特許第5984706号(P5984706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5984706-クーラント吸引装置及び工作機械 図000002
  • 特許5984706-クーラント吸引装置及び工作機械 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984706
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】クーラント吸引装置及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   B23Q11/10 E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-22092(P2013-22092)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-151387(P2014-151387A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】三菱重工工作機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】中村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】芹ヶ野 貴裕
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−118198(JP,A)
【文献】 特開2013−013968(JP,A)
【文献】 特開2011−104726(JP,A)
【文献】 特開平5−057557(JP,A)
【文献】 実開平4−074509(JP,U)
【文献】 米国特許第5380446(US,A)
【文献】 国際公開第2014/017550(WO,A1)
【文献】 特開2013−146986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラントを吐出する工作機械の供給配管にクーラントを供給した後、前記供給配管に残留するクーラントを吸引するクーラント吸引装置であって、
気体を供給する気体供給源と、
入力側が第1のバルブを介して前記気体供給源に接続されたエジェクタと、
上部が前記エジェクタの負圧側と接続された一次受容器と、
一端が前記一次受容器の上部に接続され、他端が第2のバルブを介して前記供給配管に接続された吸引配管と、
前記一次受容器の底部に接続され、前記一次受容器の下方方向のみに開く逆止弁とを備え、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを開くと、前記気体供給源から気体が前記エジェクタに供給され、前記エジェクタにより前記一次受容器の内部が負圧になり、前記吸引配管を介して、前記供給配管に残留するクーラントを前記一次受容器へ吸引することを特徴とするクーラント吸引装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクーラント吸引装置において、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを閉じると、前記一次受容器の内部は大気圧に戻り、前記一次受容器へ吸引されたクーラントは、当該クーラントの自重により前記逆止弁が開いて、下方に排出されることを特徴とするクーラント吸引装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のクーラント吸引装置において、
吸引したクーラントを貯留する貯留容器を前記逆止弁の下方に設けたことを特徴とするクーラント吸引装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のクーラント吸引装置において、
前記エジェクタの出力側に気液を分離するフィルタを設けたことを特徴とするクーラント吸引装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のクーラント吸引装置において、
前記一次受容器の容積を、前記供給配管内部の容量より大きくしたことを特徴とするクーラント吸引装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のクーラント吸引装置を備えることを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラント吐出機能を持つ工作機械のクーラント吸引装置及びそのクーラント吸引装置を備える工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械を用いた加工では、水溶性や油性を問わず、クーラントが広く使用されている。又、自動工具交換装置を備えた工作機械では、ノズルから被削材にクーラントを供給する構造の他に、工具内を通過するスピンドルスルー構造を採用することが多い。いずれも、クーラント供給停止後は、配管内に残留したクーラントを除去しないと、主軸移動時に機械外へのクーラント漏れが発生したり、工具交換時にクーラントに混じった微小切粉による噛み込み不具合が発生したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−118198号公報(図1
