(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985228
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】レールのジョイント
(51)【国際特許分類】
A47H 1/04 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
A47H1/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-87853(P2012-87853)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-215355(P2013-215355A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】江上 達也
(72)【発明者】
【氏名】山岸 万人
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−296770(JP,A)
【文献】
特開2001−206512(JP,A)
【文献】
特開2008−284286(JP,A)
【文献】
実公昭36−010924(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3060168(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/04
A01G 9/14
E06B 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに移動可能に支持されたランナーに日射遮蔽材を吊下支持し、前記ランナーを前記レールに沿って移送する日射遮蔽装置において、複数本のレール材をジョイントで連結して前記レールを形成する前記レールのジョイントにおいて、
前記レール材を長手方向両側から挿入可能とした筒状のカバージョイントの少なくとも一方の側辺の上部に固定ネジを螺入可能とした第一のネジ孔を設け、前記一方の側辺の下部に調整ネジを螺入可能とした第二のネジ孔を設け、前記第一のネジ孔に螺入した前記固定ネジの先端を前記レール材に係合させて該レール材をカバージョイントに固定可能とし、前記第二のネジ孔に螺入した前記調整ネジの先端で前記レール材の側辺を押圧して、該レール材の連結端面を位置合わせ可能としたことを特徴とするレールのジョイント。
【請求項2】
前記第一のネジ孔を前記カバージョイントの長手方向に一列に複数設け、前記レール材の側辺に前記固定ネジの先端を係合可能とした係止溝を前記レール材の長手方向に延設し、前記各第一のネジ孔に螺入した固定ネジを前記係止溝に係合させて前記レール材を上下方向に位置合わせ可能としたことを特徴とする請求項1記載のレールのジョイント。
【請求項3】
前記カバージョイントの側辺と前記レール材の側辺との間に隙間を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のレールのジョイント。
【請求項4】
前記レール材の側辺を上辺より上方へ延設して係止片を設け、連結する前記レール材の対向する端部において前記上辺と前記係止片との間にそれぞれ嵌挿して前記レール材を連結した状態に保持するインナージョイントを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレールのジョイント。
【請求項5】
前記インナージョイントには、前記レール材の上辺に当接して摩擦力を発生する舌片を設けたことを特徴とする請求項4記載のレールのジョイント。
【請求項6】
前記カバージョイント及び前記インナージョイントには、該カバージョイントとインナージョイントを長手方向に位置合わせする位置決め孔を設けたことを特徴とする請求項4又は5記載のレールのジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレール材を連結してレールを形成するジョイントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンは、カーテンレール内を移動するランナーにカーテン生地が吊下支持されて、操作装置によりランナーを移送することによりカーテン生地を窓面に沿って移送可能である。
【0003】
窓面に沿って移送されるカーテン生地の移送距離が長くなるカーテンでは、一定の長さで形成されるレール材をジョイントで連結して長尺のカーテンレールが形成されている。
特許文献1には、間仕切りパネルのハンガーレールをブラケットの内側に嵌合してボルトを締め付けることにより、ハンガーレールを直角に連結可能としたハンガーレール連結構造が開示されている。
