(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】能動フォトニック・デバイス160、受動光学素子150、光学遷移素子180、電子デバイス層120、およびフォトニック・デバイス層130を含む、一実施形態による集積フォトニック/電子デバイス100の断面を概略的に示す図である。
【
図2A】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2B】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2C】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2D】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2E】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2F】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2G】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2H】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図2I】一実施形態によるデバイス100の形成の際のステップを示す図である。
【
図3】一実施形態による、ハンドル・ウェハ上の、部分的に形成されたフォトニック電子デバイス100に後で接合される能動フォトニック・デバイス層を含むサブアセンブリの形成を示す図である。
【
図4A】
図1のフォトニック・デバイス内の遷移素子180が省略され、受動光学素子150に対する直接的光学的結合が増大するように能動フォトニック・デバイス160が構成される一実施形態を示す図である。
【
図4B】
図1のフォトニック・デバイス内の遷移素子180が省略され、受動光学素子150に対する直接的光学的結合が増大するように能動フォトニック・デバイス160が構成される一実施形態を示す図である。
【
図5A】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5B】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5C】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5D】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5E】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5F】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図5G】遷移素子180および受動光学素子150を含むサブアセンブリ500を形成し、部分的に形成されたデバイス100にサブアセンブリ500を接合することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6A】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6B】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6C】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6D】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6E】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【
図6F】誘電体層の上に配置された結晶半導体層を有するSOI基板を含むサブアセンブリ600を形成することによるフォトニック電子デバイス100の形成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
単一の集積フォトニック電子回路上での、電子(例えばCMOS)回路と、能動フォトニック回路、例えば電力供給されたフォトニック回路の集積に対する必要性がますます高まっている。そのような集積は、例えば従来型システム・ソリューションのパッケージングに関連する多くの寄生効果を低減することにより、フォトニック電子システムの著しい性能改善を可能にすることができ、デバイス・フットプリント、電力消費、および製造コストを低減することもできる。
【0009】
