【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、
複数の芯金を周方向に一定ピッチで埋設したゴム製のクローラベルトと、前記クローラベルトを駆動する駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットの前下方にて前記クローラベルトを回動案内する前側遊輪と、前記駆動スプロケットの後下方にて前記クローラベルトを回動案内する後側遊輪と、前記前側遊輪と前記後側遊輪との間にて前記クローラベルトを回動案内する複数の転輪とを備え、
前記クローラベルトは、その内周面の左右中央側箇所にて前記内周面から突出する複数の駆動用突出部を周方向に一定ピッチで整列形成し、
前記駆動スプロケットは、その外周縁から外向きに突出する複数の駆動用押圧部を周方向に一定ピッチで整列形成して、前記駆動用押圧部にて前記駆動用突出部を前記クローラベルトの回動方向に押圧するように構成し、
前記駆動用突出部のそれぞれは、前記芯金の左右中央側箇所にて前記駆動用押圧部と対向するように前記クローラベルトの内周面側に屈曲偏倚させた前記芯金の偏倚部と、前記偏倚部を覆う前記クローラベルトの被覆部とから構成した。
【0007】
この手段によると、駆動スプロケットからの駆動力によってクローラベルトを駆動する場合には、駆動スプロケットの各駆動用押圧部が、クローラベルトに埋設した各芯金に対しては、それらの芯金における左右中央側箇所の偏倚部の全体に被覆部を介して適切に押圧作用することになる。これにより、駆動スプロケットからの駆動力を、駆動スプロケットの各駆動用押圧部がクローラベルトの各駆動用突出部に当接する際の衝撃音の発生を抑制しながら、クローラベルトに埋設した各芯金を介してクローラベルトに効率良く伝えることができる。
【0008】
従って、駆動時の騒音の発生を抑制しながら、クローラ走行装置の推進力を向上させることができる。
【0009】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記前側遊輪と前記後側遊輪と複数の前記転輪とのそれぞれは、前記駆動用突出部の左右に隣接する左右の輪体を備えた外転輪型に構成し、
前記偏倚部のそれぞれに、左右の対応する輪体に隣接する一対の芯金突起を突出形成した。
【0010】
この手段によると、クローラ走行装置の駆動時には、クローラベルトの各駆動用突出部に備えた一対の芯金突起と、前後の遊輪及び各転輪に備えた左右の輪体とが隣接することにより、前後の遊輪及び各転輪に対するクローラベルトの左右方向での位置ズレを防止することができる。
【0011】
そして、駆動スプロケットからの駆動力によってクローラベルトを駆動する場合には、駆動スプロケットの各駆動用押圧部が、クローラベルトに埋設した各芯金に対しては、それらの芯金における偏倚部の全体に加えて左右の芯金突起にも押圧作用することになる。これにより、駆動スプロケットからの駆動力を、クローラベルトに埋設した各芯金を介してクローラベルトに更に効率良く伝えることができる。
【0012】
又、前後の遊輪を外転輪型に構成したことにより、クローラベルトの各駆動用突出部に前後の遊輪の通過を許容する凹入深さの深い凹部を形成する必要がないことから、各駆動用突出部の被覆部を、前記一対の芯金突起の間を埋める突起間部分を有するように形成することができる。これにより、各駆動用突出部におけるクローラベルトの回動方向視での形状を、駆動スプロケットの各駆動用押圧部による押圧を受けないデッドスペースが存在しない形状に形成することができる。これにより、駆動スプロケットからの駆動力によってクローラベルトを駆動する場合には、駆動スプロケットの各駆動用押圧部にてクローラベルトの各駆動用突出部を効率良く適切に押圧することができる。
【0013】
従って、前後の遊輪及び各転輪に対するクローラベルトの左右方向での位置ズレを防止しながら、駆動スプロケットからの駆動力をより効率良くクローラベルトに伝えることができ、クローラ走行装置の推進力を更に向上させることができる。
【0014】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記クローラベルトは、その内周面側の駆動用突出部間に前記駆動用押圧部が係入する凹入部を形成している。
【0015】
この手段によると、各芯金における偏倚部の偏倚量を小さくしながらも、駆動スプロケットからの駆動力によってクローラベルトを駆動する場合には、駆動スプロケットの各駆動用押圧部を、各芯金における偏倚部の全体に対して適切に押圧作用させることができる。これにより、各駆動用押圧部からの押圧力を、クローラベルトに埋設した各芯金の基部に伝え易くなり、その分、駆動スプロケットからの駆動力をより効率良くクローラベルトに伝えることができる。
【0016】
従って、駆動スプロケットからの駆動力をより効率良くクローラベルトに伝達することができ、クローラ走行装置の推進力を向上させることができる。
【0017】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記凹入部のそれぞれは、前記凹入部に係入した前記駆動用押圧部の左右両端部分との当接により、前記駆動スプロケットに対する前記クローラベルトの左右方向への位置ズレを防止する当接部分を備えるように構成した。
【0018】
この手段によると、駆動スプロケットに対するクローラベルトの左右方向での位置ズレを防止することができる。
【0019】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記駆動用突出部は、前記被覆部における前記一対の芯金突起の間を埋める突起間部分の突出方向の長さが、前記一対の芯金突起の突出方向の長さよりも短くなるように形成して、前記駆動用突出部の突出端部位に凹入部分を備えるように構成し、
前記駆動スプロケットは、その外周縁に、前記凹入部分に係入して前記クローラベルトの左右方向への位置ズレを防止するリング状の係入部分を備えるように構成した。
【0020】
この手段によると、駆動スプロケットからの駆動力によってクローラベルトを駆動する場合に、駆動スプロケットの各駆動用押圧部が、クローラベルトの各駆動用突出部に備えた各芯金の偏倚部の全体に対して被覆部を介して適切に押圧作用する状態を得られるようにしながら、各駆動用突出部の被覆部における突起間部分の突出方向での長さが不必要に長くなるのを防止することができる。これにより、クローラベルトの軽量化及びコストの削減を図ることができる。
【0021】
そして、各突起間部分が不必要に長くなるのを防止することによって得られる凹入部分を有効利用して、各凹入部分に係入するリング状の係入部分を駆動スプロケットの外周縁に備えることにより、駆動スプロケットに対するクローラベルトの左右方向への位置ズレを防止することができる。
【0022】
従って、クローラベルトの軽量化及びコストの削減を図りながら、駆動スプロケットに対するクローラベルトの左右方向への位置ズレを防止することができる。