸13からの作業部Aにおけるフィードケース14に備えられた入力軸15に伝えられる作業伝動系を備えている。
【0033】
図3に示すように、リンク機構6は、走行車体3の後端に対して、その前端が揺動自在に支持されるアッパーリンク6a及び左右一対のロアーリンク6bを備えると共に、これらの後端に縦リンク6cが枢支連結されており、油圧シリンダ5の作動により後端部が昇降作動する。
【0034】
そして、縦リンク6cの下端位置に前後向き姿勢のローリング軸芯Xを中心として揺動自在に作業部Aが支持されている。すなわち、図3に示すように、作業部Aにおけるフィードケース14が、入力軸15よりも少し高い位置に設けられた回動支点部16にて、縦リンク6cに対して前後向き姿勢のローリング軸芯Xを中心として揺動自在に支持されている。
【0035】
作業部Aについて説明する。
図1及び図3に示すように、作業部Aは、圃場面に対して6条の表面播種を行う播種装置17、圃場面に対して粉粒状の肥料を供給する施肥装置18、圃場面に対して除草剤等の散布を行う薬剤散布装置19等を備える構成となっている。又、施肥装置18が最も機体前部側に位置し、その施肥装置18の機体後方側に播種装置17が位置し、さらに、播種装置17の機体後方側に薬剤散布装置19が位置するように、それらが前後方向に並ぶ状態で備えられている。又、作業部Aには、作業対象となる圃場面の整地を行う複数の整地フロートFとして、横幅方向中央に位置するセンターフロート20と、その左右両側に位置する左右一対のサイドフロート21とが備えられている。
【0036】
播種装置17は、播種される種子として鉄コーティング処理が行われた種籾を用い、整地フロートF(センターフロート20及びサイドフロート21)で整地された圃場面に対して6条分の播種を行うように構成されている。具体的には、複数の種子を1株分として前後方向に間隔をあけて播種するいわゆる点播を行うように構成されている。そして、この播種装置17では、鉄コーティング処理が行われた種籾を用いることにより、鳥害を抑制しながら圃場面への表面播種を実現している。
【0037】
尚、このような鉄コーティング処理した種籾を播種するときは、種籾が田面内に深く埋まらないように、硬めの田面となるように圃場の水分が調整される。そうすると、走行車体3が走行するときに、硬めの泥土が塊状になって後輪2の走行ラグ2Aにより持ち上げられて圃場に落下放出されて、田面上に落下して盛り上がることがある。
【0038】
図3図5に示すように、播種装置17は、種籾を貯留する種子ホッパー22と、種子ホッパー22から種子を繰り出す6個の種子繰出し部23と、各種子繰出し部23から繰り出された種子を風の影響を抑制した状態で直下方に案内する案内筒24とが備えられている。
【0039】
6個の種子繰出し部23は、平面視において圃場面に接地する整地フロートF(センターフロート20及びサイドフロート21)の後側に位置してその整地フロートFと重複しない状態で備えられ、その内部に備えられた種子繰出しロール25から繰り出された種子を、整地フロートFに干渉しない状態で自重で直接的に圃場面に落下供給できるように構成されている。
【0040】
案内筒24は、種子繰出し部23の下側に配置されて、前後方向視で下方側ほど狭くなるような下窄まり状で、且つ、後部が開放された平面視略コ字状に形成された板体にて構成され、上下方向に開放された状態で繰り出された種籾を下方へ落下させることができるように構成されている。
【0041】
施肥装置18は、図3図4及び図6に示すように、肥料を貯留する肥料ホッパー26と、肥料ホッパー26から肥料を繰り出す6個の肥料繰出し部27と、各肥料繰出し部27から繰り出された肥料を流下案内する6本の施肥ホース28と、施肥ホース28により流下案内される肥料を供給するための溝を圃場面に作成する作溝器29と、溝を埋め戻す覆土板30とが備えられている。
【0042】