本開示は、半導体(例えばシリコン)ベースの電子機器回路、受動フォトニック要素、およびIII−V族化合物ベースの能動フォトニック素子を単一の基板の上で接合し、ウェハ・スケールでこれらの構成要素のモノリシック集積を可能にする集積方式を提供し、説明する。そのような集積は、半導体製造ツール・セット上の集積フォトニック/電子デバイスの製造を可能にし、規模の経済および高スループットを実現し、その結果、コストを大幅に削減し、そのようなデバイスの市場浸透を向上させる。
【0010】
フォトニック電子集積のいくつかの態様が過去に研究されてきたが、それぞれの手法には、大規模集積および/または実用的なデバイスにとってその手法が不適切となるような欠点を有していた。例えば、アモルファス・シリコン導波路を集積電子機器回路と集積する試みは、光導波路の過剰な損失を生じさせ、デバイスのサイズが制限され、かつ/または減衰した光信号を増幅するための光中継器が必要となる。さらに、集積電子機器回路の形成後の熱履歴が制限されることにより、より良好な光学的特性、例えばより低い損失を達成するために高処理温度を必要とするような光導波路材料の形成が制限される。
【0011】
本発明の実施形態は、電子デバイスとフォトニック・デバイスの処理を分離すること、構造的特徴を利用して光学的特徴間の結合を改善すること、またはその両方により、フォトニック回路と電子回路の集積を可能にする。いくつかの実施形態では、特徴の新規な構成が、十分な光学的結合および低損失を実現し、実用的なフォトニック電子回路を可能にする。
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、シリコン・ベースのCMOS電子機器回路、受動フォトニック回路(例えば、相互接続光導波路、スプリッタ、フィルタ、およびマルチプレクサ/デマルチプレクサ)、ならびに能動フォトニック素子(例えば、レーザ、光増幅器、変調器、および検出器)を含むことができる。能動光学素子は、III−V族化合物半導体ベースの材料を含むことができる。これらのデバイスは、共通の半導体基板の上にシリコン・ベースの電子機器回路と集積されるレーザ、増幅器、変調器などを含むことができる。
【0013】
図1を参照すると、デバイス100、例えば集積フォトニック/電子デバイスが、概略断面図で示されている。デバイス100は、以下で説明する様々な構造がその上に配置される基板110を含む。いくつかの実施形態では、基板110は、シリコン、ゲルマニウム、GaAsなどの半導体基板である。本明細書に別段に明記されていない限り、半導体材料が説明されるとき、材料は、ドープ形態または真性形態の半導体を含むことができる。いくつかの他の実施形態では、基板110は、石英やサファイアなどの誘電体材料である。いくつかの実施形態では、基板は、絶縁体上半導体基板、例えば絶縁体上シリコン(SOI)である。材料タイプの如何に関わらず、様々な実施形態では、基板110が半導体製造ツールでの大量生産に適したより大きい基板の一部であることが好ましい。そのような形態は、例えば直径150mm、200mm、または300mmのウェハでよい。
【0014】
基板110の上には、電子デバイス層120が配置される。電子デバイス層120は、従来の集積電子回路で使用することのできる様々な素子、例えばトランジスタ122などの能動電子デバイス、接点、ビア、相互接続部124などの受動電子素子、ならびに様々な拡散障壁および誘電体層126を含む。様々な電気的機能、例えばドライバ、電気的増幅器、およびデジタル信号処理を電子デバイス層120によって設けることができる。当業者は、そのようなデバイスを製作する方法に通じている。
【0015】
電子デバイス層120の上には、集積フォトニック・デバイス層130がある。フォトニック・デバイス層130は、クラッディング層140、受動フォトニック層130p、および能動フォトニック層130aを含む。クラッディング層140は、導波路内、およびクラッディング層140と接触するフォトニック要素内の光信号伝播モードをサポートするのに適した屈折率を有する誘電媒体、例えば酸化シリコン(シリカ)で構成されている。受動フォトニック層130pおよび能動フォトニック層130aは、それぞれ、以下で説明するクラッディング媒体および光導波媒体を含む。クラッディング層140ならびにフォトニック層130aおよび130pはまた、その光学的役割とは無関係の層、例えば障壁層、エッチ・ストップ層なども含むことができる。
【0016】
受動フォトニック層130pは受動光学素子150を含む。素子150は電気的領域と光学的領域の間で変換しないので、本明細書では素子150を受動素子と呼ぶ。素子150は、例えば熱光学移相器や熱光学スイッチなどの中の光路長を制御するために、電極などの様々な特徴を含むことができるが、それでも受動素子とみなされる。受動光学素子150は、フォトニック・デバイス層130の同一の層で形成された任意の数の導波路構造または他の受動フォトニック素子を代表するものである。例えば、フォトニック・デバイス層130は、限定はしないが、導波路150、スプリッタ、フィルタ、およびマルチプレクサ/デマルチプレクサの複数の例を含むことができる。この説明を簡単にするために、限定はしないが、本明細書では受動光学素子を誘電体導波路150と呼ぶ。誘電体導波路150および任意のそのような他の受動フォトニック素子は、クラッディング層140よりも大きい屈折率を有し、その結果、光信号は誘電体導波路150の周りに閉じ込められ、その中を伝播する。例えば、窒化シリコン、シリコン酸窒化物、または非ドープシリカよりも高い屈折率を有するようにドープされたシリカから誘電体導波路150を形成することができる。
