特許第5984720号(P5984720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984720
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】アンロード弁装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   F15B11/00 H
   F15B11/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-49159(P2013-49159)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-173702(P2014-173702A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之
(72)【発明者】
【氏名】水上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】菅野 剛
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−092774(JP,A)
【文献】 特開平07−174102(JP,A)
【文献】 実開昭64−048401(JP,U)
【文献】 特開昭59−037305(JP,A)
【文献】 特開昭52−089777(JP,A)
【文献】 特開昭49−046074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
F15B 21/14
F04B 49/22
F16K 17/00−17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体と、
上記バルブ本体に形成された回路圧導入ポートと、
上記バルブ本体に形成されたタンクポートと、
上記バルブ本体に組み込まれ、上記回路圧導入ポートとタンクポートとを連通させたり、あるいはその連通を遮断したりする弁体と、
上記バルブ本体に形成され、上記弁体の一方の面を臨ませるとともに、上記回路圧導入ポートの圧力が導かれる一方のパイロット室と、
上記バルブ本体に設けられ、上記弁体の他方の面を臨ませた他方のパイロット室と、
上記他方のパイロット室に介在させるとともに、上記弁体にばね力を作用させて、上記回路圧導入ポートとタンクポートとの連通を遮断する位置に上記弁体を保持するスプリングと、
上記他方のパイロット室に一端を開口させ、他端を上記バルブ本体とは別に設けた制御手段に接続したパイロット通路と、
上記パイロット通路と負荷圧を導入する負荷圧導入通路との間に設けた第1のオリフィスと、
上記負荷圧導入通路から上記制御手段に流れる流れに対して上記第1のオリフィスよりも下流側となる位置に設けた第2のオリフィスと
を備えたアンロード弁装置。
【請求項2】
上記パイロット通路には、上記第1のオリフィスに対して、第2のオリフィスと並列にした第3のオリフィスを設け、この第3のオリフィスが他方のパイロット室の圧力変化に対してダンピング効果を発揮する請求項1に記載のアンロード弁装置。
【請求項3】
上記パイロット通路及び上記第1,2のオリフィスはカートリッジに設けられ、このカートリッジを上記バルブ本体に組み付けてなる請求項1に記載のアンロード弁装置。
【請求項4】
上記カートリッジには、第1,2のオリフィスとともに第3のオリフィスを設けた請求項3記載のアンロード弁装置。
【請求項5】
上記他方のパイロット室にスプリングガイドを設け、上記スプリングガイドと上記弁体との間に上記スプリングを介在させるとともに、上記スプリングガイドを上記弁体の軸方向に移動させるアジャスタを設けた請求項1〜4いずれか1に記載のアンロード弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路圧が所定の圧力になったときに開弁するアンロード弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアンロード弁装置として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この従来の装置の回路図を、この出願の図3に示すとともに、従来の装置と実質的に同一の装置の断面図を図4として示している。
