【実施例1】
【0018】
以下、本発明の第1の実施例について説明する。
図1は、本発明の電子部品装着装置の一実施例の構成を示す平面図である。本電子部品装着装置1は、左側の上下に2ブロックLU,LD、右側の上下2ブロックRU,RDの計4ブロックと制御装置80とを有している。なお、本図面では、基本的に、LUブロックのみに、符号を記す。
それぞれのブロックには、フィーダが多数搭載されたフィーダカートがセットされている部品供給エリア13、装着ヘッド6、装着ヘッド6を移動させる装着ヘッド体11、吸着ヘッド6における電子部品の吸着保持状態を撮像する部品認識カメラ19が設けられている。装着ヘッド体11は、リニアモータで構成する左右移動用レール18上を左右に移動し、左右移動用レール18と同様にリニアモータで構成する上下移動用レール16を上下に移動する。
【0019】
このような構成によって、装着ヘッド体11に固定された装着ヘッド6の吸着ノズルが部品供給エリア13から電子部品を吸着し、部品認識カメラ19で電子部品の吸着保持状態を監視して、基板Pの所定の位置まで移動し、吸着した電子部品を基板Pに装着する。
【0020】
このような動作が4つのブロックで行なわれる。そのために中央には、基板Pを搬送する4つのシュート5a〜5dがあり、上側2本のシュート5c、5dが上側ブロック用の基板搬送ラインUを、下側2本のシュート5a、5bが下側ブロック用の基板搬送ラインDを構成する。基板Pは、受渡部7により振分けられ基板搬送ラインU又はDに搬入される。
【0021】
図2は、
図1の電子部品装着装置1の部品供給エリア13にセットされるフィーダカート50の一実施例の斜視図である。
図2に示すフィーダカート50は、大別してベース部51、後述の
図4に示すフィーダを固定するフィーダ固定部52、ハンドル部53、部品供給リール70(
図8A〜
図8C参照)を格納している部品供給リール格納部54から構成されている。
ベース部51には、移動用車輪(図示せず)を固定する車輪固定部51aが四隅に4箇所あり、また、フィーダカート50が電子部品装着装置1の本体に固定された時にフィーダカート50を床面に固定するロックピン51bを有する。フィーダ固定部52は、フィーダカート50の上部にあり、フィーダ固定部ガイド52cにフィーダ2のカセット固定部35を案内させてフィーダ2をフィーダベース52aに載置し、フィーダ信号コネクタ52dにフィーダ2のインタフェース部36を接続する。前記フィーダ固定部コネクタ52cはフィーダベース52aに規則正しく配列され、多数のフィーダが搭載できるようになっている。各フィーダには供給リール格納部54から電子部品4を搭載した供給テープ60が各フィーダ2に供給される。
【0022】
また、フィーダベース52aの両端は、本体1にフィーダカートを挿入する際に、本体1に設けられたカートガイド板(図示せず)を摺動する役目を果たすフィーダガイド52eがある。さらに、フィーダガイド52eには、フィーダカート50を本体1に固定する位置決め孔52bがある。最後に、フィーダカート50を移動操作できるようにハンドル部53があり、オペレータは、ハンドル部53の取手53aにより本体1の方向であるY方向に移動させてフィーダカート50を本体に挿入する。この時、ハンドル部53の側板53bの先端53cはフィーダカート50をこれ以上挿入できないようにするストッパの役目を果たす。
【0023】
図3は、本実施形態に使用する一般的な供給テープの構成例を示す図である。
構成において、供給テープ60は、電子部品4を収容するポケット63を有するキャリアテープ62とキャリアテープをカバーするカバーテープ61とを有し、キャリアテープ62にはその一端側に後述するスプロケット(
図4参照)と係合し供給テープ60を移動させる略円形のスプロケット孔(テープ送り穴)64を一定間隔(一定ピッチ)毎に有する。
【0024】
図4は、本発明のフィーダの一実施例の構成を示す図である。フィーダカート50(
