(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記横外側構造体は、前記エンジンボンネットに機体上下向きに位置する前支柱フレームと、前記エンジンボンネットに機体上下向きに位置する後支柱フレームと、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームとの上部を連結する機体前後向きの上部連結体と、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームとの下部を連結する機体前後向きの下部連結体とを備えて構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の収穫機。
前記横外側構造体は、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームと前記上部連結体と前記下部連結体とによって囲われた開口を備え、前記開口を介して前記ラジエータへ冷却風が吸引されるように構成してある請求項6に記載の収穫機。
穀稈を刈取り処理する刈取部と、刈取り穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、前記脱穀装置からの脱穀粒を貯留するように、前記運転部の後方に配置された穀粒タンクとを備え、
前記穀粒タンクは、後部に位置する機体上下向き軸芯まわりに機体前後方向に沿った閉姿勢と、機体横外側に揺動した開姿勢とに切換え自在に支持されている請求項1〜9のいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の場合、防塵カバーを開くことによってエンジンルームを機体横外向きに開放できても、エンジンボンネット内のエンジンやラジエータまわりなどのメンテナンス作業には、手間が掛かる。
つまり、一般的に、収穫機において、エンジンボンネットには、コンパクトにエンジンやラジエータ等が収容されており、防塵カバーを開くことでエンジンルームが機体横外向きに開口しても、この開口からエンジンまで手が届かない。ラジエータを取り外そうとしても、ラジエータの固定箇所に手が届かなくて固定解除ができず、エンジンボンネットの取り外しが必要になっていた。エンジンボンネットの天板に点検口が設けられていても、運転座席の下方から手を差し入れる必要があり、メンテナンスの内容や箇所によっては、手が届き難いなど、エンジンボンネットの取り外しが必要になっていた。運転キャビンを備えるものにあっては、運転キャビンの取り外しも必要になっていた。
【0005】
本発明の目的は、運転部の下部にエンジンボンネットを備えるものでありながら、エンジンボンネット内のメンテナンスを容易にできる収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、
運転部の下部に、エンジン及び前記エンジンの機体横外側に位置するエンジン冷却用のラジエータを収容するエンジンボンネットを備え、
前記エンジンボンネットのうちの前記ラジエータに対して機体横外側に位置する部分を構成する横外側構造体を、その他の部分を構成する構造体と分離させて取外し可能に構成してあることを特徴とする。
【0007】
本構成によると、横外側構造体を構造体と分離させて取外すことにより、エンジンボンネットのうちのラジエータに対して機体横外側に位置する部分を取外せるから、それによって得られたエンジンボンネット開口からエンジンボンネットの内部を機体横外向きに大きく開放させることができる。
【0008】
従って、本発明によると、運転部の下部にエンジンボンネットを備えるものでありながら、エンジンやラジエータまわりを点検や清掃するなど、エンジンボンネット内に対するメンテナンスを行うのに、横外側構造体を取外すだけでエンジンボンネットの内部が機体横外向きに大きく開放されるから、エンジンボンネットの全体を取外す必要がなくて楽にかつ迅速にできる。
【0009】
本発明において、前記横外側構造体の機体横外側に、前記ラジエータ用の防塵カバーを設けてあると好適である。
【0010】
本発明によると、塵埃が冷却風に混入してラジエータに供給されることを防塵カバーによって防止でき、ラジエータの塵埃付着によるエンジン冷却不良を回避し易い。
