(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984799
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】キャピラリ電気泳動デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/447 20060101AFI20160823BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20160823BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20160823BHJP
【FI】
G01N27/447 315K
G01N27/447 331K
G01N27/447 325A
G01N27/447 325E
G01N21/64 F
!C12N15/00 A
【請求項の数】31
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-512247(P2013-512247)
(86)(22)【出願日】2011年5月26日
(65)【公表番号】特表2013-533468(P2013-533468A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】US2011038180
(87)【国際公開番号】WO2011150232
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月23日
(31)【優先権主張番号】13/113,968
(32)【優先日】2011年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/349,680
(32)【優先日】2010年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507082471
【氏名又は名称】インテジェニックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マジロフ, ラース
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ゲルダー, エズラ
【審査官】
黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−524747(JP,A)
【文献】
特開2007−187587(JP,A)
【文献】
特開平01−167652(JP,A)
【文献】
特開2006−284530(JP,A)
【文献】
特開2003−004701(JP,A)
【文献】
特開2002−296235(JP,A)
【文献】
特開2005−116244(JP,A)
【文献】
特表2005−526969(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0157951(US,A1)
【文献】
米国特許第05085757(US,A)
【文献】
米国特許第06531041(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/447
C12N 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁回路基板と、
前記回路基板に取り付けられている少なくとも1つの伝導性トレースを備えている少なくとも1つの電気経路であって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答してジュールエネルギーを生成し、前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの高温エリアを形成する、少なくとも1つの電気経路と、
前記少なくとも1つの高温エリアと熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリであって、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと
を備えている、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリと熱接触する少なくとも1つの温度センサであって、前記少なくとも1つの温度センサは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを提供する、少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度のコントローラであって、前記コントローラは、前記少なくとも1つの温度センサからの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させる、コントローラと
をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの抵抗を有し、前記少なくとも1つの抵抗は、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを提供し、前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度のコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記少なくとも1つの電気経路の前記少なくとも1つの抵抗からの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回路基板に取り付けられた少なくとも1つの熱絶縁部材をさらに備え、前記少なくとも1つの熱絶縁部材は、前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのそばに位置付けられ、前記少なくとも1つの熱絶縁部材は、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回路基板に取り付けられた前記回路基板内の少なくとも1つの開口をさらに備え、前記少なくとも1つの開口は、前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのそばに位置付けられ、前記少なくとも1つの開口は、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の電気経路を含み、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画は、前記複数の電気経路のうちの異なる電気経路によって、別個に熱的に調整される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の温度センサであって、前記複数の温度センサは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供する、複数の温度センサと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラであって、前記コントローラは、前記複数の温度センサからの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させる、コントローラと
をさらに備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の電気経路は、抵抗を有し、前記抵抗は、前記複数の電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供し、
前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記複数の電気経路の抵抗からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させる、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記回路基板に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、接着材料によって、前記回路基板に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの高温エリア内を前後に走る電気経路、または複数の電気経路によって接続されている2つの電気ノードとして構成されている電気経路を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの高温エリアは、幅5mm以上を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記高温エリアは、前記電気絶縁回路基板に入る前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの部分のそばで拡大している、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記電気絶縁回路基板は、前記電気絶縁回路基板を通る開口を有し、前記開口は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリとの光学相互作用を促進する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの屈曲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電気経路全体は、S形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
(a)電気泳動熱アセンブリであって、
電気絶縁回路基板と、
前記回路基板に取り付けられている少なくとも1つの伝導性トレースを備えている少なくとも1つの電気経路であって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答してジュールエネルギーを生成する、少なくとも1つの電気経路と、
前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリであって、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと
を含む、電気泳動熱アセンブリと、
(b)少なくとも1つの電気泳動検体を前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに注入するように連結されている少なくとも1つの検体注入器と、