図3に示すように、作溝器29は、圃場面に溝を切る溝切り具31と、その溝切り具31で作成された溝に肥料を案内するための肥料案内具32とを備えて構成されている。溝切り具31は、側面視で三角形状で且つ平面視で先細り状(クサビ状)に形成され、整地フロートFの底面から下方に突出する状態で連結されている。そして、ゴム製でジャバラの筒状の接続部材33が肥料案内具32の上部に取り付けられて、施肥ホース28が接続部材33に挿入されている。
【0043】
図7に示すように、覆土板30は、整地フロートFの底面における作溝器29よりも後方側に位置する箇所に取り付けられ、横幅方向外方側で且つ後方側に向けて片持ち状に延出する状態で備えられている。肥料繰出し部27は、図示しない肥料繰出しロールが、走行車体3から伝達される駆動力により回転し、回転する毎に凹部に受け入れた肥料を順次繰出すように構成されている。
【0044】
薬剤散布装置19は、図1に示すように、除草剤等の薬剤が貯留される薬剤ホッパー35の下部に本体ケース36が備えられている。この本体ケース36内には、詳述はしないが、薬剤ホッパー35に貯留された粉粒状の薬剤を繰り出す電動操作式の繰出し機構や繰り出された薬剤を飛散させるようにモータ駆動式の拡散羽根等を備えて構成されている。
【0045】
薬剤散布装置19は、播種幅(6条の幅)に対応した領域に薬剤の散布を行えるように肥料ホッパー26より上方の高い位置に配置され、また、平面視において薬剤散布装置19の全体が整地フロートFより後方に位置する状態で配置されている。
【0046】
作業部Aの伝動構造について説明する。
図8に示すように、走行車体3側からの動力が、ローリング軸芯Xの下部位置に備えられた入力軸15及びフィードケース14内のベベルギア機構40を介して、横向き伝動軸41に動力が伝達され、この横向き伝動軸41が車体横幅方向略全幅にわたって延設されている。
【0047】
そして、施肥装置18における各肥料繰出し部27の近傍に沿って車体横幅方向略全幅にわたって延設される施肥駆動軸42が備えられ、施肥装置18における各肥料繰出し部27の肥料繰出しロール34を2個ずつ回転駆動する3つの各条駆動軸43が備えられている。施肥駆動軸42の長手方向の右側端部に一体回動自在に一方向クラッチ39を介して揺動操作アーム44が備えられ、この揺動操作アーム44の揺動端部と横向き伝動軸41の右側端部に取り付けられた回転アーム45とを押し引きロッド46を介して連動連結させている。
【0048】
施肥駆動軸42に取り付けられた3つの駆動ギア47と、3つの各条駆動軸43夫々に取り付けられた従動ギア48とを夫々咬み合い連動させ、施肥駆動軸42の動力により6個の肥料繰出し部27の肥料繰出しロール34を駆動回転するように伝動系が構成されている。
【0049】
この構成によれば、横向き伝動軸41の回転に伴って回転アーム45が回転すると、押し引きロッド46を介して揺動操作アーム44が所定範囲で往復揺動操作され、施肥駆動軸42が一定方向に所定量ずつ回転駆動される。そして、肥料繰出し部27により肥料が順次繰出され、肥料繰出し部27から繰り出された肥料は施肥ホース28を通して圃場面に供給される。又、3つの各条駆動軸43に対して各別に伝動を入り切り自在な各条クラッチ49が備えられ、6条の全条に肥料を供給する状態と、一部の条(2条または4条)だけに肥料を供給する状態とに切り換えることができる。
【0050】
播種装置17における各種子繰出し部23の近傍に沿って車体横幅方向略全幅にわたって延設される播種駆動軸50が備えられ、播種装置17の右側端部に伝動ケース51が取り付けられている。そして、横向き伝動軸41の右側端部が、伝動ケース51内に備えられたチェーン式伝動機構52を介して播種駆動軸50に連動連結されている。
【0051】
播種駆動軸50に取り付けられた駆動ギア53と、各種子繰出し部23のロール軸55に取り付けられた従動ギア54とを夫々咬み合い連動させ、播種駆動軸50の動力により6個の種子繰出し部23の種子繰出しロール25を駆動回転するように伝動系が構成されている。又、図示はしていないが、各条クラッチ49の操作に連動して、6条全条に種子を供給する状態と、一部の条(2条または4条)だけに種子を供給する状態とに切り換えることができる。
