特許第5984692号(P5984692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984692
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】粉粒体供給作業機の後部構造
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20160823BHJP
   A01C 7/08 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A01C15/00 J
   A01C7/08 310E
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-8731(P2013-8731)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-138568(P2014-138568A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】福永 究
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
(72)【発明者】
【氏名】松村 哲也
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−246428(JP,A)
【文献】 特開平09−191716(JP,A)
【文献】 特開2003−235312(JP,A)
【文献】 特開平11−289818(JP,A)
【文献】 特開平05−049315(JP,A)
【文献】 特開2007−089499(JP,A)
【文献】 特開平03−050047(JP,A)
【文献】 特開平11−089336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/00− 9/08
A01C 11/02
A01C 15/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え
前記粉粒体供給装置は、粉粒体貯留用のホッパを前記上部リンクの直後の位置に備えている粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項2】
前記走行車体の後部に、前記後部ステップを支持する補助フレームを備え、
前記補助フレームを、前記リンク機構の揺動支点の上方箇所に左右向きに配備する第1支持部材と、前記上部リンクの真上から左右に外れるように配置した状態で前記第1支持部材から後向きに延出した複数の第2支持部材とから構成した請求項1に記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項3】
前記粉粒体供給装置を、その上部に前記ホッパを備えるように構成し、
前記粉粒体供給装置の最上昇位置では、少なくとも、前記ホッパの上部に形成した粉粒体補給用の開口が前記後部ステップよりも上方に位置するように構成した請求項1又は2に記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項4】
前記ホッパに、前記開口を閉じる閉じ位置と、前記閉じ位置から後方に揺動変位して前記開口を開放する開き位置とに、前記ホッパの後上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動する蓋体を備えた請求項3に記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項5】
前記後部ステップの後端が、平面視において後車輪の車軸と前記後車輪の後端との間の位置に位置するように構成した請求項1〜4のいずれか一つに記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項6】
前記走行車体の後部に、前記粉粒体供給装置への粉粒体補給時に使用する手摺を備え、
前記後部ステップの後端と前記手摺の後端とが、前記走行車体の前後方向において略同じ位置に位置するように構成した請求項1〜5のいずれか一つに記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項7】
前記後部ステップを前下がり傾斜姿勢で備えた請求項1〜6のいずれか一つに記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項8】
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成した請求項1〜7のいずれか一つに記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項9】
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備えた請求項1〜8のいずれか一つに記載の粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項10】
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成し、