(c)前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの対向端に連結された電圧源であって、前記電圧源は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの対向端間に電気泳動電圧差を提供する、電圧源と、
(d)レーザデバイスであって、前記レーザデバイスは、前記レーザデバイスから、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに、ビームを送達するように位置付けられている、レーザデバイスと、
(e)前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリから、光学信号を受信するように光学的に連結されている光学検出器と
を備えている、装置。
【請求項18】
方法であって、
前記方法は、
装置を提供することであって、前記装置は、
電気絶縁回路基板と、
前記回路基板に取り付けられている少なくとも1つの伝導性トレースを備えている少なくとも1つの電気経路であって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答してジュールエネルギーを生成し、前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの高温エリアを形成する、少なくとも1つの電気経路と、
前記少なくとも1つの高温エリアと熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリであって、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと
を備えている、ことと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリを通して検体を電気泳動的に移動させることと、
前記電気絶縁回路基板に取り付けられている前記少なくとも1つの電気経路に電流を通すことにより生成されたジュールエネルギーで前記少なくとも1つの高温エリアとの熱接触を介して前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリを加熱することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気経路の温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの少なくとも1つの温度センサを介して、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの温度センサからの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの少なくとも1つの抵抗を介して、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの抵抗からの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの開口によって、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記加熱することは、
前記電気絶縁回路基板を通る電流を搬送する複数の電気経路との熱接触を介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画を別個に加熱することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の異なる温度センサを介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の電気経路の抵抗を介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの検体を前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに注入することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することと、
前記励起された少なくとも1つの検体からの光学信号を検出することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
電気絶縁回路基板を通して電流を搬送する異なる電気経路との熱接触を介して、少なくとも1つのキャピラリの異なる区画内の温度を別個に調整することと、
前記少なくとも1つのキャピラリを通して検体を移動させることと
を含み、
前記少なくとも1つのキャピラリは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの別個に熱的に調整された異なる区画において生化学的活性をサポートし、
前記電気経路のうちの少なくとも1つの電気経路は、前記電気絶縁回路基板に取り付けられている少なくとも1つの伝導性トレースを備えており、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答してジュールエネルギーを生成する、方法。
【請求項31】
前記生化学的活性は、ポリメラーゼ連鎖反応であり、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画は、前記ポリメラーゼ連鎖反応の異なる温度サイクルのための異なる温度を有する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、対応する米国仮特許出願第61/349,680号(2010年5月28日出願)の出願日の利益を主張し、該出願の内容は、その全体が参照により本明細書に引用される。本願は、米国特許出願第13/113,968号(2011年5月23日出願)に関連し、その出願日の利益を主張する。該出願の内容は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(政府援助研究声明)
本発明は、中央情報局によって与えられた政府援助(契約番号第2004*H838109*000)によって為された。政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0003】
(本発明の背景)
キャピラリ電気泳動は、混合物内の検体を検出するために、生化学分析において使用される。よく知られている用途の1つは、シークエンシングまたは増幅反応の生成物である、核酸の分析である。現代のキャピラリ電気泳動デバイスは、キャピラリのアレイを使用して、多重分析を行なう。そのようなデバイスは、種々の方法において、キャピラリ内の温度を調整する。方法の1つは、特許文献1におけるように、キャピラリの周囲において、特定の温度の空気を循環させるものである。別の方法では、キャピラリは、特許文献2および特許文献3におけるように、加熱板と熱接触する。
【0004】
キャピラリアレイ内の検体は、種々の光学アセンブリを使用して、検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,601,252号明細書
【特許文献2】米国特許第7,223,326号明細書
【特許文献3】米国特許第7,473,342号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(熱装置)
本技術の一側面は、電気絶縁回路基板と、回路基板に取り付けられている少なくとも1つの電気経路と、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと熱接触する少なくとも1つの高温エリアとを伴う装置である。電気経路は、高温エリアを形成する。電気経路は、電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される。少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される。
【0007】
一実施形態は、電気泳動キャピラリと熱接触する少なくとも1つの温度センサと、電気泳動キャピラリの温度のコントローラとを含む。温度センサは、電気泳動キャピラリの温度データを提供する。コントローラは、温度センサからの温度データに応答して、電気経路を通る電流を変化させる。
【0008】
一実施形態では、電気経路は、電気経路と熱接触する、電気泳動キャピラリの温度データを提供する少なくとも1つの抵抗を有する。装置はさらに、電気経路の抵抗からの温度データに応答して、電気経路を通る電流を変化させる、電気泳動キャピラリの温度のコントローラを含む。
【0009】
一実施形態はさらに、回路基板に取り付けられ、電気経路および電気泳動キャピラリのそばに位置付けられている、少なくとも1つの熱絶縁部材を含む。熱絶縁部材は、(i)電気経路および電気泳動キャピラリに取り付けられた回路基板の部分と、ii)回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる。そのような熱絶縁部材の実施例は、回路基板内の開口である。
【0010】
一実施形態は、電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の電気経路を有する。電気泳動キャピラリの異なる区画は、別個に、異なる電気経路によって、熱的に調整される。一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の温度センサと、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラとを含む。温度センサは、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供する。コントローラは、温度センサからの温度データに応答して、複数の電気経路を通る電流を変化させる。別の実施形態では、複数の電気経路は、複数の電気経路と熱接触する、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供する、抵抗を有し、装置はさらに、複数の電気経路の抵抗からの温度データに応答して、複数の電気経路を通る電流を変化させる、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラを含む。一実施形態では、電気泳動キャピラリは、熱的絶縁材料によって被覆される。
【0011】
一実施形態では、電気泳動キャピラリは、回路基板に取り付けられている。一実施形態では、電気泳動キャピラリは、接着材料によって、回路基板に取り付けられている。
【0012】
