特許第5984935号(P5984935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000002
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000003
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000004
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000005
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000006
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000007
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000008
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000009
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000010
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000011
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000012
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000013
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000014
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000015
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000016
  • 特許5984935-太陽熱発電システム 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984935
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】太陽熱発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03G 6/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   F03G6/00 521
   F03G6/00 501
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-525848(P2014-525848)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2013069407
(87)【国際公開番号】WO2014014027
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-158934(P2012-158934)
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-73516(P2013-73516)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 康平
(72)【発明者】
【氏名】丸本 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】四方 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 淳
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 聡
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−025642(JP,A)
【文献】 特開2004−340093(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0144831(US,A1)
【文献】 特開昭61−261678(JP,A)
【文献】 米国特許第02933885(US,A)
【文献】 特開2010−285926(JP,A)
【文献】 特開昭60−162038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 3/02
F03G 6/00
F24J 2/34, 2/42
F28D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気を生成する低温集熱装置と、前記低温集熱装置にて加熱された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に設けられる汽水分離装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記高温集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記低温集熱装置へ給水する給水ラインと、蓄熱媒体を有する蓄熱装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第4ラインと、前記第1ラインから前記蓄熱装置に流入し、前記蓄熱装置にて前記蓄熱媒体へ放熱した蒸気を前記汽水分離装置へ供給する第5ラインと、を備え、
前記蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた水を前記蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成する
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度を検出する温度検出器と、前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度を調整するスプレー弁と、前記スプレー弁の作動を制御する第1制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記温度検出器の検出信号に基づいて、前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度が、前記蓄熱媒体が劣化する温度より低く保たれるように前記スプレー弁の弁開度を調整する
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項3】
請求項1の記載において、
前記給水ラインに設けられ、前記低温集熱装置へ供給する水の流量を調整する給水弁と、前記第1ラインに設けられ、前記蓄熱装置へ供給する過熱蒸気の流量を調整する抽気弁と、前記汽水分離装置で分離された水の水位を検出する水位検出器と、前記低温集熱装置へ供給する水の流量を検出する流量検出器と、前記給水弁および前記抽気弁の作動を制御する第2制御装置と、を備え、
前記第2制御装置は、前記水位検出器の検出信号および前記流量検出器の検出信号に基づいて、前記第5ラインを流れる過熱蒸気の温度が、前記蓄熱媒体の凝固点より高く保たれるように、前記給水弁の弁開度および前記抽気弁の弁開度を調整する
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項4】
太陽光を集光して水を加熱する集熱装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記集熱装置へ給水する給水ラインと、第1蓄熱媒体を有する低温蓄熱装置と、第2蓄熱媒体を有する高温蓄熱装置と、前記低温蓄熱装置と前記高温蓄熱装置との間に設けられる副汽水分離装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記高温蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記第1ラインから前記高温蓄熱装置に供給された過熱蒸気を前記低温蓄熱装置へ供給する第8ラインと、前記第8ラインから前記低温蓄熱装置に供給された蒸気を前記給水ラインに戻す第9ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記低温蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記低温蓄熱装置で生成された蒸気を、前記副汽水分離装置を経由して前記高温蓄熱装置に供給する第10ラインと、前記高温蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、を備え、
前記低温蓄熱装置は、前記第8ラインを流れてきた蒸気の熱を前記第1蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた蒸気を前記第1蓄熱媒体によって加熱して蒸気を生成し、
前記高温蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記第2蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第10ラインを流れてきた蒸気を前記第2蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成する
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記副汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第11ラインを設けた
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項6】
請求項5の記載において、
前記集熱装置は、水を加熱して蒸気を生成する低温集熱装置と、前記低温集熱装置にて生成された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、を有して成り、