【0052】
図9に作業部Aにおける作業部フレームDを示しており、以下、この作業部フレームDの構成について説明する。
前部側に、フィードケース14に一体的に連結されるとともに、車体横幅方向に沿って長尺状に延びる状態で角パイプ状のメインフレーム体56が備えられている。又、メインフレーム体56の下面に固定される状態で、且つ、前後方向に延びる状態で、前後向きフレーム体57が車体横方向に間隔をあけて複数設けられている。そして、複数の前後向きフレーム体57の後端部から縦向きフレーム体58が立設され、その縦向きフレーム体58に連結されて支持される状態で、且つ、車体横幅方向に沿って長尺状に延びる状態で角パイプ状の播種フレーム体59が設けられている。そして、6個の種子繰出し部23が夫々、この播種フレーム体59に支持されており、種子繰出し部23により種子ホッパー22と案内筒24が支持されている。
【0053】
又、複数の前後向きフレーム体57は、横幅方向両側端位置、及び、センターフロート20及び左右両側のサイドフロート21夫々の横幅方向中央位置に、合計5個備えられている。又、メインフレーム体における左右両側端部の夫々と、フィードケース14の上部から合計3本の支柱フレーム体60が固定立設されている。そして、これら3つの支柱フレーム体60の上端部同士を連結する状態で、且つ、車体横幅方向に沿って長尺状に延びる状態で角パイプ状の施肥フレーム体61が設けられている。そして、6個の肥料繰出し部27が夫々、この施肥フレーム体61に支持されており、肥料繰出し部27により肥料ホッパー26と施肥ホース28とが支持されている。
【0054】
このように作業部フレームDは、メインフレーム体56と、播種フレーム体59と、複数の前後向きフレーム体57の夫々により、平面視で略日の字状の支持強度の大きい枠組み構造体を形成している。
【0055】
フィードケース14の上端部から後方側に向かって中央支持フレーム体62が固定延設されている。中央支持フレーム体62は、側面視で略L字形に屈曲形成された丸パイプ材からなり、フィードケース14の上端部から後方に向けて延びる前後向き直線部分の後端側箇所が、播種フレーム体59に固定の支持部材62aにより支持されており、前後向き直線部分の後端部から上方に向けて縦向き部分が延設され、その上端部に薬剤散布装置19が支持されている。
【0056】
作業部Aは、上述したように、前後向き姿勢のローリング軸芯X周りで揺動自在に支持されているが、作業部Aを最大上昇位置まで上昇させた場合に、作業部Aの左右傾斜姿勢を強制的に中立位置に戻すためのローリングロック機構63が備えられている。
【0057】
すなわち、図10図12に示すように、左右一対のロアーリンク6bが夫々、縦リンク6cとの枢支連結位置よりも後方に延設され、その延設部にコの字の連結具64を介してロッド65が枢支連結されている。各ロッド65は、メインフレーム体56に固定したブラケット66を挿通する状態で上下方向に沿って配備されている。又、各ロッド65には、ブラケット66の上下両側においてコイルバネ67,68が外嵌装着され、上側のコイルバネ67は連結具64とブラケット66とにより受止め支持され、下側のコイルバネ68は、上端がブラケット66により、下端がロックナット69により受止め支持されている。このようにしてローリングロック機構63が構成されている。
【0058】
作業部Aを最大上昇位置まで上昇させると、左右一対のロッド65がメインフレーム体56に対して相対的に上昇して、下側のコイルバネ68が圧縮して密着状態となってローリング作動がロックされ、作業部Aの左右傾斜姿勢が中立位置になる。
【0059】
センターフロート20及び左右のサイドフロート21は、夫々に対応する位置に備えられた前後向きフレーム体57aに支持されている。以下、各フロート20,21の支持構造について説明する。
【0060】
図3に示すように、センターフロート20は、車体前後方向後方側に位置する横軸芯P周りで上下揺動自在に、且つ、前部側箇所が設定範囲内で上下移動を許容する状態で支持されている。