一実施形態では、電気経路は、電気絶縁回路基板の高温エリア内に前後に走る。一実施形態では、電気経路は、複数の電気経路によって接続される2つの電気ノードとして構成される。一実施形態では、高温エリアは、幅5mm以上を有する。一実施形態では、高温エリアは、電気絶縁回路基板に入る、電気泳動キャピラリの部分のそばで拡大している。
【0013】
一実施形態では、電気絶縁回路基板は、電気絶縁回路基板を通る開口を有する。開口は、電気泳動キャピラリとの光学相互作用を促進する。
【0014】
一実施形態では、電気経路は、少なくとも1つの屈曲を有する。一実施形態では、電気経路全体が、S形状を有する。
【0015】
(システム装置)
本技術の別の側面は、電気泳動熱アセンブリと、少なくとも1つの検体注入器と、電圧源と、レーザデバイスと、光学検出器とを含む、装置である。電気泳動熱アセンブリは、電気絶縁回路基板と、電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、回路基板に取り付けられている少なくとも1つの電気経路と、電気泳動キャピラリが、電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整されるように、電気経路と熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリとを含む。検体注入器は、少なくとも1つの電気泳動検体を電気泳動キャピラリに注入するように連結される。電圧源は、電気泳動キャピラリの対向端に連結され、電気泳動キャピラリの対向端間に電気泳動電圧差を提供する。レーザデバイスは、レーザデバイスから、電気泳動キャピラリに、ビームを送達するように位置付けられる。光学検出器は、電気泳動キャピラリから、光学信号を受信するように光学的に連結される。
【0016】
(熱方法)
本技術の一側面は、少なくとも1つの電気泳動キャピラリを通して検体を電気泳動的に移動させるステップと、電気絶縁回路基板を通して電流を搬送する少なくとも1つの電気経路との熱接触を介して、電気泳動キャピラリを加熱するステップとを含む、方法である。
【0017】
一実施形態はさらに、電気経路と熱接触する、電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、電気経路の温度データに応答して、電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0018】
一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの温度センサを介して、電気経路と熱接触する、電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、温度センサからの温度データに応答して、電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0019】
一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの抵抗を介して、電気経路と熱接触する、電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、抵抗からの温度データに応答して、電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0020】
一実施形態はさらに、(i)電気経路および電気泳動キャピラリに取り付けられた回路基板の部分と、(ii)回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることを含む。
【0021】
一実施形態はさらに、少なくとも1つの開口によって、(i)電気経路および電気泳動キャピラリに取り付けられた回路基板の部分と、(ii)回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることを含む。
【0022】
一実施形態では、加熱することは、電気絶縁回路基板を通る電流を搬送する、複数の電気経路との熱接触を介して、電気泳動キャピラリの異なる区画を別個に加熱することを含む。
【0023】
一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、複数の電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0024】
一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリの異なる区画の異なる温度センサを介して、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、複数の電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0025】
一実施形態はさらに、複数の電気経路の抵抗を介して、電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、複数の電気経路を通る電流を変化させることとを含む。
【0026】
一実施形態はさらに、少なくとも1つの検体を少なくとも1つの電気泳動キャピラリに注入することを含む。
【0027】
一実施形態はさらに、電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することと、励起された検体からの光学信号を検出することとを含む。
【0028】
(光学装置)
本技術の別の側面は、複数の電気泳動キャピラリと、レーザデバイスと、光学検出器と、光学セレクタとを伴う装置である。レーザデバイスは、レーザデバイスから、少なくとも1つの電気泳動キャピラリに、ビームを送達するように位置付けられる。光学検出器は、少なくとも1つの電気泳動キャピラリから、光学信号を受信するように光学的に連結される。レーザデバイス、光学検出器、および光学セレクタは、光学検出器に、複数の電気泳動キャピラリのうちの任意の1つ以上からの光学信号を選択的に検出させる配列にある。
【0029】
一実施形態では、キャピラリは、アレイとして配列される。一実施形態では、光学セレクタは、レーザデバイスと複数の電気泳動キャピラリとの間に光学的に位置付けられる。いくつかの実施形態では、レーザデバイスからのビームは、単一の電気泳動キャピラリに送達され、他の電気泳動キャピラリには送達されない。一実施形態では、光学セレクタは、レーザデバイスからのビームを単一の電気泳動キャピラリに方向づけ、他の電気泳動キャピラリには方向づけない走査用対物レンズである。一実施形態では、走査用対物レンズは、レーザデバイスから走査用対物レンズに入るビームに対して、横断運動を行なうように適応される。別の実施形態では、光学セレクタは、レーザデバイスからのビームを単一の電気泳動キャピラリに通し、他の電気泳動キャピラリには通さない開口である。一実施形態はさらに、単一の電気泳動キャピラリから、ビームの反射を受光するように光学的に連結されるキャピラリ整列検出器を含む。反射は、単一の電気泳動キャピラリとのビームの整列を示す。
【0030】
一実施形態では、光学セレクタは、複数の電気泳動キャピラリと光学検出器との間に光学的に位置付けられる。いくつかの実施形態では、複数の電気泳動キャピラリから、光学検出器への光学信号は、単一の電気泳動キャピラリに限定される。
【0031】
種々の実施形態はさらに、レーザデバイスと光学検出器との間に、光学的に連結される、波長依存ビーム結合器、またはレーザデバイスと光学検出器との間に光学的に連結される空間ビーム結合器を含む。
【0032】
(光学方法)
本技術の別の側面は、複数の電気泳動キャピラリを通して検体を電気泳動的に移動させるステップと、複数の電気泳動キャピラリのうちの第1の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起するステップと、光学検出器において、複数の電気泳動キャピラリのうちの第1の電気泳動キャピラリの光学的に励起された検体からの光学信号を受信するステップと、複数の電気泳動キャピラリのうちの第2の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起するステップと、光学検出器において、複数の電気泳動キャピラリのうちの第2の電気泳動キャピラリの光学的に励起された少なくとも1つの検体からの光学信号を受信するステップとを含む、方法である。
【0033】
一実施形態では、光学的に励起することは、単一の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することを含む。
【0034】
一実施形態では、光学的に励起することは、光学的に励起された検体を有する単一の電気泳動キャピラリが、経時的に変化するように、複数の電気泳動キャピラリにわたってレーザビームを横断させることを含む。
【0035】
一実施形態では、方法はさらに、単一の電気泳動キャピラリからのレーザビームの反射に基づいて、単一の電気泳動キャピラリとのレーザビームの整列を検出することを含む。
【0036】
一実施形態では、横断させることはさらに、固定されたビーム結合器内にビームおよび光学信号を維持しながら、光学対物レンズを横断させ、レーザビームを横断させる一方、ことを含む。
【0037】
一実施形態では、横断させることはさらに、光学対物レンズおよびビーム結合器を横断させ、レーザビームを横断させることを含む。
【0038】
一実施形態では、横断させることはさらに、光学対物レンズの第1の側において、レーザデバイスから、レーザビームを受光することと、光学対物レンズの第2の側から、複数の電気泳動キャピラリに向けてレーザビームを通すことと、光学対物レンズの第1の側において、レーザビームに対して光学対物レンズを横断させ、光学対物レンズの第2の側において、レーザビームを複数の電気泳動キャピラリにわたって横断させることとを含む。
【0039】
一実施形態では、光学的に励起することは、複数の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することを含み、方法はさらに、光学信号を単一の電気泳動キャピラリから光学検出器に通し、他の電気泳動キャピラリからの光学信号を遮断することを含む。
【0040】
一実施形態では、光学的に励起することは、通される光学信号を生じる単一の電気泳動キャピラリが、経時的に変化するように、複数の電気泳動キャピラリからの光学信号にわたって光学セレクタを横断させることを含む。
【0041】
(生化学熱方法)
本技術の別の側面は、電気絶縁回路基板を通して電流を搬送する異なる電気経路との熱接触を介して、少なくとも1つのキャピラリの異なる区画内の温度を別個に調整するステップと、別個に熱的に調整される電気泳動キャピラリの異なる区画において生化学的活性をサポートするキャピラリを通して検体を移動させるステップとを含む方法である。
