【文献】
J. Immunother.,2006年,vol.29, no.6,p.575-85
【文献】
J. Exp. Med.,2008年,vol.205, no.4,p.825-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
SEQ ID NO: 10のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域およびSEQ ID NO: 4のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する重鎖可変領域を含む、請求項1記載の単離された抗体。
SEQ ID NO: 22のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域およびSEQ ID NO: 16のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する重鎖可変領域を含む、請求項2記載の単離された抗体。
SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域およびSEQ ID NO: 5のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する重鎖可変領域を含む、請求項6記載の単離された抗体。
SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域およびSEQ ID NO: 17のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する配列を有する重鎖可変領域を含む、請求項6記載の単離された抗体。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上述の特徴、局面、および利点、ならびに明白になるであろうその他のものが達成される方法が詳細に理解され得るように、上記に簡潔に要約された本発明のより詳細な説明が、本明細書の一部を形成する図面において説明されるその態様を参照して行われ得る。しかしながら、添付の図面は本発明のいくつかの態様を説明するものであり、したがって本発明の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたく、それは本発明が同等に効果的な他の態様も認め得るためである。
【
図1】FOXP3
+ Tregがヒト濾胞性リンパ腫(FL)組織に浸潤し、腫瘍B細胞および単球と共局在したことを示す。左側:FOXP3
+ Treg(赤色)およびCD20
+ Bリンパ腫細胞(緑色)の二重免疫染色;右側:FOXP3
+ Treg(赤色)およびCD11c
+単球/マクロファージ/DC(緑色)の二重免疫染色。
【
図2】
図2Aおよび2Bは、FL患者におけるCD4+FOXP3
+ Treg数の増加を示す。腫瘍細胞およびPBMCは、治療前の最初の診断の時点で6名のFL患者から採取した。PBMCは、比較のために6名の正常ドナーからも採取した。全CD4
+ T細胞に対する調節性T細胞の割合は、CD4
+CD25
+CD127
lowFOXP3
+ Tregのフローサイトメトリー解析により決定した。
図2AはTregの代表的なFACS解析を示す。FL PBMCおよびFL腫瘍細胞は、同一患者から分類した。
図2Bは全ドナーのTregの割合を示す。水平バーは平均値を示す。
【
図3】FLからのICOS
+FOXP3
+ TregまたはICOS
-FOXP3
+ Tregの単離を示す。任意の治療の前に、脾臓標本から単一細胞懸濁液を得た。アッセイの当日に、細胞を融解した。濃縮されたCD4
+CD8
-CD14
-CD16
-CD56
-CD11c
-TCRγδ
- T細胞を、CD25
lowサブセットとCD25
highサブセットに分類した。CD4
+CD25
highFOXP3
+ Tregを、ICOSの表面発現に基づいて、ICOS
highサブセットとICOS
lowサブセットにさらに選別した。すべてのサブセットにおいて、FOXP3の細胞内発現を決定した。
【
図4】腫瘍内のTregが、FLにおける浸潤CD4
+CD25
- T細胞の増殖を阻害し、その阻害が抗IL-10中和抗体によって部分的に阻止され得ることを示す。CFSE標識したCD4
+CD25
-腫瘍浸潤T細胞を、自己ICOS
+FOXP3
+ TregもしくはICOS
-FOXP3
+ Treg、または抗IL-10(10μg/ml)の存在下または非存在下で、組換えCD40Lにより前もって活性化された自己腫瘍細胞と共に培養した。培養の72時間後に、CD4
+CD25
-細胞の増殖を、CFSE希釈のフローサイトメトリー解析により決定した。
【
図5A】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
【
図5B】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生を示す。
【
図5C】本発明の方法の1つの態様に従って、[
3H]チミジン取り込みにより決定された、IL-10産生Tr1細胞による抑制機能を示す。
【
図6A】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、メモリーCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
【
図6B】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、メモリーCD4
+ T細胞によるIL-10産生を示す。
【
図7】
図7Aは、本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
図7Bは、本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるIL-10産生を示す。
図7Cは、本発明の方法の1つの態様に従って、計数された生存T細胞の数を示す。
【
図8A】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
【
図8B】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるIL-10産生を示す。
【
図8C】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、メモリーCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
【
図8D】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、メモリーCD4
+ T細胞によるIL-10産生を示す。
【
図8E】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリーにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析を示す。
【
図8F】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、ナイーブCD4
+ T細胞によるIL-10産生を示す。
【
図9】本発明の方法の1つの態様に従って、ELISAにより決定された、調節性T細胞によるIL-10産生を示す。
【
図10】ELISAにより決定された、L-OX40細胞 対 L親細胞に対する抗ヒトOX40ハイブリドーマ上清のスクリーニングの結果を示す。
【
図11】本発明の方法の1つの態様に従って、フローサイトメトリー解析により決定された、ヒトOX40特異的モノクローナル抗体のスクリーニングを示す。
【
図12】本発明の方法の1つの態様に従って、OX40を発現するSUPM2細胞(SUPM2-OX40)を用いることによる、抗hOX40モノクローナル抗体特異性の確認を示す。
【
図13】本発明の方法の1つの態様に従って、vit D
3(0.1μM)/Dex(50 nm)、CD32L/ICOSL、および抗CD3/CD28(0.2μg/ml)によって刺激されたCD4
+ T細胞からのIL-10産生細胞(Tr1)の生成を阻害し得るOX40特異的モノクローナル抗体を示す。代表的な蛍光活性化細胞選別(FACS)データをAに示し、OX40モノクローナル抗体処理すべてについてのIL-10産生細胞の割合をBに示す。
【
図14】本発明の方法の1つの態様に従って、Tr1細胞生成を阻害し、またCD4
+ T細胞増殖を促進するhOX40特異的モノクローナル抗体の結果を示す。
【
図15】
図15A、15B、および15Cは、本発明の方法の1つの態様に従って、CD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害するそれらの能力に関するOX40モノクローナル抗体の力価測定を詳述する。代表的なFACSデータを
図15Aに示し、9種のOX40モノクローナル抗体による処理後のTr1細胞の割合を
図15Bに示す。
【
図16A】CD4
+ T細胞からのIL-10産生Tr1細胞生成を阻害するOX40特異的モノクローナル抗体が、ICOS
+CD4
+CD25
highCD127
- TregのIL-10産生および免疫抑制機能もまた阻害することを示す。新たに選別されたICOS
+CD4
+CD25
highCD127
- Treg(ICOS
+ Treg)を、CD32L/ICOSL細胞およびCD32L/OX40L細胞の存在下で、抗CD3(0.2μg/ml)で5日間刺激した。次に、細胞を抗CD3/CD28で24時間かけて再刺激し、上清を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によりIL-10についてアッセイした。
【
図16B】CD4
+ T細胞からのIL-10産生Tr1細胞生成を阻害するOX40特異的モノクローナル抗体が、ICOS
+CD4
+CD25
highCD127
- TregのIL-10産生および免疫抑制機能もまた阻害することを示す。新たに選別されたICOS
+CD4
+CD25
highCD127
- Treg(ICOS
+ Treg)を、OX40モノクローナル抗体もしくは対照抗体の存在下で、抗CD3(0.2μg/ml)で5日間刺激した。次に、細胞を抗CD3/CD28で24時間かけて再刺激し、上清を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によりIL-10についてアッセイした。
【
図16C】CD4
+ T細胞からのIL-10産生Tr1細胞生成を阻害するOX40特異的モノクローナル抗体が、ICOS
+CD4
+CD25
highCD127
- TregのIL-10産生および免疫抑制機能もまた阻害することを示す。抗体のうちの2つがICOS
+ Treg機能を阻止したことを示す、単球ベースの増殖アッセイ法である。
【
図17】
図17Aおよび17Bは、本発明の方法の1つの態様に従って、Tr1細胞の生成を阻害し、FOXP3
+CD4
+CD25
high Treg機能を阻止する抗hOX40モノクローナル抗体の同定を示す。代表的なフローサイトメトリー解析を
図17Aに示す。6種のモノクローナル抗体のデータを
図17Bに示す。
【
図18】本発明の方法の1つの態様に従って、Tr1生成を阻害しないが、FOXP3
+CD4
+CD25
high Treg機能を阻止する抗hOX40モノクローナル抗体の同定を実証する。
【
図19】
図19Aおよび19Bは、本発明の方法の1つの態様に従って、リンパ腫由来CD4
+CD25
high Treg機能を阻止する抗hOX40アゴニスト抗体を示す。代表的なFACS解析を
図19Aに示し、全実験のデータを
図19Bに示す。
【
図20】抗hOX40モノクローナル抗体が、アカゲザルCD4
+ T細胞に結合し得ることを示す。示されるとおり、抗hOX40 mAbのうちの6種は、アカゲザル活性化CD4
+ T細胞に結合することができ、アカゲザルOX40に結合し、OX40シグナル伝達を活性化すると考えられる。
【
図21】実施例IのHu106-222ロットIおよびII抗体がそれぞれ、約50 kDの分子量を有する重鎖および約25 kDの分子量を有する軽鎖からなることを示す。Hu106-222ロットIおよびII抗体の純度は、95%を超えるようであった。
【
図22】マウス106-222、Ch106、およびHu106-222(ロットII)抗体の、L/OX40細胞への結合に関する解析を示す(実施例I)。
【
図23】Hu106 IgG1/κ抗体の発現ベクター(発現ベクター)の模式的構造を示す。最上部のSalI部位から時計回りに進み、プラスミドは、抗体重鎖遺伝子の転写を開始するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーターおよびエンハンサー(CMVプロモーター)から始まる重鎖転写単位を含む。CMVプロモーターに続いて、VHエキソン、介在イントロンを有するCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3エキソンを含むヒトγ1重鎖定常領域を含むゲノム配列、ならびにCH3エキソンの後のポリアデニル化部位がくる。重鎖遺伝子配列の後、CMVプロモーターから始まる軽鎖転写単位に続いて、VLエキソン、およびそれに先行するイントロンの一部を有するヒトκ鎖定常領域エキソン(CL)を含むゲノム配列、ならびにCLエキソンの後のポリアデニル化部位がくる。次いで、軽鎖遺伝子に続いて、SV40初期プロモーター(SV40プロモーター)、大腸菌(E. coli)キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt)、およびSV40ポリアデニル化部位(SV40ポリ(A)部位)を含むセグメントがくる。最後に、プラスミドは、細菌の複製起点(pUC ori)およびβラクタマーゼ遺伝子(βラクタマーゼ)を含む、プラスミドpUC19の一部を含む。関連する制限酵素部位の位置を図中に示す。
【
図24】L/OX40細胞への結合に関するHu106-222ロットI抗体とロットII抗体の比較を示す(以下の実施例I)。
【
図25】Hu119-122が、約50 kDの分子量を有する重鎖および約25 kDの分子量を有する軽鎖からなることを示す。Hu119の純度は、95%を超えるようであった(以下の実施例II)。
【
図26】本明細書に記載されるCh119-122およびHu119-122抗体のFACS解析の結果を示す(以下の実施例II)。
【
図27】ヒト化抗ヒトOX40 mAbクローン119-122(Hu119)およびそのFcR結合変異型抗体(Hu119-AA)が、ナイーブCD4
+ T細胞増殖を増強したことを示す。Hu199-122は、親のマウス抗ヒトOX40 mAb(マウス119-122)と比較してより良好なT細胞刺激活性をもたらした。しかしながら、キメラ抗ヒトOX40 mAb(Ch119、マウスのVHおよびVLであるが、ヒトのγ1およびκ定常領域)は、T細胞増殖を増強することができなかった。
【
図28】FcR結合変異型ヒト化抗ヒトOX40 mAbクローン106-222(Hu222AA)およびキメラ抗ヒトOX40 mAbクローン106-222(Ch222)が、抗CD3刺激性のナイーブCD4
+ T細胞増殖を増強したことを示す。これらの抗体は、親のマウス抗ヒトOX40 mAb(マウス222)と比較して同様の刺激活性を有する。しかしながら、完全にヒト化された抗ヒトOX40 Ab、Hu222は、ヒトIgG1と比較してT細胞増殖を増強しなかった。
【
図29】
図29Aおよび29Bは、ヒト化およびマウス抗ヒトOX40 mAbクローン119-122がCD4
+ Treg抑制機能を阻止することを示す。
【
図30A】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+およびCD8
+ T細胞を増強することを示すデータを提供する。
【
図30B】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+およびCD8
+ T細胞を増強することを示すデータを提供する。
【
図30C】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+およびCD8
+ T細胞を増強することを示すデータを提供する。
【
図31】ヒト化およびマウス抗ヒトOX40抗体が、T細胞増殖を増強するために架橋を必要とすることを示す。
【
図32A】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+FOXP3
+ nTregの活性を阻止することを示す。
【
図32B】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+FOXP3
+ nTregの活性を阻止することを示す。
【
図32C】プレート結合抗体を用いて、抗ヒトOX40抗体がCD4
+FOXP3
+ nTregの活性を阻止することを示す。
【
図33】高濃度のマウス抗ヒトOX40抗体がFOXP3
+ Tregを優先的に死滅させることを示す。
【
図34】マウス抗ヒトOX40 mAbがT細胞またはnTregのいずれか一方に直接作用して、Tregの抑制機能を阻止することを示す。
【
図35】
図35A、35B、および35Cは、hOX40
+CD8
+ T細胞が養子移入されたマウスにおける抗hOX40 mAb腫瘍処置の結果を示す。抗ヒトOX40 mAbは、インビボにおいてT細胞の増殖および生存を促進する。治療的ワクチン接種レジメンを
図35Aに示す。代表的なインビボ生物発光像を
図35Bに示す。抗体腫瘍処置の結果を
図35Cに示す。
【
図36】106-222、ヒト化106-222(Hu106)、およびヒトアクセプターX61012(GenBankアクセッション番号)VH配列のアミノ酸配列のアライメントを示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。配列の上の数字は、Kabat et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interests, Fifth edition, NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, 1991)による位置を示す。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供され、位置番号は異なり得る。
図36では、106-222 VHにおいて、Kabat et al. (1991)によって定義されたCDR配列に下線を引いてある。X61012 VH中のCDR残基は、図中で省略してある。106-222 VHフレームワークと相同的なヒトVH配列をGenBankデータベース内で検索し、ヒトX61012 cDNAによってコードされるVH配列(X61012 VH)をヒト化のためのアクセプターとして選択した。最初に、106-222 VHのCDR配列をX61012 VHの対応する位置に移した。次に、106-222可変領域の三次元モデルからCDRとの顕著な接触が示唆されたフレームワーク位置において、マウス106-222 VHのアミノ酸残基を対応するヒト残基に対して置換した。これらの置換は、46位および94位(Hu106 VHにおいて下線を引いてある)で行った。加えて、潜在的な免疫原性を減少させるため、対応するV領域サブグループにおいて非典型的であることが見出されたヒトフレームワーク残基を最も典型的な残基で置換した。この置換は、105位(Hu106 VHにおいて二重下線を引いてある)で行った。
【
図37】106-222、ヒト化106-222(Hu106)、およびヒトアクセプターAJ388641(GenBankアクセッション番号)VL配列のアミノ酸配列のアライメントを示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。配列の上の数字は、Kabat et al. (1991)による位置を示す。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、位置番号は異なり得る。106-222 VHにおいて、Kabat et al. (1)によって定義されたCDR配列に下線を引いてある。AJ388641 VL中のCDR残基は、図中で省略してある。106-222 VLフレームワークと相同的なヒトVL配列をGenBankデータベース内で検索し、ヒトAJ388641 cDNAによってコードされるVL配列(AJ388641 VL)をヒト化のためのアクセプターとして選択した。106-222 VLのCDR配列をAJ388641 VLの対応する位置に移した。ヒト化型において、フレームワーク置換は行わなかった。
【
図38】SpeI部位およびHindIII部位(下線を引いてある)が隣接したHu106 VH遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供され、配列表中では位置番号は異なり得る。イントロン配列はイタリック体である。SpeIおよびHindIIIで消化したHu106 VH遺伝子断片を、
図23に示される発現ベクターの対応する部位の間にクローニングした。
【
図39】NheI部位およびEcoRI部位(下線を引いてある)が隣接したHu106-222 VL遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。NheIおよびEcoRIで消化したHu106 VL遺伝子断片を、
図23に示される発現ベクターの対応する部位の間にクローニングした。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、配列表中では位置番号は異なり得る。
【
