(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985227
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20160823BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20160823BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20160823BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D5/00 D
C09D133/14
C09D7/12
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-86916(P2012-86916)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-216745(P2013-216745A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大谷 久貴
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋介
【審査官】
西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−173743(JP,A)
【文献】
特開2007−161863(JP,A)
【文献】
特開2008−239724(JP,A)
【文献】
特開2002−347175(JP,A)
【文献】
特開2002−285083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(a1)(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(a2)アクリルポリオール、との混合物、(b)シリコーン系表面調整剤としてアクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、(c)光重合開始剤、(d)有機溶剤を必須成分として含み、前記(a1)成分と前記(a2)成分の重量比が30:70〜70:30であり、前記(b)成分が、前記(a)成分に対して固形分比で100:0.01〜0.5であることを特徴とする紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤。
【請求項2】
前記(a1)成分がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化型樹脂組成物は短時間の紫外線照射により硬化することから接着剤、塗料などの分野で幅広く使用されている。
【0003】
本発明にかかわる技術分野では、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチックの表面にアルミニウム、金、銀、白金などの金属特有の光輝感を施す方法として金属蒸着塗装が知られており、金属蒸着塗装された製品の層構成は
図2に示すように、アクリル板、ABS板、ポリカーボネート板などのプラスチック基材、紫外線硬化型アンダーコート層、金属蒸着層、紫外線硬化型ハードコート層などからなり、アンダーコート層(プライマー層)はプラスチック基材と金属蒸着層との密着性を強固なものにするため不可欠なものとなっている。
【特許文献1】特開2002−285083号公報
【特許文献2】特開2006−169412号公報
【特許文献3】特開2010−202877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の紫外線硬化型アンカーコート剤を用いて密着性を確保しようとすると外観が悪くなる、また、逆に外観を維持しようとすると密着性が悪くなるといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は金属蒸着層−紫外線硬化型アンダーコート層間の密着性を維持しつつ、ゆず肌状の外観を解消することを目的として検討された発明であり、(a)(a1)(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(a2)アクリルポリオール、との混合物、(b)シリコーン系表面調整剤
としてアクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、(c)光重合開始剤、(d)有機溶剤を必須成分として含み、前記(a1)成分と前記(a2)成分の重量比が30:70〜70:30であり、前記(b)成分が、前記(a)成分に対して固形分比で100:0.01〜0.5であることを特徴とする紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤を用いることにより前記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0006】
紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤を用いることにより、外観、密着性に優れたものとなる。本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では(a)(a1)(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと(a2)アクリルポリオールの混合物を用い、配合割合は前者:後者で30:70〜70:30が好ましい。この範囲からはずれると比較例1〜4に示すように外観がゆず肌状になりやすく、密着性も劣りやすくなる。
【0008】
(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものが塗膜の硬度や強靭性を発現させることから好適に用いられ、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】
前記の多官能(メタ)アクリレートの中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、或いはこれらの混合物が、塗膜の強度の点からとりわけ好ましい。
【0010】
アクリルポリオールは少なくとも水酸基含有単量体を含み、これと共重合可能な単量体とを公知の重合法、例えば溶液重合により共重合させることによって得られる非反応性アクリルポリマーであり、塗膜の柔軟性や基材、金属蒸着膜との密着性に寄与する。水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0011】
水酸基含有単量体と共重合可能な単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル系単量体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン系単量体、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのエチレン系カルボン酸、無水マレイン酸などのエチレン系カルボン酸無水物、モノブチルマレイン酸などのエチレン系ジカルボン酸のモノアルキルエステル、およびこれらのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩などのエチレン系カルボン酸塩類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのエチレン系カルボン酸の酸アミド類、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのエチレン系カルボン酸とアミノ基を有するアルコールとのエステル類などを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
(b)シリコーン表面調整剤は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルシロキンサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンなどが挙げられ、とりわけポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、中でもアクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが、塗膜の一部となり密着性を阻害しないものとなる。市販品の例として、BYK−UV3570(商品名、BYKは登録商標、ビックケミー・ジャパン製)が挙げられる。(b)成分は(a)成分の固形分100重量部に対して0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部配合するのが好ましく、下限に満たないと外観がゆず肌状になりやすく、上限を超えると金属蒸着層との密着性が劣りやすくなる。
【0013】
上記成分の他に紫外線を照射して硬化させるには紫外線、電子線、放射線等でラジカルを発生することが可能な化合物、いわゆる(c)光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類、などが挙げられる。
【0014】
光重合開始剤の市販品としてはIRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、LucirinLR8728、Darocure1116、1173(以上、BASFジャパン株式会社製、商品名)、ユベクリルP36(UCB社製、商品名)などが挙げられる。
【0015】
