特許第5984940号(P5984940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984940希土類元素を含むシンチレーション化合物およびその形成プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984940
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】希土類元素を含むシンチレーション化合物およびその形成プロセス
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/00 20060101AFI20160823BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20160823BHJP
   C09K 11/70 20060101ALI20160823BHJP
   C09K 11/76 20060101ALI20160823BHJP
   C09K 11/56 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C09K11/00 E
   C09K11/61CPF
   C09K11/70CPW
   C09K11/76CPX
   C09K11/56CPD
【請求項の数】15
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2014-531135(P2014-531135)
(86)(22)【出願日】2012年5月15日
(65)【公表番号】特表2014-526587(P2014-526587A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012059055
(87)【国際公開番号】WO2013041251
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】1158467
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/540,326
(32)【優先日】2011年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2011/003028
(32)【優先日】2011年11月16日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】504455713
【氏名又は名称】サン−ゴバン クリストー エ デテクトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ブラウタ
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール・ウスペンスキー
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/068130(WO,A1)
【文献】 特開2001−294853(JP,A)
【文献】 特開2009−046598(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0082484(US,A1)
【文献】 特開平07−252476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00− 11/89
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、さらにドーパントを含んでなり、該ドーパントが、二価状態の異なる元素を少なくとも5原子ppmの濃度で含むものであるシンチレーション材料
【請求項2】
前記ドーパントが、前記シンチレーション材料の少なくとも11原子ppmの濃度である、請求項1に記載のシンチレーション材料
【請求項3】
前記ドーパントが、前記シンチレーション材料の5原子%以下の濃度である、請求項1または2に記載のシンチレーション材料
【請求項4】
前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する原子比が、少なくとも1/90である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシンチレーション材料
【請求項5】
前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する原子比が、90/1以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレーション材料
【請求項6】
シンチレーション材料であって、ドーパントと、該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度での四価状態の希土類元素とを含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、前記ドーパントが、第2族元素、Zn、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなるものであるシンチレーション材料
【請求項7】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、金属ハロゲン化物を含んでなるものであるシンチレーション材料
【請求項8】
前記金属ハロゲン化物が、混合金属ハロゲン化物である、請求項7に記載のシンチレーション材料
【請求項9】
前記金属ハロゲン化物が、混合ハロゲン金属ハロゲン化物である、請求項7または8に記載のシンチレーション材料
【請求項10】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、金属−リン−酸素化合物を含んでなるものであるシンチレーション材料
【請求項11】
前記金属−リン−酸素化合物が、金属亜リン酸塩、金属リン酸塩、または第2族金属リン酸塩ハロゲン化物を含んでなる、請求項10に記載のシンチレーション材料
【請求項12】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、金属−酸素−硫黄化合物を含んでなるものであるシンチレーション材料
【請求項13】
前記金属−酸素−硫黄化合物が、金属オキシ硫化物を含んでなる、請求項12に記載のシンチレーション材料
【請求項14】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、金属−酸素−ハロゲン化合物を含んでなるものであるシンチレーション材料
【請求項15】
シンチレーション材料であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション材料の少なくとも10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではなく、さらに三価状態の前記希土類元素の他の原子を含んでなり、前記他の原子がシンチレーション材料の主成分であるものであるシンチレーション材料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、希土類元素を含むシンチレーション化合物、それらの形成プロセス、およびかかる化合物を伴うシンチレータを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シンチレータは、医療用イメージングに使用でき、石油およびガス業界では検層に使用でき、環境モニタリング、セキュリティー用途にも、ならびに核物理学分析および用途にも使用できる。シンチレータは、希土類元素を含むシンチレーション化合物を含み、該希土類元素は、該化合物中のドーパントである場合もあり、または該化合物中に主成分として存在する場合もある。シンチレーション化合物のさらなる改善が望まれている。
【0003】
実施形態を添付の図面に例として図示するが、添付の図面に制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】ある実施形態によるシンチレーション化合物を有するシンチレータを含む装置の実例を含む図である。
図2】アニールされている試料およびアニールされていない別の試料についての吸光度スペクトルを含む図である。
図3】アニールされている試料およびアニールされていない別の試料についてのプロット熱ルミネッセンス強度を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
これらの図中の要素が簡単・明瞭に図示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことは、当業者には理解される。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解の増進に役立つように他の要素に対して拡大されていることがある。
【0006】
本明細書に開示する教示の理解を助けるために、以下の説明を図との組み合わせで提供する。以下の論述は、本教示の特定の実行および実施形態に主眼を置くことにする。この主眼は、本教示の説明を助けるために提供するものであり、それを本教示の範囲または適用可能性に対する限定と解釈すべきでない。
【0007】
下で説明する実施形態の詳細に取り組む前に、幾つかの用語を定義し、明らかにする。元素周期表中の縦列に対応する族数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000)に見られるような「新表記法(New Notation)」規則を用いている。
【0008】
本明細書において用いる場合、色空間は、国際照明委員会(Commission Internationale de l’eclairage:「CIE」)1976により指定されたとおりL*、a*およびb*座標によって表す。前記3座標は、色の明度(L*=0は黒色になり、およびL*=100は拡散白色を示す;鏡面反射白色は、より高いだろう)、赤色/マゼンタと緑色の間のその位置(a*、負の値は緑色を示し、その一方で正の値はマゼンタを示す)、および黄色と青色の間のその位置(b*、負の値は青色を示し、および正の値は黄色を示す)を表す。
【0009】
化合物中の特定の元素を指すときの文字「M」は、金属元素を意味することを意図したものである。例えば、M2+を用いて二価金属を表す。M3+を用いて三価金属を表し、これは、ある実施形態では希土類元素であることがあり、および別の実施形態では、希土類元素以外の三価金属、例えばAl、Ga、Sc、Inまたはこれらに類するものであることもある。
【0010】
化合物中の特定の元素を指すときの用語「主成分」は、その元素が、ドーパントとは対照的に、その化合物についての分子式の一部として存在することを意図したものである。化合物中のドーパントは、典型的には5原子%以下の濃度で存在する。一例として、CeドープLaBr(LaBr:Ce)は、主成分であるLaおよびBrと、ドーパントとしてのおよび主成分でないCeとを含む。
【0011】
用語「希土類」または「希土類元素」は、Y、La、および元素周期表におけるランタニド(CeからLu)を意味することを意図したものである。化学式では、希土類を「RE」によって表すことができる。希土類元素は、別段の明確な断り書きがない限り、三価状態である。したがって、RE(価電子状態(valance state)指定なし)およびRE3+を交換可能に用いることができる。
【0012】
本明細書において用いる場合、用語「含んでなる(comprises)」、「含んでなること(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有すること(having)」、またはそれらの任意の他の変型は、非排他的包含をカバーすることを意図したものである。例えば、特徴のリストを含んでなるプロセス、方法、物品または装置は、それらの特徴のみに必ずしも限定されず、明確に列挙されていないまたはかかるプロセス、方法、物品もしくは装置に固有の他の特徴を含むことができる。さらに、相反する別段の明記がない限り、「または」は、包含的−またはを指し、排他的−またはを指さない。例えば、条件AまたはBは、次のうちのいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、およびAとBの両方が真である(または存在する)。
【0013】
「a」または「an」の使用を利用して、本明細書に記載する要素および成分を説明する。単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために、これを行う。この記載を、1または少なくとも1を含むように読むべきであり、別段の意図があることが明白でない限り単数形は複数形も含み、逆もまた同じである。
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書において用いるすべての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。材料、方法および実施例は、例証的なものに過ぎず、限定することを意図したものではない。本明細書に記載しないほど、特定の材料および加工行為に関する多くの詳細は従来どおりであり、シンチレーションおよび放射線検出技術分野内の教科書または他の情報源においてそれらを見つけることができる。
【0015】
シンチレータは、希土類元素を含むシンチレーション化合物を含むことができる。前記希土類元素は、前記シンチレーション化合物中に主成分として存在することもあり、またはドーパントとして存在することもある。特定のシンチレーション化合物中で、特定の希土類元素は成分であることができ、および異なる希土類元素はドーパントであることができる。例えば、CsLiLuCl:Ceは、Luを主成分としておよびCeをドーパントとして含む。ドーパントとして存在するとき、前記希土類元素は、ある実施形態では少なくとも約1000原子ppmまたは少なくとも約5000原子ppmの濃度でシンチレーション化合物中に存在することがあり(may present within)、および別の実施形態では約200,000ppm原子ppm以下または約100,000原子ppm以下であることがある。
【0016】
前記希土類元素は、三価状態であることができる。四価状態であることがある希土類元素、例えば、Ce、PrおよびTbもあり、二価状態を含むことができる希土類元素、例えばNd、Sm、Eu、Dy、TmおよびYbもある。かかる元素は、そのシンチレーション化合物についてのシンチレーションメカニズムの一部として有用であり得る。二価または四価状態の有意な量の希土類元素を有することにより、シンチレーションプロセスの一定の段階を不必要にすることができる。
【0017】
二価または四価状態の希土類元素が多すぎると、電子電荷不平衡を引き起こすことがあり、またことによると電子もしくは正孔トラップまたは他の望ましくない効果(affects)を生じさせることがある。電子電荷不平衡の明らかな証拠を結晶の色の変化として観察することができる。目視検査すると、実質的に透明であり得るシンチレーション化合物がより黄色またはオレンジ色になることがある。電子電荷平衡を維持するために、異なる価電子状態(valance state)を有する別の元素が存在して、シンチレーション化合物における総合電荷の平衡の保持を助長することができる。理論上は、主成分のすべてを二価、三価または四価状態の希土類元素、および一価、二価または四価状態の別の元素によって置換することができる。
【0018】
必要ないが、かかる他の元素は、より良好に希土類金属元素をその望ましい価電子状態でいさせるために1つだけの価電子状態(valance state)を有してもよい。例えば、第2族元素およびZnは二価状態であり、一価状態も三価状態も有さない。第2族元素およびZnとは異なり、他の金属元素、例えば、Cu、Ti、Fe、および希土類元素の多くは、1つより多くの価電子状態を有する。かかる他の金属元素を除外しないが、それらの存在は、望ましくない還元・酸化(レドックス)反応を引き起こすことがある。
Ce4++Fe2+←→Ce3++Fe3+
【0019】
上の式中、Ce4+は望ましいだろうが、レドックス反応はシンチレーション化合物中のCe4+の濃度を低下させることがあり、かかるより低い濃度は望ましくないことがある。
【0020】
本明細書における概念を用いて説明されるようなシンチレーション化合物は、三価状態のみの希土類元素(単数または複数)を有する、および電子の電荷に影響を及ぼすために添加される他の元素を有さない、対応するシンチレーション化合物と比較して、高い光出力、より低いエネルギー分解能、より低い残光、より良好な比例性、より短い減衰時間、またはそれらの任意の組み合わせを有することができる。
【0021】
1.M3+主成分またはドーパントのRE4+およびM2+での置換
三価状態の希土類元素を含むこともありまたは含まないこともある、三価状態の金属元素(一般にM3+と示す)は、シンチレーション化合物中の主成分またはドーパントであることができ、それを四価状態の希土類元素(RE4+)および二価状態の元素(M2+)、例えば、第2族元素(アルカリ土類金属)、Zn、またはそれらの任意の組み合わせによって置換することができる。LuAl12:Ceは、シンチレータ化合物であり、Lu、AlまたはCeの一部またはすべてがRE4+とM2+の組み合わせによって置換されていることがある。非限定的な例として、前記シンチレータ化合物をLu(3−x−y)RE4+CaAl12によって表すことができる。RE4+は、四価状態の単一の希土類元素または希土類元素の組み合わせを表すことができる。特定の例として、RE4+は、Ce4+、Pr4+、Tb4+、またはそれらの組み合わせであることがある。Caを別の第2族元素、例えば、Mg、BaもしくはSr、またはZnによって部分的にまたは完全に置換することができる。Alの一部分は、Luの代わりにまたはLuに加えてRE4+とCaの組み合わせによって置換されていることがある。
【0022】