図3に示した回路図は、ロードセンシング制御装置を示したもので、可変容量型ポンプPにはその傾転角を制御するレギュレータ1を設けている。また、この可変容量型ポンプPの吐出側に接続した、アンロード弁装置Aを設けている。
【0003】
上記アンロード弁装置Aは、弁体2と、この弁体2の一方の端面を臨ませた一方のパイロット室3と、弁体2の他方の端面を臨ませた他方のパイロット室4と、上記他方のパイロット室4に設けたスプリング5とを備えている。
上記一方のパイロット室3は通路6を介して可変容量型ポンプPの吐出側に連通し、他方のパイロット室4は、パイロット通路7を介して、シリンダ8,9の負荷が導入される導入通路10に連通しているが、これらパイロット通路7と上記導入通路10が合流する点を合流点11としている。
【0004】
また、レギュレータ1のパイロット室1aに向かって流れる圧力流体の流れに対して上記合流点11よりも下流側にオリフィス12を設け、上流側にオリフィス13を設けている。このようにオリフィス12,13を設けることによって、レギュレータ1のパイロット室1aに圧力が急激に作用しないようにしている。
【0005】
上記アンロード弁装置Aは、可変容量型ポンプPの吐出側に連通する通路6をタンクTに連通させたり、あるいはその連通を遮断したりするもので、通常は、上記スプリング5の作用で、図示の閉位置(a)を保つ。そして、一方のパイロット室3の圧力に対して、他方のパイロット室4の圧力及びスプリング5のばね力を合計した力が打ち勝てば、開位置(b)に切り換わり、可変容量型ポンプPとタンクTとを連通させる。
【0006】
例えば、切換弁14,15を切り換えて、可変容量型ポンプPからの圧力流体をシリンダ8,9に供給すると、そのときの最高負荷圧が、シャトル弁16で選択されて上記導入通路10に導かれる。この導入通路10に導かれた圧力は、レギュレータ1のパイロット室1aと、上記アンロード弁装置Aの他方のパイロット室4とに作用する。
【0007】
このとき、アンロード弁装置Aは、他方のパイロット室4の圧力及びスプリング5のばね力によって閉位置(a)を保ち、可変容量型ポンプPとタンクTとの連通を遮断する。
そして、切換弁14,15を閉じて、シリンダ8,9の負荷をゼロにすれば、他方のパイロット室4の圧力もゼロになるので、このときは、弁体2が可変容量型ポンプPのスタンバイ流量を吐出するために必要な吐出圧の作用で開位置(b)に切り換わり、上記可変容量型ポンプPの吐出流体をタンクTに導く。
【0008】
上記アンロード弁装置Aの具体的な構成を示したのが図4である。この従来のアンロード弁装置Aのバルブ本体Bには、通路6を介して上記可変容量型ポンプPの吐出側に接続した回路圧導入ポート17と、タンクに連通するタンクポート18とを形成している。
さらに、バルブ本体Bには、スプールからなる弁体2を組み込み、この弁体2の一方の端面を一方のパイロット室3に臨ませ、他方の端面を他方のパイロット室4に臨ませている。
【0009】
上記他方のパイロット室4はプラグ19で塞ぐとともに、このプラグ19と弁体2との間にスプリング5を介在させている。
しかも、このプラグ19には通路20を形成するとともに、この通路20に上記下流側のオリフィス12を設けている。したがって、上記他方のパイロット室4は、通路20及びこの通路20に設けた上記オリフィス12を経由して、上記レギュレータ1のパイロット室1aに連通する。
【0010】
また、上記バルブ本体Bには上記導入通路10に連通する通路21を形成し、この通路21を上記他方のパイロット室4に連通させている。そして、この通路21に上記上流側のオリフィス13を設けている。
そして、弁体2が図示の位置すなわち閉位置(a)にあると、回路圧導入ポート17とタンクポート18との連通が遮断される。
【0011】
また、シリンダ8,9が作動しているときには、上記導入通路10に導かれた圧力流体が、通路21から上流側のオリフィス13を通って他方のパイロット室4に至り、さらに、この他方のパイロット室4から通路20及びその通路20に設けた下流側のオリフィス12を通って上記レギュレータ1のパイロット室1aに導入される。つまり、この図4の構成では、上記通路21、他方のパイロット室4及び通路20が相まって、導入通路10の一部を担うことになる。