【特許文献2】特開平11−165235号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、配管内に残留したクーラントを除去する方法として、エアブローによりクーラントを吹き飛ばす方法と、クーラントを吸引する方法の2つがある。クーラントを吹き飛ばす方法では、霧状になったクーラントが機械周囲に浮遊することで、健康上及び機械や建屋の汚染が問題となる。
【0005】
一方、クーラントを吸引する方法としては、例えば、特許文献1、2に示す技術が知られているが、以下のような問題点がある。例えば、特許文献1では、ポンプから吐出したクーラント径路をバルブで切り替えて、エジェクタに通すことで、負圧を生み出し、配管内に残留したクーラントを吸引する構造となっている(図1参照)。しかしながら、この構造では、エジェクタ内部にクーラントを通す必要があるため、微小切粉や劣化したクーラントが詰まり故障するおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、エジェクタの故障を防止して、供給配管内に残留したクーラントを回収することができるクーラント吸引装置及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第1の発明に係るクーラント吸引装置は、
クーラントを吐出する工作機械の供給配管にクーラントを供給した後、前記供給配管に残留するクーラントを吸引するクーラント吸引装置であって、
気体を供給する気体供給源と、
入力側が第1のバルブを介して前記気体供給源に接続されたエジェクタと、
上部が前記エジェクタの負圧側と接続された一次受容器と、
一端が前記一次受容器の上部に接続され、他端が第2のバルブを介して前記供給配管に接続された吸引配管と、
前記一次受容器の底部に接続され、前記一次受容器の下方方向のみに開く逆止弁とを備え、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを開くと、前記気体供給源から気体が前記エジェクタに供給され、前記エジェクタにより前記一次受容器の内部が負圧になり、前記吸引配管を介して、前記供給配管に残留するクーラントを前記一次受容器へ吸引することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第2の発明に係るクーラント吸引装置は、
上記第1の発明に記載のクーラント吸引装置において、
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを閉じると、前記一次受容器の内部は大気圧に戻り、前記一次受容器へ吸引されたクーラントは、当該クーラントの自重により前記逆止弁が開いて、下方に排出されることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第3の発明に係るクーラント吸引装置は、
上記第1又は第2の発明に記載のクーラント吸引装置において、
吸引したクーラントを貯留する貯留容器を前記逆止弁の下方に設けたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第4の発明に係るクーラント吸引装置は、
上記第1〜第3のいずれか1つの発明に記載のクーラント吸引装置において、
前記エジェクタの出力側に気液を分離するフィルタを設けたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第5の発明に係るクーラント吸引装置は、
上記第1〜第4のいずれか1つの発明に記載のクーラント吸引装置において、
前記一次受容器の容積を、前記供給配管内部の容量より大きくしたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第6の発明に係る工作機械は、
上記第1〜第5のいずれか1つの発明に記載のクーラント吸引装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エジェクタ駆動に気体を用い、エジェクタ内部にクーラントを通す必要がないので、微小切粉や劣化したクーラントがエジェクタ内部に詰まることはなく、その故障確率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るクーラント吸引装置の実施形態の一例を示す系統図である。
図2図1に示した系統図を用いて、供給配管からのクーラントの吸引を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るクーラント吸引装置及び工作機械の実施形態について、図1図2を参照して説明を行う。
【0016】
(実施例1)
図1は、本実施例のクーラント吸引装置を示す系統図であり、図2は、図1に示した系統図を用いて、供給配管からのクーラントの吸引を説明する図である。
【0017】
本実施例のクーラント吸引装置は、クーラント吐出機能を持つ工作機械で使用されるものであり、クーラント吐出を停止した後に供給配管内へ残留したクーラントを吸引することで、クーラントの漏れ出しを防ぐものである。
【0018】
まず、クーラント吐出について、図1を参照して説明する。工作機械(図示省略)には、使用するクーラントCを貯留する貯留タンク11が設けられており、この貯留タンク11に接続された配管P1と、配管P1に取り付けられたポンプ12及びモータ13を用いて、クーラントCが工作機械へ供給される。
【0019】