ある実施形態では、RE4+、M2+、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppm、少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約60原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmであることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE4+、M2+、または両方の各々は、ドーパント(単数または複数)を使用する利点が有意である得る場合には少なくとも約20原子ppmであってよく、別の特定の実施形態において、RE4+、M2+、または両方の各々は、より高濃度の活性化物質を使用する特定の化合物では少なくとも約110原子ppmであってよい。別の実施形態では、四価状態の前記希土類元素、二価状態の前記元素、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下であることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE4+、M2+、または両方の各々は、前記シンチレーション化合物中に独立した相が形成し得る場合には約5000原子ppm以下であってよく、および別の特定の実施形態において、RE4+、M2+、または両方の各々は、特定のシンチレーション化合物の偏析係数がより大量の組み込みをより難しくすることがあるため約900原子ppm以下であってもよい。さらに別の特定の実施形態において、RE4+、M2+、または両方の各々は、相対的に高濃度の活性化物質を必要としない特定の化合物では約500原子ppm以下であってもよい。
【0023】
RE4+およびM2+を等原子量で添加してもよい;しかし、等量のRE4+およびM2+を必要としない。さらなる実施形態では、相対的に、RE4+:M2+の比は、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である。なおさらなる実施形態では、相対的に、RE4+:M2+の比は、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である。特定の実施形態において、RE4+:M2+の比は、前記シンチレーション化合物中の許容され得る電荷平衡を維持するために約1:3から約3:1の範囲であってもよい。より特定の実施形態において、RE4+:M2+の比は、前記シンチレーション化合物中のよりいっそう良好な電荷平衡をもたらすように維持するために約1:1.5から約1.5:1の範囲であってもよい。
【0024】
さらに、GdAl12:Ceにおいて、CeドーピングをRE4+およびM2+によって部分的にまたは完全に置換することができる。REがCeであるとき、Ce4+の量を全セシウム含有量の分率として表すことができる。ある実施形態において、Ce4+は、前記シンチレーション化合物中の全セシウム含有量(Ce3+およびCe4+)の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である。特定の実施形態では、Ce4+が全セシウム含有量の少なくとも約5%であるとき、シンチレーション特性の改善を検出することができ、この改善は、Ce4+が全セシウム含有量の少なくとも約30%であるとき、より有意になる。別の実施形態において、Ce4+は、前記シンチレーション化合物中の全セシウム含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である。別の特定の実施形態において、シンチレーション特性の改善は、Ce4+が全セシウム含有量の少なくとも約100%であるときに最高であることができ、この改善は、Ce4+が全セシウム含有量の少なくとも約90%であるとき、同様に有意であることができる。
【0025】
別の実施形態では、異なる二価金属原子、例えば、主成分として存在することができる二価金属原子をさらに添加しなくてもよい。例えば、BaLaB13は、該シンチレーション化合物中に存在する二価金属元素、すなわちBa、を既に有する。この実施形態では、RE4+でLaの一部分を置換することができる。例えば、BaLa(1−x)RE4+13が例示的化合物であることができる。このように、二価が既に存在するので、追加のBaを必要としないことがある。
【0026】
明らかに、M3+のRE4+およびM2+での置換は、上で説明した特定のシンチレーション化合物に限定されない。例えば、YAG組成物の場合、Yの一部が共ドーパントの形態でのRE4+とM2+の組み合わせによって置換されていることがある、例えばYAl12:Pr4+,Ca。本明細書中で後ほど、他のシンチレーション化合物を説明するが、かかる他のシンチレーション化合物に関しては、三価状態の特定の金属元素または金属元素の組み合わせを四価状態の希土類元素および二価状態の金属元素によって部分的にまたは完全に置換することができる。
【0027】
2.M3+主成分またはドーパントのRE2+およびM4+での置換
希土類元素または別の三価元素がシンチレーション化合物中の主成分またはドーパントである場合があり、それを二価状態の希土類元素(RE2+)および四価状態の元素(M4+)、例えば、Zr、Hf、またはそれらの任意の組み合わせによって置換することができる。BaAl10MgO17は、シンチレーション化合物であり、Alの一部またはすべてがRE2+とM4+の組み合わせによって置換されていることがある。非限定的な例として、前記シンチレーション化合物をBaAl(10−x−y)RE2+HfMgO17によって表すことができる。RE2+は、二価状態の単一の希土類元素または希土類元素の組み合わせを表すことができる。特定の例として、RE2+は、Nd2+、Sm2+、Eu2+、Dy2+、Tm2+、Yb2+、またはそれらの組み合わせであることができる。HfをZrによって部分的にまたは完全に置換することができる。
【0028】
ある実施形態では、RE2+、M4+、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppm、少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmであることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE2+、M4+、または両方の各々は、ドーパント(単数または複数)を使用する利点が有意である得る場合には少なくとも約20原子ppmであってよく、別の特定の実施形態において、RE2+、M4+、または両方の各々は、より高濃度の活性化物質を使用する特定の化合物中に少なくとも約110原子ppmであってもよい。別の実施形態では、四価状態の前記希土類元素、二価状態の前記元素、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下であることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE2+、M4+、または両方の各々は、前記シンチレーション化合物中に独立した相が形成し得る場合には約5000原子ppm以下であってよく、および別の特定の実施形態において、RE2+、M4+、または両方の各々は、特定のシンチレーション化合物の偏析係数がより大量の組み込みをより難しくすることがあるため約900原子ppm以下であってもよい。さらに別の特定の実施形態において、RE2+、M4+、または両方の各々は、相対的に高濃度の活性化物質を必要としない特定の化合物では約500原子ppm以下であってもよい。
【0029】
RE2+およびM4+を等原子量で添加してもよい;しかし、等量のRE2+およびM4+を必要としない。さらなる実施形態では、相対的に、RE2+:M4+の比は、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である。なおさらなる実施形態では、相対的に、RE2+:M4+の比は、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である。特定の実施形態において、RE2+:M4+の比は、前記シンチレーション化合物中の許容され得る電荷平衡を維持するために約1:3から約3:1の範囲であってもよい。より特定の実施形態において、RE2+:M4+の比は、前記シンチレーション化合物中のよりいっそう良好な電荷平衡をもたらすように維持するために約1:1.5から約1.5:1の範囲であってもよい。
【0030】
さらに、BaAl10MgO17:Eu、このEuドーピングをRE2+およびM4+によって部分的にまたは完全に置換することができる。RE2+がEu2+であるとき、Eu2+の量を全ユーロピウム含有量の分率として表すことができる。ある実施形態において、Eu2+は、前記シンチレーション化合物中の全ユーロピウム含有量(Eu2+およびEu3+)の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である。特定の実施形態では、Eu2+が全ユーロピウム、含有量、の少なくとも約5%であるとき、シンチレーション特性の改善を検出することができ、この改善は、RE2+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約30%であるとき、より有意になる。別の実施形態において、Eu2+は、前記シンチレーション化合物中の全ユーロピウム含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である。別の特定の実施形態において、シンチレーション特性の改善は、Eu2+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約100%であるときに最高であることができ、この改善は、Eu2+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約90%であるとき、同様に有意であることができる。
【0031】
別の実施形態では、異なる四価金属原子、例えば、主成分として存在することができる四価金属原子をさらに添加しなくてもよい。例えば、CaHfOは、該シンチレーション化合物中に存在する四価金属元素、すなわちHf、を既に有する。この実施形態では、RE2+でCaの一部分を置換することができる。例えば、Ca(1−x)RE2+HfOが例示的化合物であり得る。このように、四価が既に存在するので、追加のHfを必要としないことがある。
【0032】
明らかに、M3+のRE2+およびM4+での置換は、上で説明した特定のシンチレーション化合物に限定されない。例えば、GdClは、Gdの一部が共ドーパントの形態でのRE2+とM4+の組み合わせによって置換されていることがある、例えばGdCl:Eu2+,Zr。本明細書中で後ほど、他のシンチレーション化合物を説明するが、かかる他のシンチレーション化合物に関しては、三価状態の特定の金属元素または金属元素の組み合わせを二価状態の希土類元素および四価状態の金属元素によって部分的にまたは完全に置換することができる。
【0033】
3.M2+主成分またはドーパントのRE3+およびM1+での置換
第2族元素は二価状態であり、シンチレーション化合物中の主成分である場合がある。前記第2族元素をRE3+およびM1+、例えば、第1族元素(アルカリ金属)、Ag、またはそれらの任意の組み合わせで一部分置換することができる。BaFIは、シンチレータ化合物の一例である。そのBaの一部をRE3+およびM1+によって置換することができる。非限定的な例として、前記シンチレータ化合物をBa(1−x−y)RE3+FIによって表すことができる。RE3+は、三価状態の単一の希土類元素または希土類元素の組み合わせを表すことができる。Kを別の第1族元素またはAgによって部分的にまたは完全に置換することができる。
【0034】
ある実施形態では、RE3+、M1+、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppm、少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmであることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE3+、M1+、または両方の各々は、ドーパント(単数または複数)を使用する利点が有意である得る場合には少なくとも約20原子ppmであってよく、別の特定の実施形態において、RE3+、M1+、または両方の各々は、より高濃度の活性化物質を使用する特定の化合物では少なくとも約110原子ppmであってもよい。別の実施形態では、四価状態の前記希土類元素、二価状態の前記元素、または両方の各々が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下であることができるように、xおよびyの値を選択することができる。特定の実施形態において、RE3+、M1+、または両方の各々は、前記シンチレーション化合物中に独立した相が形成し得る場合には約5000原子ppm以下であってよく、および別の特定の実施形態において、RE3+、M1+、または両方の各々は、特定のシンチレーション化合物の偏析係数がより大量の組み込みをより難しくすることがあるため約900原子ppm以下であってもよい。さらに別の特定の実施形態において、RE3+、M1+、または両方の各々は、相対的に高濃度の活性化物質を必要としない特定の化合物では約500原子ppm以下であってもよい。
【0035】
RE3+およびM1+を等原子量で添加してもよい;しかし、等量のRE3+およびM1+を必要としない。さらなる実施形態では、相対的に、RE3+:M1+の比は、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である。なおさらなる実施形態では、相対的に、RE3+:M1+の比は、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である。特定の実施形態において、RE3+:M1+の比は、前記シンチレーション化合物中の許容され得る電荷平衡を維持するために約1:3から約3:1の範囲であってもよい。より特定の実施形態において、RE3+:M1+の比は、前記シンチレーション化合物中のよりいっそう良好な電荷平衡をもたらすように維持するために約1:1.5から約1.5:1の範囲であってもよい。
【0036】
さらに、BaFI:Eu2+において、Eu2+ドーピングをRE3+およびM1+によって部分的にまたは完全に置換することができる。RE3+がEu3+であるとき、Eu3+の量を全ユーロピウム含有量の分率として表すことができる。ある実施形態において、Eu3+は、前記シンチレーション化合物中の全ユーロピウム含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である。特定の実施形態では、Eu3+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約5%であるとき、シンチレーション特性の改善を検出することができ、この改善は、Eu3+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約30%であるとき、より有意になる。別の実施形態において、Eu3+は、前記シンチレーション化合物中の全ユーロピウム含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である。別の特定の実施形態において、シンチレーション特性の改善は、Eu3+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約100%であるときに最高であることができ、この改善は、Eu3+が全ユーロピウム含有量の少なくとも約90%であるとき、同様に有意であることができる。
【0037】
別の実施形態では、異なる一価金属原子、例えば、主成分として存在することができる一価金属原子をさらに添加しなくてもよい。例えば、BaKPOは、該シンチレーション化合物中に存在する一価金属元素、すなわちK、を既に有する。この実施形態では、RE3+でBaの一部分を置換することができる。例えば、Ba(1−x)RE3+KPOが例示的化合物であり得る。このように、一価が既に存在するので、追加のKを必要としないことがある。
【0038】
明らかに、M2+のRE3+およびM1+での置換は、上で説明した特定のシンチレーション化合物に限定されない。例えば、NaSrPOは、Srの一部が共ドーパントの形態でのRE3+とM1+の組み合わせによって置換されていることがある、例えばNaSrPO:Eu3+,K。本明細書中で後ほど、他のシンチレーション化合物を説明するが、かかる他のシンチレーション化合物に関しては、二価状態の特定の金属元素または金属元素の組み合わせを三価状態の希土類元素および一価状態の金属元素によって部分的にまたは完全に置換することができる。
【0039】
X線吸収端近傍分光法(X−ray Absorption Near−Edge Spectroscopy:XANES)を用いて、RE2+、RE3+およびRE4+含有量を測定することができる。この測定をシンクロトロン装置で行うことができる。X線ビームは、試料を通り抜け、そしてRE2+、RE3+またはRE4+のみを含有する1つ以上の対照を通り抜ける。その試料について得られたXANESスペクトルを、選択した対照のものの線形結合に容易に当てはめてRE2+、RE3+、RE4+またはそれらの任意の組み合わせの存在を確認すること、ならびにRE2+、RE3+およびRE4+の相対含有量を判定することができる。セシウムについては、CeFまたはCe(NOをCe3+対照として使用することができ、CeOをCe4+対照として使用することができる。Ce4+の存在を決定するための別の方法は、結晶の吸光度(光学密度とも呼ばれる)を測定する段階、およびその結晶の357nmでの吸光度のその結晶の280nmでの吸光度に対する比、参照A357/A280、を決定する段階を含むことができる。
【0040】
4.例示的化合物
本明細書に記載の概念を多くの異なるシンチレーション化合物に適用できる。シンチレーション化合物についての多くの異なる式を本明細書に提供する。特定の表記法を特定のタイプの元素に用いる。例えば、REを用いて、単一の希土類元素または希土類元素の組み合わせを表すことができ、およびLnを用いて、REとは異なる単一の希土類元素または希土類元素の組み合わせを表すことができる。Mを用いて、単一の金属元素または金属元素の組み合わせを表すことができる。下の式のいずれにおいても、Mは、1つ以上の希土類元素を含むことがあり;あるいは、下の式のいずれにおいても、Mは、一切の希土類元素を含まないことがある。価電子状態(valance state)が与えられている式では、対応する元素は、その価電子状態のみ有することができる(例えば、M2+は、アルカリ土類元素であることができ、M4+は、HfまたはZrであることができる)。
【0041】
一部の実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属ハロゲン化物であることがある。前記金属ハロゲン化物は、第2族ハロゲン化物または希土類ハロゲン化物であることがある。前記シンチレーション化合物は、混合金属ハロゲン化物であることがあり、この場合の混合金属ハロゲン化物は、主成分として金属の組み合わせを含む。ある実施形態において、前記混合金属ハロゲン化物には、第1族−希土類金属ハロゲン化物、第2族−希土類金属ハロゲン化物を挙げることができる。別の例として、混合ハロゲン金属ハロゲン化物には、第2族−X1−X2金属ハロゲン化物を挙げることができ、この場合のX1およびX2は、異なるハロゲンである(例えば、BaBrI)。
