(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸線を中心として回転する回転軸と、該軸線を中心として筒状の内側ケーシングと、該軸線を中心として筒状を成し該内側ケーシングの外周側との間に気体の流路を形成する外側ケーシングとを備えている軸流回転機械に接続され、該軸流回転機械との間で前記気体を案内する気体案内装置において、
筒状の前記外側ケーシングの端部に接続され、前記軸線を中心として環状の第一接続部と、
筒状の前記内側ケーシングの端部に接続され、前記軸線を中心として環状の第二接続部と、
前記第一接続部及び前記第二接続部との組み合わせにより、内部に前記軸線を中心として環状の流路を形成すると共に、前記軸線に対する径方向外側に開口が形成されている本体部と、
前記本体部を支持する支持部と、
を備え、
前記第一接続部は、前記軸線を中心として環状を成し、前記外側ケーシングに対する前記本体部の相対移動を許容する第一継手を有し、
前記第二接続部は、前記軸線を中心として環状を成し、前記内側ケーシングに対する前記本体部の相対移動を許容する第二継手を有する、
気体案内装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の吸気ダクトは、ガスタービンの軸方向の端部にオーバーハング状態でガスタービンのケーシングに支持されている。このため、上記特許文献1に記載の技術では、ガスタービンの固有振動数が低下し、ガスタービンの振動特性が悪化する、という問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に着目し、軸流回転機械との間で気体を案内しつつ、軸流回転機械の振動特性を向上させることができる気体案内装置、これを備えている設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としての気体案内装置は、
軸線を中心として回転する回転軸と、前記軸線を中心として筒状の内側ケーシングと、前記軸線を中心として筒状を成し前記内側ケーシングの外周側との間に気体の流路を形成する外側ケーシングとを備えている軸流回転機械に接続され、前記軸流回転機械との間で前記気体を案内する気体案内装置において、筒状の前記外側ケーシングの端部に接続され、前記軸線を中心として環状の第一接続部と、筒状の前記内側ケーシングの端部に接続され、前記軸線を中心として環状の第二接続部と、前記第一接続部及び前記第二接続部との組み合わせにより、内部に前記軸線を中心として環状の流路を形成すると共に、前記軸線に対する径方向外側に開口が形成されている本体部と、前記本体部を支持する支持部と、を備え、
前記第一接続部は、前記軸線を中心として環状を成し、前記外側ケーシングに対する前記本体部の相対移動を許容する第一継手を有し、前記第二接続部は、前記軸線を中心として環状を成し、前記内側ケーシングに対する前記本体部の相対移動を許容する第二継手を有することを特徴とする。
【0008】
当該気体案内装置では、本体部が支持部に支持され、軸流回転機械のケーシングに対する本体部の相対移動を許容する第一継手及び第二継手を介して、この本体部が軸流回転機械のケーシングに接続されている。このため、当該気体案内装置では、軸流回転機械のケーシングの軸方向の端部に、少なくとも本体部の重量が実質的にかからない。よって、当該気体案内装置では、軸流回転機械の固有振動数を高めることができ、軸流回転機械の振動特性を向上させることができる。
【0009】
ここで、前記気体案内装置において、環状の前記第一継手の径と環状の前記第二継手の径とが同じであってもよい。
【0010】
気体案内装置で気体が通る流路中では、軸流回転機械における回転軸の軸線に近い部分の方が、軸線から遠い部分に比べて、流速が高く静圧が低い。このため、気体案内装置で気体の流路を形成する部材のうちで、軸線に近い部分に対して外部から内部に向かって作用する力は、軸線から遠い部分に対して外部から内部に向かって作用する力より大きくなる。
【0011】
当該気体案内装置では、環状の第一継手の径と環状の第二継手の径とが同じである。このため、第一継手から本体部の開口までの部分に外部から内部に向かって作用する力と、第二継手から本体部の開口までの部分に外部から内部に向かって作用する力とが同じになり、両部分のかかる力のバランスが取れる。よって、当該気体案内装置では、本体部を支持する支持部や本体部等にかかる負荷を軽減することができる。
【0012】
また、以上のいずれかの気体案内装置において、前記第一継手及び前記第二継手は、いずれも伸縮継手であってもよい。
