【実施例1】
【0025】
本発明による実施例1に係る複合アミン吸収液は、ガス中のCO
2又はH
2S又はその双方を吸収する吸収液であって、1)少なくとも一種のアミン化合物と、2)吸収液の酸化劣化抑制剤であるジスルフィド化合物とを、水に溶解してなり、前記ジスルフィド化合物が、下記化学式(I)で表される化合物である。
R
1−S−S−R
2・・・(I)
ここで、R
1又はR
2は、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシエチル基、シクロヘキシル基、ジブチルチオカルバモイル基のいずれかである。
【0026】
1)の少なくとも一種のアミン化合物は、CO
2又はH
2Sを吸収する公知の吸収液であり、少なくとも一種の1級アミン化合物、又は少なくとも一種の2級アミン化合物、又は少なくとも一種の3級アミン化合物、又はそれらの混合物である。
【0027】
ここで、1級アミンとしては、例えばモノエタノールアミン(MEA)、2−アミノ−1−プロパノール(2A1P)、2−アミノ−1−ブタノール(2A1B)、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(AMB)、1−アミノ−2−プロパノール(1A2P)、1−アミノ−2−ブタノール(1A2B)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)のいずれか一つを挙げることができる。
【0028】
2級アミン化合物は、2級モノアミン及び2級ジアミンのいずれか1種又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0029】
2級モノアミンとしては、例えば2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、2−n−プロピルアミノエタノール、2−n−ブチルアミノエタノール、2−n−ペンチルアミノエタノール、2−イソプロピルアミノエタノール、2−sec−ブチルアミノエタノール、2−イソブチルアミノエタノールの少なくとも一種から選ばれた化合物を挙げることができるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
また、2級ジアミンとしては、例えばピペラジン、2−メチルピペラジン、2,3−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルエタンジアミン、N,N’−ジメチルプロパンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルプロパンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジターシャルブチルエタンジアミンの少なくとも一種から選ばれた化合物を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
3級アミン化合物は、下記化学式(II)で表される化合物である。
【化4】
ここで、R
3は炭素数1〜4のアルキル基、R
4は炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシエチル基、R
5は炭素数2〜4のアルキル基である。
【0032】
3級アミン化合物としては、例えばN−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、N−エチル−N−メチルエタノールアミン、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−ロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
なお、3級アミン化合物は、後述するように酸化劣化抑制剤としても機能するが、吸収液としても用いることができる。この吸収液として用いる場合には、3級アミン化合物を一種で用いる以外に、1級アミン及び2級アミンとの混合物に対して、1級及び2級アミン化合物よりも、再生エネルギーが低い3級アミン化合物を添加して、再生塔での再生性能向上に寄与する場合に適用するのが好ましい。
【0034】
酸化抑制剤であるジスルフィド化合物は、例えばジエチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、ジブチルジスルフィド、ジ−tert−ブチルジスルフィド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、2−カルボキシエチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィドを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
図1は、ジスルフィド化合物の酸化劣化抑制剤の性能指数を示す図である。
ここで、酸化劣化抑制剤の性能指数とは、アミン吸収剤が有しているラジカル反応速度と、酸化劣化抑制剤が有しているラジカル反応速度との差をいう。
図1に示すように、ジエチルジスルフィド(D−1)、ジプロピルジスルフィド(D−2)、ジブチルジスルフィド(D−3)、ジ−tert−ブチルジスルフィド(D−4)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド(D−5)、2−カルボキシエチルジスルフィド(D−6)、ジシクロヘキシルジスルフィド(D−7)においては、酸化劣化抑制効果が確認された。