【0011】
本発明において、前記防塵カバーは、揺動開閉可能に支持されていると好適である。
【0012】
本発明によると、防塵カバーを揺動させるだけでラジエータの機体横外側を開放することができ、防塵カバーを取外すことなく容易にラジエータを清掃できる。
【0013】
本発明において、前記防塵カバーは、脱着自在に支持されていると好適である。
【0014】
本発明によると、防塵カバーを横外側構造体に支持されるものであっても、横外側構造体を取外す際、防塵カバーを取外して防塵カバーの荷重が横外側構造体に掛からないようにしておき、横外側構造体を楽に取り外せるようにできる。
【0015】
本発明において、前記防塵カバーは、前記横外側構造体の取外し操作による取外しが可能なように前記横外側構造体に支持されていると好適である。
【0016】
本発明によると、エンジンボンネット内を開放する際、横外側構造体を取外すことで、防塵カバーも一挙に取り外すことができて、操作簡単かつ迅速に開放できる。
【0017】
本発明において、前記横外側構造体は、前記エンジンボンネットに機体上下向きに位置する前支柱フレームと、前記エンジンボンネットに機体上下向きに位置する後支柱フレームと、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームとの上部を連結する機体前後向きの上部連結体と、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームとの下部を連結する機体前後向きの下部連結体とを備えて構成されていると好適である。
【0018】
本発明によると、横外側構造体に枠組み構造を備えさせて、横外側構造体を軽量かつ強固な状態で得ることができる。
【0019】
本発明において、前記横外側構造体は、前記前支柱フレームと前記後支柱フレームと前記上部連結体と前記下部連結体とによって囲われた開口を備え、前記開口を介して前記ラジエータへ冷却風が吸引されるように構成してあると好適である。
【0020】
本発明によると、横外側構造体をラジエータに対する冷却風供給の障害にならない状態で配備できる。
【0021】
本発明において、前記エンジンボンネットのうちの天板の上面側に前記エンジン用のエアクリーナが支持され、前記横外側構造体によって前記天板を下方から支持するように構成してあると好適である。
【0022】
本発明によると、横外側構造体の取付け状態において、天板を横外側構造体によって強固に支持させることができ、エアクリーナを走行振動にかかわらず振動し難いなど安定的に支持させることができる。
【0023】
本発明において、前記ラジエータと前記横外側構造体との間にオイルクーラが配備され、前記オイルクーラは、前記横外側構造体の取外し状態で横外側方から脱着可能に支持されていると好適である。
【0024】
本発明によると、ラジエータと横外側構造体との間に配備のオイルクーラによって作動油の冷却が行われるものでありながら、エンジンボンネット内に対するメンテナンスを行なう際、エンジンボンネットの内部が開くように横外側構造体を取外せば、オイルクーラの取出しが可能になるから、オイルクーラの取出し障害を無くす特別な手間を掛けずにオイルクーラを取出して、楽にかつ迅速にメンテナンスを行うことができる。
【0025】
本発明において、穀稈を刈取り処理する刈取部と、刈取り穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、前記脱穀装置からの脱穀粒を貯留するように、前記運転部の後方に配置された穀粒タンクとを備え、前記穀粒タンクは、後部に位置する機体上下向き軸芯まわりに機体前後方向に沿った閉姿勢と、機体横外側に揺動した開姿勢とに切換え自在に支持されていると好適である。
【0026】
本発明によると、通常時は、穀粒タンクが閉姿勢にされて、エンジンボンネットの後側が穀粒タンクによって覆われるものであるが、穀粒タンクを開姿勢に切換えることにより、エンジンボンネットの後側に対する穀粒タンクの覆いを解除でき、エンジンボンネットの後側に作業スペースを確保してメンテナンス作業をし易くできる。
【0027】
