特許第5985212号(P5985212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985212
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】冷却コンプレッサ制御装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20160823BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F25D11/00 101U
   F25B1/00 361D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-48701(P2012-48701)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-185710(P2013-185710A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109093
【氏名又は名称】ダイヤモンド電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菅原 晃
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−155948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサモータの回転数及び始動動作及び停止動作の各々を規定した出力信号を生成し、ヒステリシス変動に伴う庫内温度の運転サイクルを制御させる冷却コンプレッサ制御装置において、
前記運転サイクルのうち第1の運転サイクルに対応する第1パラメータを算出する第1のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルの後に現れる第2の運転サイクルに対応する第2パラメータを算出する第2のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルを構成する第1波形又は前記第2の運転サイクルを構成する第2波形のうち少なくとも一方を用いて形成させた合成波形の運転サイクルに対応する第3パラメータを算出する第3のパラメータ算出処理と、を実行させ、
前記第2のパラメータ算出処理は、前記第1パラメータと前記第3パラメータとを利用して、前記第2パラメータの値を補正処理することを特徴とする冷却コンプレッサ制御装置。
【請求項2】
前記補正処理は、統計的演算手法を用いて前記第2パラメータを補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却コンプレッサ制御装置。
【請求項3】
前記合成波形の運転サイクルは、前記第1波形と前記第2波形とを合成させた波形の運転サイクルである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却コンプレッサ制御装置。
【請求項4】
コンプレッサモータの回転数及び始動動作及び停止動作の各々を規定した出力信号を生成し、ヒステリシス変動に伴う庫内温度の運転サイクルを制御させる冷却コンプレッサ制御装置において、
前記運転サイクルのうち第1の運転サイクルに対応する第1パラメータを算出する第1のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルの後に現れる第2の運転サイクルに対応する第2パラメータを算出する第2のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルを構成する第1波形又は前記第2の運転サイクルを構成する第2波形のうち少なくとも一方を用いて形成させた合成波形の運転サイクルに対応する第3パラメータを算出する第3のパラメータ算出処理と、を実行させ、
前記第1パラメータ乃至前記第3パラメータの各々は、対応する運転パラメータに占める温度減少期間の割合を示すパラメータである、ことを特徴とする冷却コンプレッサ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置の定常運転制御に関し、特に、インバータ制御方式を採用した冷却コンプレッサ制御装置に用いて好適のものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートポンプを用いた冷却技術では、消費電力の低減に関する取組として、コンプレッサのモータ制御にインバータ技術が導入されている。インバータ制御方式では、モータ回転数を適宜に制御できるので、冷却対象の温度状況に応じて最適な回転数でヒートポンプ装置を駆動させることが可能となる。
【0003】
特に、冷却装置で行われる定常運転では、エネルギー消費効率(COP値)の高い制御が要求される為、コンプレッサモータの回転数が比較的低回転に設定される(例えば、50Hz,4極モータのコンプレッサの場合、1500rpm)。
