(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記圧力センサの上記一つ又は複数の物理的特徴が、上記センサチップの信号リードラインに接続する信号ワイヤを受けるために一つ又は複数の切り欠きを有する、請求項1の血管内圧力センサ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ガイドワイヤに搭載された圧力センサとその製造方法は、従来使用されていた機械的のこぎりではなく、DRIEを使用してソリッドステートセンサを形成するものである。のこぎりによるダイシングの過程でセンサチップ基板に加わる極めて大きなストレスは、センサに僅かな損傷を与え、その性能を永久的に低下させるか又は早期故障に対してセンサを脆弱なものにしてしまう。URIEを用いることによって血管内で使用される多数の新たな圧力センサがもたらされ、その場合、センサは圧力測定冠状動脈ガイドワイヤの末端に搭載される。
【0014】
超小型電子製造用DRIE法は、フォトリソグラフィによって形成されたパターンに基づいて、シリコンウェーハの表面に任意のパターンをエッチングできる。シリコン基板上でDRIE法を行うことにより、100μm又はそれ以上の深さを有するほぼ垂直な壁が作られる。実際、DRIEに基づくエッチングは、厚さが400μmのウェーハを完全にエッチングするために使用できる。フォトリソグラフィとDRIEによれば、1μmまでの精度をもってパターンをエッチングして、1μm又はそれ未満の寸法を有する特徴を作ることができる。DRIEは、シリコンウェーハ処理では広く使用されている。血管内圧力センサの製造に適用した場合、DRIE法によって、冠状動脈ガイドワイヤの末端に搭載するのに理想的に適した圧力センサを容易に製造できる。
【0015】
以下は、冠状動脈ガイドワイヤ用の圧力センサを製造する際にDRIEを用いることによって得られる改善点のリストである。
・長方形以外のセンサ基板は、センサチップの繊細な圧力感応領域を片持ち支持する。
・長方形以外のセンサ外形によって、(センサ基板を再び方向付けることで)ガイドワイヤの先端に極めてコンパクトにセンサを搭載できる。
・圧力センサにおける精密な切り欠きによって、センサにワイヤを取り付ける又リードワイヤの取り付けのための張力を緩和する簡単な構成を採用できる。
【0016】
その他の潜在的に有益な製造上の特徴は、圧力センサワイヤのセンサアセンブリを形成するためにDRIE法を採用することによってもたらされる。例えば、DRIE製造法により、複数のセンサチップをシートにして同時に製造できる。個々のセンサチップは、タブを介してシートに取り付けられる。そのシート内にセンサチップのセットを作った後、そのタブは壊されて個々のチップがシートから分離される。単にタブを屈曲させることによって壊される簡単なタブから取り付け構造を捩ることによって壊される複雑なタブまでを含む、様々な取り付けモードが可能である。それぞれの場合において、フォトリソグラフィのパターニングとDRIEを用いて、シリコンウェーハ支持用骨格からセンサチップを分離することによってセンサチップが損傷することのないように、タブが形成される。
【0017】
図1についてみると、図示する血管内圧力検出ガイドワイヤの末端移行ハウジングが示されており、該ガイドワイヤはDRIE製造法を具体化した圧力センサを含んでいる。図示する例において、圧力センサチップ10は、圧力センサガイドワイヤ14の末端近傍のコイルとコイルとの移行部に配置されている。ハウジング12は、圧力センサチップ10を含む領域に比較的安定した外形を維持している。また、センサチップ10の片持ち部は、一組の圧力センサ信号リード線が連結されるリード部よりも小さな幅を有する。以下に説明する図示する実施例において、センサチップ10はDRIE法を用いて製造されており、曲げられた外形縁部を有するチップを含むほぼ所望形状の外形を備えている。図面を参照して、一組の圧力センサチップ(例えば、チップ10)を提供するためのシリコンウェーハのDRIE処理によって容易化された、複数の構造上の強化内容を改善された製造法とともに説明する。