【0013】
また、以上のいずれかの気体案内装置において、前記本体部の前記開口は、上向きに開口しもよいし、前記本体部の前記開口は、下向きに開口してもよい。さらに、前記本体部の前記開口は、側方に開口し
てもよい。
【0014】
また、以上のいずれかの気体案内装置において、前記第一接続部と前記第二接続部と前記本体部とは、前記軸流回転機械の吸気側に設けられた吸気ダクトを構成し、前記本体部の前記開口は吸気開口を形成してもよい。また、以上のいずれかの気体案内装置において、前記第一接続部と前記第二接続部と前記本体部とは、前記軸流回転機械の排気側に設けられた排気ダクトを構成し、前記本体部の前記開口は排気開口を形成してもよい。
【0015】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としての軸流回転
機械設備は、
以上のいずれかの気体案内装置と、前記軸流回転機械と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン設備は、以上のいずれかの気体案内装置と、前記軸流回転機械であるガスタービンと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る一態様によれば、軸流回転機械との間で気体を案内しつつ、軸流回転機械の振動特性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る気体案内装置及び軸流回転機械を備えている軸流回転
機械設備の各種実施形態及び各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
「第一実施形態」
まず、
図1〜
図5を参照して、本発明に係る気体案内装置及び軸流回転機械を備えている軸流回転
機械設備の第一実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態の軸流回転
機械設備は、
図1に示すように、ガスタービン設備である。ガスタービン設備は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する軸流圧縮機10(以下、単に圧縮機10という)と、この圧縮機10の吸込口19に空気Aを案内する吸気ダクト40と、燃料供給源からの燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する燃焼器20と、燃焼ガスにより駆動するタービン30と、タービン30からの燃焼ガスGを排気ガスとして外部へ案内する排気ダクト70と、を備えている。なお、本実施形態では、圧縮機10と燃焼器20とタービン30とでガスタービンを構成し、このガスタービンが軸流回転機械を成している。
【0022】
圧縮機10は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ11と、この圧縮機ロータ11を回転可能に覆う圧縮機ケーシング14と、を有している。なお、以下では、軸線Arが延びている方向を軸方向Daという。また、軸線Arを基準にした径方向を単に径方向Drといい、軸線Arを基準にした周方向を単に周方向Dcという。
【0023】
圧縮機ロータ11は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びている回転軸12と、軸方向Daに並んで回転軸12の外周に取り付けられている複数の動翼列と、を有している。複数の動
翼列は、いずれも、周方向Dcに並んで回転軸12の外周に取り付けられている複数の動翼13を有している。
【0024】
圧縮機ケーシング14は、軸線Arを中心として筒状を成す外側ケーシング15及び内側ケーシング16を有している。内側ケーシング16は、回転軸12の軸方向Daにおける一方の側を覆う。また、外側ケーシング15は、圧縮機ロータ11のほぼ全体を覆う。筒状の外側ケーシング15の径方向内側と筒状の内側ケーシング16の径方向外側との間は、環状の空気流路を形成している。この環状の空気流路の軸方向Daの一方側の端は、環状の吸込口19を形成している。なお、以下では、軸方向Daの一方側を単に上流側といい、反対側を下流側という。また、筒状の外側ケーシング15の径方向内側と、回転軸12中で内側ケーシング16で覆われていない部分の径方向外側との間は、上記空気流路と連通した環状の空気流路を形成している。外側ケーシング15の内周面には、軸方向Daに並ぶ複数の静翼列が取り付けられている。複数の静翼列は、いずれも、周方向Dcに並んで外側ケーシング15の内周面に取り付けられている複数の静翼17を有している。
