【実施例】
【0015】
本発明は、ドライブリング31の回動を可変翼1に伝達するレバープレート35の形状をシンプル化し、またこのレバープレート35に、ドライブリング31の軸方向の移動を規制する作用も担わせるようにしたことが大きな特徴である。これによりレバープレート35はもちろん、これを含む可変機構3の作動をより円滑に且つ確実に行わせ、レバープレート35や可変機構3ひいては排気ガイドアッセンブリASの耐久性をも向上させるようにしたものである。
以下、これらを組み込んで成る排気ガイドアッセンブリASから概略的に説明する。
【0016】
排気ガイドアッセンブリASは、特にエンジンの低速回転時において排気ガスGを適宜絞り込んで排気流量を調節するものであり、一例として
図1に示すように、ターボチャージャCにおけるタービンロータTの外周に設けられ実質的に排気流量を設定する複数の可変翼1と、可変翼1を回動自在に保持するフレーム基材2と、排気ガスGの流量を適宜設定すべく可変翼1を一定角度回動させる可変機構3とを具えて成るものである。以下各構成部について説明する。
【0017】
まず可変翼1について説明する。このものは一例として
図1に示すように、タービンロータTの外周に沿って円弧状に複数(一基の排気ガイドアッセンブリASに対して概ね10〜15個程度)配設され、そのそれぞれが、均等に且つ一斉に回動して排気流量を調節するものである。また可変翼1は、翼部11と、軸部12とを具えて成り、以下、これらについて説明する。
【0018】
翼部11は、主にタービンロータTの幅寸法に応じた幅を有するように形成されるものであり、その幅方向における断面が翼形に形成され、排気ガスGが効果的にタービンロータTに向かうように構成される。ここで
図1(b)に示すように、翼部11の幅寸法を便宜上、翼幅hとする。
また、翼部11には、軸部12との境界部(接続部)に、軸部12より幾分大径の鍔部13が形成される。なお鍔部13の底面(座面)は、翼部11の端面と、ほぼ同一平面上に形成され、この平面が可変翼1をフレーム基材2に挿入した際の座面となり、タービンロータTにおける幅方向(翼幅hの方向)の位置規制を図る作用を担っている。
【0019】
一方、軸部12は、翼部11と一体的に連続形成されるものであり、翼部11を動かす際の回動軸となる。そして、この軸部12の先端には、可変翼1の取付状態の基準となる基準面14が形成される。なお、基準面14は、後述する可変機構3に対しカシメ等によって固定される部位であり、一例として
図1に示すように、軸部12を対向的に切り欠いた二平面として形成される。
【0020】
ここで
図1に示した可変翼1は、翼部11の一方のみに軸部12が形成された、いわゆる片軸タイプのものである。しかしながら、可変翼1としては、翼部11の両側に軸部12が形成された両軸タイプのものでも構わない。
また軸部12には、通常の軸径よりも一回り大きな径寸法を有する段差部を形成し、後述するフレーム基材2の軸受部23に対し、可変翼1(軸部12)を部分接触(部分摺動)させることが可能である。
【0021】
次に、フレーム基材2について説明する。フレーム基材2は、複数の可変翼1を回動自在に保持するフレーム部材として構成されるものであって、一例として
図1に示すように、ともにほぼリング状を成す可変翼支持フレーム基材21と対向側フレーム基材22とによって可変翼1(翼部11)を挟み込むように構成される。とりわけ可変翼支持フレーム基材21は、実質的に可変翼1を回動自在に支持(保持)する部材であって、中央部分が開口状態に形成され、その周縁部分に可変翼1の軸部12を受け入れる軸受部23が等配されて成るものである。また、可変翼支持フレーム基材21は、その周縁部分で、後述する可変機構3を支持するものである。
【0022】
一方、上記可変翼支持フレーム基材21に対向して設けられるフレーム基材2が対向側フレーム基材22であり、このものにはタービンロータTのシュラウドの一部となる案内筒部を一体に形成することが可能である(図示略)。ここで
図1の実施例では、可変翼支持フレーム基材21のみに軸受部23が形成されたものを示したが、例えば
図2(a)に示すように、可変翼1が翼部11の両側に軸部12を有する両軸タイプのものである場合には、対向側フレーム基材22にも軸受部23が形成される。