【0042】
そのような生化学的活性の実施例は、ポリメラーゼ連鎖反応である。電気泳動キャピラリの異なる区画は、ポリメラーゼ連鎖反応の異なる温度サイクルのための異なる温度を有する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
電気絶縁回路基板と、
前記回路基板に取り付けられている少なくとも1つの電気経路であって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整され、少なくとも1つの高温エリアを形成する、少なくとも1つの電気経路と、
前記少なくとも1つの高温エリアと熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリであって、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと
を備えている、装置。
(項目2)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリと熱接触する少なくとも1つの温度センサであって、前記少なくとも1つの温度センサは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを提供する、少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度のコントローラであって、前記コントローラは、前記少なくとも1つの温度センサからの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させる、コントローラと
をさらに備えている、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの抵抗を有し、前記少なくとも1つの抵抗は、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを提供し、前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度のコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記少なくとも1つの電気経路の前記少なくとも1つの抵抗からの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させる、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記回路基板に取り付けられた少なくとも1つの熱絶縁部材をさらに備え、前記少なくとも1つの熱絶縁部材は、前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのそばに位置付けられ、前記少なくとも1つの熱絶縁部材は、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記回路基板に取り付けられた少なくとも1つの開口をさらに備え、前記少なくとも1つの開口は、前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのそばに位置付けられ、前記少なくとも1つの開口は、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の電気経路を含み、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画は、前記複数の電気経路のうちの異なる電気経路によって、別個に熱的に調整される、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画と熱接触する複数の温度センサであって、前記複数の温度センサは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供する、複数の温度センサと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラであって、前記コントローラは、前記複数の温度センサからの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させる、コントローラと
をさらに備えている、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記複数の電気経路は、抵抗を有し、前記抵抗は、前記複数の電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを提供し、
前記装置は、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度のコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記複数の電気経路の抵抗からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させる、項目6に記載の装置。
(項目9)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記回路基板に取り付けられている、項目1に記載の装置。
(項目10)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、接着材料によって、前記回路基板に取り付けられている、項目1に記載の装置。
(項目11)
前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの高温エリア内を前後に走る電気経路、または複数の電気経路によって接続されている2つの電気ノードとして構成されている電気経路を含む、項目1に記載の装置。
(項目12)
前記少なくとも1つの高温エリアは、幅5mm以上を有する、項目1に記載の装置。
(項目13)
前記高温エリアは、前記電気絶縁回路基板に入る前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの部分のそばで拡大している、項目1に記載の装置。
(項目14)
前記電気絶縁回路基板は、前記電気絶縁回路基板を通る開口を有し、前記開口は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリとの光学相互作用を促進する、項目1に記載の装置。
(項目15)
前記少なくとも1つの電気経路は、少なくとも1つの屈曲を有する、項目1に記載の装置。
(項目16)
前記少なくとも1つの電気経路全体は、S形状を有する、項目1に記載の装置。
(項目17)
(a)電気泳動熱アセンブリであって、
電気絶縁回路基板と、
前記回路基板に取り付けられている少なくとも1つの電気経路であって、前記少なくとも1つの電気経路は、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気経路と、
前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する少なくとも1つの電気泳動キャピラリであって、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリは、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流に応答して、熱的に調整される、少なくとも1つの電気泳動キャピラリと
を含む、電気泳動熱アセンブリと、
(b)少なくとも1つの電気泳動検体を前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに注入するように連結されている少なくとも1つの検体注入器と、
(c)前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの対向端に連結された電圧源であって、前記電圧源は、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの対向端間に電気泳動電圧差を提供する、電圧源と、
(d)レーザデバイスであって、前記レーザデバイスは、前記レーザデバイスから、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに、ビームを送達するように位置付けられている、レーザデバイスと、
(e)前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリから、光学信号を受信するように光学的に連結されている光学検出器と
を備えている、装置。
(項目18)
少なくとも1つの電気泳動キャピラリを通して検体を電気泳動的に移動させることと、
電気絶縁回路基板を通して電流を搬送する少なくとも1つの電気経路との熱接触を介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリを加熱することと
を含む、方法。
(項目19)
前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気経路の温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの温度センサを介して、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの温度センサからの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの抵抗を介して、前記少なくとも1つの電気経路と熱接触する前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの抵抗からの温度データに応答して、前記少なくとも1つの電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目22)
(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目23)
少なくとも1つの開口によって、(i)前記少なくとも1つの電気経路および前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに取り付けられた前記回路基板の部分と、(ii)前記回路基板の残部との間の熱伝達を低減させることとをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目24)
前記加熱することは、