図40】119-122、ヒト化119-222(Hu119)、およびヒトアクセプターZ14189(GenBankアクセッション番号)VH配列のアミノ酸配列のアライメントを示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。配列の上の数字は、Kabat et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interests, Fifth edition, NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, 1991)による位置を示す。119-122 VHにおいて、Kabat et al. (1991)によって定義されたCDR配列に下線を引いてある。Z14189 VH中のCDR残基は、図中で省略してある。119-122 VHフレームワークと相同的なヒトVH配列をGenBankデータベース内で検索し、ヒトZ14189 cDNAによってコードされるVH配列(Z14189 VH)をヒト化のためのアクセプターとして選択した。最初に、119-122 VHのCDR配列をZ14189 VHの対応する位置に移した。次に、119-122可変領域の三次元モデルからCDRとの顕著な接触が示唆されたフレームワーク位置において、マウス119-122 VHのアミノ酸残基を対応するヒト残基に対して置換した。これらの置換は、図に示されるとおり、26位、27位、28位、30位、および47位(Hu119 VH配列において下線を引いてある)で行った。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、配列表中では位置番号は異なり得る。
【
図41】119-122、ヒト化119-122(Hu119)、およびヒトアクセプターM29469(GenBankアクセッション番号)VL配列のアミノ酸配列のアライメントを示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。配列の上の数字は、Kabat et al. (1991)による位置を示す。119-122 VLにおいて、Kabat et al. (1)によって定義されたCDR配列に下線を引いてある。M29469 VL中のCDR残基は、配列中で省略してある。119-122 VLフレームワークと相同的なヒトVL配列をGenBankデータベース内で検索し、ヒトM29469 cDNAによってコードされるVL配列(M29469 VL)をヒト化のためのアクセプターとして選択した。119-122 VLのCDR配列をM29469 VLの対応する位置に移した。ヒト化型において、フレームワーク置換は必要なかった。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、配列表中では位置番号は異なり得る。
【
図42】SpeI部位およびHindIII部位(下線を引いてある)が隣接したHu119 VH遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。SpeIおよびHindIIIで消化したHu119 VH遺伝子断片を、
図23に示される発現ベクターの対応する部位の間にクローニングした。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、配列表中では位置番号は異なり得る。
【
図43】NheI部位およびEcoRI部位(下線を引いてある)が隣接したHu119 VL遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(E)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。NheIおよびEcoRIで消化したHu119 VL遺伝子断片を、
図23に示される発現ベクターの対応する部位の間にクローニングした。本明細書において主張される配列と同じ配列は配列表中にも提供されるが、配列表中では位置番号は異なり得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0024】
抗体の「抗原結合部分」(または「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、hOX40)に特異的に結合する能力を保持する抗体の断片を含む。抗体の抗原結合機能が全長抗体の断片によって遂行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i) VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii) ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab')
2断片;(iii) VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv) 抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片、(v) VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);ならびに(vi) 単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別個の遺伝子によってコードされているものの、組換え法を用いて、それらをVL領域とVH領域が対形成して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖とすることのできる合成リンカーにより、それらを結合することができる(一本鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。このような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図される。ダイアボディなどの、一本鎖抗体の他の形態もまた包含される。ダイアボディとは、VHドメインおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上に発現するが、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、そのドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させて、2つの抗原結合部位を創出する二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger, P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448;Poljak, R. J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123を参照されたい)。その上さらに、抗体またはその抗原結合部分は、抗体または抗体部分と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合によって形成された、より大きな免疫接着分子の一部であってよい。そのような免疫接着分子の例には、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1994) Mol. Immunol. 31:1047-1058)が含まれる。Fab断片およびF(ab')
2断片などの抗体部分は、全抗体のそれぞれパパインまたはペプシン消化などの従来技法を用いて、全抗体から調製することができる。さらに、抗体、抗体部分、および免疫接着分子は、本明細書に記載される標準的な組換えDNA技法を用いて得ることができる。好ましい抗原結合部分は、完全なドメインまたは完全なドメインの対である。
【0025】
OX40/OX40リガンド (OX40受容体)/(OX40L)とは、T細胞の増殖、生存、サイトカイン産生、およびメモリー細胞生成に重要な一対の共刺激分子である。初期のインビトロ実験から、CD4
+ T細胞上のOX40を介したシグナル伝達はTH2発生を引き起こすが、TH1発生は引き起こさないことが実証された。これらの結果は、OX40/OX40L相互作用を阻止すると、TH2媒介性のアレルギー性免疫応答の誘導および維持が妨げられたことを示すインビボ研究によって支持された。しかしながら、OX40/OX40L相互作用の阻止は、TH1媒介性疾患を改善するかまたは防ぐ。さらに、可溶性OX40Lの投与、またはOX40Lの腫瘍への遺伝子導入は、マウスにおいて抗腫瘍免疫を強く高めることが示された。最近の研究から、OX40/OX40Lが、CD8 T細胞媒介性免疫応答を促進する役割を果たし得ることもまた示唆される。本明細書において考察されるとおり、OX40シグナル伝達は、CD4
+CD25
+天然調節性T細胞の阻害機能を阻止し、OX40/OX40L対は、末梢の寛容と免疫の包括的な調節において重要な役割を果たす。
【0026】
「Kabatの番号付け」、「Kabatの定義」、および「Kabatのラベル付け」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。当技術分野で認識されるこれらの用語は、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域中の他のアミノ酸残基よりもより可変的(すなわち、超可変的)であるアミノ酸残基を番号付けるシステムを指す(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad, Sci. 190:382-391、およびKabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。
【0027】
「組換えヒト抗体」という語句は、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor, L. D., et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295を参照されたい)、または他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されたヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する(Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい)。
【0028】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を含む(例えば、hOX40と特異的に結合する単離された抗体は、hOX40以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。hOX40と特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのOX40分子と結合してもよい。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含み得ない。
【0029】
「活性」という用語は、抗原に対する抗体の、例えばOX40抗原に結合する抗ヒトOX40抗体の結合特異性/親和性、および/または、抗体、例えば、hOX40受容体へのその結合がhOX40の生物活性を活性化する抗OX40抗体の活性化能、もしくはヒトL/OX40細胞アッセイ法における受容体結合の活性化などの活性を含む。
【0030】
本明細書で用いられる「K
off」という用語は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての解離速度定数を指すことが意図される。本明細書で用いられる「K
d」という用語は、特定の抗体抗原相互作用の解離定数を指すことが意図される。
【0031】
「表面プラズモン共鳴」という語句は、例えばBIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala, Sweden およびPiscataway, N.J.)を用いて、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイムの生体特異的相互作用の解析を可能にする光学現象を含む。さらなる説明については、実施例V、ならびにJonsson, U., et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51:19-26;Jonsson, U., et al. (1991) Biotechniques 11:620-627;Johnsson, B., et al. (1995) J. Mol. Recognit. 8:125-131;およびJohnnson, B., et al. (1991) Anal. Biochem. 198:268-277を参照されたい。
【0032】
「ベクター」という用語は、核酸分子に連結されている別の核酸を輸送することができる該核酸分子を含む。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは、その中に付加的なDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、この場合、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノム中に連結され得る。ある種のベクターは、それらが導入された宿主細胞内で自律的複製ができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中に導入されると宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、これにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」(または単に、「発現ベクター」)と称される。一般に、組み換えDNA技法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。プラスミドは最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用され得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターの他の形態を含むことが意図される。
【0033】
「組換え宿主細胞」(または単に、「宿主細胞」)という語句は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を含む。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫も指すよう意図されることが理解されるべきである。突然変異または環境の影響のいずれかに起因して、続く世代ではある種の修飾が起こり得るため、このような子孫は実際には親細胞と同一ではない可能性があるが、それでもやはり本明細書で用いられる「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
【0034】
「モノクローナル抗体」(モノクローナル抗体)という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体または同抗体の集団を指し、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とするとは解釈されず、これには、モノクローナル抗体が、Kohler and Milstein (Nature, 256: 495-497, 1975)によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって、または組換えDNA法によって作製され得ることが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
「キメラ抗体」(または「キメラ免疫グロブリン」)という用語は、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的であるが、その鎖の残りの部分は別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である重鎖および/または軽鎖を含む分子、ならびに所望の生物活性を示す限り、このような抗体の断片を指す(Cabilly et al. (1984)、下記;Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:6851)。
【0036】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体およびヒト抗体からの配列を含む抗体の形態を指す。ヒト化抗体は、その結合および/または生物活性を有意に変化させない、同一種または異なる種からの保存的アミノ酸置換または非天然残基を含み得る。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特性を有するマウス、ラット、ラクダ、ウシ、ヤギ、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列中にも見られない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに精緻化し、最大化するために行われる。したがって、一般的には、ヒト化抗体は、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、および1つの局面においては2つの可変ドメインのすべてまたは実質的にすべてを含む。ヒト化抗体は任意にまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)またはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部を含む(例えば、Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、欧州特許第0,125,023 B1号;Boss et al.、米国特許第4,816,397号;Boss et al.、欧州特許第0,120,694 B1号;Neuberger, M. S. et al.、WO 86/01533;Neuberger, M. S. et al.、欧州特許第0,194,276 B1号;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400 B1号;Padlan, E. A. et al.、欧州特許出願第0,519,596 A1号;Queen et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol 86:10029-10033を参照されたい)。
【0037】
本明細書において記載および主張される抗体はそれぞれ、単数形または複数形で、「抗OX40抗体」;「抗hOX40抗体」;「抗hOX40モノクローナル抗体」;「抗ヒトOX40抗体」;「抗ヒトOX40 mAb」;「抗hOX40 mAb」「hOX40特異的モノクローナル抗体」;「抗OX40L抗体」;「抗hOX40L抗体」;「抗ヒトOX40L抗体」;「ヒトOX40特異的抗体」;「ヒトOX40特異的モノクローナル抗体」;「ヒトOX40特異的抗体」;「抗ヒトOX40特異的抗体」;「抗ヒトOX40特異的モノクローナル抗体」;「h-OX40特異的抗体」;「h-OX40特異的モノクローナル抗体」;「hOX40アゴニスト抗体」;「hOX40アンタゴニスト」および/またはそれらの他の類似の変化形、と称され得る。
【0038】
参照により本明細書に組み入れられる、「Methods to Treat Disease States by Influencing the Signaling of OX-40-Receptors and High Throughput Screening Methods and Identifying Substrates Thereof」という表題の米国特許出願第11/659,266号に開示されているとおり、OX40Lの機能が、免疫抑制剤Dexおよびvit D3、ICOSL、または未熟DCによって誘導されるTr1細胞の生成の負の調節であることが発見された。この発見により、OX40Lが免疫を高め、免疫寛容を破壊する一般的機構が実証される。
【0039】
免疫組織学的解析(
図1)、細胞内染色(
図2)、および細胞選別(
図3)を用いて、本発明者らは、ICOS
+ IL-10産生TregおよびICOS- TGF-β産生Tregの両方がヒトFL組織に浸潤したことを示した。FL由来のこれらFOXP3
+ Tregは、CD40
-リガンドで前もって活性化された自己リンパ腫細胞に応答したFOXP3
-CD4
+CD25
-腫瘍浸潤T細胞の増殖を強く阻害し得る(
図4)。ICOS
+ Tregの抑制活性は、中和抗IL-10抗体によって部分的に阻止され得、FLにおけるICOS
+ IL-10産生Tregの役割が確認された(
図4)。
図2の実験において、腫瘍細胞およびPBMCは、治療前の初期診断された7名の患者から採取した。PBMCは、比較のために7名の健常ドナーからも採取した。全CD4
+ T細胞に対する調節性T細胞の割合は、CD4
+CD25
+CD127
lowFOXP3
+ Tregのフローサイトメトリー解析により決定した。
図2AはTregの代表的なFACS解析を提供し、
図2Bは全ドナーのTregの割合を示す。
【0040】
OX40Lが、Dexおよびvit D3によって誘導されるCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することもまた見出された。免疫抑制薬Dexとvit D3の併用が、ナイーブCD4
+ T細胞のTr1細胞への分化を一貫して誘導することが知られている。OX40Lが、Tr1細胞の生成および機能を阻害し得るかどうかを調べるため、ナイーブCD4