本発明において、前記運転部に運転キャビンを備えてあると好適である。
【0028】
本発明によると、運転キャビンの内部に搭乗して快適に操縦できるものでありながら、横外側構造体を取外すことによってエンジンボンネットの内部を機体横外向きに大きく開放可能なエンジンボンネット開口を得られるものだから、エンジンボンネット内に対するメンテナンスを容易にできる状態を、運転キャビンを開閉式にせずに済む簡単な構造で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る収穫機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る収穫機の全体を示す平面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例に係る収穫機は、機体フレーム1の下部に装備された左右一対のクローラ走行装置2,2を有し、左右一対のクローラ走行装置2,2によって自走するよう構成された走行機体を備えている。機体フレーム1の前部の右側領域に、運転キャビン20を備えた運転部3を設け、運転部3の下部に原動部4を設けてある。機体フレーム1の後部の左側領域に脱穀装置5を設け、脱穀装置5の前部に刈取部6を機体横向きの昇降軸芯Pまわりに上下揺動自在に連結してある。機体フレーム1の後部に穀粒タンク7を運転部3の後方に配置して、かつ脱穀装置5の横側に配置して設けてある。
【0031】
この収穫機は、刈取部6を下降作業状態に下降させて走行機体を走行させることにより、稲、麦などの収穫作業を行なうものであり、次の如く構成してある。
【0032】
刈取部6は、脱穀装置5の前部から前方に昇降軸芯Pまわりに上下揺動自在に延出されたフィーダ10を備え、フィーダ10が昇降シリンダ(図示せず)によって揺動操作されることにより、フィーダ10の前端部に連結されている刈取フレーム11が地面近くに下降した下降作業状態と、刈取フレーム11が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0033】
刈取部6は、機体の走行に伴って、刈取フレーム11の前部の左右両端に配備してあるデバイダ12によって植立穀稈を刈取り対象の穀稈と刈取り対象外の穀稈とに梳き分ける。刈取フレーム11の前部上方に配備した回転リール13によって刈取り対象穀稈の穂先側を後方に向けて掻き込み、刈取フレーム11の底部に装備してあるバリカン型の刈取装置14によって刈取り対象穀稈の株元側を切断して、刈取り対象の穀稈を刈り取る。刈取装置14の後方に配備してある横送オーガ15によって刈取り穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めて後方に送り出し、その所定箇所からフィーダ10によって刈取り穀稈の株元か穂先までの全体を脱穀装置5に供給する。
【0034】
脱穀装置5は、フィーダ10によって供給された刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を扱室(図示せず)に導入して回動する扱胴5a(
図2参照)によって脱穀処理し、脱穀処理後の処理物を穀粒と塵埃とに選別処理し、選別処理後の穀粒を搬出する。穀粒タンク7は、脱穀装置5からの穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク7には、貯留した穀粒を搬出するスクリューコンベヤで成るアンローダ8を装備してある。
【0035】
原動部4について説明する。
図3は、原動部4を示す側面図である。
図4は、原動部4を示す背面図である。
図5は、原動部4を示す斜視図である。
図3,4,5に示すように、原動部4には、運転部3のうちの運転部デッキ21よりも機体後方側の領域の下部に配備され、エンジンルーム30を運転部3の居住空間と区画して形成するエンジンボンネット31を備え、エンジンボンネット31の機体右横外側に配備した防塵カバー35を備えてある。エンジンボンネット31には、エンジン32、エンジン32の機体右横外側に配備したラジエータ33、及びラジエータ33の機体右横外側に配備したオイルクーラ34を収容してある。
【0036】