【0025】
タービン30は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ31と、このタービンロータ31を回転可能に覆うタービンケーシング34と、を有している。
【0026】
タービンロータ31は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びている回転軸32と、軸方向Daに並んで回転軸32の外周に取り付けられている複数の動翼列と、を有している。複数の動翼列は、いずれも、周方向Dcに並んで回転軸32の外周に取り付けられている複数の動翼33を有している。圧縮機ロータ11の下流端とタービンロータ31の上流端とは接続されており、これらが一体となってガスタービンロータを構成している。
【0027】
タービンケーシング34は、軸線Arを中心として筒状を成している。圧縮機10の外側ケーシング15の下流端とタービンケーシング34の上流端とは接続されており、これらによりガスタービンケーシング24を構成している。このガスタービンケーシング24は、その上流側の部分と下流側の部分において、ガスタービン支持脚29により支持されている。このガスタービン支持脚29は、ガスタービン設置面Gに固定されている。タービンケーシング34の径方向内側とタービンロータ31における回転軸32の径方向外側との間は、環状の燃焼ガス流路を形成している。タービンケーシング34の内周面には、軸方向Daに並ぶ複数の静翼列が取り付けられている。複数の静翼列は、いずれも、周方向Dcに並んで外側ケーシング15の内周面に取り付けられている複数の静翼37を有している。
【0028】
タービン30は、さらに、軸線Arを中心として筒状を成している外側ディフューザ(外側ケーシング)35及び内側ディフューザ(内側ケーシング)36を有している。外側ディフューザ35及び内側ディフューザ36は、いずれも、タービンケーシング34の径方向内側と回転軸32の径方向外側との間であって、回転軸32の下流側部分に配置されている。筒状の外側ディフューザ35の径方向内側と筒状の内側ディフューザ36の径方向外側との間は、上記燃焼ガス流路と連通した環状の燃焼ガス流路を形成している。筒状の外側ディフューザ35の径方向内側と筒状の内側ディフューザ36の径方向外側との間で形成される環状の燃焼ガス流路の下流端は、環状の排気口39を形成している。
【0029】
排気ダクト70は、軸線Arを中心として筒状を成している。筒状の排気ダクト70は、上流端がタービンケーシング34の下流端、外側ディフューザ35の下流端、及び内側ディフューザ36の下流端に接続されている。排気ダクト70の内部には、環状の排気ガス流路が形成されている。この排気ガス流路は、排気室を形成している。この排気室は、タービン30の燃焼ガス流路と連通している。排気ダクト70の下流端は、円形の開口を成しており、この開口が排気ガスとしての燃焼ガスGを外部に排気する排気開口79を成している。この排気ダクト70は、排気ダクト支持脚89により支持されている。この排気ダクト支持脚89は、ガスタービン設置面Gに固定されている。
【0030】
吸気ダクト40は、圧縮機10の筒状の外側ケーシング15の上流端部に接続されている第一接続部41と、圧縮機10の筒状の内側ケーシング16の上流端部に接続されている第二接続部45と、第一接続部41及び第二接続部45に接続されているダクト本体部51と、を有している。
【0031】
第一接続部41及び第二接続部45は、
図2〜
図4に示すように、いずれも軸線Arを中心として環状を成している。ダクト本体部51は、環状の第一接続部41及び第二接続部45と組み合わされて、内部に環状の空気流路Paを形成している。この空気流路Paは、圧縮機10の空気流路とつながっている。また、この空気流路Paは吸気室を成している。また、このダクト本体部51の径方向外側には、上側を向いて開口している吸気開口49が形成されている。
【0032】
ダクト本体部51は、軸線Arに対して垂直な方向成分を有する方向に広がり、軸方向Daに間隔をおいて対向している前壁板52及び後壁板54と、前壁板52の径方向外側縁と後壁板54の径方向外側縁とを連結する側壁板57と、有している。前壁板52は、後壁板54に対して上流側に位置している。前壁板52の径方向外側縁及び後壁板54の径方外側縁のうちの上縁は、側壁板57で連結されておらず、これらの上縁と側壁板57の上縁とで、吸気開口49が形成されている。前壁板52及び後壁板54には、軸線Arを中心とした円形の開口53,55が形成されている。前壁板52の円形の開口53の径と後壁板54の円形の開口55の径とは、実質的に同じである。