+ T細胞を、(1) Tr1(Dexおよびvit D3);(2) TH1(IL-12);(3) TH2(IL-4);または(4) 中間(培地単独)を含む4つの異なる培養条件において、OX40LをトランスフェクトしたL細胞の存在下または非存在下で、抗CD3モノクローナル抗体+抗CD28モノクローナル抗体と共に7日間培養した(
図5A)。刺激されたT細胞によるIL-10産生を、細胞内サイトカイン染色およびELISAによって解析した。
【0041】
図5Aの実験では、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。ナイーブCD4
+ T細胞を、表示の組換えサイトカインまたは試薬を伴い、親L細胞上またはOX40L-L細胞上で、IL-2の存在下で、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体と共に7日間培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40Lが、異なる極性化シグナルによって誘導されるナイーブCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
図5Aに示されるとおり、中間またはTH1またはTH2条件で培養したナイーブCD4
+ T細胞からは、2%〜4%のTr1細胞が生成された。Dex+vit D3との培養では、15%を超えるTr1細胞が生成された。OX40Lを添加すると、すべての培養条件においてTNF-α産生T細胞の生成は促進されるものの、Tr1細胞の生成は完全に阻止された。
【0042】
これらのデータは、ELISAデータ(
図5B)によって確認された、
図5Bの実験では、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中のナイーブCD4
+細胞によるサイトカイン産生を、ELISAによって測定した。ナイーブCD4
+ T細胞を、表示の組換えサイトカインまたは試薬を伴い、親L細胞上またはOX40L-L細胞上で、IL-2の存在下で、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体と共に7日間培養した。データは、4回の独立した実験の平均値±平均値の標準誤差(SEM)として示す。この結果から、OX40Lが、異なる極性化シグナルによって誘導されるナイーブCD4
+ T細胞からのTr1細胞の産生を阻害することが示される。
【0043】
Tr1条件(Dex+vit D3)で刺激されたナイーブCD4
+ T細胞はアネルギー性であり、抗CD3モノクローナル抗体+抗CD28モノクローナル抗体に応答したナイーブCD4
+ T細胞の増殖を抑制する能力を有した(
図5C)。
図5Cの実験では、T細胞における抑制機能を[
3H]チミジン取り込みによって測定した。表示のT細胞集団の混合物を、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体により再刺激した。誤差のバーは、3通りのウェルのSEMを示す。OX40Lの存在下で同じTr1条件で刺激されたナイーブCD4
+ T細胞は活発に増殖し、抗CD3モノクローナル抗体+抗CD28モノクローナル抗体に応答したナイーブCD4
+ T細胞の増殖を阻害することができないことが見出された。このデータから、OX40Lが、Dexおよびvit D3によって誘導されるナイーブCD4
+ T細胞からの機能的Tr1細胞の生成を阻止することが示唆される。
【0044】
Tr1細胞が、メモリーCD4
+CD45RA
-CD45RO
+ T細胞から生成され得ること、およびOX40LがメモリーCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害し得ることが見出された。メモリーCD4
+CD45RA
-CD45RO
+ T細胞を、Tr1条件(Dex+vit D3)において、OX40LをトランスフェクトしたL細胞の存在下または非存在下で、抗CD3モノクローナル抗体+抗CD28モノクローナル抗体と共に7日間培養した。
図6Aの実験では、CD4
+メモリーT細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。メモリーCD4
+CD45RO
+CD25
-メモリーT細胞を、Dex+vit D3の存在下または非存在下において、親L細胞上またはOX40L-L細胞上で、抗CD3モノクローナル抗体、抗CD28モノクローナル抗体、およびIL-2と共に7日間培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40Lが、Dex+vit D3を含む条件下におけるメモリーCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
図6Aは、Dex+vit D3との培養において、多数のTr1細胞(>20%)がCD4
+メモリーT細胞から生成されたことを示す。OX40Lを添加すると、Tr1細胞の生成は完全に阻止され、メモリーCD4
+ T細胞からのTNF-α産生細胞の生成は促進された。
【0045】
Dex+vit D3がメモリーCD4
+ T細胞からのIL-10産生を促進する能力、およびこの能力がOX40Lによって阻害され得ることが、IL-10 ELISA解析(
図6B)によって確認された。
図6Bの実験では、メモリーCD4
+ T細胞によるIL-10産生を、ELISAによって、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中で測定した。データは、4回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。この結果から、OX40Lが、Dex+vit D3を含む条件下におけるメモリーCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0046】
OX40LがTr1細胞の生成を阻害する一方で、他のTNFファミリーメンバー(GITRLおよび4-1BBL)は阻害しないこともさらに見出された。TNFスーパーファミリーの中で、OX40L、グルココルチコイド誘導性TNF受容体リガンド(GITRL)、および4-1BBリガンド(4-1BBL)は、T細胞に対する共刺激機能を有する。OX40LがTr1細胞の阻害において特有であるのかどうかを調べるため、ナイーブCD4
+ T細胞を、親L細胞、またはOX40L、GITRL、もしくは4-1BBLをトランスフェクトしたL細胞を伴い、Dex+vit D3を含めて抗CD3モノクローナル抗体+抗CD28モノクローナル抗体と共に7日間培養した。OX40L、GITRL、および4-1BBLはすべてTNF-α産生細胞の生成を促進したが、OX40LのみがTr 1細胞の生成を阻害した(
図7Aおよび7B)。
【0047】
図7Aの実験では、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。ナイーブCD4
+ T細胞を、Dex+vit D3の存在下で、親L細胞上、OX40L-L細胞上、GITRL-L細胞上、または4-1BBL-L細胞上で、抗CD3モノクローナル抗体、抗CD28モノクローナル抗体、およびIL-2と共に7日間培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40LはTr1細胞の生成を阻害するが、GITRLも4-1BBLもこれを阻害しないことが示される。
【0048】
図7Bの実験では、ナイーブCD4
+細胞によるIL-10を、ELISAによって、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中で測定した。データは、4回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。この結果から、OX40LはTr1細胞の生成を阻害するが、GITRLも4-1BBLもこれを阻害しないことが示される。
【0049】
OX40L、GITRL、および4-1BBLはすべて、全T細胞数の増大を促進した(
図7C)。
図7Cの実験では、生存T細胞の数を計数した。データは、4回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。
【0050】
当業者によって理解されるとおり、
図7A、7B、および7Cの結果から、OX40LはTr1細胞の生成を阻害するが、GITRLも4-1BBLもこれを阻害しないことが示される。これらのデータから、T細胞を同時刺激することが知られているTNFスーパーファミリーの3つのメンバーの中で、OX40Lが、Tr1細胞の生成を阻害する新規でかつ特有の機能を有することが示唆される。
【0051】
OX40Lが、ICOSLまたは未熟DCによって誘導されるTr1細胞の生成を阻害することもさらに見出された。ICOSおよびCD28は、T細胞上に発現するCD28ファミリーの中の2つの正の共刺激受容体である。アゴニスト抗体またはICOSLによるICOSを介したシグナル伝達は、IL-10を産生するようCD4
+ T細胞を促進することが示されている。OX40Lが、CD4
+ T細胞によるIL-10産生を誘導するICOSの能力を阻害し得るかどうかを調べるため、ナイーブおよびメモリーCD4
+ T細胞を、ICOSLをトランスフェクトしたL細胞、またはOX40Lの存在下におけるICOSLをトランスフェクトしたL細胞の存在下で、抗CD3と共に7日間培養した。
【0052】
図8Aの実験では、ナイーブCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。ナイーブCD4
+ T細胞を、抗CD3モノクローナル抗体で前もってコーティングされた親L細胞、ICOSL-L細胞とL細胞の混合物、またはICOSL-L細胞とOX40L-L細胞の混合物上で7日間培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40Lが、ICOSLによって誘導されるナイーブCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0053】
図8Bの実験では、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中のナイーブCD4
+細胞によるIL-10産生を、ELISAによって測定した。ナイーブCD4
+ T細胞を、抗CD3モノクローナル抗体で前もってコーティングされた親L細胞、ICOSL-L細胞とL細胞の混合物、またはICOSL-L細胞とOX40L-L細胞の混合物上で7日間培養した。データは、3回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。この結果から、OX40Lが、ICOSLによって誘導されるナイーブCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0054】
図8Cの実験では、メモリーCD4
+ T細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。メモリーCD4
+ T細胞を、抗CD3モノクローナル抗体で前もってコーティングされた親L細胞、ICOSL-L細胞とL細胞の混合物、またはICOSL-L細胞とOX40L-L細胞の混合物上で7日間培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40Lが、ICOSLによって誘導されるメモリーCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0055】
図8Dの実験では、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中のメモリーCD4
+ T細胞によるIL-10産生を、ELISAによって測定した。メモリーCD4
+ T細胞を、抗CD3モノクローナル抗体で前もってコーティングされた親L細胞、ICOSL-L細胞とL細胞の混合物、またはICOSL-L細胞とOX40L-L細胞の混合物上で7日間培養した。データは、3回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。この結果から、OX40Lが、ICOSLによって誘導されるメモリーCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0056】
図8A、8B、8C、および8Dの実験の結果から、ICOSLがナイーブおよびメモリーCD4
+ T細胞の両方からのTr1細胞の生成を有意に促進したことが示される。OX40Lを添加すると、TNF-αを産生する細胞の生成は強く促進されるものの、ナイーブおよびメモリーCD4
+ T細胞の両方からのTr1細胞の生成は完全に阻害された。
【0057】
未熟DC、またはIFN-αもしくはIL-10で処理したDCが、Tr1細胞に分化するようナイーブCD4
+ T細胞を誘導し得ることが知られている。OX40Lが、DCによって誘導されるTr1細胞の生成を阻害し得るかどうかを調べた。
図8Eに示されるとおり、未熟DC、またはIL-10もしくはIFN-αで処理したDCはすべて、ナイーブCD4
+ T細胞からのTr1細胞の10%を超える生成を誘導した。対照的に、CD40Lによって活性化されたDCは、約3%のTr1細胞の生成を伴って、強力なTH1応答を誘導する。DC-T細胞培養物中に組換えOX40Lを添加すると、未熟DC、ならびにIL-10およびIFN-αで処理したDCによって誘導されるTr1細胞の生成は完全に阻害された。加えて、OX40Lはまた、CD40Lにより活性化された成熟DCによって誘導される残りのTr1細胞数の生成も阻害した。
図8Eの実験では、CD4
+ナイーブT細胞によるサイトカイン産生の細胞内解析をフローサイトメトリーによって行った。ナイーブCD4
+ T細胞を、未熟DC、またはIFN-α、IL-10、およびCD40Lと共に培養したDCと共に、可溶性組換えOX40Lの存在下または非存在下で7日間共培養した。各サイトカイン産生T細胞の割合を、各ドットブロットプロファイル中に示す。この結果から、OX40Lが、DCによって誘導されるCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。
【0058】
OX40Lが、DCによって誘導されるTr1細胞の生成を阻害する能力が、ELISAデータ(
図8F)によって確認された。
図8Fの実験では、ナイーブCD4
+細胞によるIL-10産生を、ELISAによって、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体による24時間の再刺激後の上清中で測定した。ナイーブCD4
+ T細胞を、未熟DC、またはIFN-α、IL-10、およびCD40Lと共に培養したDCと共に、可溶性組換えOX40Lの存在下または非存在下で7日間共培養した。データは、3回の独立した実験の平均値±SEMとして示す。この結果から、OX40Lが、DCによって誘導されるCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害することが示される。したがって、これらのデータから、OX40Lが、ICOSLおよびDCにより提供されるさらなる生理的シグナルによって誘導されるTr1細胞の生成を阻害し得ることが実証される。
【0059】
調節性T細胞がB細胞非ホジキンリンパ腫の領域において高度に示されること、およびB細胞がリンパ腫の領域へ調節性T細胞を動員するのに関与していることが、以前に示唆された。OX40Lによるなど、OX40受容体のシグナル伝達に影響を及ぼすことで、B細胞リンパ腫に対する治療法を提供することができるかどうかを調べた。B細胞リンパ腫患者からの凍結保存試料を用いて、Tr1細胞を停止させるOX40Lの能力を推定した。使用した試料は、任意の治療前の脾臓標本から得られた濾胞性リンパ腫であった、細胞を融解したところ、400×10
6個の凍結細胞から127×10
6個の生細胞および33.9×10
6個の死細胞が得られた(生存度79%)。FACS染色により、十分な数のCD25
+細胞を同定した。
図9の実験では、ICOS
+ IL-10産生TregのIL-10分泌をELISAによって決定した。Tregを2つの異なる条件下で培養した。条件1では、CD25
+/ICOS
+細胞を、抗ICOS抗体を伴い、親L細胞上またはOX40L-L細胞上で、IL-2(900μl/ml)の存在下で、抗CD3と共に3〜6日間培養した。条件2では、CD25
+/ICOS
+細胞を、ICOS-L-L細胞、またはOX40L-L細胞とICOS-L-L細胞の混合物上で、IL-2(900μl/ml)の存在下で、抗CD3と共に3〜6日間培養した。上清中のサイトカイン産生をELISAにより測定した。この結果から、OX40LがTreg細胞によるIL-10産生を大幅に阻害したことが示される。
【0060】
OX40Lが、免疫抑制薬Dex+vit D3、ICOSL、またはDCによって誘導されるTr1細胞の生成および機能を阻害する能力を有するという知見は、当業者によって理解されるとおり、OX40Lが、CD4またはCD8媒介性免疫応答という異なる形態において免疫を促進し、寛容を破壊する新規機構を浮き彫りにする。OX40Lが、IL-12誘導性のTH1応答またはIL-4誘導性のTH2応答の両方においてTr1細胞の生成を阻害する能力によって、OX40Lが、TH1またはTh2媒介性免疫応答の大きさを制御し得ることが示唆される。さらに、2つの他のTNFファミリーメンバーであるGITRLおよび4-1BBLはこの機能的特性をもたないため、OX40LがTr1細胞の生成を阻害する能力は、OX40Lの特有の特性であるようである。さらに、OX40LがTreg細胞によるIL-10産生を阻害する能力により、OX40LはB細胞リンパ腫およびその他の癌の強力な治療法として見なされる。
【0061】
Tr1細胞の生成を促進する多くの分子が同定されており、これにはIL-10、IFN-α、ICOSL、およびDex+vit D3などの免疫抑制化合物が含まれる。OX40Lは、ナイーブCD4
+ T細胞からのみならず、メモリーCD4
+ T細胞および調節性T細胞からのTr1細胞の生成の強力な阻害物質である。OX40/OX40Lのこの新規な特性は、OX40シグナル伝達によって、アネルギー性自己反応性T細胞がエフェクター細胞機能を獲得できるようになることを示す最近の報告を説明し得る。したがって、OX40/OX40Lの標的化は、ヒトのアレルギー性疾患および自己免疫疾患の治療法に加えて、ヒトの感染症、ならびに黒色腫、脳癌、骨癌、白血病、リンパ腫、基底細胞癌などの上皮細胞由来新生物(上皮癌)、腺癌、例えば口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、および胃癌などの消化管癌、結腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、ならびに扁平上皮癌および基底細胞癌などの皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌、ならびに他の公知の癌を含むがこれらに限定されない癌の治療法の開発を提供する。
【0062】
本明細書に記載される抗体および方法によって予防または治療され得る障害または病態には、皮膚T細胞白血病、頭頸部腫瘍、膵癌、膀胱癌、高悪性度神経膠腫、脳転移、黒色腫、皮膚癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、白血病、骨髄異形成症候群(前白血病状態)、および多発性骨髄腫などの癌の予防または治療が含まれる。一般に、いかなる癌の転移も、本明細書に記載される化合物および方法で予防または治療することができる。抗体はまた、毛細血管拡張症、静脈性血管腫、血管芽細胞腫を含む増殖性の血管新生病態を予防または治療するために使用することもできる。その他の障害、疾患、または病態にはウイルス性疾患が含まれ、そのうちのいくつかは伝統的に「治療不可能である」と見なされ得る。例えば抗体を用いて、単一病原体の株を分類することもできる。研究者は、本明細書に記載される抗体を用いて、生物体内の特定の細胞または分子を同定すること、および追跡することができる。
【0063】
一般に、「癌」および「癌性」という用語は、典型的に制御されない細胞成長が特徴である、哺乳動物における生理的状態を指すまたは表す。より具体的には、本明細書に記載される抗体またはその変種のいずれか1つまたは複数を用いて治療または予防され得る癌には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が含まれるが、これらに限定されない。このような癌のより詳細な例には、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌および消化管間質癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節性黒色腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL) NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連した異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍と関連するものなど)、およびメイグス症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
免疫障害を治療または予防するための方法もまた、本明細書において提供する。これらの方法は、このような治療を必要とする対象に抗体の有効量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、免疫障害は免疫障害または自己免疫障害である。障害は、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、GVHD、および/または全身性エリテマトーデスである。いくつかの態様において、障害は、ウイルス、細菌、またはその他の感染病原体と関連した疾患である。