エンジン32は、出力軸が機体横向きになる搭載姿勢で機体フレーム1に支持してある。エンジン32は、機体横内側向きに突出した出力軸の端部に一体回転自在に設けた出力プーリ32aを備え、この出力プーリ32aからクローラ走行装置2、刈取部6及び脱穀装置5に駆動力を出力する。エンジン32の上方に、エンジン32からの排ガスを浄化処理する排ガス処理装置36を設けてある。排ガス処理装置36から排ガスを、穀粒タンク7と脱穀装置5との間を機体前後方向に通る排気管37によって走行機体の後部から後方に排出するように構成してある。
【0037】
ラジエータ33は、ラジエータ支持体40を介して機体フレーム1に支持してある。詳述すると、
図5,8,9に示すように、ラジエータ支持体40は、機体上下方向に所定間隔を隔てて並ぶ上下一対の機体前後向きの支持桟部41,41と、上下一対の支持桟部41,41を連結する前後一対の機体上下向きの連結体42,42とを備えて構成してある。ラジエータ33の下部を連結ピンとピン孔とで成る連結手段によって下側の支持桟部41に連結するなどにより、ラジエータ33をラジエータ支持体40に支持してある。下側の支持桟部41の前端部及び後端部に脚部材43を設け、この前後一対の脚部材43,43を、機体フレーム1を構成する前後向きフレーム材1aに設けた前後一対のステー1b,1bに連結ボルトによって連結することにより、ラジエータ支持体40を機体フレーム1に脱着自在に支持してある。
【0038】
従って、ラジエータ33は、ラジエータ支持体40を機体フレーム1から取外すことにより、ラジエータ支持体40と共に機体フレーム1から取外すことができる。
【0039】
図4に示すように、ラジエータ33とエンジン32との間に、ラジエータ33に支持されたファンシュラウド38、及びエンジン32に回転駆動自在に支持された冷却ファン39を設けて、エンジン32の冷却を可能にしてある。
【0040】
すなわち、冷却ファン39がエンジン32から伝動ベルト39aを介して伝動されて回転駆動され、機体横内側に向けて送風する。冷却ファン39の送風作用により、エンジンボンネット31の外部の空気を防塵カバー35の除塵吸気部35aを介してエンジンボンネット31の内部に吸引してエンジン冷却風を発生させる。発生したエンジン冷却風をラジエータ支持体40の上下の支持桟部41の間であり、かつ前後の連結体42,42の間からラジエータ33に供給し、エンジン冷却風と、エンジン32を冷却して温度上昇した状態でラジエータ33に戻って来たエンジン冷却水との間で熱交換を行わせて、エンジン冷却水を冷却する。
【0041】
オイルクーラ34は、ラジエータ33と、エンジンボンネット31を構成する後述の横外側構造体70との間に配備してある。従って、オイルクーラ34は、ラジエータ33に供給されるエンジン冷却風と、オイルクーラ34に作動油循環管路34cによって供給される作動油との間で熱交換させることにより、刈取部6の昇降シリンダや走行ミッション(図示せず)の駆動によって温度上昇した作動油の冷却を行なう。
【0042】
オイルクーラ34は、ラジエータ支持体40に脱着自在に支持するように構成してある。詳述すると、
図8,9に示すように、オイルクーラ34の上端側に設けた前後一対の連結部材34a,34aを、ラジエータ支持体40の上側の支持桟部41に設けた前後一対のステー41a.41aに連結ボルトによって脱着自在に連結するように構成してある。オイルクーラ34の下端側に設けた前後一対の連結部材34b,34bを、ラジエータ支持体40に設けた支持桟44が備える前後一対のステー41b,41bに連結ボルトによって脱着自在に連結するように構成してある。支持桟44は、ラジエータ支持体40の前後一対の連結体42,42に連結してある。
【0043】
図4,6,7に示すように、エンジンボンネット31の天板61の上面側に、エアクリーナケース50を運転座席22よりも機体後方側に配置して設けてある。エアクリーナケース50には、エンジン用のエアクリーナ51を天板61に支持した状態で収容してある。エアクリーナケース50には、運転キャビン用の空調装置(図示せず)を構成するコンデンサー52をエアクリーナケース50の後壁部に支持した状態で収容してある。エアクリーナケース50の後壁部にコンデンサーファン53を取付けてある。
【0044】