【0012】
なお、上記のように2つのオリフィス12,13を設けたのは、次の理由からである。
例えば、シリンダ8,9の負荷圧の変動を、レギュレータ1のパイロット室1aにダイレクトに伝えると、シリンダ8,9の起動時などには、ショックやハンチングが発生してしまう。そこで、上記オリフィス12,13を設けて、起動時における可変容量型ポンプPの応答性を積極的に遅れさせて、ショックやハンチングの発生を防止している。
【0013】
ただし、上記のように2つのオリフィス12,13を設けたのは、これらオリフィス12,13の開口を大きくできるようにするためである。つまり、導入通路10に流れる流量がきわめて微少なので、下流側のオリフィス12だけだと、当該オリフィス12の開口を限りなく小さくしなければ、所期の効果を発揮できなくなる。しかし、上記オリフィス12の開口を限りなく小さくすると、今度は、このオリフィス12に異物が詰まりやすくなるという問題が発生する。また、オリフィス12の開口を小さくすれば、作動油の粘性が大きな低温時に、応答性が悪くなりすぎるという問題も発生する。
そこで、上記したように下流側のオリフィス12と、上流側のオリフィス13とを設け、これら両オリフィス12,13が相まって、1つのオリフィスとして機能するようにしている。
【0014】
上記の構成のもとで、切換弁14,15が閉位置にあって、アクチュエータ8,9が動作してない状態では、導入通路10及びパイロット室1aに導かれる圧力がゼロになるかもしくはそれに近い状態になる。パイロット室1aに導かれるパイロット圧が、ゼロもしくはそれに近いとき、レギュレータ1は、可変容量型ポンプPの吐出量をスタンバイ流量に保つ。また、上記のように導入通路10の圧力がゼロであれば、アンロード弁装置Aにおける他方のパイロット室4の圧力作用もゼロもしくはそれに近くなる。
【0015】
このとき、アンロード弁装置Aの一方のパイロット室3には、スタンバイ流量を吐出するために必要な圧力が作用する。したがって、アンロード弁装置Aは、一方のパイロット室3の圧力作用で、弁体2がスプリング5に抗して図4の左方向に移動して、開位置(b)側に切り換わる。この開位置(b)においては、弁体2のノッチ2aを介して回路圧導入ポート17とタンクポート18とが連通するので、上記スタンバイ流量はタンクTにアンロードされる。したがって、可変容量型ポンプPからは、スタンバイ流量が吐出し続けることになる。
【0016】
上記の状態から、切換弁14,15を切り換えると、可変容量型ポンプPの吐出流体がシリンダ8,9に供給される。このようにシリンダ8,9に流体が供給されれば、その負荷圧がパイロット圧としてレギュレータ1のパイロット室1aに導かれる。したがって、レギュレータ1は上記パイロット圧に応じて可変容量型ポンプPの吐出容量を増大させるが、それは、パイロット圧として導かれた最高負荷圧よりも、ポンプ吐出圧が常に高くなるように制御される。なお、このときアンロード弁装置Aは、上記開位置(b)から閉位置(a)に切り換わる。
【0017】
すなわち、弁体2が図4において右方向に移動して、ノッチ2aが図4に示す位置に戻り、回路圧導入ポート17とタンクポート18との連通を遮断する。このとき、弁体2が他方のパイロット室4から抜けた分、パイロット室4の容積が実質的に増大する。容積が増大したパイロット室4には、上流側のオリフィス13を経由したパイロット流量が流れ込むことになる。このように他方のパイロット室4の容積が増大した分の流量は、相対的に大きくなるので、上流側のオリフィス13の開口をそれほど小さくしなくても、十分な圧力降下を生じさせることができる。
なお、図中符号22,23は、切換弁14,15の下流に設けた圧力補償流量制御弁である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−092774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記のようにした従来のアンロード弁装置では、他方のパイロット室4が、導入通路10の一部を担うので、他方のパイロット室4には比較的高圧の流体が流通する。そのため、他方のパイロット室4に設けたスプリング5は、高圧流体の流れの中にさらされることになるので、スプリング5が高圧流体の圧力や流れに影響されて、歪んだり撓んだりしてしまう。スプリング5がひずんだり撓んだりすると、初期のばね力が発揮されなくなり、弁体2の開閉特性に悪影響を及ぼすという問題が発生する。