【0065】
さらに、変形性関節症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、ならびにループスおよび混合性自己免疫疾患のような自己免疫疾患などの炎症性疾患および炎症状態を予防または治療するために、本明細書に記載される抗体および方法を使用することもできる。例えば、本明細書に記載される抗体は、それを必要とする対象に抗体の治療上有効な量を投与する段階を含んで、様々な自己免疫疾患および炎症性疾患を治療するのに有用であると考えられ、自己免疫疾患または炎症性疾患は、以下の疾患のうちのいずれか1つまたは複数である:インスリン依存型糖尿病(IDDM)、糖尿病、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、関節炎、関節リウマチ、実験的自己免疫性関節炎、重症筋無力症、甲状腺炎、橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、早発閉経、男性不妊症、若年性糖尿病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、水晶体起因性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、突発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎 Hb
s-ve、特発性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性/皮膚筋炎、円板状LE、全身性エリテマトーデス、クローン病、乾癬、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、特発性血小板減少性紫斑病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、ORd甲状腺炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑症、外陰部痛、炎症性皮膚疾患、アレルギー性接触皮膚炎、ピロリ菌(H. pylory)胃炎、慢性の鼻の炎症性疾患、動脈硬化症、および移植片対宿主病。
【0066】
より具体的には、本明細書において言及する「自己免疫疾患」とは、個体自身の組織もしくは器官または同時分離物から生じこれらに向けられた疾患または障害、またはそれらの症状発現、またはそれらから生じる状態である。自己免疫疾患は、正常な体組織および抗原と反応する抗体のB細胞による産生によって生じるか、またはこれによって悪化する状態を指し得る。また、自己免疫疾患とは、自己抗原(例えば、核抗原)由来のエピトープに特異的な自己抗体の分泌を含み得るものである。
【0067】
本明細書に記載される抗体のいずれか1つまたは複数によって治療可能および/または予防可能である自己免疫疾患または障害には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関節炎(関節リウマチ、例えば、急性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風または痛風関節炎、急性痛風関節炎、急性免疫性関節炎、慢性炎症性関節炎、変形性関節炎、II型コラーゲン誘発関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スティル病、脊椎関節炎、および若年発症関節リウマチ、変形性関節症、進行性慢性関節炎(arthritis chronica progrediente)、変形関節炎、原発性慢性多発性関節炎(polyarthritis chronica primaria)、反応性関節炎、ならびに強直性脊椎炎)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、および爪の乾癬、アトピー、例えば、アトピー性疾患、例えば、枯草熱およびヨブ症候群、皮膚炎、例えば、接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異的皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎、x連鎖性高IgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、蕁麻疹、例えば、慢性アレルギー性蕁麻疹および慢性特発性蕁麻疹、例えば、慢性自己免疫性蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮壊死症、強皮症(全身性強皮症を含む)、硬化症、例えば、全身性硬化症、多発性硬化症(MS)、例えば、脊髄-眼(spino-optical)MS、原発性進行性MS(PPMS)、および再発寛解型MS(RRMS)、進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、播種性硬化症、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫媒介性胃腸疾患、大腸炎、例えば、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、ポリープ性大腸炎、壊死性全腸炎、および貫壁性大腸炎、ならびに自己免疫性炎症性腸疾患)、腸炎、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、呼吸窮迫症候群、例えば、成人または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、ブドウ膜の全体または一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液障害、リウマチ性脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎におけるような脳神経損傷、妊娠性疱疹、妊娠性類天疱瘡、陰嚢掻痒症(pruritis scroti)、自己免疫性早期卵巣機能不全、自己免疫状態に起因する突発性難聴、IgE媒介性疾患、例えば、アナフィラキシーならびにアレルギー性およびアトピー性鼻炎、脳炎、例えば、ラスムッセン脳炎ならびに辺縁系および/または脳幹脳炎、ぶどう膜炎、例えば、前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、または自己免疫性ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群を有するまたは有さない糸球体腎炎(GN)、例えば、慢性または急性糸球体腎炎、例えば、原発性GN、免疫媒介性GN、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GNまたは特発性膜性腎症、I型およびII型を含む膜または膜性増殖性GN(MPGN)、ならびに急速進行性GN、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、亀頭炎、例えば、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前悪性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー状態および応答、アレルギー反応、湿疹、例えば、アレルギー性またはアトピー性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、汗疱状湿疹、および水疱性掌蹠湿疹(vesicular palmoplantar eczema)、喘息、例えば、気管支喘息(asthma bronchiale)、気管支喘息(bronchial asthma)、および自己免疫性喘息、T細胞の浸潤を伴う状態および慢性炎症反応、妊娠中の胎児A-B-O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、ループス、例えば、ループス腎炎、ループス脳炎、小児ループス、非腎性ループス、腎外ループス、円板状ループスおよび円板状エリテマトーデス、脱毛症ループス、全身性エリテマトーデス(SLE)、例えば、皮膚SLEまたは亜急性皮膚SLE、新生児ループス症候群(NEL)、ならびに播種性紅斑性狼瘡、若年発症(I型)糖尿病、例えば、小児インスリン依存性糖尿病(IDDM)、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性大動脈障害、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅延型過敏症と関連する免疫応答、結核、サルコイドーシス、肉芽腫症、例えば、リンパ腫様肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、無顆粒球症、脈管炎、例えば、血管炎、大血管血管炎(リウマチ性多発性筋痛および巨細胞性(高安)動脈炎を含む)、中型血管血管炎(川崎病および結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発動脈炎、免疫血管炎、CNS血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、壊死性血管炎、例えば、全身性壊死性血管炎、ならびにANCA関連血管炎、例えば、チャーグ・ストラウス血管炎または症候群(CSS)およびANCA関連小血管血管炎、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームス陽性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、溶血性貧血または免疫性溶血性貧血、例えば、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血(pernicious anemia)(悪性貧血(anemia perniciosa))、アジソン病、真正赤血球性貧血または形成不全(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出を伴う疾患、CNS炎症性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、多臓器損傷症候群、例えば、敗血症、外傷、または出血に続発するもの、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡、例えば、水疱性類天疱瘡および皮膚類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、天疱瘡粘膜類天疱瘡(pemphigus mucus-membrane pemphigoid)、および紅斑性天疱瘡を含む)、自己免疫性多発性内分泌障害、ライター病または症候群、熱傷、子癇前症、免疫複合体障害、例えば、免疫複合体腎炎、抗体媒介性腎炎、多発ニューロパチー、慢性神経障害、例えば、IgM多発ニューロパチーまたはIgM媒介性神経障害、血小板減少症(例えば、心筋梗塞患者が発症するような)、例えば、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン起因性血小板減少症、および自己免疫性または免疫媒介性血小板減少症、例えば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、例えば、慢性または急性ITP、強膜炎、例えば、特発性角強膜炎、上強膜炎、精巣および卵巣の自己免疫疾患、例えば、自己免疫性精巣炎および卵巣炎、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性内分泌疾患、例えば、甲状腺炎、例えば、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、または亜急性甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、多腺性症候群、例えば、自己免疫性多腺性症候群(または多腺性内分泌障害症候群)、腫瘍随伴症候群、例えば、神経性腫瘍随伴症候群、例えば、ランバート・イートン筋無力症症候群またはイートン・ランバート症候群、スティッフマンまたはスティッフパーソン症候群、脳脊髄炎、例えば、アレルギー性脳脊髄炎(allergic encephalomyelitis)またはアレルギー性脳脊髄炎(encephalomyelitis allrgica)および実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、重症筋無力症、例えば、胸腺腫関連重症筋無力症、小脳変性症、神経性筋強直症、眼球クローヌスまたは眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、および感覚性ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎または自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ球性間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギランバレー症候群、ベルガー病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性熱性好中球性皮膚症、角層下膿疱性皮膚症、一過性棘融解性皮膚症、肝硬変、例えば、原発性胆汁性肝硬変および肺硬変、自己免疫性腸疾患症候群、セリアック(Celiac)またはセリアック(Coeliac)病、セリアックスプルー(グルテン性腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリック病)、冠動脈疾患、自己免疫性耳疾患、例えば、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性難聴、多発性軟骨炎、例えば、難治性または再発または再発性多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、コーガン症候群/非梅毒性角膜実質炎、ベル麻痺、スウィート病/症候群、酒さ性自己免疫、帯状疱疹関連疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増加症、原発性リンパ球増加症、例えば、単クローン性B細胞リンパ球増加症(例えば、良性単クローン性γグロブリン血症および意義不明の単クローン性γグロブリン血症、MGUS)、末梢神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネル病、例えば、てんかん、片頭痛、不整脈、筋障害、聴覚消失、視覚消失、周期性四肢麻痺、およびCNSのチャネル病、自閉症、炎症性ミオパチー、巣状もしくは分節状または巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝臓病学的障害、線維筋痛症、多発性内分泌不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮症、初老期認認知症、脱髄疾患、例えば、自己免疫性脱髄疾患および慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、ドレスラー症候群、円形脱毛症、全脱毛症、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、強指症、および毛細血管拡張症)、例えば抗精子抗体に起因する男性および女性の自己免疫性不妊症、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復流産、農夫肺、多形性紅斑、開心術後症候群、クッシング症候群、鳥愛好者肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、肺胞炎、例えば、アレルギー性肺胞炎および線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、寄生虫病、例えば、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、例えば、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、虹彩毛様体炎(急性または慢性)、またはフックス毛様体炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、SCID、後天性免疫不全症候群(エイズ)、エコーウイルス感染症、セプシス、内毒素血症、膵炎、甲状腺中毒症、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染症、予防接種後症候群、先天性風疹感染症、エプスタイン・バーウイルス感染症、流行性耳下腺炎、エヴァンス症候群、自己免疫性性腺機能不全、シデナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎、甲状腺中毒症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞性多発筋痛、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性腎炎症候群、微小変化型ネフローゼ、良性家族性および虚血再灌流障害、移植臓器再灌流、網膜自己免疫、関節炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、珪肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化性障害、精子形成欠如(asperniogenese)、自己免疫性溶血、ベック病、クリオグロブリン血症、デュプュイトラン拘縮、水晶体過敏性眼内炎、アレルギー性腸炎、癩性結節性紅斑、特発性顔面神経麻痺、慢性疲症候群、リウマチ性熱、ハンマン・リッチ病、感音難聴、発作
性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、限局性回腸炎、白血球減少症、伝染性単核球症、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感性眼炎、肉芽腫性精巣炎、膵炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ケルバン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮、非悪性胸腺腫、白斑症、毒素性ショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う状態、白血球接着不全症、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅発型過敏症と関連する免疫応答、白血球漏出を伴う疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多内分泌不全、多腺性自己免疫症候群I型、成人発症型特発性副甲状腺機能低下症 (AOIH)、心筋症、例えば、拡張型心筋症、後天性表皮水疱症 (EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、または蝶形骨洞炎、好酸球関連障害、例えば、好酸球増加症、肺浸潤好酸球増加症、好酸球増多筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増多症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、または好酸球を含む肉芽腫、アナフィラキシー、血清陰性脊椎関節炎、多内分泌性自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルートン症候群、乳児一過性低γグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病と関連する自己免疫障害、リウマチ、神経系疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織損傷、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、および血管新生を伴う疾患、アレルギー性過敏性障害、糸球体腎炎、再灌流障害、虚血性再灌流障害、心筋または他の組織の再灌流障害、リンパ腫性気管気管支炎、炎症性皮膚病、急性炎症性成分を有する皮膚病、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎またはその他の中枢神経系炎症性障害、眼球および眼窩の炎症性障害、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘発毒性、ナルコレプシー、急性の重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、ならびに子宮内膜症。
【0068】
本明細書に記載される抗体は、様々な学術的、医学的、および商業的用途を有し得る。本抗体は、例えば、多種多様な疾患、または薬物(薬剤)、毒素、もしくはホルモンを含むその他のタンパク質の存在をインビトロまたはインビボのいずれかで検出するための、異なる種類の診断試験に使用することができる。本明細書に記載される抗体は、例えば患者の血清または血液において疾患を試験するのに有用であり得る。疾患には、様々な癌、炎症性疾患、または自己免疫疾患を含む、OX40関連疾患またはOX40と関連のない疾患もしくは徴候が含まれ得る。抗体はまた、癌の放射免疫検出および放射免疫治療に使用することもでき、いくつかの新たな試験法は、特定の細胞型、すなわち癌の細胞膜のみを標的化するために、記載されるこれらの抗体を用い得る。
【0069】
