特許第5985206号(P5985206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985206
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ポケットティッシュ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20160823BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65D83/08 D
   A47K7/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-42727(P2012-42727)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-177181(P2013-177181A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】小澤 秀和
(72)【発明者】
【氏名】川井 健造
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−206421(JP,A)
【文献】 特開2008−206918(JP,A)
【文献】 特開2008−080028(JP,A)
【文献】 特開2001−120458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された長方形のティッシュペーパーからなるティッシュと、
折り畳まれた前記ティッシュを積層して収納するとともに、収納された前記ティッシュを取り出すティッシュ取出口が一面の中央部で且つ前記一面の長手方向に沿って設けられた扁平な袋と、
を有するポケットティッシュにおいて、
前記ティッシュは、
折り跡が復元可能な断面略円弧形状からなり、前記ティッシュペーパーの短手方向と平行に延在する複数の折り部と、
前記複数の折り部に沿って折り畳まれた前記ティッシュの最上部に設けられ、折り畳まれた前記ティッシュが前記袋に収納されたときに、前記ティッシュ取出口の開口方向
に沿って位置するつまみ代と、
前記つまみ代の根元部に設けられ、前記ティッシュを一体化する直線状の型押し部と、
を有し、
前記ティッシュペーパーは、
米坪が30g/m2以上100g/m2以下で、且つ強度が引出し方向に対し90cN/25mm以上であり、
前記ティッシュは、
前記複数の折り部に沿って折り畳まれたときに3枚以上重なる部分の合計が折り畳み寸法に対して1/3以上である
ことを特徴とするポケットティッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯しやすいように折り畳まれて袋内に収納されたティッシュを取出口から引き出して、折り直したりたりすることなく、引出した状態のままで使用することができるポケットティッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポケットティッシュは、長方形の扁平な袋内に複数枚のティッシュペーパーをポケットティッシュの短手方向と長手方向の2方向に折り畳んだ状態で収容し、その袋の一面に取出口となる破線切込部(ミシン目)を設け、1枚ずつ取り出せるようにしたものがある。しかし、このようなポケットティッシュでは、ティッシュが2方向に折り畳まれて袋内に収納されているため、引出したティッシュをそのまま使用することができず、折りを広げて畳み直す必要があった。
【0003】
また、折り畳まれて袋内に収納されたティッシュを取出口から引き出し、ティッシュを開いたり、折り畳み直したりすることなく、そのまま使用することができるポケットティッシュが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のポケットティッシュは、各ティッシュがその短辺と平行な方向の折り目にのみに沿って折り畳まれて折り、その折り目の方向とティッシュ取出口の方向とが平行となる状態で、袋内に収納されており、袋から取り出して直ぐに使用できるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−206421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のポケットティッシュは、米坪が32〜100g/m2に設定されており、ティッシュぺーパーを構成する各シート1枚の坪量が比較的高く剛性が高いことから、シートの剥離(分離)が起きやすい。取出し時に剥離したシートをつまむとティッシュが破れる原因となる。
また、折り目を長手方向に沿って設けた後にプレスにより強圧して成形しているので、折り部の引き裂き強度が低下し、各折り目に沿って裂けやすいという問題もある。ティッシュは、原反ロールの巻き取り方向に繊維が配向しているため、繊維の向きに沿って折り目が入る状態となり、折り目が裂けやすくなっている。特に、保湿剤や平滑剤等を含浸させたローションティッシュでは、通常のティッシュよりも強度が低くなる傾向にあり、より裂けやすい。
【0006】
さらに、折り目の成形により、特許文献1のポケットティッシュでは、ティッシュに設けた各折り目が山形又は谷形となり、この状態では使い勝手が悪いため、使用者は、ティッシュが平らな形になるように折り目を手で折り目を広げる手間を要することもある。