【0018】
実施例の圧力センサアセンブリは、
図2を参照して以下に概略説明する圧力検出ガイドワイヤ及び信号処理システムに組み込まれている。例示のシステムは、ガイドワイヤに搭載されたシリコン圧力センサを有する。そのようなガイドワイヤに搭載されたシリコン圧力センサがコール等の米国特許第6,106,476号に開示されている。なお、
図2に示す血管内圧力センサシステムは単なる例示である。本願で説明する圧力センサチップ及びそのようなチップの製造方法は、実質的に、血管内圧力検出アセンブリに組み込むことができる。
【0019】
引き続き
図2を参照すると、ここで説明する型式の圧力センサチップを含むシステムの実施例において、信号調整装置50は、生理モニター52に5線式コネクタケーブル54を介して接続している。該5線式コネクタケーブル54は、生理モニター52によって駆動される一対の励起信号ラインを含む。この励起信号ラインは、例えば、2.4−11Vdc,2.4−8Vrms正弦波(1kHz〜5kHz)、又は2.4−8Vrms矩形波(dc〜5kHz)の異なる差動電圧対として駆動される。生理モニターの例としては、米国標準規格協会の規格に適合する圧力センサポートを備えたすべての血行動態装置(米国カリフォルニア州フートヒル・ランチのニホン・コーデン・アメリカから販売されているANSryAAMI BP22-1994; models RM-6000, RMC-2000, RMC-3100, Lifescope-S, RMC-1100、日本国東京のNECコーポレーションから販売されているモデルEP-1102とEP-1600、日本国東京のフクダ・デンシから販売されているモデルMCS-5500, MCS-7000, DS-3300)が含まれる。
【0020】
5線式コネクタ54は、一対の差動出力信号ラインを含む。出力信号ラインは、アナログコンバータに対する、信号調整装置50の出力信号によって駆動される。例えば、差動出力信号は、5μV/V/mmHgで動作する。それに対する−150μV/V〜1650μV/Vの動作範囲は、−30〜330mmHgの検出圧力範囲を示す。差動出力信号の分解能(最小ステップ)は0.2mmHgである。5線式コネクタケーブル54の第5のラインは、グランド信号を伝える。したがって、信号調整装置50に対するすべての信号/電力要件は、生理モニター52の標準5線出力に適合するものである。
【0021】
患者側では、信号調整装置50は、コネクタ58と対応するスタティックケーブル59を介して交換式ガイドワイヤ56に接続する。ガイドワイヤ56は、例えば、コアワイヤを含む基端シャフト(ハイポチューブともいう)を含む。コアワイヤは、ガイドワイヤの末端からガイドワイヤ56の基端(コネクタ)に伸びており、ガイドワイヤ56の基幹回線としての役割を果たす。図示する実施例では、圧力センサアセンブリはガイドワイヤ56の末端に搭載される。また、末端から数センチメートルにあるガイドワイヤの移行部などの場所にも設けられる。
【0022】
コネクタ58は、交換式ガイドワイヤ56と信号調整装置50の間で信号を送るスタティックケーブル59の10本のラインに接続している。コネクタ58の最初の5本のラインは、圧力センサ関連信号を作成するとともにそれを受けるために利用される。コネクタ58の残りの5本のラインは、搭載されたセンサの特性に関連した値を格納するためにスタティックケーブル59に設けられた、ガイドワイヤセンサ特性を電気的に消去可能で且つプログラム可能なリード・オンリー・メモリ(EEPROM)へのインターフェイスに関連している。
【0023】
コネクタ58の後者の5本線についてみると、10線式コネクタ58のうちの当該5線のうちの4線(5番目のラインは使用されない。)により、ガイドワイヤに搭載されたセンサ装置60(例えば、圧力センサ)用のスタティックケーブルに設けられたEEPROMから特性データを読み取ることができる。EEPROMは、センサ装置60からの検出信号を処理するために、信号調整装置50で用いられる値(温度補正値、ゲイン値、及びオフセット値)を含む。電力及びグランドラインは、信号調整装置50によってコネクタ58を介してEEPROMに提供される。