例えば、工作機械のワーク、主軸芯及び副軸芯(例えば、アタッチメントなど)の3箇所にクーラントCを供給し、吐出する場合には、配管P1に3系統の供給配管P2a〜P2cを接続する。ワークへの供給配管P2aには、バルブ14a、チェックバルブ15aを接続しており、主軸芯への供給配管P2bには、バルブ14b、チェックバルブ15bを接続しており、副軸芯への供給配管P2cには、バルブ14c、チェックバルブ15cを接続している。このような供給系統は、工作機械で必要とするクーラント吐出箇所に応じて、適宜に増減可能である。
【0020】
例えば、ワークにクーラントCを供給し、吐出する場合には、制御装置(図示省略)の制御によりバルブ14aを開け、供給配管P2aを介して、ワークへクーラントCを供給し、吐出することになる。同様に、主軸芯にクーラントCを供給し、吐出する場合には、制御装置の制御によりバルブ14bを開け、供給配管P2bを介して、主軸芯へクーラントCを供給し、吐出することになり、副軸芯にクーラントCを供給し、吐出する場合には、制御装置の制御によりバルブ14cを開け、供給配管P2cを介して、副軸芯へクーラントCを供給し、吐出することになる。
【0021】
供給配管P2a〜P2cにおいて、チェックバルブ15a〜15cの下流側には、各々分岐配管P3a〜P3cが接続されており、チェックバルブ15a〜15cより下流側の供給配管P2a〜P2cの内部に残留するクーラントが、後述するクーラント吸引装置により吸引可能な構成となっている。チェックバルブ15a〜15cのクラッキング圧力は、後述するクーラント吸引装置により吸引される圧力(負圧圧力)より大きいものを用いており、クーラント吸引時にチェックバルブ15a〜15cが開かないようになっている。
【0022】
次に、本実施例のクーラント吸引装置を説明する。本実施例のクーラント吸引装置も、エジェクタ24を用いるものである。このエジェクタ24の入力側には、入力配管T1が接続されており、入力配管T1には、空気(圧縮空気など)やガス(例えば、窒素や酸素など)などの気体を供給するための気体供給源21と、気体供給源21からの気体を供給したり、停止したりするためのバルブ22と、供給された気体の圧力又は流量を調整する手動弁23とを接続している。
【0023】
又、エジェクタ24の出力側は大気開放でもよいが、ここでは、出力配管T2が接続されており、出力配管T2には、気液を分離するフィルタ26が接続されており、フィルタ26の下部には、排出配管T3が接続されており、この排出配管T3は、後述する排出配管T6と合流されている。
【0024】
又、エジェクタ24の負圧側には、負圧配管T4が接続されており、この負圧配管T4は、一次受タンク25の上部に接続されている。又、一次受タンク25の上部には、吸引配管T5の一端が接続されており、この吸引配管T5の他端は、バルブ28a〜28cを各々介して、分岐配管P3a〜P3cと各々接続されている。又、一次受タンク25の底部には、排出配管T6が接続されており、この排出配管T6には、下方方向のみに開くチェックバルブ27が接続されおり、チェックバルブ27の下流側で排出配管T3と排出配管T6とが合流されて、その排出口が貯留タンク11の上方に配置されている。
【0025】
このような構成を有するクーラント吸引装置を用いて、供給配管P2a〜P2cの内部に残留したクーラントを吸引することになる。ここで、図2を参照して、供給配管P2aの内部に残留したクーラントCの吸引について説明する。
【0026】
前述したように、ワークにクーラントCを供給し、吐出する場合には、制御装置の制御によりバルブ14aを開け、供給配管P2aを介して、ワークへクーラントCを供給し、吐出することになる。クーラントCの吐出停止後、供給配管P2aの内部には、クーラントCが残留するので、このクーラントCを吸引するため、制御装置の制御によりバルブ28aと共にバルブ22を開ける。
【0027】
バルブ22を開けると、入力配管T1を介して、気体供給源21からの気体がエジェクタ24へ供給される(気体の流れG1)。エジェクタ24に、気体などの流体を供給すると、エジェクタ24の内部に設けたノズルから流体を高速で噴出し、噴出した流体の巻き込み作用により負圧を発生させ、発生させた負圧により、他の流体を吸引し、排出することができる。エジェクタ24では、その負圧配管T4が一次受タンク25に接続されており、一次受タンク25の内部の空気を吸引し、排出することになる。
【0028】
一次受タンク25の内部の空気が、エジェクタ24により吸引、排出されると、一次受タンク25の内部も負圧状態となる。一次受タンク25の底部に接続された排出配管T6には、チェックバルブ27が接続されているが、一次受タンク25の内部が負圧状態となると、チェックバルブ27の上流側が負圧(大気圧より小さい圧力)、その下流側が大気圧となるので、チェックバルブ27は閉じた状態を維持することになる。このチェックバルブ27により、一次受タンク25の内部が負圧状態となっても、周囲の大気やクーラントCが排出配管T6側から一次受タンク25へ戻らないようにしている。
【0029】
従って、一次受タンク25の内部が負圧状態となると、一次受タンク25の上部に接続された吸引配管T5、そして、バルブ28a、分岐配管P3aを介して、供給配管P2aの内部に残留したクーラントCを吸引して、クーラントCを一次受タンク25の内部へ回収することになる(クーラントCの流れR1)。そして、回収したクーラントCは、一次受タンク25の内部に一時的に貯留することになる。
【0030】
このとき、気体供給源21から供給される気体の圧力、流量は一定であるので、予め、供給配管P2aの内部の容量(残留するクーラントCの容量)を求め、求めた容量を回収する時間を求めておけば、残留するクーラントCを確実に安定して回収することができる。
【0031】