【0020】
この発明の目的は、上記他方のパイロット室のスプリングが、高圧流体の流れにさらされず、いつも安定したばね力を発揮できるようにしたアンロード弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の発明は、次の構成要素を備えている。すなわち、バルブ本体と、上記バルブ本体に形成された回路圧導入ポートと、上記バルブ本体に形成されたタンクポートと、上記バルブ本体に組み込まれ、上記回路圧導入ポートとタンクポートとを連通させたり、あるいはその連通を遮断したりする弁体と、上記バルブ本体に形成され、上記弁体の一方の面を臨ませるとともに、上記回路圧導入ポートの圧力が導かれる一方のパイロット室と、上記バルブ本体に設けられ、上記弁体の他方の面を臨ませた他方のパイロット室と、上記他方のパイロット室に介在させるとともに、上記弁体にばね力を作用させて、上記回路圧導入ポートとタンクポートとの連通を遮断する位置に上記弁体を保持するスプリングと、上記他方のパイロット室に一端を開口させ、他端を上記バルブ本体とは別に設けた制御手段に接続したパイロット通路と、上記パイロット通路と負荷圧を導入する負荷圧導入通路との間に設けた第1のオリフィスと、上記負荷圧導入通路から上記制御手段に流れる流れに対して上記第1のオリフィスよりも下流側となる位置に設けた第2のオリフィスとを備えた構成にしている。
【0022】
第2の発明は、上記パイロット通路には、上記第1のオリフィスに対して、第2のオリフィスと並列にした第3のオリフィスを設け、この第3のオリフィスが他方のパイロット室の圧力変化に対してダンピング効果を発揮する構成にしている。
【0023】
第3の発明は、上記パイロット通路及び上記第1,2のオリフィスをカートリッジに設け、このカートリッジを上記バルブ本体に組み付けた構成にしている。
【0024】
また、第4の発明は、上記カートリッジに、第1,2のオリフィスとともに第3のオリフィスを設けた構成にしている。
【0025】
第5の発明は、上記他方のパイロット室にスプリングガイドを設け、上記スプリングガイドと上記弁体との間に上記スプリングを介在させるとともに、上記スプリングガイドを上記弁体の軸方向に移動させるアジャスタを設けた構成にしている。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明によれば、パイロット通路に導かれた高圧流体は、上記他方のパイロット室を経由することなく、制御手段に導くことができるので、他方のパイロット室に設けたスプリングは、高圧流体の流れの中にさらされることがない。したがって、いつも安定したばね力を発揮することができるとともに、弁体の開口特性も安定したものになる。
【0027】
また、他方のパイロット室に対して弁体が閉位置に移動するとき、他方のパイロット室の実質的な容積が拡大するが、この容積が拡大した分の流量が他方のパイロット室に流れるので、従来と同じように、オリフィスの開口をそれほど小さくしなくても良くなる。
【0028】
第2の発明によれば、第1,2のオリフィスのほかに、第3のオリフィスを設けたので、この第3のオリフィスによって、他方のパイロット室に対するダンピング効果を期待でき、弁体を安定的に作動させることができる。
【0029】
第3及び第4の発明によれば、上記パイロット通路及び上記第1,2のオリフィスあるいは第1〜3のオリフィスをカートリッジに設けたので、バルブ本体に対してこれらパイロット通路及び上記第1,2のオリフィスあるいは第1〜3のオリフィスを設けるのが簡単になる。
【0030】
第5の発明によれば、スプリングのばね力を調整するアジャスタを設けたので、当該スプリングのばね力を調整して可変容量型ポンプのスタンバイ流量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態の断面図である。
図2】第2実施形態の断面図である。
図3】従来のアンロード弁装置を組み込んだロードセンシング回路を示した図である。
