(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
(特徴1) 暖房回路に設けられて、ヒートポンプユニットの上流側と下流側とを接続する第2バイパス路と、第2バイパス路に設けられて、開度を変化させることによって、ヒートポンプユニットを通過する熱媒の流量と第2バイパス路を通過する熱媒の流量の割合を変化させる第2調整弁と、をさらに備えてもよい。
【0010】
追い焚きに利用される熱量は、ヒートポンプユニットでの加熱量の増減によっても変動する。上記の構成によると、第2調整弁の開度を変化させることによって、ヒートポンプユニットを通過する熱媒の流量と第2バイパス路を通過する熱媒の流量の割合を変化させることができる。そのため、例えば、第2調整弁の開度を変化させて、ヒートポンプユニットを通過する熱媒の流量を減らすことで、ヒートポンプユニットでの加熱量を減らし、追い焚きで利用される熱量を減らすことができる。これにより、熱交換器から浴槽に戻される浴槽水の温度が過度に高くなることを抑制することができる。逆に、第2調整弁の開度を変化させて、ヒートポンプユニットを通過する熱媒の流量を増やすことで、ヒートポンプユニットでの加熱量を増やし、追い焚きで利用される熱量を増やすこともできる。これにより、熱交換器から浴槽に戻される浴槽水の温度を高くすることもできる。従って、この構成によると、追い焚きに利用される熱量をより適切に調整することができる。
【0011】
(特徴2) 燃料の燃焼によって暖房回路内の熱媒を加熱する暖房補助熱源機をさらに備えていてもよい。
【0012】
この構成によると、暖房回路内の熱媒の熱量が、暖房運転や追い焚き運転に必要な熱量に満たない場合に、ヒートポンプユニットに加えて暖房補助熱源機を動作させることにより、熱媒に加えられる熱量を必要熱量まで上昇させることができる。従って、暖房運転や追い焚き運転で大きな熱量が必要な場合であっても、適切に運転を行うことができる。
【0013】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯暖房システム10は、ヒートポンプユニット50と、タンクユニット20と、追い焚き・暖房ユニット60と、制御装置90とを備えている。
【0014】
ヒートポンプユニット50は、自然環境から吸熱する熱源である。ヒートポンプユニット50は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、R744といったCO
2冷媒)を循環させるための冷媒循環路51と、空気熱交換器(蒸発器)52と、ファン56と、圧縮機53と、三流体熱交換器54と、膨張弁55とを備えている。
【0015】
空気熱交換器52は、ファン56によって送風された外気と冷媒循環路51内の冷媒との間で熱交換させる。後で説明するように、空気熱交換器52には、膨張弁55を通過後の低圧低温の液体状態にある冷媒が供給される。空気熱交換器52は、冷媒と外気とを熱交換させることによって、冷媒を加熱する。冷媒は、加熱されることにより気化し、比較的高温で低圧の気体状態となる。
【0016】
圧縮機53には、空気熱交換器52を通過後の冷媒が供給される。即ち、圧縮機53には、比較的高温で低圧の気体状態の冷媒が供給される。圧縮機53によって冷媒が圧縮されることにより、冷媒は高温高圧の気体状態となる。圧縮機53は、圧縮後の高温高圧の気体状態の冷媒を、三流体熱交換器54に送り出す。
【0017】
三流体熱交換器54は、冷媒循環路51内の冷媒と、後述のタンク水循環路30内の水(以下では給湯用水ともいう)との間で熱交換を行うことができる。さらに、三流体熱交換器54は、冷媒循環路51内の冷媒と、後述の熱回収水路63内の水(以下では暖房用水ともいう)との間で熱交換を行うことができる。冷媒は、三流体熱交換器54での熱交換の結果、熱を奪われて凝縮する。これにより、冷媒は、比較的低温で高圧の液体状態となる。
【0018】
膨張弁55には、三流体熱交換器54を通過後の比較的低温で高圧の液体状態の冷媒が供給される。冷媒は、膨張弁55を通過することによって減圧され、低温低圧の液体状態となる。膨張弁55を通過した冷媒は、上記の通り、空気熱交換器52に送られる。
【0019】