図2参照)は、複数のフィーダ2を搭載する。なお、
図4のフィーダ2は、供給テープ60を図示していない。さらに、
図4のフィーダ2において、画面左側が下流方向(順方向:矢印Aの方向)であり、画面右側が上流方向(逆方向:矢印Bの方向)である。なお、供給カセット制御部37は、図示しない制御線でフィーダ2の必要な機器(例えば、テープ挿入検出センサ31、スプロケット駆動モータ33、テープ押込み検出センサ45、スプロケット駆動モータ47等)と接続している。
【0025】
図4のフィーダ2は、挿入口Cから挿入された供給テープ60を押えるテープ押えプレート38、装着ヘッド6の吸着ノズルが電子部品を吸着するための取出口44、及びフィーダ2を部品供給カート50に固定するカセット固定部35を備える。テープ押えプレート38は、ローディング時に、供給テープ60をテープシュート2S(
図5Aまたは
図6Aを参照)上で歯32hからスプロケット孔64が外れないように上から押えるもので、テープシュート2から着脱可能な構成である。フィーダ2は、このテープ押えプレート38の下方に、フィーダ2に供給テープ60の先端部60aをインサートするための第3スプロケット32を設けている。この第3スプロケット32が供給テープ60を下流方向に移動するように回転することによって、供給テープ60のスプロケット孔64と嵌合した第3スプロケット32の歯32hが順方向(A方向)に回転移動する。これによって、供給テープ60は順方向に移動し、第2スプロケット43に到達することができる。なお、第1乃至第3スプロケットが供給テープ60を下流方向に移動するように回転することを、以降、順回転と称する。また、供給テープ60を上流方向に移動するように回転することを、以降、逆回転と称する。また、
図4の実施例において、3つのスプロケットは、フィーダ2の挿入口Cから、第3スプロケット32、第2スプロケット43、および第1スプロケット41の順に設置されている。
なお、スプロケット孔64と嵌合した歯32hを、以降では、特に歯32h0と称する。同様に、スプロケット孔64と嵌合した歯43hを、以降では、特に歯43h0と称する。また、
図4のフィーダ2は、テープシュート2Sを水平に設けているため、供給テープ60のスプロケット孔64と嵌合する歯32h0及び43h0は、それぞれのスプロケットの回転中心を通る垂直線上にある歯である(
図5B、
図7A、
図6B及び
図7B参照)。
そして、この第3スプロケット32が供給テープ60を下流方向に移動するように回転することによって、供給テープ60のスプロケット孔64と嵌合した第3スプロケット32の歯32hが順方向(A方向)に回転移動する。これによって、供給テープ60は順方向に移動し、第2スプロケット43に到達することによって、到達した供給テープの先端部60aのスプロケット孔64と第2スプロケット43の歯43hが嵌合する。そして、第2スプロケット43の回転によって、供給テープ60は順方向に移動し、第1スプロケット41に到達することができる。
従って、フィーダ2の第1スプロケット41は、押切りではなく、下流方向から引っ張って、供給テープ60のカバーテープ61をラッセル処理する。
【0026】
また、フィーダ2は、第3スプロケット32を駆動するスプロケット駆動モータ33、第1スプロケット41及び第2スプロケット43を駆動するスプロケット駆動モータ47を備える。また、供給カセット制御部37は、図示しない信号授受ケーブルを介して本体1との信号の授受をするインタフェース36及び本体1からの情報やフィーダ2に内在する後述するセンサからの信号を受け各部を制御し、本体1との信号授受を行なう。第1スプロケット41及び第2スプロケット43は、それぞれに同心円状に設けたウォームホイール(歯41H及び43H)と噛み合うウォームギヤ46を介して各スプロケットを同時に同期して駆動するスプロケット駆動モータ47を有する。同様に、スプロケット32は、同心円状に設けたウォームホイール(歯32H)と噛み合うウォームギヤ34を介し、当該スプロケット32を駆動するスプロケット駆動モータ33を有する。なお、例えば、ウォームギヤ46は、同一シャフトに、それぞれのスプロケットの歯41Hと43Hと噛み合う位置に歯切りされている。
