【実施例】
【0015】
上述ノように、電動式パワーステアリング装置は、ECUが車両速度に応じてモータを制御して最適の操向感を運転者に提供するもので、モータの駆動によりラック駆動型ステアリングシャフトが左右に移動することで操向が行われる。
【0016】
図2に示すように、ステアリングシャフト10には、モータ14の動力を減速させてステアリングシャフト10に伝達する減速ギアボックス12の出力端が連結され、減速ギアボックス12の入力端には操向のための動力を提供するモータ14が連結される。モータ14は、両方向に回転するモータであり、両側端を通して第1軸及び第2軸が突出した形態を有する。
図1及び
図2に示すように、減速ギアボックス12の入力端とモータ14の第1軸との間には通常の第1電磁石クラッチ16が装着され、モータ14の動力を減速ギアボックス12に伝達または解除する役割をする。
【0017】
より詳しくは、第1電磁石クラッチ16が減速ギアボックス12の入力ギア(図示せず)に連結された状態で、第1電磁石クラッチ16に電流が印加されると、モータ14の第1軸に第1電磁石クラッチ16が移動してくっつくようになって動力の伝達が行われ、逆に電流の印加が解除されると、第1電磁石クラッチ16はリターンスプリング(図示せず)の復原力によりモータ14の第1軸から離れて動力の伝達が解除される。一方、モータ14の反対側に突出している第2軸28には、モータ14の動力をコンプレッサ30側に伝達する動力伝達ギアセット20が連結される。この時、モータ14の第2軸28と動力伝達ギアセット20の駆動ギア21との間にはモータ14の動力を動力伝達ギアセット20に伝達または解除する第2電磁石クラッチ18が装着される。
【0018】
具体的には、第2電磁石クラッチ18に駆動ギア21の軸が連結された状態で、第2電磁石クラッチ18に電流が印加されると、モータ14の第2軸28に第2電磁石クラッチ18が移動すると共に第2電磁石クラッチ18の一面の中心に形成されている連結溝26に角張った第2軸28が挿入結合されることにより、モータ14の動力が駆動ギア21に伝達され、逆に電流印加が解除されると、第2電磁石クラッチ18はリターンスプリング(図示せず)の復原力によりモータ14の第2軸28から離れて動力伝達が解除される。
【0019】
図3を参照して、動力を伝達可能にするためにモータとコンプレッサを連結する動力伝達ギアセットの構成を説明する。動力伝達ギアセット20の一構成では、駆動ギア21の中心軸が第2電磁石クラッチ18に連結され、駆動ギア21の歯面には第1及び第2ワンウェイベアリング22、23が同時に噛み合う。この時、第1ワンウェイベアリング22には、コンプレッサ30のボディ部にヒンジにより連結された動力伝達媒介ギア24が同軸に連結され、第2ワンウェイベアリング23には、コンプレッサ30の入力軸と一体に連結された出力ギア25が同軸に連結される。第1及び第2ワンウェイベアリング22、23は、自転車の後輪ベアリングのように一側方向にだけ動力を伝達するワンウェイクラッチのようなベアリングであって、第1及び第2ワンウェイベアリング22、23は相異なる一方向に回転する時には動力を伝達し、相異なる他方向に回転する時には動力を遮断する。
【0020】
具体的には、第1ワンウェイベアリング22は、駆動ギア21が反時計方向に回転する時、動力伝達媒介ギア24に動力を伝達し、駆動ギア21が時計方向に回転する時、空回転しながら動力を遮断する機能を行い、また、第2ワンウェイベアリング23は、駆動ギア21が時計方向に回転する時、出力ギア25に動力を伝達し、駆動ギア21が反時計方向に回転する時、空回転しながら動力を遮断する機能を行う。この時、動力伝達媒介ギア24と出力ギア25は、互いに平行に配列され、動力伝達を可能にするために各歯面が互いに噛み合う。
【0021】
次に、このような構成における本発明の電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置に対する作動フローを説明する。
図5に示すように、本発明の電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動モードは、車両走行時の操向のためのMDPS作動モードと、駐停車時のエアコンだけが作動するエアコン作動モードと、操向及びエアコンが両方とも作動するMDPS+エアコン作動モードと、を含む。
【0022】
