特許第5984962号(P5984962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984962
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】混合弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20160823BHJP
   F16K 11/22 20060101ALI20160823BHJP
   F02M 26/70 20160101ALI20160823BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F16K27/00 D
   F16K11/22 A
   F02M26/70 301
   F02M35/10 311E
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-550679(P2014-550679)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-508479(P2015-508479A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2012076525
(87)【国際公開番号】WO2013102582
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2014年7月4日
(31)【優先権主張番号】102012200170.0
(32)【優先日】2012年1月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ローター シュレーダー
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−156265(JP,A)
【文献】 特開2000−8967(JP,A)
【文献】 実開平2−35951(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0180224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F02M 26/70
F02M 35/10
F16K 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを備えた混合弁であって、前記ハウジング内に第1の流れ通路と、第2の流れ通路とが配置されており、前記第2の流れ通路が、前記第1の流れ通路に合流しており、前記両流れ通路はそれぞれ1つのフラップを備えており、該フラップが、通流横断面に影響を与えるために、前記各流れ通路内に回転可能に支承されている、混合弁において、
前記第1の流れ通路(2)が、流れ方向で見て前記第2の流れ通路(3)の合流部の下流側に、少なくとも2つの横断面拡張部(14,15)を備えた範囲(11)を有して、該範囲(11)に、前記第1の流れ通路(2)内に突入した位置固定の、少なくとも1つの案内部材(12,13)が配置されており、前記横断面拡張部(14,15)は、前記第1の流れ通路(2)の周面にわたって対称的に配置されていることを特徴とする、混合弁。
【請求項2】
前記案内部材(12,13)は、前記第1の流れ通路(2)の周面にわたって対称的に配置されている、請求項記載の混合弁。
【請求項3】
前記案内部材(12,13)は、前記第1の流れ通路(2)の周面に関して、前記横断面拡張部(14,15)に対してずらされて配置されている、請求項記載の混合弁。
【請求項4】
前記少なくとも1つの案内部材(12,13)が、主流れ方向に対する垂直線から偏倚した角度、有利には30°〜60°の角度で配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の混合弁。
【請求項5】
前記ハウジング(1)が、2つの部分(7,8)から成っており、前記両部分(7,8)の分離平面が、前記横断面拡張部(14,15)の範囲に位置している、請求項1からまでのいずれか1項記載の混合弁。
【請求項6】
前記両部分(7,8)が、フランジ結合部(9,10)によって結合されている、請求項記載の混合弁。
【請求項7】
前記少なくとも1つの案内部材(12,13)が、ハウジング部分(7,8)と一体に形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の混合弁。
【請求項8】
前記少なくとも1つの案内部材(12,13)が、別個の構成部分(18)として、前記第1の流れ通路(2)の前記範囲(11)に配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の混合弁。
【請求項9】