また、フィーダ2は、供給テープ60の挿入口Cやテープ押えプレート38の付近に、操作パネル48を備える。
図4では、操作パネル48は、フィーダ2を持運ぶためのフィーダ取手の表面に設けているが、操作及び視認可能ならどこに設けても良い。
【0027】
図4において、第3スプロケット32と第2スプロケット43の駆動源は、それぞれ異なり、独立に駆動する。また、第2スプロケット43と第1スプロケット41とは、同一の駆動源(スプロケット駆動モータ47)を用いる。即ち、供給カセット制御部37は、本体1からの制御、操作パネル48からの制御、またはテープ挿入検出センサ31若しくはテープ押込み検出センサ45の検出信号の少なくともいずれか1つに基づいて、スプロケット駆動モータ33及び47を制御して回転させる。そして、スプロケット駆動モータ33は、その回転力を、ベルト及びウォームギヤ34を介して、第3スプロケット32に伝達する。第3スプロケット32は、伝達された回転力によって、所定の回転速度で所定の方向に回転する。
なお、ここで、第3スプロケット32は、フィーダ2の第2スプロケット43の歯43h0に供給テープ60の先端部60aのスプロケット孔64を嵌合させるために、テープシュート2S上で供給テープ60を下流方向に押し込む動作を行う。また、第2スプロケット43は、電子部品4の取出口44に押込む動作を行う。
【0028】
さて、ローディング動作時に、第3スプロケット32の歯32hと嵌合して下流方向に移動した供給テープ60の先端部60aのスプロケット孔64は、第2スプロケット43に到達する。第2スプロケット43に到達した供給テープ60の先端部60aのスプロケット孔64は、第2スプロケット43の歯43hと嵌合し、その後、供給テープ60は、回転速度が速い第2スプロケット43の回転力でテープシュート2S上を移動する(速度差による乗継ぎ)。即ち、遅い速度で移動するテープ60の先頭のスプロケット孔64に早い速度で移動する歯32hが最初は外れた位置にあっても追い付き嵌合することができる。
上記の乗継ぎ時において、供給テープ60の先端部60aのスプロケット孔64は、すぐには、第2スプロケット43の歯43hと嵌合せず、少し滑ってから嵌合する(遊びロス)。テープ押込み検出センサ45は、この遊びロスを考慮して、先端部60aを確実に把握するために、第2スプロケット43の下流側に設けられる。
ローディング動作時に、供給カセット制御部37は、テープ押込み検出センサ45が供給テープ60の先端部60aを検知した場合には、スプロケット駆動モータ47を制御して、第2スプロケット43の回転をスローダウン停止させる。
【0029】
第1スプロケット41は、供給テープ60を主として駆動する。フィーダ2は、さらに、第1スプロケット41がスプロケット孔64(
図3参照)と確実に嵌合するために、供給テープ60を第1スプロケット41側に押し付ける押付機構(図示しない)と装着ヘッド6の吸着ノズルが電子部品4を吸着するための取出口44を有する。
取出口44は、テープシュート2Sの第1スプロケット41と押込スプロケット43との間に設けられる。
また、押付機構は、供給テープ60から電子部品4を取り出すために、
図3に示すカバーテープ61をカットするまたは剥離してキャリアテープ62から分離する分離機構42を有する。例えば、分離機構42は、カバーテープ61をカットするカッタと、取出口44での電子部品4の取り出しの邪魔にならないように、カットされたカバーテープをガイドするカバーテープガイドを有する(図示しない)。カバーテープガイド部分を上から見た形状は、カッタ取り付け部を頂点とした三角形である。
従って、カットされたカバーテープ61は左右両側(