ヒートポンプユニット50において、圧縮機53を作動させると、冷媒循環路51内の冷媒は、空気熱交換器52、圧縮機53、三流体熱交換器54、膨張弁55の順に循環する。この場合、三流体熱交換器54において、タンク水循環路30内の給湯用水、又は、熱回収水路63内の暖房用水が加熱される。
【0020】
タンクユニット20は、タンク22を備えている。タンク22は、ヒートポンプユニット50によって加熱された給湯用水を貯える。本実施例の給湯用水は、水道水である。タンク22は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク22内には満水まで給湯用水が貯留される。タンク22には、サーミスタ23、24、25、26がタンク22の高さ方向に略均等間隔で取り付けられている。各サーミスタ23、24、25、26は、その取付位置の給湯用水の温度を測定する。各サーミスタ23、24、25、26の検出温度から、タンク22の蓄熱状態を特定することができる。
【0021】
タンク水循環路30は、上流端がタンク22の下部に接続されており、ヒートポンプユニット50の三流体熱交換器54を通過して、下流端がタンク22の上部に接続されている。タンク水循環路30には、循環ポンプ32が介装されている。循環ポンプ32は、タンク水循環路30内の給湯用水を上流側から下流側へ送り出す。ヒートポンプユニット50を作動させて、循環ポンプ32を駆動すると、タンク22の下部の給湯用水が三流体熱交換器54に送られて加熱され、加熱された給湯用水がタンク22の上部に戻される。タンク22の内部には、低温の給湯用水の層の上に高温の給湯用水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0022】
水道水導入路34は、上流端が給湯暖房システム10の外部の水道水供給源110に接続されている。水道水導入路34の下流側は、第1導入路34aと第2導入路34bに分岐している。第1導入路34aの下流端は、タンク22の下部に接続されている。第2導入路34bの下流端は、給湯路36の途中に接続されている。第1導入路34aには、逆止弁34cが介装されている。第2導入路34bには、逆止弁34dが介装されている。
【0023】
給湯路36は、上流端がタンク22の上部に接続されている。上述したように、給湯路36の途中には、水道水導入路34の第2導入路34bが接続されている。給湯路36と第2導入路34bの接続部には、混合弁36aが介装されている。混合弁36aは、タンク22の上部から給湯路36へ流入する高温の給湯用水の流量と、第2導入路34bから給湯路36へ流入する低温の水道水の流量の割合を調整する。第2導入路34bとの接続部より下流側の給湯路36には、バーナ加熱装置38が介装されている。バーナ加熱装置38は、給湯路36内の給湯用水を加熱する。バーナ加熱装置38より下流側の給湯路36は、給湯栓水路36bと浴槽水路36cとに分岐している。分岐部とバーナ加熱装置38との間の部分の給湯路36には、給湯用水の温度を検出するサーミスタ85が介装されている。給湯栓水路36bの下流端は給湯栓100に接続されている。給湯路36と給湯栓水路36bとの間には、バーナ加熱装置38をバイパスする流路であるバイパス路40が設けられている。また、バイパス路40には、バイパス路40の開度を調整するためのバイパス制御弁41が介装されている。浴槽水路36cの下流端は、後述する浴槽水循環路80の循環ポンプ82に接続されている。浴槽水路36cには、開閉弁36dが介装されている。
【0024】
追い焚き・暖房ユニット60は、熱供給循環水路62と、浴槽水循環路80を備えている。
【0025】
熱供給循環水路62は、後述する浴槽熱交換器84と、低温暖房機104と、高温暖房機106に熱を供給する水路である。熱供給循環水路62は、熱回収水路63と、シスターン64と、ポンプ水路65と、低温暖房水路66と、バーナ加熱水路67と、熱交換水路68と、第1高温暖房水路69と、第2高温暖房水路70と、バイパス水路71を備えている。
【0026】
シスターン64は、上部が開放されている容器であり、内部に暖房用水を貯留している。シスターン64には、熱回収水路63の下流端と、ポンプ水路65の上流端が接続されている。シスターン64内には、熱回収水路63から暖房用水が流入する。シスターン64内の暖房用水は、ポンプ水路65に導入される。