【0004】
特許文献2には、レールの上部に継ぎ手部材を嵌合し、ボルトで連結することによりレールを連結する継手構造が開示されている。
特許文献3には、カーテンレールの内側に嵌合して、カーテンレールを連結するジョイントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−77760号公報
【特許文献2】登録実用新案第3060168号公報
【特許文献3】特開2008−259568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーテンレールをジョイントで連結する際、連結されるレール材の継目部分に段差、ずれ等が生じていると、その連結部分でランナーを円滑に移動させることができない。特に、ランナーが転動するレール下辺部にレール前後方向のずれが生じていると、ランナーの移動が阻害されることもある。
【0007】
特許文献1〜3に開示された連結構造では、レールの前後方向のずれを矯正する手段は開示されていないので、レール材及び連結部材の寸法精度が確保できない場合、レール材にねじれが生じている場合等、レール材の継目部分でずれが生じるおそれがある。
【0008】
この発明の目的は、レール材の継目部分にずれや段差を生じさせることなくレール材を連結し得るレールのジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、
レールに移動可能に支持されたランナーに日射遮蔽材を吊下支持し、前記ランナーを前記レールに沿って移送する日射遮蔽装置において、複数本のレール材をジョイントで連結して
前記レールを形成する
前記レールのジョイントにおいて、前記レール材を長手方向両側から挿入可能とした筒状のカバージョイントの少なくとも一方の側辺
の上部に固定ネジを螺入可能とした第一のネジ孔
を設け、前記一方の側辺の下部に調整ネジを螺入可能とした第二のネジ孔を設け、前記第一のネジ孔に螺入した前記固定ネジの先端を前記レール材に係合させて該レール材をカバージョイントに固定可能とし、前記第二のネジ孔に螺入した前記調整ネジの先端で前記レール材の側辺を押圧して、該レール材の連結端面を位置合わせ可能とした。
【0010】
請求項2では、前記第一のネジ孔を前記カバージョイントの長手方向に一列に複数設け、前記レール材の側辺に前記固定ネジの先端を係合可能とした係止溝を前記レール材の長手方向に延設し、前記各第一のネジ孔に螺入した固定ネジを前記係止溝に係合させて前記レール材を上下方向に位置合わせ可能とした。
【0011】
請求項3では、前記カバージョイントの側辺と前記レール材の側辺との間に隙間を備えた。
請求項4では、前記レール材の側辺を上辺より上方へ延設して係止片を設け、連結する前記レール材の対向する端部において前記上辺と前記係止片との間にそれぞれ嵌挿して前記レール材を連結した状態に保持するインナージョイントを備えた。
【0012】
請求項5では、前記インナージョイントには、前記レール材の上辺に当接して摩擦力を発生する舌片を設けた。
請求項6では、前記カバージョイント及び前記インナージョイントには、該カバージョイントとインナージョイントを長手方向に位置合わせする位置決め孔を設けた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、
日射遮蔽装置におけるレール材の継目部分にずれや段差を生じさせることなくレール材を連結し得るレールのジョイントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】カーテンレールの連結部分を示す正面図である。
【
図3】カーテンレールの連結部分を示す分解斜視図である。
【
図4】カーテンレールの連結部分を示す断面図である。
【
図5】カーテンレールの連結部分を示す断面図である。
【
図6】湾曲したレール材の連結部分を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を具体化した電動カーテンの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す片開き型の電動カーテンは、カーテンレール1の右端側から左端側に向かってカーテン生地(日射遮蔽材)2が引き出され、あるいはカーテンレール1の左端側から右端側に向かってカーテン生地2が畳み込まれる。
【0016】
前記カーテンレール1には先頭ランナー3が移動可能に支持され、先頭ランナー3とカーテンレール1の右端との間に多数のランナー4が移動可能に支持されている。そして、カーテン生地2が先頭ランナー3及びランナー4に吊下支持されている。