前記接合部を、前記走行車体の後部に備えた後部ステップ支持用の補助フレームと前記後部ステップとの連結箇所に形成し、
前記後部ステップを、その踏面からの前記接合部の凹入深さが、前記補助フレームと前記後部ステップとを連結する連結具の上端が前記踏面から上方に突出しない深さとなるように構成した粉粒体供給作業機の後部構造。
【請求項11】
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備え、
前記後部ステップを、左右対称形状の2つのステップ部に分割可能な左右2分割構造に構成し、
前記ステップ部を、上下対称形状の左右兼用構造に構成した粉粒体供給作業機の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備えた粉粒体供給作業機の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、粉粒体供給作業機の一例である直播機などにおいては、後部ステップを、その走行車体の後部から後方への延出長さが、最上昇位置に位置するリンク機構の上部リンクに後部ステップの後部が干渉しない短い長さになるように構成していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−127619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、リンク機構の最上昇位置を高くするほど、リンク機構を最上昇位置まで上昇させた際に粉粒体供給装置を後部ステップに近づけることができる反面、後部ステップの後方への延出長さが短くなることから、後部ステップと粉粒体供給装置との離間距離を短くすることが難しく、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給が行い難くなっていた。
【0005】
本発明の目的は、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え
前記粉粒体供給装置は、粉粒体貯留用のホッパを前記上部リンクの直後の位置に備えている
【0007】
この手段によると、後部ステップの車体後部から後方への延出長さを長くして、後部ステップの後端を粉粒体供給装置に近づけるようにしても、リンク機構を、その上部リンクが後部ステップの凹部に入り込む高さ位置まで上昇させることができ、その分、粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることができる。
【0008】
又、後部ステップを、リンク機構の上部リンクとの干渉を回避するために高く配置する必要がないことから、後部ステップに対する移動が行い易くなる。
【0009】
更に、後部ステップの踏面が広くなることにより、後部ステップの踏面を粉粒体の仮置き部として利用することが可能になる。
【0010】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0011】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記走行車体の後部に、前記後部ステップを支持する補助フレームを備え、
前記補助フレームを、前記リンク機構の揺動支点の上方箇所に左右向きに配備する第1支持部材と、前記上部リンクの真上から左右に外れるように配置した状態で前記第1支持部材から後向きに延出した複数の第2支持部材とから構成した。
【0012】
この手段によると、補助フレームにリンク機構の上部リンクが干渉する不都合を招くことなく、後部ステップの全体を、補助フレームの第1支持部材と複数の第2支持部材によって安定性良く支持することができる。
【0013】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記粉粒体供給装置を、その上部に粉粒体貯留用のホッパを備えるように構成し、
前記粉粒体供給装置の最上昇位置では、少なくとも、前記ホッパの上部に形成した粉粒体補給用の開口が前記後部ステップよりも上方に位置するように構成した。
【0014】
この手段によると、後部ステップを利用して走行車体の後部から粉粒体供給装置のホッパ内に粉粒体を補給する際に、ホッパの開口が後部ステップよりも下方に位置する場合に比較して、補給作業者の屈み込み量を小さくすることができる。
【0015】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くすることができる。
【0016】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記ホッパに、前記開口を閉じる閉じ位置と、前記閉じ位置から後方に揺動変位して前記開口を開放する開き位置とに、前記ホッパの後上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動する蓋体を備えた。
【0017】
この手段によると、後部ステップを利用して走行車体の後部から粉粒体供給装置のホッパ内に粉粒体を補給する際に、蓋体の開閉操作を走行車体の後部から簡単に行うことができる。又、その補給の際に開き位置に位置する蓋体が邪魔になる不都合の発生を回避することができる。