【0042】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
M12+(1−x−y)RE3+M21+ (式1)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0043】
RE13+(1−a−b)RE24+2+ (式2)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
aおよびbの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0044】
RE13+(1−a−b)RE22+4+ (式3)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
aおよびbの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0045】
1+X:RE13+(z−a−b)RE24+M22+ (式4)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、bおよびzの各々は、0以上かつ0.01以下であり;
zは、0.0001以上かつ0.01以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.01未満である)。
【0046】
1+X:RE13+(z−a−b)RE22+M24+ (式5)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、bおよびzの各々は、0以上かつ0.01以下であり;
zは、0.0001以上かつ0.01以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.01未満である)。
【0047】
M12+(1−x−y)RE13+M21+RE23+(1−a−b)RE34+M32+ (式6)
(式中、
M12+およびM32+の各々は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE24+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0048】
M11+RE13+(1−a−b)RE24+M22+ (式7)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M22+は、二価金属原子であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
aおよびbの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0049】
M11+RE13+(1−a−b)RE22+M24+ (式8)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
aおよびbの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(a+b)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0050】
M11+M22+(1−x−y)RE13+M31+RE23+(1−a−b)RE34+M42+ (式9)
(式中、
M11+およびM31+の各々は、一価金属元素であり、この場合のM11+およびM31+は、同じ一価金属元素であってもよく、または異なる一価金属元素であってもよく;
M32+およびM42+の各々は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE23+は、三価希土類元素であり;
RE34+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0051】
M11+M22+(1−x−y)RE13+M31+RE23+(1−a−b)RE32+M44+ (式10)
(式中、
M11+およびM31+の各々は、一価金属元素であり、この場合のM11+およびM31+は、同じ一価金属元素であってもよく、または異なる一価金属元素であってもよく;
M22+は、二価金属元素であり;
M44+は、四価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE32+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0052】
M12+(2−2x−2y)RE13+2xM21+2yRE23+(1−a−b)RE34+M32+ (式11)
(式中、
M12+およびM32+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM32+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M21+は、一価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE34+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0053】
M12+(2−2x−2y)RE13+2xM21+2yRE23+(1−a−b)RE32+M34+ (式12)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M34+は、四価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE32+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0054】
M11+(3−3x−3y)RE13+3xM21+3yRE23+(2−2a−2b)RE34+2aM32+2b (式13)
(式中、
M11+およびM21+の各々は、一価金属元素であり、この場合のM11+およびM21+は、同じ一価金属元素であってもよく、または異なる一価金属元素であってもよく;
M32+は、二価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE34+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0055】
M11+(3−3x−3y)RE13+3xM21+3yRE23+(2−2a−2b)RE32+2aM34+2b (式14)
(式中、
M11+およびM21+の各々は、一価金属元素であり、この場合のM11+およびM21+は、同じ一価金属元素であってもよく、または異なる一価金属元素であってもよく;
M34+は、四価金属元素であり;
RE13+およびRE23+の各々は、三価希土類元素であり、この場合のRE13+およびRE23+は、同じ希土類元素であってもよく、または異なる希土類元素であってもよく;
RE32+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0056】
上の式の中で、式2および7は、シンチレーション化合物としての使用に特によく適している。
【0057】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、BaGdCl、BaYCl、BaBr、BaBrI、BaCl、BaF、BaGdCl、BaI、BaY、BiF、CaF、CaI、CsLiCeCl、CsLiLuCl、CsLiYBr、CsLiYCl、CsNaLaBr、CsNaLuBr、CsNaYBr、CsCeCl、CsGd、CsLaBr、CsLu、CsLuI、CsBa、CsCeCl、CsGd、CsI、CsY、GdBr、GdCl、KCeBr、KLaCl、KYF、KLu、KLuF、KYF、La(1−x)CeBr、LaCeF、La(1−x)CeCl、LaF、LaI、LiYCl、LiI、Lu(1−x)Gd、Lu(1−x)、LuBr、LuCl、LuI、PbCl、PrBr、PrF、RbCeBr、LiCaAlF、RbLiYBr、RbGdBr、SrBr、SrF、SrI、YCl、またはこれらに類するものが挙げられ、ここでのxは、0から1にわたり得る。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0058】
さらに別の実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属酸化物であることがある。前記シンチレーション化合物は、単一の金属酸化物、例えば三価金属酸化物であることもあり、または混合金属酸化物(この場合の金属酸化物は、異なる金属の組み合わせを主成分として含む)であることもある。例えば、前記混合金属酸化物は、二価金属−四価金属酸化物、希土類アルミン酸塩、または希土類−二価金属アルミニウムガーネットであることがある。
【0059】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
【0060】
M13+(2−2x−2y)RE4+2xM22+2y (式15)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0061】
M13+(2−2x−2y)RE2+2xM24+2y (式16)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0062】
M13+(8−8x−8y)RE4+8xM22+8y12 (式17)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0063】
M13+(8−8x−8y)RE2+8xM24+8y12 (式18)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0064】
M12+(1−x−y)RE3+M21+M34+ (式19)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M34+は、四価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0065】
M12+M23+(12−12x−12y)RE4+12aM32+12b19 (式20)
(式中、
M12+およびM32+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM32+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0066】
M12+M23+(12−12x−12y)RE2+12aM34+12b19 (式21)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M34+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0067】
M12+(2−2x−2y)RE13+M21+M33+(10−10a−10b)RE24+10aM42+10b17 (式22)
(式中、
M12+およびM42+の各々は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0068】
M12+(2−2x−2y)RE13+M21+M33+(10−10a−10b)RE22+10aM44+10b17 (式23)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M44+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素である;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0069】
上の式の中で、式15および17は、シンチレーション化合物としての使用に特によく適している。
【0070】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、BaAl10MgO17、BaAl1219、BaHfO、CaHfO、Gd、Gd(3−3x)3xGa(5−5y)Al5y12、GdScAl12、GdAl1024、GdAlO、La、LaAlO、Lu、LuAl12、LuAl12、LuAlO、SrHfO、Y、YAlO、またはこれらに類するものが挙げられ、ここでのxは、0から1にわたり得る。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0071】
さらに別の実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属−ホウ素−酸素化合物であることがある。前記金属−ホウ素−酸素化合物は、単一の金属ホウ酸塩もしくはオキシホウ酸塩であることもあり、または混合金属ホウ酸塩もしくはオキシホウ酸塩(この場合の金属ホウ酸塩もしくはオキシホウ酸塩は、金属の組み合わせを主成分として含む)であることもある。ある実施形態において、前記金属−ホウ素−酸素化合物は、第1族−希土類金属ホウ酸塩、第2族金属ホウ酸塩、第2族−希土類金属ホウ酸塩、第2族−希土類金属オキシホウ酸塩、または第2族金属ボロオキシハロゲン化物(borooxyhalide)であることがある。
【0072】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
【0073】
M12+(3−3x−3y)RE3+3xM21+3y(BO (式24)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0074】
M13+(1−x−y)RE4+M22+(BO (式25)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0075】
M13+(1−x−y)RE2+M24+(BO (式26)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0076】
M13+(1−x−y)RE4+M22+ (式27)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0077】
M13+(1−x−y)RE2+M24+ (式28)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0078】
M13+(4−4x4−y)RE4+4xM22+4y(BO (式29)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0079】
M13+(4−4x4−y)RE2+4xM24+4y(BO (式30)
(式中、
M13+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0080】
M12+(2−2x−2y)RE3+2xM21+2yX (式31)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0081】
M12+M23+(1−x−y)RE4+M32+13 (式32)
(式中、
M12+およびM32+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM32+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M32+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0082】
M12+M23+(1−x−y)RE2+M34+13 (式33)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M34+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0083】
M11+M23+(1−x−y)RE4+M32+(BO (式34)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M32+は、二価金属元素であり;
RE4+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0084】
M11+M23+(1−x−y)RE2+M34+(BO (式35)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M23+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M34+は、四価金属元素であり;
RE2+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0085】
M12+(1−x−y)RE13+M21+M33+(1−a−b)RE24+M42+BO (式36)
(式中、
M12+およびM42+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM42+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0086】
M12+(1−x−y)RE13+M21+M33+(1−a−b)RE22+M44+BO (式37)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M42+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0087】
M12+(1−x−y)RE13+M21+M33+(1−a−b)RE24+M42+10 (式38)
(式中、
M12+およびM42+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM42+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0088】
M12+(1−x−y)RE13+M21+M33+(1−a−b)RE22+M44+10 (式39)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M44+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0089】
M12+(3−3x−3y)RE13+3xM21+3yM33+(1−a−b)RE24+M42+(BO (式40)
(式中、