【0017】
前記カーテンレール1の左右両端には、移送装置5が取着され、その移送装置5にはカーテンレール1内を移動する無端状の移送用ベルト(図示しない)が掛装されている。また、カーテンレール1の右端側の移送装置5にはモーターユニット6が吊下支持され、モーターユニット6内に配設されたモーターの駆動力によりカーテンレール1内で移送用ベルトが移動する。
【0018】
そして、モーターの正逆方向の回転により前記先頭ランナー3がカーテンレール1の左端側に向かって移送され、あるいはカーテンレール1の右端部に向かって移送される。
前記カーテンレール1は、複数本のレール材がジョイントを介して連結されている。
図2〜
図4に示すように、カーテンレール1を構成するレール材7は、下辺8の中央を開口した略四角筒状の押し出し形材で形成され、その開口縁9はわずかに上方へ屈曲されている。
【0019】
前記下辺8の開口縁9とレール材7の側辺10との中間には、上方へ突出するリブ11が形成され、レール材7の上辺12にはリブ11に対向する位置で下方に向かって突出するリブ13が形成されている。
【0020】
そして、
図5に示すように、前記先頭ランナー3及び前記ランナー4の走行ローラー14は、前記リブ11,13と前記開口縁9との間で前記下辺8上を転動するようになっている。また、各ランナー3,4には前記開口縁9間で転動する補助ローラー15が回転可能に支持されている。
【0021】
前記側辺10は、前記上辺12より上方へ延設され、その上端には水平方向に延びる係止片16が形成されている。
前記レール材7は、カバージョイント17及びインナージョイント18を介して連結される。前記インナージョイント18は、長板状の金属板の前後幅方向の両側部が上方へ斜めに折り曲げられ、この状態でインナージョイント18の前後幅は、
図4に示すように、前記係止片16の直下の側辺10の間隔よりわずかに狭い幅となっている。
【0022】
前記インナージョイント18の長手方向両端部近傍には斜め下方に突出する一対の舌片19が形成されている。また、インナージョイント18の長手方向中央には、円形の位置決め孔20が形成されている。
【0023】
そして、
図4に示すように、インナージョイント18をレール材7の上辺12と係止片16との間に挿入すると、舌片19が上辺12に当接するとともに、インナージョイント18の前後方向両側縁部が前記係止片16に当接して、レール材7とインナージョイント18との間に所要の摩擦が確保されるようになっている。また、インナージョイント18で連結されるレール材7が上下方向に位置決めされるようになっている。
【0024】
前記カバージョイント17は、金属板を折り曲げて下辺中央部を開口した四角筒状に形成され、側辺21の下端には互いに対向するように水平方向に突出する支持片22が形成されている。
【0025】
図4に示すように、このカバージョイント17の側辺21間の間隔は、前記レール材7の幅方向の外寸より広い幅で形成され、前記支持片22と上辺23との間隔はレール材7の高さに略等しい寸法で形成されている。そして、カバージョイント17内にレール材7を挿入可能となっている。
【0026】
前記カバージョイント17の一方の側辺21の上部には、カバージョイント17長手方向に4つの第一のネジ孔24が等間隔に形成され、側辺21の下部にはカバージョイント17の長手方向両側に2つの第二のネジ孔25が形成されている。
【0027】
そして、カバージョイント17内にレール材7を挿入した状態で固定ネジ27をカバージョイント17の側方から第一のネジ孔24に螺入すると、固定ネジ27の先端は側辺10の上部においてレール材7の長手方向に設けられる係止溝29に係合するようになっている。すると、レール材7がカバージョイント17に対し上下方向に位置決めされるとともに、長手方向に移動不能に固定される。
【0028】
また、レール材7をカバージョイント17に固定した状態で、調整ネジ28を第二のネジ孔25に螺入すると、調整ネジ28の先端でレール材7の側辺10を押圧可能となっている。
【0029】
前記カバージョイント17の上辺23の長手方向中央部には、前記インナージョイント18の位置決め孔20と同一径の位置決め孔26が形成されている。
上記のようなインナージョイント18及びカバージョイント17を使用してレール材7を連結するには、連結しようとする2本のレール材7の端部に、インナージョイント18の端部をそれぞれ挿入する。
図4に示すように、各レール材7の上辺12と係止片16との間にインナージョイント18が挿入され、舌片19と上辺12との摩擦によりインナージョイント18が保持される。そして、インナージョイント18の長手方向中央部がレール材7の継目となるように各レール材7にインナージョイント18を挿入する。