【0007】
本発明はこれら従来の問題点を解決し、シートの剥離が起きにくく、折り目の引き裂き強度の低下を抑え、裂けにくいポケットティッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、積層された長方形のティッシュペーパーからなるティッシュと、折り畳まれた前記ティッシュを積層して収納するとともに、収納された前記ティッシュを取り出すティッシュ取出口が一面の中央部で且つ前記一面の長手方向に沿って設けられた扁平な袋と、を有するポケットティッシュにおいて、前記ティッシュは、折り跡が復元可能な断面略円弧形状からなり、前記ティッシュペーパーの短手方向と平行に延在する複数の折り部と、前記複数の折り部に沿って折り畳まれた前記ティッシュの最上部に設けられ、折り畳まれた前記ティッシュが前記袋に収納されたときに、前記ティッシュ取出口の開口方向に沿って位置するつまみ代と、前記つまみ代の根元部に設けられ、前記ティッシュを一体化する直線状の型押し部と、を有し、前記ティッシュペーパーは、米坪が30g/m2以上100g/m2以下で、且つ強度が引出し方向に対し90cN/25mm以上であり、前記ティッシュは、前記複数の折り部に沿って折り畳まれたときに3枚以上重なる部分の合計が折り畳み寸法に対して1/3以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ティッシュペーパーの米坪が30〜100g/m2であり、強度が引出し方向に対し90cN/25mm以上であり、複数の折り部により3枚以上重なる部分の合計が折り畳み寸法に対して1/3以上であるため、ティッシュを袋から出すときに従来のポケットティッシュに比してコンパクトとなり、かつ、裂けにくくなった。
また、本発明によれば、ティッシュが、折り部をティッシュ取出口近傍でつまみ代を形成するように袋内に積層されているので、袋から取り出しやすくなった。
さらにつまみ部の根元に直線状の型押し(ナーリング)加工を施しており、シートの剥離が生じにくい。
また、本発明によれば、折り部がティッシュの展開時に折り跡が復元可能な断面略円弧形状を有しているので、折り部の引き裂き強度の低下を抑えることが可能となり、裂けにくいポケットティッシュを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るポケットティッシュの袋からティッシュを取り出した時の状態を示す斜視図である。
図2図1のポケットティッシュの斜視図である。
図3図1に用いられるティッシュを広げた状態を示す平面図である。
図4図3のティッシュに設けた折り部の拡大断面図である。
図5図3のティッシュを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1図3は、本発明の一実施形態に係るポケットティッシュ1を示す。
本実施形態に係るポケットティッシュ1は、複数の長方形のティッシュペーパー11を積層して成るティッシュ10と、表面のほぼ中央部の長手方向にティッシュ取出口21を設けた直方体形状の扁平な袋20とで構成されている。
【0012】
ティッシュ10は、例えば、図3に示すように、縦幅TD=90mm〜180mm、横幅TW=150mm〜240mmで、米坪が30/m2以上、100g/m2以下の長方形のティッシュペーパー11を2枚重ね又は3枚重ね或いは3枚重ね以上とすることによって構成されている。ティッシュ10のシートの強度は、引き出し方向に対応するCDT(乾燥横引張り強度)が90cN/25mm以上であることが好ましく、ティシュの風合いを考慮して250cN/25mm以下とすることが好ましい。また、MDT(乾燥縦引張り強度)が200〜800cN/25mmである。さらには、MDTは、250cN/25mm〜600cN/25mmが好ましい。ティッシュ10のサイズは、縦幅D=60mm〜90mm、横幅W=90mm〜180mmとするが、衣服のポケットへの収納に便利なように横幅W=90mm〜130mmとすることが好ましい。
【0013】
ティッシュ10は、例えば、図1図3に示すように、積層された長方形のティッシュペーパー10に、その短手方向(縦幅TD方向)と平行な複数の折り部12,13,14を長手方向(横幅TW方向)に沿って設け、複数の折り部12,13,14に沿って折り畳まれるように成形されて、3枚以上重なる部分の合計が折り畳み寸法に対して1/3以上にしてある。ポケットティシュをよりコンパクトにするため3枚以上重なる部分が折り畳み寸法全体でもよい。
また、ティッシュ10は、折り部12,13,14を後述する袋20のティッシュ取出口21近傍でつまみ代17を形成するように袋20内に積層される。
【0014】
このような機能を有する複数の折り部12,13,14の成形について説明する。
本実施形態に係るポケットティッシュ1は、ティッシュペーパー11の原反ロールからティッシュペーパー(ウェブ)を引き出して一方向に搬送しながら所定の加工を施すことによって製造することができる。例えば、機械生産流れ方向(MD方向)と直交する幅方向(CD方向)の寸法が150mm〜240mmである帯状のティッシュペーパーを複数枚積層した状態でロール状に巻回してなる原反ロールを使用する。
【0015】