【0017】
クラッディング層155が、誘電体導波路150に隣接して配置されている。クラッディング層155は、誘電体導波路150の屈折率未満の屈折率を有する誘電体材料でよい。この態様を以下でより詳細に論じる。
【0018】
能動フォトニック層130aが受動フォトニック層130pの上に配置されている。層130aは能動フォトニック・デバイス160を含む。能動フォトニック・デバイス160は、例えば、光信号を生成、増幅、変調、または検出することができる。ビア構造170が、電子デバイス層120内の非参照電気デバイスに能動フォトニック・デバイス160を導電的に結合している。能動フォトニック・デバイス160は、電気デバイスから受信した電気信号を光信号に変換し、または誘電体導波路150から受信した光信号を電気信号に変換するように構成された電気光学変換器と考えることができる。非限定的な例では、いくつかの実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、ビア構造170によって受信された電気信号に応答して狭スペクトル光信号を生成し、誘電体導波路150に信号を結合するように構成されたレーザでよい。本明細書では、「電気信号」という用語は、能動フォトニック・デバイス160に連続波(CW)光信号を放射させることのできる非変調電流、または能動フォトニック・デバイス160に変調光信号を放射させることのできる変調電流を含む。別の非限定的実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、誘電体導波路150から受信した変調光信号またはCW光信号をそれぞれ変調電気信号または非変調電気信号に変換するように構成されたダイオード、例えばフォトダイオードでよい。
【0019】
様々な実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、GaAs、InP、GaAs
xP
1−x、In
xGa
1−xAs
yP
1−yなどのIII−V族化合物に基づく半導体を含む。様々な実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、それらの間に関連する空乏領域を有するドープ領域を含む。いくつかのケースでは、能動フォトニック・デバイス160はまた、1つまたは複数の真性半導体領域をも含むことができる。いくつかの実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、互い違いの化学量論的組成を有するIn
xGa
1−xAs
yP
1−yの層を含むサンドイッチ構造を含む。
【0020】
図示する実施形態では、受動フォトニック層130pはまた、光学遷移素子180をも含む。遷移素子180は、誘電体導波路150と能動フォトニック・デバイス160との間の結合を促進するように構成される。誘電体導波路150は、遷移素子180がない場合よりも、誘電体導波路150と能動フォトニック・デバイス160との間で光をより効果的に結合する効果を有する光学モード結合器または他の構造的特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、遷移素子180は半導体を含む。いくつかの実施形態では、半導体は、ドープシリコンまたは非ドープシリコンであり、それはさらに単結晶または多結晶でよい。「単結晶」とは、遷移素子180が形成される半導体層の原子が、単一の結晶格子の格子位置にほぼ配置されることを意味する。ビア構造190は、電子デバイス層120内のバイアス電圧源に遷移素子180を導電的に結合することができる。バイアス電圧は、例えば、遷移素子180から多数電荷キャリア、例えば電子を除去して空乏化させることなどにより、遷移素子100の光学的特性を変更することができる。
【0021】
図1の実施形態は、能動フォトニック・デバイス160が遷移素子180の上に配置され、遷移素子180が誘電体導波路150にオーバーラップしていることを示す。遷移素子180が存在しない実施形態では、能動フォトニック・デバイス160を少なくとも部分的に誘電体導波路150の上に配置することができる。
【0022】
次に、
図2A〜2Iを参照して、特定の方法に限定することなく、デバイス100を形成する方法を説明する。デバイス100の追加の態様を以下の説明の文脈で説明する。
