(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985250
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】オーナメントの着脱構造
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20060101AFI20160823BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
B60K37/00 J
B60K37/00 Z
B60K37/00 G
B60R13/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-114194(P2012-114194)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-241039(P2013-241039A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 圭
【審査官】
増子 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−109783(JP,A)
【文献】
特開2009−127360(JP,A)
【文献】
特開2004−114816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00 − 37/06
E04B 2/00 − 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装部材に組み付けられるオーナメントの着脱構造であって、
内装部材には、係合孔を有するレバーがスライド可能に組み付けられていると共に、レバーを覆うように貫通孔を有するベースプレートが組み付けられており、
オーナメントの内面には、レバーの係合孔に係合可能なフックが形成されており、
オーナメントのフックをベースプレートの貫通孔を介してレバーの係合孔に係合させたオーナメントの着装状態において、レバーをスライドさせると、オーナメントが係合孔に対するフックの係合が解消された係合解消状態に切り替わることを特徴とするオーナメントの着脱構造。
【請求項2】
請求項1に記載のオーナメントの着脱構造であって、
レバーには、傾斜壁を有する係合孔が形成されており、
係合解消状態から、さらに、レバーをスライドさせると、スライドさせたレバーの係合孔の傾斜壁がオーナメントのフックを押し当てることを特徴とするオーナメントの着脱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーナメントの着脱構造に関し、詳しくは、自動車等の車両の内装部材に組み付けられるオーナメントの着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車内の前方には、内装部材としてインストルメントパネルが設けられている。ここで、下記特許文献1には、インストルメントパネルにオーナメント(例えば、木目調の加飾プレート)が組み付けられている技術が開示されている。これにより、インストルメントパネルの意匠性を簡単に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−114816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、インストルメントパネルに組み付けられたオーナメントは、その取り替え(着せ替え)までは想定されていない。そのため、オーナメントはインストルメントパネルに対して強固に組み付けられている。したがって、オーナメントを取り替えたい場合、その取り替えが困難であった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、取り替えが容易なオーナメントの着脱構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、内装部材に組み付けられるオーナメントの着脱構造であって、内装部材には、係合孔を有するレバーがスライド可能に組み付けられて
いると共に、レバーを覆うように貫通孔を有するベースプレートが組み付けられており、オーナメントの内面には、レバーの係合孔に係合可能なフックが形成されており、オーナメントのフックを
ベースプレートの貫通孔を介してレバーの係合孔に係合させたオーナメントの着装状態において、レバーをスライドさせると、オーナメントが
係合孔に対するフックの係合が解消された係合解消状態に切り替わることを特徴とする構成である。
この構成によれば、一方の手でレバーを引く操作を行うと、レバーの係合孔とオーナメントのフックとの係合が解消される。したがって、他方の手でオーナメントを内装部材から取り外すことができる。また、この取り外し状態から、オーナメントのフックをレバーの係合孔に挿入していくと、レバーの係合孔とオーナメントのフックとの係合が行われる。したがって、取り外したオーナメントの取り付けができる。このようにオーナメントの取り外しおよび取り付けができると、この取り外しおよび取り付けを容易にできる。したがって、オーナメントを取り替えたい場合でも、容易にオーナメントを取り替えることができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオーナメントの着脱構造であって、レバーには、傾斜壁を有する係合孔が形成されており、係合解消状態から、さらに、レバーをスライドさせると、スライドさせたレバーの係合孔の傾斜壁がオーナメントのフックを押し当てることを特徴とする構成である。
この構成によれば、係合解消状態に切り替わったオーナメントをベースプレートから簡便に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係るオーナメントの着脱構造を適用したインストルメントパネルの全体斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す状態から、ノブの引き操作をしている状態を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す状態から、さらにノブの引き操作をしている状態を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す状態から、オーナメントを取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜6を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、『内装部材』の例として、『インストルメントパネル1』を説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両(図示しない)にインストルメントパネル1を組み付けた状態を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0009】