【0027】
ポンプ水路65は、下流端が低温暖房水路66の上流端とバーナ加熱水路67の上流端に接続されている。ポンプ水路65には、循環ポンプ65aが介装されている。循環ポンプ65aは、ポンプ水路65内の暖房用水を下流側へ送り出す。
【0028】
低温暖房水路66は、その下流端が、熱回収水路63の上流端に接続されている。低温暖房水路66には、低温暖房機104と、開閉弁66aが介装されている。低温暖房機104は、低温暖房水路66内を流れる暖房用水の熱を利用して、居室を暖房する。開閉弁66aは、低温暖房水路66を開閉する。
【0029】
また、低温暖房水路66には、開閉弁66aの上流側と低温暖房水路66の下流側とを接続する暖房バイパス水路66bが形成されている。暖房バイパス水路66bには、調整弁66cが介装されている。調整弁66cは、開度を変化させることによって、低温暖房機104を通過する暖房用水の流量と、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量の割合を変化させることができる。
【0030】
熱回収水路63は、その下流端がシスターン64に接続されている。熱回収水路63は、三流体熱交換器54を通過している。また、熱回収水路63には、三流体熱交換器54の上流側と下流側とを接続する熱交換器バイパス水路63aが形成されている。熱交換器バイパス水路63aは、流路の直径が大きく、三流体熱交換器54を通過する水路(熱回収水路63の一部)より通水抵抗が非常に小さい。熱交換器バイパス水路63aの上流端には、調整弁63bが設けられている。調整弁63bは、その開度を変化させることによって、三流体熱交換器54を通過する暖房用水の流量と、熱交換器バイパス水路63aを通過する暖房用水の流量の割合を変化させることができる。
【0031】
バーナ加熱水路67は、その下流端が、熱交換水路68の上流端及び第1高温暖房水路69の上流端に接続されている。バーナ加熱水路67には、バーナ加熱装置67aが介装されている。バーナ加熱装置67aは、バーナ加熱水路67内を流れる暖房用水を加熱する。
【0032】
熱交換水路68は、その下流端が、熱回収水路63の最下流部に接続されている。熱交換水路68は、浴槽熱交換器84を通過している。浴槽熱交換器84では、熱交換水路68を流れる暖房用水と、浴槽水循環路80を流れる浴槽水の間で熱交換が行われる。熱交換水路68には、開閉弁68aが介装されている。開閉弁68aは、熱交換水路68を開閉する。
【0033】
第1高温暖房水路69は、その下流端が、第2高温暖房水路70の上流端及びバイパス水路71の上流端に接続されている。第1高温暖房水路69には、開閉弁69aが介装されている。開閉弁69aは、第1高温暖房水路69を開閉する。
【0034】
第2高温暖房水路70は、その下流端が、熱回収水路63の途中(三流体熱交換器54の下流側)に接続されている。第2高温暖房水路70には、高温暖房機106と開閉弁70aが介装されている。高温暖房機106は、第2高温暖房水路70内を流れる水の熱を利用して、居室を暖房する。開閉弁70aは、第2高温暖房水路70を開閉する。
【0035】
バイパス水路71は、その下流端が熱回収水路63の途中(第2高温暖房水路70の下流端の接続部分の下流側)に接続されている。
【0036】
浴槽水循環路80は、その上流端と下流端の双方が浴槽102に接続されている。浴槽水循環路80は、浴槽熱交換器84を通過している。浴槽熱交換器84では、熱交換水路68を流れる暖房用水と、浴槽水循環路80を流れる浴槽水の間で熱交換が行われる。浴槽水循環路80の浴槽熱交換器84の上流側には、循環ポンプ82が介装されている。循環ポンプ82は、浴槽水循環路80内の浴槽水を下流側へ送り出す。浴槽水循環路80の浴槽熱交換器84の下流側には、サーミスタ86が介装されている。サーミスタ86は、浴槽水循環路80内の水の温度を検出する。
【0037】
制御装置90は、ヒートポンプユニット50と、タンクユニット20と、追い焚き・暖房ユニット60の各構成要素の動作を制御する。
【0038】
(給湯暖房システムの動作)