【0018】
従って、粉粒体補給用の開口を閉じる蓋体を備えながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0019】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップの後端が、平面視において後車輪の車軸と前記後車輪の後端との間の位置に位置するように構成した。
【0020】
ところで、例えば、平面視において後部ステップの後端が後車輪の後端と同じ位置又は後車輪の後端よりも後方に位置するように後部ステップの後方への延出長さを長くした場合には、作業高さ位置まで下降させた状態では、左右の後車輪との干渉を回避するために左右の後車輪の後方に位置するように構成した粉粒体供給装置が、その上昇に伴って走行車体の後部に近づく際に、後部ステップの後部に干渉する不都合を招く虞がある。そして、この不都合を回避するためには、リンク機構の長さを長くする必要が生じる。
【0021】
つまり、後部ステップの後方への延出長さを不必要に長くしても、リンク機構の長さを長くする必要が生じるだけで、リンク機構の上昇揺動に伴って粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることはできなくなる。
【0022】
そこで、本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、上記のように後部ステップの後方への延出長さを規定しているのであり、これにより、後部ステップの後方への延出長さを不必要に長くすることに起因したリンク機構の大型化を回避することができる。
【0023】
従って、後部ステップ及びリンク機構の不必要な大型化を回避しながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を行い易くすることができる。
【0024】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記走行車体の後部に、前記粉粒体供給装置への粉粒体補給時に使用する手摺を備え、
前記後部ステップの後端と前記手摺の後端とが、前記走行車体の前後方向において略同じ位置に位置するように構成した。
【0025】
この手段によると、手摺を使用することにより、後部ステップに対する移動が行い易くなり、又、後部ステップを利用して行う粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を、より安定した状態で行うことができる。そして、後部ステップの後端と手摺の後端とが、走行車体の前後方向において略同じ位置に位置することにより、手摺を備えながらも、後部ステップを利用して行う粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を、粉粒体供給装置に最も接近した状態で行うことができる。
【0026】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くすることができる。
【0027】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップを前下がり傾斜姿勢で備えた。
【0028】
この手段によると、後部ステップ上の雨水や洗浄水などを、後部ステップの前側から速やかに流下させることができ、これにより、後部ステップ上に雨水や洗浄水などが滞留することに起因した後部ステップの腐食を回避することができる。又、作業時に後部ステップ上の雨水が粉粒体供給装置側に流れて、粉粒体供給装置による圃場への粉粒体の供給に悪影響を及ぼす虞などを回避することができる。
【0029】
従って、後部ステップの耐久性を向上させることができるとともに、粉粒体供給装置による圃場への粉粒体の供給を良好に行うことができる。
【0030】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成した。
【0031】
この手段によると、後部ステップを、複数の接合部を形成することによる補強を行いながら、軽量かつ安価に構成することができる。又、複数の接合部を形成するのに伴って得られる複数の凹部を、後部ステップの踏面側に形成することにより、後部ステップの踏面に滑り止め機能を持たせることができる。
【0032】
従って、後部ステップを、高い強度を有するとともに滑り止め機能を備えた状態で、軽量かつ安価に構成することができる。
【0033】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備えた。
【0034】
この手段によると、例えば、上部リンク係入用の凹部を、後部ステップの後部において下方から上方に向けて凹入するように形成する場合に比較して、凹部に対する上部リンクの入り込み量を大きくすることができ、その分、リンク機構の上限位置をより高くすることができ、粉粒体供給装置を後部ステップに更に近づけることができる。
【0035】