前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に汽水分離装置を設け、
前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインまたは前記給水ラインに設けられた機器に戻す第4ラインを設けた
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項7】
請求項6の記載において、
運転モードとして蓄熱運転モードと放熱運転モードとを備え、
前記蓄熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置、前記高温集熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気の一部を前記高温蓄熱装置、前記低温蓄熱装置の順に導いて前記第1蓄熱媒体および前記第2蓄熱媒体にそれぞれ蓄熱させた後、前記第9ラインを経由して前記給水ラインへ戻す一方、残りの過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、
前記放熱運転モードでは、水を前記低温蓄熱装置、前記副汽水分離装置、前記高温蓄熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する一方、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記第11ラインを経由して前記給水ラインへ戻す運転を行うようにした
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項8】
太陽光を集光して水を加熱することで蒸気を生成する低温集熱装置と、太陽光を集光して前記低温集熱装置で生成された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に設けられる汽水分離装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記高温集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記低温集熱装置へ給水する給水ラインと、第1蓄熱媒体を有する低温蓄熱装置と、第2蓄熱媒体を有する高温蓄熱装置と、前記低温蓄熱装置と前記高温蓄熱装置との間に設けられる副汽水分離装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記高温蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記第1ラインから前記高温蓄熱装置に供給された過熱蒸気を前記低温蓄熱装置へ供給する第8ラインと、前記第8ラインから前記低温蓄熱装置に供給された蒸気を前記給水ラインに戻す第9ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記低温蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記低温蓄熱装置で生成された蒸気を、前記副汽水分離装置を経由して前記高温蓄熱装置に供給する第10ラインと、前記高温蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、前記汽水分離装置で分離された蒸気を前記高温蓄熱装置に供給する第6ラインと、を備え、
前記低温蓄熱装置は、前記第8ラインを流れてきた蒸気の熱を前記第1蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた蒸気を前記第1蓄熱媒体によって加熱して蒸気を生成し、
前記高温蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記第2蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第6ラインを流れてきた蒸気または前記第10ラインを流れてきた蒸気を前記第2蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成する
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項9】
請求項8の記載において、
前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインまたは前記給水ラインに設けられた機器に戻す第4ラインと、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第11ラインと、を設けた
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項10】
請求項9の記載において、
運転モードとして蓄熱運転モードと、短時間放熱運転モードと、長時間放熱運転モードと、を備え、
前記蓄熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置、前記高温集熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気の一部を前記高温蓄熱装置、前記低温蓄熱装置の順に導いて前記第1蓄熱媒体および前記第2蓄熱媒体にそれぞれ蓄熱させた後、前記第9ラインを経由して前記給水ラインへ戻す一方、残りの過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、
前記短時間放熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置の順に流し、前記第6ラインを経由して前記高温蓄熱装置に供給することで過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、
前記長時間放熱運転モードでは、水を前記低温蓄熱装置、前記副汽水分離装置、前記高温蓄熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する一方、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記第11ラインを経由して前記給水ラインへ戻す運転を行うようにした
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項11】
請求項4または8の記載において、
前記高温蓄熱装置に充填される前記第2蓄熱媒体として溶融塩が用いられ、
前記溶融塩を媒体循環ポンプによって循環させる溶融塩循環ラインを前記高温蓄熱装置に設け、
前記媒体循環ポンプの流量を制御することにより、前記高温蓄熱装置の蓄熱量と放熱量を任意に調整可能とした
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【請求項12】
請求項6または8の記載において、
前記低温集熱装置として、線集光方式であるフレネル型またはトラフ型の集光・集熱装置が用いられ、
前記高温集熱装置として、点集光方式であるタワー型の集光・集熱装置が用いられる
ことを特徴とする太陽熱発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽からの熱を集熱し、その熱で蒸気を生成し、当該蒸気により蒸気タービンを駆動して発電を行う太陽熱発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱発電システムを用いて発電する場合、日射量の変動あるいは低下等により、そのとき得られる太陽熱のみでは、蒸気タービンを駆動するための作動流体の加熱が十分でないことがある。そのため、蓄熱装置を太陽熱発電システムに組み込み、集熱装置で集熱した熱を蓄熱装置に予め蓄えておき、必要に応じて蓄えられた熱を取り出して利用できるようにしている例が多い(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−122865号公報
【特許文献2】米国特許第7,296,410号明細書
【特許文献3】米国特許第8,087,245号明細書
【特許文献4】特開昭61−41891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、太陽熱発電システムの低コスト化、システムの信頼性、保守管理の観点からは、太陽熱発電システムを構成する機器、例えば、集熱装置、蓄熱装置等の数や種類を増やさず、できるだけ簡素な構成とすることが望ましい。この点、特許文献1から3のいずれも、複数の蓄熱装置を設置する例を開示している。このため、太陽熱発電システムの設備コストおよび建設コストが増大するという課題がある。
【0005】
また、特許文献1では集熱器と蒸気過熱用蓄熱器の間を、特許文献2では全体を循環しているのが溶融塩やオイルであることから、性能の高い高価なポンプが必要となり、それにより設備コストおよびランニングコストも高くなる。
【0006】
また、特許文献3では、高温蓄熱装置と低温蓄熱装置は日射量減少時の一時的なバックアップとして使用されている。そのため、夜間の発電を行う場合は、タワー型集熱装置をバイパスし、化石燃料補助装置による火力発電でバックアップしなければならず、燃料コストおよびCO2排出量が増加するという課題がある。
【0007】
また、特許文献4では、過熱器にて生成された過熱蒸気の一部が熱交換器に供給され、熱交換器にて蓄熱媒体と熱交換が行われる。蓄熱媒体へ放熱した過熱蒸気の一部は飽和水としてアキュームレータに貯蔵される。そして、放熱運転時には、アキュームレータに貯蔵された飽和水を減圧することで連続的に気化させ、生成された飽和蒸気を熱交換器に供給する。熱交換器に供給された飽和蒸気は、熱交換器にて蓄熱媒体から熱を奪って過熱蒸気となり、蒸気供給管を通って蒸気タービン等に供給される。
【0008】
このように、特許文献4は、放熱運転時に必要となる多量の飽和水をアキュームレータに貯蔵する必要があるため、アキュームレータの容積が過大となり、設置スペースおよび設備コストが増大するといった課題がある。
