特許第5985244号(P5985244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985244
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】押圧器具
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20160823BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20160823BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A45D44/22 A
   A61H15/00 320B
   A61H39/04 S
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-109404(P2012-109404)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-236650(P2013-236650A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108926
【氏名又は名称】ダイコー化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】後藤 文男
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−085809(JP,A)
【文献】 特開2003−079690(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02947723(FR,A1)
【文献】 米国特許第02515524(US,A)
【文献】 登録実用新案第3141605(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3166202(JP,U)
【文献】 特開平06−319819(JP,A)
【文献】 特開2000−024065(JP,A)
【文献】 特開2009−247684(JP,A)
【文献】 特開平07−051393(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3081412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
A61H 15/00
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る回転体と、
前記回転体を回転自在に支持する支持部が先端に形成されるとともに、把持可能な把持部と、
を有し、前記把持部を把持しつつ前記回転体の表面を人体に押圧し得る押圧器具において、
前記把持部に収容され、前記回転体の少なくとも表面に微弱電流を流し得る電源と、
前記支持部に介装され、前記回転体を回転自在に支持するためのベアリングと、
を有し、前記支持部及び回転体の何れか一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪を係止可能な係止部が形成されるとともに、これら係止爪を係止部に係止することにより前記支持部が前記回転体と連結されて成り、前記回転体を前記支持部から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、前記係止爪が破壊又は変形して当該回転体を支持部から取外し可能とされ、且つ、前記設定荷重は、前記回転体を人体に押圧する際に付与されるであろう荷重よりも大きく設定されたことを特徴とする押圧器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を把持しつつ回転体の表面を美容等を目的として人体に押圧し得る押圧器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、美容を目的とした美容用品が種々提供されるに至っており、その一つとして例えば略球状の回転部材から成る回転体と、把持可能とされるとともに回転体を回転自在に支持する支持部が先端に形成された把持部とを具備した押圧器具が提案されている。かかる押圧器具は、例えば顔面の皮膚に回転体の表面を押圧させつつ回転させ、所望部位に繰り返し押圧力を付与させるものとされている。
【0003】
さらに、従来の押圧器具として、例えば回転体の表面に微弱電流を流し得るものも提案されており、その微弱電流を顔面の皮膚に及ぼすことにより美容効果をより高めるものとされていた。しかるに、従来の押圧器具は、把持部の先端に形成された支持部に回転体を嵌め込んだ後、接着剤等で接着させることにより当該回転体と把持部とを連結させていた。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の押圧器具においては、把持部の先端に形成された支持部に回転体を嵌め込んだ後、接着剤等で接着させることにより当該回転体と把持部とを連結させていたので、接着剤の塗布量のばらつきにより通電時の不具合や接着強度のばらつきが生じてしまう虞があった。すなわち、接着剤の塗布量が過多であると、接着剤がはみ出してしまって回転体に対する通電不良を生じさせてしまう虞があるとともに、接着剤の塗布量が過少であると、使用時に回転体が外れてしまう虞があった。