【0024】
コネクタ58に関連した最初の5線は、例えばガイドワイヤ搭載圧力センサ60の2つの圧力検出シリコン抵抗センサ要素のそれぞれに接続された電圧基準ラインを含む。残りの4線は、2組の励起/検出信号対を含む。本発明の実施例において、第1の電流が励起/検出用の第1の短絡ライン対に流れる。第2の電流は、第1の電流に対して独自に調整可能であり、コネクタ58の励起/検出用の第2の短絡ライン対に流れる。
図2の形態において、第1と第2の電流は、交換式ガイドワイヤ56の末端に搭載された圧力センサ60の第1と第2の抵抗センサ要素を通過する。抵抗センサ要素を含む圧力検出回路は、抵抗センサ要素の残りの2つの端子を電圧基準ラインに接続することによって仕上げられている。
【0025】
動作において、電気的な感知回路は以下のように機能する。圧力センサ60のシリコン抵抗は圧力を感知する。一対の抵抗要素を有する実施例では、圧力の変化に応答して、一方の要素が抵抗を増加し、他方の要素が抵抗を減少する。例えば、本発明の実施例では、各抵抗要素は、圧力100mmHg、温度25度(摂氏)で、15〜35μオーム/オーム/mmHgの圧力感度を有する。抵抗要素を通じて一定電流を印加することにより、圧力が変化すると抵抗が変化し、それにより、抵抗センサ要素を通る電圧が変化する。
【0026】
コモン(共通)電圧基準は、これによって第1及び第2の抵抗要素を通る電圧が測定されるもので、センサ60における一組の抵抗センサ要素のそれぞれの第1端子を信号調整装置50によって提供されるコモン基準電圧に接続することによって確立される。信号調整装置50内の差動アンプは、励起/検知ラインを介して、各抵抗センサ要素の第2端子での電圧に対応する電位差を検出して、電圧差信号を作成する。信号調整装置50内のアナログ−デジタルコンバータ(ADC)は、増幅されたアナログ電圧差信号をデジタル値に変換する。デジタル値は、プロセッサにより受信され、公知の方法でフィルタ処理され(例えば、有限インパルス応答フィルタ処理、又は「FIR」フィルタ処理)、センサ60の前校正に基づいて、フィルタ処理されたデジタル圧力値を得る。フィルタ処理されたデジタル圧力値は、その後、一対の出力デジタル−アナログコンバータ(DAC)に対するデジタル入力部を駆動するために利用される。対をなす出力DACは、ケーブル54を通じて生理モニター52に送られる出力信号に対応して、差動出力信号を作る。
【0027】
センサ60シリコン抵抗要素のそれぞれに対する駆動電流は、例えば、30〜90μA(直流電流)である。抵抗要素のそれぞれに対する抵抗値は、訳2500オームである。
【0028】
シリコン抵抗要素は、例えば、約2.0〜3.6mオーム/オーム/C°に亘る温度感度を有する。抵抗要素の温度に対する感度が同一であることは保証できないことから、2つの励起ラインの少なくとも一方が独自に調整可能な電流を流し、圧力センサの温度補正、及び信号調整装置によって与えられるその他の特性に基づく調整値の補正が容易に行われて、正確な圧力センサ読値が得られるようにする。別のセンサ駆動電流により、センサの動作温度範囲にわたって、センサ要素の抵抗変動差を埋め合わせることができる。温度補正は、圧力センサに対する2つの励起ラインの少なくとも一方の励起電流を調整することにより行われる。これにより、動作温度の全範囲にわたって、センサ要素をまたがる電圧変動がほぼ同じ(すなわち、許容誤差限度内)になる。
【0029】
上述の、ケーブルコネクタ58に対するライン構成は一例に過ぎない。信号調整装置50が取り付け可能なセンサと、センサと信号調整装置50との間のライン構成は、設計上の検討事項や本発明の他の形態に関連した機能的要求に基づいて変更される。
【0030】
図3aについてみると、概略図は、ハウジングとセンサチップを含む圧力センサガイドワイヤの移行部を示す。該移行部は、放射線不透過性の先端コイルと放射線透過性の基端コイルとの間の移行部にあって、典型的には、
図2に示す形式の圧力検出ガイドワイヤの末端から3cm基端側に移動した場所に配置される。
図3aは、