前述したように、ここでは、出力配管T2にフィルタ26が接続されている。エジェクタ24により一次受タンク25の内部を負圧状態として、供給配管P2aの内部に残留したクーラントCを一次受タンク25へ回収すると、吸引したクーラントCの勢いにより一次受タンク25の内部でクーラントCが霧状となり、ミストが発生することも考えられる。一次受タンク25の内部でミストが発生した場合には、負圧配管T4を通って、ミストが出力配管T2側へ排出されることになる(ミストの流れG2)。
【0032】
そこで、出力配管T2に接続したフィルタ26で気液を分離し、分離後の気体はフィルタ26のメッシュ部26aを通って大気へ排出している(気体の流れG3)。一方、分離後のクーラントCは、フィルタ26の下部に接続した排出配管T3を介して、貯留タンク11へ戻すようにしている(クーラントCの流れR2)。このようにして、ミストになったクーラントCであっても、フィルタ26により大気中に漏れないようにしている。
【0033】
以上説明したように、エジェクタ24では、気体供給源21から供給した気体を用いて、負圧を発生させており、その内部(特に、負圧を発生させるノズル)をクーラントCが流れることはない。もし、一次受タンク25の内部で、回収したクーラントCのミストが発生したとしても、ミストが流れるのはノズルの周囲である。従って、特許文献1、2とは異なり、ノズルに目詰まりが発生することはなく、エジェクタ24の故障確率を低減することができる。
【0034】
残留したクーラントCを一次受タンク25の内部へ回収した後、制御装置の制御によりバルブ28aと共にバルブ22を閉じると、つまり、気体供給源21からの気体の供給を停止すると、一次受タンク25の内部は大気圧状態へ戻ることになる。すると、一次受タンク25の内部に回収したクーラントCの自重により、チェックバルブ27が開き、排出配管T6を介して、貯留タンク11へ自動的に回収されることになる(クーラントCの流れR3)。このチェックバルブ27のクラッキング圧力は、クーラントCの自重で開くことができるものでよい。このように、ここでは、クーラントCの自重を利用して、一次受タンク25から貯留タンク11へクーラントCを戻しているため、一次受タンク25と貯留タンク11の位置関係は、一次受タンク25を上方の位置とし、貯留タンク11を下方の位置としている。
【0035】
このように、バルブ28aと共にバルブ22を開けて、エジェクタ24を動作させると、供給配管P2aの内部に残留したクーラントCを吸引して、一次受タンク25の内部へ回収することになり、その後、バルブ28aと共にバルブ22を閉じると、一次受タンク25の内部に回収したクーラントCは、貯留タンク11へ戻ることになる。
【0036】
これは、供給配管P2b又は供給配管P2cの内部に残留したクーラントCを吸引、回収する場合も同様であり、供給配管P2bの場合はバルブ28bを、供給配管P2cの場合はバルブ28cを、バルブ22と共に開閉すればよい。
【0037】
又、一次受タンク25の容積は、予め、供給配管P2aの内部の容量(残留するクーラントCの容量)を求めておき、求めた容量より大きくなるように設定しておく。もし、供給配管P2aと共に、供給配管P2b又は供給配管P2c又は両方の内部に残留したクーラントCを同時に吸引、回収する場合には、これらの容量を合算して求めておき、合算した容量より大きくなるように、一次受タンク25の容積を設定しておけばよい。
【0038】
又、配管P1〜P3は、クーラントCを吐出する際に、吐出に必要な圧力(例えば、3Mpa程度)が付加されるため、その圧力に耐えうる高圧配管にする必要があるが、クーラントCの吸引に関わる配管、具体的には、配管T1〜T5は、クーラントCの吐出には関係ないので、高圧配管にする必要は無い。配管T1〜T5が対応する圧力範囲としては、負圧からの気体の供給圧(例えば、0.5MPa程度)の範囲であればよい。
【0039】
特許文献1、2に示す装置では、エジェクタの故障に止まらず、以下のような問題が発生するおそれもある。例えば、特許文献1、2に示す装置では、エジェクタの吸引力がポンプ吐出圧などの性能に左右されてしまう。又、クーラント吐出用のポンプをそのまま用い、クーラントの供給経路を切り替えて、エジェクタにクーラントを供給するので、クーラントのエジェクタへの供給圧が適切とは限らず、ポンプの電力消費量として無駄が多くなることもある。又、クーラントを吸引する配管もクーラントの供給圧に耐えられるように、高圧配管にする必要もある。又、エジェクタ駆動のため、大量のクーラントを供給する必要があると共に、使用したクーラントをタンクに回収する必要があり、そのため、クーラントを回収したタンクでミストが発生する場合もある。
【0040】
これに対して、本実施例のクーラント吸引装置は、上述したように、エジェクタ駆動に気体を用いているので、その故障確率を低減することができ、又、エジェクタの吸引力も安定し、又、無駄な電力消費量も抑制することができ、又、クーラントを吸引する配管を高圧配管にする必要もなく、又、配管に残留したクーラントのみを回収すればよいので、ミストの発生を抑えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、クーラント吐出機能を持つ工作機械に好適なものである。
【符号の説明】
【0042】
11 貯留タンク(貯留容器)
12 ポンプ
21 気体供給源
22 バルブ(第1のバルブ)
24 エジェクタ
25 一次受タンク(一次受容器)
26 フィルタ
27 チェックバルブ(逆止弁)
28a〜28c バルブ(第2のバルブ)
図1
図2