【0004】
特願2012−045714号公報(特許文献1)では、定常運転時における冷却装置の制御が説明されている。定常運転での制御は、図7(a)に示す如く、上限値T1に達するとコンプレッサモータを設定回転数で運転させ、下限値T2に達するとコンプレッサモータを停止させる。このように、定常運転での制御は、コンプレッサモータの運転・停止を適宜に繰返すことで、庫内温度を上限値T1〜下限値T2の範囲でヒステリシス変動させ、当該制御対象温度を目標温度T0へ収斂させている。
【0005】
特に、同公報では、ヒステリシス変動によって形成される1周期分の運転サイクルDtを算出し、コンプレッサモータの運転期間Dyを算出し、この算出結果を用いて、運転サイクルDtに占める運転期間Dyの割合(割合パラメータと呼ぶ)を算出している。そして、この割合パラメータに基づきコンプレッサモータの回転数を設定することで、回転数の過剰設定又は過小設定を避け、電力消費の低減を図っている。
【0006】
更に、同公報の一例では、割合パラメータを運転サイクル毎に取得(メモリ回路等に記録)させ、過去に算出された割合パラメータを用いて、直近の運転サイクルに対応する割合パラメータを補正させている。具体的に説明すると、図7(b)〜図7(d)に示す如く、運転サイクルDt1の終了時点t4で割合パラメータR1を算出させ、運転サイクルDt2の終了時点t8で割合パラメータRt2を算出させ、運転サイクルDt3の終了時点t12で割合パラメータRt3を算出させる。そして、この直近の運転サイクルDt3に対応する割合パラメータRt3は、Rt1〜Rt3を用いた相加平均値を算出することで、其のパラメータ値が補正される。
【0007】
かかる補正処理は、運転サイクルが進むにつれ、補正演算に用いるパラメータデータを順次シフトさせることで、後段の運転割合Rtを順次算出する。このように、割合パラメータRt3は、相加平均といった統計的演算によって補正処理され、パラメータデータの信頼性が向上されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特願2012−045714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した補正処理では、一つの運転サイクルDtの終了を待たなければ、統計的演算に用いるサンプルデータを一つしか取得できない。例えば、3サイクル分の運転サイクルDtを待たなければ、割合パラメータに相当するサンプルデータを3点取得することができない。このように、上述したデータサンプル方法は、運転サイクルに対応して取得できるサンプルデータが限られるので、複数のサンプルデータを必要とする統計的演算手法に馴染まない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み、定常運転での運転サイクルに対応して得られるパラメータを効率良く多数サンプリングすることが可能な冷却コンプレッサ制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では次のような冷却コンプレッサ制御装置の構成とする。即ち、コンプレッサモータの回転数及び始動動作及び停止動作の各々を規定した出力信号を生成し、ヒステリシス変動に伴う庫内温度の運転サイクルを制御させる冷却コンプレッサ制御装置において、
前記運転サイクルのうち第1の運転サイクルに対応する第1パラメータを算出する第1のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルの後に現れる第2の運転サイクルに対応する第2パラメータを算出する第2のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルを構成する第1波形又は前記第2の運転サイクルを構成する第2波形のうち少なくとも一方を用いて形成させた合成波形の運転サイクルに対応する第3パラメータを算出する第3のパラメータ算出処理と、を実行させ、
前記第2のパラメータ算出処理は、前記第1パラメータと前記第3パラメータとを利用して、前記第2パラメータの値を補正処理することとする。
【0013】
好ましくは、前記補正処理は、統計的演算手法を用いて前記第2パラメータを補正することとする。
【0014】
好ましくは、前記合成波形の運転サイクルは、前記第1波形と前記第2波形とを合成させた波形の運転サイクルであることとする。
【0015】
また、本発明では次のような冷却コンプレッサ制御装置の構成としても良い。即ち、コンプレッサモータの回転数及び始動動作及び停止動作の各々を規定した出力信号を生成し、ヒステリシス変動に伴う庫内温度の運転サイクルを制御させる冷却コンプレッサ制御装置において、
前記運転サイクルのうち第1の運転サイクルに対応する第1パラメータを算出する第1のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルの後に現れる第2の運転サイクルに対応する第2パラメータを算出する第2のパラメータ算出処理と、前記第1の運転サイクルを構成する第1波形又は前記第2の運転サイクルを構成する第2波形のうち少なくとも一方を用いて形成させた合成波形の運転サイクルに対応する第3パラメータを算出する第3のパラメータ算出処理と、を実行させ、