エアクリーナ51の排気口は、天板61を貫通した吸気管56(
図4参照)を介してエンジン32の吸気マニホールドに接続してある。エアクリーナ51の吸気口は、エアクリーナケース50の上方に運転キャビン20に支持される状態で設けたプレエアリーナ54(
図3参照)に、エアクリーナケース50の周壁を貫通した通気管55によって接続してある。
【0045】
図5に示すように、エンジンボンネット31は、エンジン32、ラジエータ33及びオイルクーラ34を収容する部分を構成する構造体60と、ラジエータ33に対して機体右横外側に位置する部分を構成する横外側構造体70とを備えて構成してある。
【0046】
図6に示すように、エンジンボンネット31のうちのエンジン32、ラジエータ33及びオイルクーラ34を収容する部分を構成する構造体60は、エアクリーナ51の下方から運転座席22の下方に至る天板61と、天板61の前端部から機体下方向き延出した前壁板62と、天板61及び前壁板62の右横端部に連結している右横壁板63とを備えている。前壁板62は、エンジン32及びラジエータ33の前方に、天板61の前端部と運転部デッキ21の後端部とに連結された状態で位置している。天板61に、エアクリーナケース50よりも機体前方側に配置し、かつ座席取付け部61aの横側に配置した点検開口61bを設けてある。前壁板62に左右一対の点検開口62aを設けてある。運転部デッキ21に点検開口21aを設けてある。
【0047】
天板61の後端部にエアクリーナ51が支持される他、天板61のエアクリーナ51よりも機体前方側に運転座席22を支持する座席取付け部61aを設けてあり、エンジンボンネット31は、エアクリーナ支持台の機能の他、座席支持台の機能を備えている。
【0048】
構造体60の機体右横側の上部に、吸気口フレーム64をエアクリーナケース50の右横端部及び天板61の右横端部に連結された状態で設けてある。吸気口フレーム64は、機体側面視での形状がエアクリーナケース50の外周形状と同じ又はほぼ同じ下向き開口のU字形状になるように構成してあり、エアクリーナケース50の吸気用の開口50aを形成している。構造体60の機体右横側の下部に、防塵カバー用の受止めフレーム65を機体右横外向きに突設してある。
【0049】
天板61及び前壁板62の機体左側端部が運転座席22の左横側方に位置するサイド運転パネル23に連結され、前壁板62及び右横壁板63の下端部が運転部デッキ21に連結されている。天板61の後端側が機体フレーム1を構成する横フレーム材1cに立設された支柱フレーム1d(
図5参照)に連結されている。これらにより、構造体60は、機体フレーム1に支持されている。サイド運転パネル23は、走行変速レバーや脱穀クラッチレバー等の各種操作レバーを支持し、かつ計器パネルやスイッチ類を支持するものである。
【0050】
図7は、取外し状態の横外側構造体70を示す斜視図である。
図5,7に示すように、横外側構造体70には、吸気口フレーム64の前端部64aと防塵カバー用の受止めフレーム65の後部に設けられた支持体66とにわたって機体上下向き姿勢で位置する前支柱フレーム71と、吸気口フレーム64の後端部64bと機体フレーム1における前後向きフレーム材1aの横外側箇所とにわたって機体上下向き姿勢で位置する後支柱フレーム72とを備えてある。
【0051】
横外側構造体70は、前支柱フレーム71及び後支柱フレーム72を備える他、前支柱フレーム71と後支柱フレーム72との上部を連結する機体前後向きの上部連結体73と、前支柱フレーム71と後支柱フレーム72との下部を連結する機体前後向きの下部連結体74とを備えて構成してあり、枠組み構造を備え、かつ前支柱フレーム71と後支柱フレーム72と上部連結体73と下部連結体74とによって囲われた開口70aを備えている。
【0052】
前支柱フレーム71の上端部と吸気口フレーム64の前端部64aとに連結ボルトを装着し、上部連結体73に設けた連結板部73aと天板61の右横端部とに連結ボルトを装着し、後支柱フレーム72の上端部と吸気口フレーム64の後端部64bとに連結ボルトを装着して、横外側構造体70の上端側を天板61と吸気口フレーム64とに脱着自在に支持するように構成してある。前支柱フレーム71の下部と支持体66とに連結ボルトを装着し、下部連結体74の後端部に設けた連結板部74aと、機体フレーム1における前後向きフレーム材1aに設けた支持部1eとに連結ボルトを装着して、横外側構造体70の下端側を受止めフレーム65と前後向きフレーム材1aとに脱着自在に支持するように構成してある。