次いで、本実施例の給湯暖房システム10の動作について説明する。以下では、給湯暖房システム10が実施する蓄熱運転、給湯運転、湯張り運転、低温暖房運転、高温暖房運転、及び、追い焚き運転について順に説明する。
【0039】
(蓄熱運転)
蓄熱運転は、タンク22内の給湯用水をヒートポンプユニット50で加熱し、高温となった給湯用水をタンク22に戻す運転である。蓄熱運転を実行する際には、制御装置90は圧縮機53およびファン56を駆動するとともに、循環ポンプ32を駆動する。
【0040】
圧縮機53の駆動により、冷媒循環路51内の冷媒は、空気熱交換器52、圧縮機53、三流体熱交換器54、膨張弁55の順に循環する。この場合、三流体熱交換器54を通過する冷媒循環路51内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ32の駆動により、タンク水循環路30内をタンク22内の給湯用水が循環する。即ち、タンク22の下部に存在する給湯用水がタンク水循環路30内に導入され、導入された給湯用水が三流体熱交換器54を通過する際に、冷媒循環路51内の冷媒の熱によって加熱され、加熱された給湯用水がタンク22の上部に戻される。これにより、タンク22に高温の給湯用水が貯められる。タンク22の内部が高温の給湯用水で満たされた満蓄状態となると、沸上げ運転を終了する。
【0041】
(給湯運転)
給湯運転は、タンク22内の給湯用水を給湯栓100に供給する運転である。給湯運転は、上記の蓄熱運転と並行して行うこともできる。給湯栓100が開かれると、水道水供給源110からの水圧によって、水道水導入路34(第1導入路34a)からタンク22の下部に水道水が流入する。同時に、タンク22上部の給湯用水が、給湯路36及び給湯栓水路36bを介して給湯栓100に供給される。
【0042】
制御装置90は、タンク22から給湯路36に供給される給湯用水の温度(即ち、サーミスタ23の検出温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁36aを駆動して第2導入路34bから給湯路36に水道水を導入する。従って、タンク22から供給された給湯用水と第2導入路34bから供給された水道水とが、給湯路36内で混合される。制御装置90は、給湯栓100に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁36aの開度を調整する。一方、制御装置90は、タンク22から給湯路36に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、バーナ加熱装置38によって給湯路36を通過する水を加熱する。制御装置90は、給湯栓100に供給される給湯用水の温度をサーミスタ85で検出し、給湯設定温度と一致するように、バーナ加熱装置38の出力を制御する。
【0043】
(湯張り運転)
湯張り運転は浴槽102に湯張りをする運転である。湯張り運転も、上記の蓄熱運転と並行して行うことができる。利用者が湯張り運転の開始を指示すると、給湯暖房システム10は湯はり運転を開始する。湯張り運転においては、開閉弁36dを開く。開閉弁36dが開くと、水道水供給源110からの水圧によって、水道水導入路34(第1導入路34a)からタンク22の下部に水道水が流入する。同時に、タンク22上部の給湯用水が、給湯路36、浴槽水路36c、浴槽水循環路80を介して浴槽102に供給される。湯張り運転においては、給湯運転と同様にして、浴槽水路36cに供給される水の温度を湯張り設定温度に調整する。浴槽102に供給される水の流量が湯はり設定水量に達すると、湯張り運転を終了する。
【0044】
(低温暖房運転)
低温暖房運転は、低温暖房機104を用いて居室を暖房する運転である。利用者によって低温暖房運転の実行が指示されると、制御装置90は、調整弁63bの開度を低温暖房機104の負荷に応じて調整し、循環ポンプ65aを回転させる。さらに、制御装置90は、開閉弁66aを開くとともに、調整弁66cの開度を、暖房用水の全流量が低温暖房機104を通過するように調整する。これにより、シスターン64からポンプ水路65、低温暖房水路66、及び、熱回収水路63を経てシスターン64に戻る流路内を暖房用水が循環する。さらに、制御装置90は、圧縮機53を駆動する。この結果、三流体熱交換器54で加熱された暖房用水が、シスターン64を経て、低温暖房機104に供給される。