【0009】
また、特許文献4では、蒸気供給管を通って蒸気タービン等に供給される蒸気の圧力が、通常運転時よりも放熱運転時の方が大幅に低下するという課題がある。これは、通常運転時において、過熱蒸気が熱交換器を通過する際に圧力損失が生じ、アキュームレータに貯蔵される飽和水の圧力が低下するうえ、放熱運転時において、アキュームレータに貯蔵された飽和水が気化して熱交換器を通過する際に圧力損失が生じ、熱交換器にて生成される過熱蒸気の圧力が低下することに起因する。
【0010】
そのため、特許文献4にて生成される過熱蒸気を蒸気タービンに供給して発電する場合には、放熱運転時の発電効率が通常運転時よりも大幅に低下し、エネルギ損失が大きくなるといった課題がある。
【0011】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低コストで簡素な太陽熱発電システムを提供することにある。また、放熱運転時の発電効率が通常運転時と比べて大幅に低下することのない太陽熱発電システムを提供することも、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第1の手段は、太陽光を集光して水を加熱する集熱装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記集熱装置へ給水する給水ラインと、蓄熱媒体を有する蓄熱装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、を備え、前記蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた水を前記蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする太陽熱発電システムである。
【0013】
第1の手段によれば、過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気の熱を利用して蓄熱装置に熱を蓄えることができるので、第2ラインから蓄熱装置を介して第3ラインに至るまでの間に集熱装置を別途設ける必要がない。よって、太陽熱発電システムの低コスト化および簡素化を図ることができる。また、集熱装置で生成された過熱蒸気だけでなく、蓄熱装置で生成された過熱蒸気をも蒸気タービンへ供給することができるから、日射量の変動があっても、安定した発電が可能である。
【0014】
本発明の第2の手段は、前記第1の手段において、前記集熱装置は、水を加熱して蒸気を生成する低温集熱装置と、前記低温集熱装置にて加熱された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、を有して成り、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に汽水分離装置を設け、前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第4ラインを設けたことを特徴としている。
【0015】
第2の手段によれば、汽水分離装置によって飽和蒸気のみを高温集熱装置に送ることができるから、水−蒸気二相流体を高温集熱装置に送る場合と比べて、例えば安価なポンプを利用できるなどの低コスト化を図ることができる。
【0016】
本発明の第3の手段は、前記第2の手段において、前記第1ラインから前記蓄熱装置に流入し、前記蓄熱装置にて前記蓄熱媒体へ放熱した蒸気を前記汽水分離装置へ供給する第5ラインを設けたことを特徴としている。
【0017】
第3の手段によれば、蓄熱装置を流れた蒸気は、汽水分離装置で水と飽和蒸気に分離され、飽和蒸気のみが再び高温集熱装置に送られる。よって、高温集熱装置には、低温集熱装置から送られてくる飽和蒸気に加えて蓄熱装置からも飽和蒸気が送られてくることになる。そのため、熱回収量が増加し、熱効率が高まる。
【0018】
本発明の第4の手段は、前記第3の手段において、前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度を検出する温度検出器と、前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度を調整するスプレー弁と、前記スプレー弁の作動を制御する第1制御装置と、を備え、前記第1制御装置は、前記温度検出器の検出信号に基づいて、前記第1ラインを流れる過熱蒸気の温度が、前記蓄熱媒体が劣化する温度より低く保たれるように前記スプレー弁の弁開度を調整することを特徴としている。
【0019】
第4の手段によれば、スプレー弁の弁開度を調整することにより、第1ラインを流れる過熱蒸気の温度を、蓄熱媒体が劣化する温度より低い温度に保つことができるから、過熱蒸気によって蓄熱装置に充填された蓄熱媒体の劣化を防止できる。これにより、システムの保全コストを低減できる。
【0020】
本発明の第5の手段は、前記第3の手段において、前記給水ラインに設けられ、前記低温集熱装置へ供給する水の流量を調整する給水弁と、前記第1ラインに設けられ、前記蓄熱装置へ供給する過熱蒸気の流量を調整する抽気弁と、前記汽水分離装置で分離された水の水位を検出する水位検出器と、前記低温集熱装置へ供給する水の流量を検出する流量検出器と、前記給水弁および前記抽気弁の作動を制御する第2制御装置と、を備え、前記第2制御装置は、前記水位検出器の検出信号および前記流量検出器の検出信号に基づいて、前記第5ラインを流れる過熱蒸気の温度が、前記蓄熱媒体の凝固点より高く保たれるように、前記給水弁の弁開度および前記抽気弁の弁開度を調整することを特徴としている。
【0021】
第5の手段によれば、第5ラインを流れる過熱蒸気の温度が、蓄熱媒体の凝固点より高く保たれるようになっているから、蓄熱装置を流れる過熱蒸気によって蓄熱媒体が凝固するのを防止できる。よって、蓄熱媒体の凝固を防止するための撹拌器等の設置が不要となり、太陽熱発電システムのより一層の簡素化、低コスト化が可能となる。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明の第6の手段は、太陽光を集光して水を加熱することで蒸気を生成する低温集熱装置と、太陽光を集光して前記低温集熱装置で生成された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に設けられる汽水分離装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記高温集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記低温集熱装置へ給水する給水ラインと、第2蓄熱媒体を有する高温蓄熱装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記高温蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記高温蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、前記汽水分離装置で分離された蒸気を前記高温蓄熱装置に供給する第6ラインと、を備え、前記高温蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記第2蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第6ラインを流れてきた蒸気を前記第2蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする太陽熱発電システムである。
【0023】
第6の手段によれば、過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気の熱を利用して高温蓄熱装置に熱を蓄えることができるので、高温蓄熱装置用に別途、集熱装置等を設ける必要がない。よって、太陽熱発電システムの低コスト化および簡素化を図ることができる。また、高温集熱装置で生成される過熱蒸気だけでなく、高温蓄熱装置で生成される過熱蒸気をも蒸気タービンへ供給することができるから、日射量の変動があっても、安定した発電が可能である。また、第6の手段によれば、蒸気タービンに供給される過熱蒸気の圧力が、通常運転(蓄熱運転)と放熱運転とで殆ど変わらないため、運転状態によって発電効率が大幅に低下することはない。
【0024】
本発明の第7の手段は、前記第6の手段において、給水中の溶存酸素を低減または除去する脱気器を前記給水ラインに設置すると共に、前記高温蓄熱装置にて前記第2蓄熱媒体と熱交換した蒸気を前記脱気器に戻す第7ラインを設けたことを特徴としている。第7の手段によれば、水資源の有効利用を図ることができる。
【0025】
本発明の第8の手段は、前記第7の手段において、運転モードとして蓄熱運転モードと放熱運転モードとを備え、前記蓄熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置、前記高温集熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気の一部を前記高温蓄熱装置に導いて前記第2蓄熱媒体に蓄熱させた後、前記第7ラインを経由して前記脱気器へ戻す一方、残りの過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、前記放熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置の順に流し、前記第6ラインを経由して前記高温蓄熱装置に供給することで過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する運転を行うようにしたことを特徴としている。
【0026】
第8の手段によれば、蓄熱運転モードと放熱運転モードの両モードにおいて、安定した圧力の過熱蒸気を蒸気タービンに供給できるため、安定した発電が可能である。
【0027】