【0053】
従って、
図5に示すように、横外側構造体70は、構造体60と機体フレーム1とに支持させることによって所定の取付け状態になり、所定の取付け状態では、前支柱フレーム71及び後支柱フレーム72によって吸気口フレーム64を下方から支持することによって天板61を下方から支持するようになっている。つまり、横外側構造体70は、天板61を介してエアクリーナ51及びエアクリーナケース50を支持する機能を備えている。
【0054】
横外側構造体70は、所定の取付け状態では、前支柱フレーム71、後支柱フレーム72、上部連結体73及び下部連結体74によって囲われた開口70aがラジエータ33と防塵カバー35との間に位置し、開口70aを介してオイルクーラ34及びラジエータ33に冷却風を吸引させる。
【0055】
図7に示すように、横外側構造体70は、吸気口フレーム64及び天板61に対する上端側の連結ボルトによる連結を解除し、受止めフレーム65及び前後向きフレーム材1aに対する下端側の連結ボルトによる連結を解除することにより、構造体60と分離させて機体フレーム1から取り外せるようになっている。
【0056】
図3,10に示すように、防塵カバー35は、機体側面視での形状が環状形状のカバー枠体35bと、カバー枠体35bに網状の除塵材を取付けて形成された除塵吸気部35aとを備えている。カバー枠体35bは、カバー枠体35bの下部と横外側構造体70における後支柱フレーム72の下部とにわたって設けた下部ヒンジ75と、カバー枠体35bの上部と吸気口フレーム64の後部とにわたって設けた上部ヒンジ76とを介して横外側構造体70と吸気口フレーム64とに支持されるように構成してある。
【0057】
つまり、防塵カバー35は、上部ヒンジ76及び下部ヒンジ75の軸芯によって設定される機体上下向きの開閉軸芯Xまわりに揺動操作することによって開閉可能な状態で支持されるようになっている。そして、防塵カバー35は、下部ヒンジ75及び上部ヒンジ76を構成するカバー側ヒンジ部材を構造体側ヒンジ部材に対して脱着することにより、エンジンボンネット31に対して脱着できるようになっている。
【0058】
従って、防塵カバー35は、開閉軸芯Xまわりに機体側に揺動操作することにより、カバー枠体35bが横外側構造体70、吸気口フレーム64及び受止めフレーム65に当接し、横外側構造体70の開口70a及びエアクリーナケース50の開口50aを閉じた閉状態に切り換わる。防塵カバー35は、閉状態に切り換えられることにより、エンジンボンネット31に吸引されるエンジン冷却風及びエアクリーナケース50にコンデンサーファン53によって吸引されるコンデンサー冷却風に除塵吸気部35aの除塵材を作用させ、エンジン冷却風及びコンデンサー冷却風から塵埃をろ過処理によって除去する。従って、横外側構造体70は、閉状態の防塵カバー35を受け止めて、防塵カバー35とエンジンボンネット31との間をシールするシール機能を備えている。カバー枠体35bと受止めフレーム65とにわたり、防塵カバー35を閉状態に固定する閉ロック機構(図示せず)を設けてある。
【0059】
防塵カバー35は、開閉軸芯Xまわりに機体外側に揺動操作することにより、カバー枠体35bが横外側構造体70、吸気口フレーム64及び受止めフレーム65から機体横外側に離れて、横外側構造体70の開口70a及びエアクリーナケース50の開口50aを開いた開状態に切り換わる。防塵カバー35は、開状態に切り換えられることにより、横外側構造体70の開口70aからオイルクーラ34やラジエータ33を点検や清掃することを可能にし、エアクリーナケース50の開口50aからエアクリーナ51やコンデンサー52を点検や清掃することを可能にする。
【0060】
つまり、エンジン32及びラジエータまわりを点検や清掃するなど、エンジンボンネット31の内部に対するメンテナンスを行う場合、上部ヒンジ76及び下部ヒンジ75のカバー側ヒンジ部材を構造体側ヒンジ部材から分離させて、防塵カバー35をエンジンボンネット31から取外す。防塵カバー35を取外すと、次に、