M12+およびM42+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM42+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0090】
M12+(3−3x−3y)RE13+3xM21+3yM33+(1−a−b)RE22+M44+(BO (式41)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M44+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0091】
M12+(4−4x−4y)RE13+4xM21+4yM33+(1−a−b)RE24+M42+(BO (式42)
(式中、
M12+およびM42+の各々は、二価金属元素であり、この場合のM12+およびM42+は、同じ二価金属元素であってもよく、または異なる二価金属元素であってもよく;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0092】
M12+(4−4x−4y)RE13+4xM21+4yM33+(1−a−b)RE22+M44+(BO (式43)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
M33+は、三価金属元素であり、該三価金属元素は、三価希土類元素を含むこともあり、含まないこともあり;
M44+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
a、b、xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)および(a+b)のいずれかまたは両方が0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0093】
上の式の中で、式25、29、34、40および42は、シンチレーション化合物としての使用に特によく適している。
【0094】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、BaCl、BaCa(BO、BaGd(BO3)、CaYO(BO、CaLaB13、CaYBO、GdB、GdBO、LaB、LaBO、LaMgB10、LiGd(BO、LiY(BO、LuBO、ScBO、YAl12、YBO、またはこれらに類するものが挙げられる。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0095】
さらに別の実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属−リン−酸素化合物であることがある。前記金属−リン−酸素化合物は、金属亜リン酸塩または金属リン酸塩であることがある。前記金属−リン−酸素化合物は、単一の金属亜リン酸塩もしくはリン酸塩であることもあり、または混合金属亜リン酸塩もしくはリン酸塩(この場合の金属亜リン酸塩もしくはリン酸塩は、金属の組み合わせを主成分として含む)であることもある。ある実施形態において、金属−リン化合物としては、一価金属−希土類金属亜リン酸塩、第2族−希土類金属亜リン酸塩、第2族金属リン酸塩、または第2族金属リン酸塩ハロゲン化物を挙げることができる。
【0096】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
【0097】
M12+(1−x−y)RE3+M21+ (式44)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0098】
M12+(2−2x−2y)RE3+2xM21+2y (式45)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0099】
M12+(3−3x−3y)RE3+3xM21+3y13 (式46)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0100】
M12+(3−3x−3y)RE3+3xM21+3y(PO (式47)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0101】
M12+(5−5x−5y)RE3+5xM21+5y(POX (式48)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0102】
M12+(1−x−y)RE3+M21+BPO (式49)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0103】
M12+(3−3x−3y)RE3+3xM21+3yB(PO (式50)
(式中、
M12+は、二価金属元素であり;
M21+は、一価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0104】
M11+M22+(1−x−y)RE3+M31+PO (式51)
(式中、
M11+およびM31+の各々は、一価金属元素であり、この場合のM11+およびM31+は、同じ一価金属元素であってもよく、または異なる一価金属元素であってもよく;
M22+は、二価金属元素であり;
RE3+は、三価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0105】
RE13+(1−x−y)RE24+2+PO (式52)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0106】
RE13+(1−x−y)RE22+4+PO (式53)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0107】
RE13+(1−x−y)RE24+2+ (式54)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0108】
RE13+(1−x−y)RE22+4+ (式55)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0109】
RE13+(1−x−y)RE24+2+14 (式56)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0110】
RE13+(1−x−y)RE22+4+14 (式57)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0111】
M11+RE13+(1−x−y)RE24+M22+ (式58)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0112】
M11+RE13+(1−x−y)RE22+M24+ (式59)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0113】
M11+RE13+(1−x−y)RE24+M22+(PO (式60)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0114】
M11+RE13+(1−x−y)RE22+M24+(PO (式61)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0115】
M11+RE13+(1−x−y)RE24+M22+(PO (式62)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M22+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0116】
M11+RE13+(1−x−y)RE22+M24+(PO (式63)
(式中、
M11+は、一価金属元素であり;
M24+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0117】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、AgGd(PO、Ba、Ba(PO、BaB(PO、Ba13、Ba(POF、BaKPO、BaP、Ca(POF、CaBPO、CeP14、CsGd(PO、CsLuP、CsYP、KLu(PO、KGd(PO、LuP、KYP、LiCaPO、LiGd(PO、LuPO、NaBaPO、NaGd(PO、NaLuP、RbLuP、RbYP、Sr(POF、またはこれらに類するものが挙げられる。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0118】
さらに別の実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属−酸素−硫黄化合物であることがある。前記金属−酸素−硫黄化合物は、単一の金属オキシ硫化物であることもあり、または混合金属オキシ硫化物(この場合の金属オキシ硫化物は、金属の組み合わせを主成分として含む)であることもある。ある実施形態において、前記金属−酸素−硫黄化合物は、金属オキシ硫化物、例えば希土類金属オキシ硫化物であることがある。
【0119】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
【0120】
RE13+(2−2x−2y)RE24+2x2+2yS (式64)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0121】
RE13+(2−2x−2y)RE22+2x4+2yS (式65)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE22+は、二価希土類元素であり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0122】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、GdS、LaS、またはこれらに類するものが挙げられる。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0123】
なおまたさらなる実施形態において、前記シンチレーション化合物は、金属−酸素−ハロゲン化合物であることがある。前記金属金属−酸素−ハロゲン化合物は、単一の金属オキシ硫化物であることもあり、または混合金属オキシ硫化物(この場合の金属オキシ硫化物は、金属の組み合わせを主成分として含む)であることもある。ある実施形態において、前記金属−酸素−ハロゲン化合物は、金属オキシハロゲン化物、例えば希土類金属オキシハロゲン化物であることがある。
【0124】
下記は、化合物のファミリーについての非限定的、例示的式である。
【0125】
RE13+(1−x−y)RE24+2+OX (式66)
(式中、
2+は、二価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、四価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0126】
RE13+(1−x−y)RE22+4+OX (式67)
(式中、
4+は、四価金属元素であり;
RE13+は、三価希土類元素であり;
RE24+は、二価希土類元素であり;
Xは、ハロゲンであり;
xおよびyの各々は、0以上かつ0.2以下であり;および
(x+y)は、0.0001以上かつ0.2未満である)。
【0127】
上で言及した式に従って変更することができる例示的化合物としては、GdOBr、GdOCl、GdOF、GdOI、LaOBr、LaOCl、LaOF、LaOI、LuOBr、LuOCl、LuOF、LuOI、YOBr、YOCl、YOF、またはこれらに類するものが挙げられる。上述の化合物の各々は、それらの化学式とともに与えられていない希土類ドーパントを含むことがある。
【0128】
多くのシンチレーション化合物を本明細書に開示するが、該シンチレーション化合物は、使用することができるシンチレーション化合物を例証するためのものであり、限定するためのものではない。本明細書を読んだ後、他のシンチレーション化合物を使用することができ、かかる他のシンチレーション化合物が主成分としてまたはドーパントとして希土類元素を含むことは当業者には理解されるであろう。
【0129】
上の式中、価電子状態(valance state)によって指定される各元素は、同じ価電子状態(valance state)を有する単一の元素であることもあり、または元素の組み合わせであることもある。例えば、式中のM1+は、第1族元素(例えば、Li、Na、K、Rb、もしくはCs)、Agのうちのいずれか1つであることがあり、またはかかる元素の組み合わせ(例えば、CsLi、CsNa、RbLi、もしくはこれらに類するもの)であることもできよう。式中のM2+は、第2族元素(Be、Mg、Ca、Sr、もしくはBa)、Znであることがあり、またはかかる元素の組み合わせ(例えば、CaMg、CaSr、SrBa、もしくはこれらに類するもの)であることもできよう。三価状態の金属は、第13族元素、三価状態の希土類元素、またはそれらの組み合わせであることがある。例えば、シンチレータ化合物は、希土類アルミニウムガーネットを含むことができ、M3+を希土類とAlの両方に使用することがある。四価状態の金属は、Zr、Hf、またはそれらの組み合わせであることがある。金属元素に類似して、式中のXは、単一のハロゲン(例えば、F、Cl、Br、もしくはI)を表すこともあり、またはハロゲンの組み合わせ(例えば、ClBr、BrI、もしくはこれらに類するもの)を表すこともある。したがって、ドーパント(単数または複数)を、もしあれば、除いて、前記シンチレーション化合物は、実質的に単一の金属化合物、混合金属化合物、または混合ハロゲン化合物であることができる。
【0130】
前記シンチレーション化合物は、単結晶の形態であることができ、または多結晶材料として存在することができる。単結晶の形態のシンチレーション化合物は、融合ゾーン法(fusion zone technique)、チョクラルスキー(Czochralski)、ブリッジマン(Bridgman)、またはエッジフィード成長(edge feed growth:EGF)法を用いて形成することができる。融合ゾーン法で、結晶シードが固体の一端と接触していて熱源が局所領域(その固体の一部分)をその結晶付近で溶融状態にならせるように、固体材料を加工することができる。その溶融材料付近の雰囲気の温度は、少なくとも約1600℃または少なくとも1800℃の温度であり、約2200℃以下、または約2100℃以下であるだろう。
【0131】
熱源が結晶から遠ざかるにつれて、溶融部分は単結晶性になり、種結晶からより遠い新たな局所領域が溶融される。固体の残りが結晶化されてしまうまでこのプロセスを継続する。そこの固体をそのプロセス中に垂直方向または水平方向に配向させることができる。ゾーンメルト法およびフローティングゾーン法のような特定の結晶成長法は、融合ゾーン法として公知の一般表記に属している。融合ゾーン法は、化学種の揮発または偏析が、結晶状態になることができるドーパントの量を制限し得るようなチョクラルスキーまたはブリッジマン成長法より、高レベルのドーパントを組み込むことが可能であり得る。前記シンチレーション化合物は、多結晶材料の形態であることがある。かかる材料は、か焼、プレス、焼結、またはそれらの任意の組み合わせを用いて形成することができる。ある実施形態では、多結晶粉末(熱水法によって、またはアルカリ溶液での沈殿によって、または気相によって得られる)、該粉末を、ことによると、バインダを使用してもしくは使用せずに圧縮する、またはゾルゲル法により熱的に高密度化するもしくは集合させる。さらなる実施形態において、前記化合物は、単結晶もしくは多結晶繊維(マイクロ引き下げ法によってもしくはEFGによって得られる)であることがあり、または薄膜(CVDによって得られる)であることがあり、または多結晶ガラス−セラミックであることがある。前記シンチレーション化合物を、透過性であり得るホスト材料、例えばガラスまたはプラスチックまたは液体または結晶に組み込むことができる。前記ホスト材料を使用して、前記シンチレーション化合物を間接的に励起させることができる。
【0132】
前記シンチレーション化合物の組成に依存して、該シンチレーション化合物は、形成中にまたは形成後アニール中に還元性雰囲気に曝露されることがあり、または酸化性雰囲気に曝露されることもある。前記シンチレーション化合物が、二価状態および三価状態で存在する希土類元素を含むとき、還元性雰囲気を用いてかかる化合物を形成することができる。ある実施形態において、シンチレータ化合物は、二価状態であり得るEu、Eu2+、および三価状態であり得るEu、Eu3+を含むことがある。二価希土類元素を使用するとき、四価元素、例えばZrまたはHfも使用することがある。ZrおよびHfは三価状態を有さない、または三価状態に容易に還元されないので、二価状態の希土類金属を有するシンチレーション化合物を形成するときに還元性雰囲気でZrまたはHfを還元する尤度は、実質的にゼロである。
【0133】
還元性雰囲気としては、還元性化学種、不活性ガス、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。前記還元性化学種としては、H、N、CH、および別の適する還元性化学種、またはこれらに類するものを挙げることができる。CHを還元性化学種として使用する場合、形成温度でCOが形成されるようにOを添加することができる。ある実施形態において、前記還元性雰囲気は、少なくとも約1.1容量%、少なくとも約2容量%、少なくとも約4容量%の前記還元性化学種を含み、および別の実施形態において、前記還元性雰囲気は、100容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、約20容量%以下、または約9容量%以下の前記還元性化学種を含む。絶対圧力に関しては、ある実施形態において、前記還元性雰囲気は、少なくとも約1.1kPa、少なくとも約2kPa、少なくとも約4kPaの還元性化学種を含んでなり、および別の実施形態において、前記還元性雰囲気は、101kPa以下、約75kPa以下、約50kPa以下、約20kPa以下、または約9kPa以下の前記還元性化学種を含む。
【0134】