前記電気絶縁回路基板を通る電流を搬送する複数の電気経路との熱接触を介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画を別個に加熱することを含む、項目18に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の異なる温度センサを介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記複数の電気経路の抵抗を介して、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画の温度データを生成することと、
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画からの温度データに応答して、前記複数の電気経路を通る電流を変化させることと
をさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目28)
少なくとも1つの検体を前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリに注入することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することと、
前記励起された少なくとも1つの検体からの光学信号を検出することと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目30)
複数の電気泳動キャピラリと、
レーザデバイスであって、前記レーザデバイスから、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの電気泳動キャピラリにビームを送達するように位置付けられている、レーザデバイスと、
前記複数の電気泳動キャピラリのうちの少なくとも1つの電気泳動キャピラリから、光学信号を受信するように光学的に連結されている光学検出器と、
光学セレクタであって、前記レーザデバイス、前記光学検出器、および前記光学セレクタは、前記光学検出器に、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの任意の1つ以上から、光学信号を選択的に検出させる配列にある、光学セレクタと
を備えている、装置。
(項目31)
前記複数のキャピラリは、アレイとして配列されている、項目30に記載の装置。
(項目32)
前記光学セレクタは、前記レーザデバイスからのビームが、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの単一の電気泳動キャピラリに送達され、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの他の電気泳動キャピラリには送達されないように、前記レーザデバイスと前記複数の電気泳動キャピラリとの間に光学的に位置付けられている、項目30に記載の装置。
(項目33)
前記光学セレクタは、前記レーザデバイスからのビームを前記単一の電気泳動キャピラリに方向づけ、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの他の電気泳動キャピラリには方向づけない走査用対物レンズである、項目32に記載の装置。
(項目34)
前記光学セレクタは、前記レーザデバイスからのビームを前記単一の電気泳動キャピラリに通し、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの他の電気泳動キャピラリには通さない開口である、項目32に記載の装置。
(項目35)
前記単一の電気泳動キャピラリからの前記ビームの反射を受光するように光学的に連結されているキャピラリ整列検出器をさらに備え、前記反射は、前記単一の電気泳動キャピラリとの前記ビームの整列を示す、項目32に記載の装置。
(項目36)
前記光学セレクタは、前記複数の電気泳動キャピラリから前記光学検出器への光学信号が、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの単一の電気泳動キャピラリに限定されるように、前記複数の電気泳動キャピラリと前記光学検出器との間に光学的に位置付けられている、項目30に記載の装置。
(項目37)
前記レーザデバイスと前記光学検出器との間に光学的に連結されている波長依存ビーム結合器をさらに備えている、項目30に記載の装置。
(項目38)
前記レーザデバイスと前記光学検出器との間に光学的に連結されている空間ビーム結合器をさらに備えている、項目30に記載の装置。
(項目39)
前記光学セレクタは、前記レーザデバイスから走査用対物レンズに入るビームに対して、横断運動を行なうように適応されている走査用対物レンズである、項目32に記載の装置。
(項目40)
複数の電気泳動キャピラリを通して検体を電気泳動的に移動させることと、
前記複数の電気泳動キャピラリのうちの第1の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することと、
光学検出器において、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの第1の電気泳動キャピラリの光学的に励起された少なくとも1つの検体からの光学信号を受信することと、
前記複数の電気泳動キャピラリのうちの第2の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することと、
前記光学検出器において、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの第2の電気泳動キャピラリの光学的に励起された少なくとも1つの検体からの光学信号を受信することと
を含む、方法。
(項目41)
前記光学的に励起することは、
前記複数の電気泳動キャピラリのうちの単一の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記光学的に励起することは、
光学的に励起された検体を有する前記単一の電気泳動キャピラリが経時的に変化するように、前記複数の電気泳動キャピラリにわたってレーザビームを横断させることを含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
単一の電気泳動キャピラリからのレーザビームの反射に基づいて、前記単一の電気泳動キャピラリとの前記レーザビームの整列を検出することとをさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記横断させることは、
固定されたビーム結合器内に前記レーザビームおよび前記光学信号を維持しながら、光学対物レンズを横断させることにより、前記レーザビームを横断させることをさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記横断させることは、
光学対物レンズおよびビーム結合器を横断させることにより、前記レーザビームを横断させることをさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記横断させることは、
光学対物レンズの第1の側において、レーザデバイスから、前記レーザビームを受光することと、
前記光学対物レンズの第2の側から前記複数の電気泳動キャピラリに向けて前記レーザビームを通すことと、
前記光学対物レンズの第1の側において、前記レーザビームに対して前記光学対物レンズを横断させ、前記光学対物レンズの第2の側において、前記レーザビームを前記複数の電気泳動キャピラリにわたって横断させることと
をさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目47)
前記光学的に励起することは、
前記複数の電気泳動キャピラリのうちの複数の電気泳動キャピラリ内の少なくとも1つの検体を光学的に励起することを含み、
前記方法は、
前記光学信号を前記複数の電気泳動キャピラリのうちの単一の電気泳動キャピラリから前記光学検出器に通し、前記複数の電気泳動キャピラリのうちの他の電気泳動キャピラリからの前記光学信号を遮断することをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目48)
前記光学的に励起することは、
通される光学信号を生じる前記単一の電気泳動キャピラリが経時的に変化するように、前記複数の電気泳動キャピラリからの光学信号にわたって光学セレクタを横断させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
電気絶縁回路基板を通して電流を搬送する異なる電気経路との熱接触を介して、少なくとも1つのキャピラリの異なる区画内の温度を別個に調整することと、
前記少なくとも1つのキャピラリを通して検体を移動させることと
を含み、
前記少なくとも1つのキャピラリは、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの別個に熱的に調整された異なる区画において生化学的活性をサポートする、
方法。
(項目50)
前記生化学的活性は、ポリメラーゼ連鎖反応であり、前記少なくとも1つの電気泳動キャピラリの異なる区画は、前記ポリメラーゼ連鎖反応の異なる温度サイクルのための異なる温度を有する、項目49に記載の方法。
【0043】
(参照による引用)
本明細書に記載されるすべての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、具体的かつ個々に、参照することによって組み込まれることが意図される場合と同程度に、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明の新規特徴は、とくに、添付の請求項において記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解は、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する、以下の発明を実施するための形態と、付随の図面を参照することによって、得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、熱アセンブリの回路基板部品の上面図である。
【
図2】
図2は、回路基板、回路基板上の電気経路、キャピラリの束、および温度センサを伴う熱アセンブリの上面図である。
【
図3】
図3および4は、電気泳動システムの光学サブシステムの簡略化された略図である。
【
図4】
図3および4は、電気泳動システムの光学サブシステムの簡略化された略図である。
【
図5】
図5、6、7、および8は、電気泳動システムの種々の斜視図である。
【
図6】
図5、6、7、および8は、電気泳動システムの種々の斜視図である。
【
図7】
図5、6、7、および8は、電気泳動システムの種々の斜視図である。