すなわち、図9にも示すように、センターフロート20に対応して備えられた前後向きフレーム体57aの後端部に平面視コの字型の支持部材70が下方に向けて延設される状態で連結固定され、支持部材70の下端部にセンターフロート20にボルト連結された正面視略U字状の支点ブラケット71が横軸芯P周りで揺動自在に枢支連結されている。
【0061】
センターフロート20の前部側は、所定範囲で昇降自在に吊り下げ支持される構成となっている。すなわち、図10及び図11に示すように、センターフロート20の上面部における前部側箇所に、固定用ブラケット72を介して、上下方向に長尺状で且つ正面視で略門形に形成された連係部材73が取り付けられている。この連係部材73の左右両側面に上下方向に長い長孔74が形成されている。そして、この長孔74を左右に挿通する固定ロッド75が、メインフレーム体56から前方に向けて片持ち状に固定延設された左右一対の支持アーム76により架設支持されている。つまり、センターフロート20は、連係部材73と固定ロッド75とを介してメインフレーム体56に支持される。そして、固定ロッド75と連係部材73とが長孔74の範囲内で相対上下動可能であるから、センターフロート20は、メインフレーム体56に対して長孔74の範囲内で上下揺動自在に支持されることになる。
【0062】
そして、このセンターフロート20の接地圧変動に伴う上下揺動姿勢の変化に応じて、揺動支点位置(P)の対地高さ(作業部Aの対地高さに対応する)が設定対地高さになるように、昇降用油圧シリンダ5の作動を制御する昇降制御機構77が備えられている。
【0063】
又、連係部材73の上面部に操作ワイヤ78におけるアウターワイヤ78aの端部が支持され、固定ロッド75に操作ワイヤ78におけるインナーワイヤ78bの端部が連結されており、この操作ワイヤ78は、昇降用油圧シリンダ5への作動油の給排状態を制御する油圧切換弁79に連動連係されている。そして、詳述はしないが、センターフロート20の前部側箇所の上下位置が設定位置になるように、言い換えると、作業部Aの対地高さが設定高さになるように、油圧切換弁79を切り換え操作するように連動連係されている。このようにして昇降制御機構77が構成されている。
【0064】
図11に示すように、昇降制御機構77を構成する連係部材73や左右一対の支持アーム76は、センターフロート20における左右中央位置よりも右側に偏倚した箇所に備えられており、ローリングロック機構63における左右のロッド65のうち右側に位置するロッド65が、平面視で左右一対の支持アーム76の左右中間に位置する状態で備えられている。
【0065】
左右両側のサイドフロート21は、センターフロート20と同様に、車体前後方向後方側に位置する横軸芯P周りで上下揺動自在に、且つ、前部側箇所が設定範囲内で上下移動を許容する状態で支持されている。
【0066】
図13に示すように、左右のサイドフロート21は、夫々、センターフロート20と同様に、各サイドフロート21に対応して備えられた前後向きフレーム体57aの後端部に一体的に連結された支持部材70に支持されている。
【0067】
支持部材70は、平面視で後向きに開放された略コの字状に形成されており、この支持部材70に対して、各サイドフロート21にボルト連結された正面視略U字状の支点ブラケット81が横軸芯P周りで揺動自在に枢支連結されている。
【0068】
左右両側のサイドフロート21及びセンターフロート20は、上下揺動軸芯位置(P)が同一の軸芯上に位置するように構成されており、図6に示すように、夫々の底面が田面に対して同じ高さになるように上下位置が設定されている。又、センターフロート20がサイドフロート21の前端部よりも前方に向けて突出しており、センターフロート20は、上下揺動軸芯位置(P)から前端部までの距離をできるだけ大きくさせてセンシング機能を高めることができるように構成されている。
【0069】