(c)光重合開始剤の配合割合は、(a)成分の固形分100重量部に対して0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜7重量部配合する。この範囲内であれば、本発明の紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤を良好に硬化させることができる。下限に満たないと架橋密度が低下して金属蒸着層、プラスチック層との密着性が劣りやすくなり、上限を超えると、過剰に硬化して密着性が劣りやすく、またクラックを生じやすくなる。
【0016】
粘度調整の目的で使用される(d)有機溶剤は、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の脂肪族エステル類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。尚、溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
【0017】
その他、光エネルギーによって発生し得る酸素ラジカルの発生自体を抑制し、光による劣化を防ぐため(e)光安定剤を配合してもよく、例えば、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、ブチル2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートの如きベンゾエート系光安定剤等が挙げることができ、特に、少量でより大きな効果があるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。
【0018】
光安定剤の配合割合は(a)成分の固形分100重量部に対して0.05〜5重量部配合するのが好ましく、この範囲内であれば、本発明にかかる樹脂組成物の光による劣化を防ぐことができ、良好に硬化させることができる。下限に満たないと光による劣化を招きやすく、上限を超えると、紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤の硬化性が低下することがあり、また不溶物の原因になる。
【0019】
本発明の紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤は、スプレーコート、ハケ塗りなどにより基材に、硬化後の膜厚が5〜30μmとなるように塗布される。紫外線を照射する紫外線ランプとしては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。照射する際は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。以下、実施例、参考例、比較例を挙げて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
(a)成分
(a1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、固形分100%、)50重量部と、(a2)MMA(メチルメタクリレート)と2−HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の共重合体(重量平均分子量約7600、OH価27mg・KOH)50重量部を配合したものを用いた。
【0021】
(d)成分
(d)成分として、酢酸エチル3重量部、イソブチルアルコール5重量部、トルエン44重量部、n−ブタノール36重量部、酢酸ブチル9重量部、ジアセトンアルコール3重量部を配合した有機溶剤を用いた。
【0022】
紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤
(a)成分100重量部と、(b)成分として(b1)アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−UV3570)0.05重量部、(c)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製、商品名)を1重量部と、(d)成分100重量部と、(e)成分としてヒンダートアミン系光安定剤(TINUVIN152、BASFジャパン株式会社製、商品名)0.8重量部を配合して紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤を得た。
【実施例2】
【0023】
実施例1において、(b1)の配合量を0.075重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例3】
【0024】
実施例1において、(b1)の配合量を0.1重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例4】
【0025】
実施例2において、(a1)を30重量部、(a2)を70重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例5】
【0026】
実施例2において、(a1)を70重量部、(a2)を30重量部とした以外は同様に実施した。
【0027】
参考例1
実施例1において、(b)成分としてBYK−UV3570の代わりに(b2)アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−UV3500)を用いた以外は同様に実施した。
【0028】
参考例2
実施例3において、(b)成分としてBYK−UV3570の代わりに(b6)ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−310)を用いた以外は同様に実施した。
【0029】
参考例3
実施例1において、(b)成分としてBYK−UV3570の代わりに(b3)ポリエーテルで修飾したポリシロキサン(Tego Glide 410、商品名、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製)を用いた以外は同様に実施した。
【0030】
比較例1
実施例3において、(a1)を20重量部、(a2)を80重量部とした以外は同様に実施した。
【0031】
比較例2
実施例2において、(a1)を80重量部、(a2)を20重量部とした以外は同様に実施した。
【0032】
比較例3
実施例2において、(a)成分として(a1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、固形分100%、)100重量部のみを用いた以外は同様に実施した。
【0033】
比較例4
実施例2において、(a)成分として(a2)MMA(メチルメタクリレート)と2−HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の共重合体(重量平均分子量約7600、OH価27mg・KOH)100重量部のみを用いた以外は同様に実施した。
【0034】
比較例5
実施例3において、(b)成分としてBYK−UV3570の代わりに(b5)シリコーン側鎖のアクリルポリマー(ポリフローKL−700、商品名、共栄社化学社製)を用いた以外は同様に実施した。
【0035】
配合割合、評価結果を表1、表2に示す。
【表1】
【表2】
【0036】
評価結果は以下の通りとした。
試験体の作成
PC(ポリカーボネート)板(タキロン社製1600、5cm×10cm×2mm厚)上に硬化後の膜厚が10μmになるようにスプレーで塗布し、80℃で5分間乾燥して溶剤を揮発させ、有電極高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて100mW/cm
2、800mJ/cm
2の条件で紫外線を照射した。
次いで、その上に真空蒸着装置(アルバック社製)を使用して金属アルミニウムを蒸着し、さらにその上にハードコート層としてアイカアイトロンZ−774(アイカ工業株式会社製、紫外線硬化型ハードコート樹脂、固形分50%)を硬化後の膜厚が8μmとなるようスプレー塗布し、80℃で5分間乾燥し、有電極高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて100mW/cm
2、800mJ/cm
2の条件で紫外線を照射した。
【0037】
ゆず肌;試験体の塗布面を目視にて確認し、ゆず肌感がないものを○、軽微なゆず肌感があるものを△、ゆず肌感が明瞭であり商品価値がないものを×とした。
光沢感;試験体の塗布面を目視にて確認し、光沢感があるものを○、光沢感がやや劣るものを△、光沢感がなく商品価値がないものを×とした。
密着性;JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に基づき、塗膜面に1mm
2のマス目を100個作成し、セロハンテープ(ニチバン社製、商品名CT−24)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目数を記録し、評価基準は、100/100を○、50/100〜99/100を△、0〜49/100を×とした。
額縁;各基材上に形成した塗膜において、塗膜中に発生した境界面と基材の端の間の幅を計測し、幅2mm以内を○、2〜5mmを△、5mm以上を×とした。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の紫外線硬化型蒸着用アンダーコート剤は、金属蒸着塗装を施す製品、例えば、携帯電話機、デジタルカメラ、パソコン、音声再生機、ゲーム機などの電子機器、化粧品の容器、グリル、自動車のエンブレムなどに適用でき、基体と金属蒸着層との密着性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の紫外線硬化型蒸着用アンカーコート剤を用いた塗膜の構成断面図。
【
図2】従来の紫外線硬化型蒸着用アンカーコート剤を用いた塗膜の構成断面図。
【符号の説明】
【0040】
1 プラスチック基材層
3 アンカーコート層
3´従来のアンカーコート層
5 金属蒸着層
8 ハードコート層