そして、これら可変翼支持フレーム基材21と対向側フレーム基材22とによって挟み込まれた可変翼1(翼部11)を常に円滑に回動させるには、両部材間の寸法をほぼ一定(概ね可変翼1の翼幅h程度)に維持することが肝要であり、そのため本実施例では一例として軸受部23の外周部分に、四カ所設けられたカシメピン24によって両部材間の寸法を維持している。また、このカシメピン24を受け入れるために可変翼支持フレーム基材21及び対向側フレーム基材22に開孔される孔をピン孔24Pとする。
【0023】
また可変翼支持フレーム基材21には、後述するドライブリング31に向かって突出するボス部25が設けられ、例えばこのボス部25にドライブリング31の内周縁(後述する小円板部31S)を外嵌めすることで、ドライブリング31を可変翼支持フレーム基材21上で回動自在に保持するものである。すなわち、当該ボス部25は、ドライブリング31を一定の円周上で回動(回転)させる規制部材(ガイド部位)となるものである。
なお、ボス部25は、可変翼支持フレーム基材21と予め一体で形成しても構わないし、可変翼支持フレーム基材21とは別体のリング状部材として形成しておき、後から可変翼支持フレーム基材21に固定しても構わない。
また、可変翼支持フレーム基材21上においてドライブリング31の回動をよりスムーズに行わせるにあたっては、例えば
図2に示すように、可変翼支持フレーム基材21上(上記ボス部25に対してフランジ部26とする)に、ドライブリング31と部分接触を図る突出部27を形成しておくことが好ましい。なお、このような突出部27を付加形成する部材も、可変翼支持フレーム基材21(フランジ部26)に対し一体または別体で形成することが可能である。因みに、上記突出部27を具える部材を、可変翼支持フレーム基材21と別体で形成した場合には、当該部材を可変翼支持フレーム基材21上において常に定位置に取り付けるべく、位置決め構造を採用することが好ましい。
【0024】
次に、本発明に係る可変機構3について説明する。可変機構3は、排気流量を調節するために可変翼1を適宜回動させるものであり、一例として
図1に示すように、排気ガイドアッセンブリAS内において可変翼1の回動を生起するドライブリング31と、該ドライブリング31の回動を、自身の回動によって可変翼1に伝達するレバープレート35とを主な構成部材とする。
なお、本発明では、ドライブリング31については可変翼1の軸方向に段差を有するように形成する一方、レバープレート35については、当該軸方向に段差や折り返しを有することなく形成するものであり、例えば
図1に示す実施例では、ほぼ径方向にストレート状に延びる細長状部材としてレバープレート35を形成し、且つ軸方向の肉厚寸法もほぼ一定となるように形成している。
以下、ドライブリング31とレバープレート35について更に説明する。
【0025】
まずドライブリング31について説明する。ドライブリング31は、例えば
図1〜3、5に示すように中央部が開口され、その周縁部が可変翼1の軸方向に段差を有するように形成される。ここで当該段差部に「31D」の符号を付し、この段差部31Dを境にして外周側に位置する部位を「大円板部31L」、内周側に位置する部位を「小円板部31S」とするものである。すなわち、本実施例では段差部31Dの存在により小円板部31Sが大円板部31Lに対し可変翼支持フレーム基材21に向けて突出するように形成される。逆に言えば、
図2(a)に示すように、大円板部31Lが可変翼支持フレーム基材21(フランジ部26)から幾分離開した状態に形成される。
【0026】
なお、本実施例では段差部31Dが、一例として
図2(a)に併せ示すように、側面断面視で緩やかな曲線や直線を描く段差(小円板部31Sから大円板部31Lまで径寸法が徐々に増加して行く段差)として形成されるが、段差部31Dは必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば
図3(b)の部分図に併せ示すように、ほぼ直角に屈曲する段差として形成することも可能である(いわゆるクランク状)。
【0027】
またドライブリング31には、一例として
図3に示すように、正面から視て略矩形状を成す孔(駆動係合部32とする)が放射状に多数開口され、ここに前記レバープレート35の一端を係合させて、ドライブリング31の回動をレバープレート35自身の回動として伝えるものである。