図2A〜2Iの同様の参照番号は、
図1の同様の特徴を指す。
【0023】
図2Aでは、方法は、基板110を用意することから始まる。本明細書および特許請求の範囲では、「用意する」および類似の用語は、開示される方法を実施する個人または企業体によってデバイス、基板、構造的素子などを製造することができ、またはその個人または企業体以外の別の個人または企業体を含む供給源から得ることができることを意味する。基板110は、前述の材料のいずれか1つでよく、好ましくはウェハでよい。
【0024】
図2Aは、基板110の上に電子デバイス層120を形成した後のデバイス100を示す。誘電体層126および相互接続部124の形成は、通常はクリーン・ルーム環境で実施される多数のプロセス・ステップを含むことがあることを当業者は理解されよう。電子デバイス層120の形成は、従来の、または新規なプロセスおよび/またはプロセスのシーケンスを含むことがある。電子デバイス層120が完成したとき、電子デバイス層120は通常、トランジスタ122および相互接続部124の構成によって部分的に決定される機能電子デバイスを含む。相互接続部124は、例えばタングステン・プラグ、銅またはアルミニウム・ビア、銅またはアルミニウム配線、ならびに障壁層およびストップ層を含むことができる。電子デバイス層120は、例えば化学機械研磨(CMP)によって平坦化することができる。
【0025】
クラッディング層140が電子デバイス層120の上に形成される。クラッディング媒体は、部分的に、重なる能動フォトニック層130aおよび受動フォトニック層130pをその上に形成するためのベースを設けるように動作する。クラッディング層140は、任意の従来の、または新規なプロセス、例えばプラズマ強化化学気相蒸着(PE−CVD)などのプラズマ蒸着プロセスによって形成することができる。非限定的な例では、クラッディング層140は、酸化シリコン、窒化シリコン、またはシリコン酸窒化物を含む。いくつかの実施形態では、例えば屈折率n
claddingを下げるために、クラッディング層140が蒸着中にドープされる。例えば、クラッディング層140は、例えばカーボンまたはフッ素でドープすることができる。非限定的な例では、クラッディング媒体は、カーボン・ドープ、またはフッ素ドープの酸化シリコン・タイプの材料である。いくつかのケースでは、クラッディング媒体は、フッ素添加酸化シリコンやブラック・ダイヤモンド(商標)などの低誘電率(low−k)誘電体材料である。いくつかのケースでは、クラッディング媒体はBCBなどの有機材料である。
【0026】
図2Bに、誘電体導波路150がクラッディング層140の上に形成された後のデバイス100を示す。後で参照するために、形成のこの段階でのデバイス100をサブアセンブリ200と呼ぶ。誘電体導波路150は、まずブランケット誘電体層がクラッディング層140の上に形成され、次いで誘電体導波路150の横方向範囲を画定するようにパターン形成される、任意の従来の、または新規なプロセスによって形成される。フォトニック・デバイス層130が近赤外線光(例えば、波長約1200nmから約2000nmの範囲内)と共に動作するように構成されるとき、ブランケット層は、例えば約200nmから約2000nmの範囲内の厚さを有することができる。誘電体導波路150は、屈折率n
core>n
claddingを有する材料から形成される。クラッディング層140が酸化シリコンよりも低い屈折率を有するようにドープされるとき、例えば非ドープ酸化シリコンから誘電体導波路150の層を形成することができる。いくつかの実施形態では、誘電体導波路150の層がシリコン酸窒化物から形成される。いくつかの実施形態では、クラッディング層140と誘電体導波路150の層は共にシリコン酸窒化物であり、クラッディング層140は誘電体導波路150よりも低い窒素濃度を有する。いくつかの実施形態では、誘電体導波路150が窒化シリコンから形成される。
【0027】
クラッディング層155が、誘電体導波路150の上および周囲に形成される。クラッディング層155は、クラッディング層140に関して説明した材料のいずれかでよい。いくつかの実施形態では、クラッディング層140および155は同一の材料タイプから形成され、例えば、どちらも酸化シリコンを含み、同一の屈折率を有する。しかし、デバイス100はそのような実施形態に限定されない。クラッディング層155は、その上に追加の材料層を形成する前に、例えばCMPによって平坦化することができる。
【0028】