MDPS作動モードは、電動式パワーステアリング装置による操向モードであって、第1電磁石クラッチ16に電流が印加されて第1電磁石クラッチ16がモータ14の第1軸に結合され、第2電磁石クラッチ18には電流が印加されないため、モータ14の動力が伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第1電磁石クラッチ16により減速ギアボックス12に伝達されると共にステアリングシャフト10には減速ギアボックス12の出力動力が伝達されて動作することで、モータ14による操向が行われる。
【0023】
エアコン作動モードは、例えば、電動式パワーステアリング装置による操向が行われていない駐停車時にエアコンを作動する作動モードであって、第2電磁石クラッチ18に電流が印加されて第2電磁石クラッチ18がモータ14の第2軸28に結合され、第1電磁石クラッチ16には電流が印加されないため、モータ14の動力が減速ギアボックス12に伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第2電磁石クラッチ18により動力伝達ギアセット20に伝達されると共にコンプレッサ30が作動してエアコンが作動することになる。
【0024】
MDPS+エアコン作動モードは、操向が行われると共にエアコンが同時作動するモードであって、上述したMDPS作動モード及びエアコン作動モードが同時に行われる。
【0025】
エアコン作動モードと、MDPS+エアコン作動モードにおいて、コンプレッサに動力が伝達される過程を
図4の(A)と(B)を参照して詳細に説明する。先ず、モータ14が時計方向に回転して駆動すると、第2電磁石クラッチ18により駆動ギア21に動力が伝達されると共に駆動ギア21もモータ14と同じ時計方向に回転する。この時、駆動ギア21に同時に噛み合っている第1及び第2ワンウェイベアリング22、23のうち、動力伝達媒介ギア24と同軸に連結された第1ワンウェイベアリング22は、空回転しながら動力を遮断する役割をし、第2ワンウェイベアリング23は、反時計方向に回転しながら駆動ギア21の動力を出力ギア25に伝達する。したがって、出力ギア25が反時計方向に回転しながらコンプレッサ30の駆動が行われてエアコンが作動する。
【0026】
一方、モータ14が操向のために反時計方向に駆動すると、第2電磁石クラッチ18により駆動ギア21に動力が伝達されると共に駆動ギア21もモータ14と同じ反時計方向に回転する。この時、駆動ギア21に同時に噛み合っている第1及び第2ワンウェイベアリング22、23のうち、動力伝達媒介ギア24と同軸に連結された第1ワンウェイベアリング22は、時計方向に回転しながら動力伝達媒介ギア24に動力を伝達し、第2ワンウェイベアリング23は、空回転しながら出力ギア25に対する動力を遮断する役割をする。したがって、動力伝達媒介ギア24が時計方向に回転すると共に動力伝達媒介ギア24に噛み合っている出力ギア25が反時計方向に回転しながらコンプレッサ30の駆動が行われるようになってエアコンが作動する。
【0027】
この構成に基づいた本発明の一実施例による電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動制御方法を説明する。
図1及び
図2に示すように、ステアリングシャフト10には、モータ14の動力を減速させてステアリングシャフト10に伝達する減速ギアボックス12の出力端が連結され、減速ギアボックス12の入力端には操向のための動力を提供するモータ14が連結され、この時のモータ14は、両方向に回転するモータであり、両側端を通して第1軸及び第2軸が突出した形態を有する。
【0028】
この時、減速ギアボックス12の入力端とモータ14の第1軸との間には通常の第1電磁石クラッチ16が装着され、モータ14の動力を減速ギアボックス12に伝達または解除する役割をする。より詳しくは、第1電磁石クラッチ16が減速ギアボックス12の入力ギア(図示せず)に連結された状態で、第1電磁石クラッチ16に電流が印加されると、モータ14の第1軸に第1電磁石クラッチ16が移動してくっつくようになって、MDPSギアボックス、すなわち、減速ギアボックス12にモータの動力が伝達されて操向のためのアシスト動作が行われる。逆に、電流の印加が解除されると、第1電磁石クラッチ16はリターンスプリング(図示せず)の復原力によりモータ14の第1軸から離れて動力の伝達が解除される。
【0029】