そして、後部ステップの後端から前方に向けて凹入する凹部を、カバー部材によって、カバー部材に上部リンクが干渉する不都合を招くことなく覆い隠すことができる。又、上部リンク及び上部リンクに沿って配索した連係ワイヤや電線などを、カバー部材によって保護することができる。
【0036】
従って、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を更に行い易くしながら、上部リンクなどの保護を良好に行うことができる。
【0037】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記後部ステップを樹脂製のブロー成型品で構成し、
前記後部ステップに、その上面側と下面側とを接合する複数の接合部を形成し、
前記接合部を、前記走行車体の後部に備えた後部ステップ支持用の補助フレームと前記後部ステップとの連結箇所に形成し、
前記後部ステップを、その踏面からの前記接合部の凹入深さが、前記補助フレームと前記後部ステップとを連結する連結具の上端が前記踏面から上方に突出しない深さとなるように構成した。
【0038】
この手段によると、後部ステップの接合部を補助フレームに対する連結部に兼用することができる上に、後部ステップを利用して粉粒体供給装置に対する粉粒体の補給を行う際に、足が連結具に引っ掛かる虞を回避することができる。
【0039】
従って、後部ステップの構成の簡素化を図りながら、後部ステップを利用した走行車体の後部から粉粒体供給装置への粉粒体の補給を良好に行うことができる。
【0040】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
走行車体の後部に、上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置を昇降可能に装備し、
前記リンク機構の上方において、前記走行車体の後部から前記粉粒体供給装置に向けて延出する後部ステップを備え、
前記後部ステップの後部に、前記リンク機構に備えた上部リンクの入り込みを許容する凹部を備え、
前記凹部を、前記後部ステップの後端から前方に向けて凹入するように形成し、
前記走行車体の後部に、前記凹部に係入した前記上部リンクを上方から覆うカバー部材を備え、
前記後部ステップを、左右対称形状の2つのステップ部に分割可能な左右2分割構造に構成し、
前記ステップ部を、上下対称形状の左右兼用構造に構成した。
【0041】
この手段によると、同じ金型を使用して形成した同一形状の2つのステップ部を、走行車体の後部において、一方を上下反転させた状態で左右に並べて配備することにより、後部ステップを構成することができる。
【0042】
従って、後部ステップをより簡単かつ安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】乗用播種機の左側面図である。
図2】乗用播種機の平面図である。
図3】乗用播種機の後部構造を示す要部の左側面図である。
図4】後部ステップの構成及び支持構造を示す要部の平面図である。
図5】後部ステップの構成及び支持構造を示す要部の左縦断側面図である。
図6】後部ステップを利用した車体後部から施肥装置のホッパへの肥料補給状態を示す要部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る粉粒体供給作業機の後部構造を、粉粒体供給作業機の一例である乗用播種機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0045】
図1及び図2に示すように、本実施形態で例示する乗用播種機は、乗用型の4輪駆動形式に構成した走行車体1の後部に、単動型の油圧シリンダを採用した昇降シリンダ2の作動によって上下揺動するリンク機構3を介して、6条用の播種ユニット4を昇降可能に装備して構成している。
【0046】
走行車体1は、その前部に防振搭載したエンジン5からの動力を、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置(図示せず)、及び、副変速装置として備えたギア式変速装置(図示せず)、などを介して、その前部に配備した左右の前車輪6、及び、その後部に配備した左右の後車輪7に伝達するように構成している。走行車体1の後部側には、搭乗ステップ8、前輪操舵用のステアリングホイール9、及び、前後方向に位置調節可能な運転座席10、などを配備して搭乗運転部11を形成している。走行車体1の左右には、搭乗面積を左右に拡張する左右の拡張ステップ12を配備している。搭乗運転部14の後方には、リンク機構3及び左右の後車輪7などの上方において、走行車体1の後部から播種ユニット4に向けて延出する後部ステップ13を配備している。
【0047】
図1〜4及び図6に示すように、リンク機構3は、走行車体1の後部フレーム14に上下揺動可能に連結した上部リンク15と左右の下部リンク16、及び、それらの遊端部である後端部にわたる縦リンク17、などを備えて、平行リンク形式に構成している。
【0048】