前記第1パラメータ乃至前記第3パラメータの各々は、対応する運転パラメータに占める温度減少期間の割合を示すパラメータであることとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る冷却コンプレッサ制御装置によると、限られた運転サイクルの中から多数のサンプルデータ(割合パラメータ)を取得できるので、信頼性を損なうことなく応答性の高い制御が実現される。このため、制御装置19では、熱負荷に応じて適切な設定温度が選択されることとなり、温度制御に係るオーバーシュートや応答遅れといった不具合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一般的な冷却装置の機能構成を示す図。
図2】熱負荷を変化させた場合の運転サイクルを示す図(其の1)。
図3】熱負荷を変化させた場合の運転サイクルを示す図(其の2)。
図4】実施の形態に係る運転サイクルの変化を示す図。
図5】指令回転数情報を特定させるマップ情報を示す図(実施の形態)。
図6】実施例に係る運転割合の算出方法を示す図。
図7】従来例に係る運転割合の算出方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1は、一般的な冷却装置の触媒回路(冷凍回路)が示されている。ここで冷却装置とは、貯蔵庫を具備する冷凍装置・冷蔵装置を意味するものであり、冷凍装置及び冷蔵装置のうち何れか一方のみの構成であっても良く、これら双方の機器を含む構成であっても良い。便宜として、かかる意味を持つ冷却装置を冷凍装置と呼び換えて以下説明を行う。
【0019】
図示の如く、冷凍装置10に形成される触媒回路には、冷却コンプレッサ11,凝縮器13,キャピラリーチューブ15,蒸発器16が設けられ、各々が冷媒チューブ18によってループ状に接続されている。チューブ内には冷媒が封入されており、この冷媒は、冷却コンプレッサ11に応動して冷媒回路を循環する。
【0020】
更に、冷凍装置10には、ドライブ回路12と送風ファン14及び17が適宜に配備されている。これらは、冷却コンプレッサ制御装置19へ電気的に接続され、冷却コンプレッサ制御装置19から与えられた信号によって制御される。以下、冷却コンプレッサ制御装置19を、単に制御装置19と呼ぶこととする。
【0021】
ドライブ回路12は、複数のパワートランジスタから成るインバータ回路であって、PWM信号によって制御される。当該インバータ回路は、PWM信号の周波数に応じて三相交流電流を生成し、冷却コンプレッサへ内蔵されるコンプレッサモータ(図示なし)の回転数を制御する。このPWM信号は、特許請求の範囲における出力信号の一形態であって、コンプレッサモータの各運転を規定するものである。具体的に説明すると、PWM信号は、サイン波形を表現するためにパルス幅変調させているパルス部分が当該モータの駆動動作を規定している。また、DUTYが一定値とされているパルス部分が当該モータの停止動作を規定している。また、パルス変調の表現する周波数が当該モータの指令回転数を規定することとなる。このように、PWM信号は、コンプレッサモータの様々な運転動作を規定している。
【0022】
コンプレッサモータは、上述したPWM信号によって制御され、冷却コンプレッサの羽根車を駆動・停止・回転数調整させる。そして、駆動開始した羽根車は、冷媒を入力側(低圧)から出力側(高圧)へと送り込み、冷媒が封入された冷媒回路へ作用する。即ち、この羽根車は、制御モータの回転数に応じて冷媒循環量〔qmr〕を増減させることとなる。
【0023】
送風ファン14は、冷却コンプレッサ11によって高圧高温化された冷媒温度を低下させる。また、送風ファン17は、庫内の熱量と冷媒の熱量との熱交換を促す役割を担う。これらの送風ファン14,17は、ドライブ回路及びファンモータが内蔵されており、制御装置19からの指令信号によってファンモータの回転数が各々制御される。
【0024】
更に、冷凍装置10は、其の貯蔵室に庫内温度計20が設けられている。庫内温度計20は、貯蔵庫内の温度を計測し、計測結果を電気信号に変換し出力する。制御装置19は、信号ラインを介して庫内温度計20に接続されており、庫内温度の計測結果が電気信号として入力される。制御装置19では、庫内温度の情報に基づいて、熱負荷の状態を判別する。本実施の形態の場合、熱負荷とは、庫内の貯蔵物の熱量に限らず、庫内からの熱リーク量等を含む概念とする。但し、特許請求の範囲における「熱負荷」とは、この定義に限定されるものではない。
【0025】