一方、モータ14の反対側に突出している第2軸には、モータ14の動力をコンプレッサ30側に伝達する動力伝達用遊星ギアセットの動力伝達ギアセット20が連結され、モータ14の第2軸と動力伝達ギアセット20の駆動ギアとの間にはモータ14の動力を動力伝達ギアセット20に伝達または解除する第2電磁石クラッチ18が装着される。したがって、第2電磁石クラッチ18に動力伝達用遊星ギアセットの動力伝達ギアセット20の駆動ギア軸が連結された状態で、第2電磁石クラッチ18に電流が印加されると、モータ14の第2軸に第2電磁石クラッチ18が移動して結合されることにより、モータ14の動力が遊星ギアセット、すなわち、動力伝達ギアセット20の駆動ギアに伝達されてコンプレッサの高速回転作動が行われる。
【0030】
図5に示すように、本発明の電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動モードは、車両走行時の操向のためのMDPS作動モードと、駐停車時のエアコンだけが作動するエアコン作動モードと、操向及びエアコンが両方とも作動するMDPS+エアコン作動モードと、を含む。
【0031】
MDPS作動モードは、電動式パワーステアリング装置による操向モードであって、第1電磁石クラッチ16に電流が印加されて第1電磁石クラッチ16がモータ14の第1軸に結合され、第2電磁石クラッチ18には電流が印加されないため、モータ14の動力が伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第1電磁石クラッチ16により減速ギアボックス12に伝達されると共にステアリングシャフト10には減速ギアボックス12の出力動力が伝達されて動作することで、モータ14による操向が行われる。
【0032】
エアコン作動モードは、例えば、電動式パワーステアリング装置による操向が行われていない駐停車時のエアコンを作動する作動モードであって、第2電磁石クラッチ18に電流が印加されて第2電磁石クラッチ18がモータ14の第2軸に結合され、第1電磁石クラッチ16には電流が印加されないため、モータ14の動力が減速ギアボックス12に伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第2電磁石クラッチ18により動力伝達ギアセット20に伝達されると共にコンプレッサ30が作動してエアコンが作動することになる。
【0033】
一方、MDPS+エアコン作動モードは、操舵トルクの小さい操向が行われると共にエアコンが同時に作動するモードであって、上述したMDPS作動モード及びエアコン作動モードが同時に行われる。しかし、エアコンモードからMDPSモードへの変換時、各モード別のRPM差(MDPS:〜2000rpm、A/C:〜6000rpm)により、そしてMDPS減速ギアボックス12側の第1電磁石クラッチ16とコンプレッサ30側の第2電磁石クラッチ18が単一のモータ14にそれぞれくっついたり離れたりする場合にかかる時間により、モード変換遅延(delay)時間が発生する問題がある。
【0034】
特に、エアコンモードでフル(FULL)稼働させて、モータが時計方向に6000rpm回転する場合、運転者が反対方向に操舵操作をしてMDPSモードへの変換が行われる時、モータは反時計方向に2000rpmの回転が必要となる。この時、モータの減速→コンプレッサ側の第2電磁石クラッチのオフ→MDPS側の第1電磁石クラッチのオン→モータの再加速(反時計)などの過程が行われるため、エアコンモードからMDPSモードに変換される時に遅延(delay)時間が発生する問題がある。
【0035】
この問題を解決するため、本発明の電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動制御方法を具体的に説明する。
図6から
図8に示すように、電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置は、単一のモータ14の回転力が第1電磁石クラッチ16のオンにより減速ギアボックス12に伝達され、運転者の操舵時にアシストが行われるMDPSモード作動段階と、単一のモータ14の回転力が第2電磁石クラッチ18のオンによりコンプレッサ30に伝達され、室内冷房のための冷媒圧縮作動が行われるエアコンモード作動段階と、モータ14の回転力が減速ギアボックス12及びコンプレッサ30に同時に連結され、パワーステアリング装置とコンプレッサが同時に作動されるMDPS+エアコンモード作動段階と、を含む。
【0036】
本発明の一実施例によれば、エアコン作動モードからMDPSモードに変換される時、モータ14の現在回転方向と運転者の操舵操作によるモータの必要回転方向に応じてモータの減速制御を異なるように適用し、それと同時に減速ギアボックスに連結された第1電磁石クラッチのオン時点を異なるように適用することにより、エアコン作動モードからMDPSモードへの作動モードの変換時の遅延(delay)時間を最小化した点に主眼点がある。