図2Cでは、任意選択の半導体層210がクラッディング層155の上に形成されている。半導体層210は、例えばアモルファスまたは多結晶シリコン層でよい。フォトニック・デバイス層130が近赤外線光で動作するように構成されるとき、半導体層210は、例えば約200nmから約500nmの範囲の厚さを有することができる。好ましくは、半導体層210は、電子デバイス層120の熱履歴を超えないプロセスによって形成される。電子技術分野の当業者は理解するように、電子デバイス層120は通常、その中に配置された電子デバイスの所望の電子性能を生み出すように注意深く調整されたドーパント・プロファイル、ならびに様々なビアおよび配線を有するメタライゼーションを含む。電子デバイス層120が過度に高い温度にさらされ、または上昇した温度に過度に長期にさらされた場合、電子デバイス層120内のドーパント・プロファイルおよびメタライゼーションは変化することがあり、それによって電子デバイスの性能が変化する。
【0029】
したがって、比較的低温の、例えば450℃を超えないプロセスを使用して、半導体層210を形成することができる。非限定的な実施形態では、半導体層210が、PECVDプロセスを使用して約400℃以下で形成される。当業者はそのようなプロセスに通じている。
【0030】
図2Dでは、例えば従来のプロセスを使用して半導体層210がパターン形成され、遷移素子180が形成される。遷移素子180は、誘電体導波路150に光学的に結合するように配置され、したがって長さL
1だけ誘電体導波路150と重複する。遷移素子180がアモルファス・シリコン(n
i≒3.5)を含み、誘電体導波路150がn
i≒2.0の窒化シリコンを含むとき、オーバーラップ長L
1は、例えば約50μmでよい。さらに、遷移素子180は、遷移素子180内の光損失を最大値に制限する長さL
2に制限されることがある。例えば、いくつかのケースでは、アモルファス・シリコンは、その中を伝播する光信号に10〜20dB/cmの損失を課すことがある。いくつかの実施形態では、長さL
2は、光損失を約0.5dB以下に制限するように制限される。したがって、好ましくは、長さL
2は約250μm未満でよく、より好ましくは、約200μm未満でよい。
【0031】
図2Eに、遷移素子180の上にクラッディング層185を形成した後のデバイスを示す。クラッディング層185は、遷移素子180および誘電体導波路150よりも小さい屈折率を有する材料を含むことができる。二酸化シリコン、シリコン酸窒化物、または適切な屈折率を有する別の誘電体材料を含む材料からクラッディング層185を選択することができる。クラッディング層185を図示するように平坦化することもできる。
【0032】
図2Eには、電子デバイス層120に遷移素子180を接続するビア構造190も示されている。ビア構造190は、必要に応じて遷移素子180にバイアスを印加するための導電経路を与える。バイアスを使用して、例えば遷移素子180の光伝送特性を変更することができる。そのような変更は静的なもの、例えばDCバイアスでよく、または動的なもの、例えば切り換えることができる。いくつかの実施形態では、半導体層210からヒータ素子(図示せず)を形成することができる。ヒータ素子を配置して、受動フォトニック素子の一部を加熱することができ、それによって、素子が熱光学移相器であるときなどに素子の光伝送特性を変更する。電子デバイス層120内の電子デバイスによって、ビア構造190に類似の2つ以上のビア構造を介してヒータ素子に電源供給することができる。
【0033】
図2Fに、サブアセンブリ300がクラッディング層185に接合された後のデバイス100を示す。サブアセンブリ300は、ハンドル・ウェハ310、およびそれに接続された能動フォトニック層320を含む。図が見やすいように、
図3はサブアセンブリ300を分離して示す。ハンドル・ウェハ310は、能動フォトニック層320をその上に形成することのできる任意の基板でよい。例示的かつ非限定的な例では、ハンドル・ウェハ310はInPを含む。例えばエピタキシャル・プロセスを使用して、ハンドル・ウェハの上に能動フォトニック層320を形成し、能動フォトニック・デバイス160のための光学的機能に適した層を形成することができる。例えば、能動フォトニック・デバイス160がレーザであるとき、能動フォトニック層320は、互い違いの化学量論的組成を有する層が互い違いになったIn
xGa
1−xAs
yP
1−yの層を含む。そのような層状構造は、当業者にはなじみのあるものである。あるいは、能動フォトニック層320は、能動フォトニック・デバイス160のためのダイオードを形成するのに適していることがある。この場合、能動フォトニック層320はInGaAsを含むことができる。能動フォトニック層320はまた、異なるデバイスのための別々の層、例えば位相変調、電界吸収変調、および利得/吸収のための層をも含むことができる。任意選択で、能動フォトニック層320上に誘電体層330、例えば酸化シリコンを形成し、クラッディング層185にサブアセンブリ300を接合するプロセスを援助することができる。
【0034】