【
図8】
図5、6、7、および8は、電気泳動システムの種々の斜視図である。
【
図9】
図9は、電気泳動システムのブロック図である。
【
図11】
図11は、光のビームを狭小化し、実質的に、狭小検出器に沿って、降下するように構成される、円筒形レンズを備えている、本発明の代替光学サブシステムを示す。
【
図12】
図12は、また、2つのミラー間にレンズを備え、キャピラリ検出器上に光を集束する、レンズを備えている、
図11の光学列の側面斜視図を示す。
【
図13】
図13は、2つの電気ノードおよびノードを継合する複数の平行電気線を備えている、電気経路を示す。それらは、一緒に、高温エリアを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、熱アセンブリの回路基板部品の上面図である。
【0047】
電気絶縁回路基板は、キャピラリの設置のために、略S形状経路を有する。略S形状経路は、6つの異なる区画12、14、16、18、20、および22に分割される。これらの6つの異なる区画12、14、16、18、20、および22は、別個に、特定の区画と熱接触する、キャピラリの部分内の温度を調整する。異なる区画12、14、16、18、20、および22の各々は、その区画のエリアを充填するために、その区画のエリア内に、例えば、蛇行形状に前後に走る電気経路によって充填される。前後に走る、本電気経路は、区画22内に詳細に示される。例証における明確性の目的のために図示されないが、他の区画12、14、16、18、および20もまた、その区画のエリアを充填するために、その区画のエリア内に前後に走る電気経路によって充填される。
【0048】
別の実施形態では、高温エリアが、一緒に継合される平行トレースにおいて(例えば、電圧源または電流源に取り付けられている共通トレースにおいて)構成される電気経路から形成され得る。本構成のバージョンは、
図13に描写される。
【0049】
回路基板はまた、キャピラリの設置のために、略S形状経路の両側に沿って走る、1列の開口10を有する。開口は、回路基板の略S形状経路と回路基板の残部との間の熱伝達を低減させる。空気は、優れた熱絶縁体であるため、熱伝達は、回路基板の2つの部品間で低減される。回路基板自体もまた、低熱導体である。別の実施形態では、1列の開口の代わりに、低熱伝導性材料が、回路基板のこれらの2つの部品間に位置付けられる。そのような熱伝達の低減は、略S形状経路および略S形状経路上に設置されたキャピラリの熱調整を容易にする。開口は、実質的に、略S形状経路および略S形状経路上に設置されたキャピラリに対する熱的に調整される領域の熱質量を低減させる役割を果たす。熱質量が少ない場合、所望の温度は、略S形状経路および略S形状経路上に設置されたキャピラリに対して、迅速に到達される。本実施形態は、ほとんどエネルギーを要求しない。また、S形状構成は、空間をほとんど占有せず、デバイスをより容易に可搬性とする。
【0050】
回路基板はまた、略S形状経路に沿って、略S形状経路の出口端に向かって、開口8を含む。回路基板材料がないので、開口8は、開口8上に設置される、キャピラリとの光学相互作用を促進する。開口8は、落射蛍光および種々の非対称照射方式等の光学構成を使用して、蛍光励起および検出を可能にする。
【0051】
図1Aは、
図1の熱アセンブリの電気経路の拡大図である。
【0052】
種々の実施形態における電気経路は、電気絶縁回路基板上に接合される、パターン化、またはエッチングされる、伝導性トレースである。パターン化された電気経路は、望ましくない伝導性材料を除去し、所望の伝導性経路を残す、「減算」パターン化によって、または付加的伝導性材料を追加し、所望の伝導性経路を形成する、「加算」パターン化によって、画定され得る。回路基板は、単一層回路基板上または多層回路基板の一部として、伝導性経路を有し得る。
【0053】
電気経路内の伝導性材料の種々の実施例は、銅、アルミニウム、銀等の金属材料、または黒鉛等の非金属伝導性材料、または伝導性インクであるが、任意の他の伝導性材料であり得る。
【0054】
電気経路の伝導性材料とは対照的に、回路基板材料は、非伝導性であって、一般的には、誘電材料である。
【0055】
各電気経路は、高温エリアを生成および画定する。本実装は、6つの加熱エリアを有し、それぞれ、以下に示されるヒータ形状を生成するために必要とされる形状に折り畳まれる、約lmの150um幅の銅トレースから成る。種々の実施形態は、検体の電気泳動分離のために適切な長さに応じて、lmより短いまたは長いトレースの長さまで様々である。種々の実施形態は、熱的に連結されたキャピラリの熱調整のための適切な熱を生成するための電気経路の適切な抵抗に応じて、電気経路の幅を拡大または縮小させる。種々の実施形態は、加熱エリアの数を増加または減少させる。
【0056】
いくつかの実施形態では、トレース等の電気経路は、0.0001から0.5インチの範囲の幅、および0.25から750インチの範囲の長さを有する。
【0057】
キャピラリ内で電気泳動を行なうことによって、キャピラリ壁を通して、熱を効果的に消散させる。これによって、高速分離を達成するために、高電圧を使用されることが可能となる。
【0058】
図2は、回路基板、回路基板上の電気経路、キャピラリの束、および温度センサを伴う熱アセンブリの上面図である。
【0059】
図1および1Aに示される回路基板等の回路基板上では、電気泳動キャピラリは、接着材料等によって、略S形状経路に取り付けられている。本形状は、キャピラリの随意の配列である。他の湾曲または線形配列も、想定される。示される実施形態では、8つのキャピラリの束が、取り付けられている。他の実施形態は、検体の並行処理のための特定の電気泳動用途の要件に応じて、1からそれ以上の数に及ぶ、任意の他の数のキャピラリを有する。キャピラリの入口端54は、散開端を有し、異なるキャピラリへの検体の注入を促進する。キャピラリの出口端56は、図中では、一緒に束にされたままである。
【0060】
略S形状経路の別個に熱的に調整されるエリアまたは区画のそれぞれでは、温度センサは、熱接触にある。示される温度センサは、32、34、36、38、40、および42である。温度センサ42は、キャピラリとは熱接触しないが、回路基板自体、または代替として、周囲空気と熱接触する。温度センサの実施例は、サーミスタまたは他の温度可変抵抗、あるいは熱電対または他の温度可変電圧源である。別の実施形態では、別個に熱的に調整される区画の温度データは、個別の温度センサによって収集されず、電気経路の抵抗等によって、電気経路自体によって、収集される。
【0061】
示される実施形態では、温度センサは、熱絶縁開口のアレイの回路基板外側の部分で終端するトレースに取り付けられている、サーミスタである。サーミスタは、キャピラリアレイを横切って折り畳まれ、キャピラリアレイを基板に接合する接着剤内に埋設され、サーミスタとキャピラリとの間の良好な熱接触を保証する一方、ヒータからの熱損失を最小限にする。
【0062】
そのような温度センサによって生成される温度データは、電気経路と熱接触する、キャピラリの温度を熱的に調整するのを支援する。電気経路を通る電流は、ジュール加熱を介して、電気経路内に熱エネルギーを付与する。付与された熱エネルギーの量は、電流量および電気経路の抵抗に伴って変動する。
【0063】
(光学検出器)
図3、4、11、および12は、電気泳動システムの光学サブシステムの簡略化された略図である。
【0064】
図3では、励起ビーム170の励起源は、固体レーザであって、その出力は、対物レンズ160の直上の光学経路内に45度の角度で設置されるビーム結合器162を使用して、キャピラリ174内に投影される。種々の実施形態では、ビーム結合器は、透明ガラスシート上に設置された小型反射性ドット等の波長感応性リフレクタまたは空間ビームスプリッタを備えている。ビーム結合器は、波長依存性であって、空間ビーム結合器より整列が容易である。
【0065】
高開口数対物レンズは、キャピラリ174に向かって進む励起ビーム170と、キャピラリ174からの放出された蛍光の光学信号の両方によって、使用される。
【0066】
キャピラリ174の検体から放出される蛍光の光学信号は、対物レンズ160によって平行にされる。光学信号は、波長感応性リフレクタ162を通過し、励起ビーム170を含む光学信号の一部を拒否する、ロングパスフィルタ164に衝突する。
【0067】
蛍光検出方式は、プリズム分光計ベースである。光学信号は、次いで、波長に従って、光線の角度を変化させる役割を果たす、分散プリズム166上に投影される。本分散された光学信号は、次いで、分散された光学信号の異なる波長を検出器170の平面上の異なる場所に集束させる、像形成レンズ168を使用して、検出器170の平面上に集束される。検出器170の実施例は、CCDカメラである。代替は、CMOSカメラまたは他の光学センサである。
【0068】
一実施形態では、前述の光学サブシステムは、点検出器であって、単一キャピラリからの検体の光学信号を検出する。他の実施形態では、光学サブシステムはさらに、キャピラリのアレイの蛍光を励起および検出するための付加的構成要素を含む。
【0069】
第1の実施形態では、成形された励起ビームは、キャピラリのアレイのアレイ全体を同時に照射する。これは、並行して、全キャピラリのスペクトルから成る像を検出器の平面上に生成する。本配列は、チャネル間のクロストークをもたらし得る。一実施形態では、成形された励起ビームが、キャピラリのアレイのアレイ全体を同時に照射後、キャピラリのアレイと検出器との間の開口等のフィルタが、余剰キャピラリからの光学信号を排除し、それによって、クロストークに対処する。
【0070】
別の実施形態では、アレイ内の全キャピラリからの情報を捕捉するために、対物レンズは、アレイにわたって走査される。本実施形態では、対物レンズは、対物レンズが移動するのに伴って、対物レンズを出るレーザビームがキャピラリに衝打する点が、横断し、それによって、選択されたキャピラリを励起させるように、対物レンズに入るレーザビームに対して移動される。本構成では、キャピラリ間のクロストークは、1つのキャピラリのみ、1回に照射されるため、排除される。
【0071】
200um径のキャピラリを備えているアレイの場合、検出デバイスのための走査範囲は、8つのチャネルアレイに対して、+/−0.8mmを対象とする。本限定走査範囲は、可動部品の数を最小限にする。他の実施形態は、異なる数のキャピラリおよび/または異なる数のキャピラリに対応するために、走査範囲を拡大あるいは縮小する。対物レンズ160のみが移動するため、励起レーザビーム170は、ビーム170が、アレイ内の端部キャピラリの上部に位置する場合でも、対物レンズ160の中心に対して、非常に近接したままである。励起ビーム170は、アレイ内のキャピラリの場所に応じて、異なる角度でキャピラリに衝突する。