【0037】
このために、
図6の太い破線部分及び
図7のフローチャートに示すように、先ず、第2電磁石クラッチ18がモータ14に連結され、モータ14の高速回転によるコンプレッサ30の駆動が行われるエアコンモードの作動中に、運転者の操舵操作があるか否かを確認する段階が先行するが、運転者によるステアリングホイールの操舵操作があるか否か及びその方向はステアリングホイール側に装着されるトルクセンサにより感知することができる。
【0038】
次に、運転者によるステアリングホイールの操舵操作が行われると、第2電磁石クラッチ18に対する電流を遮断して第2電磁石クラッチ18をオフする。これにより、モータ14の回転動力がコンプレッサ30側にそれ以上伝達されることはない。次に、モータ14の現在回転方向(例えば、コンプレッサを駆動させた時計方向)と、ステアリングホイールの操舵方向(時計方向)によるモータの必要回転方向(例えば、時計方向)が同じである場合、モータの現在速度と必要速度が同じになるまでモータ14を減速させる。
【0039】
例えば、モータの現在速度が6000rpmで、必要速度が2000rpmであれば、現在速度を必要速度の2000rpmまで減速させる。このようにモータの現在速度と必要速度が同じになる瞬間、第1電磁石クラッチ16に電流を供給してオンすることにより、モータ14の動力が減速ギアボックス12に伝達され、運転者が所望する時計方向の操舵に対するアシストが行われる。
【0040】
反面、第2電磁石クラッチ18をオフした後、モータ14の現在回転方向(例えば、コンプレッサを駆動させた時計方向)とステアリングホイールの操舵方向(反時計方向)によるモータの必要回転方向(例えば、反時計方向)が逆である場合、モータの現在速度がゼロになるまでモータ14を減速させる。次に、モータの現在速度がゼロになる瞬間、第1電磁石クラッチ16に電流を供給してオンすることにより、モータ14の動力が減速ギアボックス12に伝達され、運転者が所望する反時計方向の操舵に対するアシストが行われる。
【0041】
一方、運転者の操舵トルクが基準値以下である場合は、第1及び第2電磁石クラッチ16、18が同時にモータ14に連結されてMDPS作動モード及びエアコン作動モードが同時に作動されるMDPS+エアコン作動モードが実行される。
【0042】
また、前記構成に基づいた本発明の他の実施例による電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動制御方法を説明する。上述したように、本発明の電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動モードは、車両走行時の操向のためMDPS作動モードと、駐停車時のエアコンだけが作動するエアコン作動モードと、操向及びエアコンが両方とも作動するMDPS+エアコン作動モードと、を含む。
【0043】
MDPS作動モードは、電動式パワーステアリング装置による操向モードであって、第1電磁石クラッチ16に電流が印加されて第1電磁石クラッチ16がモータ14の第1軸に結合され、第2電磁石クラッチ18には電流が印加されないため、モータ14の動力が伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第1電磁石クラッチ16により減速ギアボックス12に伝達されると共にステアリングシャフト10には減速ギアボックス12の出力動力が伝達されて動作することで、モータ14による操向が行われる。
【0044】
エアコン作動モードは、例えば、電動式パワーステアリング装置による操向が行われていない駐停車時にエアコンを作動する作動モードであって、第2電磁石クラッチ18に電流が印加されて第2電磁石クラッチ18がモータ14の第2軸に結合され、第1電磁石クラッチ16には電流が印加されないため、モータ14の動力が減速ギアボックス12に伝達されない状態となる。したがって、モータ14の動力が第2電磁石クラッチ18により動力伝達遊星ギアセットの動力伝達ギアセット20に伝達されると共にコンプレッサ30が作動してエアコンが作動することになる。
【0045】
一方、MDPS+エアコン作動モードは、操舵トルクの小さい操向が行われると共にエアコンが同時に作動するモードであって、上述したMDPS作動モード及びエアコン作動モードが同時に行われる。しかし、各作動モードにおいて、MDPSモードからエアコンモードへの変換時、モータの回転方向を決める制御が行われないことにより、モード変換遅延時間が発生する問題がある。