また、接着剤を所定箇所に所定量塗布させる作業が必要とされることから、手間がかかってしまい、その分、製造コストが嵩んでしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転体と把持部に形成された支持部との連結を容易に行わせることができるとともに、製造コストを抑えつつ回転体と支持部との連結強度のばらつきを抑制することができる押圧器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る回転体と、前記回転体を回転自在に支持する支持部が先端に形成されるとともに、把持可能な把持部とを有し、前記把持部を把持しつつ前記回転体の表面を人体に押圧し得る押圧器具において、前記把持部に収容され、前記回転体の少なくとも表面に微弱電流を流し得る電源と、前記支持部に介装され、前記回転体を回転自在に支持するためのベアリングとを有し、前記支持部及び回転体の何れか一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪を係止可能な係止部が形成されるとともに、これら係止爪を係止部に係止することにより前記支持部が前記回転体と連結されて成り、前記回転体を前記支持部から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、前記係止爪が破壊又は変形して当該回転体を支持部から取外し可能とされ、且つ、前記設定荷重は、前記回転体を人体に押圧する際に付与されるであろう荷重よりも大きく設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、支持部及び回転体の何れか一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪を係止可能な係止部が形成されるとともに、これら係止爪を係止部に係止することにより支持部が回転体と連結されるので、回転体と支持部との連結を容易に行わせることができるとともに、製造コストを抑えつつ回転体と支持部との連結強度のばらつきを抑制することができる。
【0012】
また、回転体を支持部から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、係止爪が破壊又は変形して当該回転体を支持部から取外し可能とされたので、回転体と支持部との連結をより確実に行わせることができるとともに、回転体の支持部からの取外しを円滑に行わせることができる。
【0013】
さらに、設定荷重は、回転体を人体に押圧する際に付与されるであろう荷重よりも大きく設定されたので、使用時に係止爪が破壊又は変形してしまって不用意に回転体が支持部から外れてしまうのを防止することができる。
【0014】
またさらに、把持部には、電流を発生させ得る電源が収容されるとともに、回転体の少なくとも表面に電源からの微弱電流を流し得るので、回転体の押圧効果に加えて微弱電流による美容効果を期待することができる。
【0015】
また、支持部には、回転体を回転自在に支持するためのベアリングが介装されたので、回転体の回転をより確実に行わせることができ、人体に対する回転体の押圧時においてより円滑な回転を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る押圧器具を示す正面図及び側面図
図2図1におけるII−II線断面図
図3】同押圧器具における回転体を示す3面図
図4図3におけるIV−IV線断面図
図5】同押圧器具における支持部を示す3面図
図6】同押圧器具における連結部材を示す3面図
図7図6におけるVII−VII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る押圧器具は、美容を目的として顔面の皮膚を押圧しつつ微弱電流を付与可能とされたもので、図1、2に示すように、回転体1と、先端に支持部3が形成された把持部2と、係止爪4aが形成された連結部材4と、一対のベアリング(5a、5b)と、太陽光発電器7と、回転ボール8とから主に構成されている。
【0018】
回転体1は、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体(例えば顔面の肌)に押圧され得るよう構成されている。かかる回転体1は、図3、4に示すように、表面部Aと、ローラコア部Bと、ローラコアキャップ部Cとから成るもので、少なくとも表面部Aが通電可能な導電性材料で構成されている。そして、後述する太陽光発電器7から供給される電流にて表面部Aの表面に微弱電流が流れ得るようになっている。
【0019】
また、回転体1は、図4に示すように、その下部から上方に向かって延びる挿通凹部1bが形成されており、当該挿通凹部1bに支持部3の先端側が挿通して連結可能とされている。なお、挿通凹部1bは、下部の開口から上方に向かって略直線状に形成されてローラコアキャップ部Cの凹部と連通した状態とされるとともに、当該挿通凹部1bの内周壁の所定位置には、段部から成る係止部1aが形成されている。
【0020】
把持部2は、回転体1を回転自在に支持する支持部3が先端に形成されるとともに、片手で握って把持可能な棒状部から成る。かかる把持部2には、太陽光を受けて発電し得る太陽光発電器7が内部に収容されるとともに、基端に回転ボール8が回転自在に配設されている。回転ボール8は、回転体1と同様、表面が人体(例えば顔面の肌)に押圧されるもので、当該回転体1より小径の球状の回転部材から成るとともに、太陽光発電器7から供給される電流にて表面に微弱電流が流れ得るようになっている。
【0021】
支持部3は、回転体1の先端に取り付けられる金属製のシャフト状部材から成り、図5に示すように、周方向に亘って形成された溝形状3aと、段形状3bとを有して構成されている。そして、支持部3が回転体1の先端に組み付けられて固定されると、図2に示すように、溝形状3aにサークリップ6が取り付けられてベアリング5aの抜け止めが図られるとともに、段形状3bにベアリング5bが当接して当該ベアリング5bの抜け止めが図られるようになっている。
【0022】
連結部材4は、支持部3の先端側に取り付けられて回転体1と把持部2とを連結するための樹脂製の筒状部材から成り、図6、7に示すように、その両側面にそれぞれ係止爪4aが形成されている。かかる係止爪4aは、連結部材4と一体成形された部位から成り、当該連結部材4の側方に所定寸法突出するとともに、内側に向かって撓み得る爪状とされている。
【0023】