図4の紙面に垂直な方向)に開きながらカバーテープガイドに沿って移動する。一方、カットされたカバーテープが分離されたキャリアテープ62は、カバーテープガイドの底面に沿って部品取出位置である取出口44に移動する。
さらに、本体1には、フィーダ2の第1スプロケット41の下流方向に、カバーテープ61が剥離されたキャリアテープ62を所定の長さにカットするカット機構(図示しない)を有する。当該所定の長さは、押込スプロケット43と第3スプロケット32のそれぞれがスプロケット孔64と嵌合する位置間の長さより長い。
このため、フィーダ2の第1スプロケット41を押切りではなく、下流方向から引っ張って、供給テープ60のカバーテープ61をラッセル処理するため、カバーテープを剥離しない。この結果、剥離カスや紙ケバの発生が少なく、塵埃の発生を低減可能となる。
さらに、上述のように、カバーテープ61を上流方向に供給テープ60と共に送り出してカットするため、従来のフィーダで必要であった剥離済みカバーテープの回収作業や回収機構が不要である。
また、第1スプロケット41は、供給テープ60をフィーダ2にローディングする時に、供給テープ60の先端部60aを分離機構42に引っ張る。また、フィーダ2は、第1スプロケット41の上流方向にある取出口44と押込スプロケット43との間に、供給テープの有無を検出するテープ挿入検出センサ31を有する。
【0030】
次に、
図4によって、供給テープ60が未装着時のフィーダ2に、供給テープ60を装着するローディング機能について説明する。ここでいうローディング動作とは、供給テープ60をフィーダ2に挿入し、供給テープ60の部品取出位置である取出口44まで自動的に供給テープ60を運び入れる一連の動作をいう。この動作は、電子部品供給装置(本体)1が稼働中でも可能である。
フィーダ2に、作業員は、供給テープ60を新たにセットするときには、掛け違いを防止するために、例えば、部品装着装置に連結されたバーコードリーダで供給テープ60のリールに添付されたバーコードを読取る。このバーコードは、供給テープ60が収納された電子部品4の情報を含んでいる。読取られたバーコード情報は、本体1に伝送される。
本体1の制御装置80(
図1参照)は、受信したバーコード情報が、セットすべきフィーダ情報と一致するか否かを判定する。制御装置80は、バーコード情報とフィーダ情報が一致すれば、そのまま作業を継続するように動作し、不一致であれば、アラームを出力し、自動挿入動作を停止する。例えば、操作パネル48の送りボタン(後述する)が押されても、スプロケット駆動モータ33は回転せず、第3スプロケット32も回転しないため、送込み(ローディング)の動作をしない。これによって、掛け違いが防止される。
【0031】
さて、制御装置80は、バーコード情報とフィーダ情報が一致した場合には、当該フィーダ2に指令を送信する。この指令を受信したフィーダ2は、操作パネル48が操作されることによって、ローディング動作を継続する。
即ち、ローディング動作時には、
図8Aに示すように、作業員は、供給テープ60を導入部(部品供給リール格納部54(
図2参照))にセットする。
そして、作業員は、供給テープ60の先端部60aをテープ押えプレート38の下のテープ挿入口Cから、第3スプロケット32上で、スプロケット孔64とスプロケットの歯が嵌合する位置まで挿入する。
なお、作業員は、テープ押えプレート38を取り外して、第3スプロケット32の歯32h0とスプロケット孔64とが嵌合する位置に挿入し、その後、テープ押えプレート38を取り付けても良い。
【0032】
次に、作業員は、操作パネル48のローディングボタン105を押す。
フィーダ2の供給カセット制御部37は、操作パネル48のローディングボタン105が押されたことを検知して、第3スプロケット32を順方向に回転させる。この回転によって、
図8Bに示すように、供給テープ60がA方向に送り出され、供給テープ60の先端部60aのスプロケット孔64が第2スプロケット43の歯と嵌合する位置まで達する。テープ押えプレート38があることで、このように、第3スプロケット32によって、供給テープ60を確実に第2スプロケット43まで押し込むことができる。