また、上記目的を達成するために、本発明の第9の手段は、太陽光を集光して水を加熱する集熱装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記集熱装置へ給水する給水ラインと、第1蓄熱媒体を有する低温蓄熱装置と、第2蓄熱媒体を有する高温蓄熱装置と、前記低温蓄熱装置と前記高温蓄熱装置との間に設けられる副汽水分離装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記高温蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記第1ラインから前記高温蓄熱装置に供給された過熱蒸気を前記低温蓄熱装置へ供給する第8ラインと、前記第8ラインから前記低温蓄熱装置に供給された蒸気を前記給水ラインに戻す第9ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記低温蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記低温蓄熱装置で生成された蒸気を、前記副汽水分離装置を経由して前記高温蓄熱装置に供給する第10ラインと、前記高温蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、を備え、前記低温蓄熱装置は、前記第8ラインを流れてきた蒸気の熱を前記第1蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた蒸気を前記第1蓄熱媒体によって加熱して蒸気を生成し、前記高温蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記第2蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第10ラインを流れてきた蒸気を前記第2蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする太陽熱発電システムである。
【0028】
第9の手段によれば、過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気の熱を利用して低温蓄熱装置および高温蓄熱装置に熱を蓄えることができるので、各蓄熱装置用に別途、集熱装置等を設ける必要がない。よって、太陽熱発電システムの低コスト化および簡素化を図ることができる。また、集熱装置で生成される過熱蒸気だけでなく、高温蓄熱装置で生成される過熱蒸気をも蒸気タービンへ供給することができるから、日射量の変動があっても、安定した発電が可能である。
【0029】
また、第9の手段は、低温蓄熱装置と高温蓄熱装置とを備えているため、例えば、日中は集熱装置で過熱蒸気を生成して発電を行い、夜間は集熱装置を停止して、低温蓄熱装置および高温蓄熱装置で過熱蒸気を生成して発電を行うといった運転が可能となる。そのため、太陽熱発電システムの稼働率を高めることができる。また、第9手段によれば、蒸気タービンに供給される過熱蒸気の圧力が、通常運転(蓄熱運転)と放熱運転とで殆ど変わらないため、運転状態によって発電効率が大幅に低下することはない。
【0030】
本発明の第10の手段は、前記第9の手段において、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第11ラインを設けたことを特徴としている。第10の手段によれば、水資源の有効利用を図ることができる。
【0031】
本発明の第11の手段は、前記第10の手段において、前記集熱装置は、水を加熱して蒸気を生成する低温集熱装置と、前記低温集熱装置にて生成された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、を有して成り、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に汽水分離装置を設け、前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインまたは前記給水ラインに設けられた機器に戻す第4ラインを設けたことを特徴としている。第11の手段によれば、集熱装置の低コスト化および簡素化を図ることができるうえ、水資源の有効利用を図ることができる。
【0032】
本発明の第12の手段は、前記第11の手段において、運転モードとして蓄熱運転モードと放熱運転モードとを備え、前記蓄熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置、前記高温集熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気の一部を前記高温蓄熱装置、前記低温蓄熱装置の順に導いて前記第1蓄熱媒体および前記第2蓄熱媒体にそれぞれ蓄熱させた後、前記第9ラインを経由して前記給水ラインへ戻す一方、残りの過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、前記放熱運転モードでは、水を前記低温蓄熱装置、前記副汽水分離装置、前記高温蓄熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する一方、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記第11ラインを経由して前記給水ラインへ戻す運転を行うようにしたことを特徴としている。
【0033】
第12の手段によれば、蓄熱運転モードと放熱運転モードの両モードにおいて、安定した圧力の過熱蒸気を蒸気タービンに供給できるため、安定した発電が可能である。
【0034】
本発明の第13の手段は、太陽光を集光して水を加熱することで蒸気を生成する低温集熱装置と、太陽光を集光して前記低温集熱装置で生成された蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を生成する高温集熱装置と、前記低温集熱装置と前記高温集熱装置との間に設けられる汽水分離装置と、蒸気タービンと、前記蒸気タービンの動力で発電する発電機と、前記高温集熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する過熱蒸気供給ラインと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を復水して前記低温集熱装置へ給水する給水ラインと、第1蓄熱媒体を有する低温蓄熱装置と、第2蓄熱媒体を有する高温蓄熱装置と、前記低温蓄熱装置と前記高温蓄熱装置との間に設けられる副汽水分離装置と、前記過熱蒸気供給ラインから分岐し、前記過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気を前記高温蓄熱装置へ供給する第1ラインと、前記第1ラインから前記高温蓄熱装置に供給された過熱蒸気を前記低温蓄熱装置へ供給する第8ラインと、前記第8ラインから前記低温蓄熱装置に供給された蒸気を前記給水ラインに戻す第9ラインと、前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記低温蓄熱装置へ供給する第2ラインと、前記低温蓄熱装置で生成された蒸気を、前記副汽水分離装置を経由して前記高温蓄熱装置に供給する第10ラインと、前記高温蓄熱装置で生成された過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する第3ラインと、前記汽水分離装置で分離された蒸気を前記高温蓄熱装置に供給する第6ラインと、を備え、前記低温蓄熱装置は、前記第8ラインを流れてきた蒸気の熱を前記第1蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第2ラインを流れてきた蒸気を前記第1蓄熱媒体によって加熱して蒸気を生成し、前記高温蓄熱装置は、前記第1ラインを流れてきた過熱蒸気の熱を前記第2蓄熱媒体に蓄熱すると共に、前記第6ラインを流れてきた蒸気または前記第10ラインを流れてきた蒸気を前記第2蓄熱媒体によって加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする太陽熱発電システムである。
【0035】
第13の手段によれば、過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気の熱を利用して低温蓄熱装置および高温蓄熱装置に熱を蓄えることができるので、各蓄熱装置用に別途、集熱装置等を設ける必要がない。よって、太陽熱発電システムの低コスト化および簡素化を図ることができる。また、高温集熱装置で生成される過熱蒸気だけでなく、高温蓄熱装置で生成される過熱蒸気をも蒸気タービンへ供給することができるから、日射量の変動があっても、安定した発電が可能である。
【0036】
また、第13の手段は、低温蓄熱装置と高温蓄熱装置とを備えているため、例えば、日中は低温集熱装置および高温集熱装置で過熱蒸気を生成して発電を行い、夜間は低温集熱装置および高温集熱装置を停止して、低温蓄熱装置および高温蓄熱装置で過熱蒸気を生成して発電を行うといった運転が可能となる。また、低温集熱装置で蒸気を生成し、高温蓄熱装置で過熱蒸気を生成するといった運転も可能である。そのため、多彩な運転を実現でき、太陽熱発電システムの稼働率を高めることができる。また、第13手段によれば、蒸気タービンに供給される過熱蒸気の圧力が、通常運転(蓄熱運転)と放熱運転とで殆ど変わらないため、運転状態によって発電効率が大幅に低下することはない。
【0037】
本発明の第14の手段は、前記第13の手段において、前記汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインまたは前記給水ラインに設けられた機器に戻す第4ラインと、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記給水ラインに戻す第11ラインと、を設けたことを特徴としている。第14の手段によれば、水資源の有効利用を図ることができる。
【0038】