本明細書に記載される抗体は、キットまたはその他の診断パッケージの一部となり得る。したがって、本明細書における前処理法と共に使用するための診断キットまたは製造品を本明細書に提供する。診断キットは、以下のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る:アンタゴニスト/抗体/薬物参照物質;陽性対照中和抗体(好ましくはヤギまたはカニクイザル);プロテインA+Gカラム(例えば、プロテインA/Gカラム);脱脂試薬;免疫グロブリンアフィニティー精製緩衝液(例えば、結合、溶出、および中和緩衝液);補体血清;細胞用のアッセイ希釈液;取扱説明書または文献;凍結細胞(例えば、WIL2細胞)のバイアル;細胞標識試薬(CELL TITER GLO(登録商標)など)等。例として、診断キットは、(a) 脱脂試薬;(b) 免疫グロブリンをアフィニティー精製するための緩衝液(例えば、結合および溶出緩衝液);および(c) 試料において細胞ベースのバイオアッセイ法(中和抗体アッセイ法など)を行う前に、自己免疫疾患または癌の対象からの生体試料を前処理するため(例えば、血清干渉の問題を回避するため)に診断キットを使用することを該キットの使用者に指示する取扱説明書を含み得るが、これらに限定されない。診断キットは任意に、以下のうちのいずれか1つまたは複数をさらに含む:薬物参照物質、陽性対照中和抗体、補体血清、細胞用のアッセイ希釈液、および細胞標識試薬等。
【0070】
本明細書に記載される抗体およびその他の発見はまた、ハイスループットスクリーニング法を提供する。当業者によって理解されるとおり、より具体的には、OX40受容体に結合し、かつTr1細胞の生成および機能を阻害し得るか、またはTr1細胞の生成および機能を促進し得るアンタゴニストまたはアゴニストのモノクローナル抗体または小分子をスクリーニングするためのハイスループット法が可能となる。1つのそのような方法では、IL-10を産生する能力を有するヒトT細胞株(SU-DHL-1)に、ヒトOX40遺伝子をトランスフェクトした(SUOX40)。100,000個のSUOX40細胞を、100,000個のマウス線維芽細胞(L細胞)、またはヒトOX40リガンドを発現する100,000個のマウス線維芽細胞(OX40リガンドL細胞)と共に96ウェルプレートで培養した。培養の48時間後、培養上清を回収して、IL-10特異的ELISAによってIL-10を測定した。代表的な実験において、100,000個のSUOX40細胞は、OX40リガンドの非存在下で培養した場合に、6,000 pg/mlまでのIL-10を産生した。OX40リガンドの存在下では、100,000個のSUOX40細胞は、1,000 pg/ml未満のIL-10を産生した。この培養法を用いて、とりわけ、SUOX40細胞によるIL-10産生を阻害するOX40リガンドの能力を阻止するアンタゴニストモノクローナル抗体または小分子をスクリーニングすることができる。あるいは、OX40リガンド発現L細胞を、OX40に特異的な潜在的アゴニストモノクローナル抗体または小分子で置換することにより、この培養法を変更して、とりわけ、SUOX40細胞によるIL-10産生を阻害するそれらの能力を決定することができる。
【0071】
本明細書に記載される抗OX40抗体は、生物体または有機試料中に見出される薬物または他の分子の活性を試験または測定するためのアッセイ法として、またはそのようなアッセイ法において使用することができる。それらは、試料中の物質の量を測定するための定量的アッセイ法において使用することもできる。バイオアッセイ法および免疫測定法は、これらの抗体が使用され得る多くの様々な特化された生化学的アッセイ法の一部である。本明細書において教示される抗OX40抗体は、酵素活性、抗原捕獲、幹細胞活性、および競合的タンパク質結合などの過程を測定するための他のアッセイ法で使用することもできる。
【0072】
ヒトGITRL、OX40L、4-1BBL、ICOSLを発現するL細胞は、当業者によって理解されるとおり、レトロウイルス媒介性の形質導入によって作製した。簡潔に説明すると、ヒトGITRL(アクセッション番号NM_005092)、OX40L(アクセッション番号NM_003326)、4-1BBL(アクセッション番号NM_003811)、ICOSL(アクセッション番号NM_015259)の全長コード配列を、HSV-1で刺激したPBMCから調製したRNAを用いてRT-PCRによって増幅した。続いて、このcDNAをMSCVベースのレトロウイルスベクターpMIGW2中にクローニングし、得られたプラスミドを制限酵素消化およびDNA配列決定によって検証した。組換えレトロウイルスを作製するために、各ベクターを、パッケージング構築物pCL-gp(gag/pol)およびpHCMV-VSVg(VSV糖タンパク質エンベロープ)と共にHEK293T 細胞に同時トランスフェクトした。2日後、ウイルスを含む培養上清を回収し、moi 100でCD32 L細胞を感染させるために使用した。この条件下で、>95%の細胞が生産的に形質導入された。
【0073】
当業者によって理解されるとおり、単離されたCD14
+単球(純度>94%)を、100 ng/ml GM-CSFおよび50 ng/ml IL-4(いずれもR&Dによる)の存在下で5日間培養した。当業者によって理解されるとおり、得られた未熟DCを洗浄し、IFN-α(1000 U/ml、PBL Biomedical Laboratories)、IL-10 (10 ng/ml、R&D)、および照射したCD40LトランスフェクトL細胞と共に24時間培養して(DCとL細胞の比率、4:1)、成熟DCを得た。
【0074】
当業者によって理解されるとおり、ナイーブCD4
+ T細胞およびメモリーCD4
+ T細胞(それぞれ純度>99%)は、CD4
+ T細胞単離キットII(Miltenyi Biotec)を使用し、続いて細胞選別(ナイーブT細胞としてのCD4
+CD45RA
+CD45RO
-CD25-画分、およびメモリーT細胞としてのCD4
+CD45RA
-CD45RO
+CD25
-画分)により、PBMCから単離した。当業者によって理解されるとおり、新たに精製された4×10
4個の同種ナイーブCD4+ T細胞を、丸底96ウェル培養プレートにおいて、組換えヒトOX40L(R&D、100 ng/ml)の存在下または非存在下で、未熟または培養DCと共に7日間同時培養した(DCとTの比率、1:10)。当業者によって理解されるとおり、精製されたCD4
+ T細胞はまた、48ウェル培養プレートにおいて、抗CD3モノクローナル抗体(OKT3、0.2μg/ml)で前もってコーティングされた、照射済みのCD32/OX40L-L細胞上、CD32/GITRL-L細胞上、CD32/4-1BBL-L細胞上、または親CD32-L細胞上で、可溶性抗CD28モノクローナル抗体(CD28.2、1μg/ml)およびIL-2(50 U/ml、R&D)の存在下で、IL-12(10 ng/ml、R&D)、IL-4(25 ng/ml、R&D)、またはデキサメタゾン(5×10
-8 M、Life Technologies)と1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(10
-7 M)の組み合わせと共に7日間培養した(T細胞とL細胞の比率、2.5:1)。いくつかの実験では、当業者によって理解されるとおり、CD4
+ T細胞を、48ウェル培養プレートにおいて、抗CD3モノクローナル抗体(0.2μg/ml)で前もってコーティングされたCD32-L細胞、CD32-L細胞とCD32/ICOSL-L細胞の混合物(1:1比)、またはCD32/ICOSL-L細胞とCD32/OX40L-L細胞の混合物(1:1比)上で7日間培養した。当業者によって理解されるとおり、RPMI 1640を使用し、培養のために10% FCS、2 mM L-グルタミン、1 mMピルビン酸ナトリウム、ペニシリンG、およびストレプトマイシンを補充した。
【0075】
当業者によって理解されるとおり、培養したT細胞を回収して洗浄した後、1×10
6個細胞/mlの濃度で、プレートに結合している抗CD3(5μg/ml)および可溶性抗CD28(2μg/ml)で24時間かけて再刺激した。当業者によって理解されるとおり、上清中のIL-4、IL-10、TNF-α、およびIFN-αのレベルをELISA(いずれのキットもR&Dによる)によって測定した。細胞内サイトカイン産生のため、培養したT細胞を、50 ng/ml PMA+2μg/mlイオノマイシンで6時間かけて再刺激した。当業者によって理解されるとおり、最後の2時間はブレフェルジンA(10μg/ml)を添加しておいた。当業者によって理解されるとおり、FIXおよびPERMキット(CALTAG)を用いて、細胞を、IL-4またはTNF-αに対するPE標識モノクローナル抗体、IFN-αに対するFITC標識モノクローナル抗体、およびAPC標識抗IL-10(いずれもBDによる)の組み合わせで染色した。
【0076】
当業者によって理解されるとおり、T細胞を回収し、EDTA含有培地中で再懸濁して塊を解離させた。当業者によって理解されるとおり、死細胞のトリパンブルー排除により生細胞を計数した。抑制機能アッセイ法については、当業者によって理解されるとおり、ナイーブCD4
+ T細胞(A)、ならびに親L細胞の存在下で、抗CD3モノクローナル抗体、抗CD28モノクローナル抗体、IL-2、Dex、およびvit D3によりナイーブCD4
+ T細胞から生成されたTr1細胞(B)、またはOX40L-L細胞(C)というこれらの3つの細胞型、ならびに1:1比のそれらの混合物を次に、5μg/ml抗CD3モノクローナル抗体および1μg/ml抗CD28モノクローナル抗体の存在下で培養することにより5日間かけて再刺激し、その後、[
3H]チミジン取り込みによって細胞増殖を評価した。
【0077】
抗ヒトOX40特異的モノクローナル抗体の作製
本発明者らは、ヒトOX40に対する複数のアゴニストマウスモノクローナル抗体を作製した。抗体の抗原結合特異性は、フローサイトメトリーによって確認した(
図10〜12)。抗体のアゴニスト活性は、機能アッセイ法により検証した。本発明者らは、20種のOX40特異的抗体のうちの9種が、ビタミンD3/デキサメタゾンによって媒介されるCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻止し(
図13)、CD4
+ T細胞増殖を増強し(
図14)、およびICOS
+CD4
+CD25
highFOXP3
+ Treg IL-10産生を抑制し得る(
図16)ことを見出した。本発明者らは抗体を力価測定し、5種が、4 ng/ml程の低い濃度で、Tr1細胞生成を抑制する上で強力な活性を有することを見出した(
図15)。
【0078】
OX40抗体はCD4
+CD25
highFOXP3
+ Treg機能を阻害する
OX40モノクローナル抗体のうちのいくつかは、FOXP3
+ Tregの抑制機能を阻害する(
図17)。Tr1細胞およびCD4
+CD25
highCD127
-FOXP3
+ TregからのIL-10産生を強く阻害する5種の抗体(119-8B、119-43、119-122、119-173B、および106-222)のうち、3種(119-43、119-122、および106-222)が、CD4
+CD25
highCD127
-FOXP3
+ Treg機能を阻止するのに強力であった(
図17)。しかしながら、IL-10産生に対して活性を有さない11種の抗体のうち2種(119-33および120-140A)は、しかしCD4
+CD25
highFOXP3
+ Treg機能を阻止する(
図18)。
【0079】
抗ヒトOX40モノクローナル抗体
抗ヒトOX40モノクローナル抗体の作製は、例えば、確立されたプロトコールに従って、6〜8週齢のBALB/cマウスに、ヒトOX40がトランスフェクトされたマウス細胞株を免疫することによって行った。OX40
+細胞を特異的に染色するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマクローンを樹立し、これらをさらに解析した。
【0080】
本発明者らは徹底的なスクリーニングを設計して、Tr1細胞の生成および機能の阻害により、OX40シグナル伝達を誘発するクローン(すなわち、アゴニスト抗体)を検出する。このようなクローンをさらに精製した。hOX40に対するアゴニスト抗体をヒト化し、臨床プロトコールにおいて、単独であるか、または抗腫瘍ワクチン接種および他のアジュバントと併用するかのいずれかで、ヒトの抗腫瘍治療に使用することができる。黒色腫、リンパ腫、および乳癌を含むいくつかの異なる腫瘍型が、これらの抗体の標的となり得る。
【0081】
別の態様において、6〜8週齢のBALB/c雌マウスを足蹠または皮下免疫に使用した。各マウスに、ヒトOX40がトランスフェクトされた500万個のマウスL細胞(L-OX40)を3日おきに6回注射した。6回目の注射の3日後にマウスを屠殺し、膝窩リンパ節(足蹠免疫による)または脾臓(皮下免疫による)を摘出し、確立されたプロトコールを用いて、細胞をSP2.0骨髄腫細胞またはNSO骨髄腫細胞と1対1の比率で融合させて、ハイブリドーマクローンを作製した。次に、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマクローンを、ELISAアッセイ法により、L-hOX40細胞に対するそれらの結合特異性についてスクリーニングした。L-hOX40細胞に結合し、L親細胞には結合しないハイブリドーマ上清を、フローサイトメトリー解析により、L-hOX40細胞上およびSUPM2-hOX40細胞上での結合についてさらに確認した。
【0082】
図10の実験では、hOX40ハイブリドーマ上清を、ELISAによってL-hOX40細胞 対 L親細胞に対してスクリーニングした。20種のhOX40特異的モノクローナル抗体が選択された。細胞をPBS中の0.01%塩化マグネシウムカルシウムと混合することにより、2千万個のL細胞、またはヒトOX40を発現するL細胞(L-hOX40)を96ウェルプレート上にコーティングし、層流フード内で一晩乾燥させた。次いで、使用する前に、プレートを-20℃で少なくとも1日間凍結した。抗体結合アッセイ法のために、凍結細胞をPBSで再水和し、PBS+0.05% Tween 20を含む洗浄緩衝液で洗浄し、洗浄緩衝液中の2% BSAでブロッキングした。次に、調整済みの細胞を、OX40抗体上清への結合に使用した。次に、細胞に対する抗体結合を、二次抗体である抗マウスIgG FC HRPで検出した。hOX40特異的ハイブリドーマ上清は、OX40を発現するL細胞を認識するが、親L細胞は認識しない。
【0083】
図11の実験では、hOX40特異的モノクローナル抗体を、フローサイトメトリー解析によってスクリーニングした。同数(100 k)のL細胞およびL-hOX40をFACS緩衝液(1% FCS/2 mM EDTA/PBS)中で混合し、0.5μgのFPLC(プロテインA HiTrap/Gentle Ag/Ab溶出緩衝液)精製抗体と共にインキュベートした。次に、細胞を洗浄し、二次抗体であるPE結合抗マウスIgGで染色した。2つのピークは、抗hOX40モノクローナル抗体による陽性および陰性染色を示す。単一のピークは、抗体の非結合または非特異的結合を示唆する。20種のhOX40特異的モノクローナル抗体が、フローサイトメトリー解析によって確認された。
【0084】
図12の実験では、hOX40を発現するSUPM2細胞(SUPM2-hOX40)を用いて、hOX40モノクローナル抗体特異性を確認した。同数(100 k)のSUPM2細胞およびSUPM2-hOX40細胞をFACS緩衝液(1% FCS/2 mM EDTA/PBS)中で混合し、
図11におけるようなhOX40モノクローナル抗体結合に使用した。各抗体の結合特異性をフローサイトメトリーによって確認した。2つのピークが、抗hOX40モノクローナル抗体による陽性および陰性染色を示すのに対し、単一のピークは、抗体による非結合または非特異的結合を示唆する。20種のhOX40特異的モノクローナル抗体が再確認された。
【0085】
図13の実験において、本発明者らは、VitD
3(10マイクロモル mM)/Dex(50ナノM)、CD32L/ICOSL、および抗CD3/CD28(0.2マイクログラム/ml)によって刺激されたCD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害し得るヒトOX40特異的モノクローナル抗体を同定しようとした。細胞培養の0日目に抗hOX40モノクローナル抗体を添加し、刺激の7日後のCD4
+ T細胞を、IL-10細胞内染色とその後のフローサイトメトリー解析に供した。代表的な蛍光活性化細胞選別(FACS)データをAに示し、かつ抗hOX40モノクローナル抗体処理すべてについてのTr1細胞の割合をBに示す。この実験から得られた細胞を用いて、本発明者らは、CD4
+ T細胞増殖を刺激し(
図14、細胞は刺激後の7日目に計数した)、CD4
+からのTr1生成を阻害する(
図13)hOX40特異的モノクローナル抗体を同定しようとした。
【0086】
CD4
+ T細胞からのTr1細胞の生成を阻害するそれらの能力に関して、そのようなhOX40モノクローナル抗体を同定するために、上記の
図13の実験に記載されるとおり、Tr1細胞を生成および培養した。代表的なFACSデータをAに示し、9種の抗hOX40モノクローナル抗体による処理後のTr1細胞の割合をBに示す。5種のhOX40特異的モノクローナル抗体が、4 ng/ml濃度で、Tr1細胞の生成を強く阻害した(
図15)。
【0087】
図16A、16B、および16Cの実験では、新たに選別されたICOS
+CD4
+CD127
-CD25
high T細胞を、CD32L/ICOSL細胞およびCD32L/hOX40L細胞、または抗hOX40モノクローナル抗体もしくは対照抗体の存在下で、抗CD3(0.2μg/ml)で5日間刺激した。次いで、細胞を計数し、5×10
4個の細胞を抗CD3/CD28で24時間かけて再刺激し、上清をElisaキットでIL-10分泌についてアッセイした。本発明者らは、CD4
+ T細胞からのTr1生成を阻害するhOX40特異的モノクローナル抗体が、天然ICOS
+CD4
+CD25
high T細胞からのIL-10産生もまた阻害することを確認した。新たに選別されたICOS
+ ICOS
-CD4
+CD127
-CD25
high Tregを、照射した単球および抗CD3(0.3μg/ml)および抗hOX40 mAbの存在下で、CFSE標識したCD4
+CD25
low細胞と共に培養した。培養の3.5日後に、細胞増殖を、FACSにより細胞中のCFSEの希釈について評価した(
図16C)。
【0088】
図17Aおよび17Bは、Tr1細胞の生成を阻害し、FOXP3
+CD4
+CD25
high Treg機能を阻止する抗hOX40モノクローナル抗体の同定を示す。新たに選別されたFOXP3
+CD4
+CD127
-CD25
high T細胞(3.5×10
4個)を、照射した単球(7×10
4個、6000ラド)および0.3μg/ml抗CD3および様々な濃度の抗hOX40モノクローナル抗体の存在下で、CFSE標識したCD4
+CD25
low細胞(7×10
4個)と共に培養した。培養の3〜4日後に、細胞増殖を、フローサイトメトリー解析により細胞中のCFSEの希釈について評価した。分裂細胞の割合を示す。代表的なフローサイトメトリー解析を
図17Aに示す。6種のモノクローナル抗体のデータを
図17Bに示す。
【0089】
図18の実験では、新たに選別されたFOXP3
+CD4
+CD127
-CD25
high T細胞(3.5×10
4個)を、照射した単球(7×10
4個、6000ラド)および0.3μg/ml抗CD3および様々な濃度のOX40モノクローナル抗体の存在下で、CFSE標識したCD4
+CD25
low細胞(7×10
4個)と共に培養した。培養の3〜4日後に、細胞増殖を、FACSにより細胞中のCFSE色素の希釈について評価した。データは、2回の実験のうちの代表的なものである。本発明者らは、Tr1生成を阻害しないが、FOXP3
+CD4
+CD25
high Treg機能を阻止する抗hOX40モノクローナル抗体を同定した。
【0090】
図19Aおよび19Bの実験では、リンパ腫由来CD4
+CD25
high T細胞を、照射した同種単球(7×10
4個、6000ラド)および0.3マイクログラム/ml抗CD3および25μg/ml抗hOX40モノクローナル抗体の存在下で、健常ドナーから単離されたCFSE標識CD4
+CD25
low細胞(7×10
4個)と共に培養した。培養の3〜4日後に、細胞増殖を、FACSによりCFSE希釈について評価した。代表的なFACS解析を
図19Aに示し、全実験のデータを
図19Bに示す。本発明者らは、hOX40アゴニスト抗体がリンパ腫由来CD4
+CD25
high Treg機能を阻止することを見出した。
【0091】
図20は、ヒトおよびアカゲザルOX40に特異的に結合するOX40アゴニスト抗体の同定を示す。アカゲザル末梢血単核細胞は、ficoll遠心分離によって得た。CD4
+ T細胞は、CD4マイクロビーズによって得た。CD4
+ T細胞を、10μg/mlのインゲンマメ(phaseolus vulgaris)レクチン(PHA)で刺激した。刺激の2日後、細胞を抗hOX40 mAbとその後ヤギ抗マウスIgG-APCおよびCD69-PEで染色した。106-317を陰性対照とした。T細胞増殖を強く活性化する6種の抗hOX40 mAbが、活性化アカゲザルCD4
+ T細胞に結合し得ることが示される。これらの結果から、これら6種の抗hOX40モノクローナル体の毒性をサルで試験することができることが示される。
【0092】
従来の融合プロトコールを用いて得られた500種の抗ヒトOX40陽性クローンのうちの7種のみが、表1に開示されるとおり、IL-10産生Tr1生成およびnTreg抑制機能を阻止する能力を含むがこれらに限定されない、OX40を誘発する特性を示した。
【0093】
(表1)OX40特異的モノクローナル抗体の一覧表
【0094】
3つの基準に基づいて、ハイブリドーマクローン106-222および119-122を選択した。