なお、ドライブリング31とレバープレート35との係合は、ドライブリング31に形成した駆動係合部32(ここでは孔)にレバープレート35の一端(後述する回動入力端38)を収め、回動伝達時には例えば
図4に示すように、双方を互いに回転滑り接触させるものである。
また、本実施例では、駆動係合部32としての孔を、段差部31Dを跨いで小円板部31Sと大円板部31Lとに至る(到達する)ように形成しており、これについては後述する。
【0028】
またドライブリング31には、アクチュエータACからのシフト駆動が入力される入力部33が形成され、本実施例では
図1(c)に併せ示すように、上記駆動係合部32とほぼ同じ孔形状として形成される(
図3(a)では、ほぼ真下に位置する孔が入力部33となる)。
なお、
図3に示すドライブリング31には、小円板部31Sにおいて、ある程度の角度で切り欠かれている部位があるが、これは一例として
図4(a)に示すように、可変翼支持フレーム基材21から立設したピンPに、当該切り欠き部の一端を当接させて、ドライブリング31の回動限界、特にここでは可変翼1の開放限界を規制するものである。因みに、本実施例における可変翼1の閉鎖限界は、一例として
図4(b)に示すように、上記
図4(a)とは逆方向にドライブリング31を回動させ、これに伴い適宜回動したレバープレート35を上記ピンPに当接させて規制している。このように、本実施例では、切り欠き部の一端またはレバープレート35をピンPに当てて可変翼1の回動限界を規制しているが、このような回動限界規制においては、例えば上記切り欠き部の両サイドに、ピンPを当接させる等の改変も可能である。
【0029】
ここで、上記駆動係合部32としての孔を、段差部31Dを跨いで小円板部31Sと大円板部31Lとに到達するように開口した経緯(理由)について説明する。
上記ドライブリング31に孔開け加工を施す場合、孔が段差部31Dを跨ぎ大円板部31Lと小円板部31Sとに至るように孔開け加工を行うと、平面部分での孔開け加工となるので、例えばこの孔開け加工をファインブランキング加工で行えば、ドライブリング31をより確実に且つ堅固に固定することができ、精度の高い孔開け加工が行えるものである。逆に言えば、開口加工時の孔の端が段差部31Dの傾斜に掛かった場合には、孔開け対象となるドライブリング31を強く押さえることが難しくなり、精度の高い孔開け加工(ファインブランキング加工)が行い難くなるため、本実施例では上記のような孔開け態様を採ったものである。
もちろん、段差部31Dを跨いで大円板部31Lと小円板部31Sとの双方に至るように孔開け加工を施すことで、ドライブリング31及びレバープレート35の回動時における双方の接触を確実に回避でき、可変機構3としての作動の安定性・確実性を担保することができる。すなわち、回動時におけるドライブリング31とレバープレート35との接触を回避するだけなら、ドライブリング31における非干渉部位(
図1では小円板部31S)まで開口する必要はないが、ここまで開口することで、両部材の接触を完全に回避し、高温・排ガス下という過酷な環境下での安定した作動を確保するものである。
【0030】
次に、レバープレート35について説明する。レバープレート35は、ドライブリング31と可変翼1(軸部12)との間に介在して、可変翼1にドライブリング31の回動を伝達するものである。
レバープレート35は、一例として
図1に示すように、概ね径方向に真っ直ぐ延びた細長いプレート部36の一端に、可変翼1の軸部12(基準面14)を嵌め込むための嵌込孔37を具えるとともに、その反対側の端部に、前記ドライブリング31の駆動係合部32(ここでは矩形の孔形状)に係合する回動入力端38を具えるものである。
ここでレバープレート35においてドライブリング31(駆動係合部32)に係合する端部を回動入力端38と称したのは、レバープレート35において、この端部からドライブリング31の回動が入力されるためであり、その意味で、可変翼1の軸部12に固定される反対側の端部(嵌込孔37が形成される部位)は、回動出力端39となる。
【0031】
また、プレート部36における回動入力端38〜回動出力端39までの間は、平面視形状としては種々の形状が採り得るものの(例えば
図1、2では瓢箪形に形成)、ドライブリング31(小円板部31S)に臨む端面はほぼフラットな面として形成される。因みに、従来のレバープレート35は、例えば上記