本発明の第15の手段は、前記第14の手段において、運転モードとして蓄熱運転モードと、短時間放熱運転モードと、長時間放熱運転モードと、を備え、前記蓄熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置、前記高温集熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気の一部を前記高温蓄熱装置、前記低温蓄熱装置の順に導いて前記第1蓄熱媒体および前記第2蓄熱媒体にそれぞれ蓄熱させた後、前記第9ラインを経由して前記給水ラインへ戻す一方、残りの過熱蒸気を前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、前記短時間放熱運転モードでは、水を前記低温集熱装置、前記汽水分離装置の順に流し、前記第6ラインを経由して前記高温蓄熱装置に供給することで過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する運転を行い、前記長時間放熱運転モードでは、水を前記低温蓄熱装置、前記副汽水分離装置、前記高温蓄熱装置の順に流して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を前記第3ラインを経由して前記蒸気タービンへ供給する一方、前記副汽水分離装置にて分離された水を前記第11ラインを経由して前記給水ラインへ戻す運転を行うようにしたことを特徴としている。
【0039】
第15の手段によれば、蓄熱運転モードと短時間放熱運転モードと長時間放熱運転モードの全モードにおいて、安定した圧力の過熱蒸気を蒸気タービンに供給できるため、安定した発電が可能である。
【0040】
本発明の第16の手段は、前記第6、9、13の何れかの手段において、前記高温蓄熱装置に充填される前記第2蓄熱媒体として溶融塩が用いられ、前記溶融塩を媒体循環ポンプによって循環させる溶融塩循環ラインを前記高温蓄熱装置に設け、前記媒体循環ポンプの流量を制御することにより、前記高温蓄熱装置の蓄熱量と放熱量を任意に調整可能としたことを特徴としている。第16の手段は、溶融塩の凝固を防止するのに適している。
【0041】
本発明の第17の手段は、前記第2、6、11、13の何れかの手段において、前記低温集熱装置として、線集光方式であるフレネル型またはトラフ型の集光・集熱装置が用いられ、前記高温集熱装置として、点集光方式であるタワー型の集光・集熱装置が用いられることを特徴としている。第17の手段は、太陽熱発電システムの低コスト化および簡素化により一層適している。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、上記した構成を備えているので、低コストで簡素な太陽熱発電システムを構築することができる。また、運転状態によって発電効率が大幅に低下することのない太陽熱発電システムを構築することができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図2図1に示す太陽熱発電システムにおいて、日照量の変化と、給水弁9の弁開度と、蓄熱装置8の蓄熱量と、発電機16の発電量との関係を示した図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図4図3に示す太陽熱発電システムの蓄熱運転モードの状態を示す図である。
図5図3に示す太陽熱発電システムの放熱運転モードの状態を示す図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図8図7に示す太陽熱発電システムの蓄熱運転モードの状態を示す図である。
図9図7に示す太陽熱発電システムの放熱運転モードの状態を示す図である。
図10】本発明の第5実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図11】本発明の第6実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図12図11に示す太陽熱発電システムの蓄熱運転モードの状態を示す図である。
図13図11に示す太陽熱発電システムの短時間放熱運転モードの状態を示す図である。
図14図11に示す太陽熱発電システムの長時間放熱運転モードの状態を示す図である。
図15】本発明の第7実施形態に係る太陽熱発電システムの概略構成図である。
図16図7に示す太陽熱発電システムにおいて、集熱装置の代わりにボイラを用いた場合の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の内容を下記に記載の実施形態にて詳細に説明するが、本発明が本実施形態にて制限されるものではない。
【0045】
「第1実施形態」
図1は、本発明の実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。この図において、符号1は給水ポンプ、符号2は太陽光を集光して水を加熱する低温集熱装置(集熱装置)、符号3は汽水分離装置、符号4は太陽光を集光して蒸気を加熱する高温集熱装置(集熱装置)、符号5は蒸気タービン、符号6はグランドコンデンサ、符号7は抽気弁、符号8は蓄熱装置、符号9および符号13は給水弁、符号10は給水用伝熱管、符号11は過熱蒸気用伝熱管、符号12は演算装置(第2制御装置)、符号14は流量計、符号15は流量表示盤、符号16は発電機、符号17は温度計、符号18は演算装置、符号19は温度計(温度検出器)、符号20は演算装置(第1制御装置)、符号21はスプレー弁、符号30は給水弁13から低温集熱装置2に供給される水の流量を計測する流量計(流量検出器)、符号31は汽水分離装置3の水位を計測する水位計(水位検出器)である。
【0046】
また、以降の説明では、各構成要素を結ぶ配管をライン○−○と表記する。前記の○には符号が入り、例えば、ライン1−13は給水ポンプ1と給水弁13を結ぶ配管を表している。また、ライン8−Cは、蓄熱装置8と分岐点Cを結ぶ配管を表している。
【0047】
この太陽熱発電システムは、図1に示すように、まず、給水ポンプ1から供給された水はライン1−13を通り、給水弁13により流量が調整され、ライン13−2を通り低温集熱装置2に送られる。この低温集熱装置2では太陽熱によって給水を加熱し、水−蒸気二相流体が生成する。生成した水−蒸気二相流体はライン2−3を通り汽水分離装置3に送られる。
【0048】
低温集熱装置2で生成した水−蒸気二相流体は汽水分離装置3で水と蒸気に分離され、分離された飽和蒸気はライン3−4を通り高温集熱装置4へ送られる。その高温集熱装置4に導入された飽和蒸気は、太陽熱でさらに加熱され、過熱蒸気が生成される。なお、汽水分離装置3で分離された水はライン3−1を通り給水ポンプ1入口へ送られる。
【0049】
高温集熱装置4で生成された過熱蒸気の一部は抽気され、ライン4−7を通り、抽気弁7で抽気量を調整され、ライン7−11を通り蓄熱装置8に送られる。熱伝達媒体である過熱蒸気の熱エネルギは、蓄熱装置8内の過熱蒸気用伝熱管11を流れる過程で、蓄熱装置8内に充填された蓄熱媒体と熱交換される。過熱蒸気は、蓄熱媒体と熱交換することによって水−蒸気二相流体となり、過熱蒸気用伝熱管11出口から流出する。この水−蒸気二相流体はライン8−3を通り汽水分離装置3へと導かれ、低温集熱装置2で生成された水−蒸気二相流体と合流する。そして、水−蒸気二相流体は、汽水分離装置3で再び水と蒸気に分離される。なお、本実施形態では、蓄熱媒体として硝酸カリウム(凝固点334℃)が用いられているが、これ以外にも、例えば硝酸ナトリウム(凝固点308℃)を用いることもできる。
【0050】
高温集熱装置4で生成された過熱蒸気で蓄熱装置8に抽気されなかった過熱蒸気はライン4−14を通り、流量計14で流量を測定され、ライン14−5を通り、蒸気タービン5に導かれる。この過熱蒸気により蒸気タービン5を回転し、その回転により発電機16で発電する仕組みになっている。なお、流量計14の流量を流量表示盤15に入力する。この流量表示盤15は流量が計画流量からはずれた場合に警報を鳴らす仕組みになっている。
【0051】
日射量の変動あるいは低下等により、そのとき得られる太陽熱のみでは作動流体(本実施形態では水)の加熱、即ち蒸気タービン5を駆動する過熱蒸気が不足する条件では、給水ポンプ1からの水が、ライン1−9を通り、給水弁9で流量を調整され、ライン9−8を通り、蓄熱装置8に送られる。蓄熱装置8に送られた水は給水用伝熱管10を通り蓄熱装置8内に充填した蓄熱媒体が持つ蓄熱エネルギと熱交換される。これにより、給水用伝熱管10出口で過熱蒸気が生成される。
【0052】
この給水用伝熱管10で生成された過熱蒸気はライン8−14を通り、流量計14で流量を測定され、ライン14−5を通り、蒸気タービン5に導かれる。この過熱蒸気により蒸気タービン5を回転し、その回転により発電機16を発電する仕組みになっている。つまり、蓄熱装置8で生成された過熱蒸気は、分岐点Cにて、高温集熱装置4からライン4−14を通る過熱蒸気と合流させることが可能である。
【0053】
ここで、蒸気タービン5から低温集熱装置2までのライン、即ち、ライン5−6、ライン6−1、ライン1−13、およびライン13−2で構成されるラインが、本発明の「給水ライン」に相当する。また、高温集熱装置4から蒸気タービン5までのライン、即ち、ライン4−14およびライン14−5で構成されるラインが、本発明の「過熱蒸気供給ライン」に相当する。
【0054】
また、ライン4−14の途中にある分岐点Bから、抽気弁7を経て、蓄熱装置8の過熱蒸気用伝熱管11の入口までのラインが、本発明の「第1ライン」に相当する。また、ライン1−13の途中にある分岐点Aから、給水弁9を経て、蓄熱装置8の給水用伝熱管10の入口までのラインが、本発明の「第2ライン」に相当する。また、蓄熱装置8から、ライン4−14の途中にある分岐点Cまでのラインが、本発明の「第3ライン」に相当する。また、汽水分離装置3から、ライン6−1の途中にある分岐点Dまでのラインが、本発明の「第4ライン」に相当する。また、蓄熱装置8の過熱蒸気用伝熱管11の出口から汽水分離装置3までのラインが、本発明の「第5ライン」に相当する。
【0055】