1. CD4+ T細胞からのTr1細胞生成(誘導性Treg)を阻害する。
2. FOXP3
+ nTreg細胞の抑制機能を逆戻りさせる。
3. Tr1細胞停止およびFOXP3
+ Treg機能の逆転の用量依存的阻害を示す。
【0095】
キメラ抗体およびヒト化抗体
ヒト化(再形成またはCDR移植とも称される)は、異種供給源(齧歯類を含むがこれに限定されない)からのモノクローナル抗体の免疫原性を減少させるため、およびヒト免疫系のそれらの活性化を改善するための確立された技法である。分子生物学の技法を用いて、操作されたモノクローナル抗体を作製する方法は公知であるが、ヒトフレームワークへの齧歯類相補性決定領域(CDR)の単純な移植は、元のモノクローナル抗体の結合親和性および特異性を常に再構成するわけではない。
【0096】
抗体をヒト化するために、ヒト化抗体の設計は、元の分子の機能を再現する重要な段階となる。様々な選択:CDRの範囲、用いるためのヒトフレームワーク、および齧歯類モノクローナル抗体からの残基のヒトのフレームワーク領域への置換(復帰突然変異)が、この設計に含まれる。このような復帰突然変異の位置は、主に、配列/構造解析によって、または可変領域の3D構造の相同性モデルの解析によって同定されている。
【0097】
最近は、選択された位置においてアミノ酸を変更するために、ファージライブラリーが用いられている。同様に、齧歯類CDRを移植するのに最も適したヒトフレームワークを選択するために、多くのアプローチが用いられている。初期の実験では、齧歯類モノクローナル抗体に対する配列同一性に関係なく、十分に特徴決定されたヒトモノクローナル抗体の限られたサブセット(常にというわけではないが、多くの場合、その構造は入手可能である)を使用した(いわゆる固定化フレームワークアプローチ)。いくつかのグループは、齧歯類可変領域に対して高いアミノ酸配列同一性を有する可変領域を使用し(相同性適合または最良適合);他のグループは共通配列または生殖系列配列を使用し、さらなる他のグループは、いくつかの異なるヒトモノクローナル抗体から各軽鎖または重鎖可変領域内のフレームワーク配列の断片を選択する。表面の齧歯類残基を、ヒトモノクローナル抗体中に見出される最も一般的な残基で置換する、ヒト化のためのアプローチ(「再表面化」または「張り合わせ」)、およびCDRの範囲の異なる定義を使用するヒト化のためのアプローチも開発されている。しかしながら、SEQ ID NO: 4および10、またはSEQ ID NO: 16および22の可変重鎖および可変軽鎖領域を含むキメラ抗体もまた、本明細書において記載される。
【0098】
マウス抗OX40抗体から、ヒト化モノクローナル抗体を得た。
【0099】
単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 1または13のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 2または14のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR2を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 3または15のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR3を有し得る。
【0100】
単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 7または19のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 8または20のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR2を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 9または21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR3を有し得る。
【0101】
単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 11もしくは23のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 11もしくは23のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む、可変軽鎖を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 5もしくは17のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 5もしくは17のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖を有し得る。
【0102】
単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 12もしくは24の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 12もしくは24のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変軽鎖を有し得る。単離されたヒト化抗OX40抗体は、SEQ ID NO: 6もしくは18の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 6もしくは18のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変重鎖を有し得る。
【0103】
ヒト化抗OX40抗体の発現
本発明の抗体または抗体部分は、免疫グロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の宿主細胞における組換え発現によって調製することができる。抗体を組換えにより発現させるために、宿主細胞に、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を保有する1つまたは複数の組換え発現ベクターをトランスフェクトし、該軽鎖および該重鎖を宿主細胞内で発現させ、好ましくは宿主細胞を培養する培地中に分泌させ、その培地から抗体を回収できるようにする。抗体重鎖および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクター中に組み込み、該ベクターを宿主細胞に導入するためには、Sambrook, Fritsch and Maniatis (eds), Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)、Ausubel, F. M. et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, (1989)、およびBoss et alによる米国特許第4,816,397号に記載されているような、標準的な組換えDNA方法論が用いられる。
【0104】
抗体ならびに抗体断片および変種は、様々な動物細胞から、好ましくは哺乳動物細胞から産生させることができ、マウスおよびヒト細胞が特に好ましい。また、組換えDNA発現システムは、宿主細胞、および高レベルの特定タンパク質を産生するように操作された発現構築物を用いる発現システムを含み得る。そのような宿主細胞および発現構築物には、プラスミドまたはウイルス(バクテリオファージ)に由来する発現構築物を有する大腸菌(Escherichia coli);エピソーム発現構築物または染色体に組み込まれた発現構築物を有するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisieae)またはピキア・パストラス(Pichia pastoras)などの酵母;Sf9細胞およびバキュロウイルスなどの昆虫細胞およびウイルス;ならびにエピソーム発現構築物または染色体に組み込まれた発現構築物(レトロウイルスを含むがこれに限定されない)を有する哺乳動物細胞が含まれ得る(このような方法は、例えば、Verma et al., J. Immunol. Methods 216:165-181, 1998の原稿から見出され得る)。抗体はまた、植物において(このような方法は、例えば、米国特許第6,046,037号;Ma et al., Science 268:716-719, 1995から見出され得る)、またはファージディスプレイ技術によって(このような方法は、例えば、Winter et al., Annu. Rev. Immunol. 12:433-455, 1994から見出され得る)産生させることもできる。
【0105】
望ましいあるレベルの活性および結合特異性/親和性を示したヒト抗OX40抗体は、例えば、可変領域遺伝子を完全長の抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、またはscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技法によりさらに操作することができる。このような操作では、VLまたはVHコードDNA断片を、抗体定常領域または可動性リンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に機能的に連結する。この文脈で用いられる「機能的に連結する」という用語は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように、2つのDNA断片を結合させることを意味することが意図される。
【0106】
別の局面において、VH領域をコードする単離されたDNAは、VHコードDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードする別のDNA分子に機能的に連結することによって、完全長の重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG-1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域、およびKabat (Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)に記載されているような、それらの中のいかなるアロタイプ変種であってもよいが、最も好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子については、VHコードDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に機能的に連結することができる。
【0107】
また、表面抗原に結合するヒト化抗体は、FcR保有細胞と相互作用し得る。このような相互作用は、Fc媒介性架橋のために、ADCCなどのエフェクター機能を誘発し得る、および/またはシグナル伝達を増強し得る。この相互作用は、治療にとって有益となり得るか、または有害となり得る。このような有害な副作用には、悪寒、発熱、低血圧、および場合によっては呼吸困難が含まれる(Thistlethwaite JR Jr., Cosimi AB, Delmonico FL, et al.)。
【0108】
ある種の有害な影響は、T細胞の表面上に見出されるタンパク質複合体に由来し得る。T細胞の活性化に際して、このタンパク質複合体は、抗原受容体を介して生じるシグナルの伝達に関与するようになる。要するに、T細胞の活性化は、抗原受容体の増強された架橋を含む一連の事象を開始させる。受容体の架橋は、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン2(IL-2)、およびインターフェロンγ(IFN-γ)などのある種のサイトカインの誘導をもたらす、強力な分裂促進的シグナル伝達に寄与し得る。これらのサイトカインは、大量に産生された場合、毒性となることが知られている。
【0109】
例えば、抗CD3 mAbは、現在、インスリンの産生体である膵島をT細胞が攻撃するI型糖尿病を含む自己免疫疾患の治療に用いられている(Kaufman A, and Herold K.Anti-CD3 mAbs for treatment of type 1 diabetes Diabetes Metab Res Rev 2009; 25: 302-306)。抗CD3抗体は、T細胞による標的の溶解を阻害し、抗原受容体CD3の架橋を増強することが知られている。加えて、その強力な分裂促進活性と共に、抗CD3抗体は、サイトカイン、具体的には腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン2(IL-2)、およびインターフェロンγ(IFN-γ)の強力な誘導因子であることが知られている。薬物に応答したT細胞からのサイトカイン、特にTNF-αの膨大な放出は(Chatenoud L.)、毒性作用をもたらす。これらの望ましくない副作用は、CD3分子を有するT細胞と、抗体のFc部分に結合するFcR保有細胞の架橋に起因している。この架橋は、以前言及されたとおり、T細胞およびFcR保有細胞の両方を活性化して、サイトカインの大量放出を引き起こす。
【0110】
同様に、抗OX40抗体を用いた場合にも、潜在的な望ましくない副作用が生じ得る。例えば、OX40発現T細胞に結合する抗OX40抗体はまた、FcR保有細胞にも結合し、該抗体で治療を受けた患者にとって有益または有害となり得るサイトカインの産生を誘発し得る。この潜在的問題を克服するために、本発明者らは、毒性作用を回避するために抗OX40抗体のFcR部分を変異させる方法を設計し、本明細書においてこれを示し、望ましいと考えられるFcR部分に対する変異を提供する。
【0111】
FcR(CD16、CD32、およびCD64)と相互作用するヒトIgG1の部位は公知である。これは、上部CH2ドメインに位置する。最も重要なアミノ酸は、234位および235位の2つのLeu残基である。これら2つの残基を2つのAla残基に変異させることにより、IgG1の全FcRへの相互作用は消失する。これらの変異が組み込まれたヒト化抗CD3(HuOKT3AA)は、はるかにより安全な薬物であり、HuOKT3の作用機序とは異なる作用機序を有する。全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6, 491,916号を参照されたい。
【0112】
AA変異体のその位置は以下のとおりに示される。
【0113】
本明細書に記載されるHu222AAおよびHu122AAは、これらの変異を含み得る。アッセイシステムがFcR保有細胞を含む場合には、野生型とAA変異体との相違がわかると考えられる。そうでなければ、2つの抗体は同様に挙動するはずである。
【0114】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLコードDNAを、軽鎖定常領域であるCLをコードする別のDNA分子に機能的に連結することによって、完全長の軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、κまたはλ定常領域であってよい。
【0115】
scFv遺伝子を作製するためには、VH配列およびVL配列が、VL領域とVH領域が可動性リンカーによって結合して連続した一本鎖タンパク質として発現され得るように、VHコードDNA断片およびVLコードDNA断片を、可動性リンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly.sub.4-Ser).sub.3をコードする別の断片に機能的に連結する(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;McCafferty et al., Nature (1990) 348:552-554を参照されたい)。
【0116】
本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改変することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変種は、適切なヌクレオチド変更を抗体核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれらへの挿入、および/またはそれらの置換が含まれる。最終構築物が所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に到達するように、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせが行われる。アミノ酸変更は、対象となる抗体アミノ酸配列に、その配列が作製された時点で導入してもよい。
【0117】
突然変異誘発に好ましい位置である抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085に記載されているとおり、「アラニンスキャン突然変異誘発」と称される。ここでは、残基または標的残基の群を同定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、これらのアミノ酸と抗原の相互作用に影響を及ぼすように、それらを中性または負荷電のアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)により置換する。次に、さらなるまたは他の変種を置換部位においてまたはその代わりに導入することにより、置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置を精緻化する。このように、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決定されるものの、突然変異の性質自体は予め決定される必要がない。例えば、所与の部位における突然変異の性能を解析するためには、標的コドンまたは領域においてalaスキャンまたはランダム突然変異誘発を行い、発現した免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
【0118】
アミノ酸配列挿入には、1残基から、100残基またはそれ以上を含むポリペプチドまでの長さにわたるアミノ末端融合および/またはカルボキシ末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニン残基を有する抗体、または細胞毒性ポリペプチドに融合された抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変種は、酵素(例えば、ADEPTのため)、または抗体の血清半減期を延長するポリペプチドの、抗体のN末端またはC末端への融合を含む。抗体の別の種類のアミノ酸変種は、抗体の元のグリコシル化パターンを変化させる。このような変化は、抗体中に見出される1つもしくは複数の糖部分を欠失させること、および/または抗体中に存在しない1つもしくは複数のグリコシル化部位を付加することを含む。
【0119】
別の種類の変種は、アミノ酸置換変種である。これらの変種は、抗体分子内に、異なる残基によって置換された少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換突然変異誘発に関して最も関心の高い部位には、超可変領域が含まれるが、FR変更もまた企図される。保存的置換は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,812,133号、Col. 43、l. 55〜Col. 44 l. 49の表1中に、「好ましい置換(preferred substitutions)」の表題で示されている。このような置換が生物活性の変化をもたらす場合には、表1中に「例示的置換(exemplary substitutions)」と命名されているか、またはアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載されている、より多くの実質的変化を導入し、その産物をスクリーニングすることができる。
【0120】
さらに、抗体の生物学的特性における実質的改変は、(a) 例えば、シートまたはヘリックス高次構造としての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b) 標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c) 側鎖のかさ、の維持に及ぼす影響が有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然残基は、共通する側鎖の特性に基づいてグループ分けされる:(1) 疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2) 中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3) 酸性:asp、glu;(4) 塩基性:his、lys、arg;(5) 鎖の配向に影響する残基:gly、pro;および(6) 芳香族:trp、tyr、phe。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのあるメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0121】