【0046】
例えば、MDPSモード(運転者がステアリングホイールを右側方向に操舵、モータの回転方向:CW)の作動後、エアコンのオン(A/CのON)信号及び運転者のステアリングホイールに対する未操舵信号が感知されると、モータ14の現在速度がゼロになる時点まで待機する時間とエアコンを稼働するためのRPM水準までモータ14を反時計方向(CCW)に再加速する時間など、エアコンの作動に時間がかかることになるため、結局MDPSモードからエアコンモードへの変換時、長い遅延時間が発生する問題がある。
【0047】
この問題を解決するため本発明の他の実施例による電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置の作動制御方法を具体的に説明する。
図9〜
図11に示すように、電動式パワーステアリングとコンプレッサの一体化装置は、単一のモータ14の回転力が第1電磁石クラッチ16のオンにより減速ギアボックス12に伝達され、運転者の操舵時にアシストが行われるMDPSモード作動段階と、単一のモータ14の回転力が第2電磁石クラッチ18のオンによりコンプレッサ30に伝達され、室内冷房のための冷媒圧縮作動をするエアコンモード作動段階と、モータ14の回転力が減速ギアボックス12及びコンプレッサ30に同時に連結され、パワーステアリング装置とコンプレッサが同時に作動されるMDPS+エアコンモード作動段階と、を含む。
【0048】
本発明によれば、MDPSモードからエアコン作動モードに変換される時、第1電磁石クラッチ16をオフすると共に第2電磁石クラッチ18をオンした後、エアコンのオン前の運転者の操舵方向によるモータ14の現在回転方向と同一になるようにエアコンの稼働のためのモータ14の回転方向を決めて加速する制御が行われることにより、MDPSモードからエアコン作動モードへの変換遅延(delay)時間を最小化した点に主眼点がある。
【0049】
図9の太い破線部分に示すように、運転者がステアリングホイールを操舵する時、MDPSモードが作動し、運転者によるステアリングホイールの操舵が感知されないと共にエアコンスイッチをオン(on)すると、エアコン作動モードに変換される。この時、運転者によるステアリングホイールの操舵操作があるか否か及びその方向はステアリングホイール側に装着されるトルクセンサにより感知することができる。次に、運転者によるステアリングホイールの操舵が感知されないと共にエアコンスイッチをオン(on)すると、第1電磁石クラッチ16に対する電流を遮断してオフする。これにより、モータ14の回転力がMDPS減速ギアボックス12側にそれ以上伝達されることはない。
【0050】
次に、第1電磁石クラッチ16をオフすると共に第2電磁石クラッチ18をオンした後、エアコンのオン前の運転者の操舵方向によるモータの現在回転方向と同一になるようにエアコンの稼働のためのモータの回転方向を決めると共にエアコンの稼働のためのRPMまで加速する制御が行われる。
【0051】
本発明の好ましい一実施例として、上記のようにMDPSモードからエアコン作動モードへの変換時、第1電磁石クラッチ16をオフすると共に第2電磁石クラッチ18をオンした後、エアコンのオン前の運転者のステアリングホイールの右側操舵によるモータ14の現在回転方向が時計方向であれば、モータ14の回転方向を時計方向に決めると共にエアコンの作動のための回転速度まで加速する制御が行われる。
【0052】
また、本発明の好ましい他の実施例として、上記のようにMDPSモードからエアコン作動モードへの変換時、第1電磁石クラッチ16をオフすると共に第2電磁石クラッチ18をオンした後、エアコンのオン前の運転者のステアリングホイールの左側操舵によるモータ14の現在回転方向が反時計方向であれば、モータ14の回転方向を反時計方向に決めてエアコンを作動するための回転速度まで加速する制御が行われる。
【0053】
上述のように、MDPSモードからエアコン作動モードへの変換時、モータ14を減速させる過程なしに、MDPSモード時のモータ14の回転方向をエアコン作動時にもそのまま維持しながらエアコンの稼働のためのRPM水準まで加速すれば良いため、MDPS作動モードからエアコン作動モードへの変換時の遅延(delay)時間を短縮させることができる。同様に、運転者の操舵トルクが基準値以下である場合は、第1及び第2電磁石クラッチ16,18が同時にモータ14に連結されてMDPS作動モード及びエアコン作動モードが同時に作動されるMDPS+エアコン作動モードが実行される。