図1〜3及び図6に示すように、播種ユニット4は、リンク機構3の縦リンク17に連結した支持フレーム18に、粉粒体供給装置Aの一例である6条用の播種装置19、粉粒体供給装置Aの一例である6条用の施肥装置20、粉粒体供給装置Aの一例である薬剤散布装置21、作業走行時に作業対象の圃場泥面を整地する3つの整地フロート22、現在の作業走行経路での作業走行に伴って隣接する次回の作業走行経路での作業走行時に使用する走行指標を圃場泥面に形成する左右のマーカ23、及び、作業走行に伴って圃場に排水溝を形成する左右一対の溝切具24、などを備えて構成している。
【0049】
図1図2及び図6に示すように、播種装置19は、粉粒体の一例である鉄コーティング処理が施された種籾を3条分ずつ貯留する左右のホッパ25、対応するホッパ25から所定量の種籾を間欠的に繰り出す6基の繰出機構26、及び、対応する繰出機構26が繰り出した種籾を該繰出機構26の真下に位置する整地後の圃場泥面に流下案内する6つの案内具27、などを備えて構成している。そして、外部伝動軸28などを介して伝達される走行車体1からの作業用の動力によって各繰出機構26が作動することにより、所定量の種籾を1株分として前後方向に所定間隔をあけながら6条分の播種を行う点播式の6条用に構成している。
【0050】
種籾貯留用のホッパ25には、その上部に形成した種籾補給用の開口を閉じる閉じ位置と、その閉じ位置から前方に揺動変位して開口を開放する開き位置とに、ホッパ25の前上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動する蓋体29を備えている。
【0051】
施肥装置20は、粉粒体の一例である粒状の肥料を3条分ずつ貯留する左右のホッパ30、対応するホッパ30から所定量の肥料を間欠的に繰り出す6基の繰出機構31、対応する繰出機構26が繰り出した肥料を流下案内する案内ホース32、及び、整地後の圃場泥面に施肥溝を形成して対応する案内ホース32が案内した肥料を圃場に埋没させる6つの作溝器33、などから構成して播種装置19の前方に配備している。そして、外部伝動軸28などを介して伝達される走行車体1からの作業用の動力によって各繰出機構31が作動することにより、6条分の施肥を行うように構成している。
【0052】
肥料貯留用のホッパ30には、その上部に形成した種籾補給用の開口を閉じる閉じ位置と、その閉じ位置から後方に揺動変位して開口を開放する開き位置とに、ホッパ30の後上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動する蓋体34を備えている。
【0053】
図1及び図2に示すように、薬剤散布装置21は、粉粒体の一例である粉状の除草剤などの薬剤を貯留するホッパ35、及び、ホッパ35から所定量の薬剤を間欠的に繰り出して圃場に散布する電動式の散布機構36、などから構成して播種装置19の後方に配備している。そして、上部リンク15に沿って配索した電線(図示せず)などを介して伝達される走行車体1からの電力によって散布機構36が作動することにより、6条分の作業領域に薬剤を散布するように構成している。
【0054】
図1及び図3〜6に示すように、後部フレーム14における左右の横外側部には、丸パイプ鋼材などからなる左右の支持部材37を連結している。各支持部材37は、側面視の形状が略L字状で、それらの上部37Aがリンク機構3の揺動支点P1,P2の上方箇所において横外方に向けて延出するように屈曲形成している。そして、左右の支持部材37には、それらの上部37Aにわたるように後部ステップ支持用の補助フレーム38を架設している。補助フレーム38は、角パイプ鋼材からなる左右向きの第1支持部材39、及び、第1支持部材39から後上向きに延出する状態となるように第1支持部材39に溶接したチャンネル鋼材からなる6本の第2支持部材40、などによって、後部ステップ13を下方から受け止め支持するように構成している。第1支持部材39は、後部フレーム14におけるリンク機構3の揺動支点P1,P2の上方箇所に左右向きの姿勢で位置するように左右の支持部材37の上部37Aに連結している。各第2支持部材40は、左右方向に一定間隔をあけた状態で、上部リンク15の真上から左右に外れるように上部リンク15の真上を基準にして左右に振り分け配置している。
【0055】
図1〜6に示すように、左右の拡張ステップ12において、それらの外枠を形成する丸パイプ鋼材からなる枠部材41には、後上方に向けて延出する支持部41Aを屈曲形成している。又、各支持部41Aには、帯板鋼材からなる支持部材42を立設している。そして、左右それぞれの支持部41Aの上端と支持部材42の上端とに、後部ステップ13における拡張ステップ12の後方箇所を下方から受け止め支持する板金製の支持台43を溶接している。左右の支持台43は、その前端が左右の拡張ステップ12の後端と一致又は略一致するように配置している。
【0056】
後部ステップ13は、走行車体1の後部に装備した状態では、平面視において、その前端が左右の支持台43の前端と一致又は略一致し、かつ、その後端が、左右の後車輪7の車軸44と左右の後車輪7の後端との中間位置よりも後端側に位置する状態となるように、所定の前後長さを有するように構成している。又、その左端が、施肥装置20における左側のホッパ30の左端と一致又は略一致し、かつ、その右端が、施肥装置20における右側のホッパ30の右端と一致又は略一致する状態となるように、所定の左右幅を有するように構成している。