【0033】
第一接続部41は、軸線Arを中心として環状の第一伸縮継手42を有している。また、第二接続部45は、軸線Arを中心として筒状の内側筒47と、この内側筒47の端部に接続され、軸線Arを中心として環状の第二伸縮継手46と、を有している。軸線Arを中心として筒状の内側筒47は、径が上流側に向かうに連れて次第に大きくなっている。この筒状の内側筒47の下流端部は、内側ケーシング16の上流端部に剛接続されている。なお、ここでの剛接続とは、二つの部材がボルト及びナットで接続されている場合や、二つの部材が溶接で接続されている場合のように、二つの部材を一体化し、一方の部材に対して他方の部材が実質的に相対移動できない状態に接続されていることである。この内側筒47の他方の端部には、前述の第二伸縮継手46が取り付けられている。
【0034】
第一伸縮継手42及び第二伸縮継手46は、いずれも、
図5に示すように、軸線Arを中心として環状を成し、軸方向Daに間隔をおいて対向している第一枠61及び第二枠62と、軸線Arを中心として環状を成し、第一枠61と第二枠62とを連結する可撓性を有する伸縮部材63と、を有している。第一枠61及び第二枠62は、いずれも剛性を有する金属等で形成されている。また、伸縮部材63は、ここでは、ゴムシートで形成されている。なお、伸縮部材63は、樹脂や金属で形成されているべローズであってもよい。伸縮部材63と第一枠61及び第二枠62とは、ボルト及びナット等で連結されている。なお、伸縮部材63と第一枠61及び第二枠62とは、接着剤で連結されてもよい。また、伸縮部材63が金属製のべローズである場合には、伸縮部材63と第一枠61及び第二枠62とは、溶接で連結されてもよい。
【0035】
なお、本実施形態における第一伸縮継手42及び第二伸縮継手46の第一枠61と第二枠62とは、軸方向Daに間隔をおいて互いに対向しているが、径方向Drに間隔をおいて互いに対向していてもよい。
【0036】
第一伸縮継手42の環状の第一枠61は、圧縮機10の外側ケーシング15に剛接続されている。この第一伸縮継手42の環状の第二枠62は、ダクト本体部51における後壁板54の円形の開口55の縁に剛接続されている。第二伸縮継手46の環状の第一枠61は、環状の第二接続部45の前記他方の端部に剛接続されている。この第二伸縮継手46の環状の第二枠62は、ダクト本体部51における前壁板52の円形の開口53の縁に剛接続されている。
【0037】
環状の第一伸縮継手42は、前述したように、ダクト本体部51における後壁板54の円形の開口55の縁に剛接続され、環状の第二伸縮継手46は、ダクト本体部51における前壁板52の円形の開口53の縁に剛接続されている。また、ダクト本体部51における後壁板54の円形の開口55の径と前壁板52の円形の開口53の径とは、前述したように、実質的に同じである。よって、本実施形態では、環状の第一伸縮継手42の径と環状の第二伸縮継手46の径とは、実質的に同じである。
【0038】
ダクト本体部51は、その下方から複数の吸気ダクト支持脚(支持部)59により支持されている。複数の吸気ダクト支持脚59は、ガスタービン設置面Gに固定されている。
【0039】
本実施形態では、以上で説明した吸気ダクト40と、複数の吸気ダクト支持脚59とで、気体案内装置を構成している。
【0040】
以上、本実施形態では、吸気ダクト40のダクト本体部51が吸気ダクト支持脚59に支持され、このダクト本体部51の圧縮機ケーシング14に対する相対移動を許容する第一伸縮継手42及び第二伸縮継手46を介して、このダクト本体部51が圧縮機ケーシング14に接続されている。このため、本実施形態では、圧縮機ケーシング14の軸方向Daの端部に、ダクト本体部51の重量が実質的にかからない。よって、本実施形態では、ガスタービン全体の固有振動数を高めることができ、ガスタービン全体の振動特性を向上させることができる。
【0041】
「第一実施形態の第一変形例」
次に、
図6を参照して、第一実施形態における軸流回転
機械設備の第一変形例について説明する。
【0042】
本変形例の軸流回転
機械設備も、第一実施形態の軸流回転
機械設備と同様に、ガスタービン設備である。本変形例のガスタービン設備は、圧縮機10の吸込口19に空気Aを案内する吸気ダクト40aの構成が第一実施形態の吸気ダクト40の構成と異なっており、その他の部位は第一実施形態と同一である。そこで、以下では、この吸気ダクト40aの構成について、主として説明する。