【0030】
次いで、レール材7をカバージョイント17に挿通して、カバージョイント17をレール材7の継目部分に移動させる。そして、カバージョイント17とインナージョイント18の位置決め孔20,26にドライバー等を挿通してカバージョイント17とインナージョイント18とを位置合わせする。
【0031】
次いで、固定ネジ27を第一のネジ孔24内に螺入して固定ネジ27の先端をレール材7の係止溝29に係合させる。すると、カバージョイント17で連結されるレール材7は上下方向に位置合わせされた状態で固定される。
【0032】
次いで、調整ネジ28を第二のネジ孔25に螺入してレール材7の一方の側辺10を押圧すると、レール材7の他方の側辺10をカバージョイント17の内側面に当接させた状態で、レール材7の一方の側辺10を押圧可能である。すると、レール材7のねじれ等に起因して、
図4に鎖線で示すように側辺10が変形している場合に、その変形が矯正される。従って、レール材7の連結端面が揃えることが可能となる。
【0033】
図6は、湾曲する窓面に対応するように湾曲形成されたレール材7をカバージョイント17で連結した場合を示す。
図4に示すように、レール材7とカバージョイント17の内側面との間には隙間tが確保されているので、湾曲するレール材7をカバージョイント17で連結可能である。
【0034】
このとき、固定ネジ27及び調整ネジ28と第一及び第二のネジ孔24,25を備えた側のカバージョイント17の側辺21を室外側とすると、室内側に固定ネジ27及び調整ネジ28が露出されない。
【0035】
上記のように構成されたカーテンレールのジョイントでは、次に示す効果を得ることができる。
(1)カバージョイント17とインナージョイント18とで、レール材7を連結することができる。
(2)インナージョイント18でレール材7を連結した状態に保持し、次いでカバージョイント17でレール材7を連結した状態で固定することができる。従って、カバージョイント17によりレール材7の連結作業を容易に行うことができる。
(3)インナージョイント18の位置決め孔20とカバージョイント17の位置決め孔26とで、インナージョイント18とカバージョイント17をその長手方向に容易に位置決め可能である。
(4)第一のネジ孔24に螺入した固定ネジ27の先端をレール材7の係止溝29に係合させることにより、カバージョイント17で連結されるレール材7を上下方向に位置合わせして固定することができる。また、インナージョイント18でも、レール材7を上下方向に位置合わせすることができる。
(5)カバージョイント17で連結されたレール材7の端面が
図4における断面左右方向に一致するように調整ネジ28で位置合わせすることができる。すなわち、
図4に鎖線で示すように、レール材7にねじれ等が発生してレール材7の連結端面が揃わず段差が生じているような場合に、調整ネジ28を螺入して各レール材7の連結端面に
図4における断面左右方向の段差が生じないように調整することができる。従って、レール材7の連結端面を揃えることができる。
(6)レール材7の一方の側辺10とカバージョイント17の一方の内側面との間に隙間tを確保したので、湾曲形成されたレール材7も連結固定することができる。
(7)固定ネジ27及び調整ネジ28がカバージョイント17の室外側の側辺21に位置するように、カバージョイント17でレール材7を連結すれば、固定ネジ27及び調整ネジ28の室内側への露出を防止して美観を向上させることができる。
【0036】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・固定ネジ及び調整ネジをカバージョイントの両側の側辺に設けてもよい。この場合には、レール材7の高さ方向及び断面左右方向の位置合わせをレール材7の両側から行うことができる。また、レール材7の前後両側の側辺10とカバージョイント17の内側面との間にそれぞれ隙間を設けた状態で固定ネジでレール材7とカバージョイント17を固定し、調整ネジでレール材7の連結端面を揃えるようにしてもよい。
・カーテンレールの他、縦型ブラインドや間仕切りパネルのハンガーレールを連結するジョイントに実施してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…レール(カーテンレール)、7…レール材、10,21…側辺、16…係止片、17…カバージョイント、18…インナージョイント、19…舌片、20,26…位置決め孔、24…第一のネジ孔、25…第二のネジ孔、27…固定ネジ、28…調整ネジ、29…係止溝。