本明細書に記載される抗体または抗体部分を発現させるためには、上記のとおりに得られた、部分的または全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列と機能的に連結されるように、発現ベクター中に挿入する。この文脈において、「機能的に連結される」という用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというそれらの意図される機能を果たすように、抗体遺伝子をベクター中に連結することを意味することが意図される。発現ベクターおよび発現制御配列は、用いられる発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子を別個のベクターに挿入することができるが、より典型的には、両遺伝子が同じ発現ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片とベクター上の相補的制限部位の連結、または制限部位が存在しない場合には平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入される。
【0122】
図23に示されるとおり、Hu106-222 IgG1/κ抗体の発現ベクターの1つのそのような模式的構造である。最上部のSalI部位から時計回りに進み、プラスミドは、抗体重鎖遺伝子の転写を開始するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーターおよびエンハンサー(CMVプロモーター)から始まる重鎖転写単位を含む。CMVプロモーターに続いて、VHエキソン、介在イントロンを有するCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3エキソンを含むヒトγ1重鎖定常領域を含むゲノム配列、ならびにCH3エキソンの後のポリアデニル化部位がくる。重鎖遺伝子配列の後、CMVプロモーターから始まる軽鎖転写単位に続いて、VLエキソン、およびそれに先行するイントロンの一部を有するヒトκ鎖定常領域エキソン(CL)を含むゲノム配列、ならびにCLエキソンの後のポリアデニル化部位がくる。次いで、軽鎖遺伝子に続いて、SV40初期プロモーター(SV40プロモーター)、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt)、およびSV40ポリアデニル化部位(SV40ポリ(A)部位)を含むセグメントがくる。最後に、プラスミドは、細菌の複製起点(pUC ori)およびβラクタマーゼ遺伝子(βラクタマーゼ)を含む、プラスミドpUC19の一部を含む。関連する制限酵素部位の位置を図中に示す。
【0123】
組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、ベクター中にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であってよい。
【0124】
上記のとおり、抗体鎖遺伝子に加え、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内で抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。「調節配列」という用語は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞、所望されるタンパク質の発現レベル等のような要因に依存し得ることが認識されよう。哺乳動物宿主細胞発現に好ましい調節配列には、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を指示するウイルスエレメントが含まれる。ウイルス調節エレメントおよびその配列のさらなる記載については、例えば、Stinskiによる米国特許第5,168,062号、Bell et al.による米国特許第4,510,245号、およびSchaffner et al.による米国特許第4,968,615号、Bujard et al.による米国特許第5,464,758号、およびBujard et al.による米国特許第5,654,168号を参照されたい。
【0125】
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)、および選択マーカー遺伝子などの付加的な配列を保有し得る。選択マーカー遺伝子により、ベクターが導入された宿主細胞の選択が容易になる(例えば、いずれもAxel et al.による米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、および同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅と共にdhfr
-宿主細胞において使用するため)、およびneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
【0126】
軽鎖および重鎖の発現のためには、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを、標準的な技法により宿主細胞中にトランスフェクトする。様々な形態の「トランスフェクション」という用語は、外因性DNAを原核または真核宿主細胞に導入するために通常用いられる多種多様な技法、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクション等を包含することが意図される。理論的には、本発明の抗体を原核または真核宿主細胞のいずれかで発現させることが可能であるが、真核細胞、および特に哺乳動物細胞は、適切に折りたたまれた免疫学的に活性のある抗体を構築し、分泌する可能性が原核細胞よりも高いため、真核細胞、および最も好ましくは哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が最も好ましい。本明細書に記載される組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、R. J. Kaufman and P. A. Sharp (1982) Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようなDHFR選択マーカーと共に用いられる、Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr-CHO細胞など)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、およびSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、宿主細胞内での抗体の発現、または宿主細胞を増殖させる培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することにより、抗体が産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を用いて培地から回収することができる。
【0127】
宿主細胞はまた、Fab断片またはscFv分子などの、無傷の抗体の一部を産生させるために使用することもできる。上記手順の変化形も本発明の範囲内であることが理解されよう。例えば、宿主細胞に、本発明の抗体の軽鎖または重鎖のいずれか(ただし両方ではない)をコードするDNAをトランスフェクトすることが望ましい場合がある。組換えDNA技術を用いて、OX40への結合に必要でない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部またはすべてを除去することもできる。そのような切断型DNA分子から発現された分子もまた、本発明の抗体によって包含される。加えて、標準的な化学架橋法によって本発明の抗体を第2抗体に架橋させることにより、一方の重鎖および一方の軽鎖が本発明の抗体であり、他方の重鎖および軽鎖がOX40以外の抗原に対して特異的である二機能性抗体を生成することもできる。
【0128】
薬学的組成物および薬学的投与
本発明の抗体および抗体部分は、対象への投与に適した薬学的組成物中に組み入れることができる。典型的に、薬学的組成物は、本発明の抗体または抗体部分、および薬学的に許容される担体を含む。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」には、生理的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に許容される担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等のうちの1つまたは複数、およびそれらの組み合わせが含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。薬学的に許容される担体は、抗体または抗体部分の有効期間または有効性を増強する、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤、または緩衝液などの少量の補助物質をさらに含み得る。
【0129】
本発明の抗体および抗体部分は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)に適した薬学的組成物中に組み入れることができる。本発明の組成物は様々な形態であってよい。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射可能および注入可能な溶液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム、および坐剤などの液体、半固体、および固体剤形が含まれる。好ましい形態は、意図される投与方法および治療適用に依存する。典型的な組成物は、他の抗体によるヒトの受動免疫に用いられる組成物と類似した組成物などの、注射可能または注入可能な溶液の形態である。抗体は、静脈内注入もしくは注射、または筋肉内もしくは皮下注射によって投与することができる。
【0130】
投与の経路および/方法は、所望の結果に応じて異なる。特定の態様において、活性化合物は、埋込物、経皮パッチ、およびマイクロカプセル送達システムを含む制御放出製剤のように、急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤を調製するための多くの方法は、特許が取得されているか、または当業者に一般的に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
【0131】
組成物中に補助的な活性化合物を組み入れることもできる。特定の態様において、本発明の抗体または抗体部分は、OX40の不活性化が有害となる障害を治療するのに有用な1つまたは複数の付加的な治療剤と同時製剤化および/または同時投与される。例えば、本発明の抗OX40抗体または抗体部分は、他の標的と結合する1つまたは複数の付加的な抗体(例えば、他のサイトカインと結合する、または細胞表面分子と結合する抗体)と同時製剤化および/または同時投与することができる。さらに、本発明の1つまたは複数の抗体は、前述の治療剤のうちの2つまたはそれ以上と併用してもよい。そのような併用療法は、より低用量の投与治療剤を有利に用いることができ、したがって、様々な単剤療法に伴う可能性のある毒性または合併症が回避される。本発明の抗体が併用療法の一部として用いられる場合、該抗体が単独で対象に投与される場合よりも低用量の抗体が望ましいと考えられることが、当業者によって認識されよう(例えば、併用療法の使用により相乗的な治療効果が達成され得、ひいては、所望の治療効果を達成するためのより低用量の抗体の使用が可能になる)。
【0132】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合部分は、そのような疾患を治療するために単独で、または併用して使用することができる。これらの抗体またはその抗原結合部分は、単独で、または付加的な剤、例えば治療剤と併用して使用することができ、そのような付加的な剤はその意図される目的のために当業者によって選択されることが理解されるべきである。例えば、付加的な剤は、本明細書において教示される抗体によって治療される疾患または病態を治療するのに有用であると当技術分野において認識されている治療剤であってよい。付加的な剤はまた、治療組成物に有益な性質を付与する剤、例えば、組成物に粘性をもたらす剤であってもよい。
【0133】
本明細書に記載される薬学的組成物は、本発明の抗体または抗体部分の「治療上有効な量」または「予防上有効な量」を含み得る。「治療上有効な量」とは、必要な投与量および期間で、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。抗体または抗体部分の治療上有効な量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重;ならびに個体において所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力などの要因に応じて異なり得る。治療上有効な量とはまた、治療上有益な効果が抗体または抗体部分の任意の毒性効果または有害効果を上回る量でもある。「予防上有効な量とは」、必要な投与量および期間で、所望の予防結果を達成するために有効な量を指す。
【0134】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療的または予防的応答)を提供するように調整することができる。例えば、単一のボーラスを投与することができ、数回に分割した用量を時間をかけて投与することができ、または治療状況の緊急要件によって示される程度に比例して、用量を減少もしくは増加させることができる。投与の簡便性および投与量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で用いられる単位剤形とは、治療される哺乳動物対象への単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生ずるように算出された所定量の活性化合物を含む。単位剤形の仕様は、(a) 活性化合物の特有の特徴、および達成されるべき特定の治療または予防効果、ならびに(b) 個体における感受性の治療のためにそのような活性化合物を配合する技術に固有の制約によって決定され、およびそれらに直接依存する。
【実施例】
【0135】
実施例I
キメラおよびヒト化106-222 IgG1/κモノクローナル抗体(それぞれ、Ch222およびHu222)は、添付物AおよびBに記載されているとおりに、プロテインAカラムを用いて、対応するNS0トランスフェクタントの培養上清から精製した。Hu222は、2つの異なる方法によってカラムから溶出させた。簡潔に説明すると、Hu222ロットIは低pH緩衝液で溶出させ、ロットIIはPierceのGentle Ag/Ab溶出緩衝液で溶出させた。Hu222の収率は、溶出に低pH緩衝液を使用した場合に、より良かった。Ch222は、Gentle Ag/Ab溶出緩衝液でカラムから溶出させた。
【0136】
精製されたHu222ロットIおよびII抗体を、標準的な手順に従って、マウス106-222と共に、SDS-PAGEによって特徴決定した。5μgの各抗体を還元条件下で解析した。
図21に示されるとおり、Hu222ロットIおよびII抗体はそれぞれ、約50 kDの分子量を有する重鎖および約25 kDの分子量を有する軽鎖からなる。Hu222ロットIおよびII抗体の純度は、95%を超えるようであった。
【0137】
ヒト化抗体中のエンドトキシンの混入を、Lonzaのカブトガニアメーバ細胞溶解物(LAL) QCL-1000キットで解析した。エンドトキシンレベルは、Hu222ロットIおよびII抗体のいずれについても0.5 EU/mgタンパク質未満であった。
【0138】
L/OX40細胞への結合に関するHu106-222の特徴決定
マウス106-222、Ch106-222、およびHu106-222抗体のOX40への結合は、本質的にはDr. Laura Boverによって提供されるプロトコールに従って、L/hOX40細胞を用いてFACS結合アッセイ法で調べた。L/hOX40細胞に結合した抗体は、PE標識ヤギ抗マウスIgG抗体(マウス106-222について)、またはPE標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Ch106およびHu106について)で検出した。
【0139】
図22は、マウス106-222、Ch106、およびHu106-222(ロットII)抗体の、L/OX40細胞への結合に関する解析を示す。Hu106-222(ロットII)の検量線はCh106-222のものとほぼ同一であり、マウス106-222の抗原結合親和性がHu106-222において保持されていることが示された。マウス106-222の検量線はCh106およびHu106のものと類似していたが;二次抗体の差により、データからは、マウス106-222の親和性がHu106-222の親和性と類似していることのみが示される。
【0140】
図24は、L/hOX40細胞への結合に関するHu106-222ロットI抗体とロットII抗体の比較を示す。さらなる解析が必要ではあるものの、Hu106-222の2つのロットの親和性は互いに、同一ではないにしても類似しているようである。したがって、プロテインAカラムからのHu106-222の酸溶出は、その親和性に影響を及ぼさないようである。
【0141】
Ch106-222の精製
NS0安定トランスフェクタントC8を、ローラーボトル中のInvitrogenのハイブリドーマSFM培地500 ml中で消耗するまで増殖させた。培養物を、Beckman CoulterのAllegra X-12R遠心機において、Corningの250 ml遠心管(カタログ番号 430776)中で遠心沈殿させた(2000 RPMで15分間)。Pharmacia P1ポンプを用いて、培養上清を1 ml GE Healthcare HiTrap MabSelect SuReカラム(カタログ番号 11-034-95)上に負荷した。カラムをTris緩衝生理食塩水(Pierce、カタログ番号 28379)で洗浄し、PierceのGentle Ag/Ab溶出緩衝液(Cat # 21027)で溶出した。画分(約1 ml)を回収し、それらの280 nmでのODを読み取った。
【0142】
画分3〜6をプールした(容積=3.0 ml、280 nmでのOD=0.14)。プールした画分を、PBS中の10 ml Sephadex G25媒体カラム上で脱塩した。1 mlの画分を回収した。
【0143】
画分6〜9をプールした(容積=3.0 ml、280 nmでのOD=0.11)。プールした画分を、PBS中で一晩透析した。透析後、容積は3.0 mlであり、280 nmでのODは0.19であった。この調製物をCh106、ロット8/31/09と称し、その濃度は0.13 mg/mlであった。
【0144】
Hu106-222の精製
NS0安定トランスフェクタント1-C6を、ローラーボトル中のInvitrogenのハイブリドーマSFM培地500 ml中で消耗するまで増殖させた。培養物を、Beckman CoulterのAllegra X-12R遠心機において、Corningの250 ml遠心管(カタログ番号 430776)中で遠心沈殿させた(2000 RPMで15分間)。
【0145】
ロットI:
Pharmacia P1ポンプを用いて、培養上清150 mlを1 ml GE Healthcare HiTrap MabSelect SuReカラム(カタログ番号 11-034-95)上に負荷した。カラムをPBSで洗浄し、結合している抗体を0.1Mグリシン-HCl、0.1 M NaCl (pH 3.0)で溶出させた。溶出された画分(各1 ml)を、50μl 1M Tris-HCl (pH 8.0)を含むチューブ中に回収した。
【0146】
画分2〜5をプールした(容積=4.2 ml、280 nmでのOD=1.59)。プールした画分を、PBS中で一晩透析した。透析後、容積は4.2 mlであり、280 nmでのODは1.54であった。抗体溶液(ロット9/18/09 I;1.1 mg/ml)を濾過滅菌した。
【0147】
ロットII:
Pharmacia P1ポンプを用いて、残りの培養上清(350 ml)を1 ml GE Healthcare HiTrap MabSelect SuReカラム上に負荷した。カラムをTris緩衝生理食塩水で洗浄し、Gentle Ag/Ab溶出緩衝液で溶出した。画分(約1 ml)を回収し、それらのODを280 nmで読み取った。
【0148】
画分3〜7をプールした(容積=4.2 ml、280 nmでのOD=1.22)。カラムをTris緩衝生理食塩水で再度洗浄し、抗体を0.1Mグリシン-HCl、0.1 M NaCl (pH 3.0)で溶出させて、Gentle Ag/Ab溶出緩衝液による溶出が効率的であったかどうかを調べた。
【0149】
Gentle Ag/Ab溶出緩衝液で溶出された画分3〜7をプールし、PBS中の10 ml Sephadex G25媒体カラム上で脱塩した。1 mlの画分を回収した。
【0150】
画分5〜8をプールした(容積=4.0 ml、280 nmでのOD=1.12)。プールした画分を、PBS中で一晩透析した。透析後、容積は4.0 mlであり、280 nmでのODは1.12であった。抗体溶液(ロット9/18/09 II;0.8 mg/ml)を濾過滅菌した。
【0151】
PierceのGentle Ag/Ab溶出緩衝液による高塩溶出法は、結合しているヒトIgG1抗体をプロテインAカラムから溶出するのに、低pH法ほど効率的ではなかった。Gentle Ag/Ab溶出緩衝液では、抗体は鋭いピーク中に溶出されなかったため、溶出されたIgGを回収するために多くの画分をプールし、プールした画分を透析前に脱塩する必要があった。Gentle Ag/Ab溶出緩衝液による不良な溶出プロファイル、および余分な精製段階が、抗体の収率に影響を及ぼした。精製されるIgGが酸不安定性である場合にのみ、高塩溶出法を使用することが賢明である。
【0152】
実施例II
Ch119-122抗体およびHu119-122抗体の精製
キメラ119-122 IgG1/κモノクローナル抗体(Ch119)は、プロテインAカラムを用いて、ハイブリドーマSFM培地(Invitrogen)中で増殖させた対応するNS0安定トランスフェクタント(クローンG11)の培養上清から精製した。PierceのGentle Ag/Ab溶出緩衝液での溶出後、ゲル濾過およびその後の透析によって、Ch119の緩衝液をPBSに交換した。Ch119の濃度は0.21 mg/mlであった。