図13に示すように、サイドフロート21の前部側箇所において、サイドフロート21先端よりも前方側に突出する係合部材82が、サイドフロート21の上面にボルト固定される状態で備えられている。そして、この係合部材82に作用することで、サイドフロート21における上下揺動範囲をセンターフロート20における上下揺動範囲よりも狭い範囲に規制する揺動規制機構83が備えられている。
【0070】
すなわち、前後向きフレーム体57aの下面側における係合部材82に対向する箇所に接当係合部84が下方に向けて突出するように設けられ、又、前後向きフレーム体57aの下面側から下方に向けて延びる状態で係止ロッド85が備えられている。この係止ロッド85は、サイドフロート21の上下揺動を許容するように、係合部材82と前後向きフレーム体57aとを挿通する状態で設けられ、下端部に挿通孔86の横幅よりも大径の受止め部87が備えられ、上部にはロックナット86が備えられている。
【0071】
従って、サイドフロート21は、係合部材82が係止ロッド85とロックナット86とにより受止め係止することによりそれ以上の下降が規制され、係合部材82が接当係合部84に下側から接当してそれ以上の上昇が規制される構成となっており、係合部材82と接当係合部84とにより揺動規制機構83が構成されている。
【0072】
図13及び図14に示すように、左右両側のサイドフロート21の夫々における底面に、田面に排水用の溝を形成する溝切り器88が備えられている。この溝切り器88は、サイドフロート21の上下揺動軸芯Pの位置よりも車体前後方向後方側の領域に位置し、且つ、覆土板30よりも車体後方側に位置する状態で、覆土板30と車体正面視において車体横幅方向に沿って一部重複する状態で配備されている。
【0073】
溝切り器88は、サイドフロート21の底面よりも下方に突出する状態で備えられ、縦断面形状が略V字形となり、側面視で三角形状で且つ平面視で先細り状に形成される状態で、板状体にて形成されている。そして、サイドフロート21の上下揺動軸芯Pの位置よりも車体前後方向後方側の領域に位置する状態で、支持部材89を介してサイドフロート21に装着されている。
【0074】
図14及び図15に示すように、支持部材89は、平面視で先細り状に形成された板状体にて構成され、その広幅の後端側箇所を側面視で略コの字状に折り曲げて構成されている。溝切り器88は、この支持部材89の下面側に一体的に固定されており、支持部材89がサイドフロート21に取付固定されている。
【0075】
説明を加えると、支持部材89の後端側の略コの字状に折り曲げた折り曲げ部89Dをサイドフロート21の後端側を挟み込み保持する状態で支持するとともに、支持部材89の前部側箇所を連結用ボルト90により支点ブラケット81と共締め連結する状態で、サイドフロート21に取り付け固定されている。
【0076】
サイドフロート21は、合成樹脂材をブロー成形することにより形成されており、合成樹脂材の一体成形品にて構成されている。一方、溝切り器88は、耐久性が要求されるので金属材にて構成される。そして、サイドフロート21と溝切り器88との接合箇所に、圃場内に存在するワラ屑等の夾雑物が挟み込まれることがないように、サイドフロート21の底面と溝切り器88の端縁との間の接合箇所における両者の接触面よりも車体前方側に位置して接触面よりも下方に突出する凸部91が備えられている。
【0077】
すなわち、図13に示すように、サイドフロート21の底面の横方向中央部には、田面の表面に溜まる軟かい泥土等を横外側方に多量に押し流すことなく後方に逃がすための泥抜き用凹部92が形成されている。その泥抜き用凹部92が形成される中央板部93は、他の箇所よりも厚肉に形成された1枚板構造となっており、この中央板部93を利用して、支点ブラケット81、係合部材82、及び、支持部材89の夫々をボルト連結する構成となっている。又、泥抜き用凹部92は、サイドフロート21の上下揺動軸芯Pに相当する箇所まで後方に延びており、それよりも後方側の箇所は中空状に形成されている。
【0078】