【0043】
本変形例の吸気ダクト40aも、第一実施形態の吸気ダクト40と同様に、圧縮機10の環状の外側ケーシング15の端部に接続されている第一接続部41と、圧縮機10の環状の内側ケーシング16の端部に接続されている第二接続部45aと、第一接続部41及び第二接続部45aに接続されているダクト本体部51と、を有している。本変形例の第一接続部41及びダクト本体部51は、第一実施形態と同一である。一方、本変形例の第二接続部45aは、第一実施形態と若干異なっている。
【0044】
本変形例の第二接続部45aも、第一実施形態の第二接続部45と同様に、軸線Arを中心として筒状の内側筒47aと、この内側筒47aの端部に接続され、軸線Arを中心として環状の第二伸縮継手46aと、を有している。軸線Arを中心として筒状の内側筒47aは、径が上流側に向かうに連れて次第に大きくなっている。本変形例では、この筒状の内側筒47aの下流側と、圧縮機10の内側ケーシング16の上流側との間に、第二伸縮継手46aが配置されている。この第二伸縮継手46aの第一枠61は、圧縮機10の内側ケーシング16の上流端部に剛接続され、第二伸縮継手46aの第二枠62は、内側筒47aの下流端部に剛接続されている。この内側筒47aの他方の端部は、ダクト本体部51における前壁板52の円形の開口53の縁に、ボルト及びナット等で剛接続されている。なお、内側筒47aの他方の端部と前壁板52の円形の開口53の縁とを溶接等で剛接続してもよい。
【0045】
ダクト本体部51は、その下方から複数の吸気ダクト支持脚59により支持されている。複数の吸気ダクト支持脚59は、ガスタービン設置面Gに固定されている。
【0046】
本変形例においても、ダクト本体部51は、第一実施形態と同様に、その下方から複数の吸気ダクト支持脚59で支持されている。
【0047】
以上、本変形例では、吸気ダクト40aのダクト本体部51及びこのダクト本体部51に剛接続されている内側筒47aが吸気ダクト支持脚59に支持され、このダクト本体部51及び内側筒47aの圧縮機ケーシング14に対する相対移動を許容する第一伸縮継手42及び第二伸縮継手46aを介して、ダクト本体部51及び内側筒47aが圧縮機ケーシング14に接続されている。このため、本変形例では、圧縮機ケーシング14の軸方向Daの端部に、ダクト本体部51及び内側筒47aの重量が実質的にかからない。よって、本変形例では、圧縮機10の固有振動数を第一実施形態よりも高めることができ、圧縮機10の振動特性をより向上させることができる。
【0048】
ところで、吸気ダクト40aの吸気開口49から吸い込まれた空気Aは、吸気ダクト40a内の吸気室を経て、圧縮機10の吸込口19から圧縮機10内に流れ込む過程で次第に流速が高まり、次第に静圧が低下する。このため、吸気ダクト40aの吸気室内で、圧縮機10の吸込口19に近い部分、言い換えると、軸線Arに近い部分での静圧は、軸線Arから遠い部分と比べて低い。よって、吸気ダクト40aの内外の差圧は、軸線Arに近い部分の方が軸線Arから遠い部分より大きくなる。この結果、吸気ダクト40aを形成する部材のうちで軸線Arに近い部分に対して、外部から内部に向かって作用する力は、軸線Arから遠い部分に対して外部から内部に向かって作用する力より大きくなる。
【0049】
ここで、本変形例では、第一実施形態と異なり、ダクト本体部51における前壁板52と内側筒47aとが一体化している。また、ダクト本体部51における後壁板54の円形の開口55の縁に接続されている第一伸縮継手42の径に対して、内側筒47aの下流端部に接続されている第二伸縮継手46aの径が小さい。したがって、本変形例では、吸気ダクト40aの吸気開口49から第二伸縮継手46aまでの径方向Drの距離は、吸気ダクト40aの吸気開口49から第一伸縮継手42までの径方向Drの距離よりも、内側筒47aの最大半径(上流端部の半径)と最小半径(下流端部の半径)との差分だけ長い。
【0050】
このため、本変形例では、吸気ダクト40aの吸気開口49から第二伸縮継手46aまでを形成する部材(=前壁板52+内側筒47a)に対して外部から内部に向かって作用する力には、吸気ダクト40aの吸気開口49から第一伸縮継手42までを形成する部材(=後壁板54)に対して外部から内部に向かって作用する力よりも、内側筒47aに対して外部から内部に向かって作用する力分だけ大きくなる。この内側筒47aに対して外部から内部に向かって作用する力は、軸方向Da、つまり吸気ダクト40aを倒す方向に作用する。よって、本変形例では、吸気ダクト支持脚59が吸気ダクト40aの自重のみならず、吸気ダクト40aを倒す方向に作用する力も受け得るものである必要があると共に、ダクト本体部51及び内側筒47aの剛性を高める必要がある。