制御装置19は、上述したPWM信号を生成し、これをドライブ回路12へ出力することで、コンプレッサモータを制御する。また、本実施の形態に係る制御装置19は、送風ファン用の指令信号を生成出力し、送風ファン14,17を各々制御する。かかる制御装置19は、CPU,メモリ回路,AD変換回路,クロック回路等のハードウェア資源と、メモリ回路等に格納された制御プログラム及びマップ情報といったソフトウェア資源とから成る装置である。そして、制御装置19は、これらハードウェア資源とソフトウェア資源とが協働し、実施される情報処理によって機能的装置を構築させる。
【0026】
こうして、制御装置19では、目標温度T0の近傍に上限値T1及び下限値T2を設定する処理、運転動作におけるコンプレッサモータの回転数を設定・変更する処理、コンプレッサモータの運転動作及び停止動作を切換えて上限値T1〜下限値T2の範囲で庫内温度を制御させる(ヒステリシス変動させる)処理、等を適宜に機能構築させることとなる。尚、制御装置19で構築される機能については、追って詳述することとする。
【0027】
上述の如く、冷媒回路において、これを循環する冷媒は、気相状態で冷却コンプレッサ11へ投入され、冷却コンプレッサ11を通過する際に高圧高温化され、凝縮器13を通過する際にこれが冷却され液相状態となる。その後、液相状態の冷媒は、キャピラリーチューブ15で減圧され、蒸発器16では、其の冷媒が気化されることで、庫内温度を吸収(冷却)する。かかる冷媒は、気相の状態で冷却コンプレッサ11へ再投入され、冷却サイクルが繰り返されることとなる。ヒートポンプ式の冷却サイクルでは、冷媒循環量〔qmr〕に応じて庫内の冷却速度が調整される。即ち、庫内の冷却速度は、コンプレッサ用の制御モータの回転数によって制御されることとなり、言換えると、制御装置19の生成するPWM信号によって制御されることを意味する。
【0028】
図2(a)は、冷凍装置によって制御される庫内温度の推移が示されている。庫内温度を示す温度波形Wr(実線部)について、ヒステリシス変動される1周期を運転サイクルDtと呼び、コンプレッサモータを停止させている期間を停止期間Dx,コンプレッサモータを運転させている期間を運転期間Dyと呼ぶこととする。尚、図3(a)は、説明の便宜上設けられたものであり、図2(a)と全く同一の状態を示すものである。
【0029】
一般に、冷却装置では、電力消費の視点によれば設定回転数を下げ運転期間Dyを長く設定した方が有利な反面、エバポレータの結露凍結防止(デフロスト効果)の視点によれば運転期間Dyを短く設定すべき要求がある。このため、図2(a)に示す如く、制御対象温度は、双方の技術的事情を両立させる為、運転サイクルDtについて停止期間Dxと運転期間Dyとが略一致しているのが理想的である。
【0030】
しかし、従来技術によれば、設定回転数によって定まる冷却能力と冷却対象の熱負荷がバランスした場面に限り、上述した理想的な運転サイクルDtが形成されるに過ぎない。従来技術にあっては、このバランスされた状態に新たな熱負荷が加えられると、適宜にコンプレッサモータの回転数が設定変更されることとなるが、エネルギー消費率新たな熱負荷を含む全熱負荷が設定回転数にバランスするとは限らない。通常、定常運転の庫内温度制御では、エネルギー消費率(例えば、COP値)の高い条件で運転させるため、運転サイクルDtにおける期間Dxと期間Dyとの平衡状態が頻繁に崩れることとなる。
【0031】
以下説明する図2(b),図2(c),図3(b),図3(c)は、熱負荷と設定回転数とのバランス中に制御対象の熱負荷を変更させ、其のバランスが崩れ始める局面を示している。尚、温度波形Wrは、温度の推移を示すものであり(実線部)、この波形のうち、停止期間Dxに対応する部位を波形Wxと呼び,運転期間Dyに対応する部位を波形Wyと呼ぶ。また、各図中の点線部は、バランスが継続していた場合の仮の波形である。また、図3(a)は、便宜的に図示されたもので、図2(a)で示される状態と同じである。
【0032】
図2(b)は、時刻t2で所定の熱負荷を取去った場合の運転サイクルである。この場合、温度波形Wrは、波形Wyの勾配が大きくなり、運転サイクルDtに対する運転期間Dyの割合を少なくさせる。波形Wyの勾配が著しく大きい場面は、熱負荷に対してモータ回転数が過剰設定されている状態を意味する。このような場面では、設定回転数を低下させ、消費電力を抑制させるべきである。また、下限値T2でのオーバーシュートを招く惧れがある。
【0033】
また、図2(c)は、時刻t2で所定の熱負荷を追加した場合の運転サイクルである。この場合、温度波形Wrは、波形Wyの勾配が小さくなり、運転サイクルDtに対する運転期間Dyの割合が増加する。波形Wyの勾配が著しく小さい場面は、熱負荷に対してコンプレッサモータの回転数が不十分である状態を意味する。このような場面では、設定回転数を上昇させ運転期間Dyを短縮させなければ、冷却動作を収斂できないので、消費電力の低下を見込めない。
【0034】
また、図3(b)は、時刻t0で所定の熱負荷を追加した場合の運転サイクルである。この場合、波形Wyの勾配が小さくなるところ、図2(c)での場面と同様に、設定回転数を上昇させコンプレッサの冗長運転を回避させなければならない。加えて、図3(b)の場合、波形Wxの勾配が大きくなる為、運転停止期間Dxが短くなり、運転サイクルDtに対する停止期間Dxの割合を少なくさせる。かかる場面では、停止期間Dxでのデフロスト効果が減退するので、やはり、運転期間Dyの短縮が求められる。