このように、本実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、低温集熱装置2と高温集熱装置4とによる二段階加熱方式の集熱装置で生成された過熱蒸気と、蓄熱装置8で生成された過熱蒸気とを並列で蒸気タービンに供給する構成を採用したことにより、日射量の変動あるいは低下等により、そのとき得られる太陽熱のみでは蒸気タービン5を駆動する過熱蒸気が不足するような状況であっても、蓄熱装置8で生成された過熱蒸気を迅速に蒸気タービン5に供給する(アシストする)ことができる。しかも、蓄熱装置8およびライン8−Cに太陽光を集光する装置を設ける必要がないため、システム構成の低コスト化および簡素化を図ることができる。
【0056】
ここで、蓄熱装置8は、蒸気タービン5へ供給する過熱蒸気の最大流量(Nm3/s)、温度、および圧力、蓄熱媒体の種類および熱容量等を考慮して、好適なものとなるように設計されている。また、本実施形態で用いた蓄熱装置8は、過熱蒸気用伝熱管11を流れる流体と給水用伝熱管10を流れる流体とが対向流となり、かつ、互いの伝熱管が近接するような配置となるよう構成されている。これは、熱伝達率を高めるためである。なお、蓄熱装置8の内部を断熱壁で区画して複数の空間を設けるようにしても良い。
【0057】
また、本実施形態の場合、ライン7−8の間にスプレー弁21が設けられており、スプレー量をスプレー弁21で調整することが可能な構成となっている。加えて、高温集熱装置4で加熱された過熱蒸気の温度を測定する温度計19がライン4−7に設けられており、その温度計19の計測信号を演算装置20の入力とし、スプレー弁21を調整することができるようになっている。これにより、ライン7−8を通る高温集熱装置4から抽気された過熱蒸気の温度を所定の温度未満に制御することが可能である。
【0058】
ここで、本実施形態では、上記した所定の温度を450℃に定めている。これは、過熱蒸気の温度が、蓄熱装置8に充填されている硝酸カリウムが劣化する温度である450℃以上にならないようにするためである。このように、スプレー弁21によって過熱蒸気の温度を調整することにより、蓄熱媒体の劣化を防いでいる。
【0059】
また、本実施形態では、流量計30と水位計31との検出信号を入力として、演算装置12が給水弁13および抽気弁7の弁開度を調整するようにしている。これにより、低温集熱装置2に送られる水の流量および蓄熱装置8に送られる過熱蒸気量を調整することが可能である。より詳細には、低温集熱装置2の出口温度が350℃に保たれるように、かつ、過熱蒸気用伝熱管11の出口温度が同じく350℃に保たれるように、給水弁13と抽気弁7の弁開度が制御される。これは、過熱蒸気の温度を、蓄熱装置8に充填されている硝酸カリウムの凝固点334℃よりも高い350℃にキープすることで、硝酸カリウムが凝固することを防止するためである。
【0060】
なお、給水弁13および抽気弁7の弁開度を調整しても過熱蒸気用伝熱管11の出口温度が350℃を超えるような場合には、演出装置20がスプレー弁21の弁開度を大きくするよう制御することで、過熱蒸気用伝熱管11の入口温度を下げることができる。
【0061】
このように、本実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、蓄熱媒体である硝酸カリウムが凝固しにくい構成であるため、硝酸カリウムの凝固を防止するために大型の撹拌器を設ける必要はない。よって、設備コストを抑えることができる。また、本実施形態に係る太陽熱発電システムでは、低温集熱装置2から汽水分離装置3に供給された350℃程度の水−蒸気二相流体だけでなく、蓄熱装置8から汽水分離装置3に供給された350℃程度の水−蒸気二相流体をも汽水分離装置3に回収して水と飽和蒸気とに分離し、飽和蒸気のみを高温集熱装置4に供給することができる。したがって、高温集熱装置4に供給する飽和蒸気量が増加(熱回収量が増加)し、熱効率が向上する。
【0062】
さらに、ライン14−5の流体温度を測定する温度計17を設け、その温度計17の計測信号を演算装置18に入力する。これにより、演算装置18で給水弁9の開度を変化させ、蓄熱装置8への給水量を調整することが可能である。
【0063】
次に、本実施形態に係る太陽熱発電システムを用いた場合の運転状況について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る太陽熱発電システムにおいて、日照量の変化と、給水弁9の弁開度と、蓄熱装置8の蓄熱量と、発電機16の発電量との関係を示したものである。図2の横軸は時刻をとり、(a)は日の出、(b)はDNI(法線面直達日射量)変動開始時、(c)はDNI変動終了時、(d)は日の入の時刻を表している。また、図2(1)の符号22は日中のDNI、図2(2)の符号23は給水弁9の弁開度、図2(3)の符号24は日中のDNI22と弁開度23に応じた蓄熱量、図2(4)の符号26は蓄熱装置8を設置した場合の発電量の一例である。なお、図2(4)の符号25は蓄熱装置8を設置しない場合の発電量の一例である。
【0064】
図2に示すように、時刻(a)以後、DNIの増加とともに、蓄熱量(3)と発電量(4)が増加し、計画発電量で安定する。雲等の影響で日中のDNIが低下する時刻(b)と時刻(c)の時間では、給水弁9の弁開度を(2)のように上げ、ライン9−8の給水量を増加させ、(3)のように蓄熱エネルギを熱交換し過熱蒸気を生成することで、(4)の蓄熱装置8を設置した場合の発電量26のように安定した発電が可能となる。一方、蓄熱装置8を設置しない場合25では発電量が日中のDNIの変動により、一時的に発電量が不安定になる。さらに、蓄熱装置8を設置した場合26では、時刻(c)以後も蓄熱エネルギによる発電が可能となる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、蓄熱装置8にて過熱蒸気を生成するための集熱装置を別個に設ける必要がないため、設備コストおよび建設コストを低減できる。また、本実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、蓄熱装置8に充填される蓄熱媒体(本実施形態では硝酸カリウム)の温度が所定の温度範囲内に保たれているので、蓄熱媒体の凝固や劣化を防止できる。そのため、蓄熱媒体の凝固を防ぐための撹拌器等の設置は不要となるため、設備コストを抑えられるうえ、蓄熱媒体が劣化しにくくなるため、設備の保全コストも抑えることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る太陽熱発電システムは、水(蒸気)以外の熱搬送媒体を用いることなく蓄熱装置8に熱を蓄えることができる構成である。別言すれば、本実施形態は、粘性の高い流体(例えば、オイルや溶融塩)を熱搬送媒体として用いる必要がないシステムである。そのため、高粘性流体の凝固を防止するために配管を加熱する装置を設ける必要がなく、設備を簡素化できる。しかも、流体が水であるため、高粘性流体を取り扱う場合に比べて安価なポンプを使用できる。
【0067】
また、高温集熱装置4を例えばタワー装置にした場合、地上から40m〜150m程度の高さまで流体を揚送する必要があるが、本実施形態では、汽水分離装置3を設け、高温集熱装置4へ飽和蒸気のみを送ることが可能な構成としたので、水−蒸気二相流体用のポンプよりも比較的安価な過熱蒸気用ポンプを設置することができる。よって、設備コストが低減する。
【0068】
また、本実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、スプレー弁21により蓄熱装置8に供給する過熱蒸気の温度を調整できるから、蓄熱装置8の過熱蒸気用伝熱管11の損傷を低減することもできる。加えて、本実施形態では、蓄熱装置8に充填されている蓄熱媒体の温度を例えば、450℃弱に保つことができるので、夜間でも蓄熱装置8のみで過熱蒸気を生成することができる。これにより、夜間の発電において、火力発電等によるバックアップが不要である。そのため、本実施形態に係る太陽熱発電システムは、燃料コストおよびCO2排出量の低減にも寄与することになる。
【0069】
続いて、本発明の第2〜第7実施形態にかかる太陽熱発電システムについて、順番に説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0070】
「第2実施形態」
図3は、本発明の第2実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。この図において、符号1は給水ポンプ、符号2は低温集熱装置、符号3は汽水分離装置、符号4は高温集熱装置、符号5は蒸気タービン、符号6はグランドコンデンサ、符号16は発電機、符号38は媒体循環ポンプ、符号39は主循環ポンプ、符号41は主蒸気弁、符号42a〜eは切替弁、符号43は流量調整弁、符号45は給水加熱器、符号46はタンク、符号51は高温蓄熱装置、符号60は給水中の溶存酸素を低減・除去する脱気器である。
【0071】
グランドコンデンサ6と、脱気器60と、給水ポンプ1と、給水加熱器45と、タンク46と、主循環ポンプ39と、低温集熱装置2とを繋いで形成されるライン6−2が低温集熱装置2に水を供給する「給水ライン」であり、高温集熱装置4と蒸気タービン5とを繋いで形成されるライン4−5が蒸気タービン5に過熱蒸気を供給する「過熱蒸気供給ライン」である。また、ラインB−51(No.1)は本発明の「第1ライン」に、ラインC−51(No.3)は本発明の「第3ライン」に、ライン3−46(No.4)は本発明の「第4ライン」に、ライン3−51(No.6)は本発明の「第6ライン」に、ライン51−60(No.7)は本発明の「第7ライン」に、それぞれ相当する。なお、各種弁、ポンプ等は図示しない演算装置によって作動が制御されている。
【0072】
図3に示すように、第2実施形態に係る太陽熱発電システムは、主に、汽水分離装置3で分離された飽和蒸気を高温蓄熱装置51に供給するライン3−51を備えている点で第1実施形態に係る太陽熱発電システムと相違する。この第2実施形態に係る太陽熱発電システムの運転モードについて、図4および図5を用いて説明する。図4は、第2実施形態に係る太陽熱発電システムの蓄熱運転モード時の運転状態を、図5は同システムの放熱運転モード時の運転状態を、それぞれ示している。