さらに、制御装置90は、必要に応じてバーナ加熱装置67aを作動するとともに、開閉弁69aを開く。これにより、シスターン64から、ポンプ水路65、バーナ加熱水路67、第1高温暖房水路69、バイパス水路71、及び、熱回収水路63を経てシスターン64に戻る流路内を暖房用水が循環する。この結果、低温暖房機104には、バーナ加熱装置67aでの加熱によってより高温となった暖房用水が供給される。低温暖房運転においては、低温暖房機104に供給される暖房用水の温度が低温暖房設定温度となるように、調整弁66cの開度、調整弁63bの開度、ヒートポンプユニット50の動作、及び、バーナ加熱装置67aの出力が調整される。
【0045】
(高温暖房運転)
続いて、高温暖房運転について説明する。高温暖房運転は、高温暖房機106を用いて居室を暖房する運転である。利用者によって高温暖房運転の実行が指示されると、制御装置90は、調整弁63bの開度を高温暖房機106の負荷に応じて調整し、循環ポンプ65aを回転させる。さらに、制御装置90は、開閉弁70a及び開閉弁69aを開く。さらに、制御装置90は、調整弁66cの開度を、暖房用水の全流量が暖房バイパス水路66bを通過するように調整し、圧縮機53を駆動する。これにより、シスターン64から、ポンプ水路65、バーナ加熱水路67、第1高温暖房水路69、第2高温暖房水路70、及び、熱回数水路63を経てシスターン64に戻る流路を暖房用水が循環する。それとともに、シスターン64からポンプ水路65、低温暖房水路66、暖房バイパス水路66b、及び、熱回収水路63を経てシスターン64に戻る流路内でも暖房用水が循環する。この結果、三流体熱交換器54で加熱された暖房用水が、シスターン64を経て、高温暖房機106に供給される。さらに、制御装置90は、必要に応じてバーナ加熱装置67aを作動する。これにより、高温暖房機106には、バーナ加熱装置67aでの加熱によってより高温となった暖房用水が供給される。高温暖房運転においても、高温暖房機106に供給される暖房用水の温度が高温暖房設定温度となるように、調整弁66cの開度や、調整弁63bの開度や、ヒートポンプユニット50の動作や、バーナ加熱装置67aの出力が調整される。なお、上記の低温暖房運転と高温暖房運転とを同時に行うこともできる。その場合も、制御装置90は、低温暖房設定温度及び高温暖房設定温度に応じて、調整弁66cの開度、調整弁63bの開度、ヒートポンプユニット50の動作、及び、バーナ加熱装置67aの出力を調整する。
【0046】
(追い焚き運転)
追い焚き運転は、浴槽102に貯められた浴槽水を追い焚きする運転である。利用者によって追い焚き運転の実行が指示されると、制御装置90は、循環ポンプ82を駆動する。これにより、浴槽水循環路80内を浴槽水が循環する。また、制御装置90は、循環ポンプ65aを回転させ、サーミスタ86が検出する浴槽水の温度に応じて調整弁63bの開度を調整する。さらに、制御装置90は、調整弁66cの開度を、暖房用水の全流量が暖房バイパス水路66bを通過するように調整し、圧縮機53を駆動する。また、制御装置90は、開閉弁68aを開く。これにより、シスターン64から、ポンプ水路65、バーナ加熱水路67、及び、熱交換水路68を経てシスターン64に戻る流路を暖房用水が循環する。さらに、シスターン64から、ポンプ水路65、低温暖房水路66、暖房バイパス水路66b、及び、熱回収水路63を経てシスターン64に戻る流路内でも暖房用水が循環する。これにより、三流体熱交換器54で加熱された暖房用水が、シスターン64を経て、浴槽熱交換器84に供給される。この場合、上記の各流路内を循環する暖房用水の熱量は、全て追い焚きに利用される(浴槽熱交換器84に供給される)。これにより、浴槽水循環路80内を通過する浴槽水は、浴槽熱交換器84で暖房用水との熱交換によって加熱される。加熱された浴槽水は、浴槽102に戻される。
【0047】
