(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0019】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0021】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0022】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置(CMOSイメージセンサ)の構造と製法について詳細に説明する。
【0024】
[構造説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置の構成例を示す回路ブロック図である。
図2は、画素の構成例を示す回路図である。なお、
図1では、アレイ状(行列状)に配置された4行4列(4×4)の16個の画素を示すが、実際にカメラなどの電子機器に使用される画素数は数百万のものがある。
【0025】
図1に示す画素領域1Aには、複数の画素がアレイ状に配置され、その周囲には、垂直走査回路102や水平走査回路105などの駆動回路が配置されている。各画素(セル、画素ユニット)PUは、選択線SLおよび出力線OLの交点に配置されている。選択線SLは垂直走査回路102と接続され、出力線OLはそれぞれ列回路103と接続されている。列回路103はスイッチSwを介して出力アンプ104と接続されている。各スイッチSwは水平走査回路105と接続され、水平走査回路105により制御される。
【0026】
例えば、垂直走査回路102および水平走査回路105により選択された画素PUから読み出された電気信号は、出力線OLおよび出力アンプ104を介して出力される。
【0027】
画素PUの構成は、例えば、
図2に示すように、フォトダイオードPDと、4つのMOSFET(RST、TX、SEL、AMI)とで構成される。これらのMOSFETは、nチャネル型であり、RSTはリセットトランジスタ、TXは転送用トランジスタ、SELは選択トランジスタ、AMIは増幅トランジスタである。なお、これらのトランジスタの他に、他のトランジスタや容量素子などの素子が組み込まれることもある。また、これらのトランジスタの接続形態には種々の変形・応用形態がある。また、MOSFETは、MOS Semiconductor Field Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略であり、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と示されることもある。
【0028】
図2に示す回路例においては、接地電位(GND)とノードn1との間にフォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが直列に接続されている。ノードn1と電源電位(VDD、電源電位線LVDD)との間にはリセットトランジスタRSTが接続されている。電源電位(VDD)と出力線OLとの間には、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが直列に接続されている。この増幅トランジスタAMIのゲート電極はノードn1に接続されている。また、リセットトランジスタRSTのゲート電極はリセット線LRSTに接続されている。また、選択トランジスタSELのゲート電極は選択線SLと接続され、転送用トランジスタTXのゲート電極は転送線(第2選択線)LTXと接続されている。
【0029】
例えば、転送線LTXおよびリセット線LRSTを立ち上げ(Hレベルとし)、転送用トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTをオン状態とする。この結果、フォトダイオードPDの電荷が抜かれて空乏化される。その後、転送用トランジスタTXをオフ状態とする。
【0030】
この後、例えば、カメラなどの電子機器のメカニカルシャッターを開くと、シャッターが開いている間、フォトダイオードPDにおいて、入射光によって電荷が発生し、蓄積される。
【0031】
次いで、シャッターを閉じた後、リセット線LRSTを立ち下げ(Lレベルとし)、リセットトランジスタRSTをオフ状態とする。さらに、選択線SLおよび転送線LTXを立ち上げ(Hレベルとし)、選択トランジスタSELおよび転送用トランジスタTXをオン状態とする。これにより、フォトダイオードPDの電荷が転送用トランジスタTXのノードn1側の端部(フローティングディフュージョンFD)に転送される。即ち、フローティングディフュージョンFDの電位は、フォトダイオードPDから転送された電荷に応じた値に変化し、この値が、増幅トランジスタAMIにより増幅され出力線OLに表れる。この出力線OLの電位が、電気信号(受光信号)となり、列回路103およびスイッチSwを介して出力アンプ104から出力信号として読み出される。
【0032】
図3は、本実施の形態の半導体装置の画素を示す平面図である。本実施の形態の半導体装置の特徴的な構成は、
図3の破線部に示される。即ち、本実施の形態の半導体装置は、フォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが配置されている活性領域AcTPと、ゲッタリング領域GETが配置されている活性領域AcGとを有する。また、活性領域AcG上には、接地電位線(LGND)と接続されているコンタクト部(コンタクトプラグ、プラグ、接続部)Pgが配置されている。
【0033】
このように、上記構成においては、活性領域AcGの表面部にゲッタリング領域GETを設けたので、汚染金属(例えば、W、Mo、Fe、Co、Ni等)を捕獲することができる。また、汚染金属からの電子(e)を、接地電位GNDに接続されているコンタクト部Pgを介して逃がすことができる。よって、汚染金属に起因する暗電流や暗時白点を低減することができ、撮像特性を向上させることができる。また、給電領域(活性領域AcG、ゲッタリング領域GET)を、平面視において、絶縁部材からなる素子分離領域で囲むことにより、PN接合分離よりも効果的に汚染金属からの電子(e)を逃がすことができる。
【0034】
さらに、
図3を参照しながら本実施の形態の半導体装置の構成を具体的に説明する。
図3に示すように、本実施の形態の半導体装置の画素PUは、フォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが配置されている活性領域AcTPと、リセットトランジスタRSTが配置されている活性領域AcRとを有する。さらに、選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMIとが配置されている活性領域AcASと、接地電位線LGNDと接続されているコンタクト部(コンタクトプラグ、プラグ、接続部)Pgが配置されている活性領域AcGとを有する。
【0035】
活性領域AcRには、ゲート電極Grが配置され、その両側のソース・ドレイン領域上にはコンタクト部Pr1、Pr2が配置されている。このゲート電極Grとソース・ドレイン領域とによりリセットトランジスタRSTが構成される。
【0036】
活性領域AcTPには、ゲート電極Gtが配置され、その両側のうちの一方には、フォトダイオードPDが配置され、他方にはフローティングディフュージョン(電荷蓄積部、浮遊拡散層)FDが配置される。フォトダイオードPDは、pn接合ダイオードであり、例えば、複数のn型またはp型の不純物領域(半導体領域)より構成される。また、フローティングディフュージョンFDは、例えば、n型の不純物領域で構成される。このフローティングディフュージョンFD上には、コンタクト部Pfdが配置される。
【0037】
活性領域AcASには、ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsが配置され、ゲート電極Ga側の端部にはコンタクト部Paが配置され、ゲート電極Gs側の端部にはコンタクト部Psが配置されている。ゲート電極(Ga、Gs)の両側は、ソース・ドレイン領域であり、このゲート電極(Ga、Gs)とソース・ドレイン領域とにより直列に接続された選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが構成されている。
【0038】