図4】従来のアンロード弁装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は第1実施形態のアンロード弁装置Aを示すもので、ロードセンシング回路における位置づけは従来と同様である。そこで、以下には、当該アンロード弁装置Aを図3に示したロードセンシング回路に用いた場合を前提にして説明し、その前提において図3と同一の構成要素については、同一符号を付して説明する。
【0033】
バルブ本体Bには、通路6を介して可変容量型ポンプPに連通した回路圧導入ポート24と、タンクTに連通するタンクポート25とを形成している。
そして、バルブ本体Bには、この発明の弁体であるスプール26を組み込み、このスプール26の一方の端面を一方のパイロット室27に臨ませ、他方の端面を他方のパイロット室28に臨ませている。
【0034】
上記他方のパイロット室28には、スプリングガイド29を摺動自在に組み込むとともに、このスプリングガイド29と上記スプール26との間にスプリング30を介在させている。このようにしたスプリングガイド29は、他方のパイロット室28に対して摺動自在なピストン部29aと、このピストン部29aから上記スプール26側に向かって突出した棒状のガイド部29bとからなり、このガイド部29bを上記スプリング30内に突出させている。
なお、図中符号31は上記ピストン部29aの周囲に設けたシール部材である。
【0035】
また、上記スプール26とは反対側である上記ピストン部29aの外側にはアジャスタ32を設け、このアジャスタ32を回してピストン部29aを軸方向に移動させ、スプリング30のばね力を調整できるようにしている。
さらに、上記バルブ本体Bには、この発明のカートリッジを構成するプラグ33を設けている。このプラグ33には、他方のパイロット室28に一端を開口させたパイロット通路34を形成している。また、このパイロット通路34の他端は、可変容量型ポンプPのレギュレータ1のパイロット室1aに接続している。
【0036】
そして、上記プラグ33の側部には、図3の回路図における上流側のオリフィス13に相当する第1のオリフィス35を設けている。このようにした第1のオリフィス35を介して、上記パイロット通路34と負荷圧導入通路36とを連通している。上記負荷圧導入通路36は、上記シャトル弁16に接続した導入通路10に連通させている。したがって、上記パイロット通路34には、第1のオリフィス35を経由して、シリンダ8,9の負荷圧が導かれることになる。
【0037】
さらに、上記プラグ33には、図3の回路図における下流側のオリフィス12に相当する第2のオリフィス37を設けている。この第2のオリフィス37は、負荷圧導入通路36からレギュレータ1のパイロット室1aに向かって流れる流れに対して、第1のオリフィス35よりも下流側に設けている。
【0038】
次に、この第1実施形態の作用を説明する。
上記一方のパイロット室27の圧力作用に対して、他方のパイロット室28の圧力作用及びスプリング30の作用力が打ち勝っている状態では、スプール26が、図示の閉位置を保って、回路圧導入ポート24とタンクポート25との連通を遮断する。
【0039】
図3の回路図における切換弁14,15を切り換えて、アクチュエータであるシリンダ8,9に圧力流体を供給すると、そのときの可変容量型ポンプPの吐出圧が、通路6から回路圧導入ポート24を介して一方のパイロット室27に導かれる。したがって、スプール26の一方の端面には、上記スプリング30に抗する力が作用する。
【0040】
一方、シャトル弁16を経由して負荷圧導入通路36に流入した流体は、第1のオリフィス35、パイロット通路34及び第2のオリフィス37を通ってレギュレータ1のパイロット室1aに導かれ、シリンダ8,9の負荷圧をこのパイロット室1aに作用させ、可変容量型ポンプPの吐出圧が、上記シリンダ8,9の負荷圧よりも高い圧力を吐出するように、可変容量型ポンプPの傾転角を制御する。
【0041】
ただし、上記のようにシリンダ8,9を作動させているときには、他方のパイロット室28に負荷圧が導かれているので、この負荷圧とスプリング30のばね力との合計作用力が、上記一方のパイロット室27のポンプ吐出圧の作用力に打ち勝った状態を保つ。したがって、上記のようにシリンダ8,9を作動させているときには、スプール26が図示の閉位置を保つ。