第2スプロケット43は、第3スプロケット32が回転を開始し、テープ挿入検出センサ31が供給テープ60を検出後、所定時間経過すると回転を開始する。この所定時間は、第3スプロケット32が回転して、供給テープ60の先端部60aが、テープ挿入検出センサ31の位置から第2スプロケット43の嵌合位置に達するまでの時間より短い。
なお、テープ挿入検出センサ31は、
図4に示すように、第3スプロケット32の歯32hと第2スプロケット43の歯43hの間のテープシュート2S近傍に設置される。
【0033】
なお、フィーダ2における第3スプロケット32の回転数は、第2スプロケット43の回転数より低速である。このため、第3スプロケット32と第2スプロケット43の駆動源は、それぞれ異なり、独立に駆動する。また、供給テープ挿入動作が終了後には、第3スプロケット32は回転を停止し、通常の部品装着動作中には、第2スプロケット43と第1スプロケット41が回転する。
供給テープ60のスプロケット孔64と第2スプロケット43の歯43hが嵌合すると、第2スプロケット43の回転が第3スプロケット32の回転より早いため、供給テープ60は、第2スプロケット43の回転に同調する。なぜなら、第3スプロケット32は、
図5B及び
図7Aに示すように、歯32hが円丘等の丸歯状の引っ掛かりが少ない形状である。このため、スプロケット孔64は、第3スプロケット32の歯32hより第2スプロケット43の歯43hの引っ掛かり抵抗が大である(
図6B及び
図7B参照)ことから、第3スプロケット32の回転によらず、第2スプロケット43の回転に従って移動する。なお、
図5B及び
図6Bでは、テープシュート2Sは、図示していない。
【0034】
上述のように、供給テープ挿入動作時には、第3スプロケット32の回転は、第2スプロケット43の回転より遅い。このため、第3スプロケット32は、ワンウェイクラッチ32Cを内蔵し、供給テープ60を挿入する方向(順方向、矢印Aが示す方向)には回転するが、逆方向(矢印Bが示す方向)には回転しない。
さらに、第3スプロケット32の歯32hは、
図5A、
図5B、
図7Aに示すように、高さT
3をキャリアテープ62の厚みt
2より小さくし、かつ、円丘状等、角の無いなだらかな曲面形状としている。また、第2スプロケット43の歯43hは、
図6A、
図6B、
図7Bに示すように、高さT
2をキャリアテープ62の厚みt
2より大きくし、かつ、歯32hに比べて、ピン状等の鋭角形状としている。
なお、
図5Aまたは
図6Aにおいて、テープシュート2Sは、フィーダ2上部に一般的に水平に設けられ、供給テープ60を当該のテープシュート2Sを移動させるガイドである。供給テープ60は、フィーダ2のテープシュート2S上を摺動しながら移動する。
【0035】
この結果、ローディング時において、供給テープ60のスプロケット孔64が第2スプロケット43の歯43hと嵌合した場合には、供給テープ60は、第2スプロケット43の回転に従って移動する。
従って、フィーダ2は、第3スプロケット32と第2スプロケット43との間隔が大きく、供給テープ60の送り穴累積ピッチ誤差によって、第2スプロケット43の歯とスプロケット孔64の嵌合、及び第3スプロケット32の歯とスプロケット孔64との嵌合が、同時に不可能である場合でも、供給テープ60を自動的にローディングすることができる。
なお、その後、フィーダ2の供給カセット制御部37は、第3スプロケット32の回転を停止する。
【0036】
図4に示すフィーダ2おいて、第1スプロケット41を駆動すると第2スプロケット43を駆動するスプロケット駆動モータ47は、サーボモータであり、供給カセット制御部37によりサーボ制御される。また、第3スプロケット32を駆動するスプロケット駆動モータ33は、DCモータであり、供給カセット制御部37によりオープン制御される。