前記少なくとも1つの案内部材(12,13)が、支持体と一体に結合されており、該支持体が、前記第1の流れ通路(2)に挿入されている、請求項記載の混合弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、ハウジングを備えた混合弁であって、前記ハウジング内に、第1の流れ通路と、第2の流れ通路とが配置されており、前記第2の流れ通路が、前記第1の流れ通路に合流しており、前記両流れ通路は、それぞれ1つのフラップを備えており、該フラップは、通流横断面に影響を与えるために、前記各流れ通路内に回転可能に支承されている形式の混合弁である。
【0002】
このような形式の混合弁は、2種のガス、または2種の液体の混合のために用いられ、たとえば、自動車における排ガス混合弁として使用される。このためには、第2の流れ通路を90°以下の角度で、第1の流れ通路に合流させることが知られている。一方の流れが支配的である場合、この流れはたいてい第1の流れ通路内に案内され、第2の流れは、合流している第2の流れ通路を介して供給される。この場合、ハウジングから流出するまでの2つの流れの混合がしばしば不完全となるか、もしくは、そのためには、より長い流れ区間が必要とされることが判った。このことは特に、支配的な流れが速い速度で流れているときに云える。この不都合は、渦流発生エレメントによって弱めることができる。しかし、それによって流れ抵抗が高められてしまう。
【0003】
したがって、本発明の根底を成す課題は、2つの流体の良好な混合を、流れ抵抗を高めることなく、できるだけ小さい構造空間で可能にする、混合弁を提供することである。
【0004】
本発明によれば、この課題は、第1の流れ通路が、流れ方向で見て第2の流れ通路の合流部の下流側に、少なくとも2つの横断面拡張部を備えた範囲を有しており、該範囲に、流れ通路内に突入した位置固定の、少なくとも1つの案内部材が配置されていることにより解決される。
【0005】
流れ通路内に突入した案内部材が、流体の改善された混合を生ぜしめることが判った。それと同時に、流れ通路に横断面拡張部を形成することにより、案内部材の配置によって流れ抵抗が高まることが阻止される。さらに、この横断面拡張部は、流れ方向に対する影響付与により、2つの流体に付加的な混合効果を与えている。
【0006】
横断面拡張部が、流れ通路の周面にわたって対称的に配置されていることにより、とりわけ大きな付加的な混合効果が達成される。特に、2つの横断面拡張部においては、これらの横断面拡張部は互いに向かい合って位置するように配置されている。このことは、別の実施態様において、同じく流れ通路の周面にわたって対称的に配置されていて、有利にはそれぞれが互いに向かい合って位置している案内部材についても云える。
【0007】
案内部材が、流れ通路の周面に関して、横断面拡張部に対してずらされて配置されている実施態様を用いると、できるだけ良好な混合が達成されると同時に、付加的な流れ抵抗が回避される。
【0008】
案内部材は、主流れ方向に対して直角に配置されていてもよい。その場合、案内部材は、過度に大きな流れ抵抗を回避するために、半径方向の小さな延在長さしか有しない。それに対して、案内部材が、主流れ方向に対する垂直線から偏倚した角度、有利には30°〜60°の角度で配置されているような構成を用いると、流れ抵抗の増大なしに流体の混合を増大させることが達成される。このような角度を持った配置によって、案内金属薄板の、主流れ方向に対して直角な方向で投影された延在長さは、その実際の長さよりも短くなる。しかしこれによって、案内金属薄板は、流れ方向で、投影された延在長さをも有するので、案内金属薄板は、より長い期間にわたって流体と接触して、流体の流れ経路に影響を与えることができる。案内部材はこの場合、流れ方向に向くように配置されていてもよいし、流れ方向とは反対の方向を向くように配置されていてもよい。
【0009】
ハウジングが2つの部分から成っており、両部分の分離平面が、横断面拡張部の範囲に位置しているとき、ハウジングの製造可能性は簡単となる。このことは、鋳造による金属からのハウジングの製造、または射出成形によるプラスチックからのハウジングの製造を可能にする。しかし、プラスチックハウジングの場合には横断面拡張部を、ガス内圧法もしくはガスインジェクション法によって形成することも考えられるので、ハウジングを一体に形成することができる。
【0010】
ハウジングの両部分の結合は、簡単な構成ではフランジ結合を介して行われる。この場合、両ハウジング部分は、その分離平面に、各ハウジング部分に一体成形されたフランジを有している。
【0011】
案内部材が一方のハウジング部分と一体に形成されていると、前記案内部材を別個に組み付けなくて済むようになる。
【0012】