【0042】
一方、上記切換弁14,15を閉位置に保っている状態では、シリンダ8,9の負荷圧がゼロもしくはそれに近い状態になるので、他方のパイロット室28内の圧力もほぼゼロもしくはそれに近い状態になり、スプール26にはスプリング30のばね力が作用し、他方のパイロット室28の圧力はほとんど影響を及ぼさない。
上記の状態で、可変容量型ポンプPは回転し続けるので、そのときの吐出圧は一方のパイロット室27に導かれ、その圧力がスプール26に作用する。
【0043】
したがって、一方のパイロット室27の圧力によるスプール26に対する作用力が、他方のパイロット室28に設けたスプリング30の作用力に打ち勝って、スプール26はスプリング30のばね力に抗して、図1の左方向に移動する。
スプール26が上記のように左方向に移動すれば、スプール26に形成したノッチ26aを介して回路圧導入ポート24とタンクポート25とが連通し、可変容量型ポンプPの吐出流体はアンロードされる。
【0044】
ただし、このときには、可変容量型ポンプPが、所定のスタンバイ流量を確保できるように、スプリング30のばね力があらかじめ設定されている。
なお、アジャスタ32を回して上記スプリング30のばね力を調整できるので、
そのばね力調整によって可変容量型ポンプPのスタンバイ流量を調整できる。
【0045】
また、可変容量型ポンプPがスタンバイ流量を確保している状態すなわちスプール26がスプリング30のばね力に抗して移動している状態から、切換弁14,15を切り換えると、シリンダ8,9の負荷圧が他方のパイロット室28に導かれるので、スプール26は図1に示す閉位置に復帰する。
【0046】
このようにスプール26が復帰する過程では、当該スプール26が他方のパイロット室28から閉位置に移動した体積分だけ他方のパイロット室28の実質的な容積が拡大する。
したがって、上記容積が拡大した分の流体が他方のパイロット室28に流れるので、従来と同じように、オリフィス35,37の開口をそれほど小さくしなくても良くなる。
【0047】
また、当該アンロード弁装置Aが動作する過程で、他方のパイロット室28には、圧力が導かれたり、あるいはその圧力がゼロになったりするが、他方のパイロット室28は、流体の流通路の一部を担うことがないので、スプリング30が圧力流体の流れに影響されて、歪んだり撓んだりしなくなる。
【0048】
さらに、パイロット通路34及び第1,2のオリフィス35,37をプラグ33に設けて、これらをカートリッジ化したので、バルブ本体Bに対してこれらパイロット通路34及び上記第1,2のオリフィス35,37を設けるのが簡単になる。
【0049】
また、この第1実施形態のアンロード弁装置Aをロードセンシング回路に設ければ、レギュレータ1を安定的に制御できる。
なお、ロードセンシング回路における上記第1実施形態のアンロード弁装置Aの位置づけは、上記したように従来と同様である。
【0050】
図2に示した第2実施形態は、パイロット通路34であって、他方のパイロット室28に導かれる流れに対して、第1のオリフィス35よりも下流側となる位置に第3のオリフィス38を設けたもので、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0051】
上記のように第2実施形態によれば、第3のオリフィス38を設けたので、この第3のオリフィス38によって他方のパイロット室へのダンピング効果を発揮させることができる。したがって、他方のパイロット室28の急激な圧力変化を防止でき、その分、スプール26を安定して作動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
ロードセンシング回路に用いるのに最適である。
【符号の説明】
【0053】
P 可変容量型ポンプ
1 レギュレータ
1a パイロット室
B バルブ本体
24 回路圧導入ポート
25 タンクポート
26 弁体であるスプール
27 一方のパイロット室
28 他方のパイロット室
30 スプリング
33 カートリッジとしてのプラグ
34 パイロット通路
35 第1のオリフィス
37 第2のオリフィス
38 第3のオリフィス
図1
図2
図3
図4