【0035】
また、図3(c)は、時刻t0で所定の熱負荷を取去った場合の運転サイクルである。この場合、波形Wxの勾配が小さくなること、波形Wyの勾配が大きくなることから、波形Wx及びWyをバランスさせるため、設定回転数を今より低く設定させる制御が要求される。
【0036】
このように、従来技術に係る定常運転制御では、運転サイクルDt(又は、停止期間Dx)に占める運転期間Dyといった視点で省電力化の検討が行われていない為、運転期間Dx及び停止期間Dyのバランス状態が偶発的に形成されることはあっても、其のバランス状態は熱負荷の変動に伴って崩されてしまう。このため、当該バランス状態を持続させることが不可能となる。
【0037】
図4は、本実施の形態に係る庫内温度の定常運転制御が示されている。同図では、第1周期に対応する運転サイクルをDt1と記し、これに対応して、停止期間Dx1,運転期間Dy1と記す。同様に、第2周期については、各々、Dt2,Dx2,Dy2と記す。また、温度波形Wrのうち、停止期間Dxに対応する部位を波形Wxと呼び,運転期間Dyに対応する部位を波形Wyと呼ぶ。これらも、運転サイクルの周期に応じて、Wx1,Wx2等と記すこととする。このように、波形Wx及び波形Wyは、これら双方の波形が組合わされて運転サイクルDtの波形を形成するところ、当該運転サイクルDtを構成する波形であると言うことができる。
【0038】
また、図4には、波形Wy1,Wy2a,Wy2bが点線で追加図示されている。このうち、波形Wy1は、波形Wx1に対する制御上の理想的な波形であり、当該波形Wy1に相当する運転期間はDx1に一致する。また、波形Wy2aは、本発明を適用させず、熱負荷が変動しても回転数を変更させなかった場合に相当する波形である。Dt2a(時刻t0〜t4’)は、波形Wy2aを辿る場合の運転サイクルを指す。また、波形Wy2bは、停止期間Dx2に対する理想的な波形で、当該波形Wy2bに相当する運転期間はDx2に一致する。Dt2b(時刻t0〜t4”)は、波形Wy2aを辿る運転サイクルを指す。
【0039】
図4(a)は、時刻teで熱負荷が追加された場合における、庫内温度の推移が示されている。図示の如く、時刻teで熱負荷が増加したので、運転期間Dy1での波形の勾配が緩慢となり、後の停止期間Dx2での波形が急勾配となる。
【0040】
本実施の形態に係る制御装置19では、時刻t0が到来すると、運転サイクルDt1を算出する(第1の期間算出処理)。同時に、運転期間Dy1(温度減少期間)を算出する(第2の期間算出処理)。これらの期間算出処理は、上限値T1の到達時刻を起算点とし、下限値T2の到達時刻を到達点とすれば、其の間のサンプル回数に基づきサンプル間隔を積算させることで、運転期間Dyを算出できる。同様に、下限値T2の到達時刻から次回の下限値到達時刻までを上述の如く積算処理させることで、運転サイクルDtを算出できる。
【0041】
かかる期間計算が完了すると、運転サイクルDtに対する運転期間Dyの割合を算出させる(比率算出処理)。以下、この割合を、運転割合Rtと呼ぶこととする。本実施の形態によると、時刻t0の経過直後では、比率算出処理が実行されることで、以下の演算を実施させる。
Rt=(Dy1/Dt1)*100 ・・・式1
【0042】
その後、制御装置19は、運転割合Rtの算出値に基づいてPWM信号の波形を設定し、当該PWM信号をドライブ回路12へ出力させる(信号成形処理)。このように、制御装置19は、上述の各処理を規定したプログラムをメモリ回路へ格納させておき、必要に応じてこれらの処理を起動させ、コンプレッサモータの回転数を運転割合Rtという新たなパラメータに基づいて設定する。制御装置19は、運転割合Rtを設定回転数の算定パラメータとして利用することで、停止期間Dxと運転期間Dyとを適宜に配分させる制御を実現させる。
【0043】
図4では、信号成形処理について、更に好適な動作が示されている。信号成形処理では、予め設定された基準割合RsをCPUのデータレジスタへ読み出し、基準割合Rsと運転割合Rtとの大小比較を実施し、基準割合Rsよりも運転割合Rtの値が大きい場合、設定回転数を上昇させるPWM信号を成形させる。即ち、制御装置19は、運転割合Rtが基準値より大きいと、PWM信号に表現される周波数を高く設定し、コンプレッサモータの回転数を上昇させる。尚、基準割合Rsは50%とされていることとする。
【0044】
図4(a)を参照すると、時刻teで熱負荷が追加された為、運転サイクルDt1における運転割合Rtは50%を超えている。この場合、信号成形処理は、基準割合Rsよりも運転割合Rtの値が大きいとして、設定回転数を上昇させるPWM信号の設定を行う。設定回転数の決め方は、数十Hz毎上昇させるようにしても良く、マップ情報に基づいて其の回転数を特定できるようにしても良い。そして、停止運転Dx2での庫内温度が上限値T1へ到達すると、信号成形処理は、設定されたPWM信号を出力させるので、コンプレッサモータの設定回転数を上昇させることとなる。これにより、運転サイクルDt2での温度波形Wrは、波形Wy2aよりも波形Wy2bに近づけられる為、停止期間Dx2と運転期間Dy2との配分について偏りが抑えられる。