【0057】
上記の構成から、後部ステップ13は、走行車体1の後部に装備した状態では、その前端が左右の拡張ステップ12の後端と一致又は略一致するようになっている。これにより、左右の拡張ステップ12と後部ステップ13との間での移動が行い易くなっている。又、施肥装置20の左右幅と同じ又は略同じ左右幅を有する状態で、走行車体1の後部から施肥装置20のホッパ30の近くまで延出するようになっている。これにより、走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合には、後部ステップ13を踏台として利用することにより、その肥料補給を容易に行うことができる。又、後部ステップ13の踏面が広くなることから、後部ステップ13の踏面を袋入りの種籾や肥料などの仮置き部として利用することができる。
【0058】
図1図3図5及び図6に示すように、後部ステップ13は、後部ステップ上の雨水や洗浄水などを後部ステップ13の前側から流下させるために、走行車体1の後部に装備した状態では、その流下を可能にする勾配を有する前下がり傾斜姿勢となるように構成している。これにより、後部ステップ上に雨水や洗浄水などが滞留することに起因した後部ステップ13の腐食を回避することができる。又、作業走行時に後部ステップ上の雨水が播種ユニット側に流れて、播種ユニット4による圃場への播種や施肥などに悪影響を及ぼす虞などを回避することができる。
【0059】
図1〜4及び図6に示すように、後部ステップ13の前部には、搭乗運転部11の搭乗運転領域を確保するための第1凹部13Aを形成している。後部ステップ13の後部には、施肥装置20の各ホッパ30を車体後部に近づけるためにリンク機構3を上限位置まで上昇揺動させた際に、上部リンク15の入り込みを許容して上部リンク15との干渉を防止する第2凹部13Bを、後部ステップ13の後端から前方に向けて凹入するように形成している。又、その第2凹部13Bに係入した上部リンク15を上方から覆う板金製のカバー部材45を装備している。
【0060】
そして、後部ステップ13に第1凹部13Aを形成したことにより、平面視において、後部ステップ13の前端が左右の拡張ステップ12の後端と一致又は略一致するように構成しながら、搭乗運転部11での運転に後部ステップ13が支障を来す虞を回避している。
【0061】
又、後部ステップ13に第2凹部13Bを形成したことにより、リンク機構3の上限位置を、リンク機構3の上部リンク15が後部ステップ13の後部に干渉することを回避しながら、より高くすることができる。これにより、後部ステップ13を利用して走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合には、施肥装置20の各ホッパ30を後部ステップ13に更に近づけることができる。
【0062】
更に、カバー部材45を設けたことにより、カバー部材45にリンク機構3の上部リンク15が干渉する不都合を招くことなく、第2凹部13Bをカバー部材45によって覆い隠すことができる。又、上部リンク15及び上部リンク15に沿って配索した電線などを、カバー部材45によって保護することができる。
【0063】
図1図2及び図6に示すように、走行車体1の後部には、後部ステップ13に対する移動を行う場合や、後部ステップ13を利用して走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合に使用する手摺46を備えている。手摺46は、側面視の形状が略下向きU字状となるように屈曲形成した丸パイプ鋼材などからなる左右の横手摺部材47、及び、それらの後端上部にわたるように架設した丸パイプ鋼材などからなる後手摺部材48、により構成している。
【0064】
左右の横手摺部材47は、それらの前端部を後部フレーム14の対応する横側部に連結している。又、それらの後端部を左右の対応する支持部材37の上部37Aに連結している。そして、それらにおいて後部ステップ13よりも上方に位置する上部側が、後部ステップ13の横側端よりも横外側に位置するように構成している。これにより、後部ステップ13に対する移動領域となる運転座席10と各横手摺部材47の上部側との間を広くすることができ、後部ステップ13に対する移動を行い易くすることができる。
【0065】
後手摺部材48は、それらの後端が後部ステップ13の後端と走行車体1の前後方向において略同じ位置に位置するように構成している。これにより、後部ステップ13を利用して走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合には、後部ステップ13における施肥装置20の各ホッパ30に対する最接近位置まで無理なく移動することができ、その最接近位置から施肥装置20の各ホッパ30に対する肥料補給を行うことができる。
【0066】
施肥装置20の各ホッパ30は、後部ステップ13に第2凹部13Bを形成したことにより、リンク機構3を上限位置まで上昇させた場合に得られる施肥装置20の最上昇位置では、各ホッパ30の開口が、後部ステップ13よりも上方に移動して、手摺46の後上端部に近い高さ位置に位置するようになっている。これにより、走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合には、肥料袋を手摺46の後上端部に乗せた状態で行うことが可能になり、よって、肥料補給に要する労力を軽減することができる。