【0036】
すなわち、ジスルフィド化合物は、アミン吸収液よりも速く酸化反応を進め、反応に関与する物質を安定化合物とし、アミン吸収液を酸化劣化から守るようにしている。この結果、ジスルフィド化合物の添加により、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができる。
【0037】
また、アミン化合物に、ジスルフィド化合物を添加する割合としては、1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%とするのが好ましい。
【0038】
これは、下記「表1」に示すように、20重量%を超えると吸収容量の低下が大きくなり、好ましくないからである。
一方、1重量%未満であると夾雑物の影響を排除できず、好ましくないからである。
【表1】
【0039】
また、吸収液として、少なくとも一種の1級アミン化合物、又は少なくとも一種の2級アミン化合物、又はそれらの混合物を適用する場合には、酸化劣化抑制剤として、ジスルフィド化合物にさらに3級アミン化合物を含有するようにしてもよい。
ここで、3級アミン化合物は、下記化学式(II)で表される化合物である。
【化5】
ここで、R
3は炭素数1〜4のアルキル基、R
4は炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシエチル基、R
5は炭素数2〜4のアルキル基である。
【0040】
3級アミン化合物としては、例えばN−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、N−エチル−N−メチルエタノールアミン、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−ロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
ジスルフィド化合物と3級アミン化合物とを酸化抑制剤として用いる場合、1級アミン化合物、又は2級アミン化合物、又はそれらの混合物に対して、1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%添加してなるのが好ましい。
ジスルフィド化合物と3級アミン化合物との配合比率は70:30〜30:70とするのが好ましい。
【0042】
また、吸収液として、少なくとも一種の1級アミン化合物、又は少なくとも一種の2級アミン化合物、又はそれらの混合物を適用する場合には、酸化劣化抑制剤として、ジスルフィド化合物にさらに少なくとも一種のピペリジン化合物を含有してもよい。ここで、ピペリジン化合物は、下記化学式(III)で表される化合物(但し、ピペリジンを除く)である。
【0043】
【化6】
ここで、R
6は、H、炭素数1〜4のアルキル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基であり、R
7はH、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである。
【0044】
前記化学式(III)で表されるピペリジン化合物としては、例えば1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1−プロピルピペリジン、1−ブチルピペリジン、2−メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、2−プロピルピペリジン、2−ブチルピペリジン、1−(2−アミノエチル)−2−メチルピペリジン、1−(3−アミノプロピル)−2−メチルピペリジンを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
ジスルフィド化合物とピペリジン化合物とを酸化抑制剤として用いる場合、1級アミン化合物、又は2級アミン化合物、又はそれらの混合物に対して、1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%添加してなるのが好ましい。
ジスルフィド化合物とピペリジン化合物との配合比率は70:30〜30:70とするのが好ましい。
【0046】
図2は、ピペリジン化合物の酸化劣化抑制剤の性能指数を示す図である。
図2に示すように、1−メチルピペリジン(P−1)、1−エチルピペリジン(P−2)、1−プロピルピペリジン(P−3)、1−ブチルピペリジン(P−4)、2−メチルピペリジン(P−5)、2−エチルピペリジン(P−6)、2−プロピルピペリジン(P−7)、2−ブチルピペリジン(P−8)、1−(2−アミノエチル)−2−メチルピペリジン(P−9)、1−(3−アミノプロピル)−2−メチルピペリジン(P−10)においては、酸化劣化抑制効果が確認された。よって、ピペリジン化合物の添加により、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができる。
【0047】
[試験例]
以下に、本実施例の効果を示す試験例について説明する。
【0048】
[試験例1及び2]
本試験例では、アミン吸収液として、2級モノアミンを用い、2級ジアミンとしてピペラジン系化合物を用いて2級アミン系複合吸収剤とした。
次に、
図1におけるジブチルジスルフィド(D−3)及びビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド(D−5)を用いて、2級複合アミン化合物に含有させてアミン吸収液酸化劣化速度比を求め、試験例1、試験例2(試−1、試−2)とした。