前記不活性ガスは、希ガス、例えばHe、Ne、Ar、別の希ガス、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。ある実施形態において、前記還元性雰囲気は、少なくとも約1.1容量%、少なくとも約5容量%、少なくとも約11容量%、少なくとも約15容量%、または少なくとも約20容量%の前記不活性ガスを含み、および別の実施形態において、前記還元性雰囲気は、100容量%以下、約90容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、または約40容量%以下の前記不活性ガスを含む。前記還元性雰囲気は、不活性ガスのみを含むことがあり、実質的に酸素を含まないことがあり、またはそれらの組み合わせを含むことがある。特定の実施形態において、前記不活性カスは、少なくとも約50%Arを含むことができ、および別の特定の実施形態において、前記還元性雰囲気は、約5容量%以下の全還元性化学種濃度を含み、およびその還元性雰囲気の残部は、Arを含んでなる。前記還元性雰囲気は、約0.0001容量%から約3%容量%の範囲のOを含むことがある。かかる還元性雰囲気はOを有することがあり、このOは、前記シンチレーション化合物において欠陥を形成する尤度を低減させるために存在するが、還元すべき元素をさらに酸化させるほど高くない。
【0135】
前記酸化性雰囲気は、O、O、NO、NO、CO、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。ある実施形態において、前記酸化性雰囲気は、少なくとも約1.4容量%、少なくとも約5容量%、少なくとも約11容量%、少なくとも約15容量%、または少なくとも約20容量%の酸化性化学種を含み、および別の実施形態において、前記酸化性雰囲気は、100容量%以下、約90容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、約40容量%以下、または約30容量%以下の酸化性化学種を含む。絶対圧力に関しては、ある実施形態において、前記酸化性雰囲気は、少なくとも約1.4kPa、少なくとも約5kPa、少なくとも約11kPa、少なくとも約15kPa、または少なくとも約20kPaの酸化性化学種を含んでなり、および別の実施形態において、前記酸化性雰囲気は、101kPa以下、約90kPa以下、約75kPa以下、約50kPa以下、または約40kPa以下の酸化性化学種を含む。特定の実施形態では、前記酸化条件をその材料の放電によって達成することができ、別の特定の実施形態では、空気のみを使用してアニーリングを行うことができる。
【0136】
必要とされるまたは所望される場合、前記シンチレーション化合物を形成した後にアニールを行ってもよい。前に説明した雰囲気のいずれかを用いてそのアニールを行うことができる。前記アニールの温度は、少なくとも約1100℃、または少なくとも約1200℃であり得、かつ約1600℃以下または約1500℃以下であり得る。
【0137】
前記シンチレーション化合物を使用して、多くの装置において有用なシンチレータまたは他のシンチレーションデバイスを形成することができる。図1は、シンチレータ122と、光ガイド124と、光センサ126と、制御ユニット128とを含む装置100の実施形態を図示するものである。シンチレータ122は、前に説明したとおりのシンチレーション化合物を含むことができる。光ガイド124は、シンチレータ122によって出射されるシンチレーティング光に対して実質的に透過性である。光センサ126は、シンチレータ122からのシンチレーティング光の受光に応答して電子を発生させることができる。光センサ126は、光電子増倍管、フォトダイオード、アバランシェダイオード、またはこれらに類するものであることができる。シンチレータ122、光ガイド124、および光センサ126は、互いに光学的に結合されている。シンチレータ122、光ガイド124、および光センサ126は、間隔を離して図示されているが、光ガイド124は、シンチレータ122または光センサ126と直接接触することができる。別の実施形態では、結合材料、例えば実質的に透明なシリコーンゲルを使用して、シンチレータ122、光ガイド124、および光センサ126を互いに結合させることができる。環境光または他の望ましくない放射線が光センサ126に到達しないように、シンチレータ122、光ガイド124、および光センサ126を1つ以上のハウジングの内部に配置することができる。制御ユニット128は、光センサ126に電気的に結合されている。正常動作中、放射線をシンチレータ122によって捕捉することができ、そのシンチレータ122が標的放射線の受光に応答してシンチレーティング光を出射する。シンチレーティング光は、光センサ126によって受光され、その光センサ126が電子シグナルを発生させ、その電子シグナルが制御ユニット128に送信される。制御ユニット128は、ハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアを含み、これは、該制御ユニット128が、放射線のタイプ(X線、ガンマ線、ベータ粒子、およびこれらに類するもの)、放射線の強度、放射線が捕捉されたもしくは放射線が発生した位置、またはそれらの任意の組み合わせなどの、標的放射線に関する情報を生成することができるように構成される。
【0138】
前記装置は、放射線検出装置、例えば、医療用イメージング装置、検層装置、セキュリティー検査装置、またはこれらに類するものであることがある。特定の実施形態において、前記放射線検出システムは、ガンマ線分析、例えば、単一陽電子放出コンピュータ断層撮影(Single Positron Emission Computer Tomography:SPECT)または陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)分析に使用することができる。別の実施形態では、前記シンチレーション化合物を放射線検出以外の他の用途に使用することができる。例えば、前記装置は、波長変換システム、例えばレーザーデバイスについて言えば、UVスペクトル、可視およびIRのためのルミネッセンスエミッタ、特に単色エミッタを含むことができる。かかるデバイスでは、制御ユニットをシンチレータ122と結合させることができ、ならびに光ガイド124および光センサ126をレンズまたは別の適する光学機構で置き換えることができる。前記シンチレーション化合物を使用することができるさらに別の装置としては、光学データ記憶デバイスを挙げることができる。
【0139】
本明細書に記載する概念に従って説明されるようなシンチレーション化合物は、通常、良好な光出力、エネルギー分解能、線形性、減衰時間および残光特性を有する。線形性は、シンチレーション結晶が、いかによく放射エネルギーと光出力間の完全線形比例に近づくかを指す。前記線形性を完全線形性からの偏差として測定することができる。完全線形性を有するシンチレーション結晶は、放射線のエネルギーに関係なく、吸収した単位エネルギーあたり同じ数の光子を常に生成することになる。したがって、完全線形性からのその偏差はゼロである。ある実施形態において、シンチレーション化合物は、X線照射中に測定された強度を基準にして100ミリ秒後に200ppm未満の残光を有することがある。特定の実施形態において、より少ない残光に関する改善には、減衰時間の低減および光収量の増加が付随し得る。二価または四価状態の希土類元素と電子電荷補償材料の存在は、シンチレーション化合物に電子電荷平衡を維持させることができ、その上なお、該二価または四価状態の希土類元素を有する恩恵を実現することができる。
【0140】
本明細書に記載するどの概念がシンチレーション化合物に適用可能であるのかについての今の理解をさらに良く例証するために非限的実施形態を説明する。希土類アルミニウムガーネット、例えばLuAGを形成することができ、これは、その完成シンチレーション化合物中に四価状態の希土類元素、Ce4+、を少なくとも多少は含む。いずれの電子電荷補償化学種も伴わずに過多なCe4+を添加した場合、LuAG化合物は、電子トラップとして作用することができる過多な酸素空孔を有することがある。放射線が捕捉されると、LuAG化合物中の電子は励起される。より低いエネルギー状態に戻り、シンチレーティング光を出射することになる(これは望ましい)電子もあるが、捕捉され、捕捉されたときに光を出射しない電子もある。これらの電子は、温度のため捕捉されなくなり、熱ルミネッセンスと呼ばれる光を出射することがある。したがって、電子トラップは、問題が多い。なぜなら、トラップされる電子は、トラップの外部の電子がシンチレーティング光を出射しているときにはシンチレーティング光を出射しないであろうし、またトラップから放出された電子は光を出射するであろうが、それは、トラップされていない電子からシンチレーティング光が出射された後になるからである。より良い電子電荷平衡を維持することにより、酸素空孔が電子を補足する可能性は低くなるだろう。前の例を続けて、第2族元素、例えばCa、Mg、Sr、Zn、またはこれらに類するものを前記シンチレーション化合物に組み込むことができる。Znの前記第2族元素は、二価状態であり、酸化されない、または容易に酸化されない。したがって、少なくとも一つには容易に酸化されない第2族元素またはZnの存在のため、より良い電子電荷平衡をなお維持しながら、酸素空孔を形成する有意な危険を伴わずに、所望のCe4+濃度の達成に十分な酸化性雰囲気でLuAG化合物を形成することができる。四価状態の希土類元素の添加は、多くのシンチレーション化合物におけるシンチレーションメカニズムの一定の段階を不必要にすることができる。この改善されたシンチレーションメカニズムは、4+状態のセシウムと高エネルギーX線またはγ−光子の相互作用、および正孔の発生を伴うCe4+の励起(3+)*状態への直接変換から成る。二価元素は、正孔トラップの特定の役割を有するシンチレーションメカニズムに関与している。
【0141】
理想的には、三価状態の1対の希土類金属原子を四価状態の希土類原子および二価状態の金属原子、例えば第2族元素、Znまたはそれらの任意の組み合わせによって置換する。実際には、三価状態の希土類金属原子の置換に関して、四価状態の希土類原子の二価状態の金属原子に対する比は、1:1である必要はない。すべてのドーパント原子がシンチレーションメカニズムに関与しているとは限らず、したがって、多少の電子電荷不平衡は、本明細書に記載する概念から外れないからである。その比を1:1により近く保つと、より良好な性能が結果として得られるだろう。
【0142】
希土類元素を還元するとき、同様の概念を適用することができる。別の非限定的実施形態では、三価状態の1対の希土類金属原子を二価状態の希土類原子および四価状態の金属原子によって置換する。特定の化合物としては、CaLaB13を挙げることができる。三価状態であるそのLaの一部をEu2+およびZr、Hfまたはそれらの組み合わせによって置換することができる。ZrおよびHfは、四価状態であり、容易に還元されない。したがって、LaのEu2+およびZrまたはHfでの置換は、特に、そのシンチレーション化合物を還元性雰囲気に曝露して、例えばEu3+がEu3+に酸化されないようにすると、より良い電子電荷平衡を可能にする。
【0143】
さらなる非限定的実施形態では、二価状態の1対の金属原子を三価状態の希土類原子および一価状態の金属原子、例えば第1族元素、またはAgによって置換する。特定の化合物としては、CaIを挙げることができる。二価状態であるCaの一部をEu2+およびLi、NaもしくはKまたはそれらの組み合わせによって置換することができる。第1族元素は一価状態であり、容易に還元されない。したがって、BaのEu3+およびLi、NaまたはKでの置換は、特に、そのシンチレーション化合物を還元性雰囲気に曝露して、例えばEu2+がEu3+に酸化されないようにすると、より良い電子電荷平衡を可能にする。
【0144】
結晶試料であって、それらの2つの平行な側面を研磨したものである結晶試料からCe4+の存在を決定することができ、それらの側面を通して分光光度分析操作を行った。これらの平行な側面間の距離(その試料の厚み)は、0.2から50mmであり得る。特定の実施形態において、前記試料は、見かけ上、1mm厚である。現在はAgilent Technologies Inc.の一部であるVarianにより商品名Cary 6000iで販売されている、および1nm以下の分解能を有する、UVおよび可視で測定するCary 6000iブランド分光光度計を使用することができる。試料に対して正透過モードを使用した。0.5nm間隔、1点あたり0.1秒の収集時間、および2nmのSBW(スペクトルバンド幅)を用いて試料を測定した。各試料の吸光度(光学密度とも呼ばれる)を190nmと600nmの間の波長の関数として測定する。357nmでの吸光度の280nmでの吸光度に対する比、参照A357/A280、を決定する前にバックグラウンドノイズを引く。
【0145】
図2は、試料2の場合の空気アニーリング後の吸光度スペクトル(この図中の「2」を参照)と、先行技術を代表するアニールされていない試料1、参照試料、の場合の吸光度スペクトル(この図中の「1」を参照)とを含む。試料2の場合、空気アニーリング後、吸光度最大値が250nmで観察され、その起源はCe4+である。
【0146】
図3は、試料2の場合の空気アニーリング後の化合物の熱ルミネッセンス強度(「2」を参照)と先行技術を代表する試料1の場合の熱ルミネッセンス強度(アニールされていない参照試料、「1」を参照)を比較するものである。試料2の場合、熱ルミネッセンス強度の非常に大幅な降下が、特に300K付近で認められ、したがって、残光は低減される。
【0147】
シンチレータ結晶の性能を改善するためのドーパントの添加を開示する参考文献が発行されている。米国特許出願公開第2011/0204240号明細書は、セリウムがドープされたルテチウム・イットリウム・オルトケイ酸塩(LYSO:Ce)においてCaを添加し、その結果、Ce4+がCe3+になることを教示している。明らかに、RE4+は、先行技術では望ましくなかった。先行技術の教示とは異なり、希土類元素を計画的に二価または四価状態に保つことができ、および希土類元素は、電子電荷平衡をなお維持しながらかかる状態の利点を実現することができる。
【0148】
ある実施形態において、シンチレーション化合物は、実質的に透明であることができる。別の実施形態では、本明細書に記載する実施形態のいずれかによるシンチレーション化合物とその対応するベース化合物とを両方を実質的白色光によって照明したときに比較することができる色差を判定することにより、変色を定量することができる。本明細書において用いる場合、対応するベース化合物は、シンチレーション化合物と実質的に同じ組成を有するが、但し、そのシンチレーティング光活性化物質のすべてが、その特定のシンチレーション化合物についての従来の活性化物質とは異なる価電子状態(valance state)である。例えば、シンチレーション化合物は、従来の活性化物質のようなRE3+(例えば、Ce3+)を有することができるが、ある実施形態によるシンチレーション化合物は、Ce4+、またはCe3+と有意な量のCe4+の組み合わせをシンチレーティング光活性化物質として有することができる。その対応するベース化合物は、セシウムのすべてをCe3+として有し、Ce4+を実質的に伴わないまたは有意な量のCe4+を伴わないことになる。別の例として、別のシンチレーション化合物は、従来の活性化物質のようなRE2+(例えば、Eu2+)を有することができるが、ある実施形態による別のシンチレーション化合物は、Eu3+、またはEu2+とEu3+の組み合わせをシンチレーティング光活性化物質として有することができる。その対応するベース化合物は、ユーロピウムのすべてをEu2+として有し、Eu3+を実質的に伴わないまたは有意な量のEu3+を伴わないことになる。
【0149】
変色評価のための試料は、形成したまま使用してもよく、表面研磨された、破断された荒仕上げされた、または別の適する試料調製が行われたものであってもよい。白色光を、それを表面に対して垂直に向けるように、表面に対して垂直以外の角度に向けるように、または複数の光源から表面に対して異なる角度に配向させるように、方向づけることができる。1つ以上の異なる技法を用いて変色を判定することができる。
【0150】
ある実施形態では、CIE1976色空間座標L*,a*,b*を使用することができる。前記CIE1976色空間座標は、現在はAgilent Technologies Inc.の一部であるVarianからのCary 6000iブランド分光光度計を使用して得ることができる。前記シンチレーション化合物は、そのシンチレーション化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL1*,a1*,b1*の色空間座標の実質的白色光を反射する。前記対応するベース化合物は、その対応するベース化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL2*,a2*,b2*の色空間座標の実質的白色光を反射する。前記シンチレーション化合物と前記ベース化合物間の色差は、|a1*−a2*|は、約9以下であり、および|b1*−b2*|は、約9以下であるようなものである。別の実施形態において、|a1*−a2*|は、約5以下であり、約3以下であり、約2以下であり、約1.5以下であり、約0.9以下であり、約0.5以下であり、または約0.2以下であり、約0.09以下であり、約0.05以下であり、または約0.01以下であり、および|b1*−b2*|は、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である、約0.09以下である、約0.05以下である、または約0.01以下である。さらなる実施形態において、|L1*−L2*|は、約9以下である、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である。
【0151】
色空間座標の代案として、反射光の波長を使用することができる。前記シンチレーション化合物は、第一の波長の実質的白色光を反射することができ、およびその対応するベース化合物は、第二の波長の実質的白色光を反射することができる。ある実施形態において、第一および第二の波長は、互いから約50nm以下である、互いから約30nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約9nm以下、約5nm以下、約2nm以下である。
【0152】
さらに別の実施形態では、特定の波長スペクトルを使用することができる。一例として、あるシンチレーション化合物は、十分に電子電荷平衡しているとき無色であり、および類似のシンチレータ化合物は、十分に電子電荷平衡していないと黄色を有する。それらのシンチレータ化合物についての400nmから700nmの波長の反射光の強度を比較することができる。それらのデータが有意に異なれば、変色を判定することができる。あるいは、青色光(例えば、400nmから450nmの範囲の波長で発光極大値を有する光)のみを使用して、前記シンチレーション化合物を照明してもよい。無色であるシンチレーション化合物は、黄色を有するシンチレーション化合物と比較して実質的により多くの青色光を反射することができる。