【0045】
このように、制御装置19は、設定回転数を上昇させていなければ運転期間が冗長化されていたところを、設定回転数の上昇制御によって運転割合Rtの上昇を抑え、デフロスト効果を十分に発揮させることが可能となる。また、運転期間Dy2の冗長化を免れるので、消費電力の低下にも資することとなる。
【0046】
また、信号成形処理は、基準割合Rsよりも運転割合Rtの値が小さい場合、設定回転数を低下させるPWM信号を成形させる。即ち、制御装置19は、運転割合Rtが基準値より小さいと、PWM信号に表現される周波数を低く設定し、コンプレッサモータの回転数を低下させる。尚、基準割合Rsは、上述同様に50%とされている。
【0047】
図4(b)は、時刻teで熱負荷が取除かれた場合の庫内温度が示されている。この為、運転サイクルDt1における運転割合Rtは50%を下回る。この場合、信号成形処理は、基準割合Rsよりも運転割合Rtの値が小さいとして、設定回転数を低下させるPWM信号の設定を行う。そして、停止運転Dx2での庫内温度が上限値T1へ到達すると、信号成形処理は、設定されたPWM信号を出力させるので、コンプレッサモータの設定回転数を低下させることとなる。これにより、運転サイクルDt2での温度波形Wrは、波形Wy2aよりも波形Wy2bに近づけられる為、運転期間Dy2が停止期間Dx2に比べて極端に短くなることはない。
【0048】
このように、制御装置19は、設定回転数を上昇させていなければ温度波形Wrが急峻に低下されていたところを、設定回転数の低下制御によって温度波形Wrの勾配を緩慢にさせる作用が働くので、下限温度T2におけるオーバーシュートを抑制できる。また、モータ回転数の過剰設定も回避できる為、消費電力の低下にも資することとなる。
【0049】
上述の如く、本実施の形態に係る制御装置19は、運転期間Dyを制御させることで、運転サイクルDtを調整し、結果として、運転割合Rtを適宜に制御させている。そして、かかる制御動作を各運転サイクルDt1,Dt2,Dt3,・・・,について連続的に実施させることで、停止期間Dxと運転期間Dyとを一定の範囲でバランスさせ、このバランス状態を持続させることが可能となる。
【0050】
本実施の形態にあっては、基準割合Rsが50%とされているが、これに限定されるものではない。この基準割合Rsは、停止期間Dxと運転期間Dyとを偏りなく配分させることを目的とするところ、約30%〜70%の範囲に設定されていれば、本制御装置19の効果が奏されると考えられる。但し、基準割合Rsは、熱負荷の変動が生じない場合、停止期間Dxと運転期間Dyとを略一致させ、双方の期間をバランスさせるのが好ましい。これにより、消費電力やデフロスト効果・オーバーシュート現象といった、相反する事象を一括して解決することが可能となる。
【0051】
また、基準割合Rsは、条件に応じて変動するようにしても良い。例えば、運転サイクルDtが短い条件では基準割合Rtを低く設定させることで、デフロスト効果を確保するといった制御が可能となる。
【0052】
上述の如く、本実施の形態に係る制御装置19によると、停止期間Dxと運転期間Dyとを一定の範囲でバランスさせる為、設定回転数の過剰設定又は過小設定を回避させることが可能となる。これにより、当該制御装置19では、消費電力の増加を抑え、停止期間におけるデフロスト効果の維持、下限値近傍でのオーバーシュートの抑制を可能とする。
【0053】
尚、本実施の形態にあっては、運転割合Rtを式1によって算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、停止期間Dx(温度増加期間)を算出し、この停止期間Dxに対する運転期間Dyを算出するようにしても良い(式2参照)。
Rt=(Dy/Dx)*100 ・・・式2
この場合、基準割合Rsを75%〜100%程度に設定することで、上述した効果が奏されることとなる。
【0054】
図5では、モータ回転数の設定方法の一例が示されている。同図では、設定回転数がマップ情報に基づいて決定される。かかるマップ情報は、予め実施された実験結果に基づいて作成される。図5(a)〜図5(c)は、この実験データを収集するために、熱負荷を適宜に変更させて実験が行われたものである。
【0055】
図5(a)は、低い熱負荷での実験場面が示されている。この場面において、基準設定回転数「ωb=1500rpm(実線部)」にて実験を行うと、運転期間Dyが理想状態より短縮され、運転割合Rtが40%と算出された。その後、同じ熱負荷で設定回転数を変更させたところ、運転割合Rtを50%とさせるには、設定回転数ωcを1200rpm(点線部)に設定させると良いことが判明した。尚、exDtは、運転割合Rtを50%に一致させる理想場面(平衡状態)での運転サイクルを指す。