活性領域AcGには、ゲッタリング領域GETが配置され、この上部にはコンタクト部Pgが配置されている。ゲッタリング領域GETは、例えば、炭素(C)やホウ素(B)などのゲッタリング用の不純物を打ち込んだ領域である。このような不純物の打ち込みにより、半導体基板内に結晶欠陥や歪みなどが生じ、この結晶欠陥や歪みなど(ゲッタリングサイト)に、汚染金属を捕捉させて固着させることができる。このように、ゲッタリング領域とは、ゲッタリングサイトを形成した領域(層)のことを意味する。また、上記コンタクト部Pgは、接地電位線(LGND)と接続される。よって、活性領域AcGは、半導体基板(ウエル領域)に、接地電位GNDを印加するための給電領域と言える。
【0039】
上記コンタクト部(Pr1、Pr2、Pg、Pfd、Pa、Ps)およびゲート電極(Gr、Gt、Ga、Gs)上のコンタクト部(Prg、Ptg、Pag、Psg)を、複数の配線層(例えば、第1層配線M1〜第3層配線M3)により接続することで、
図1および
図2に示す回路を構成することができる。
図4に、各コンタクト部の結線例の一例を示す。
【0040】
図5は、本実施の形態の半導体装置が形成される半導体ウエハおよびチップ領域を示す平面図である。
図5に示すように、半導体ウエハWは、複数のチップ領域CHを有し、
図1に示す画素領域1Aは、周辺回路領域2Aとともに1つのチップ領域CHに形成される。この周辺回路領域2Aには、論理回路(ロジック回路)が配置されている。この論理回路は、例えば、画素領域1Aから出力される出力信号を演算し、この演算結果に基づき画像データが出力される。
【0041】
図6は、本実施の形態の半導体装置の周辺回路領域に形成されるトランジスタを示す平面図である。
図7は、本実施の形態の半導体装置の画素領域に形成される複数の画素を示す平面図である。
【0042】
図6に示すように、周辺回路領域2Aには、トランジスタ(ロジックトランジスタ)LTが配置されている。このトランジスタLTは、電子をキャリアとするN型MOSFET(NMOSFET)および正孔をキャリアとするP型MOSFETで構成され、
図6は、論理回路を構成するトランジスタ、例えばNMOSFETのうちの一つである。活性領域AcLには、ゲート電極Gltが配置され、その両側のソース・ドレイン領域上にはコンタクト部Pt1、Pt2が配置されている。
図6においては、1つのトランジスタLTのみを示しているが、周辺回路領域2Aには、複数のトランジスタが配置され、これらのソース・ドレイン領域上のコンタクト部またはゲート電極上のコンタクト部を複数の配線層(例えば、第1層配線M1〜第3層配線M3)により接続することで、論理回路を構成することができる。また、トランジスタ以外の素子、例えば、容量素子や他の構成のトランジスタなどが論理回路に組み込まれる場合もある。
【0043】
図7に示すように、画素領域には、
図3に示す画素PUがX方向およびY方向に複数並んで配置され、画素アレイを構成している。
図7では、2×2の画素PUを示してある。
【0044】
次いで、本実施の形態の半導体装置の断面図を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の構成を説明する。
図8〜
図10は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図8は、
図3のA−A断面に対応し、
図9は、
図3のB−B断面に対応する。
図10は、
図6のC−C断面に対応する。
【0045】
図8および
図9に示すように、半導体基板1Sの画素領域1Aの活性領域AcTPには、フォトダイオード(p型ウエルPWLおよびn型ウエルNWL、PD)と転送用トランジスタTXが形成されている。また、活性領域AcGの表面部(上面部、上方部)には、ゲッタリング領域GETが形成されている(
図9)。
図10に示すように、半導体基板1Sの周辺回路領域2Aの活性領域AcLには、トランジスタLTが形成されている。
【0046】
半導体基板1Sは、例えば、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物(ドナー)を含有する単結晶シリコンである。活性領域AcTPの外周には素子分離領域LCSが配置されている。このように、素子分離領域LCSで囲まれた半導体基板1Sの露出領域が活性領域(AcTP、AcG、AcL等)となる。
【0047】
活性領域(AcTP、AcG、AcL等)には、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したp型ウエルPWLが形成されている。
【0048】
活性領域AcTPにおいては、p型ウエルPWLに内包されるように、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入したn型ウエルNWLが形成されている。このp型ウエルPWL(p
-型半導体領域)とn型ウエルNWL(n
-型半導体領域)によって、フォトダイオード(pn接合ダイオード、PD)が構成される。
【0049】
このn型ウエルNWLの表面の一部には、p
+型半導体領域PRが形成されている。このp
+型半導体領域PRは、半導体基板1Sの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成される。すなわち、半導体基板1Sの表面領域では、界面準位の影響により、光が照射されていない状態でも電子が発生し、暗電流の増加を引き起こす場合がある。このため、電子を多数キャリアとするn型ウエルNWLの表面に、正孔を多数キャリアとするp
+型半導体領域PRを形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制でき、暗電流の増加を抑制することができる。
【0050】
また、n型ウエルNWLの一部と平面的に重なるように、ゲート電極Gtが形成されている。このゲート電極Gtは、半導体基板1S上にゲート絶縁膜GOXを介して配置され、その両側の側壁には、サイドウォール(側壁膜)SWが形成されている。
【0051】
このゲート電極Gtの一方(フォトダイオードPDと逆側)には、例えば、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入したn
+型半導体領域よりなるフローティングディフュージョンFDが形成されている。
【0052】
以上のようにして、半導体基板1S上にフォトダイオード(PD)と転送用トランジスタTXが形成されている。具体的に、フォトダイオード(PD)は、p型ウエルPWLとn型ウエルNWLによって形成されており、また、転送用トランジスタTXは、n型ウエルNWLをソース領域とし、フローティングディフュージョンFDをドレイン領域としている。このソース領域とドレイン領域で挟まれた領域がチャネル形成領域となり、このチャネル形成領域上にゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gtが形成されている。また、フローティングディフュージョンFD上には、シリサイド膜SILが形成されている。
【0053】
フォトダイオード(PD)の表面(n型ウエルNWLおよびp
+型半導体領域PRの表面)には、キャップ絶縁膜CAPが形成されている。このキャップ絶縁膜CAPは、半導体基板1Sの表面特性(界面特性)を良好に保つために形成される。このキャップ絶縁膜CAP上には、反射防止膜ARFが形成されている。
【0054】
活性領域AcGの表面部(上面部、上方部)には、ゲッタリング領域GETが形成されている(
図9)。このゲッタリング領域GETの下部には、p型ウエルPWLが形成されている。このp型ウエルPWLにコンタクト部Pgを介して接地電位(GND)が印加される。
【0055】
また、ゲッタリング領域GET上にはシリサイド膜SILが形成されている。言い換えれば、活性領域AcGのシリサイド膜SILの下部にはゲッタリング領域GETが形成されている。これに対し、フローティングディフュージョンFDのシリサイド膜SILの下部にはゲッタリング領域GETは形成されない構成となっている(
図9)。
【0056】
活性領域AcLのp型ウエルPWL上には、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gltが形成されている(
図10)。このゲート電極Gltの両側のp型ウエルPWL中には、ソース・ドレイン領域が形成されている。このソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有し、n型の低濃度半導体領域(n