図2Fに戻ると、サブアセンブリ300がクラッディング層185に接触して配置され、直接ウェハ・ボンディングによって接合される。次いで、ハンドル・ウェハ310が、従来の方法、例えば裏面研磨および/または化学的ウェット・エッチングによって除去される。得られるアセンブリが
図2Gに示されている。誘電体層330は、使用される場合、機能的にクラッディング層185の部分となる。
【0035】
図2Hに、能動フォトニック層320が例えば通常通りパターン形成され、能動フォトニック・デバイス160が生成された後のデバイス100を示す。いくつかの実施形態では、能動フォトニック・デバイス160は、遷移素子180の上に、それらの間で所望の光学的結合が得られるように、少なくとも部分的に配置することができる。いくつかの実施形態では、遷移素子180が能動フォトニック・デバイス160内の導波路構造の部分となるように、能動フォトニック・デバイス160を完全に遷移素子180の上に配置することができる。能動フォトニック・デバイス160の寸法は、所望の光学的機能を生み出す必要に応じて任意の値でよい。例示的かつ非限定的な例では、レーザとして構成されるときの能動フォトニック・デバイス160は、約2μmの厚さT
1、約200μmの長さL
3、約5μmの、T
1およびL
3に垂直な幅Wを有することができる。ダイオードとして構成されるとき、T
1、L
3、およびWは、それぞれ約2μm、約20μm、および約5μmでよい。
【0036】
能動フォトニック・デバイス160は、オーバーラップ長L
4で遷移素子180とオーバーラップする。低速かつ断熱の光学モードを発生させて、結合効率の最大化を可能にするように、長さL
4を選択することができる。いくつかの実施形態では、図示するように、遷移素子180を迂回する光信号を回避するのに遷移素子180が使用されるとき、能動フォトニック・デバイス160は、誘電体導波路150とオーバーラップしない。
【0037】
図2Iでは、電子デバイス層120と能動フォトニック・デバイス160との間の導電経路を設けるために、従来の処理によってビア構造170が形成されている。能動フォトニック・デバイス160が受信素子、例えばフォトダイオードであるとき、ビア構造170は、能動フォトニック・デバイス160によって生成された電気信号を、電気的処理のために電子デバイス層120に伝導することができる。一方、能動フォトニック・デバイス160がレーザなどの放射素子であるとき、ビア構造170は、電子デバイス層120から能動フォトニック・デバイス160に変調信号またはCW信号を伝導することができる。
【0038】
図4Aおよび4Bは、能動フォトニック・デバイス410と誘電体導波路150が直接的に光学的結合するようにデバイス100から遷移素子180が省略される実施形態の断面図および平面図をそれぞれ示す。この実施形態では、能動フォトニック・デバイス410の半導体材料と誘電体導波路150の誘電体材料との間の屈折率コントラストの結果、著しい結合損失が生じることがある。そのような損失を低減するために、図示するステップ状の高さの遷移を含むように能動フォトニック・デバイス410のプロファイルを形成することができる。
【0039】
能動フォトニック・デバイス410は、任意の数のステップ、例えば図示する例では4つのステップを含むことができる。能動フォトニック・デバイス410の厚さは、能動フォトニック・デバイス410から誘電体導波路150への信号伝播方向で減少し、誘電体導波路150から能動フォトニック・デバイス410への信号伝播方向で増加する。能動フォトニック・デバイス410の最も薄い部分は、最も厚い部分の厚さの10分の1でよい。したがって、例えば、能動フォトニック・デバイス410の一部420は、約2μmの厚さでよく、一部430は約0.2μmの厚さでよい。厚さの減少は、能動フォトニック・デバイス410のモード・インデックスが誘電体導波路150のモード・インデックスに匹敵するように十分に低減することができると考えられ、したがって、能動フォトニック・デバイス410と誘電体導波路150との間の光学的結合を改善する。
【0040】
図5A〜5Lで例示される別の実施形態では、電子デバイス層120を支持する基板110とは別個に受動フォトニック層130pを形成することができる。そのような実施形態は、誘電体導波路150、能動フォトニック層320、半導体層210、または様々なクラッディング層を形成することに関連する高温に電子デバイス層120がさらされないことを保証する。
図5A〜5Lでは、同様の参照番号は、
図1、2A〜2I、および3の同様の特徴を指す。
【0041】