【0056】
図5(b)は、熱負荷を幾分増加させた際の実験場面が示されている。この場面において、基準設定回転数「ωb=1500rpm(実線部)」にて実験を行うと、運転期間Dyが理想状態より長くなり、運転割合Rtが58%と算出された。その後、同じ熱負荷で設定回転数を変更させたところ、運転割合Rtを50%とさせるには、設定回転数ωcを1500rpm(点線部)に設定させると良いことが判明した。
【0057】
図5(c)は、熱負荷を更に増加させた際の実験場面が示されている。この場面において、基準設定回転数「ωb=1500rpm(実線部)」にて実験を行うと、運転期間Dyが更に長くなり、運転割合Rtが63%と算出された。その後、同じ熱負荷で設定回転数を変更させたところ、運転割合Rtを50%とさせるには、設定回転数ωcを1800rpm(点線部)に設定させると良いことが判明した。以下、熱負荷を順次増加させ、上述の実験と同様、運転割合Rtと設定回転数ωcとについて、実験データのサンプリングを続けた。
【0058】
かかる実験データの取得後、運転割合Rtの算出結果に対応させて設定回転数ωcを特定できるよう、メモリ回路にマップ情報を作成させる(図5d)。これにより、例えば、信号成形処理で「Rt=58%」との算出結果を得た場合、このマップ情報を参照することで設定回転数を1200rpmに設定し、これにより、次回の運転サイクルDtで運転割合Rtを50%近傍に制御させることが可能となる。以下、マップ情報におけるωcは、特定の回転数を指令する情報であるところ、指令回転数情報と呼ぶこととする。
【0059】
尚、図5(d)では、運転割合Rtが所定の範囲で規定されている。かかる運転割合の範囲は、実験結果に基づいて境界を設定すると良い。図5(d)に示されるマップ情報では、其の境界を示す運転割合Rtの各々が、特許請求の範囲の基準割合に相当する。
【0060】
かかる設定回転数の特定方法によると、信号成形処理では、マップ情報を用いて指令回転数情報ωcを特定させ、当該指令回転数情報ωcに基づいて出力信号を成形させることとなる。このため、制御装置19では、設定回転数は運転割合を50%に近づける最も好適な回転数が選択される為、運転サイクルDtの波形が瞬時に理想状態へ制御されることとなる。
【実施例】
【0061】
本実施例は、パラメータ算出方法の改善案である。図6を参照し、各パラメータ算出処理と補正処理について説明する。尚、運転サイクルに対応するパラメータとは、所定の運転サイクルの波形に基づいて取得できる値を言いう。例えば、運転期間Dy,停止期間Dx,運転サイクルDtそれ自身,及び,これらによって算出される割合パラメータRt等は、或る特定の運転サイクルDtに基づいて算出されるところ、当該パラメータの対象とされる。
【0062】
また、Dt1を第1の運転サイクルと呼び、これに対応するパラメータを第1パラメータと呼び換える。同様に、第2の運転サイクルDt2に対応するパラメータを第2パラメータと呼び、中間運転サイクルDtmに対応するパラメータを中間パラメータと呼ぶこととする。この中間運転サイクルDtmは、特許請求の範囲における第3の運転サイクルに相当し、中間パラメータは、特許請求の範囲における第3パラメータに相当する。
【0063】
更に、サンプルデータとは、これらのパラメータの値を電気的な情報としてメモリ回路又はCPUのデータレジスタへ作成されたデータを指す。加えて、上述した運転割合Rtは、運転サイクルに対応するパラメータに属すところ、割合パラメータRtと呼び換える。従って、第1の運転サイクルDt1に対応するものは、第1割合パラメータといったように呼び換える。当然の如く、この割合パラメータRtは、メモリ回路又はデータレジスタ等にてサンプルデータとしてデータ化される。
【0064】
先ず、第1の運転サイクルDt1では、当該サイクルの終了(時刻t4)を待って、Dt1及びDy1を算出し、これらのパラメータに基づいて割合パラメータRt1を算出する(第1のパラメータ算出処理)。
【0065】
第1のパラメータ算出処理が完了し時刻t6に到達すると、運転サイクルDt2における停止期間Dx2が終了する。時刻t6では、運転サイクルDt2の観察途中であるにも関わらず、運転サイクルDt1の運転期間の波形(第1波形)と運転サイクルDt2の停止期間の波形(第2波形)とを用いて形成させた合成波形により、新たな運転サイクル、即ち、中間運転サイクルDtmが形成されることとなる。そこで、時刻t6の到来によって中間パラメータ算出処理(第3のパラメータ算出処理)を実行させ、中間運転サイクルDtmについて運転期間Dy1の割合パラメータRtmを算出させる(式3参照)。
Rtm=(Dy1/Dx2)*100 ・・・式3
【0066】
その後、時刻t8に達すると、運転サイクルDt2及び運転期間Dy2を算出し、これらのパラメータに基づいて割合パラメータRt2を算出する(第2のパラメータ算出処理)。即ち、割合パラメータRt2は、第1の運転サイクルDt1の後に現れる(到来する)運転サイクルのパラメータである。