比較として、化学式(I)で表されるジスルフィド化合物を添加しない場合を比較例1(比−1)とし、3級アミン化合物(メチルジエタノールアミン(MDEA))を添加した場合比較例2(比−2)とした。
【0049】
図3は、ジスルフィド化合物の添加の有無による試験例及び比較例の結果を示す図である。
ここで、酸化劣化速度比とは、酸化劣化抑制剤を添加しない場合のアミン吸収剤の酸化劣化速度に対する、酸化劣化抑制剤を添加した場合のアミン吸収剤の酸化劣化速度の比をいう。
【0050】
図3に示すように、ジスルフィド化合物の添加により、2級複合アミン系吸収剤においても、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができることが確認された。
これは、ジスルフィド化合物が、アミン吸収剤酸化の連鎖反応に関与する物質を安定な化合物に速く変換し、吸収剤の酸化を抑制する機能を有するためと考えられる。
【0051】
この結果、従来のアミン吸収液に較べ、吸収液のアミン化合物の劣化による吸収液損失の低減をさらに図ることができる。
【0052】
[試験例3、4及び5]
本試験例では、アミン吸収液として、2級モノアミンを用い、2級ジアミンとしてピペラジン系化合物を用いて2級アミン系複合吸収剤とした。
【0053】
次に、3級アミン化合物のN−メチルジエタノールアミンと、ジスルフィド化合物のジエチルジスルフィドとの混合酸化劣化抑制剤(M−1)を用いて、2級複合アミン化合物に含有させてアミン吸収液酸化劣化速度比を求め、試験例3(試−3)とした。
【0054】
3級アミン化合物のN−エチルジエタノールアミンと、ジスルフィド化合物のビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィドとの混合酸化劣化抑制剤(M−2)を用いて、2級複合アミン化合物に含有させてアミン吸収液酸化劣化速度比を求め、試験例4(試−4)とした。
【0055】
ピペリジンの1−(3−アミノプロピル)−2−メチルピペリジンと、ジスルフィド化合物のジブチルジスルフィドとの混合酸化劣化抑制剤(M−3)を用いて、2級複合アミン化合物に含有させてアミン吸収液酸化劣化速度比を求め、試験例5(試−5)とした。
比較として、化学式(I)で表されるジスルフィド化合物を添加しない場合を比較例1(比−1)とした。
【0056】
図4は、酸化抑制剤の添加の有無による試験例及び比較例の結果を示す図である。
【0057】
図4に示すように、酸化抑制剤としてジスルフィド化合物と3級アミン化合物との添加(試−3,4)により、2級複合アミン系吸収剤においても、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができることが確認された。
また、
図4に示すように、酸化抑制剤としてジスルフィド化合物とピペリジン化合物との添加(試−5)により、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができることが確認された。
特に、試験例3、4、及び5のように、アミン吸収剤酸化の連鎖反応において、ジスルフィド化合物と3級アミン及びピペリジン化合物は、連鎖反応関与物質の安定化において、異なる機能を有するので、それらの相乗効果が発揮される。
【0058】
この結果、従来のアミン吸収液に較べ、吸収液のアミン化合物の劣化による吸収液損失の低減をさらに図ることができる。
【実施例2】
【0059】
本発明による実施例
2に係る複合アミン吸収液は、ガス中のCO
2又はH
2S又はその双方を吸収する吸収液であって、1)少なくとも一種の1級アミン化合物、又は少なくとも一種の2級アミン化合物、又はそれらの混合物と、2)吸収液の酸化劣化抑制剤とを、水に溶解してなり、前記酸化劣化抑制剤が、下記化学式(III)の構造を有し、ピペリジンを除くピペリジン化合物である。
【0060】
【化7】
ここで、R
6は、H、炭素数1〜4のアルキル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基であり、R
7はH、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである。
【0061】
ピペリジン化合物の具体例は前述しているので、省略する。
【0062】
ピペリジン化合物は、1級アミン化合物又は2級アミン化合物又はそれらの混合物に対して、1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%添加してなるのが好ましい。
【0063】
[試験例]
以下に、本実施例の効果を示す試験例について説明する。
【0064】
[試験例6]
本試験例では、アミン吸収液として、2級モノアミンを用い、2級ジアミンとしてピペラジン系化合物を用いて2級アミン系複合吸収剤とした。
次に、
図2における1−(3−アミノプロピル)−2−メチルピペリジン(P−10)を用いて、2級複合アミン化合物に含有させてアミン吸収液酸化劣化速度比を求め、試験例6)とした。
比較として、化学式(I)で表される1−(3−アミノプロピル)−2−メチルピペリジン(P−10)を添加しない場合を比較例1(比−1)とした。
図5は、ピペリジン化合物の添加の有無による試験例及び比較例の結果を示す図である。
【0065】