【0153】
別の例として、異なるシンチレーション化合物は、十分に電子電荷平衡しているとき黄色を有し、およびさらに別の類似のシンチレータ化合物は、十分に電子電荷平衡していないと緑色を有する。それらのシンチレータ化合物についての400nmから700nmの波長の反射光の強度を比較することができる。異なる色の光に関して分析を行うことができる。緑色光(例えば、500nmから550nmの範囲の波長で発光極大値を有する光)のみを使用して前記シンチレーション化合物を照明して、第一のデータセットを得ることができる。赤色光(例えば、650nmから700nmの範囲の波長で発光極大値を有する光)のみを使用して前記シンチレーション化合物を照明して、第二のデータセットを得ることができる。黄色であるシンチレーション化合物は、緑色を有するシンチレーション化合物と比較して実質的により多くの赤色光およびより少ない緑色光を反射することができる。
【0154】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態の一部を本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、それらの態様および実施形態が例証的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定しないことが当業者には理解されるであろう。加えて、アナログ回路を含む一部の実施形態をデジタル回路を用いて同様に実行でき、逆もまた同じであることは、当業者には分かるであろう。
【0155】
実施形態は、下に列挙するとおり項目のいずれか一項以上に準拠し得る。
【0156】
第1項。シンチレーション化合物であって、四価状態の希土類元素を該シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppmの濃度で含んでなり、希土類ケイ酸塩化合物ではないシンチレーション化合物。
【0157】
第2項。前記四価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約60原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第1項に記載のシンチレーション化合物。
【0158】
第3項。前記四価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第1または2項に記載のシンチレーション化合物。
【0159】
第4項。前記希土類元素が、四価状態の特定の希土類元素であり、前記四価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第1から3項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0160】
第5項。前記希土類元素が、四価状態の特定の希土類元素であり、前記四価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第1から4項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0161】
第6項。二価状態の異なる元素を含むドーパントを少なくとも5原子ppmの濃度でさらに含んでなる、第1から5項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0162】
第7項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第6項に記載のシンチレーション化合物。
【0163】
第8項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第1から7項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0164】
第9項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第1から8項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0165】
第10項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第1から9項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0166】
第11項。前記希土類元素が、Ce4+を含んでなる、第1から10項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0167】
第12項。前記希土類元素が、Pr4+を含んでなる、第1から10項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0168】
第13項。前記希土類元素が、Tb4+を含んでなる、第1から10項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0169】
第14項。前記ドーパントが、第2族元素、Zn、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第1から10項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0170】
第15項。シンチレーション化合物であって、
三価状態の金属元素と、
該シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppm濃度での二価状態の希土類元素と
を含んでなり、該シンチレータ化合物のホストマトリックスの中の前記二価状態の希土類元素の少なくとも一部分が前記三価状態の金属元素に置き換わるものであるシンチレーション化合物。
【0171】
第16項。前記二価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第15項に記載のシンチレーション化合物。
【0172】
第17項。前記二価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第15または16項に記載のシンチレーション化合物。
【0173】
第18項。前記希土類元素が、二価状態の特定の希土類元素であり、前記二価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第15から17項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0174】
第19項。前記希土類元素が、二価状態の特定の希土類元素であり、前記二価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第15から18項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0175】
第20項。四価状態のドーパントを前記シンチレータ化合物の少なくとも5原子ppmの濃度でさらに含んでなる、第15から19項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0176】
第21項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第20項に記載のシンチレーション化合物。
【0177】
第22項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第15から21項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0178】
第23項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第15から22項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0179】
第24項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第15から23項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0180】
第25項。前記ドーパントが、Zr、Hf、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0181】
第26項。前記希土類元素が、Nd2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0182】
第27項。前記希土類元素が、Sm2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0183】
第28項。前記希土類元素が、Eu2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0184】
第29項。前記希土類元素が、Dy2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0185】
第30項。前記希土類元素が、Tm2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0186】
第31項。前記希土類元素が、Yb2+を含んでなる、第15から24項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0187】
第32項。シンチレーション化合物であって、
二価状態の金属元素と、
該シンチレーション化合物の少なくとも約10原子ppm濃度での三価状態の希土類元素と
を含んでなり、該シンチレータ化合物のホストマトリックスの中の前記三価状態の希土類元素の少なくとも一部分が前記二価状態の金属元素に置き換わるものであるシンチレーション化合物。
【0188】
第33項。前記三価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第32項に記載のシンチレーション化合物。
【0189】
第34項。前記三価状態の希土類元素が、前記シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第32または33項に記載のシンチレーション化合物。
【0190】
第35項。前記希土類元素が、三価状態の特定の希土類元素であり、前記三価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第32から34項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0191】
第36項。前記希土類元素が、三価状態の特定の希土類元素であり、前記三価状態の特定の希土類元素が、前記シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第32から35項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0192】
第37項。ドーパントが、一価状態で少なくとも5原子ppmの濃度で存在する、第32から36項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0193】
第38項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第37項に記載のシンチレーション化合物。
【0194】
第39項。前記ドーパントが、前記シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第32から38項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0195】
第40項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第32から39項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0196】
第41項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第32から40項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0197】
第42項。前記ドーパントが、第1族元素またはAgを含んでなる、第32から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0198】
第43項。金属ハロゲン化物を含んでなる、第1から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0199】
第44項。1つ以上のドーパントを、該1つ以上のドーパントのいずれかがもしあれば、除いて、前記金属ハロゲン化物が単一の金属ハロゲン化物である、第43項に記載のシンチレーション化合物。
【0200】
第45項。前記金属ハロゲン化物が、混合金属ハロゲン化物である、第43項に記載のシンチレーション化合物。
【0201】
第46項。前記金属ハロゲン化物が、混合ハロゲン金属ハロゲン化物である、第43から45項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0202】
第47項。金属−ホウ素−酸素化合物を含んでなる、第1から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0203】
第48項。前記金属−ホウ素−酸素化合物が、金属ホウ酸塩を含んでなる、第47項に記載のシンチレーション化合物。
【0204】
第49項。前記金属−ホウ素−酸素化合物が、金属オキシホウ酸塩を含んでなる、第47項に記載のシンチレーション化合物。
【0205】
第50項。金属−アルミニウム−酸素化合物を含んでなり、前記金属がアルミニウムとは異なる、第1から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0206】
第51項。前記金属−アルミニウム−酸素化合物が、金属アルミ酸塩を含んでなる、第50項に記載のシンチレーション化合物。
【0207】
第52項。前記金属−アルミニウム−酸素化合物が、金属アルミニウムガーネットを含んでなる、第50項に記載のシンチレーション化合物。
【0208】
第53項。金属−リン−酸素化合物を含んでなる、第1から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0209】
第54項。前記金属−リン−酸素化合物が、金属亜リン酸塩を含んでなる、第53項に記載のシンチレーション化合物。
【0210】
第55項。前記金属−リン−酸素化合物が、金属リン酸塩を含んでなる、第53項に記載のシンチレーション化合物。
【0211】
第56項。前記金属−リン−酸素化合物が、第2族金属リン酸塩ハロゲン化物を含んでなる、第53項に記載のシンチレーション化合物。
【0212】
第57項。金属−酸素−硫黄化合物を含んでなる、第1から42項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0213】
第58項。前記金属−酸素−硫黄化合物が、金属オキシ硫化物を含んでなる、第57項に記載のシンチレーション化合物。
【0214】
第59項。金属−酸素−ハロゲン化合物を含んでなる、第1から52項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0215】
第60項。前記金属−酸素−ハロゲン化合物が、金属オキシハロゲン化物を含んでなる、第59項に記載のシンチレーション化合物。
【0216】
第61項。「発明を実施するための形態」に提示するとおりの式1から67のいずれか1つによって表される材料を含んでなるシンチレーション化合物。
【0217】
第62項。三価状態の希土類元素の他の原子をさらに含んでなり、前記他の原子が、シンチレーション化合物の主成分である、第1から62項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0218】
第63項。三価状態の希土類元素の他の原子をさらに含んでなり、前記他の原子が、共ドーパントである、第1から61項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0219】
第64項。前記希土類元素の実質的にすべてが三価状態であることを除いて実質的に同じ組成を有する別のシンチレーション化合物と比較して、より大きい光出力、より小さいエネルギー分解能、より低い残光、もしくは一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答、またはそれらの任意の組み合わせを有する、第1から63項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0220】
第65項。実質的に単結晶である、第1から64項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0221】
第66項。多結晶材料である、第1から64項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0222】
第67項。実質的に透明である、第1から64項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0223】
第68項。前記シンチレーション化合物が、該シンチレーション化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL1*,a1*,b1*の色空間座標の実質的白色光を反射することができ;
対応するベース化合物が、該対応するベース化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL2*,a2*,b2*の色空間座標の実質的白色光を反射することができ;
|a1*−a2*|が、約9以下であり;および
|b1*−b2*|が、約9以下である、
第1から67項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0224】
第69項。|a1*−a2*|が、約5以下であり、約3以下であり、約2以下であり、約1.5以下であり、約0.9以下であり、約0.5以下であり、約0.2以下であり、約0.09以下であり、約0.05以下であり、または約0.01以下であり;および
|b1*−b2*|が、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である、約0.09以下である、約0.05以下である、または約0.01以下である、