1は、インストルメントパネルである。このインストルメントパネル1の助手席(図示しない)と向かい合う部位には、横長の矩形状の切欠2が形成されている。また、このインストルメントパネル1の助手席(図示しない)側の側面1aには、切欠2と連通する貫通孔3が形成されている。この側面1aは、助手席(図示しない)側のドア(図示しない)閉時に、このドア(図示しない)によって覆われている。このように構成されているインストルメントパネル1は、車両内部の前方に組み付けられている。
【0010】
10は、ガイドである。このガイド10は、断面コ字状の長溝を有するように形成されている。このように構成されているガイド10は、後述するベースプレート30の内面にビス(図示しない)を介して組み付けられている。
【0011】
20は、レバーである。このレバー20は、ガイド10の長溝内をスライド可能に形成されている。このレバー20の基端(
図2において、左端)には、乗員が操作可能なノブ24が一体を成すように形成されている。また、このレバー20には、後述するオーナメント40の4箇所のフック42を係合可能な係合孔22が4箇所形成されている。また、この係合孔22の内部には、左前から右後に傾斜を成す傾斜壁22aが形成されている。
【0012】
このように構成されているレバー20は、その先端(
図2において、右端)から貫通孔3を介してガイド10の溝内部にスライド可能に組み付けられている。このとき、ガイド10の右端とレバー20の先端との間には、引っ張りばね26が掛け止めされている。これにより、乗員がノブ24を引く操作すると、引っ張りばね26の付勢力に抗してレバー20を左側にスライドできる。
【0013】
30は、ベースプレートである。このベースプレート30は、インストルメントパネル1の切欠2を覆い可能に形成されている樹脂製の部材である。このベースプレート30には、切欠2の縁に係合可能な複数の係合爪(図示しない)が形成されている。また、このベースプレート30には、後述するオーナメント40の4箇所のフック42を貫通させることができる貫通孔32が4箇所形成されている。このように構成されているベースプレート30は、インストルメントパネル1の切欠2を覆うようにビス(図示しない)を介してインストルメントパネル1に組み付けられている。
【0014】
40は、オーナメントである。このオーナメント40は、ベースプレート30の表面を加飾可能に形成されている樹脂製の部材である。このオーナメント40の内面には、上述したレバー20の4箇所の係合孔22に係合可能なフック42が4箇所形成されている。このフック42には、その先端の外側に傾斜面42aが形成されている。なお、このフック42は、上述したようにベースプレート30の貫通孔32を貫通可能となっている。このように構成されているオーナメント40は、そのフック42がレバー20の係合孔22に係合することでベースプレート30に組み付けられている。
【0015】
続いて、
図3〜6を参照して、上述したオーナメント40の着脱(オーナメント40の脱着(取り外し)と、オーナメント40の着装(取り付け))を説明する。まず、オーナメント40の脱着(取り外し)から説明していく。
図3に示すように、オーナメント40がベースプレート30に組み付けられた状態から、助手席のドアを開けて、一方の手でレバー20のノブ24を引く操作を行う。
【0016】
すると、
図4に示すように、引っ張りばね26の付勢力に抗して、レバー20は左にスライドしていく。これにより、レバー20の係合孔22とオーナメント40のフック42との係合が4箇所同時に解消される。さらに、ノブ24の引き操作を行うと、係合孔22の傾斜壁22aがオーナメント40のフック42を押し当てる。これにより、
図5に示すように、オーナメント40はベースプレート30から引き出される。
【0017】
したがって、
図6に示すように、他方の手でオーナメント40をベースプレート30から取り外すことができる。この取り外した後に、一方の手のノブ24の引き操作は解消すればよい。すると、引っ張りばね26の付勢力によって、レバー20はスライド前の状態に戻される。このようにして、オーナメント40をベースプレート30から取り外すことができる。
【0018】
次に、オーナメント40の着装(取り付け)を説明する。
図6に示すように、オーナメント40がベースプレート30から取り外された状態からベースプレート30の貫通孔32を介してオーナメント40のフック42をレバー20の係合孔22に4箇所同時に挿入していく。すると、オーナメント40のフック42の傾斜面42aがレバー20の係合孔22の縁を押し当てるため、レバー20は引っ張りばね26の付勢力に抗して左にスライドしていく。
【0019】
やがて、オーナメント40のフック42の傾斜面42aがレバー20の係合孔22の縁を乗り越えると、レバー20は引っ張りばね26の付勢力によってスライド前の状態に戻される。これにより、レバー20の係合孔22とオーナメント40のフック42との係合が4箇所同時に行われる。このようにして、オーナメント40をベースプレート30に取り付けることができる。
【0020】
本発明の実施例に係るオーナメント40の着脱構造は、上述したように構成されている。この構成によれば、一方の手でレバー20のノブ24を引く操作を行うと、レバー20の係合孔22とオーナメント40のフック42との係合が4箇所同時に解消される。したがって、他方の手でオーナメント40をベースプレート30から取り外すことができる。また、この取り外し状態から、オーナメント40のフック42をレバー20の係合孔22に4箇所同時に挿入していくと、レバー20の係合孔22とオーナメント40のフック42との係合が4箇所同時に行われる。したがって、取り外したオーナメント40の取り付けができる。このようにオーナメント40の取り外しおよび取り付けができると、この取り外しおよび取り付けを容易にできる。したがって、オーナメント40を取り替えたい場合でも、容易にオーナメント40を取り替えることができる。
【0021】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、『内装部材』の例として、『インストルメントパネル1』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、車両内部に組み付けられる内装部材であれば、何であっても構わない。
【符号の説明】
【0022】
1 内装部材(インストルメントパネル)
20 レバー
22 係合孔
40 オーナメント
42 フック