それに対して、前記少なくとも1つの案内部材が、別個の構成部分として第1の流れ通路の範囲に配置されていると、案内部材および少なくとも一方のハウジング部分の製造可能性が簡単となる。このためには、前記案内部材が、環状の支持体を有しており、この支持体が、横断面拡張部を有する範囲に嵌め込まれる。この支持体は、軸方向でも半径方向でも固定されていてよい。この場合、この支持体の軸方向の長さが、横断面拡張部の範囲の長さに相当するか、または支持体の周面が、横断面拡張部の範囲の輪郭に相当するか、または支持体が、プレス嵌めによって横断面拡張部の範囲に挿入されている。
【0013】
さらに別の実施態様においては、環状の支持体が中間フランジとして形成されており、この中間フランジが、ハウジング部分に設けられた両フランジの間に挿入される。
【0014】
以下に、本発明の複数の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による混合弁の断面図である。
図2図1に示した混合弁の側面図である。
図3図1に示した混合弁の平面図である。
図4】案内部材の配置の1実施形態を示す断面図である。
図5】案内部材の配置の別の実施形態を示す断面図である。
【0016】
図1に示した混合弁は、自動車の排ガス混合弁である。この混合弁は、ハウジング1を有し、このハウジング1内には、第1の流れ通路2と、第2の流れ通路3とが配置されており、この場合、第2の流れ通路3は、第1の流れ通路2に合流しており、両流れ通路はそれぞれ1つのフラップ4,5を備えている。これらフラップ4,5は、通流横断面に影響を与えるために、各流れ通路内に回転可能に支承されている。通流量を制御するためのフラップ4,5の駆動装置および制御装置は図示されていない。第1の流れ通路2内には、支配的なガスとして新空気が流れる。第2の流れ通路3を介して高温の排ガスが供給され、これによりこの排ガスは新空気と混合され、そしてその後でこの混合物は、第1の流れ通路2の出口6においてターボチャージャ(図示しない)に供給される。このとき、不十分な混合の結果、ターボチャージャが高温の排ガスにより損傷されることを阻止するために、新空気と排ガスとの可能な限り良好な混合が重要となる。ハウジング1は、ハウジング部分7,8から成り、両ハウジング部分7,8は、それぞれフランジ9,10を介して互いに結合されている。ハウジング1のこの分離平面には、横断面拡張部を備えた範囲11が配置されており、この範囲11は、両ハウジング部分7,8内に延びている。この範囲11の構成については、以下の図面において説明する。ハウジング部分8に設けられた第1の流れ通路2内には、2つの案内部材12,13が、第1の流れ通路2における主流れ方向に対する垂直線から45°だけ偏倚した角度で配置されている。両案内部材12,13はハウジング部分8と一体に製造されていて、互いに向かい合って位置するように、ひいては範囲11の周囲に対称的に配置されている。
【0017】
図2は、混合弁の出口6を覗き込むように見た、混合弁の側面図である。出口6は円形の断面を有しているが、前記範囲11は、三日月状の2つの横断面拡張部14,15を有している。両横断面拡張部14,15は互いに対向して位置するように配置されているので、前記範囲11は全体として、楕円形の横断面を有している。横断面拡張部14,15は、前記範囲11の周囲で、案内部材12,13に対して90°ずらされて配置されている。横断面拡張部14,15によって、流動するガスには付加的な空間が提供されるので、これにより前記範囲11内に配置された案内部材の流れ抵抗が補償される。しかし、このような変向は、流れ経路に影響を及ぼし、このことは混合を高める。案内部材12,13は、楕円形の形状を有している。しかし、案内部材を円形、または多角形として形成することも考えられる。
【0018】
図3には、混合弁を上から見た図が示されている。図3では、案内部材12,13に対して90°だけずらされた配置に基づき横断面拡張部14,15を備えた範囲11が明確に判る。通流するガスに対する過度の影響を避けるために、第1の流れ通路2から範囲11への移行部16,17が丸み付けされている。つまり、移行部16,17は、連続的に延びており、したがって段部なしに形成されている。
【0019】
図4には、前記範囲11が示されている。この範囲11内には、案内部材12,13が配置されている。案内部材12,13は、別個の構成部分として前記範囲11に取り付けられており、案内部材12,13は、環状の支持体18に一体に結合されている。この支持体18の外径は、第1の流れ通路2の内径よりも大きく形成されているので、支持体18は、案内部材12,13の範囲で、プレス嵌めにより、第1の流れ通路2内に、軸方向および半径方向で固定されている。
【0020】
図5に示した実施形態では、案内部材12,13を備えた支持体18が、流れ通路内に固定されているのではなく、ハウジング1の分離平面に固定されており、この場合、前記支持体18は中間フランジとして形成されて、前記両フランジ9,10の間に配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5