図5Aに、その上に能動フォトニック層320および誘電体層330が配置されたハンドル・ウェハ310を含むサブアセンブリ500を示す。半導体層510が誘電体層330の上に形成されている。電子デバイス層120がないことにより、半導体層210を形成するのに使用される温度よりも高温のプロセスを使用して半導体層510を形成することができる。必要に応じて、アニーリング・プロセスを使用して半導体層510を再結晶することができる。アニーリング・プロセスは、約400℃から約600℃の範囲の温度までサブアセンブリ500を加熱することを含むことができる。そのような温度は、完成した集積回路、例えば電子デバイス層120の許容温度範囲外にある。遷移素子180が層510から形成されるとき、遷移素子の光学単位損失は、少なくとも約50%、例えば5dB/cm以下に低減されると予想される。
【0042】
図5Bに、半導体層510をパターン形成し、遷移素子180を形成した後のサブアセンブリ500を示す。この場合も、パターニング・プロセスは従来のものでよい。クラッディング層185が遷移素子180の上に形成され、平坦な面を形成するように研磨されている。
【0043】
図5Cに、誘電体導波路150およびクラッディング層155の形成後のサブアセンブリを示す。前と同様に、ブランケット誘電体層をパターン形成することによって誘電体導波路150を形成することができる。ブランケット誘電体層を形成するのに使用されるプロセス温度は、
図2Bの誘電体層を形成するのに使用される温度よりも高くてよく、誘電体導波路150の誘電体材料を形成する際により高い自由度が得られる。クラッディング層155が誘電体導波路150の上に形成され、平坦な面を形成するように研磨されている。
【0044】
図5Dでは、例えば直接ウェハ・ボンディングにより、サブアセンブリ500がサブアセンブリ200(
図2B)に接合されており、クラッディング層155がクラッディング層140にボンディングされる。組み合わされたアセンブリを前述のように処理し、ハンドル・ウェハ310を除去し(
図5E)、能動フォトニック・デバイス160を形成し(
図5F)、ビア構造170を形成する(
図5G)ことができる。
図5Gのデバイス100は、ビア構造190が省略されて示されている。この場合、遷移素子180をバイアスすることなくデバイス100を操作することができる。
【0045】
図6A〜6Gに、遷移素子180が形成される結晶半導体層を設けるためにSOIウェハが使用されるデバイス100を形成する方法の別の実施形態を示す。
図6Aは、絶縁体上シリコン(SOI)基板605を含む、形成の初期の段階でのアセンブリ600を示す。SOI基板は、シリコン基板610(第1のハンドル・ウェハ)、例えばシリコン・ウェハ、その上に配置された結晶シリコン層620、およびそれらの間に配置される誘電体(絶縁体)層630、例えば酸化シリコンを含む。
【0046】
図6Bに、結晶半導体層620がパターン形成され、光学遷移素子180が形成された後のアセンブリ600を示す。前述のように、受動光学素子150およびクラッディング層155および185も形成されている。この実施形態の遷移素子180は、結晶半導体層620から形成されることにより、単結晶である。
【0047】
図6Cでは、例えば直接ウェハ・ボンディングにより、アセンブリ600がアセンブリ200に接合されている。この構成は、
図5Dに示す構成と類似しているが、
図6Cの実施形態には能動フォトニック層がない。裏面研磨および/または化学的ウェット・エッチングによって半導体基板610を除去することができ、
図6Dに示すように誘電体層630上で停止する。
【0048】
図6Eでは、直接ウェハ・ボンディングによってアセンブリ640が誘電体層630に接合されている。アセンブリ640は、ウェハ・ボンディング・プロセスを容易にするために半導体基板650(第2のハンドル・ウェハ)、能動フォトニック層660、および任意選択の誘電体層670を含む。
【0049】
図6Fでは、やはり裏面研磨および/または化学的ウェット・エッチングによって半導体基板650が除去され、能動フォトニック層660が露出している。次いで、
図5Fから始めて説明したように処理を続行し、デバイス100の形成を完了することができる。
【0050】
半導体層620は結晶であるので、結晶半導体層620から形成される光学遷移素子180によって課される光損失は、例えばアモルファスまたは多結晶シリコンによって課される損失よりも著しく低くなると予想される。例えば、このようにして形成された光学遷移素子180からの光損失は、アモルファスまたは多結晶シリコンの場合の約10〜20dB/cmと比べて、約2dB/cm未満となると予想される。さらに、受動光学素子の処理中においてIII−V族能動フォトニック層および電子層がないので、例えば最大1200℃のかなり高い温度を使用して、受動素子における損失をさらに低減することができる。より低い損失により、例えばフォトニック電子デバイス設計が必要とする利得ステージをより少なくすることが可能となり、著しく改善された性能が実現されると予想される。
【0051】
他の、およびさらなる追加、削除、置換、および変更を記載の実施形態に行えることを本願が関連する技術分野における当業者は理解されよう。