【0051】
すなわち、本変形例では、第一実施形態よりも、圧縮機ケーシング14の軸方向Daの端部にかかる荷重を減らすことができる一方で、吸気ダクト支持脚59やダクト本体部51及び内側筒47aの負担が増加する。逆に、第一実施形態では、本変形例よりも、圧縮機ケーシング14の軸方向Daの端部にかかる荷重が若干増加するものの、吸気ダクト支持脚59やダクト本体部51及び内側筒47の負担を軽減することができる。
【0052】
よって、第一実施形態と本変形例のいずれかを選択する場合、圧縮機ケーシング14の軸方向Daの端部にかかる荷重の増減のメリット及びデメリットと、吸気ダクト支持脚59やダクト本体部51及び内側筒47aの負担の増減のメリット及びデメリットとを比較考量することが好ましい。
【0053】
なお、本変形例において、この吸気ダクト40aの前壁板52や後壁板54に接して、吸気ダクト40aを倒す方向に作用する軸方向Daの力を受ける吸気ダクト支持脚を別途設けてもよい。
【0054】
「第一実施形態の第二変形例」
次に、
図7を参照して、第一実施形態における軸流回転
機械設備の第二変形例について説明する。
【0055】
本変形例の軸流回転
機械設備も、第一変形例の軸流回転
機械設備と同様、吸気ダクト40bの構成が第一実施形態の吸気ダクト40の構成と異なっており、その他の部位は第一実施形態と基本的に同一である。そこで、以下では、この吸気ダクト40bの構成について、主として説明する。
【0056】
第一実施形態の吸気ダクト40の吸気開口49は、上向きに開口している。これに対して、本変形例の吸気ダクト40bの吸気開口49bは、下向きに開口している。すなわち、本変形例の吸気ダクト40bは、第一実施形態の吸気ダクト40の上下方向の向きを逆転したものである。このため、本変形例のガスタービン設置面Gには、吸気ダクト40bの下方の位置に、空気Aが通る開口が形成されている。
【0057】
本変形例の吸気ダクト40bにおけるダクト本体部51bの吸気開口49bの縁には、外側に向かって広がっているフランジ(支持部)59bが形成されている。このフランジ59bは、ガスタービン設置面Gに接して、このガスタービン設置面Gに固定されている。よって、このフランジ59bは、吸気ダクト40aを支持する支持部としての機能を担っている。
【0058】
以上のように、吸気ダクトの吸気開口は、第一実施形態のように上向きに開口していても、本変形例のように下向きに開口していても、さらに、側方に開口していてもよい。また、本変形例においても、第一変形例と同様に、内側筒47の下流側と圧縮機10の内側ケーシング16の上流側との間に、第二伸縮継手46を配置してもよい。
【0059】
「第二実施形態」
次に、
図8を参照して、本発明に係る気体案内装置及び軸流回転機械を備えている軸流回転
機械設備の第二実施形態について説明する。
【0060】
本実施形態の軸流回転
機械設備も、第一実施形態の軸流回転
機械設備と同様に、ガスタービン設備である。本実施形態のガスタービン設備は、軸流回転機械の一種であるタービン30からの燃焼ガスGを排気ガスとして外部へ案内する排気ダクト70cの構成が第一実施形態の排気ダクト70の構成と異なっており、圧縮機10、燃焼器20及びタービン30の構成は第一実施形態と同一である。そこで、以下では、この排気ダクト70cの構成について、主として説明する。
【0061】
本実施形態の排気ダクト70cは、タービン30の筒状の外側ディフューザ(外側ケーシング)35の下流端部に接続されている第一接続部71と、タービン30の筒状の内側ディフューザ(内側ケーシング)36の下流端部に接続されている第二接続部75と、第一接続部71及び第二接続部75に接続されているダクト本体部81と、を有している。
【0062】
第一接続部71は、筒状の外側ディフューザ35の下流端部に接
続され、軸線Arを中心として環状の第一伸縮継手72と、環状の第一伸縮継手72の下流端部に接続され、軸線Arを中心として筒状の外側筒73と、を有している。外側筒73の径は、下流側に向かうに連れて次第に大きくなっている。
【0063】
第二接続部75は、筒状の内側ディフューザ36の下流端部に接
続され、軸線Arを中心として環状の第二伸縮継手76と、環状の第二伸縮継手76の下流端部に接続され、軸線Arを中心として筒状の内側筒77と、を有している。内側筒77の径は、下流側に向かうに連れて次第に大きくなっている。
【0064】
