【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え
、
前記粉粒体供給装置は、粉粒体貯留用のホッパを前記上部リンクの直後の位置に備えている。
【0007】
この手段によると、後部ステップの車体後部から後方への延出長さを長くして、後部ステップの後端を粉粒体供給装置に近づけるようにしても、リンク機構を、その上部リンクが後部ステップの凹部に入り込む高さ位置まで上昇させることができ、その分、粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることができる。
【0008】
又、後部ステップを、リンク機構の上部リンクとの干渉を回避するために高く配置する必要がないことから、後部ステップに対する移動が行い易くなる。
【0009】
更に、後部ステップの踏面が広くなることにより、後部ステップの踏面を粉粒体の仮置き部として利用することが可能になる。
【0010】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0011】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記走行車体の後部に、前記後部ステップを支持する補助フレームを備え、
前記補助フレームを、前記リンク機構の揺動支点の上方箇所に左右向きに配備する第1支持部材と、前記上部リンクの真上から左右に外れるように配置した状態で前記第1支持部材から後向きに延出した複数の第2支持部材とから構成した。
【0012】
この手段によると、補助フレームにリンク機構の上部リンクが干渉する不都合を招くことなく、後部ステップの全体を、補助フレームの第1支持部材と複数の第2支持部材によって安定性良く支持することができる。
【0013】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記粉粒体供給装置を、その上部に粉粒体貯留用のホッパを備えるように構成し、
前記粉粒体供給装置の最上昇位置では、少なくとも、前記ホッパの上部に形成した粉粒体補給用の開口が前記後部ステップよりも上方に位置するように構成した。
【0014】
この手段によると、後部ステップを利用して走行車体の後部から粉粒体供給装置のホッパ内に粉粒体を補給する際に、ホッパの開口が後部ステップよりも下方に位置する場合に比較して、補給作業者の屈み込み量を小さくすることができる。
【0015】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くすることができる。
【0016】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記ホッパに、前記開口を閉じる閉じ位置と、前記閉じ位置から後方に揺動変位して前記開口を開放する開き位置とに、前記ホッパの後上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動する蓋体を備えた。
【0017】
この手段によると、後部ステップを利用して走行車体の後部から粉粒体供給装置のホッパ内に粉粒体を補給する際に、蓋体の開閉操作を走行車体の後部から簡単に行うことができる。又、その補給の際に開き位置に位置する蓋体が邪魔になる不都合の発生を回避することができる。
【0018】
従って、粉粒体補給用の開口を閉じる蓋体を備えながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0019】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップの後端が、平面視において後車輪の車軸と前記後車輪の後端との間の位置に位置するように構成した。
【0020】
ところで、例えば、平面視において後部ステップの後端が後車輪の後端と同じ位置又は後車輪の後端よりも後方に位置するように後部ステップの後方への延出長さを長くした場合には、作業高さ位置まで下降させた状態では、左右の後車輪との干渉を回避するために左右の後車輪の後方に位置するように構成した粉粒体供給装置が、その上昇に伴って走行車体の後部に近づく際に、後部ステップの後部に干渉する不都合を招く虞がある。そして、この不都合を回避するためには、リンク機構の長さを長くする必要が生じる。
【0021】
つまり、後部ステップの後方への延出長さを不必要に長くしても、リンク機構の長さを長くする必要が生じるだけで、リンク機構の上昇揺動に伴って粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることはできなくなる。
【0022】
そこで、本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、上記のように後部ステップの後方への延出長さを規定しているのであり、これにより、後部ステップの後方への延出長さを不必要に長くすることに起因したリンク機構の大型化を回避することができる。
【0023】
従って、後部ステップ及びリンク機構の不必要な大型化を回避しながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0024】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記走行車体の後部に、前記粉粒体供給装置への粉粒体補給時に使用する手摺を備え、
前記後部ステップの後端と前記手摺の後端とが、前記走行車体の前後方向において略同じ位置に位置するように構成した。
【0025】
この手段によると、手摺を使用することにより、後部ステップに対する移動が行い易くなり、又、後部ステップを利用して行う粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を、より安定した状態で行うことができる。そして、後部ステップの後端と手摺の後端とが、走行車体の前後方向において略同じ位置に位置することにより、手摺を備えながらも、後部ステップを利用して行う粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を、粉粒体供給装置に最も接近した状態で行うことができる。
【0026】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くすることができる。
【0027】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップを前下がり傾斜姿勢で備えた。
【0028】
この手段によると、後部ステップ上の雨水や洗浄水などを、後部ステップの前側から速やかに流下させることができ、これにより、後部ステップ上に雨水や洗浄水などが滞留することに起因した後部ステップの腐食を回避することができる。又、作業時に後部ステップ上の雨水が粉粒体供給装置側に流れて、粉粒体供給装置による圃場への粉粒体の供給に悪影響を及ぼす虞などを回避することができる。
【0029】
従って、後部ステップの耐久性を向上させることができるとともに、粉粒体供給装置による圃場への粉粒体の供給を良好に行うことができる。
【0030】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成した。
【0031】
この手段によると、後部ステップを、複数の接合部を形成することによる補強を行いながら、軽量かつ安価に構成することができる。又、複数の接合部を形成するのに伴って得られる複数の凹部を、後部ステップの踏面側に形成することにより、後部ステップの踏面に滑り止め機能を持たせることができる。
【0032】
従って、後部ステップを、高い強度を有するとともに滑り止め機能を備えた状態で、軽量かつ安価に構成することができる。
【0033】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備えた。
【0034】
この手段によると、例えば、上部リンク係入用の凹部を、後部ステップの後部において下方から上方に向けて凹入するように形成する場合に比較して、凹部に対する上部リンクの入り込み量を大きくすることができ、その分、リンク機構の上限位置をより高くすることができ、粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることができる。
【0035】
そして、後部ステップの後端から前方に向けて凹入する凹部を、カバー部材によって、カバー部材に上部リンクが干渉する不都合を招くことなく覆い隠すことができる。又、上部リンク及び上部リンクに沿って配索した連係ワイヤや電線などを、カバー部材によって保護することができる。
【0036】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くしながら、上部リンクなどの保護を良好に行うことができる。
【0037】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成し、
前記接合部を、前記走行車体の後部に備えた後部ステップ支持用の補助フレームと前記後部ステップとの連結箇所に形成し、
前記後部ステップを、その踏面からの前記接合部の凹入深さが、前記補助フレームと前記後部ステップとを連結する連結具の上端が前記踏面から上方に突出しない深さとなるように構成した。
【0038】
この手段によると、後部ステップの接合部を補助フレームに対する連結部に兼用することができる上に、後部ステップを利用して粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を行う際に、足が連結具に引っ掛かる虞を回避することができる。
【0039】
従って、後部ステップの構成の簡素化を図りながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を良好に行うことができる。
【0040】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備え、
前記後部ステップを、左右対称形状の2つのステップ部に分割可能な左右2分割構造に構成し、
前記ステップ部を、上下対称形状の左右兼用構造に構成した。
【0041】
この手段によると、同じ金型を使用して形成した同一形状の2つのステップ部を、走行車体の後部において、一方を上下反転させた状態で左右に並べて配備することにより、後部ステップを構成することができる。
【0042】
従って、後部ステップをより簡単かつ安価に構成することができる。