図1,2に示す形式の血管内圧力検出ガイドワイヤに用いる圧力センサチップの製造にDRIE製造法を適用することによって容易化された新たなセンサチップアセンブリを示す。図示する実施例において、圧力変換チップ100は、チップ100の外形内に形成された片持ち構造と取付構造を含む。特に、搭載チップ100の片持ち部102は、圧力ガイドワイヤの末端近くに配置されたハウジング壁104内で独立した状態で置かれている。チップ100の拡大部106によって張力が緩和されている。該拡大部は、ハウジング壁104に当接する大きさの外縁を有する。これにより、片持ち部102は、比較的硬いハウジング壁104とコアワイヤ107の平坦部(
図3bを参照)から独立した位置に維持できる。片持ち部102と壁104の間の空間は、空気、液体、又は高弾性材料(例えば、カリフォルニア州のNuSiIテクノロジーLLCから販売されているMED−4905,MED−4930、又はそれに類似するものなどの、低デュロメータシリコーンエラストマ)が充填される。拡大部106から片持ち部102の移行部は、DRIE製造法により得られる。この製造法では、チップ100の非長方形外形に沿ったエッチングにより、チップ100の外形に沿って高精度の垂直エッチングが行われる。垂直エッチングは、チップ100が形成される少なくとも基板最終厚みを完全に貫通して進められる。
【0031】
拡大部106は、ハウジング壁104で形成される空間内にチップ100を配置することに関して構造的安定性を提供することに加えて、3つの圧力センサ信号ワイヤ(図示せず)のセットを有するトリフィラー(三重巻)ワイヤ105(
図3b)が取り付けられる、一組の溝付リードアタッチメント構造108を含み得る。他の形態では、拡大部106は、信号ワイヤが取り付けられる平坦な接触領域を含む。
図3aの断面は、基端コイル部113と放射線不透過性(プラチナ、インジウム)の末端コイル部115を有する。
図3aの横断面図には、基端側コイル部113と、放射線不透過性(プラチナ、インジウム)の末端コイル部115が含まれている。
【0032】
片持ち部102は、公知の構造のダイヤフラム110を有する。例として、真空チャンバは、シリコンウェーハにウェル又は窪みをエッチングし、次に、真空によって第1のシリコンウェーハを第2のシリコンウェーハに接着して形成される。その後、第1のシリコンウェーハは、公知のグラインダ及び公知のエッチングにより、圧力基準室を覆うシリコン薄膜のダイヤフラム100を残すように、研磨とエッチングによって薄膜化される。ウェーハ接着工程の前にダイヤフラムにインプラントされたシリコン抵抗は、薄いダイヤフラムを固定する際に生じる圧力によってもたらされる緊張に対する本質的な感応性によって、圧力に感応するようになる。確立された原理に基づき、抵抗の場所と向きによって、加えられる圧力に対して正応答又は負応答する抵抗要素となる。
【0033】
図3bについてみると、断面図(第1の断面図が
図3aに示されている移行ハウジング部のA−A線に沿った図)は、センサチップ100を含む圧力ガイドワイヤの移行領域を示す。図示する断面図において、チップ100は、概略、ハウジング壁104内で離間されている。ハウジング壁104の開口101によって、流体(例えば、血液)がダイヤフラム110に圧力を加える。図示する実施例では、拡大部106は、接着剤又は任意の他の適当な保持材料109(シリコンエラストマ)によって、所定の場所にしっかりと保持される。コアワイヤ107は、ハウジング領域で平坦に加工されており、チップ100、特に、チップ100の独立した片持ち部102から離してある。片持ち部102を囲む空間111は、空気、液体、又は高弾性材料(例えば、デュロメータ・シリコーン・エラストマ)を有する。拡大部106から狭小部102の移行部は、チップ100上のゴースト・ラインによって示されている。コアワイヤ107は、はんだ又は溶接でハウジング壁104に固定される。チップ100は、ハウジング壁104に接触するチップ100の一部を構成する拡大部106を含むハウジングの一部内に、保持材料で所定の場所に保持されている。また、断面図は、ダイヤフラム110のピエゾ抵抗要素に対する3つのリードの一つの接点に接続するトリフィラー・ワイヤ105の一つを含む。