【0067】
又、前述したように、施肥装置20における各ホッパ30の開口を開閉する蓋体34を、各ホッパ30の後上端部に備えた左右向きの軸心を支点にして開閉揺動するように構成したことにより、走行車体1の後部からの各蓋体34の開閉操作が行い易くなるとともに、車体後部から施肥装置20の各ホッパ30への肥料補給の際に、開き位置に位置する蓋体34が邪魔になる不都合の発生を回避することができる。
【0068】
図1〜6に示すように、後部ステップ13は、左右のステップ部49に分割可能な左右2分割構造に構成している。左右のステップ部49は、それらの隣接端側の前部に第1凹部形成用の第1切欠部49Aを備え、かつ、隣接端側の後部に第2凹部形成用の第2切欠部49Bを備えるように形成した樹脂製のブロー成型品で構成している。そして、それらにおける補助フレーム38の各第2支持部材40との対向箇所には前後2カ所ずつ、又、左右の支持台43との対向箇所には1カ所ずつ、それらの上面側と下面側とを接合することによって補強する接合部49Cを形成し、これらの接合部48Cが、各第2支持部材40及び各支持台43とのボルト連結部を兼ねるように構成している。各ステップ部49の上下両面には、それらの前部側に端部を備える補強用の周縁部49Dと、横長の複数の補強リブ49Eとを上下方向に突出形成している。
【0069】
各接合部49Cは、各ステップ部49において、それらの上面からの凹入深さと下面からの凹入深さとが同じになり、又、左側のステップ部49での配置と右側のステップ部49での配置とが左右対称となるように形成している。周縁部49Dは、各ステップ部49において、それらの上面側での形状と下面側での形状とが上下対称となり、又、左側のステップ部49での形状と右側のステップ部49での形状とが左右対称となるように形成している。各補強リブ49Eは、各ステップ部49において、それらの上面側での形状と下面側での形状とが上下対称となり、又、左側のステップ部49での形状と右側のステップ部49での形状とが左右対称となるように形成している。又、それらの上面側での配置と下面側での配置とが上下対称となり、又、左側のステップ部49での配置と右側のステップ部49での配置とが左右対称となるように千鳥状に配置している。
【0070】
つまり、後部ステップ13を、左右対称形状の2つのステップ部49に分割可能な左右2分割構造に構成し、かつ、ステップ部49を、上下対称形状の左右兼用構造に形成している。これにより、左右のステップ部49を、同じ金型を使用して安価に成型することができる。又、同じ金型を使用して形成した同一形状の2つのステップ部49を、走行車体1の後部において、一方を上下反転させた状態で左右に並べて配備することにより、後部ステップ13を簡単に構成することができる。そして、この後部ステップ13においては、各接合部49Cの上面側と、上面側の各周縁部49D及び各補強リブ49Eとが、後部ステップ13の踏面での滑りを防止する滑止部として機能するようになっている。又、各ステップ部49の周縁部49Dをステップ部49の前部側に端部を備えるように形成し、かつ、各補強リブ49Eを千鳥状に配置したことにより、それらを滑止部として機能させながらも、後部ステップ上の雨水や洗浄水などを後部ステップ13の前側から流下させることができる。
【0071】
図1図3図5及び図6に示すように、左右のステップ部49は、それらの前部側において前端側ほど上下幅が狭くなる先窄まり形状が得られるように、上下両面の前部側を同じ勾配で傾斜させている。これにより、ステップ部49の上下いずれの面を後部ステップ13の踏面に使用した場合であっても、後部ステップ上の雨水や洗浄水などの後部ステップ13の前側からの流下を促進させることができる。
【0072】
図4及び図5に示すように、各ステップ部49において、それらの上下各面からの各接合部49Cの凹入深さは、補助フレーム38の各第2支持部材40又は左右の支持台43にステップ部49を連結する連結具としてのボルト50の頭部が、各ステップ部49の踏面から上方に突出しない深さに設定している。これにより、後部ステップ13を利用して走行車体1の後部から施肥装置20の各ホッパ30に肥料を補給する場合に、足がボルト50の頭部に引っ掛かる虞を回避することができる。
【0073】
図5に示すように、補助フレーム38の各第2支持部材40及び左右の支持台43は、それらの左右の支持台43との連結箇所に、それらの連結箇所に対応するステップ部49における接合部49Cの凹入深さと同じ長さを有する丸パイプ鋼材からなるスペーサ51を立設している。これにより、補助フレーム38の各第2支持部材40及び左右の支持台43に各ステップ部49をボルト連結する場合に、補助フレーム38の各第2支持部材40及び左右の支持台43に対する各ステップ部49の位置決めを簡単に行うことができる。又、そのボルト連結の際に、各ステップ部49の各接合部49Cが下向きに変形するなどの不都合の発生を防止することができる。
【0074】