【0153】
ヒト化119-122 IgG1/κモノクローナル抗体(Hu122)は、プロテインAカラムを用いて、ハイブリドーマSFM培地中で増殖させた対応するNS0安定トランスフェクタント(クローン2F5)の培養上清から精製した。Hu106-222を低pH緩衝液でカラムから溶出させ、1 M Tris-HCl (pH 8.0)で中和し、PBS中で透析した。Hu122の濃度は1.6 mg/mlであった。
【0154】
精製されたHu106-222を、標準的な手順に従って、マウス119-222と共に、SDS-PAGEによって特徴決定した。5μgの各抗体を還元条件下で解析した。
図25に示されるとおり、Hu119-122は、約50 kDの分子量を有する重鎖および約25 kDの分子量を有する軽鎖からなる。Hu119の純度は、95%を超えるようであった。
【0155】
L/hOX40細胞への結合に関するHu119-122の特徴決定
マウス119-122、Ch119-122、およびHu119-122抗体のOX40への結合は、本質的にはDr. Laura Boverによって提供されるプロトコールに従って、L/OX40細胞を用いてFACS結合アッセイ法で調べた。L/OX40細胞に結合した抗体は、PE標識ヤギ抗マウスIgG抗体(マウス119-122について)、またはPE標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Ch119-122およびHu119-122について)で検出した。
【0156】
図26はFACS解析の結果を示す。Hu119-122の検量線はCh119-122のものと類似しており、マウス119-122の抗原結合親和性がHu119-122において保持されていることが示唆された。しかしながら、Ch109-122およびHu119-122のより高い抗体濃度におけるMCF値は、対応する曲線上にぴったりと乗らなかった。実験条件を調整した後、FACS解析を繰り返すべきである。
【0157】
実施例III
本発明者らのヒト化抗ヒトOX40抗体がT細胞増殖を増強する能力を評価するため、本発明者らは、抗CD3コーティングされたCD32-L細胞および新たに選別されたナイーブCD4
+ T細胞を用いて増殖アッセイ法を行った。
図27は、ヒト化抗ヒトOX40 mAbクローン119-122(Hu122)およびそのFcR結合変異型抗体(Hu122-AA)が、ナイーブCD4
+ T細胞増殖を増強したことを示す。Hu122は、親のマウス抗ヒトOX40 mAb(マウス122)と比較してより良好なT細胞刺激活性をもたらした。(
図27)
【0158】
FcR結合変異型ヒト化抗ヒトOX40 mAbクローン106-222(Hu222-AA)およびキメラ抗ヒトOX40 mAbクローン106-222(Ch222)は、抗CD3刺激性のナイーブCD4
+ T細胞増殖を増強した。これらの抗体は、親のマウス抗ヒトOX40 mAb(マウス106-222)と比較して同様の刺激活性を有する。しかしながら、完全にヒト化された抗ヒトOX40 Ab、Hu106は、T細胞増殖を増強しなかった。(
図28)
【0159】
ヒト化抗ヒトOX40抗体がCD4
+調節性T細胞(Treg)抑制機能を阻止する能力を評価するため、本発明者らは、新たに選別されたナイーブCD4
+ T細胞およびCD4
+CD25
highCD127
low Tregを用いて増殖アッセイ法を行った。本発明者らは、キメラ抗体Ch122およびFc結合変異型ヒト化抗体(Hu122-AA)が、CD4
+ Treg抑制機能の阻止において親のマウス抗ヒトOX40 mAb(マウス122)よりも良好な有効性を示すことを見出した。(
図29A〜B)
【0160】
図27の実験では、新たに選別されたCD4
+CD25
lowCD127
+CD45RO
-CD45RA
+ナイーブT細胞を、4つの濃度の抗CD3抗体でコーティングされた、CD32を発現するL細胞(CD32-L)+2μg/mlの抗ヒトOX40 Abクローン119抗体または対照抗体で刺激した。刺激の3日後、放射性同位体トリチウムを添加し、さらに16〜18時間培養してから細胞を回収した。データは、2名のドナーによる実験の代表例である。hOX40リガンドを発現するCD32-L細胞(CD32-L/hOX40L)を陽性対照とし、ヒトおよびマウスIgG1を陰性対照とする。
【0161】
図28の実験では、新たに選別されたナイーブCD4
+ T細胞を、4つの濃度の抗CD3抗体でコーティングされたCD32-L細胞+2μg/mlの抗ヒトOX40 mAbクローン106-222(Hu222)抗体または対照抗体で刺激した。刺激の3日後、放射性同位体トリチウムを添加し、さらに16〜18時間培養してから細胞を回収した。データは、2名のドナーによる実験の代表例である。CD32-L/hOX40Lを陽性対照とし、ヒトおよびマウスIgG1を陰性対照とする。
【0162】
図29の実験では、新たに選別されたCD4
+ナイーブT細胞を、3つのTreg:Tエフェクター比で、CD4
+CD25
highCD127
low Tregの存在下で培養し、0.2μg/mlの抗CD3抗体でコーティングされたCD32-L細胞+10μg/mlの抗ヒトOX40 mAbクローン119-122抗体または対照抗体で刺激した。刺激の3日後、放射性同位体トリチウムを添加し、さらに16〜18時間培養してから細胞を回収した。データは、3回の実験の代表例である。CD32-L/hOX40Lを陽性対照とし、ヒトおよびマウスIgG1を陰性対照とする。
【0163】
実施例IV
抗体は、静脈内注射により患者に投与された場合、全末梢血単核細胞(PBMC)に遭遇するため、本発明者らは、本発明者らの増殖アッセイ法において抗原提示細胞(APC)としてPBMCを用いて、本発明者らの抗ヒトOX40抗体がT細胞増殖を刺激する能力を試験した。しかしながら、APCとしてPBMCを用いた場合、本発明者らのマウス抗ヒトOX40 mAbにより、APCとして単球を用いた場合には見られない非常にばらつきがあるデータが得られ、本発明者らの抗体が、活性にある種の架橋を必要とすることが示唆された。この可能性を試験するため、プレートを本発明者らの抗ヒトOX40 mAbおよび抗CD3でコーティングし、洗浄し、補助細胞の非存在下でCD4
+またはCD8
+ T細胞増殖を刺激するのに使用した。
図30は、抗ヒトOX40抗体がCD4
+およびCD8
+ T細胞増殖を増強するという結果を示す。
【0164】
新たに選別された1×10
5個のCD4
+CD25
lowCD45RO
-CD45RA
+ナイーブT細胞(
図30A)またはCD3
+CD8
+ T細胞(
図30B)を、プレートに結合している抗CD3(3μg/ml)および抗ヒトOX40マウスmAb(2μg/ml)で刺激した。培養の3日目にトリチウム化チミジンを添加し、さらに15時間インキュベートした後に細胞を回収した。T細胞の増殖をチミジンの取り込みによって評価した。抗ヒトOX40 mAbは、3件のハイブリドーマ融合に由来した。融合番号の後の番号は、特定の抗体を表す。マウスIgG1および119-42を陰性対照とした。各処理は3通り行った。4名のT細胞ドナーからの代表的なデータを示す。(
図30C) ヒト化抗ヒトOX40 mAbの3つすべての型[Hu106-222およびHu119-122;Hu106-222AAおよびHu119-122AA(AAは、Fc結合残基のうちの2つが、アミノ酸アラニンに変異されていることを意味する);ならびにCh119-122(マウス可変領域「パラトープ」が維持されていることを除いて、ヒト化119-122と類似)]はすべて、ナイーブCD4
+ T細胞増殖を刺激した。抗CD28を陽性対照とした。
【0165】
図30に示されるパネルAおよびBは、プレートに結合しているマウス抗ヒトOX40 mAbが、10〜40倍の範囲でナイーブCD4
+ T細胞およびCD8
+ T細胞の増殖を強く刺激したことを示す。本発明者らは、本発明者らの研究を本発明者らのヒト化抗ヒトOX40 mAbにまで拡張し、完全にヒト化されているか、キメラであるか、またはFc受容体への結合を担う残基がアラニンに変更されたAA変異体を有するかを問わず、本発明者らのヒト化抗体の3つの型が、ナイーブCD4
+ T細胞増殖の強力な刺激因子であることを見出した(
図30C)。
【0166】
図31は、マウスおよびヒト化抗ヒトOX40抗体が、T細胞増殖を増強するために架橋を必要とすることを示す。新たに選別されたナイーブCD4
+ T細胞を、補助細胞の非存在下で、プレートに結合している抗CD3(3μg/ml)+プレートに結合しているかまたは可溶性のヒト化抗ヒトOX40 mAb(2μg/ml)で刺激した。培養の3日目にトリチウム化チミジンを添加し、さらに15時間インキュベートした後に細胞を回収した。T細胞の増殖をチミジンの取り込みによって評価した。マウスIgG1および抗CD28を、それぞれ陰性対照および陽性対照とした。2名のドナーからの代表的なデータを示す。ナイーブCD4
+ T細胞を、補助細胞の非存在下で、プレートに結合している抗CD3で刺激した。翌日、抗ヒトOX40 mAb 119-122(2μg/ml)を、単独で、または等量の、Fcに対する二次抗体と組み合わせて添加した。細胞増殖を、パネルAに記載されているとおりに評価した。
【0167】
本発明者らのヒト化抗ヒトOX40 mAb、Hu106-222およびHu119-122の有効性は、抗CD28の有効性に匹敵した。対照的に、可溶性抗ヒトOX40抗体をT細胞培養物に添加した場合には、刺激効果は消失した。(
図31A)。しかしながら、可溶性抗ヒトOX40 mAb 119-122をF(ab')
2断片ヤギ抗マウスIgG、Fc断片特異的二次抗体と共に添加した場合には、刺激効果は回復した(
図31B)。これらの結果から、抗ヒトOX40 mAbが、その生物活性のために架橋を必要とすることが実証される。
【0168】
本発明者らのアゴニスト抗ヒトOX40 mAbがCD4
+CD25
highCD12T nTregの抑制機能を阻止する能力を評価するため、本発明者らは、CD4
+CD25
IowCD127+CD45RO+ Tエフェクター細胞(Teff)およびCD4
+ nTregの存在下で増殖アッセイ法を行った。補助細胞の非存在下で、抗ヒトOX40 mAbを抗CD3と共にプレート上にコーティングした本発明者らのプレート結合システムを使用することにより、本発明者らの抗ヒトOX40マウスmAbのうちの12種(222、132、8B、33A、43、58B、122、157A、173B、220C、140A、270)は、nTreg抑制を強く阻害した(
図32Aおよび32B)。これらのアッセイ法で使用したnTregとTエフェクター細胞の比率は1:1であったが、これらの抗体は、Tエフェクター細胞を刺激して、nTregの非存在下でTエフェクター細胞によって達成される割合を10〜35パーセント上回って増殖させることができた。本発明者らのヒト化抗ヒトOX40 mAbはまた、同様のレベルでnTregの抑制機能を逆転させた(
図32C)。これらの結果をまとめると、本発明者らの抗ヒトOX40マウスmAbがOX40の強力な刺激因子であり、有意な、T細胞の増殖の増強およびnTreg抑制機能の阻害を引き起こすことが示唆される。さらに、本発明者らのヒト化抗ヒトOX40 mAbは、それらの親マウス抗体の強力な生物活性を維持した。
【0169】
図32は、抗ヒトOX20 mAbがCD4
+FOXP3
+ nTregの活性を阻止することを示す。CFSE標識したCD4
+CD25
-CD45RO
+ Tエフェクター細胞とCD4
+FOXP3
+ Tregは、同じ健常ドナーに由来した。T細胞を、可溶性抗CD28(0.5μg/ml)、ならびにプレートに結合している抗CD3(3μg /ml)および抗ヒトOX40 mAb(2μg/ml)で刺激した。Tエフェクター細胞の増殖を、CFSE希釈に関するフローサイトメトリーにより評価した。nTregとTエフェクター細胞の比率は1:1であった。マウスIgG1を陰性対照とした。ナイーブCD4
+ T細胞を、nTregによるTエフェクター細胞増殖の特異的阻害を実証するための対照T細胞とした。
図32Aは、ナイーブCD4
+ T細胞、nTreg、またはnTreg+抗ヒトOX40 mAb 119-33Aの存在下におけるTエフェクター細胞の増殖を示す代表的なFACSデータである。
図32Bは、マウス抗ヒトOX40 mAbによる処理後の(20種を試験)、nTregの存在下におけるTエフェクター細胞増殖の割合を示す。
図32Cは、ヒト化抗ヒトOX40 mAbの3つの型がすべて、Tエフェクター細胞の増殖を回復させたことを示す。
【0170】
最近の報告から、OX40の誘発が、OX40を発現するヒトT細胞株のアポトーシスを誘導し得ることが示唆される(Yoshiaki Takahashi et al., 200B, Aids Research and human Retroviruses,24)。したがって、本発明者らは、単球の存在下において、3種のT細胞サブセットの生存に及ぼす漸増濃度の抗ヒトOX40 mAb 106-222+固定された低用量の抗CD3の影響を試験した。
図33Aは、高濃度の抗ヒトOX40 mAb 106-222(20〜30μg/ml)が活性化FOXP3
+ nTregを優先的に死滅させたのに対し、活性化ナイーブおよびメモリーCD4
+ T細胞はこの試みに対して耐性であるか、または感受性が低いかのいずれかであったことを示す。抗ヒトOX40 mAbがTregに直接作用して細胞死を誘導するのかどうかを試験するため、本発明者らは補助細胞の非存在下で新たな実験を行った。
図33Bは、補助細胞の非存在下で、抗CD3と組み合わせた強力なOX40シグナル伝達がnTregを特異的に死滅させたことを示す。抗ヒトOX40 mAbによって媒介される殺傷効果が天然OX40リガンドによるOX40の誘発を模倣したのかどうかを確認するため、本発明者らは、hOX40Lを過剰発現するマウス線維芽細胞L細胞株を使用し、低用量の抗CD3の存在下でこれを用いてnTregを刺激し、nTregに及ぼす同様の殺傷効果を得た(
図33C)。これらの結果から、強力なOX40の誘発がOX40発現Treg細胞を死滅させることが示唆される。
【0171】
具体的には、
図33は、高濃度の抗ヒトOX40 mAbがFOXP3
+ Tregを優先的に死滅させることを示す。
図33Aでは、可溶性抗CD3(0.3μg/ml)および漸増濃度のマウス抗ヒトOX40 mAb 106-222の存在下で、T細胞サブセット(ナイーブ、CD4
+CD25
lowCD127
+CD45RO
-CD45RA
+;メモリー、CD4
+CD25
lowCD127
+CD45RA
-CD45RO
+;およびnTreg、CD4
+CD25
highCD127
low)をそれぞれ等比のCD14
+単球と共に培養した。培養の3日後に、生存リンパ球にゲートをかけたフローサイトメトリー解析により、細胞生存度を決定した。2名のT細胞ドナーからのデータを示す。
図33Bおよび33Cは、OX40の強力な誘発がCD4
+FOXP3
+ Tregを死滅させることを示す。
図33Bは、CD4
+FOXP3
+ Tregを、プレートに結合している抗CD3(2μg/ml)+可溶性119-122 mAb(30μg/細胞100万個)またはマウスIgG1対照抗体で刺激したことを示す。培養の1日後のトリパンブルー陰性生存細胞を血球計数器で計数した。
図33Cは、CD4
+FOXP3
+ Tregを、可溶性抗CD3(0.2μg/ml)+L細胞またはhOX40リガンドを発現するL細胞(L/hOX40L)で刺激したことを示す。刺激の1日後に、生存細胞を計数した。
【0172】
本発明者らは次に、抗ヒトOX40 mAbがT細胞に直接作用してnTreg抑制機能を阻止するかどうかを判定しようとした。新たに選別されたCD4+ Tエフェクター細胞またはnTregを抗CD3で一晩前もって活性化し、次に抗ヒトOX40 mAbで4時間パルスした。次にTエフェクター細胞を洗浄し、CFSEで標識し、同数のCD14
+単球および抗CD3の存在下でnTregと同時培養した。同様に、前もって刺激したnTregを洗浄し、未処理のCFSE標識Tエフェクター細胞と共に培養した。
【0173】
図34は、抗ヒトOX40 mAbがT細胞に直接作用してTregの抑制機能を阻止することを示す。
図34Aは、抗ヒトOX40 mAbがエフェクターメモリーT細胞に直接作用して、nTregによる抑制に対する耐性をそれらに付与することを示す。CD4
+ CD25
lowCD127
+CD45RA
-CD45RO
+メモリーT細胞を、培地(RPMI/10% FCS/ P/S+30 IU/mlのIL-2)中の、プレートに結合している抗CD3(0.8μg/ml)で12時間刺激し、次に培地中の抗ヒトOX40 mAb(119-122、22μg/細胞50万個)で4時間パルスし、3回洗浄し、8×10
4個のCFSE標識エフェクターT細胞を漸減比のnTregと共に培養した。エフェクターT細胞の増殖を、CFSE希釈に関するフローサイトメトリーにより評価した。抗ヒトOX40 mAbはTregに作用し、それらを、Tエフェクター細胞増殖を抑制できないようにした(
図34B)。CD4
+CD25
highCD127
low nTregを、培地中の、プレートに結合している抗CD3(2μg/ml)で12時間かけて前もって刺激し、次にパネルAに記載されているとおりに、抗ヒトOX40 mAb、119-122もしくは106-222、または対照抗体、抗ICOSもしくはマウスIgG1でパルスし、洗浄し、CFSE標識Tエフェクターメモリー細胞と共に培養した。Tエフェクター細胞の増殖を、CFSE希釈に関するフローサイトメトリーにより評価した。
【0174】
抗ヒトOX 40 mAbで処理したTエフェクター細胞は、nTreg細胞による抑制に対して耐性となった(
図34A)。対照的に、マウスIgG1対照抗体で処理したTエフェクター細胞の増殖は、nTregによる抑制の影響を受けやすいままであった。
図34Bは、抗ヒトOX 40 mAbで処理したnTregが、Tエフェクター細胞の増殖を抑制できなかったことを示す。対照的に、抗I COSまたはマウスIgG1などの対照抗体で処理したnTregは抑制性のままであった。これらの結果から、本発明者らの抗ヒトOX40 mAbが、Tエフェクター細胞およびnTregの両方に直接作用して、Tエフェクター細胞増殖を回復させることが示唆される。
【0175】
実施例V
捕捉の予備的なインビボデータから、抗ヒトOX40抗体がマウスにおいて機能し、マウスにおけるT細胞増殖および腫瘍拒絶を増強することが示された。抗ヒトOX40 mAbが、ヒトOX40が形質導入されたマウスCD8
+ T細胞におけるNF-κBカスケードを特異的に活性化し得ることが以前に示された。インビボにおいて、抗hOX40 mAbが、エフェクターCD8
+ T細胞の生存およびクローン増殖を促進することにより腫瘍拒絶を増強し得るのかどうかを判定するため、ルシフェラーゼ遺伝子およびhOX40が形質導入されたトランスジェニックPmel CD8
+ T細胞を、非色素性MC38腫瘍を有するC57BL/6アルビノマウスに養子移入した。形質導入されたT細胞の養子移入の後、マウスをAbで処置した。IgG1対照抗体で処置したマウスと比較して、抗hOX40 mAbで処置したマウスでは、4日目に、有意により多くのヒトOX40
+ルシフェラーゼ
+ Pmel T細胞が肺に遊走したことが見出され(
図35B)、マウスにおけるhOX40の誘発がCD8
+ T細胞増殖を促進したことが示された。処置後の8日目(データは表示せず)および12日目に、IgG1で処置した対照マウス群と比較して、抗hOX40 mAbで処置した同じマウス群が、腫瘍部位において有意により多くのルシフェラーゼ
+ Pmel T細胞を保持したことが見出され(
図35B)、マウスにおけるhOX40の誘発がCD8
+ T細胞の生存を促進したことが再度示された。最後に、hOX40
+ Pmel CD8
+ T細胞を投与し、続いて抗hOX40 mAbで処置したマウスの腫瘍サイズは、形質導入されていないPmel T細胞を投与し、抗hOX40 mAbで処置したマウス、またはhOX40
+ Pmel T細胞を投与した後に、対照マウスIgG1一致抗体で処置したマウスの腫瘍サイズと比較して、有意により小さかった。これらの結果から、マウスにおけるヒトOX40の誘発が、マウスOX40の生物学的効果(Gough MJ et, 2008)と同様の生物学的効果をもたらすことが示される。したがって、このデータから、インビボにおいてCD
+ T細胞の増殖および生存を促進し、腫瘍拒絶を増強する抗ヒトOX40 mAbの能力が実証される。
【0176】
インビボにおいてT細胞の増殖および生存を促進する抗ヒトOX40 mAb
本発明者らの治療的ワクチン接種レジメンを
図35Aに示す。5匹ずつの群のC57BL/6アルビノマウスの皮下に(S.C)、5×10
5個の非色素性MC38/gp100腫瘍細胞を移植した(0日目)。6日目に、350 cGy線量の照射を施すことによりリンパ球減少を誘導した。7日目に、ヒトOX40発現を有するかまたは有さないルシフェラーゼ形質導入Pmel-1 T細胞1×10
6個を腫瘍保有マウスに養子移入し(n=5/群)、その後Gp100ペプチドをパルスしたDC 5×10
5個を静脈内注射した。T細胞移入後の3日間、組換えヒトIL-2を腹腔内投与した。7日目、9日目、および11日目に、抗体をそれぞれ100μg、50μg、および50μg/注射/マウスで投与した(
図35B)。インビボ生物発光像から、4日目および12日目の肺および腫瘍部位におけるルシフェラーゼ発現CD8
+ pmel-1 T細胞の蓄積が示された。4日目および12日目の、群当たり5匹のマウスのうちの2匹を示す(
図35C)。腫瘍は、抗hOX40 mAbを用いた処置に反応した。3日ごとに腫瘍サイズを測定した。Pmel-1およびPmel-1+マウスIgG1を対照とした。