その結果、泥抜き用凹部92の後方側に位置する中空部94では、サイドフロート21の底面は中央部93よりも下方側に位置することになる。つまり、支持部材89は、中央板部93に沿う水平姿勢の前部側水平部分89Aと、その前部側水平部分89Aに連なり且つ後方側ほど下方に位置する斜め姿勢となる斜め部分89Bと、その斜め部分89Bに連なり且つ中空部94の底面に沿う水平姿勢の後部側水平部分89Cとを備えるとともに、それに連なる状態で後端側の折り曲げ部89Dを備えて構成されている。
【0079】
そして、図13及び図15に示すように、支持部材89における後部側水平部分89Cの前端部を、溝切り器88の前端部の下端よりも下方に突出するように折り曲げ形成して凸部91を形成している。この凸部91は、サイドフロート21の底面と溝切り器88の端縁との間の接合箇所における両者の接触面よりも車体前方側に位置して接触面よりも下方に突出する状態となる。
【0080】
このように構成することで、サイドフロート21の底面と溝切り器88の端縁との間の接合箇所にワラ屑等の夾雑物が挟み込まれることを回避できるものとなる。
【0081】
図7図13及び図14に示すように、作業部Aには、走行車体3に備えられる後輪2の後方に位置する状態で、後輪2により跳ね上がる泥土が後方に飛散するのを防止する泥除け部材95が備えられている。そして、後綸の後方であって且つ泥除け部材95の後方に位置する状態でサイドフロート21が備えられている。
【0082】
そして、車体側面視で後輪2よりも後方側で、且つ、車体正面視で後輪2に対して左右横側方に偏倚した位置に、田面を整地するためのレーキ部材96が備えられている。又、このレーキ部材96は、車体側面視で泥除け部材95よりも前方側に偏倚した位置に備えられている。
【0083】
図13に示すように、左右のサイドフロート21に対応して備えられた前後向きフレーム体57aが、メインフレーム体56よりも車体前方側に向けて突出する状態で延長形成されており、その前後向きフレーム体57aにおける前端部に一体的に固定する状態で、縦向き姿勢の泥除け部材95が取り付けられている。
【0084】
泥除け部材95は、上側部分95Aが略鉛直状に形成されており、下側部分96Bが下方側ほど後方に位置する傾斜状に形成されている。又、上側部分96Aは、サイドフロート21の横幅と略同じ横幅で、且つ、メインフレーム体56の下端位置と略同じ位置からフィードケース14の上端部と略同じ位置にわたる上下幅にて形成されている。このように大型の泥除け部材95を備えることで、後輪2により跳ね上げられた泥土がサイドフロート21の上側に飛散したり、播種装置17や伝動機構等に飛散することを防止することができる。
【0085】
泥除け部材95は、上側部分95Aが略鉛直状に形成されることにより、後輪2により跳ね上げられた泥土が飛散しても、その飛散した泥土が泥除け部材95に付着しないように下方に落下させ易いものとなる。又、傾斜状の下側部分95Bを備えることにより、例えば、後輪2が通過することにより盛り上がり堆積した泥の塊をこの傾斜状の下側部分95Bにより下方に向けて押し下げることができ、盛り上がり堆積した泥土がサイドフロート21の上側に乗り上げたりすることを回避できるものとなる。
【0086】
図7に示すように、泥除け部材95に対して右側の横側方に偏倚した箇所に、メインフレーム体56の前面から前方側に固定延設された支持アーム97にて支持される状態で、レーキ部材96が備えられている。このレーキ部材96は、センターフロート20とサイドフロート21との間において整地作用するように、センターフロート20とサイドフロート21との間の隙間を埋めるように幅広に形成されるとともに、下端部が田面に近い低い位置まで延出する構成となっている。
【0087】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、溝切り器88が、サイドフロート21の横軸芯(上下揺動軸芯)Pの位置よりも車体前後方向後方側の領域に位置する状態で備えられる構成としたが、このような構成に限らず、溝切り器88が、上下揺動軸芯Pの位置よりも車体前後方向後方側の領域に位置するとともに、サイドフロート21の横軸芯Pの位置よりも車体前方側に延長形成される構成としてもよい。