【0072】
一実施形態では、対物レンズ160は、連続的に、または走査間隔の間、連続的に、移動される。後述のキャピラリ検出器172の入力の場合、ソフトウェアおよび/または器具の電子機器が、対物レンズが選択されたキャピラリの上を通過するであろうことを予測する。検出器170は、対物レンズが、選択されたキャピラリの上を通過するのに伴って、オンにされる。代替として、検出器170は、対物レンズが、選択されたキャピラリの上を通過するかどうかに関わらず、オンにされたままであることができ、検出器170からのデータは、検出器170が、選択されたキャピラリの上を通過していないときに、廃棄され、検出器170が、選択されたキャピラリの上を通過しているときに、収集または処理される。
【0073】
別の実施形態では、対物レンズ160は、対物レンズが、キャピラリ間の空間の上を通過するときに、対物レンズが、迅速に移動し、次いで、検出器170が、選択されたキャピラリから光学信号を収集するために、十分に長く、選択されたキャピラリの上で停止するように、断続的に移動される。これは、例えば、ステッパモータを使用することによって、達成することができる。
【0074】
同様に、蛍光放出の光学信号は、プリズム166およびプリズム168背後のレンズ面にわたって移動するが、スペクトル像は、プリズム166が、平行になった光学空間内に位置するため、対物レンズの場所に関わらず同一場所に残る。
【0075】
キャピラリ検出器172は、走査用対物レンズ160が、各キャピラリを横断するときに、キャピラリから、励起ビーム170の反射を受信する。反射は、各キャピラリの上部に対する走査用対物レンズ160の位置の関数として、強度が変動する。これは、キャピラリの場所およびキャピラリに対するレーザビームの整列を決定するソフトウェアおよび/または器具内に埋設された電子機器によって使用される、個別の強度プロファイルをもたらす。その情報は、次いで、検出器170に衝打する光学信号のデータ取得をトリガするために使用される。
【0076】
図4では、光線トレースは、放出経路の機械的中心から1mmずれた対物レンズの影響を示す。
【0077】
図4は、光学経路の「端面図」を示す。
図4は、キャピラリ176の像上に、対物レンズ160を走査する影響を例証する。プリズム166は、平行になった光学空間内に位置するため、スペクトルは、対物レンズ160の場所に関わらず、検出器170の同一場所に残る。
【0078】
ビーム結合器の周囲に光学経路を配列する代替を対象とする、種々の実施形態が存在する。
【0079】
一実施形態では、静止ビーム結合器は、レーザデバイスから、キャピラリに、励起ビームを反射し、キャピラリ内の検体から放出された蛍光を検出器に伝送するダイクロイックミラーを使用する。本実施形態は、質量移動がほとんどないため、運動機構が、より単純であるという点において、有利である。しかしながら、固定されたビーム結合器を伴ういくつかの実施形態は、走査可能キャピラリの数を限定する。
【0080】
別の実施形態では、ビーム結合器は、
図4では、垂直軸に対して、90度、回転される。そのような構成では、ビーム結合器は、CDまたはDVDプレーヤ同様に、対物レンズとともに移動する。そのような幾何学形状は、固定されたビーム結合器の境界によって限定されることなく、より大きなキャピラリのアレイを走査する。
【0081】
ビーム結合器を伴う別の実施形態では、レーザビームが伝送され、試料から放出された蛍光光学信号が、反射される。そのようなシステムでは、励起および放出経路は、場所を変化させる。
【0082】
別の実施形態は、波長依存ビーム結合器ではなく、空間ビーム結合器を伴うシステムを実装する。空間ビーム結合器は、放出経路の弧の一部を対象とする小型ミラーとして実装される。励起レーザは、そのミラーに反射するように整列される。ミラーの物理的実装は、代替として、適切な場所に保持される、光学ガラス片または小型の物理的ミラー上の小反射エリアである。
【0083】
別の実施形態では、励起レーザビームは、放出の大部分を検出器に向かって反射する、固体ミラー内の小型開口部を通過する。再び、開口部は、ミラー内の物理的孔、または単純に、別様に、ミラーコーティングによってコーティングされる、ガラス基板上の非反射エリアであり得る。
【0084】
種々の実施形態では、上の2つの場合におけるミラー/開口は、システムの光学軸上またはそこからずれて位置する。
【0085】
図11および12に描写される別の実施形態では、光学経路は、検出経路内に円柱レンズを備え、蛍光検出経路の放出経路の整列感度を低減させ、大きな長さ対幅比を有する(線またはスペクトル検出目的のために設計される)幾何学形状を伴う検出器の使用を可能にする。
【0086】
別の実施形態は、随意に、キャピラリ内に長楕円形励起スポットをもたらし、スペクトル分解能に影響を及ぼすことなく、キャピラリ内側のより大量の標識された分子を励起させる、励起経路内の円筒形レンズを備えている。これは、特に、染料の潜在的光退色を考慮する場合、検出される光学信号の信号対雑音比を改善する。
【0087】
図5、6、7、および8は、電気泳動システムの種々の斜視図である。
【0088】
電気泳動システムのレイアウトは、概して、2つのエリア:i)レーザまたは他の励起光学104、キャピラリ検出サブシステム、およびキャピラリを横切って対物レンズを移動させるために使用されるアクチュエータと、ii)ヒータ、キャピラリアレイ、ならびに回路基板下のアノードおよびカソードアセンブリを含む、ユニットの電気泳動エリア102とに分割される。2つのエリアは、垂直壁によって分割される。
【0089】
図5では、実験用回路板実装が、示される。検出器110は、CCDカメラである。別の実施形態は、一次元検出器アレイを使用する。
【0090】
ヒータアセンブリの置換は、ロッキングレバー108を折り畳み、上部アクセスを完成するために、回路基板106のスライド搭載アセンブリを取り出すことによって、容易に達成することができる。
【0091】
折り畳み式ミラー搭載部134およびペンタプリズム132は、システムの光学整列を提供する。ペンタプリズム132は、別の実施形態では、ミラーによって置換される。
【0092】
図6では、電気泳動回路基板への物理的アクセスが、実装される。
【0093】
ロッキングレバーは、サービスアクセス位置にあって、キャピラリアレイアセンブリは、サービス位置にある。
【0094】
図7は、対物レンズの走査機構の詳細図を示す。
【0095】
スキャナのための正確な線形運動を生成する、多くの実施形態が存在する。示される実施形態は、偏心ディスク122として実装される、カム駆動システムであるが、線形ソレノイドアクチュエータ、検流計機構、および圧電アクチュエータ等の多くの他の実施形態が存在する。
【0096】
図8は、対物レンズの走査機構の別の詳細図を示す。
【0097】
対物レンズ搭載部118は、その運動を制御する、交差ローラスライド120に取り付けられている。ボール軸受は、対物レンズ搭載部118の端部に搭載され、バネ(図示せず)によって、偏心ディスク122に対して保持される。キャピラリを横切る対物レンズの線形前後運動は、モータを使用して、偏心ディスク122を回転させることによって生成される。
【0098】
プリント回路基板ヒータは、キャピラリを走査光学の焦点面に整列するように調節されるスキャナ焦点124を画定するハードストップに対して、保持される。焦点面は、調節ネジ138によって、調節可能である。
【0099】
本装置の多くの異なる実施形態が存在する。対物レンズをフレクシャー(flexure)に搭載することによって、交差ローラ軸受スライドの必要性を排除する。音声コイルまたは類似アクチュエータもまた、線形運動を生成することができる。
【0100】
図9は、電気泳動システムのブロック図である。
【0101】
図2に示されるもの等の電気泳動熱アセンブリ210は、回路基板上の電気経路と熱接触する、1つ以上の電気泳動キャピラリを有する。電圧源208は、キャピラリ32のキャピラリ入口204およびキャピラリ出口206にわたって、電圧差を印加することによって、キャピラリ電気泳動を促進する。一実施形態では、アレイのカソードは、キャピラリの入口端に対応する三角形形状の電気経路下方の回路基板下に位置し、アレイのアノードは、キャピラリの出口端下方の回路基板下に位置する。
【0102】
検体注入器は、検体をキャピラリ入口204に追加する。注入された検体は、キャピラリ32を通って、電気泳動的に移動される。注入器タイプの実施例は、重力注入、圧力または水力学的注入、および動電学的注入である。試料は、試料の上流および下流のガス塊によって隔離することができる。電気泳動緩衝剤もまた、キャピラリに流入することができる。
【0103】
例示的試料注入手順は、キャピラリおよび電極を試料溶液バイアル内に浸漬し、電圧を印加することである。試料がイオン化され、適切な電圧極性が使用される場合、試料イオンは、キャピラリ内に移動するであろう。本タイプの注入は、動電学的試料採取として知られる。キャピラリは、キャピラリの内側を通して電流を伝導させる、電解質溶液によって充填される。キャピラリの端部は、電解質によって充填されたリザーバに浸漬される。
【0104】
代替実施形態は、ポリマーを絡ませる物理的ゲル、または共有結合構造を伴う化学ゲルを伴う、キャピラリゲル電気泳動を使用する。
【0105】
個別の温度センサまたは電気経路自体から温度データを生成する実施形態では、コントローラ220は、電流を上昇または降下させることにより、キャピラリの所望の温度を達成するか、または、キャピラリの特定の部分と熱接触する電気経路に対応する、該キャピラリの特定の部分の所望の温度を達成する。温度コントローラ220は、基板上の経路またはトレースを通して、電流を走らせ、トレースの抵抗によって、それらを加熱させる。コントローラを起動するソフトウェアは、センサによって収集された温度情報を利用して、種々の制御アルゴリズムのいずれかを使用して、個々の電気経路の温度を制御し、キャピラリの経路に沿って均一温度を達成する。一実装における温度コントローラは、別個のプリント回路基板上に格納され、PIDタイプ制御アルゴリズムを使用して温度を制御し、各電気経路の温度を管理するマイクロコントローラに基づく。動作時の基板の熱撮像は、2℃のピーク間熱均一性が、キャピラリの全長にわたって達成可能であることを示す。
【0106】