-型半導体領域)NMおよびn型の高濃度半導体領域(n
+型半導体領域)NRよりなる。また、n型の高濃度半導体領域NRの表面には、シリサイド膜SILが形成されている。
【0057】
反射防止膜ARF、転送用トランジスタTX、ゲッタリング領域GETおよびトランジスタLT等の上部には、層間絶縁膜IL1が形成されている。層間絶縁膜IL1中には、導電性膜よりなるコンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2等)が形成されている。コンタクト部Pfdは、フローティングディフュージョンFDの上部に形成され、コンタクト部Pgは、ゲッタリング領域GETの上部に形成されている。コンタクト部Pt1、Pt2は、トランジスタLTのソース・ドレイン領域(高濃度半導体領域NR)の上部に形成されている。
【0058】
層間絶縁膜IL1上には層間絶縁膜IL2が形成され、コンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2)上には第1層配線M1が形成されている。この第1層配線M1上には、さらに、層間絶縁膜や配線が積層されている(
図38〜
図40参照)。
【0059】
なお、
図8〜
図10に表れないコンタクト部も層間絶縁膜IL1中に形成されている。また、
図8〜
図10においては、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの断面が表れないが、これらのトランジスタも、p型ウエルPWL上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側のp型ウエルPWL中に形成されたソース・ドレイン領域を有する。選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIは直列に接続されているため、一方のソース・ドレイン領域を共有している(
図3参照)。
【0060】
[製法説明]
次いで、
図11〜
図40を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図11〜
図40は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。各断面図は、
図3のA−A断面、
図3のB−B断面または
図6のC−C断面に対応する。
【0061】
図11〜
図13に示すように、半導体基板1Sとして、例えば、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を含有した単結晶シリコン基板を準備する。
【0062】
次いで、半導体基板1Sに素子分離領域LCSを形成する。素子分離領域LCSは、熱酸化膜よりなる。例えば、半導体基板1Sの活性領域(AcTP、AcG、AcL等)となる領域を窒化シリコン膜で覆い、熱酸化することにより、酸化シリコン膜等の絶縁部材よりなる素子分離領域LCSを形成する。このような素子分離方法をLOCOS(local oxidation of silicon)法という。この素子分離領域LCSにより活性領域(AcTP、AcG、AcL等)が区画される。
【0063】
LOCOS法に代えてSTI(shallow trench isolation)法を用いて素子分離領域を形成してもよい(例えば、
図44参照)。この場合、素子分離領域は、半導体基板1S中の溝内に埋め込まれた絶縁部材よりなる。例えば、上記窒化シリコン膜をマスクとして半導体基板1Sをエッチングすることにより、分離溝を形成する。次いで、この分離溝の内部に酸化シリコン膜などの絶縁膜を埋め込むことにより素子分離領域(トレンチ分離STI)を形成する。
【0064】
次いで、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1S(活性領域(AcTP、AcG、AcL等))内に、ボロン(B)などのp型不純物を導入することにより、p型ウエルPWLを形成する。活性領域AcGの下部のp型ウエルPWLは、素子分離領域LCSの下部を介して活性領域AcTPの下部まで延在している。
【0065】
次いで、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、活性領域AcGの表面にゲッタリング用の不純物を導入することにより、ゲッタリング領域GETを形成する(
図12)。ゲッタリング領域GET(ゲッタリング用の不純物の導入深さ)は、フォトダイオード(pn接合ダイオード、PD)を構成するn型ウエル(NWL)より浅く形成することが好ましい。また、ゲッタリング領域GETの深さ(ゲッタリング用の不純物の導入深さ、活性領域の表面からその底部までの距離)は、100nm以下であることが好ましい。
【0066】
上記範囲であれば、ゲッタリング用の不純物を容易に注入でき、また、活性領域AcGの比較的表面部にゲッタリング領域GETが配置されるため、低温プロセス化が進み汚染金属の拡散距離が小さくなった場合でも、ゲッタリング効果を有効に発揮することができる。
【0067】
ゲッタリング用の不純物として炭素(C)または炭素化合物を導入する。炭素(C)または炭素化合物としては、例えば、カーボンクラスター(C
16Hx
+、C
7Hx
+)をイオン注入する。ここでは、カーボンクラスター(C
7Hx
+)を、10keVのエネルギーで、5×10
15/cm
2の濃度でイオン打ち込みする。次いで、熱処理(アニール処理)を施す。
【0068】
ゲッタリング用の不純物の注入領域はアモルファス化しているため、熱処理を施すことにより再結晶化させる。この再結晶化の際に、導入された炭素元素による歪が生じ、欠陥が形成される。このようにして形成された炭素含有領域の欠陥(ゲッタリングサイト)に汚染金属が捕獲されゲッタリング機能を奏する。また、形成された炭素含有領域(ゲッタリング領域)の炭素濃度は、例えば、1×10
19/cm
3以上1×10
21/cm
3以下である。また、Si結晶格子に置換された炭素原子濃度は、例えば、0.1%以上、1.5%以下である。この炭素濃度は、領域における最高濃度であり、例えば、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)、電子エネルギー損失分光装置(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)または二次イオン質量分析装置(SIMS)などを用いて測定することができる。
【0069】
また、ゲッタリング用の不純物として、上記の炭素に加え、ホウ素(B)またはホウ素化合物を用いてもよい。ホウ素(B)またはホウ素化合物としては、例えば、デカボラン(B
10H
14)やオクタデカボラン(B
18H
22)のイオン(ボロンクラスターイオン)を用いることができる。これらのイオンの注入後、熱処理を行い、ホウ素元素によるゲッタリングサイトを形成する。ホウ素含有領域は、銅(Cu)などのイオン性の金属ゲッタリング効果が大きい。
【0070】
次いで、
図14〜
図16に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aに、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極(Gt、Glt)を形成する。例えば、半導体基板1Sを熱酸化することにより、p型ウエルPWLの表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXを形成する。ゲート絶縁膜GOXとして、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜などを用いてもよい。また、酸化ハフニウムに酸化ランタンを導入したハフニウム系絶縁膜などのいわゆる高誘電体膜(酸化シリコン膜よりも誘電率の高い膜)を用いてもよい。これらの膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて形成することができる。
【0071】