【0034】
図3cについてみると、断面(第2の断面が
図3bに示されている移行ハウジング部のA−A線に沿った断面)は、ハウジング壁104内の拡大部106を示す。その図は、平坦化されたコアワイヤ107とはんだ117を示す。保持材料109は、該断面の残りの部分に充填される。
【0035】
図3dについてみると、断面図(第2の断面が
図3bに示されている移行ハウジング部のB−B線に沿った断面図)は、チップ100の片持ち部102を示す。
図3cに示す断面とは異なり、その図は、開口101を介して血圧を伝える材料を含む空間111に囲まれたチップ100の片持ち部102の独立した位置を示す。
図4と
図5についてみると、DRIE法により容易に形成されるチップの外形的特徴により、圧力ガイドワイヤの末端ハウジング内にセンサチップを容易に配置し接着できる。
図4はその他のセンサチップを示し、そこではセンサチップ100のエッチングされた外形に一対のノッチ(切り込み)が設けられている。ノッチは、ハウジング壁104内に形成された相補的なビードに対応する大きさを有するとともにそれに対応して配置されている。ハウジング内にチップ100を配置した後、接着剤(図示せず)がチップとハウジング壁の境界に沿って配置され、チップ100がハウジング壁104内に固定される。
【0036】
図5についてみると、別のセンサチップ形状が示されている。図示する実施例において、片持ち部部102の外形が曲げられている。ダイヤフラム110も、ダイヤフラムのウェルが曲がっている(長方形とは対照的である)ことから、曲げられている。このように、ウェルが非長方形状であることにより、通常のフォトリソグラフィとエッチングの技術により容易に形成される。また、
図5に示すチップの別の特徴は、拡大部106の側部に沿って形成された凹凸の付いた縁である。この凹凸の付いた縁は、フォトリソグラフィとDRIE処理によって、任意の形状の縁に形成される。
【0037】
DRIE法、特に、フォトリソグラフィをDRIEと組み合わせて用いることで、実質的に任意の形状の任意の外形を有する圧力センサチップを作ることができるという能力により、空間的に制限された断面を有する圧力ガイドワイヤ末端部内にセンサチップを容易に配置できる。
図6についてみると、非常に小さなディスク形状の圧力センサチップが記載されており、これは、ほぼ相補形状を有する内壁を備えた圧力検出ガイドワイヤのハウジング内に幅方向(
図3〜
図5に描かれている実施例に示されるような長手方向とは対照的な方向)に設けることができる。
図3〜
図5に描かれたチップデザインにおいて、圧力センサチップは、ハウジング内で500〜1500μmの長さを有する。ハウジング自体は約2〜4mmの長さを有する。基端コイルと末端コイルは、ハウジングの外側にはんだ付け又は接着剤で接着されており、ハウジングの硬い範囲に伸びている。このコイルによって形成された硬い部分は、6mm又はそれ以上の長さを有し、血管に挿入される部分である。この圧力センサのチップデザイン及びハウジング内におけるガイドワイヤ末端部の向きによっては、圧力センサチップはガイドワイヤの軸に沿ったほぼ100μmの長さ占める。また、ディスク形状の圧力センサチップは、2mm又はそれ未満の硬い領域を有するハウジング内に搭載可能である。
【0038】
図6に示すセンサチップ及びハウジング搭載配置によれば、ほぼディスク形状のセンサチップ200は円形の外形を有し、それは圧力ガイドワイヤ用ねじ式先端ハウジングの壁208によって形成された断面空間に合致する。ディスク形状のチップが図示する実施例に示されているが、長方形チップを含む他の形状が他の実施例として考えられる。DRIE法によれば、圧力チップの外形加工が容易になるだけでなく、圧力変換器及び電気的接続に関連して、センサチップに任意の特徴を容易に形成できる。DRIE法を用いて製造されるセンサチップのこれらの形態について以下に説明する。
【0039】
チップ200のダイヤフラム202の構造は、
図3〜