【0073】
なお、図中、矢印は作動流体(蒸気または水)の流れの方向を、実線は作動流体が通過するラインを、点線は運転中クローズされるラインを、それぞれ示している。また、同図中、黒色に塗り潰された弁は閉じた状態であることを示しており、白色で塗り潰された弁は開いた状態であることを示している。
【0074】
<蓄熱運転モード>
図4に示すように、水は給水ポンプ1により給水加熱器45へと送られ、給水加熱器45にて蒸気タービン5からの抽気蒸気により予熱された後に、ライン45−46を通ってタンク46に貯留される。タンク46の水は主循環ポンプ39により低温集熱装置2に送られ、太陽のエネルギにより加熱されることで、水−蒸気二相流体となる。低温集熱装置2で生成された水−蒸気二相流体は、ライン2−3を流れた後、汽水分離装置3で飽和蒸気と飽和水とに分離される。飽和蒸気は高温集熱装置4に供給され、太陽エネルギによりさらに加熱されて過熱蒸気となる。一方、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、ライン3−46を流れてタンク46に貯留される。即ち、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、給水ポンプ1から供給される給水と合流する。
【0075】
高温集熱装置4で生成された過熱蒸気はライン4−5を通って、蒸気タービン5に供給され、蒸気タービン5が駆動する。蒸気タービン5が駆動することで、蒸気タービン5に接続された発電機16が発電する。蒸気タービン5の排気蒸気はグランドコンデンサ6で水に戻され、脱気器60を流れた後、再び給水ポンプ1によりタンク46へ給水される。
【0076】
ライン4−5を流通する過熱蒸気の一部は、分岐点Bで分岐し、切替弁42bを通って高温蓄熱装置51に供給される。高温蓄熱装置51には伝熱管が設置されており、伝熱管内を過熱蒸気が流通し、伝熱管の外部を第2蓄熱媒体(例えば、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなど)が流通することで熱交換が行われ、高温の過熱蒸気の持つ熱エネルギの一部が第2蓄熱媒体に移動することで蓄熱される。ここで、高温蓄熱装置51を通過した過熱蒸気の蒸気乾き度が0よりも大きくなるように、媒体循環ポンプ38および流量調整弁43で第2蓄熱媒体の循環量が調整されている。即ち、高温蓄熱装置51に充填されている第2蓄熱媒体としての溶融塩が固まらない温度に制御されている。高温蓄熱装置51を通過した蒸気は、ライン51−60を流れて脱気器60へと戻され、脱気後、再び給水として利用される。なお、ライン51−38、ライン38−43、ライン43−51で構成される環状のラインが、本発明の「溶融塩循環ライン」に相当する。
【0077】
<放熱運転モード>
図5に示すように、水は給水ポンプ1により給水加熱器45へと送られ、給水加熱器45にて蒸気タービン5からの抽気蒸気により予熱された後に、ライン45−46を通ってタンク46に貯留される。タンク46の水は主循環ポンプ39により低温集熱装置2に送られ、太陽のエネルギにより加熱されることで、水−蒸気二相流体となる。低温集熱装置2で生成された水−蒸気二相流体は、ライン2−3を流れた後、汽水分離装置3で飽和蒸気と飽和水とに分離される。
【0078】
飽和蒸気は高温蓄熱装置51に供給され、高温蓄熱装置51に充填された第2蓄熱媒体と熱交換することにより過熱蒸気となる。高温蓄熱装置51で生成された過熱蒸気は、ライン51−C、ラインC−5を流れて蒸気タービン5に供給される。一方、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、ライン3−46を流れてタンク46に貯留される。即ち、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、給水ポンプ1から供給される給水と合流する。
【0079】
このように、第2実施形態に係る太陽熱発電システムは、構成を簡素化できるうえ、蓄熱運転モードと放熱運転モードとで蒸気タービン5の入口圧力をほぼ同等とすることができるから、両運転モードでの発電効率に殆ど差が生じない。また、水を循環させて再利用できるため、水資源の無駄を削減できる。さらに、第2実施形態に係る太陽熱発電システムによれば、日中の日射量の変動に対して発電出力を平準化する効果も期待できる。なお、第2実施形態に係る太陽熱発電システムは、曇りや雨の日が多く、放熱運転の時間が短い場合に適している。
【0080】
「第3実施形態」
図6は、本発明の第3実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。第3実施形態に係る太陽熱発電システムは、第2実施形態に係る太陽熱発電システムの構成のうち、低温集熱装置2としてフレネル式の集光・集熱装置を用い、高温集熱装置4としてタワー式の集光・集熱装置を用いた点に特徴があるが、その他の構成は第2実施形態と同じである。そのため、重複する説明は省略する。
【0081】
図6に示すタワー式集光・集熱装置は、所定の高さ(30〜100m程度)を有するタワー71の上に伝熱管パネル72が設置される。一方、地上面には多数のヘリオスタット70を色々な向きに配置される。そして、太陽の動きを追尾しながらヘリオスタット70群で伝熱管パネル72に集光して、過熱蒸気が生成される。このタワー式の集光・集熱装置は、トラフ式やフレネル式の集光・集熱装置よりも高温の蒸気を生成することができるため、タービン効率を上げて、より多くの電力が得られるという長所を有している。
【0082】
また、同図に示すフレネル式の集光・集熱装置は、平面状あるいは若干曲面状の集光ミラー65を、角度を少しずつ変えて多数枚並べて、その集光ミラー65群の上方数メートルの所にパネル状になった伝熱管66群を水平に配置して構成される。そして、太陽光を集光ミラー65群で伝熱管66群に集光し、各伝熱管66内を流通する水を加熱して、伝熱管66から水−蒸気二相流体が生成される。勿論、本実施形態において、フレネル式の集光・集熱装置に代えて、トラフ式の集光・集熱装置を用いても良い。トラフ式やフレネル式の集光・集熱装置を用いることにより、構造を簡素化することができる。
【0083】
「第4実施形態」
図7は、本発明の第4実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。この図において、符号1は給水ポンプ、符号2は低温集熱装置、符号3は汽水分離装置、符号4は高温集熱装置、符号5は蒸気タービン、符号6はグランドコンデンサ、符号16は発電機、符号36は昇圧ポンプ、符号37は副循環ポンプ、符号38は媒体循環ポンプ、符号39は主循環ポンプ、符号40は給水弁、符号41は主蒸気弁、符号42b〜d,42f〜jは切替弁、符号43は流量調整弁、符号45は給水加熱器、符号46はタンク、符号50は低温蓄熱装置、符号51は高温蓄熱装置、符号53は副汽水分離装置である。
【0084】
グランドコンデンサ6と、給水ポンプ1と、給水加熱器45と、タンク46と、主循環ポンプ39と、低温集熱装置2とを繋いで形成されるライン6−2が低温集熱装置2に水を供給する「給水ライン」であり、高温集熱装置4と蒸気タービン5とを繋いで形成されるライン4−5が蒸気タービン5に過熱蒸気を供給する「過熱蒸気供給ライン」である。また、ラインB−51(No.1)は本発明の「第1ライン」に、ラインA−50(No.2)は本発明の「第2ライン」に、ラインC−51(No.3)は本発明の「第3ライン」に、ライン3−46(No.4)は本発明の「第4ライン」に、ライン51−50(No.8)は本発明の「第8ライン」に、ライン50−E(No.9)は本発明の「第9ライン」に、ライン50−53およびライン53−51(No.10)は本発明の「第10ライン」に、ライン53−F(No.11)は本発明の「第11ライン」に、それぞれ相当する。なお、各種弁、ポンプ等は図示しない演算装置によって作動が制御されている。
【0085】
図7に示すように、第4実施形態に係る太陽熱発電システムは、主に、低温蓄熱装置50と高温蓄熱装置51の2つの蓄熱装置を備えている点で第1実施形態に係る太陽熱発電システムと相違する。この第4実施形態に係る太陽熱発電システムの運転モードについて、図8および図9を用いて説明する。図8は、第4実施形態に係る太陽熱発電システムの蓄熱運転モード時の運転状態を、図9は同システムの放熱運転モード時の運転状態を、それぞれ示している。
【0086】
なお、図中、矢印は作動流体(蒸気または水)の流れの方向を、実線は作動流体が通過するラインを、点線は運転中クローズされるラインを、それぞれ示している。また、同図中、黒色に塗り潰された弁は閉じた状態であることを示しており、白色で塗り潰された弁は開いた状態であることを示している。
【0087】
<蓄熱運転モード>
図8に示すように、水は給水ポンプ1により給水加熱器45へと送られ、給水加熱器45にて蒸気タービン5からの抽気蒸気により予熱された後に、ライン45−46を通ってタンク46に貯留される。タンク46の水は主循環ポンプ39により低温集熱装置2に送られ、太陽のエネルギにより加熱されることで、水−蒸気二相流体となる。低温集熱装置2で生成された水−蒸気二相流体は、ライン2−3を流れた後、汽水分離装置3で飽和蒸気と飽和水とに分離される。飽和蒸気は高温集熱装置4に供給され、太陽エネルギによりさらに加熱されて過熱蒸気となる。一方、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、ライン3−46を流れてタンク46に貯留される。即ち、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、給水ポンプ1から供給される給水と合流する。
【0088】
高温集熱装置4で生成された過熱蒸気はライン4−5を通って、蒸気タービン5に供給され、蒸気タービン5が駆動する。蒸気タービン5が駆動することで、蒸気タービン5に接続された発電機16が発電する。蒸気タービン5の排気蒸気はグランドコンデンサ6で水に戻され、再び給水ポンプ1によりタンク46へ供給される。
【0089】