次いで、ゲート絶縁膜GOX上を含む半導体基板1S上に、導電性膜として、例えば、多結晶シリコン膜をCVD法などを用いて形成する。次いで、導電性膜をパターニングする。具体的には、導電性膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、露光・現像(フォトリソグラフィ)することにより、ゲート電極(Gt、Glt)の形成予定領域にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、このフォトレジスト膜をマスクとして、導電性膜および酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜GOX)をエッチングすることにより、ゲート電極(Gt、Glt)を形成する。次いで、フォトレジスト膜をアッシングなどにより除去する。このようなフォトレジスト膜の形成から除去までの工程をパターニングという。なお、この際、他のトランジスタ(リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMI)のゲート電極(Gr、Gs、Ga)を形成してもよい。
【0072】
次いで、ゲート電極Gltの両側のp型ウエルPWL中に、n型の低濃度半導体領域NMを形成する。例えば、周辺回路領域2Aを開口したフォトレジスト膜(図示せず)およびゲート電極Gltをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、ゲート電極Gltの両側のp型ウエルPWL中に、n型の低濃度半導体領域NMを形成する(
図16)。
【0073】
次いで、
図17〜
図19に示すように、画素領域1Aにおいて、ゲート電極Gltの一方の側(
図17中の左側)のp型ウエルPWL中に、n型ウエルNWLを形成する。例えば、ゲート電極Gtの一方の側を開口したフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、p型ウエルPWLに内包されたn型ウエルNWLを形成する(
図17)。このp型ウエルPWLとn型ウエルNWLによってフォトダイオードが構成される。そして、このn型ウエルNWLの一部は、転送用トランジスタのゲート電極Gtと平面視においてオーバラップするように形成される。このようにn型ウエルNWLの一部と転送用トランジスタのゲート電極Gtとをオーバラップさせることにより、n型ウエルNWLを転送用トランジスタのソース領域としても機能させることができる。
【0074】
次いで、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、n型ウエルNWLの表面領域に、p型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、n型ウエルNWLの表面領域にp
+型半導体領域PRを形成する(
図17)。次いで、アニール処理(加熱処理)を施し、n型ウエルNWLにおいてイオン注入により形成された結晶欠陥を回復させる。このアニール処理は、これまでのプロセスで混入した金属をゲッタリングサイトに集める効果も兼ね備える。
【0075】
次いで、
図20〜
図22に示すように、ゲート電極(Gt、Glt)の側壁に絶縁膜よりなるサイドウォール(側壁絶縁膜、側壁スペーサ)SWを形成し、さらに、ゲート電極GltおよびサイドウォールSWの合成体の両側のp型ウエルPWL中に、n型の高濃度半導体領域NRを形成する。例えば、半導体基板1S上に絶縁膜として酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜をCVD法などを用いて堆積し、この絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などを用いて異方性エッチングする。これにより、ゲート電極(Gt、Glt)の側壁に絶縁膜よりなるサイドウォールSWを残存させることができる。次いで、例えば、周辺回路領域2Aを開口したフォトレジスト膜(図示せず)、ゲート電極GltおよびサイドウォールSWをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、ゲート電極GltおよびサイドウォールSWの合成体の両側のp型ウエルPWL中にn型の高濃度半導体領域NRを形成する(
図22)。次いで、イオン注入に用いたフォトレジスト膜(図示せず)を、アッシングなどにより除去する。これにより、トランジスタLTのソース・ドレイン領域、即ち、n型の低濃度半導体領域NMおよびn型の高濃度半導体領域NRよりなるLDD構造のソース・ドレイン領域を形成することができる。
【0076】
次いで、
図23〜
図25に示すように、画素領域1Aにおいて、キャップ絶縁膜CAPおよび反射防止膜ARFを形成する。例えば、半導体基板1S上に、絶縁膜として酸化シリコン膜をCVD法などにより形成した後、この絶縁膜をパターニングする。これにより、ゲート電極Gtの一方の側のn型ウエルNWLおよびp
+型半導体領域PRの表面領域に酸化シリコン膜からなるキャップ絶縁膜CAPを形成する。酸化シリコン膜に代えて窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0077】
次いで、半導体基板1S上に、反射防止膜ARFとして、例えば、酸窒化シリコン膜をCVD法などにより形成した後、この酸窒化シリコン膜をパターニングする。これにより、ゲート電極Gtの一方の側のキャップ絶縁膜CAP上に反射防止膜ARFを形成する。
【0078】
次いで、
図26〜
図28に示すように、画素領域1Aにおいて、ゲート電極Gtの他方の側(
図26中の右側)のp型ウエルPWL中に、フローティングディフュージョン(n
+型半導体領域)FDを形成する。例えば、ゲート電極Gtの他方の側を開口したフォトレジスト膜(図示せず)およびゲート電極Gtをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、転送用トランジスタTXのゲート電極Gtの他方の側(
図26中の右側)のp型ウエルPWL中に、フローティングディフュージョンFDを形成する(
図26)。なお、この工程を利用して、他のトランジスタ(リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMI)のソース・ドレイン領域(n型の高濃度半導体領域)を形成してもよい。また、この工程を利用して、上記トランジスタLTのソース・ドレイン領域(n型の高濃度半導体領域)を形成してもよい。
【0079】
次いで、周辺回路領域2AのP型MOSFETのソース・ドレイン領域(p型の高濃度半導体領域)を形成してもよい。例えば、周辺回路領域2Aの図示しないP型MOSFETのゲート電極の両側のn型ウエル中にp型の不純物イオンをイオン注入する。このp型の不純物イオンとしては、例えば、ホウ素(B)を用いることができる。この際、活性領域AcG(ゲッタリング領域GET)にホウ素(B)をイオン注入してもよい。
【0080】
次いで、以上の工程で注入した不純物を活性化させるために、活性化アニールを行う。この活性化アニールは、これまでのプロセスで混入した金属をゲッタリングサイトに集める効果も兼ね備える。なお、各不純物の注入の順序は上記工程の順序に制限されるものではない。また、複数の同じ導電型の半導体領域については、一度の工程で同時に不純物を注入することが可能であり、各不純物の注入工程を調整することができる。
【0081】
以上の工程により、半導体基板1Sの画素領域1Aに、フォトダイオード(PD)、転送用トランジスタTXおよび
図11〜
図28の断面図に表れない他のトランジスタ(リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMI)が形成される。また、半導体基板1Sの周辺回路領域2Aに、トランジスタLTが形成される(
図3、
図6参照)。
【0082】
次いで、
図29〜
図31に示すように、シリサイドブロッキング膜SBFを形成した後、金属膜MFを形成する。例えば、半導体基板1S上に、絶縁膜として、酸化シリコン膜をCVD法などにより形成し、酸化シリコン膜をパターニングすることにより、フローティングディフュージョンFD上に開口を有し、反射防止膜ARFおよびゲート電極Gt上を覆うシリサイドブロッキング膜SBFを形成する。なお、この他、シリサイド膜SILの形成が不要な領域には、シリサイドブロッキング膜(酸化シリコン膜)SBFを残存させる。
【0083】
次いで、半導体基板1S上に、金属膜MFとして例えばニッケル(Ni)膜をスパッタリング法などを用いて形成する。ニッケル膜の他、チタン(Ti)膜、コバルト(Co)膜、またはプラチナ(Pt)膜などの金属およびこれらの合金膜を用いてもよい。次いで、半導体基板1Sに対して熱処理を施すことにより、金属膜MFと半導体基板1S(フローティングディフュージョンFD、ゲッタリング領域GET、n