【0088】
(2)サイドフロート21の底面と溝切り器88との間の接触面よりも下方に突出する凸部91として、支持部材89とは異なる他の専用の部材を用いて凸部を形成する構成としてもよく、又、サイドフロート21の底面に一体的に凸部91を形成するものでもよい。
【0089】
(3)溝切り器88を次のように構成してもよい。
すなわち、図16及び図17に示すように、サイドフロート21の底面よりも下方に突出する状態で、且つ、サイドフロート21の前部側箇所から後端部に至るまで前後方向に長く形成される状態で、支持部材101を介してサイドフロート21に装着される構成である。
【0090】
説明を加えると、溝切り器88は、支持部材101の下面側に一体的に固定されており、支持部材101がサイドフロート21に取付固定される構成となっている。そして、この溝切り器88は、前部側部分88Aが、縦断面形状が略V字形となり、側面視で略三角形状で且つ平面視で先細り状に形成される状態で、板状体にて形成されている。後部側部分88Bは、前部側部分88Aに一体的に連なる状態で形成されており、正面視で略V字状に配備された一対の板状部を前後方向に沿って略平行に延びる状態で備えて構成されている。尚、後部側部分88Bは、下端部において左右の板状部の間に隙間Sが形成されている。
【0091】
この溝切り器88は、前部側部分88Aが田面に溝を形成して、後部側部分88Bが形成された溝を崩れないように保持するようにしたものである。又、この実施形態では、溝切り器88と覆土板30とが車体前後方向で重複する状態で備えられることになる。この構成では、溝切り器88と覆土板30とにより、施肥用の溝に対する覆土作用が良好に行えるものとなる。
【0092】
又、図16に示すように、支持部材101は、帯状の板体の前端側箇所が側面視で略コの字状に折り曲げ形成されて、サイドフロート21の後端側を挟み込み保持する状態で支持されるとともに、前端側箇所が幅狭に形成されて連結用ボルト102により支点ブラケット81と共締め連結する状態でサイドフロート21に固定されている。又、支持部材101の前部に揺動規制機構83を構成する係合部材82が一体的に連結固定されている。
【0093】
(4)作業高さ検出用の整地フロート(センターフロート20)以外の他の整地フロートとして、3個以上のサイドフロート21を備え、そのうちの少なくとも1個又は2個以上のサイドフロート21に溝切り器88を備える構成とし、いずれかのサイドフロート21に溝切り器88を備えない構成としてもよい。
又、その場合、溝切り器88を備えるサイドフロート21における上下揺動範囲が、溝切り器88を備えないサイドフロート21における上下揺動範囲よりも狭く設定される構成としてもよい。
【0094】
(5)センターフロート20及び左右のサイドフロート21の底面を田面に対して高さが異なるように上下位置が設定されるものでもよい。
【0095】
(6)覆土板30と溝切り器88とが、車体正面視において車体横幅方向に沿って一部重複する状態で配備される構成に代えて、溝切り器88による泥押し機能を高めることにより、覆土板30を省略する構成としてもよい。
【0096】
(7)整地部材としては、レーキ部材に限らず、平板状の整地部材であってもよく、回転駆動式の整地ローラ等であってもよい。
【0097】
(8)上記実施形態では、水田作業機の一例として直播機を示したが、田植機等の他の種類の水田作業機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、直播機や田植機等の整地フロートを備えた水田作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
20,21,F 整地フロート
29 作溝器
30 覆土板
88,100 溝切り器
91 凸部
P 横軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17