本実施形態において、ティッシュ10の短手方向と平行な複数の折り部12,13,14を長手方向に沿って設ける方法としては、例えば、棒体又は折り板を用いるものがある。
折り跡を緩やかにするためには、折り板の形状や角度などの調整と、その後のプレスを緩和する。また、つまみ代の根元には、折り部形成後に型押し(ナーリング)加工を施す。型押しは、直線状に連続して施す以外にも間欠としてもよい。
【0016】
袋20は、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等の熱融着可能な可撓性素材で形成されている。
袋20の表面側には、ティッシュ10を取り出すためのティッシュ取出口21となるミシン目21aが形成されている。このミシン目21aは、袋20の短手方向(縦幅D方向)の中央部において長手方向(横幅W方向)に延びるように形成されており、このミシン目21aを開裂させることで図1に示すようにティッシュ取出口21が形成される。
【0017】
そして、これらのティッシュペーパー11が、本実施形態では、その短手方向(縦幅TD方向)と平行な方向の折り部12,13,14を長手方向(横幅TW方向)に沿って折り畳まれており、これらの折り部12,13,14の方向とティッシュ取出口21(ミシン目21a)の方向とが平行となる状態で、袋20内に収納されている。
【0018】
次に、本実施形態の作用を説明する。
先ず、ポケットティッシュ1を使用するに当たっては、袋20の表面側に形成されているミシン目21aを開裂させてティッシュ取出口21とする。次いで、ティッシュ取出口21から袋20内に指を挿入して最上部にあるティッシュ10の折り畳み部分で形成されるつまみ代17を摘んで外部に引き出す。
【0019】
また、ティッシュペーパー11はその短手方向(縦幅TD方向)と平行な方向の各折り部12〜14にのみ沿って折り畳まれており、これらの折り部12〜14の方向とティッシュ取出口21の方向とが平行となる状態で袋20内に収納されているので、最上部にあるティッシュ10の折り畳み部分を摘んで外部に引き出すと、ティッシュ10はその折り畳み状態が解除される方向、つまり折り部12〜15と直交する長手方向に引き出されることとなる。このため、ティッシュ10はティッシュ取出口21から袋20外に引き出される過程で、各折り部12〜15の復元力で折り畳み状態が順次解除されていき、図3図4に示すように、外部に完全に引き出されたときには既にその略全体が展開した状態(広げられた状態)となっている。
【0020】
従って、使用者は、袋20内に収納されているティッシュ10をティッシュ取出口21から外部に引き出すだけで、適度なサイズ及び形状を有するティッシュ10を使用しやすい横長形状の状態で直ぐに使用できる。即ち、従来のポケットティッシュのように袋から取り出した折り畳み状態のティッシュを使用前に広げたり、さらに使用しやすいサイズとするために2つ折り或いは4つ折りにしたりするといった手間を省くことができる。
【0021】
このように、本実施形態に係るポケットティッシュ1によれば、袋20から取り出すだけで、すでに使用しやすい大きさと形状と方向性とを具備しているから、袋20から取り出した長方形のティッシュ10を広げたりさらには2つ折りや4つ折りに折り直したりすることなく、袋20から取り出した状態で直ぐに使用できるだけでなく、使用しやすい横長状態のまま使用することができる。
また、つまみ代17をティシュ取出し口21の近傍に設けられており、シートを剥離することなく、ポケットティシュ1を引出し使用することができる。
さらに、本実施形態に係るポケットティッシュ1は、折り部12,13,14に折り跡が付いても、ティッシュ10を広げたときに、従来のティッシュに比べてティッシュ10の復元力でティッシュ本体と同等程度に平らになろうとするので、使用者は、袋から取り出したティッシュ10を軽く押し広げる程度の力を加えるだけで、折り部12,13,14が殆ど気にならない程度にティッシュ10を平らにすることが可能となる。
このように、本実施形態に係るポケットティッシュ1によれば、袋20からティッシュ10を取り出した後に、従来のポケットティッシュのように折り部12,13,14が裂けやすいという不具合を解消することが可能となる。
【0022】
図5は、ティッシュ10の折り畳み形態例を示す。
図5(a)は、折り部49,50により三層としたもので、下部側は中間部と完全に重なり、上部側は中間部と長手方向において略半分だけ重なるようにしたものである。
図5(b)は、折り部49,50により三層とした(a)に加え、折り部51によりつまみ代を形成したものである。
図5(c)は、つまみ代の基部にナーリングを設けたものである。
【0023】
なお、上記実施形態では、柔らかく、手触りが良く、吸収性に優れ、しかも強度にも優れているので、ローションティシュに限らず、非ローションティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル等のいわゆる衛生用薄葉紙にも適用可能である。
また、本発明は、ローションティッシュを使用するポケットティッシュとしても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 ポケットティッシュ
10 ティッシュ
11 ティッシュペーパー
12,13,14, 折り部
17 つまみ代
18 ナーリング
20 袋
21 ティッシュ取出口
21a ミシン目
図1
図2
図3
図4
図5