図8に示すように、回動入力端38においてドライブリング31に向かう折り返しが形成されていたが(ドライブリング31との係合のため)、本発明では上述したように、軸方向への折り返しや段差等がないため、レバープレート35を過酷な環境下で長時間繰り返し回動させても、レバープレート35ひいては可変機構3を円滑に且つ確実に作動させることができるものである。
【0032】
また、本実施例では、本来はドライブリング31の回動を可変翼1に伝達するレバープレート35に、ドライブリング31の軸方向の移動を規制する作用(ガイド作用)も担わせている。具体的には、レバープレート35における回動入力端38〜回動出力端39までのほぼフラットな面(端面)でドライブリング31(小円板部31S)を押さえるようにして、ドライブリング31の軸方向移動を規制している(言わば抜け止め)。因みに、本明細書の「軸方向」とは、タービンロータTの軸に沿った方向を意味し、これは可変翼1の軸方向にも相当する(つまり「軸」はタービンロータTの軸を指す)。また「径方向」についても、タービンロータTのロータ軸を基準とした径方向(半径方向)を指すものである。
【0033】
また、レバープレート35によりドライブリング31の軸方向の規制(ガイド)を行うようにしたことにより、当該作用を担う専用部材(上記
図8では軸方向ガイド部材Gjとしての押さえピン)が不要となるものであり、可変機構3の構造簡素化、構成部材の削減化、排気ガイドアッセンブリASとしての軽量化等に寄与するものである。
更に本実施例では、上述したようにドライブリング31の小円板部31Sを可変翼支持フレーム21のボス部25に外嵌めして、ドライブリング31の径方向の移動を規制するものである(ガイド作用)。つまり、本来は可変翼1を回動自在に支持するフレーム基材2(可変翼支持フレーム21)に、ドライブリング31の径方向の移動を規制する作用も担わせるため、当該作用を担うための専用の部材が不要となる。
これにより、本実施例では、ドライブリング31の径方向及び軸方向の移動を規制するガイド部材を別途要することがないものであり、より一層の軽量化やコスト低減化を奏するものである。
【0034】
なお、本明細書では、レバープレート35におけるドライブリング31に臨む端面を「ほぼフラットな面」と記載しており、以下、この「ほぼ」について説明する。
レバープレート35におけるドライブリング31に臨む端面は、必ずしも完全なフラット面として形成される必要はなく、そのために特許請求の範囲でも「ほぼ」を付したものである。すなわち、例えばレバープレート35におけるドライブリング31側の面に、接触面積を減少させるべく部分接触を図る突起が形成されても構わず、要はドライブリング31の円滑な回動作動を妨げることなく、且つドライブリング31の軸方向の移動が規制できるものであれば、種々の形態が採り得るものである。もちろん、レバープレート35においてドライブリング31の反対側の面に緩やかな傾斜が付加されても構わないものである。
なお、本実施例では、このような可変機構3を、可変翼支持フレーム基材21側に設けたが、反対側の対向側フレーム基材22側に設けることももとより差し支えない。
【0035】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
なお、図6に示す形態は、レバープレート35の回動入力端38と係合する駆動係合部32
を、溝状の切り欠きと
したものであり、これは本発明に関連する参考例である。この場合、駆動係合部32としての切り欠きは、例えば上記
図6に併せ示すように、ドライブリング31の外周縁を貫通するように形成される。
【0036】
先に述べた実施例では、ドライブリング31は可変翼1の外周側に位置する形態を基本的に示したが(
図1、5参照)、ドライブリング31は必ずしもこのような設置態様に限定されるものではなく、例えば
図7(a)に示すように、ドライブリング31を可変翼1の内周側に位置させることも可能である。つまり、この場合には、先に述べた基本の実施例に対し、ドライブリング31と可変翼1との位置関係が逆になる。また、この場合、
図7(b)に示すように、ドライブリング31の大円板部31Lが、可変翼支持フレーム基材21に対し接触しながらすり動く摺動面となる。