図7に示すように、横外側構造体70の上端側の吸気口フレーム64及び天板61に対する連結を解除し、かつ横外側構造体70の下端側の受止めフレーム65及び前後向きフレーム材1aに対する連結を解除して、横外側構造体70を構造体60と分離させて機体フレーム1から取外すことにより、ラジエータ33の機体横外側近くで機体横外向きに大きく開いたエンジンボンネット開口を得る。エンジンボンネット開口を得ると、
図8に示すように、このエンジンボンネット開口から機体フレーム1に対するラジエータ支持体40の連結を解除し、ラジエータ33をラジエータ支持体40と共にエンジンボンネット開口から機体横外側に取出すことにより、エンジンボンネット開口からエンジン32及びその付近に手を容易に届かせながら、エンジン32まわりのメンテナンス作業を行なうことができる。
【0061】
穀粒タンク7は、穀粒タンク7の後部に備えられてアンローダ8を構成している縦スクリューコンベヤ8aの下部と機体フレーム1とにわたって設けた枢支機構を介して機体フレーム1に支持されている。従って、穀粒タンク7は、縦スクリューコンベヤ8aのスクリュー軸芯と同一の機体上下向き軸芯Yを揺動軸芯として揺動操作することにより、運転部3の後方に機体前後方向に沿って位置した閉姿勢と、前端側が機体横外側に揺動して突出した開姿勢とに切換えできる。
【0062】
つまり、
図2に二点鎖線で示すように、穀粒タンク7を開姿勢に切換えることにより、エンジンボンネット31における構造体60の後部に設けてある後向き開口60a(
図5参照)の後方を開放でき、後向き開口60aからエンジン32及びラジエータ33の付近にメンテナンス作業用の手を差し入れることができる。
【0063】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、防塵カバー35を横外側構造体70と、構造体60に設けた吸気口フレーム64とに支持されるよう構成した例を示したが、
図11に示すように、上部ヒンジ76を下部ヒンジ75と同様に防塵カバー35と横外側構造体70とにわたって設け、防塵カバー35を構造体60には支持せずに、横外側構造体70だけに支持し、横外側構造体70の取外し操作によって、防塵カバー35を横外側構造体70と共に取外せるように構成して実施してもよい。
【0064】
(2)上記した実施例では、横外側構造体70を矩形に形成した例を示したが、下部連結体74を省略し、門型に形成して実施してもよい。
【0065】
(3)上記した実施例では、オイルクーラ34をラジエータ支持体40に支持した例を示したが、横外側構造体70に支持して実施してもよい。
【0066】
(4)上記した実施例では、原動部4を機体の右横側部に設け、横外側構造体70を機体右横外側に取外すように構成した例を示したが、原動部4を機体の左横側部に設け、横外側構造体70を機体左横外側に取外すように構成して実施してもよい。
【0067】
(5)上記した実施例では、防塵カバー35を機体上下向きの開閉軸芯Xまわりに揺動開閉自在に構成した例を示したが、防塵カバー35の下部に配備した機体前後向きの開閉軸芯まわりに揺動開閉するよう構成して実施してもよい。
【0068】
(6)上記した実施例では、天板61にエアクリーナ51及びエアクリーナケース50を支持した例を示したが、エアクリーナ51をエンジンボンネット31に収容し、エアクリーナケース50を備えずに実施してもよい。
【0069】
(7)上記した実施例では、ラジエータ33の横外側にオイルクーラ34を備えた例を示したが、オイルクーラ34を備えずに実施してもよい。
【0070】
(8)上記した実施例では、機体がクローラ走行装置2によって走行するよう構成した例を示したが、走行車輪によって走行するように構成して実施してもよい。
【0071】
(9)上記した実施例では、運転キャビン20を備えた例を示したが、運転キャビン20を備えないで実施してもよい。
【0072】
(10)上記した実施例では、穀粒を穀粒タンク7に貯留するよう構成した例を示したが、穀粒タンク7に替え、袋詰め用のホッパーに貯留するように構成して実施してもよい。