+型半導体領域NR)を構成するシリコンとを反応させて、シリサイド膜(ここでは、ニッケルシリサイド膜)SILを形成する。また、金属膜MFとゲート電極Gltを構成するシリコンとを反応させて、シリサイド膜SILを形成する。次いで、未反応の金属膜MFを除去する。このようにして、画素領域1AのフローティングディフュージョンFDおよびゲッタリング領域GET上に、シリサイド膜(金属シリサイド膜)SILを形成し、周辺回路領域2Aのn
+型半導体領域NRおよびゲート電極Glt上に、シリサイド膜SILを形成する(
図32〜
図34)。なお、この際、断面図に表れない他のトランジスタ(リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMI)のゲート電極(Gr、Gs、Ga)およびソース・ドレイン領域(n
+型半導体領域)上にもシリサイド膜が形成される。このシリサイド膜SILにより各領域とコンタクト部との接続抵抗を小さくすることができる。また、金属シリサイドの形成の際、金属膜MFによる金属汚染が懸念されるが、本実施の形態においては、ゲッタリング領域GETにより汚染金属を低減することができる。
【0084】
次いで、
図35〜
図37に示すように、層間絶縁膜IL1およびコンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2等)を形成する。例えば、半導体基板1S上に、TEOS(tetra ethyl ortho silicate)ガスを原料ガスとしたCVD法により酸化シリコン膜を堆積する。この後、必要に応じて、層間絶縁膜IL1の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて平坦化する。
【0085】
次いで、層間絶縁膜IL1をパターニングすることにより、フローティングディフュージョンFD、n
+型半導体領域NRおよびゲッタリング領域GET(シリサイド膜SIL)上にコンタクトホールを形成する。この際、転送用トランジスタTXのゲート電極Gt上にもコンタクトホールが形成される。また、この際、断面図に表れない他のトランジスタ(リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMI)のゲート電極(Gr、Gs、Ga)およびソース・ドレイン領域(シリサイド膜)上にもコンタクトホールが形成される(
図3参照)。
【0086】
次いで、コンタクトホールの内部に導電性膜を埋め込むことによりコンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2等)を形成する。例えば、コンタクトホールの内部を含む層間絶縁膜IL1上に、バリア膜として、チタン膜および窒化チタン膜の積層膜をスパッタリング法などで堆積する。このバリア膜は、後述する主導電性膜(ここでは、タングステン)が、半導体基板1S中の各構成部位へ拡散するのを低減する機能を有する。
【0087】
次いで、バリア膜上に、主導電性膜として、タングステン(W)膜を、コンタクトホールを埋め込む程度の膜厚で、CVD法などを用いて堆積する。次いで、層間絶縁膜IL1上の不要なバリア膜および主導電性膜をCMP法などを用いて除去する。これにより、コンタクトホールの内部に、バリア膜および主導電性膜よりなるコンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2等)が形成される。
【0088】
次いで、
図38〜
図40に示すように、コンタクト部(Pfd、Pg、Pt1、Pt2等)の上方の層間絶縁膜(IL2〜IL4)および配線(M1〜M3)を形成する。例えば、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2として窒化シリコン膜とその上部の酸化シリコン膜との積層膜をCVD法などで形成する。次いで、これらの積層膜をパターニングすることにより、配線溝を形成する。次いで、配線溝の内部を含む層間絶縁膜IL2上に、バリア膜としてタンタル(Ta)膜とその上部の窒化タンタル(TaN)膜との積層膜をスパッタリング法などで堆積する。次いで、バリア膜上にシード膜(図示せず)として薄い銅膜をスパッタリング法などで堆積し、電解メッキ法によりシード膜上に銅膜を堆積する。
【0089】
次いで、層間絶縁膜IL2上の不要なバリア膜、シード膜および銅膜をCMP法などにより除去する。このように、配線溝の内部にバリア膜、シード膜および銅膜を埋め込むことにより第1層配線M1を形成することができる(シングルダマシン法)。
【0090】
次いで、層間絶縁膜IL3中にコンタクト部(図示せず)および第2層配線M2を形成し、層間絶縁膜IL4中にコンタクト部(図示せず)および第3層配線M3を形成する。例えば、層間絶縁膜IL3中に、コンタクトホールおよび配線溝を形成し、これらの内部にバリア膜、シード膜および銅膜を埋め込むことにより、コンタクト部(図示せず)および第2層配線M2を同時に形成する(デュアルダマシン法)。また、層間絶縁膜IL4中のコンタクト部(図示せず)および第3層配線M3も同様に形成することができる。この第3層配線M3の上部にさらに配線を形成してもよい。
【0091】
なお、上記工程においては、配線溝に銅膜などの導電性膜を埋め込むこと(ダマシン法)により配線を形成したが、パターニングにより配線を形成してもよい。例えば、層間絶縁膜IL1上に、アルミニウム膜などよりなる導電性膜をスパッタリング法などで堆積した後、この導電性膜をパターニングすることにより第1層配線M1を形成してもよい。第2層配線M2および第3層配線M3も同様に導電性膜のパターニングにより形成してもよい。
【0092】
次いで、最上層の層間絶縁膜IL4上に、フォトダイオード(n型ウエルNWL)と平面視において重なるようにマイクロレンズ(オンチップレンズ)MLを取り付ける(
図38)。なお、マイクロレンズMLと層間絶縁膜IL4との間にカラーフィルタを設けてもよい。
【0093】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。
【0094】
なお、上記工程においては、シリサイド膜(金属シリサイド膜)SILを形成したが、シリサイド膜を省略してもよい。
図41〜
図43は、本実施の形態の半導体装置の他の構成を示す断面図である。
図41は、
図3のA−A断面に対応し、
図42は、
図3のB−B断面に対応する。
図43は、
図6のC−C断面に対応する。
【0095】
図41〜
図43に示すように、シリサイド膜SILを省略してもよい。この場合、画素領域1AのフローティングディフュージョンFDおよびゲッタリング領域GET上に、直接コンタクト部(Pfd、Pg)が配置される構成となる(
図41、
図42)。また、周辺回路領域2Aのn
+型半導体領域NR上に、直接コンタクト部(Pt1、Pt2)が配置される構成となる(
図43)。
【0096】
このように、本実施の形態においては、活性領域AcGの表面部にゲッタリング領域GETを設けたので、汚染金属(例えば、W、Mo、Fe、Co、Ni等)を捕獲することができる。よって、汚染金属に起因する暗電流や暗時白点を低減することができ、撮像特性を向上させることができる。
【0097】
特に、活性領域AcGの表面部にゲッタリング領域GETを設けることで、低温プロセスにおいても効果的に汚染金属を除去することができる。例えば、前述のBMD技術などを用い、深さ10μm以上の深い位置にゲッタリング層を設けた場合には、低温プロセスにおいては、汚染金属がゲッタリング層まで拡散せず、暗電流や暗時白点の要因となってしまう。また、前述のBMD技術を用いた場合にはコスト面においても不利である。
【0098】
特に、画素数の増加および画像の高精細化に伴い、周辺回路領域2Aの論理回路(ロジック)における演算の高速化の要求は大きくなる一方である。そのためには、周辺回路領域2Aの論理回路(ロジック)の微細化を図る必要があり、例えば、ゲート長やソース・ドレイン領域の微細化が必要となる。このような微細な素子の形成のためには、高温プロセスでの対応は不可能であり、低温プロセス(低サーマルバジェットプロセス)が必須となってくる。このようなプロセス温度の低温度化が進むと、上記BMD技術のような比較的深い位置でのゲッタリングの効果は益々希薄なものとなる。