上記のように、ヒートポンプユニット50によって暖房用水を加熱して追い焚き運転を行う場合において、サーミスタ86が検出する浴槽水の温度が追い焚き設定温度より高い場合には、制御装置90は、調整弁63bの開度を調整して、三流体熱交換器54を通過する暖房用水の流量を減らすことができる。この結果、ヒートポンプユニット50での加熱量を減らし、追い焚きで利用される熱量を減らすことができる。この場合、浴槽熱交換器84で加熱される浴槽水の温度が過度に高くなることを抑制することができる。逆に、サーミスタ86が検出する浴槽水の温度が追い焚き設定温度より低い場合には、制御装置90は、調整弁63bの開度を調整して、三流体熱交換器54を通過する熱媒の流量を増やすことができる。この結果、ヒートポンプユニット50での加熱量を増やし、追い焚きで利用される熱量を増やすことができる。これにより、熱交換器から浴槽に戻される浴槽水の温度を高くすることもできる。このように、追い焚きに利用される熱量を適切に調整することができる。
【0048】
一方、制御装置90は、必要に応じて、追い焚き運転中にバーナ加熱装置67aを作動する。これにより、浴槽熱交換器84には、バーナ加熱装置67aでの加熱によってより高温となった暖房用水が供給される。従って、追い焚き運転においても、制御装置90は、必要に応じて、調整弁66cの開度や、調整弁63bの開度や、ヒートポンプユニット50の動作や、バーナ加熱装置67aの出力を調整する。
【0049】
(低温暖房運転と追い焚き運転とを並行して実施する場合)
以上、本実施例の給湯暖房システム10が実施する各運転について説明した。続いて、給湯暖房システム10において、低温暖房運転と追い焚き運転とを並行して実施する場合の給湯暖房システム10の動作について特に説明する。低温暖房運転と追い焚き運転とを並行して実施する場合、制御装置90は、上述の低温暖房運転時の制御と、追い焚き運転時の制御と、を並行して実行する。
【0050】
本実施例では、追い焚き運転と低温暖房運転とを並行して行う場合に、制御装置90は、必要に応じて、調整弁66cの開度を変化させ、低温暖房機104を通過する暖房用水の流量と、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量の割合を変化させることができる。従って、例えば、追い焚きに利用される熱量(浴槽熱交換器84に供給される熱量)が十分でない場合に、制御装置90は、調整弁66cの開度を変化させて、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量を増やすことができる。即ち、低温暖房機104で利用される熱量を減らし、追い焚きで利用される放熱量(即ち熱交換器で放熱される熱量)を増やすことができる。逆に、追い焚きに利用される熱量が過剰である場合に、制御装置90は、調整弁66cの開度を変化させて、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量を減らすことができる。即ち、低温暖房機104で利用される熱量を増やし、追い焚きで利用される放熱量を減らすことができる。従って、本実施例の給湯暖房システム10によると、追い焚き運転と低温暖房運転を並行して行う場合に、追い焚きに利用される熱量を適切に調整することができる。
【0051】
また、例えば、熱供給循環水路62内を循環する暖房用水の熱量が、低温暖房運転や追い焚き運転に必要な熱量に満たない場合には、制御装置90は、ヒートポンプユニット50に加えてバーナ加熱装置67aを作動させることにより、暖房用水に加えられる熱量を必要熱量まで上昇させることができる。
【0052】
以上、本実施例の給湯暖房システム10の構成及び運転内容について説明した。上記の通り、本実施例では、追い焚き運転と低温暖房運転とを並行して行う場合に、制御装置90は、必要に応じて、調整弁66cの開度を変化させ、低温暖房機104を通過する暖房用水の流量と、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量の割合を変化させることができる。例えば、追い焚きに利用される熱量(浴槽熱交換器84に供給される熱量)が十分でない場合に、調整弁66cの開度を変化させることにより、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量を増やすことができる。即ち、低温暖房機104で利用される熱量を減らし、追い焚きで利用される放熱量(即ち熱交換器で放熱される熱量)を増やすことができる。逆に、追い焚きに利用される熱量が過剰である場合に、調整弁66cの開度を変化させることにより、暖房バイパス水路66bを通過する暖房用水の流量を減らすことができる。即ち、低温暖房機104で利用される熱量を増やし、追い焚きで利用される放熱量を減らすことができる。従って、本実施例の給湯暖房システム10によると、追い焚きに利用される熱量を適切に調整することができる。