本実施形態における第一伸縮継手72及び第二伸縮継手76も、前述した第一伸縮継手42及び第二伸縮継手46と同様に、互いに間隔をおいて配置されている第一枠及び第二枠と、第一枠と第二枠とを連結する伸縮部材と、を有している。第一枠及び第二枠は、いずれも剛性を有する金属等で形成されている。また、伸縮部材は、主としてフッ素樹脂シートで形成されている。第一伸縮継手72及び第二伸縮継手76は、いずれも、高温の燃焼ガスに接する。このため、本実施形態において、伸縮部材は、耐熱性の高い樹脂であるフッ素樹脂シートと、このフッ素樹脂シートと燃焼ガスとの間に配置された断熱材(不図示)と、を有している。なお、この伸縮部材は、金属で形成されているべローズであってもよい。
【0065】
ダクト本体部81は、環状の第一接続部71及び第二接続部75と共同して、内部に環状のガス流路Pgを形成している。このガス流路Pgは、排気室を成している。また、このダクト本体部81の径方向外側には、上側を向いて開口している排気開口79cが形成されている。
【0066】
ダクト本体部81は、第一接続部71の上流側部分の外周側を覆い、タービンケーシング34に接続されている本体筒86と、軸線Arに対して垂直な方向成分を有する方向に広がり、軸方向Daに間隔をおいて対向している前壁板82及び後壁板84と、前壁板82の径方向外側縁と後壁板84の径方向外側縁とを連結する側壁板87と、有している。前壁板82は、後壁板84に対して上流側に位置している。前壁板82の径方向外側縁及び後壁板84の径方向外側縁のうちの上縁は、側壁板87で連結されておらず、これらの上縁と側壁板87の上縁とで、排気開口79cが形成されている。前壁板82及び後壁板84には、軸線Arを中心とした円形の開口83,85が形成されている。前壁板82の円形の開口83の縁には、本体筒86の下流端部及び第一接続部71の外側筒73が剛接続されている。また、後壁板84の円形の開口85の縁には、第二接続部75の内側筒77の下流端部が剛接続されている。
【0067】
ダクト本体部81は、その下方から複数の排気ダクト支持脚(支持部)89cにより支持されている。複数の排気ダクト支持脚89cは、ガスタービン設置面Gに固定されている。
【0068】
本実施形態では、以上で説明した排気ダクト70cと、排気ダクト支持脚89cとで、気体案内装置を構成している。
【0069】
以上、本実施形態では、排気ダクト70cのダクト本体部81、第一接続部71の外側筒73、及び第二接続部75の内側筒77が排気ダクト支持脚89cに支持され、これらダクト本体部81、第一接続部71の外側筒73、及び第二接続部75の内側筒77のタービン30に対する相対移動を許容する第一伸縮継手72及び第二伸縮継手76を介して、ダクト本体部81、第一接続部71の外側筒73、及び第二接続部75の内側筒77がタービン30に接続されている。このため、本実施形態では、タービン30の軸方向Daの下流端部に、これらダクト本体部81、第一接続部71の外側筒73、及び第二接続部75の内側筒77の荷重が実質的にかからない。よって、本実施形態では、ガスタービン全体の固有振動数を高めることができ、ガスタービン全体の振動特性を向上させることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、第一伸縮継手72が第一接続部71中の上流端部に位置しているが、この第一伸縮継手72は第一接続部71中の他の部分に位置していてもよい。また、本実施形態では、第二伸縮継手76が第二接続部75中の上流端部に位置しているが、この第二伸縮継手76は第二接続部75中の他の部分に位置していてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、排気ダクト70cの排気開口79cが上向きに開口しているが、下向きや側方向きに開口してもよい。
【0072】
また、本実施形態において、吸気ダクト40cとして、第一実施形態やその各変形例のうちのいずれか吸気ダクトを採用してもよい。
【0073】
また、以上の各実施形態及び各変形例では、継手として伸縮継手を採用しているが、二つの部材が相対移動可能に二つの部材を接続する継手であれば、いかなる継手でもよく、例えば、伸縮継手以外の他の可動式管継手を採用してもよい。
【0074】
また、以上の各実施形態及び各変形例では、ガスタービン設備における軸流圧縮機10やガスタービン設備におけるタービン30に対する気体案内装置を例示している。しかしながら、本発明は、これに限定されず、ガスタービン設備の一部を構成しない軸流圧縮機等の軸流回転機械に対して本発明を適用してもよい。