【0099】
これに対し、本実施の形態においては、活性領域AcGの表面部にゲッタリング領域GETを設けたので、低温プロセスにおいても効果的に汚染金属を除去することができる。
【0100】
さらに、本実施の形態においては、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)を利用して、ゲッタリング領域GETを設けたので、ゲッタリング用の領域を増やすことなく、撮像特性を向上させることができる。言い換えれば、画素の小面積化を図ることができる。また、画素の高密度化を図ることができる。
【0101】
そもそも、接地電位GNDを印加するp型ウエルPWLは、画素アレイの下部において、素子分離領域LCSの下部を介して繋がっている。よって、画素アレイの周囲において接地電位GNDを印加するための給電領域を設けることも可能である。しかしながら、ウエルと基板間との容量が、ウエル電位の変化により振動パルス(ノイズ)となり、出力信号に悪影響を与える。特に、画素アレイの場所によってウエルと基板間との容量が異なる場合には、撮像特性のばらつきが生じる。よって、画素アレイの内部において、接地電位GNDを印加する給電領域(活性領域AcG)を設け、ウエル電位の変動や場所によるばらつきを小さくすることが好ましい。また、ゲッタリング領域GETは、充分な導電性を有するため、接地電位GNDの印加を阻害することはない。このように、本実施の形態において、活性領域AcGは、接地電位GNDを印加する給電領域とゲッタリング領域GETを兼ね備えるものである。
【0102】
また、本実施の形態においては、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)にゲッタリング領域GETを設けたので、効果的に暗電流や暗時白点を低減することができる。
図44は、汚染金属による電子の様子を模式的に示す断面図である。
図44(A)に示すように、ゲッタリング領域GETを設けない場合においては、p型ウエルPWL中の汚染金属から生じた電子(e)が、フォトダイオード(PD)を構成するn型ウエルNWLに取り込まれ、暗電流となる。これに対し、
図44(B)に示すように、本実施の形態のように、ゲッタリング領域GETを設けた場合には、このゲッタリング領域GETにより汚染金属が引き寄せられる。さらに、この汚染金属から電子(e)が生じても、接地電位GNDに接続されているコンタクト部Pgを介して電子(e)を逃がすことができる。このように、暗電流の元となる電子(e)を容易に排除することができる。
【0103】
また、本実施の形態においては、給電領域(活性領域AcG、ゲッタリング領域GET)を平面視において、LOCOS法やSTI法を用いた素子分離領域で囲むことにより、微細化に容易に対応することができる。例えば、前述の特許文献1に記載のように、PN接合分離を利用してゲッタリング層を他の部位と分離することも可能である。しかしながら、PN接合分離を微細化する場合、耐圧が劣化する恐れがある。また、PN接合分離は、各領域をポテンシャルの差を利用して分離が行われているにすぎないため、捕獲された金属による準位を介して電子(またはホール)がフォトダイオードPDに流れ込みやすくなる。このような金属による準位の影響を低減するためには、高い電圧を印加し、ポテンシャルを高く設定する必要がある。このため、低電力化に対応し難い。
【0104】
これに対し、本実施の形態のLOCOS法やSTI法を用いた素子分離によれば、微細化や低電力化に容易に対応することができる。また、電気的特性に関しても捕獲された金属による電子(またはホール)のフォトダイオードPDへの流れ込みを効果的に低減することができる。よって、汚染金属に起因する暗電流や暗時白点を低減することができ、撮像特性を向上させることができる。
【0105】
また、本実施の形態においては、ゲッタリング領域GET上にはシリサイド膜SILが形成されている。言い換えれば、ゲッタリング領域GETはシリサイド膜SILの下面に接するように設けられている。また、このシリサイド膜SILの上面に接するようにコンタクト部Pgが設けられている。
【0106】
このように、Si(シリコン)よりも仕事関数の小さい金属シリサイドをゲッタリング領域GET上に形成することにより、汚染金属からの電子(e)がよりコンタクト部Pgに流れ込みやすくなる。
図45は、シリサイド膜を設けた場合の汚染金属による電子の様子を模式的に示す断面図である。また、
図46は、ゲッタリング領域および金属シリサイドの近傍におけるポテンシャルを示すバンド図である。
【0107】
図46に示すように、捕獲された金属が禁制帯に準位を形成すると、電子(e)の発生源となる。これにより電子(e)が生じても、電子(e)は、仕事関数のより小さい金属シリサイドに流れ込む。このように、金属シリサイドによりコンタクト部Pgを介して効果的に電子(e)を逃がすことができる(
図45)。その結果、暗電流の元となる電子を容易に排除することができる。
【0108】
また、フローティングディフュージョンFDのシリサイド膜SILの下部にはゲッタリング領域GETを形成しない構成とすことで、フローティングディフュージョンFD部における汚染金属による電子(e)の取り込みを低減することができる。例えば、フローティングディフュージョンFDのシリサイド膜SILの下部にゲッタリング領域GETを形成した場合、禁制帯に準位を形成した金属からの電子(e)が、フローティングディフュージョンFDに流れ込み暗電流が生じてしまう。
【0109】
このように、フローティングディフュージョンFDのシリサイド膜SILの下部にはゲッタリング領域GETを形成しない構成とするとともに、ゲッタリング領域GET上にはシリサイド膜SILを形成することにより、効果的に汚染金属からの電子(e)を排除すことができる。
【0110】
次いで、イメージセンサの概略構成およびカラーフィルタを説明する。
図47は、イメージセンサの光電変換の様子を示す模式図である。
図47に示すように、イメージセンサ(チップ領域CH)は、レンズLの結像位置に配置される。被写体から発せられた光はレンズLに入射し結像する。レンズLによって結像された画像がイメージセンサに照射される。
【0111】
イメージセンサにおいては、前述したように入射光を電気信号に変換し、この電気信号を信号処理することにより画像が生成される。信号処理は、例えば、周辺回路領域2Aに形成された信号演算用の論理回路(ロジック)などを用いて行われる。
【0112】
また、イメージセンサは、前述したように、マイクロレンズMLおよびフォトダイオードPDを有している(
図38参照)。
【0113】
マイクロレンズMLは、受光面での入射光を収束させてフォトダイオードPDに照射する。これにより、フォトダイオードPD間の隙間(例えば、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMIなどの形成領域、
図3、
図4参照)に対応する入射光を含む広範囲の入射光をフォトダイオードPDに照射でき、効率よく光電変換を行うことができる。
【0114】
また、フォトダイオードPDは、光の明暗を区別できるが、色を識別する機能を有さないので、カラー画像を生成するためには、カラーフィルタCFを用いる必要がある。カラーフィルタCFは、RGB(Red、Green、Blue)のいわゆる“光の3原色”を用いた原色フィルタを有する。このような原色フィルタをフォトダイオードPDの前に置くことにより、それぞれの色に対応したフォトダイオードPDとすることができる。例えば、「赤」のカラーフィルタCFを前面に置かれたフォトダイオードPDは赤色用の光量を検知するものとなり、「緑」のカラーフィルタCFを前面に置かれたフォトダイオードPDは緑色用の光量を検知するものとなる。さらに、「青」のカラーフィルタCFを前面に置かれたフォトダイオードPDは青色用の光量を検知するものとなる。
【0115】
そして、各色に対応したフォトダイオードPDの光量に応じて、「光の3原色による加色混合」により様々な色を生成することができる。なお、カラーフィルタCFとして、RGBの原色フィルタの他に、補色フィルタを用いる場合がある。補色フィルタは、例えば、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)にグリーン(G)を加えた4種類の色で構成されている。