図5に示すように、ピペリジン化合物の添加により、2級複合アミン系吸収剤においても、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができることが確認された。
【0066】
この結果、従来のアミン吸収液に較べ、吸収液のアミン化合物の劣化による吸収液損失の低減をさらに図ることができる。
【実施例3】
【0067】
本発明のガス中のCO
2又はH
2S又はその双方を除去する方法で採用できるプロセスは、特に限定されないが、CO
2を除去する除去装置の一例について
図6を参照しつつ説明する。
【0068】
本発明により処理されるガスとしては、例えば石炭ガス化ガス、合成ガス、コークス炉ガス、石油ガス、天然ガス、燃焼排ガス等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、CO
2やH
2S等の酸性ガスを含むガスであれば、いずれのガスでもよい。
【0069】
図6は、実施例3に係るCO
2回収装置の構成を示す概略図である。
図6に示すように、実施例1に係るCO
2回収装置12は、ボイラやガスタービン等の産業燃焼設備13から排出されたCO
2とO
2とを含有する排ガス14を冷却水15によって冷却する排ガス冷却装置16と、冷却されたCO
2を含有する排ガス14とCO
2を吸収するCO
2吸収液(以下、「吸収液」ともいう。)17とを接触させて排ガス14からCO
2を除去するCO
2回収部18Aを有するCO
2吸収塔18と、CO
2を吸収したCO
2吸収液(以下、「リッチ溶液」ともいう。)19からCO
2を放出させてCO
2吸収液を再生する吸収液再生塔20とを有する。そして、このCO
2回収装置12では、吸収液再生塔20でCO
2を除去した再生CO
2吸収液(以下、「リーン溶液」ともいう。)17はCO
2吸収塔18でCO
2吸収液として再利用する。
【0070】
なお、
図6中、符号13aは煙道、13bは煙突、34はスチーム凝縮水である。前記CO
2回収装置は、既設の排ガス源からCO
2を回収するために後付で設けられる場合と、新設排ガス源に同時付設される場合とがある。煙突13bには開閉可能な扉を設置し、CO
2回収装置12の運転時は閉止する。また排ガス源は稼動しているが、CO
2回収装置12の運転を停止した際は開放するように設定する。
【0071】
このCO
2回収装置12を用いたCO
2回収方法では、まず、CO
2を含んだボイラやガスタービン等の産業燃焼設備13からの排ガス14は、排ガス送風機22により昇圧された後、排ガス冷却装置16に送られ、ここで冷却水15により冷却され、CO
2吸収塔18に送られる。
【0072】
前記CO
2吸収塔18において、排ガス14は本実施例に係るアミン吸収液であるCO
2吸収液17と向流接触し、排ガス14中のCO
2は、化学反応によりCO
2吸収液17に吸収される。
CO
2回収部18AでCO
2が除去された後のCO
2除去排ガスは、CO
2吸収塔18内の水洗部18Bでノズルから供給されるCO
2吸収液を含む循環する洗浄水21と気液接触して、CO
2除去排ガスに同伴するCO
2吸収液17が回収され、その後CO
2が除去された排ガス23は系外に放出される。
また、CO
2を吸収したCO
2吸収液19であるリッチ溶液は、リッチ溶液ポンプ24により昇圧され、リッチ・リーン溶液熱交換器25において、吸収液再生塔20で再生されたCO
2吸収液17であるリーン溶液により加熱され、吸収液再生塔20に供給される。
【0073】
吸収液再生塔20の上部から内部に放出されたリッチ溶液19は、底部から供給される水蒸気により吸熱反応を生じて、大部分のCO
2を放出する。吸収液再生塔20内で一部または大部分のCO
2を放出したCO
2吸収液はセミリーン溶液と呼称される。このセミリーン溶液は、吸収液再生塔20の底部に至る頃には、ほぼ全てのCO
2が除去されたCO
2吸収液(リーン溶液)17となる。このリーン溶液17はその一部が再生過熱器26で水蒸気27により過熱され、吸収液再生塔20内部に水蒸気を供給している。
【0074】
一方、吸収液再生塔20の頭頂部からは、塔内においてリッチ溶液19およびセミリーン溶液から放出された水蒸気を伴ったCO
2同伴ガス28が導出され、コンデンサ29により水蒸気が凝縮され、分離ドラム30にて水が分離され、CO
2ガス40が系外に放出されて、別途圧縮器41により圧縮され、回収される。この圧縮・回収されたCO
2ガス42は、分離ドラム43を経由した後、石油増進回収法(EOR:Enhanced Oil Recovery)を用いて油田中に圧入するか、帯水層へ貯留し、温暖化対策を図っている。
水蒸気を伴ったCO
2同伴ガス28から分離ドラム30にて分離・還流された還流水31は還流水循環ポンプ35にて吸収液再生塔20の上部と循環洗浄水21側に各々供給される。
【0075】
再生されたCO
2吸収液(リーン溶液)17は、リッチ・リーン溶液熱交換器25にて、リッチ溶液19により冷却され、つづいてリーン溶液ポンプ32にて昇圧され、さらにリーン溶液クーラ33にて冷却された後、CO
2吸収塔18内に供給される。なお、この実施の形態では、あくまでその概要を説明するものであり、付属する機器を一部省略して説明している。
【0076】
このような装置において、アミン吸収液として、本実施例の複合アミン吸収液を適用することで、ガス中の酸素等によるアミン吸収液の酸化による劣化を抑制することができ、さらに吸収液の劣化による吸収液損失の低減を図ることができる。