図5に示された装置のダイヤフラムと実質的に同一である。上述の圧力チップ装置とは対照的に、
図6に示されたデザインは、ダイヤフラム202の近くに間隔をあけて配置された接点204a、204b、及び204cを有する。チップ200はまた、トリフィラーの3つの電気リードを受けて固定するための切り欠き206a,206b,206cを有する。接点204a、204b、204cから伸びる一組のリード線は、トリフィラーの3つのワイヤをダイヤフラム202に形成されたピエゾ抵抗要素の接点に信号を送信するように接続している。実施例では、製造中、トリフィラーワイヤはそれぞれの切り欠き206に挿通され、接着剤で(又は、単に機械的に切り欠き206に捕獲されて)所定位置に固定され、センサチップ表面と面一に調整され、はんだ付けされて電気接続部に構造的に固定される。センサチップがガイドワイヤの先端に配置された実施例では、ガイドワイヤの面が柔軟なシリコーンキャップで覆われ、電気接続部を絶縁し、衝撃からセンサを保護する。チップ構造の例について、
図9と
図10を参照して以下に説明する。
【0040】
単一のシリコンウェーハ上に他のセンサ装置とまとめて形成される場合、圧力センサチップ装置は、壊れやすいタブによってシリコンウェーハのフレームに取り付けられる。実施例において、壊れやすいタブの分断点は、概ね連続した円形断面の内側に配置される。個々のセンサチップがシリコンウェーハのフレームから分離されるとき、タブを壊した後に残る切断端は、圧力センサチップのほぼ外形を形成している円形断面内に完全に位置している。したがって、その切断端は、ガイドワイヤハウジング内にチップを配置する際に干渉することがない。
【0041】
図7についてみると、他の接続構成では、接点204と切り欠き206は、ほぼ円形のセンサチップ200上に互いに隣接して配置される。
【0042】
代わりに、
図7における3つの隣接する切り欠き206a、206b、206cは、
図8に示すように、チップ200内で精巧に形作られた単一の切り欠き206にまとめ、それによって接着されたトリフィラーワイヤアセンブリを受けて支持することができる。製造中、
図7に示す実施例では、トリフィラーの分離されたリードが切り欠き206a、206b、206cを貫通し、又は、接着されたトリフィラーケーブルが
図8に示すスロットに加工された単一の切り欠き206を貫通する。その後、ワイヤは、チップ200の表面と面一に整えられ、はんだ付けされる。切り欠きの正確な加工は、フォトリソグラフィとDRIE法によって行われる。
【0043】
図9と
図10についてみると、圧力ガイドワイヤチップ構造の2つの例が示されている。それぞれは、例えば
図6,7,8に示された圧力センサデザインに関連するものである。したがって、それらのデザインによれば、圧力センサを含むガイドワイヤの比較的長くて硬い部分(移行ハウジング部)を短くし、圧力センサを収容するより短いチップハウジングを得ることができる。
【0044】
図9に示す実施例では、ダイヤフラム202は、ガイドワイヤのセンタに加わる圧力を密閉された圧力センサのダイヤフラム202に伝達する高弾性材料210(例えば、軟質シリコーンのエラストマドーム)で覆われている。そのような高弾性材料は、カリフォルニア州カーピンテリアのNuSiIテクノロジーLLCから提供されているMED4905,MED4930等の低デュロメータシリコーンエラストマである。圧力が加わると、ダイヤフラム202の表面上にあるピエゾ抵抗要素の抵抗が変化し、その抵抗変化がピエゾ抵抗要素を通る電圧の変化に変換される。
図9に示す実施例は、平坦な又はテーパの付いたコアワイヤ212を有し、これはセンサチップ200を支持するハウジング214にはんだ付けされる。ハウジング214はまた、ハウジング214を先端コイルにはんだ付け、接着して、又はねじで取り付けるなどの任意の方法で、ガイドワイヤコイル216のヘッドに固定的に取り付けられる。トリフィラー218のワイヤは、例えば、
図6,7,8に示す方法で取り付けられる。
【0045】