【0116】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、1つの画素PUに、1つのゲッタリング領域GETを設けたが、複数の画素毎に、ゲッタリング領域GETを設けてもよい。
図48は、1つの画素に1つのゲッタリング領域を設けた実施の形態1の構成を模式的に示す平面図である。
図49および
図50は、複数の画素に1つのゲッタリング領域を設けた実施の形態2の構成を示す平面図である。
図51は、複数の画素に1つのゲッタリング領域を設けた実施の形態2の他の構成を模式的に示す平面図である。
【0117】
まず、
図48に示すように、実施の形態1においては、1つの画素PUに、1つのゲッタリング領域GET(活性領域AcG)を設けた(
図3、
図7等参照)。このゲッタリング領域GET上のコンタクト部を接続するように接地電位線LGNDが配置されている。なお、実施の形態1においては、画素PU毎に設けられた活性領域(給電領域)AcGのすべてに、ゲッタリング領域GETを設けたが、画素PU毎に設けられた活性領域(給電領域)AcGの一部に、ゲッタリング領域GETを設けてもよい。
【0118】
これに対し、本実施の形態においては、複数の画素毎に、ゲッタリング領域GETを設ける(
図49、
図50)。
【0119】
図49においては、2×2の4つの画素毎にゲッタリング領域GET(活性領域AcG)を設けている。ここでは、ゲッタリング領域GETを4つの画素PUの中心に配置している。言い換えれば、4つの画素でゲッタリング領域GETを共用している。具体的には、
図50に示す2×2の4つの画素領域の略中心部にゲッタリング領域GET(活性領域AcG)を配置することができる。
【0120】
例えば、
図47に示したように、光の3原色であるRGBのうち、Gを2つとし、RGGBの4つを1つのグループ(ピクセルユニット)として繰り返して配置することがある。このような場合に、4つの画素でゲッタリング領域GETを共用することで、レイアウト設計が容易となる。また、画素の小面積化や画素の高密度化を図ることができる。また、1画素の領域におけるフォトダイオードPDの形成領域を大きく確保することができ、受光感度を向上させることができる。また、1画素の領域における配線の引き回し領域を大きくすることができる。これにより、配線間隔を大きく確保することができ、配線間の容量の低減やショートなどの不具合を防止することができる。
【0121】
なお、上記4つの画素(ピクセルユニット)で、ゲッタリング領域GETのみならず、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIを共用してもよい。
【0122】
図51においては、M×N(M行N列、X方向にM個で、Y方向にN個)の画素PUが配置された画素領域(画素アレイ)1Aにおいて、m×nの画素PU毎にゲッタリング領域GET(活性領域AcG)を設けている。なお、M、N、mおよびnは自然数である。この場合も、m×nの画素の領域の略中心部にゲッタリング領域GETを設けることができる。このように、ある繰り返し単位毎にゲッタリング領域GETを設けることでレイアウト設計が容易となる。また、画素の小面積化や画素の高密度化を図ることができる。また、1画素の領域におけるフォトダイオードPDの形成領域を大きく確保することができ、受光感度を向上させることができる。また、1画素の領域における配線の引き回し領域を大きくすることができる。これにより、配線間隔を大きく確保することができ、配線間の容量の低減やショートなどの不具合を防止することができる。
【0123】
次いで、m×nの画素の領域の好適値について説明する。
図52は、デザインルールに対する熱処理の負荷(熱処理最高温度×時間)を示すグラフである。
図53は、例えば、Ni原子のような、拡散係数が大きい場合の熱処理時間に対するゲッタリング領域に捕獲可能な距離との関係を示すグラフである。
図54は、汚染金属を捕獲可能な領域を示す模式的な平面図である。
【0124】
図52に示すように、デザインルール[μm]、即ち、周辺回路領域2Aで許容される最小のライン幅またはスペース幅(例えば、トランジスタLTのゲート長)が、小さくなるにしたがって、熱処理負荷(
図52においては、任意単位である[a.u.]として縦軸に示している)は小さくなる。これは、前述したように、微細なトランジスタを形成するためには、ゲート長のみならず、ソース・ドレイン領域などの拡散領域も微細に形成する必要があるためである。
【0125】
一方、
図53に示すように、熱処理温度が低いほど、または熱処理(アニール)時間[s]が短くなるほど、ゲッタリング領域に捕獲できる金属の距離[μm]は小さくなる。
【0126】
ここで、
図54に示すように、汚染金属(Metal)を捕獲可能な領域をゲッタリングの中心から距離rとすると、r(拡散距離)×r×3.14のゲッタリング有効面積毎にゲッタリング領域GETを設けることが好ましい。
【0127】
例えば、BMD技術、即ち、半導体基板1Sの内部のゲッタリング領域は、深さ7〜10μm程度の位置に形成される。また、ポリバックシール技術、即ち、半導体基板1Sの裏面のゲッタリング領域は、深さ725μm程度の位置に形成される。
【0128】
よって、例えば、rを10μm以下に設定することで、上記ゲッタリング領域(BMD技術、ポリバックシール技術)と比較し、より効果的にゲッタリング効果を奏することができる。言い換えれば、上記ゲッタリング領域(BMD技術、ポリバックシール技術)で捕獲し得ない汚染金属を本実施の形態のゲッタリング領域GETで捕獲することが可能となる。
【0129】
例えば、1画素PUの領域を、5μm×5μmとした場合には、ゲッタリング有効面積(7μm×7μm×3.14、10μm×10μm×3.14)から10〜13個の画素毎に1個のゲッタリング領域GETを形成すれば、上記ゲッタリング領域(BMD技術、ポリバックシール技術)より効果的にゲッタリング効果を奏することができる。また、1画素PUの領域を、3μm×3μmとした場合には、ゲッタリング有効面積(7μm×7μm×3.14、10μm×10μm×3.14)から17〜35個の画素毎に1個のゲッタリング領域GETを形成すれば、上記ゲッタリング領域(BMD技術、ポリバックシール技術)より効果的にゲッタリング効果を奏することができる。
【0130】
また、Ni(ニッケル)原子より重い原子による金属汚染が懸念される場合には、拡散係数がより小さくなるため、ゲッタリング領域GETの形成割合を多くすることで、より効果的にゲッタリング効果を奏することができる。
【0131】
(実施の形態3)
実施の形態1においては、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)を利用して、ゲッタリング領域GETを設けたが、ゲッタリング領域GETを給電領域(活性領域AcG)とは個別に設けてもよい。
【0132】
図55は、本実施の形態の半導体装置の画素を示す平面図である。
図55に示すように、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)とは別に、活性領域AcGETを設け、その表面部にゲッタリング領域GETが配置されている。なお、他の構成は、
図3を参照しながら説明した実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0133】
また、本実施の形態においては、給電領域(活性領域AcG)とは別に、ゲッタリング領域GET用の活性領域AcGETを設けているため、活性領域AcGETを接地電位GNDと接続する必要は無い。但し、
図44(B)および
図45を参照しながら説明したように、汚染金属からの電子を、接地電位GNDに接続されているコンタクト部を介して効率的に排除することができるため、活性領域AcGET上にコンタクト部Pgetを配置し、接地電位線(LGND)と接続することが好ましい。
【0134】