第68項に記載のシンチレーション化合物。
【0225】
第70項。|L1*−L2*|が、約9以下である、第68または69項に記載のシンチレーション化合物。
【0226】
第71項。|L1*−L2*|が、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である、第70項に記載のシンチレーション化合物。
【0227】
第72項。前記シンチレーション化合物が、第一の波長の実質的白色光を反射することができ;
対応するベース化合物が、第二の波長の実質的白色光を反射することができ;ならびに
前記第一および第二の波長が、互いから約50nm以下である、
第1から71項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0228】
第73項。前記第一および第二の波長が、互いから約30nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約9nm以下、約5nm以下、約2nm以下である、第72項に記載のシンチレーション化合物。
【0229】
第74項。第1から73項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物を含むシンチレータと、
前記シンチレータからのシンチレーティング光を受光するように構成された光センサと
を含んでなる放射線検出装置。
【0230】
第75項。医療用イメージング装置、検層装置、またはセキュリティー検査装置を含んでなる、第74項に記載の放射線検出装置。
【0231】
第76項。第1から73項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物を含んでなる陽電子放出型断層撮影装置。
【0232】
第77項。第1から73項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物を含んでなるレーザーデバイス。
【0233】
第78項。第1から73項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物を含んでなる光データ記憶デバイス。
【0234】
第79項。シンチレーション化合物であって、二価、三価、または四価状態の希土類元素を該シンチレーション化合物の一定の濃度で含んでなり、対応するベース化合物と比較してより大きい光出力、より小さいエネルギー分解能、より低い残光、より短い減衰時間、もしくは一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答、またはそれらの任意の組み合わせを有し、希土類ケイ酸塩ではないシンチレーション化合物。
【0235】
第80項。前記対応するベース化合物と比較してより大きい光出力を有する、第79項に記載のシンチレーション化合物。
【0236】
第81項。前記対応するベース化合物と比較してより小さいエネルギー分解能を有する、第79または80項に記載のシンチレーション化合物。
【0237】
第82項。前記対応するベース化合物と比較してより低い残光を有する、第79から81項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0238】
第83項。前記対応するベース化合物と比較してより短い減衰時間を有する、第79から82項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0239】
第84項。前記対応するベース化合物と比較して、一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答を有する、第79から83項のいずれか一項に記載のシンチレーション化合物。
【0240】
第85項。シンチレータ化合物を形成するプロセスであって、
完成シンチレーション化合物中の希土類元素が、該完成シンチレーション化合物の少なくとも10ppmの濃度で四価状態であるように、および前記完成シンチレーション化合物が、希土類ケイ酸塩を含まないように、酸化性雰囲気でシンチレーション化合物を形成する工程
を含んでなるプロセス。
【0241】
第86項。前記酸化性雰囲気が、O、O、NO、NO、CO、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第85項に記載のプロセス。
【0242】
第87項。前記酸化性雰囲気が、少なくとも約1.4容量%、少なくとも約5容量%、少なくとも約11容量%、少なくとも約15容量%、または少なくとも約20容量%の酸化性化学種を含んでなる、第85または86項に記載のプロセス。
【0243】
第88項。前記酸化性雰囲気が、100容量%以下、約90容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、または約40容量%以下の酸化性化学種を含む、第85から87項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0244】
第89項。前記酸化性雰囲気が、少なくとも約1.4kPa、少なくとも約5kPa、少なくとも約11kPa、少なくとも約15kPa、または少なくとも約20kPaの酸化性化学種を含んでなる、第85から88項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0245】
第90項。前記酸化性雰囲気が、101kPa以下、約90kPa以下、約75kPa以下、約50kPa以下、または約40kPa以下の酸化性化学種を含む、第85から89項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0246】
第91項。前記四価状態の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第85から90項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0247】
第92項。前記希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度で四価状態である、第85から91項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0248】
第93項。前記希土類元素が、四価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記四価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第85から92項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0249】
第94項。前記希土類元素が、四価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記四価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第85から93項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0250】
第95項。前記完成シンチレーション化合物が、二価状態の異なる元素を含むドーパントを少なくとも5原子ppmの濃度でさらに含んでなる、第85から94項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0251】
第96項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約11原子ppm、少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第95項に記載のプロセス。
【0252】
第97項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第85から96項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0253】
第98項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第85から97項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0254】
第99項。前記四価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第85から98項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0255】
第100項。前記希土類元素が、Ce4+を含んでなる、第85から99項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0256】
第101項。前記希土類元素が、Pr4+を含んでなる、第85から99項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0257】
第102項。前記希土類元素が、Tb4+を含んでなる、第85から99項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0258】
第103項。前記ドーパントが、第2族元素、Zn、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第85から102項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0259】
第104項。シンチレータ化合物を形成するプロセスであって、
完成シンチレーション化合物が、
三価状態の金属元素と、
該完成シンチレーション化合物の少なくとも10ppmの濃度での二価状態である希土類元素と
を含んでなるように、還元性雰囲気でシンチレーション化合物を形成する工程を含んでなり、この工程で、前記完成シンチレータ化合物のホストマトリックスの中の前記二価状態の希土類元素の少なくとも一部分が前記三価状態の金属元素に置き換わるプロセス。
【0260】
第105項。前記二価状態の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第104項に記載のプロセス。
【0261】
第106項。前記二価状態の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第104または105項に記載のプロセス。
【0262】
第107項。前記希土類元素が、二価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記二価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第104から106項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0263】
第108項。前記希土類元素が、二価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記二価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の100%以下、約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第104から107項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0264】
第109項。四価状態のドーパントを前記完成シンチレーション化合物の少なくとも5原子ppmの濃度でさらに含んでなる、第104から108項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0265】
第110項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第109項に記載のプロセス。
【0266】
第111項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第109または110項に記載のプロセス。
【0267】
第112項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第109から111項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0268】
第113項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第109から112項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0269】
第114項。前記ドーパントが、Zr、Hf、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第109から113項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0270】
第115項。前記希土類元素が、Nd2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0271】
第116項。前記希土類元素が、Sm2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0272】
第117項。前記希土類元素が、Eu2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0273】
第118項。前記希土類元素が、Dy2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0274】
第119項。前記希土類元素が、Tm2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0275】
第120項。前記希土類元素が、Yb2+を含んでなる、第104から114項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0276】
第121項。シンチレーション化合物を形成するプロセスであって、
完成シンチレーション化合物が、
二価状態の金属元素と、
該完成シンチレーション化合物の少なくとも10ppmの濃度での三価状態である希土類元素と
を含んでなるように、還元性雰囲気でシンチレーション化合物を形成する工程を含んでなり、前記シンチレータ化合物のホストマトリックスの中の前記三価状態の希土類元素の少なくとも一部分が前記二価状態の金属元素に置き換わるプロセス。
【0277】
第122項。前記三価状態の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第121項に記載のプロセス。
【0278】
第123項。前記三価状態の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物の約5原子%以下、約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第121または122項に記載のプロセス。
【0279】
第124項。前記希土類元素が、三価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記三価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の少なくとも約5%、少なくとも約11%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または少なくとも約30%である、第121から123項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0280】
第125項。前記希土類元素が、三価状態の特定の希土類元素を含んでなり、前記三価状態の特定の希土類元素が、前記完成シンチレーション化合物中のその特定の希土類元素の全含有量の約90%以下、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約9%以下である、第121から124項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0281】
第126項。一価状態のドーパントを前記完成シンチレーション化合物の少なくとも5原子ppmの濃度でさらに含んでなる、第121から125項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0282】
第127項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の少なくとも約20原子ppm、少なくとも約50原子ppm、少なくとも約110原子ppm、少なくとも約150原子ppm、または少なくとも約200原子ppmの濃度である、第126項に記載のプロセス。
【0283】
第128項。前記ドーパントが、前記完成シンチレーション化合物の約5000原子ppm以下、約2000原子ppm以下、約1500原子ppm以下、約900原子ppm以下、約800原子ppm以下、約700原子ppm以下、約600原子ppm以下、または約500原子ppm以下の濃度である、第126または127項に記載のプロセス。
【0284】
第129項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、少なくとも約1:90、少なくとも約1:50、少なくとも約1:20、少なくとも約1:9、少なくとも約1:5、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1.5、または少なくとも約1:1.1である、第126から128項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0285】
第130項。前記二価状態の希土類元素の前記ドーパントに対する比が、約90:1以下、約50:1以下、約20:1以下、約9:1以下、約5:1以下、約3:1以下、約2:1以下、または約1.5:1以下、または約1.1:1以下である、第126から129項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0286】
第131項。前記ドーパントが、第1族元素またはAgを含んでなる、第126から130項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0287】
第132項。前記還元性雰囲気が、還元性化学種を含んでなる、第104から131項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0288】