図10に示す他の実施例では、ダイヤフラム202は、ハウジング214内から加えられる圧力に晒されている。この実施例では、流体がガイドワイヤ216の一つ又は複数の開口220を通じて流れる。したがって、ダイヤフラム202の露出面に圧力が作用する。他の実施例では、トリフィラー218のワイヤに臨むチップ200の表面に接点204があるので、切り欠きは不要である。しかし、適正な配置を保証し、電気的接続部を機械的に支持するとともに張力を緩和するために、トリフィラー用の受け部(センサの一部に又は全体)を形成すべくDRIEパターニング法が用いられる。ダイヤフラムはチップの外側対向面に露出していないので、比較的硬い(
図9の材料210に比べて硬い)材料222(例えば、マサチューセッツ州ビレリカのエポキシ・テクノロジー・インコーポレィテッドから提供されているEPo−Tek301)で圧力ガイドワイヤの先端にあるドーム構造が形成される。
【0046】
DRIEに基づく製造法
DRIE法とラッピング(機械的基板から過剰なシリコンを除去すること)又はその他のウェーハを薄くする方法を用いて、薄くて精巧なウェーハによって取り付けられたフレームを含む多数のセンサチップの製造が容易に行えるようにした方法について説明する。
【0047】
通常、冠状動脈ガイドワイヤに適用されるシリコン圧力センサは、冠状動脈内に大気圧基準をとることは実際的でないことから、組み込み基準チャンバを必要とする。典型的には、基準チャンバは、2つのシリコンウェーハ又はシリコンウェーハとガラスウェーハを重ね合わせることにより形成される。例えば、第1のシリコンウェーハにウェル又は窪みをエッチングによって形成し、次に、シリコン溶融接着法を用いて真空下で上記第1のシリコンウェーハを第2のシリコンウェーハに接着することにより、真空チャンバが形成される。その後、公知の研磨とエッチングによって第1のシリコンウェーハを薄くして、圧力基準チャンバを覆うシリコン薄膜部(ダイヤフラム)を形成する。薄いダイヤフラムに導入された圧力撓みよって形成された歪に対する感応性によって、歪ウェーハ接着工程前にダイヤフラムにインプラントされたシリコン抵抗が圧力感応部となる。十分に確立された原理により、抵抗の配置と方向によって、作用する圧力に対して正応答又は負応答する抵抗要素が作られる。このようにウェーハを重ね合わせることにより多数のダイヤフラム、基準チャンバ、及びピエゾ抵抗が形成された後、金属接着パッドを加えてDRIE法でセンサ外形をパターニングすることによって、圧力センサの製造が終了する。
【0048】
一つの方法では、一つのシリコンウェーハ(重ね合わされたシリコンウェーハ)上の一組のセンサチップ装置について、DRIE法でセンサ外形がエッチングされる。また、一つの方法では、約100μmの深さまではDRIE法で行われる。DRIE法の処理中、ウェーハは400μmの厚みを有し、破壊に対する比較的大きな抵抗を有する。次に、DRIE法で処理されたウェーハは、ラッピングマシンに載せられる。例えば、ワックスによりウェーハはホルダに固定される。その後、公知の方法でウェーハがラッピングされ、過剰なウェーハ材料が除去される。デバイスがDRIE深さ(例えば、100μm)まで薄くなると、ソリッドステート線さチップがウェーハのバルクから分離され(ただし、細くて脆弱なタブを除く。)、主としてワックス基質とホルダによって支持される。ラッピングは、所望のデバイス厚さ(例えば、75μm)となるまで継続される。その後、ワックスを溶かす又は溶解するために熱湯又は溶剤に浸してホルダから個々の圧力チップ装置が分離される。これにより、細い脆弱なタブによってフレームに保持された、薄い圧力センサ装置が残る。
【0049】
本発明及びそれらの変形例の実施例を図面及びそれに付随する説明に示した。以上の説明から、開示された実施例に関する改変は本発明の他の実施例にも適用可能であることが容易に理解できる。そのような改変は、例えば、開示された回路やセンサチップの物理的構造、及び関連する血管内圧力センサアセンブリ部品に対する改変を含むものである。本発明は、開示された実施例に限定されるものでない。本発明は、開示された実施例に加えて、その開示及び以下の請求の範囲で定義される発明からみて本発明の範囲に含まれるその他の形態を含むものである。