ここで、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)と活性領域AcGETの表面部のゲッタリング領域GETとの構成について説明する。給電領域(活性領域AcG)は、画素アレイの下部において、素子分離領域LCSの下部を介して繋がっているp型ウエルPWLの露出領域である。よって、給電領域(活性領域AcG)は、ボロン(B)などのp型不純物の注入領域である。これに対し、ゲッタリング領域GETは、実施の形態1で説明したように、炭素(C)やホウ素(B)などのゲッタリング用の不純物を打ち込んだ領域である。このような不純物の打ち込みにより、領域内に結晶欠陥(例えば、転位)や歪みなどが生じ、この結晶欠陥や歪みなど(ゲッタリングサイト)に、汚染金属を捕捉させて固着させることができる。このように、ゲッタリング領域とは、ゲッタリングサイトを有する領域であり、ゲッタリング領域GETは、通常の給電領域(活性領域AcG)より結晶欠陥や歪みなど(ゲッタリングサイト)が多い領域であると言える。
【0135】
(実施の形態4)
実施の形態1では、半導体基板1Sの表面側(ゲート電極Gtの形成面側)から光を入射する表面照射型のイメージセンサを用いたが、半導体基板の裏面側から光を入射する裏面照射型のイメージセンサを用いてもよい。
【0136】
図56は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図56は、例えば、
図3のA−A断面図と対応し、
図38に示す実施の形態1におけるデバイス構造とほぼ同様の構成である。
【0137】
図56において、半導体基板1Sにフォトダイオード(p型ウエルPWLおよびn型ウエルNWL、PD)と転送用トランジスタTXが形成され、かつ、半導体基板1Sの表面側(
図56の下側)に層間絶縁膜(IL1〜IL4)および配線層(M1〜M3)が形成されている点は、実施の形態1(
図38)と同様である。
【0138】
ここで、本実施の形態では、層間絶縁膜IL4の下層に、密着膜OXFが形成されており、この密着膜OXFの下層に支持基板2Sが配置されている。
【0139】
また、本実施の形態では、半導体基板1Sの厚さが、実施の形態1に比べて薄くなっている。なお、半導体基板1Sの裏面部(
図56の上側)をp
+型半導体領域としてもよい。また、図示は省略するが、半導体基板1Sの裏面上には、反射防止膜やカラーフィルタを介してマイクロレンズが搭載される。
【0140】
この場合、半導体基板1Sの裏面側から入射した光が、マイクロレンズおよびカラーフィルタ等を介して半導体基板1S中のフォトダイオード(PD)に照射される。
【0141】
また、裏面照射型のイメージセンサにおいては、表面照射型のイメージセンサと比較し、入射光を効率よくフォトダイオードに到達させることができ、撮像特性を向上させることができる。
【0142】
このような、裏面照射型のイメージセンサにおいても、
図3に示すように、1つの画素PU中の給電領域(活性領域AcG)にゲッタリング領域GETを設けることができる。また、複数の画素毎にゲッタリング領域GETを設けることができる。
【0143】
これにより、実施の形態1の場合と同様に、低温プロセスにおいても効果的に汚染金属を除去することができ、さらに、ゲッタリング用の領域を増やすことなく、撮像特性を向上させることができる。また、接地電位GNDを印加するための給電領域(活性領域AcG)を利用してゲッタリング領域GETを設けることにより、効果的に暗電流や暗時白点を低減することができる。
【0144】
(実施の形態5)
実施の形態1においては、活性領域AcGの表面部にゲッタリング領域GETを設けた(
図9等参照)が、このような半導体基板1Sの表面部のゲッタリング領域GETに加え、半導体基板1Sの内部(素子形成層の下部)のゲッタリング領域(BMD技術)GET1または半導体基板1Sの裏面のゲッタリング領域(ポリバックシール技術)GET2を併用してもよい。
【0145】
例えば、半導体基板1Sの内部のゲッタリング領域GET1は、次のように形成する。まず、シリコン基板の表面部に炭素(C)をドープすることによりゲッタリング領域GET1を形成する。次いで、このゲッタリング領域GET1上に素子形成用のエピタキシャル層を形成する。このエピタキシャル層に、実施の形態1等で説明した半導体装置(CMOSイメージセンサ)を形成する。これにより、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETおよび素子形成用のエピタキシャル層の下部のゲッタリング領域GET1を有する半導体装置を形成することができる。
【0146】
また、半導体基板1Sの裏面にゲッタリング領域GET2としてポリシリコンをあらかじめ形成しておき、この半導体基板1S上に実施の形態1等で説明した半導体装置(CMOSイメージセンサ)を形成する。これにより、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETおよび半導体基板1Sの裏面のゲッタリング領域GET2を有する半導体装置を形成することができる。
【0147】
但し、上記ゲッタリング領域GET1、GET2は、半導体基板1Sの裏面研磨工程により除去され得る。これに対し、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETは、残存することとなるが、実施の形態1等で詳細に説明したように、ゲッタリング領域GETが残存しても問題はなく、ゲッタリング領域GETに接地電位GNDを印加することで、ゲッタリングの効果を向上させることができる。
【0148】
特に、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETと上記ゲッタリング領域GET1、GET2とを併用することで、低温プロセス化が進み汚染金属の拡散距離が小さくなった場合でも、素子形成部から比較的深い位置にあるゲッタリング領域GET1、GET2で捕獲し損なった汚染金属を、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETにより捕獲することができる。例えば、ゲッタリング領域GET1は、素子形成部の表面から7〜10μm程度の位置にあり、また、ゲッタリング領域GET2は、素子形成部の表面から725μm程度の位置にある。特に、相対的に浅い位置に形成されるゲッタリング領域GET1においても、その上部に素子形成用のエピタキシャル層を形成する必要があるため、より浅い位置にゲッタリング領域GET1を形成することは困難である。これに対し、活性領域AcGの表面部のゲッタリング領域GETは、微細化による低温プロセスに対応し易く、他のゲッタリング領域GET1、GET2と比較し、その効果が大きいものである。
【0149】
以上のように、半導体基板1Sの表面部のゲッタリング領域GETに加え、半導体基板1Sの内部(素子形成層の下部)のゲッタリング領域GET1または半導体基板1Sの裏面のゲッタリング領域GET2を併用してもよい。
【0150】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0151】
また、上記実施の形態は、以下の[付記]のようにも記載され得るが、本発明の範囲は、以下の付記に限定されるものではない。
[付記]
[付記1]
M個×N個(但し、M、Nは、自然数)の画素をアレイ状に複数有する画素アレイを有し、
前記画素は、
光を受光して電荷を生成するフォトダイオードと、前記フォトダイオードで生成された前記電荷を転送する転送用トランジスタのゲート電極と、を有し、
前記フォトダイオードおよび前記ゲート電極は、第1活性領域に配置され、
前記第1活性領域とは異なる領域に形成され、ゲッタリング領域が配置される第2活性領域を更に有し、
前記第2活性領域は、m個×n個(但し、m、nは自然数)の画素領域毎に配置される半導体装置。
[付記2]
前記第2活性領域上に、接地電位が印加されるコンタクト部が配置されている付記1記載の半導体装置。
[付記3]
前記第1活性領域と前記第2活性領域は、平面視において、それぞれ絶縁部材からなる素子分離領域で囲われて配置されている付記2記載の半導体装置。
[付記4]
前記第2活性領域に設けられるシリサイド層を更に有し、
前記ゲッタリング領域は、前記シリサイド層の下面に接するように設けられ、
前記コンタクト部は、前記シリサイド層の上面に接するように設けられている付記3記載の半導体装置。
[付記5]
前記フォトダイオードは、第1半導体領域中に配置された第2半導体領域を有し、
前記第1半導体領域は、前記第2活性領域まで延在し、
前記接地電位は、前記コンタクト部を介して前記第1半導体領域に印加されている付記3記載の半導体装置。
[付記6]
前記転送トランジスタは、nチャンネル型のトランジスタである付記5記載の半導体装置。
[付記7]
前記素子分離領域は、LOCOSまたはSTIである付記5記載の半導体装置。