ライン4−5を流通する過熱蒸気の一部は、分岐点Bで分岐し、切替弁42bを通って高温蓄熱装置51に供給される。この高温蓄熱装置51において過熱蒸気と第2蓄熱媒体である溶融塩との間で熱交換が行われ、溶融塩に熱が蓄えられる。勿論、本実施形態にいても、溶融塩が固まらないようにするために、媒体循環ポンプ38および流量調整弁43の作動を制御して高温蓄熱装置51の出口の蒸気乾き度が0よりも大きくなるようしている。
【0090】
高温蓄熱装置51を通過した蒸気は、ライン51−50を流れて低温蓄熱装置50に導入される。低温蓄熱装置50に導入された蒸気は、低温蓄熱装置50の内部に充填された第1蓄熱媒体(例えば、相変化蓄熱媒体である硝酸リチウム;LiNO)と熱交換することで凝縮水となる。その凝縮水は、昇圧ポンプ36で昇圧された後、給水ラインに戻され再び給水として利用される。
【0091】
<放熱運転モード>
図9に示すように、水は給水ポンプ1により供給され、蒸気タービン5からの抽気蒸気により給水加熱器45で予熱された後に、ライン45−A、ラインA−50の順に通って、低温蓄熱装置50に供給される。低温蓄熱装置50に供給された水は、低温蓄熱装置50の内部に充填された第1蓄熱媒体と熱交換することで水−蒸気二相流体となり、ライン50−53を流れた後、副汽水分離装置53で飽和蒸気と飽和水とに分離される。飽和水は副循環ポンプ37で給水ラインに戻され、飽和蒸気はライン53−51を流れて高温蓄熱装置51に供給される。高温蓄熱装置51に供給された飽和蒸気は、高温蓄熱装置51に充填されている第2蓄熱媒体と熱交換して過熱蒸気となり、その過熱蒸気がライン51−C、ラインC−5を順に流れて蒸気タービン5に供給される。
【0092】
このように、第4実施形態に係る太陽熱発電システムは、構成を簡素化できるうえ、蓄熱運転モードと放熱運転モードとで蒸気タービン5の入口圧力をほぼ同等とすることができるから、両運転モードでの発電効率に殆ど差が生じない。なお、第4実施形態に係る太陽熱発電システムは、日中の日射量が多く、かつ変動が小さい環境下で用いると好適である。例えば、日中は蓄熱運転モードでの運転を行い、夜間に放熱運転モードでの運転を行うことにより、1日中発電することができる。
【0093】
「第5実施形態」
図10は、本発明の第5実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。第5実施形態に係る太陽熱発電システムは、第4実施形態に係る太陽熱発電システムの構成のうち、低温集熱装置2としてフレネル式の集光・集熱装置を用い、高温集熱装置4としてタワー式の集光・集熱装置を用いた点に特徴があるが、その他の構成は第4実施形態と同じである。また、図10に示すタワー式の集光・集熱装置およびフレネル式の集光・集熱装置は、第3実施形態において用いた各装置と同じ構成である。そのため、ここでの説明は省略する。第5実施形態に係る太陽熱発電システムにおいても、第4実施形態と同様に蓄熱運転モードおよび放熱運転モードの両モードの運転を行うことができ、同等の作用効果を得ることができる。
【0094】
「第6実施形態」
図11は、本発明の第6実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。第6実施形態例に係る太陽熱発電システムは、第4実施形態に係る太陽熱発電システムの構成に、汽水分離装置3から高温蓄熱装置51に向かうライン3−51を追加し、当該ライン3−51に切替弁42eを組み込むと共に、汽水分離装置3から高温集熱装置4に向かうライン3−4に切替弁42aを組み込んで構成される。別言すれば、第2実施形態に係る太陽熱発電システムで用いられるライン3−51、切替弁42a,42eの構成を、第4実施形態に係る太陽熱発電システムに組み込んだ構成が、本発明の第6実施形態に係る太陽熱発電システムである。
【0095】
次に、この第6実施形態に係る太陽熱発電システムの運転モードについて、図12図14を用いて説明する。図12は、第6実施形態に係る太陽熱発電システムの蓄熱運転モード時の運転状態を、図13は同システムの短時間放熱運転モード時の運転状態を、図14は同システムの長時間放熱運転モード時の運転状態を、それぞれ示している。
【0096】
なお、図中、矢印は作動流体(蒸気または水)の流れの方向を、実線は作動流体が通過するラインを、点線は運転中クローズされるラインを、それぞれ示している。また、同図中、黒色に塗り潰された弁は閉じた状態であることを示しており、白色で塗り潰された弁は開いた状態であることを示している。
【0097】
<蓄熱運転モード>
図12に示すように、水は低温集熱装置2、高温集熱装置4を経て最終的に過熱蒸気となって蒸気タービン5に供給される。蒸気タービン5から排出された蒸気は、グランドコンデンサ6によって復水され、再び低温集熱装置2へと給水される。また、過熱蒸気供給ラインを流れる過熱蒸気の一部は、高温蓄熱装置51、低温蓄熱装置50の順に流れる間に、高温蓄熱装置51の第2蓄熱媒体、低温蓄熱装置50の第1蓄熱媒体とそれぞれ熱交換され、各蓄熱装置に熱が蓄えられる。なお、本実施形態における蓄熱運転モードは、第4実施形態と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0098】
<短時間放熱運転モード>
図13に示すように、水は給水ポンプ1により給水加熱器45へと送られ、給水加熱器45にて蒸気タービン5からの抽気蒸気により予熱された後に、ライン45−46を通ってタンク46に貯留される。タンク46の水は主循環ポンプ39により低温集熱装置2に送られ、太陽のエネルギにより加熱されることで、水−蒸気二相流体となる。低温集熱装置2で生成された水−蒸気二相流体は、ライン2−3を流れた後、汽水分離装置3で飽和蒸気と飽和水とに分離される。飽和蒸気は、ライン3−51を通って高温蓄熱装置51に供給され、高温蓄熱装置51内の第2蓄熱媒体と熱交換して過熱蒸気となる。その過熱蒸気は、ライン51−C、ラインC−5を順に流れて蒸気タービン5に供給される。一方、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、ライン3−46を流れてタンク46に貯留される。即ち、汽水分離装置3にて分離された飽和水は、給水ポンプ1から供給される給水と合流する。
【0099】
<長時間放熱運転モード>
図14に示すように、水は給水ポンプ1により供給され、蒸気タービン5からの抽気蒸気により給水加熱器45で予熱された後に、ライン45−A、ラインA−50の順に流れて低温蓄熱装置50に供給される。低温蓄熱装置50に供給された水は、低温蓄熱装置50の内部に充填された第1蓄熱媒体と熱交換することで水−蒸気二相流体となり、ライン50−53を流れた後、副汽水分離装置53で飽和蒸気と飽和水とに分離される。飽和水は副循環ポンプ37で給水ラインに戻され、飽和蒸気はライン53−51を流れて高温蓄熱装置51に供給される。高温蓄熱装置51に供給された飽和蒸気は、高温蓄熱装置51に充填されている第2蓄熱媒体と熱交換して過熱蒸気となり、その過熱蒸気がライン51−C、ラインC−5を順に流れて蒸気タービン5に供給される。
【0100】
このように、第6実施形態に係る太陽熱発電システムは、構成を簡素化できるうえ、蓄熱運転モード、短時間放熱運転モード、および長時間放熱運転モードの全運転モードにおいて、蒸気タービン5の入口圧力をほぼ同等とすることできるから、全運転モードでの発電効率に殆ど差が生じない。なお、第6実施形態に係る太陽熱発電システムは、長時間の放熱運転と短時間の放熱運転の両方を行うことができるから、多様なニーズに答えることができる。
【0101】
「第7実施形態」
図15は、本発明の第7実施形態に係る太陽熱発電システムの構成図である。第7実施形態に係る太陽熱発電システムは、第6実施形態に係る太陽熱発電システムの構成のうち、低温集熱装置2としてフレネル式の集光・集熱装置を用い、高温集熱装置4としてタワー式の集光・集熱装置を用いた点に特徴があるが、その他の構成は第6実施形態と同じである。また、図15に示すタワー式の集光・集熱装置およびフレネル式の集光・集熱装置は、第3実施形態において用いた各装置と同じ構成である。そのため、ここでの説明は省略する。第7実施形態に係る太陽熱発電システムにおいても、第6実施形態と同様に蓄熱運転モード、短時間放熱運転モード、および長時間放熱運転モードでの運転を行うことができ、同等の作用効果を得ることができる。
【0102】
なお、本発明に係る太陽熱発電システムは、ボイラを用いた火力発電プラントに組み込み、太陽熱と火力とが複合した発電プラントとして用いても良いことは言うまでもない。例えば、図16に示すように、第4実施形態に係る太陽熱発電システムの構成のうち、低温集熱装置2および高温集熱装置4の代わりにボイラ80を用いて蒸気を生成する構成としても良い。なお、図16において、符号80はボイラ、符号81はボイラ節炭器、符号82はボイラ水壁、符号83はボイラ過熱器である。この構成であっても、第4実施形態と同様に蓄熱運転モードと放熱運転モードでの運転を行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1…給水ポンプ、2…低温集熱装置(集熱装置)、3…汽水分離装置、4…高温集熱装置(集熱装置)、5…蒸気タービン、6…グランドコンデンサ、7…抽気弁、8…蓄熱装置、9…給水弁、10…給水用伝熱管、11…過熱蒸気用伝熱管、12…演算装置(第2制御装置)、13…給水弁、14…流量計、15…流量計表示盤、16…発電機、17…温度計、18…演算装置、19…温度計(温度検出器)、20…演算装置(第1制御装置)、21…スプレー弁、30…流量計(流量検出器)、31…水位計(水位検出器)、36…昇圧ポンプ、37…副循環ポンプ、38…媒体循環ポンプ、39…主循環ポンプ、40…給水弁、41…主蒸気弁、42a〜j…切替弁、43…流量調整弁、45…給水加熱器、46…タンク、50…低温蓄熱装置、51…高温蓄熱装置、53…副汽水分離装置、60…脱気器、80…ボイラ、81…ボイラ節炭器、82…ボイラ水壁、83…ボイラ過熱器、A〜F…分岐点、No.1〜No.11…第1〜第11ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16