レーザデバイス212、光学検出器216、ならびに光学セレクタ#1 214および光学セレクタ#2 218の一方または両方は、光学信号を単一キャピラリに限定するように配列される。レーザデバイス212とキャピラリ32との間の光学セレクタ#1 214の場合、光学セレクタ#1 214は、レーザデバイスからのビームを単一キャピラリ内の励起検体に限定する。キャピラリ32と光学検出器216との間の光学セレクタ#2 218の場合、レーザデバイス212からのビームは、1つのキャピラリまたは複数のキャピラリ内の検体を励起し得るが、光学セレクタ#2216は、1つのキャピラリまたは複数のキャピラリからの光学信号を単一の電気泳動キャピラリに限定する。
【0107】
種々の実施形態では、キャピラリ管は、外径約150から500ミクロンおよび内径約10から100ミクロンを有する。種々の実施形態では、キャピラリは、ポリイミドまたはポリテトラフルオロエチレンクラッドである。キャピラリは、電気泳動分離要件に応じて、約2から100cm長であることができる。
【0108】
移動時間(tm)は、キャピラリの開始から検出器窓に移動するまでの時間である。電気泳動移動性mu(cm
2/Vs)は、電場強度E(V/cm)によって除算された電気泳動速度vep(cm/s)である。
【0109】
速度は、移動時間を検出器Ldまでのキャピラリの長さによって除算することによって測定される。移動性は、緩衝剤タイプ、pH、および温度に非常に依存する。温度が上昇するのに伴って、粘度は、低下し、および電気泳動移動性も同様に増加する。故に、温度が高いほど、電気泳動プロセスを加速させる。
【0110】
図10は、温度調整システムのブロック図である。温度調整システムの一実施形態は、熱循環システムである。
【0111】
ある生化学反応は、適切な温度範囲を要求する。キャピラリ管内で行なわれる生化学反応の場合、試料は、特定の温度において、キャリラリのある区分内へと移動する。次いで、試料の温度は、キャピラリ区分の温度を変化させることにより、一連のキャピラリ区分を有し、試料を後続区分内に移動させることにより、または、いくつかの組み合わせ等によって変化させることができる。
【0112】
いくつかの実施形態は、温度変化を要求する生化学反応、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応等の熱循環反応と、後続生成物分析(
図9の電気泳動システムを介して等)とを行なう。本デバイスは、異なる電気経路内の異なる温度の熱循環、または、異なる電気経路に沿った等温反応のために使用することができる。
【0113】
図10に示されるもの等の温度調整アセンブリ310は、回路基板上の電気経路と熱接触する、1つ以上の電気泳動キャピラリを有する。キャピラリ302は、キャピラリ入口304およびキャピラリ出口306を有する。
【0114】
検体注入器、例えば、DNA断片注入器は、検体をキャピラリ入口304に追加する。
【0115】
個別の温度センサまたは電気経路自体から温度データを生成する実施形態では、コントローラ320は、電流を上昇または降下させ、キャピラリの所望の温度を達成するか、または、キャピラリの特定の部分と熱接触する電気経路に対応するキャピラリの特定の部分の所望の温度を達成する。温度コントローラ320は、基板上の経路またはトレースを通して電流を走らせ、トレースの抵抗によって、それを加熱させる。コントローラ内で起動するソフトウェアは、センサによって収集された温度情報を利用して、種々の制御アルゴリズムのいずれかを使用して、個々の電気経路の温度を制御し、キャピラリの経路に沿って、均一温度を達成する。一実装における温度コントローラは、別個のプリント回路基板上に格納され、PIDタイプ制御アルゴリズムを使用して、温度を制御し、各電気経路の温度を管理する、マイクロコントローラに基づく。動作時の基板の熱撮像は、2°Cのピーク間熱均一性が、キャピラリの全長にわたって達成可能であることを示す。
【0116】
PCRは、典型的には、以下のステップおよび温度を伴う。初期化ステップ−−94−96°C、1−9分間。変性ステップ−−94−98°C、20−30秒間。アニーリングステップ−−50−65°C、20−40秒間。伸展/伸長ステップ−−約72°C。最終伸長−−70−74°C、5−15分間。最終保持−−4−15°C、不特定時間。典型的2ステップPCRプロセスでは、アニーリングおよび伸展のための温度は、同一または略同一である。
【0117】
これらのステップは、必要に応じて、十分な増幅を行なうために反復することができる。
【0118】
キャピラリは、反応混合物と、検体、例えば、試料から濃縮された核酸(集合的に、PCR反応試料と称される)とを含む。光学アセンブリは、反応を監視または制御するために使用することができる。光学アセンブリは、光を導入または検出することができる。例えば、光学アセンブリは、リアルタイムPCRまたは他のリアルタイムまたは終点測定を行なうために使用することができる。
【0119】
一実施形態では試料調製デバイスは、流水式熱循環装置として、温度変調器とともに使用することができる。流体を移動させるための駆動力は、外部圧力源または内部圧力源であることができる。流水式熱循環装置は、PCR等の高感度または高処理能温度変化反応が所望される場合、使用することができる。高感度PCRアッセイにおいて、空気、血液、水、唾液、細胞試料、または他の媒体の試料を採取することが所望され得る、多くの状況が存在する。これは、インフルエンザ、細菌性病原体、および任意の数のウイルスまたは細菌性病原体を含む、種々の生物学的汚染物質を探すために使用することができる。流水式PCRは、ヒトの相互作用の必要なく、自動でPCRを実践可能にすることができる。流水式PCRシステムはまた、建物、飛行機、バス、および他の車両のHVACシステム内の早期警戒システムとしての役割を果たすことができ、感染性病原体または汚染物質の存在に対して、血液、水、または他の試料源の監視に使用することができる。
【0120】
流水式PCRデバイスは、口腔綿棒、注射器、空気試料採取器、流体試料採取器、または他の試料採取器等の収集デバイスから試料を採取し、それを試料調製デバイスに送達する。試料は、調製デバイス内で調製され、いくつかの実施形態では、細胞溶解、DNA、RNA、またはマイクロRNAの濃縮あるいは精製、濾過、もしくは逆転写を含み得る。一実施形態では、少なくとも1つの核酸が、濃縮される。別の実施形態では、少なくとも1つの濃縮された核酸が、核酸をPCR試薬(少なくとも1つのDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、dNTP、緩衝剤、または塩等)およびプライマ(アッセイ特異的プライマまたは複数の標的病原体に対して広範に適用可能なプライマ集合等)に添加することによって、PCRのために調製される。これらのプライマは、特異的病原体(かび、ウイルス、細菌、寄生生物、またはアメーバ等)、遺伝子、他の所望の核酸、または任意のそれらの組み合わせから単離された少なくとも1つの核酸を選択的に増幅するために選択され得る。試料から濃縮された少なくとも1つの核酸、PCR試薬、およびプライマを備えている組成物は、PCR反応試料と呼ばれる。一実施形態では、流水式PCRは、継続流デバイスとして使用することができる一方、他の実施形態では、試料は、熱循環領域内に移動され、停止される。
【0121】
PCR反応試料は、次いで、反応チャネルおよび温度制御された電気経路を伴う回路基板を通って流動する。いくつかの実施形態では、反応チャネルは、クリアまたは透明である。別の実施形態では、反応チャネルは、不透明である。一実施形態では、反応チャネルは、シリンダである。別の実施形態では、反応チャネルの断面は、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、または他の多角形等の形状を形成する、1つ以上の平面を備えている。一実施形態では、PCR反応試料の体積は、反応チャネル内の空間の短い個別長を占めるようなものであって、その残りは、空気、ガス、または鉱物油等の非反応液体によって占有される。空気、ガス、または鉱物油等の非反応液体は、個々のPCR反応試料を相互から分離するために使用することができる。
【0122】
一実施形態では、検出モジュールは、蛍光、発光、吸光度、または他の光学特性を測定し、温度制御領域内に位置する間、または温度制御領域を離れた後、PCR反応試料から放出される信号を検出する。検出モジュールは、PCR反応試料内の蛍光染料(臭化エチジウムまたはサイバーグリーンを含むが、それらに限定されない、挿入染料等)を励起させるために使用される、光源(コヒーレント光源またはインコヒーレント光源等)を備えていることができ、励起光は、光検出器(CCD、CMOS、PMT、または他の光学検出器等)によって感知される。検出電子機器は、検出モジュールから送信される信号を評価することができる。
【0123】
一実施形態では、所望の数の熱サイクル完了後、PCR反応試料は圧力または真空を使用して、反応チャネルに圧送あるいは押出され、温度制御された領域から出る。一好ましい実施形態では、下流デバイスは、電気泳動法、質量分析法、または他の分析技法を行なうために使用することができる、分析デバイスである。
【0124】
複数の反応チャネルが、試料処理能を向上させるために、並行して使用され得る。さらに別の実施形態では、システムは、増幅(正の結果)が生じると、ユーザにアラートし、標的シーケンスが存在することを示し得る。一実施形態では、反応チャネルは、単回使用専用に使用され、次いで、廃棄される。代替実施形態では、反応チャネルは、複数の試料のPCR増幅生成物を増幅し、その有無を検出するために使用することができる。2つ以上のPCR反応試料は、間隔を空けて装填され、障壁ガスまたは液体塊によって相互離間され、混合を防止することができる。一実施形態では、試料は、熱循環を受けているときに、別の試料が、検出領域内において、反応測定を受けるように、離間される。PCR増幅は、熱循環を使用するか、または等温反応であり得る他の核酸増幅技術によって、置換することができる。
【0125】
他の実施形態では、デバイスは、抗体またはアプタマ等の親和性試薬を使用して、サンドイッチアッセイ等の等温反応を行い、標的存在量の示度値を提供する、検出モジュールによって、細胞、タンパク質、毒素、または他の標的が、存在するかどうか決定することができる。これらの用途では、IMS精製等の親和性精製が行なわれ、次いで、蛍光標識を取着させ得る二次抗体を添加し得る。試料は、次いで、反応を最適化するように設定された熱的に制御された領域内に移動することができる。検出モジュールは、次いで、反応を監視することができる。
【0126】
本発明は、上で詳述された好ましい実施形態および実施例を参照することによって、開示されるが、これらの実施例は、限定的意味ではなく、例証的意味であることが意図されることを理解されたい。修正および組み合わせは、当業者に容易に想起され、その修正および組み合わせは、本発明の精神および以下の請求項の範囲内であると想定される。