第133項。前記還元性化学種が、H、N、CH、またはそれらの任意の組み合わせを含んでなる、第132項に記載のプロセス。
【0289】
第134項。前記還元性雰囲気が、少なくとも約1.1容量%、少なくとも約2容量%、少なくとも約4容量%の前記還元性化学種を含んでなる、第132または133項に記載のプロセス。
【0290】
第135項。前記還元性雰囲気が、100容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、約20容量%以下、または約9容量%以下の前記還元性化学種を含んでなる、第132から134項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0291】
第136項。前記還元性雰囲気が、少なくとも約1.1kPa、少なくとも約2kPa、少なくとも約4kPaの前記還元性化学種を含んでなる、第132から135項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0292】
第137項。前記還元性雰囲気が、101kPa以下、約75kPa以下、約50kPa以下、約20kPa以下、または約9kPa以下の前記還元性化学種を含んでなる、第104から136項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0293】
第138項。前記還元性雰囲気が、不活性ガスをさらに含む、第104から137項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0294】
第139項。前記不活性ガスが、希ガスを含んでなる、第138項に記載のプロセス。
【0295】
第140項。前記不活性ガスが、少なくとも約50%Arを含んでなる、第138項に記載のプロセス。
【0296】
第141項。前記還元性雰囲気が、少なくとも約1.1容量%、少なくとも約5容量%、少なくとも約11容量%、少なくとも約15容量%、または少なくとも約20容量%の前記不活性ガスを含んでなる、第138から140項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0297】
第142項。前記還元性雰囲気が、100容量%以下、約90容量%以下、約75容量%以下、約50容量%以下、または約40容量%以下の前記不活性ガスを含んでなる、第138から141項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0298】
第143項。前記還元性雰囲気が、不活性ガスのみを含む、第138から141項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0299】
第144項。前記還元雰囲気が、実質的に前記酸化性化学種を含まない、第104から143項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0300】
第145項。前記還元性雰囲気が、約0.0001容量%から約3%容量%の範囲のOを含む、第104から142項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0301】
第146項。前記還元性雰囲気が、約5容量%以下の全還元性化学種濃度を含み、および該還元性雰囲気の残部が、Arを含んでなる、第104から142および145項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0302】
第147項。前記希土類元素を含む希土類化合物を含む反応体を反応器に投入する工程をさらに含んでなる、第85から146項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0303】
第148項。前記シンチレーション化合物が、ゾーンメルト法またはフローティングゾーン法を用いて形成される、第85から147項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0304】
第149項。前記シンチレーション化合物が、チョクラルスキー成長法を用いて形成される、第85から147項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0305】
第150項。前記シンチレーション化合物が、ブリッジマン法を用いて形成される、第85から147項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0306】
第151項。前記完成シンチレーション化合物が、金属ハロゲン化物を含んでなる、第85から150項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0307】
第152項。1つ以上のドーパントを、該1つ以上のドーパントのいずれかがもしあれば、除いて、前記金属ハロゲン化物が単一の金属ハロゲン化物である、第151項に記載のプロセス。
【0308】
第153項。前記金属ハロゲン化物が、混合金属ハロゲン化物である、第151項に記載のプロセス。
【0309】
第154項。前記金属ハロゲン化物が、混合ハロゲン金属ハロゲン化物である、第151から153項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0310】
第155項。前記完成シンチレーション化合物が、金属−ホウ素−酸素化合物を含んでなる、第85から154項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0311】
第156項。前記金属−ホウ素−酸素化合物が、金属ホウ酸塩を含んでなる、第155項に記載のプロセス。
【0312】
第157項。前記金属−ホウ素−酸素化合物が、金属オキシホウ酸塩を含んでなる、第155項に記載のプロセス。
【0313】
第158項。前記完成シンチレーション化合物が、金属−アルミニウム−酸素化合物を含んでなり、前記金属がアルミニウムとは異なる、第85から150項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0314】
第159項。前記金属−アルミニウム−酸素化合物が、金属アルミ酸塩を含んでなる、第158項に記載のプロセス。
【0315】
第160項。前記金属−アルミニウム−酸素化合物が、金属アルミニウムガーネットを含んでなる、第158項に記載のプロセス。
【0316】
第161項。前記完成シンチレーション化合物が、金属−リン−酸素化合物を含んでなる、第85から150項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0317】
第162項。前記金属−リン−酸素化合物が、金属亜リン酸塩を含んでなる、第161項に記載のプロセス。
【0318】
第163項。前記金属−リン−酸素化合物が、金属リン酸塩を含んでなる、第161項に記載のプロセス。
【0319】
第164項。前記金属−リン−酸素化合物が、第2族金属リン酸塩ハロゲン化物を含んでなる、第161項に記載のプロセス。
【0320】
第165項。前記完成シンチレーション化合物が、金属−酸素−硫黄化合物を含んでなる、第85から150項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0321】
第166項。前記金属−酸素−硫黄化合物が、金属オキシ硫化物を含んでなる、第165項に記載のプロセス。
【0322】
第167項。前記完成シンチレーション化合物が、金属−酸素−ハロゲン化合物を含んでなる、第85から150項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0323】
第168項。前記金属−酸素−ハロゲン化合物が、金属オキシハロゲン化物を含んでなる、第167項に記載のプロセス。
【0324】
第169項。前記シンチレーション化合物が、「発明を実施するための形態」に提示するとおりの式1から67のいずれか1つによって表される材料を含んでなる、第85から168項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0325】
第170項。三価状態の前記希土類元素の他の原子をさらに含んでなり、前記他の原子が、シンチレーション化合物の主成分である、第85から169項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0326】
第171項。三価状態の前記希土類元素の他の原子をさらに含んでなり、前記他の原子が、共ドーパントである、第85から169項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0327】
第172項。前記完成シンチレーション化合物が、前記希土類元素の実質的にすべてが三価状態であることを除いて実質的に同じ組成を有する別のシンチレーション化合物と比較して、より大きい光出力、より小さいエネルギー分解能、より低い残光、もしくは一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答、またはそれらの任意の組み合わせを有する、第85から171項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0328】
第173項。前記完成シンチレーション化合物が、実質的に単結晶である、第85から172項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0329】
第174項。前記完成シンチレーション化合物が、多結晶材料である、第85から172項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0330】
第175項。前記完成シンチレーション化合物が、実質的に透明である、第85から172項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0331】
第176項。前記完成シンチレーション化合物が、該シンチレーション化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL1*,a1*,b1*の色空間座標の実質的白色光を反射することができ;
対応するベース化合物が、該対応するベース化合物についてのCIE1976色空間座標L*,a*,b*に対応するL2*,a2*,b2*の色空間座標の実質的白色光を反射することができ;
|a1*−a2*|が、約9以下であり;および
|b1*−b2*|が、約9以下である、
第85から175項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0332】
第177項。|a1*−a2*|が、約5以下であり、約3以下であり、約2以下であり、約1.5以下であり、約0.9以下であり、約0.5以下であり、または約0.2以下であり;および
|b1*−b2*|が、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である、
第176項に記載のプロセス。
【0333】
第178項。|L1*−L2*|が、約9以下である、第176または177項に記載のプロセス。
【0334】
第179項。|L1*−L2*|が、約5以下である、約3以下である、約2以下である、約1.5以下である、約0.9以下である、約0.5以下である、または約0.2以下である、第178項に記載のプロセス。
【0335】
第180項。前記シンチレーション化合物が、第一の波長の実質的白色光を反射することができ;
対応するベース化合物が、第二の波長の実質的白色光を反射することができ;ならびに
前記第一および第二の波長が、互いから約50nm以下である、
第85から179項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0336】
第181項。前記第一および第二の波長が、互いから約30nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約9nm以下、約5nm以下、約2nm以下である、第180項に記載のプロセス。
【0337】
第182項。第85から181項のいずれか一項に記載のプロセスによって形成された完成シンチレーション化合物を含むシンチレータと、
前記シンチレータからのシンチレーティング光を受光するように構成された光センサと
を含んでなる放射線検出装置。
【0338】
第183項。医療用イメージング装置、検層装置、またはセキュリティー検査装置を含んでなる、第182項に記載の放射線検出装置。
【0339】
第184項。第85から181項のいずれか一項に記載のプロセスによって形成された完成シンチレーション化合物を含んでなる陽電子放出型断層撮影装置。
【0340】
第185項。第85から181項のいずれか一項に記載のプロセスによって形成された完成シンチレーション化合物を含んでなるレーザーデバイス。
【0341】
第186項。第85から181項のいずれか一項に記載のプロセスによって形成された完成シンチレーション化合物を含んでなる光データ記憶デバイス。
【0342】
第187項。前記完成シンチレーション化合物が、対応するベース化合物と比較してより大きい光出力、より小さいエネルギー分解能、より低い残光、より短い減衰時間、もしくは一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答、またはそれらの任意の組み合わせを有する、第85から181項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0343】
第188項。前記完成シンチレーション化合物が、前記対応するベース化合物と比較してより大きい光出力を有する、第187項に記載のプロセス。
【0344】
第189項。前記完成シンチレーション化合物が、前記対応するベース化合物と比較してより小さいエネルギー分解能を有する、第187または188項に記載のプロセス。
【0345】
第190項。前記完成シンチレーション化合物が、前記対応するベース化合物と比較してより低い残光を有する、第187から189項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0346】
第191項。前記完成シンチレーション化合物が、前記対応するベース化合物と比較してより低い残光を有する、第187から190項のいずれか一項に記載のプロセス。
【0347】
第192項。前記完成シンチレーション化合物が、前記対応するベース化合物と比較して、一定の放射エネルギー範囲にわたってより大きい比例応答を有する、第187から191項のいずれか一項に記載のプロセス。
【実施例】
【0348】
本明細書に記載する概念を実施例でさらに説明する。本実施例は、請求項に記載する本発明の範囲を限定しない。本実施例は、異なる組成のシンチレーション結晶の性能を実証する。本実施例セクションに開示の数値を、便宜上、近似値で表すまたは丸めることがある。
【0349】
下の実施例、参考実施例は、一部の例示的化合物についての光収量(light yield:LY)およびエネルギー分解能に関する潜在的改善を例証するのに役立つ。すべての試料サイズは、mmでのものであり、エネルギー分解能は、半値全幅(full−width,half−maximum:FWHM)データに基づく。下の表に収載の含有量レベルは、原子ppmでのものである。さらに、Prをドープする実施例において、Prドープ材料は、不純物として多少のCeを含む;しかし、そのCe量は、シンチレーション特性に有意な影響を及ぼす量で存在しない。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0350】
前記実施例は、RE4+およびM2+がないシンチレーション化合物と比較して、RE4+とM2+の組み合わせがシンチレーション化合物中にあるときのエネルギー分解能の有意な改善(すなわち、より低いエネルギー分解能)を実証する。一般に、エネルギー分解能は、RE4+およびM2+共ドーパントを有するシンチレーション化合物については、それらの共ドーパントがない同じ化合物と比較して約5%から20%低い範囲内である。RE3+およびM1+共ドーパントを有するシンチレータ化合物についての前記改善は有意であるが、RE4+およびM2+共ドーパントについてのものほど大きくない。シンチレーションは、正孔と比較して電子でのほうが有効である。それにもかかわらず、RE3+およびM1+を有するシンチレーション化合物は、性能を改善するのに役立つ。
【0351】
上の一般説明または実施例で説明した作業のすべてを必ずしも必要としないこと、特定の作業の一部分を必要としないことがあること、および記載したものに加えて1つ以上のさらなる作業を行うことがあることに留意されたし。なおさらに、作業を列挙する順序は、必ずしもそれらを行う順序であるとは限らない。
【0352】
明確を期すために本明細書において別個の実施形態の文脈で説明した一定の特徴を単一の実施形態において組み合わせで提供することもできる。逆に、簡略化のために単一の実施形態の文脈で説明した様々な特徴を別々にまたは任意の部分的組み合わせで提供することもできる。さらに、範囲で述べた値への言及は、その範囲内の各々のおよびすべての値を含む。
【0353】
恩典、他の利点、および問題解決法を特定の実施形態に関して上で説明した。しかし、それらの恩典、利点、問題解決法、およびいずれかの恩典、利点または解決法を生じさせることができるまたはより顕著にさせることができるいずれの特徴(単数または複数)も、いずれかのまたはすべての請求項の決定的、必要または必須特徴とみなすべきではない。
【0354】
本明細書に記載する実施形態の明細事項および実例は、様々な実施形態の構造の一般的理解をもたらすことを意図したものである。これらの明細事項および実例は、本明細書に記載する構造または方法を使用する装置およびシステムの要素および特徴のすべての網羅的および包括的説明として役立てることを意図したものではない。別個の実施形態を単一の実施形態において組み合わせで提供することもでき、また逆に、簡略化のために単一の実施形態の文脈で説明した様々な特徴を別々にまたは任意の部分的組み合わせで提供することもできる。さらに、範囲で述べた値への言及は、その範囲内の各々のおよびすべての値を含む。単に本明細書を読んだ後、多くの他の実施形態が当業者にははっきりと理解できる。他の実施形態を使用することができ、本開示から誘導することができるので、構造的置換、論理的置換、または別の変更を本開示の範囲から逸脱することなく行うことができる。したがって、本開示を限定的ではなく例証的とみなすべきである。
図1
図2
図3