図2及び図4に示すように、カバー部材45は、補助フレーム38における後部ステップ13の第2凹部13Bに隣接する2つの第2支持部材40と後部ステップ13とのボルト連結箇所に共締め連結している。これにより、後部ステップ13にカバー部材専用の連結部を形成する場合に比較して、後部ステップ13を簡単な形状で安価に構成することができる。
【0075】
〔別実施形態〕
【0076】
〔1〕粉粒体供給作業機としては、走行車体1の後部に上下揺動式のリンク機構3を介して粉粒体供給装置Aの一例である播種装置19のみを昇降可能に装備した乗用播種機、播種装置19に加えて粉粒体供給装置Aの一例である施肥装置20を昇降可能に装備した乗用播種機、播種装置19に加えて粉粒体供給装置Aの一例である薬剤散布装置21を昇降可能に装備した乗用播種機、粉粒体供給装置Aの一例である施肥装置20のみを昇降可能に装備した乗用施肥機、施肥装置20として側条用のものと深層用のものとを昇降可能に装備した乗用施肥機、施肥装置20に加えて粉粒体供給装置Aの一例である薬剤散布装置を昇降可能に装備した乗用施肥機、又は、粉粒体供給装置Aの一例である薬剤散布装置のみを昇降可能に装備した乗用薬剤散布機、などであってもよい。
【0077】
〔2〕粉粒体供給装置Aとしては、最上昇位置において、そのホッパ上部の開口が手摺46の後上端部と同じ高さ位置、又は、手摺46の後上端部よりも高い位置に位置するように形成したものであってもよい。
【0078】
〔3〕粉粒体供給装置Aの作業条数は種々の変更が可能であり、後部ステップ13の左右幅は、粉粒体供給装置Aの作業条数に応じて種々の変更が可能である。
【0079】
〔4〕リンク機構3としては、左右一対の上部リンク15を備えるものであってもよい。この場合、後部ステップ13の後部に、左右の上部リンク15に対応する2つの凹部13Bを形成するようにしてもよく、又、左右の上部リンク15の入り込みを許容する単一の凹部13Bを形成するようにしてもよい。
【0080】
〔5〕後部ステップ13としては、樹脂製の射出成型品で構成したものであってもよく、又、板金製のプレス成型品で構成したものであってもよい。
【0081】
〔6〕後部ステップ13としては、3つ以上に分割可能に構成したものであってもよく、又、分割不能に構成したものであってもよい。
【0082】
〔7〕後部ステップ13としては、その後端が、平面視において後車輪7の車軸44と後車輪7の後端との中間位置に位置するように構成したものであってもよく、又、その中間位置よりも前側に位置するように構成したものであってもよい。
【0083】
〔8〕後部ステップ13を、走行車体1の後部に水平姿勢で備えるように構成してもよい。
【0084】
〔9〕凹部13Bとしては、後部ステップ13の後部において後部ステップ13の下面から上向きに凹入するように形成したものであってもよい。この場合、凹部13Bが上部リンク15を上方から覆うカバーとなるように構成してもよい。
【0085】
〔10〕補助フレーム38としては、第1支持部材39がリンク機構3の揺動支点P1,P2の上方箇所から前後方向に外れた位置に位置するように構成したものであってもよい。又、複数の第2支持部材40として、平面視矩形の枠状に形成した左右一対のものを備えるように構成したものであってもよい。
【0086】
〔11〕車体後部から粉粒体の補給を行う粉粒体貯留用のホッパ30に備える蓋体34としては、ホッパ30に着脱可能に構成したものであってもよく、又、左右方向に開閉移動するように構成したものであってもよい。
【0087】
〔12〕手摺46の構成及び形状などは種々の変更が可能であり、例えば、手摺46の後端が、後部ステップ13の後端よりも車体前側あるいは車体後側に位置するように構成してもよい。又、手摺46を後部ステップ13に立設するように構成してもよい。
【0088】
〔13〕走行車体1の後部に手摺46を装備しないように構成してもよい。
【0089】
〔14〕後部ステップ13の各接合部49Cとしては、後部ステップ13の上面から下面に向けて凹入するように形成したものであってもよい。
【0090】
〔15〕カバー部材45の材質や形状などは種々の変更が可能であり、例えば、ゴム板や帆布などから構成するようにしてもよい。
【0091】
〔16〕連結具50としてビスやリベットなどを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る粉粒体供給作業機の後部構造は、走行車体の後部に上下揺動式のリンク機構を介して粉粒体供給装置としての播種装置や施肥装置あるいは薬剤散布装置など昇降可能に装備した乗用播種機や乗用施肥機あるいは乗用薬剤散布機などに適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 走行車体
3 リンク機構
7 後車輪
13 後部ステップ
13B 凹部
15 上部リンク
30 ホッパ
34 蓋体
38 補助フレーム
39 第1支持部材
40 第2支持部材
44 車軸
45 カバー部材
46 手摺
49 ステップ部
49C 接合部
50 連結具
A 粉粒体供給装置
P1 揺動支点
P2 揺動支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6