【0053】
追い焚きに利用される熱量は、ヒートポンプユニット50での加熱量の増減によっても変動する。本実施例では、ヒートポンプユニット50を熱源として追い焚き運転を行う場合において、サーミスタ86が検出する浴槽水の温度が追い焚き設定温度より高い場合には、制御装置90は、調整弁63bの開度を調整して、三流体熱交換器54を通過する暖房用水の流量を減らすことができる。この結果、ヒートポンプユニット50での加熱量を減らし、追い焚きで利用される熱量を減らすことができる。この場合、浴槽熱交換器84で加熱される浴槽水の温度が過度に高くなることを抑制することができる。逆に、サーミスタ86が検出する浴槽水の温度が追い焚き設定温度より低い場合には、制御装置90は、調整弁63bの開度を調整して、三流体熱交換器54を通過する熱媒の流量を増やすことができる。この結果、ヒートポンプユニット50での加熱量を増やし、追い焚きで利用される熱量を増やすことができる。これにより、熱交換器から浴槽に戻される浴槽水の温度を高くすることもできる。このように、本実施例の給湯暖房システム10では、追い焚きに利用される熱量を適切に調整することができる。
【0054】
また、本実施例では、バーナ加熱装置67aによってバーナ加熱水路67内の暖房用水を加熱することができる。そのため、熱供給循環水路62内の暖房用水の熱量が、追い焚き運転や暖房運転(低温暖房運転及び高温暖房運転)に必要な熱量に満たない場合に、ヒートポンプユニット50に加えてバーナ加熱装置67aを作動させることにより、暖房用水に加えられる熱量を必要熱量まで上昇させることができる。従って、追い焚き運転や暖房運転で大きな熱量が必要な場合であっても、適切に運転を行うことができる。
【0055】
ここで、実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。暖房用水が循環する熱供給循環水路62(熱回収水路63、シスターン64、ポンプ水路65、低温暖房水路66、バーナ加熱水路67、熱交換水路68、第1高温暖房水路69、第2高温暖房水路70、バイパス水路71)が、「暖房回路」の一例である。暖房用水が「暖房用熱媒」の一例である。低温暖房機104が「暖房端末」の一例である。浴槽水循環路80が「追い焚き回路」の一例である。浴槽熱交換器84が「熱交換器」の一例である。暖房バイパス水路66b、調整弁66cが、それぞれ「第1バイパス路」、「第1調整弁」の一例である。熱交換器バイパス路63a、調整弁63bが、それぞれ「第2バイパス路」、「第2調整弁」の一例である。バーナ加熱装置67aが「暖房補助熱源機」の一例である。
【0056】
上記の実施例では、三流体熱交換器54において、ヒートポンプユニット50の冷媒と給湯用水との熱交換と、ヒートポンプユニット50の冷媒と暖房用水との熱交換の双方を行う構成について説明した。これとは異なり、三流体熱交換器54の代わりに通常の液/液熱交換器を2つ用意し、一方の熱交換器でヒートポンプユニット50の冷媒と給湯用水との熱交換を行い、他方の熱交換器で、ヒートポンプユニット50の冷媒と暖房用水との熱交換を行う構成としてもよい。あるいは、通常の液/液熱交換器を2つ用意し、一方の熱交換器でヒートポンプユニット50の冷媒と給湯用水または暖房用水との熱交換を行い、他方の熱交換器で給湯用水と暖房用水との熱交換を行う構成としてもよい。
【0057】
上記の実施例では、タンク22に貯められた給湯用水が給湯栓100や浴槽102に直接供給される構成、すなわち給湯用水として水道水などの上水を用いる構成について説明した。これとは異なり、タンク22に貯める給湯用水として不凍液などを用いて、タンク22に貯められた給湯用水と水道水との熱交換によって水道水を加熱し、高温となった水道水を給湯栓100や浴槽102に供給する構成としてもよい。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。