すなわち、係止爪4aは、通常状態において、連結部材4の側面から所定寸法突出した突出状態とされており、内側に向かって負荷が付与されると、内側に撓んで当該側面に没入した没入状態とされるのである。そして、連結部材4が支持部3の先端側に取り付けられた後、回転体1の挿通凹部1bに挿通される際、係止爪4aは、当該挿通凹部1bの内周壁面で内側に押圧されて没入状態とされるとともに、係止部1aの形成位置に達すると、突出状態に戻って当該係止部1aと係止し得るようになっている。
【0024】
また、連結部材4は、その中央部において長手方向に貫通した貫通孔4bが形成されており、当該貫通孔4bの内周壁部には、他の部位より大径とされた大径部4c及び大径部4dがそれぞれ形成されている。そして、貫通孔4bに支持部3の先端側が挿通された状態において、大径部4c、4dにそれぞれベアリング5a、5bが嵌め込まれるようになっている。これにより、連結部材4は、支持部3の先端側に取り付けられた状態で、ベアリング5a、5bにより当該支持部3に対して回転自在とされているのである。なお、ベアリング5a、5bは、ローラベアリングやニードルベアリング等、回転体1を回転支承し得るベアリングであれば何れの形態であってもよい。
【0025】
本実施形態に係る係止爪4aは、上述したように、連結部材4がベアリング5a、5bを介して支持部3の先端側に固定された状態で回転体1の挿通凹部1bに挿通されると、図2に示すように、係止部1aと係止し、支持部3と回転体1とを連結し得るものとされている。これにより、回転体1は、把持部2に対して回転自在に支持されることとなり、把持部2を把持しつつ回転体1の表面を人体(顔面の肌)に押圧しつつ回転させることにより、美容によい影響が及ぼされるのを期待することができる。
【0026】
また、本実施形態においては、把持部2には、電流を発生させ得る電源としての太陽光発電器7が収容されるとともに、回転体1の少なくとも表面に太陽光発電器7からの微弱電流を流し得るので、回転体1の押圧効果に加えて微弱電流による美容効果を期待することができる。さらに、支持部3には、回転体1を回転自在に支持するためのベアリング5a、5bが介装されたので、回転体1の回転をより確実に行わせることができ、人体に対する回転体1の押圧時においてより円滑な回転を行わせることができる。
【0027】
ここで、本実施形態においては、回転体1を支持部3から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、係止爪4aが破壊又は変形して当該回転体1を支持部3から取外し可能とされている。しかして、回転体1を交換する際、設定荷重より大きな荷重で回転体1を引き抜けば、連結部材4の係止爪4aを破壊又は変形させることにより、支持部3から取り外すことができるので、当該連結部材4を新たなものに交換して支持部3に取り付ければ、新たな回転体1を容易に取り付けることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、設定荷重が係止爪4aの突出寸法により設定されているが、係止爪の形状等で設定するようにしてもよい。また、本実施形態においては、係止爪4aは、支持部3に取り付けられた連結部材4に形成され、回転体1に形成された係止部1aと係止することにより支持部3が回転体1と連結されるよう構成されているが、係止爪を回転体1に形成するとともに当該係止爪を係止する係止部が支持部3に形成されるよう構成してもよい。
【0029】
このように、本実施形態によれば、支持部3及び回転体1の何れか一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪を係止可能な係止部が形成されるとともに、これら係止爪を係止部に係止することにより支持部3が回転体1と連結されるので、回転体1と支持部3との連結を容易に行わせることができるとともに、製造コストを抑えつつ回転体1と支持部3との連結強度のばらつきを抑制することができる。
【0030】
また、回転体1を支持部3から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、係止爪4aが破壊又は変形して当該回転体1を支持部3から取外し可能とされたので、回転体1と支持部3との連結をより確実に行わせることができるとともに、回転体1の支持部3からの取外しを円滑に行わせることができる。さらに、本実施形態においては、設定荷重は、回転体1を人体に押圧する際に付与されるであろう荷重よりも大きく設定されている。これにより、使用時に係止爪4aが破壊又は変形してしまって不用意に回転体1が支持部3から外れてしまうのを防止することができる。
【0031】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば太陽光発電器7に代えて乾電池等、他の電源を収容させて回転体1及び回転ボール8に電流を供給し得るものとしてもよい。勿論、回転ボール8を具備しないものとしてもよい
【産業上の利用可能性】
【0032】
把持部に収容され、回転体の少なくとも表面に微弱電流を流し得る電源と、支持部に介装され、回転体を回転自在に支持するためのベアリングとを有し、支持部及び回転体の何れか一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪を係止可能な係止部が形成されるとともに、これら係止爪を係止部に係止することにより支持部が回転体と連結されて成り、回転体を支持部から取り外す方向に予め設定した設定荷重が付与されることにより、係止爪が破壊又は変形して当該回転体を支持部から取外し可能とされ、且つ、設定荷重は、回転体を人体に押圧する際に付与されるであろう荷重よりも大きく設定された押圧器具であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能は付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 回転体
1a 係止部
2 把持部
3 支持部
4 連結部材
4a 係止爪
5a、5b ベアリング
6 サークリップ
7 太陽光発電器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7