【0067】
このように、図6に示されるデータサンプル方法によると、第1の運転サイクルDt1とその直後に現れる第2の運転サイクルDt2によって、Rt1,Rtm,Rt2の3つのサンプルデータが取得できることとなる。かかるデータサンプル方法によれば、運転サイクルDtがn個の場合、取得可能なサンプルデータが2n+1個となり、運転割合のサンプルデータを効率良く取得できる。
【0068】
本実施例では、第2のパラメータ算出処理を規定するプログラムに補正処理用のプログラムが組込まれている。時刻t12が到来すると、第2のパラメータ算出処理では、上述の如く、第2割合パラメータのサンプルデータを算出し、メモリ回路又はレジスタ等へ其の情報を格納させる。その後、補正処理が実行され、サンプルデータ(Rt1,Rtm,Rt2)を成分として相加平均値が算出され、この相加平均値が第2割合パラメータRt2に置換えられる。即ち、第2のパラメータ算出処理では、補正処理が機能されることにより、過去に取得されたサンプルデータ(Rt1,Rtm)を用いて第2割合パラメータRt2を補正させることとなる。
【0069】
かかる補正処理は、運転サイクルが進むにつれ、補正演算に用いるパラメータデータを順次シフトさせ、後段の運転割合Rtを順次算出する。例えば、補正演算の成分は、X(Rt1,Rtm,Rt2)→Y(Rt2,Rtm,Rt3)→Z(Rt3,Rtm,Rt4)→,・・・,と順次シフトされ、補正処理は、Xの時点でRt2を第2割合パラメータとして補正し、Yの時点でRt3を第2割合パラメータとして補正し、Zの時点でRt4を第2割合パラメータとして補正することとなる。このようにして、順次更新される第2割合パラメータは、相加平均値等の統計的演算手法が適用されることにより、ノイズ等を示す制御上不利益な値がキャンセルされ、パラメータデータの信頼性が向上される。かかる統計的演算手法は、加重平均,中間値等、種々の手法を適宜用いることが可能である。
【0070】
上述の如く、本実施例に係る制御装置19によると、限られた運転サイクルの中から多数のサンプルデータ(割合パラメータ)を取得できるので、複数のサンプルデータを必要とする統計的演算手法を適用する場合に有効である。このため、本実施例は、信頼性を損なうことなく応答性の高い制御を企図する上で有用となる。
【0071】
尚、運転割合のデータサンプル方法は、3つ以上の運転サイクルのサンプルデータを用いて統計的演算手法を適用する場合、先頭の運転サイクルが第1の運転サイクルDt1となり、直近の運転サイクルが第2の運転サイクルDt2とされる。そして、第1の運転サイクルDt1と第2の運転サイクルDt2との間には、他の運転サイクルDtkが現れることとなる。
【0072】
この場合、或る中間パラメータ算出処理では、運転期間Dy1に対応する波形(第1波形)と後続の運転サイクルDtkに対応する停止期間の波形との組合せを合成波形とさせ、これを中間運転サイクルDtm1として、当該サイクルDtm1に対応する割合パラメータRtm1を算出させる。一方、別の中間パラメータ算出処理では、運転サイクルDtkに対応する運転期間の波形と停止期間に対応する波形(第2波形)とを合成させ、これを中間運転サイクルDtm2として、当該サイクルDtm2に対応する割合パラメータRtm2を算出させる。
【0073】
そして、制御装置19では、サンプルデータ(Rt1,Rtm1,・・・,Rtm2)を用いて、直近の運転サイクルDtについての割合パラメータRtを補正処理させ、後の信号成形処理を実行させることとなる。
【0074】
上述の如く、図6の割合パラメータの算出方法によれば、統計的演算方法によって算出された結果値を正規の割合パラメータとして、これを設定回転数の選定処理に反映させている。しかし、割合パラメータに顕著な変動が発生した場合、統計的演算を止め、其のサンプルしたデータを割合パラメータの正規の値としても良い。このような処理を設けることで、制御装置19は、高熱の熱負荷が庫内へ投入されても、この熱量を瞬時に低下させるよう、コンプレッサモータの回転数を逸早く高回転に設定できるようになる。
【0075】
この他、制御装置19では、熱負荷の変動が検出されない場合、庫内温度の目標温度を一定の範囲で徐々に上げ、消費電力を低減するようにしても良い。このとき、上限温度と下限温度との差を徐々に減少させても良く、上限温度については一定値に固定させる制御を行っても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 冷却装置, 11 冷却コンプレッサ, 19 冷却コンプレッサ制御装置, Dt 運転サイクル, Dt1 第1運転サイクル, Dt2 第2運転サイクル, Dtm 中間運転サイクル, Dx 停止期間, Dy 運転期間, Rt 割合パラメータ, Rt1 第1割合パラメータ, Rt2 第2割合パラメータ, Rtm 中間割合パラメータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7