第1スプロケット41は、主に、送り位置決め精度を決定する送り歯として機能する送り機構である。例えば、第1スプロケット41は、第2スプロケット43と組み合わせたダブルスプロケット方式により、供給テープ60の姿勢、走行性(直進性)の安定、及びロバスト性を向上することができる。
また、第2スプロケット43は、供給テープ60の先端部60aを、第2スプロケット43より下流方向のテープ処理部(テープ押込み検出センサ45、分離機構42、取出口44、等)に挿入するデリケートな送り制御するための送り機構である。例えば、第2スプロケット43は、供給テープローディング時に、分離機構42へ供給テープ60の先端部60aを、超低速送りトルクを確保可能なサーボモータ駆動でローディング動作を細やかに制御する。第2スプロケット43は、第1スプロケット41に供給テープ60の先端部60aが到達した後には、第1スプロケット41の従属補助動作となる。
また、第3スプロケット32は、テープ押込み検出センサ45が供給テープ60を検知するまで、供給テープ60を下流方向に移動させる送り機構である。第3スプロケット32の回転速度は、供給テープローディング時には、第2スプロケット43の回転速度の約半分である。この結果、供給テープローディング時のテープ穴累積ピッチ誤差が大であってもその影響を吸収することができ、第2スプロケット43の歯43hは、確実に、供給テープ60のスプロケット孔64と嵌合することができる。さらに、テープ60は第3スプロケット32の丸いスプロケット歯に嵌合しているためこのスプロケット歯の上をある程度滑りながら走行するが、第3スプロケット32はワンウェイクラッチ32Cによってテープ60に引っ張られながら回転することができ、テープ60はほとんど抵抗なく走行できる。
さらに、第1スプロケット41と第2スプロケット43を直近に配置し、供給テープ60のスプロケット穴64の累積ピッチ誤差の影響が出ないスパンとしている。
以上のように、第1スプロケット41と第2スプロケット43を駆動するスプロケット駆動モータ47は、テープ処理シーケンスで必要な、加減速制御、速度制御、及びトルク制御が可能とするため、サーボモータとすると共に、同一駆動源とした。なお、テープ処理シーケンスについては、後述の
図9のタイミングチャートで説明する。
【0037】
なお、
図4において、供給テープ60は、通常の電子部品4の取出し時において駆動スプロケット41により引っ張られるように駆動されるので、それに伴いカバーテープも確実にカットされる。しかしながら、供給テープ60のローディング(フィーダへの挿入)時においては、供給テープ60がその先端部60aから押込スプロケット43により分離機構42のカッタに押し込まれる。このため、供給テープ60を電子部品取出動作時の速度で移動させて押し付けると、押付け力となる加速度が大きい。その結果、供給テープ60が移動する速度が速いのでカバーテープ61がうまくカットされない虞がある。そこで、供給テープ60の先端部60aがカッタの位置に到達する前に、スプロケット駆動モータ47を制御し、低速度、低加速度で供給テープ60を分離機構42のカッタに挿入する。
即ち、テープ押込み検出センサ45が供給テープ60を検知すると、供給カセット制御部37は、スプロケット駆動モータ33の回転を停止し、スプロケット駆動モータ47を制御して低速度、低加速度で分離機構42のカッタに挿入する。
この結果、分離機構42において、供給テープ60を座屈させることなくカバーテープ61を確実にカットし、供給テープ60を移動させ、先頭のポケット63を電子部品4の取出口44に位置させることができる。
【0038】
次に、
図4、
図8A、
図8B、及び
図9を用い供給テープ60のフィーダ2へのローディング動作をさらに詳細に説明する。
図9は、この動作における各部分の動作タイミングチャートを示す図である。
(a)は、スプロケット駆動モータ47の動作で縦軸は速度を示す。(a)の速度において、プラス速度は供給テープ60を
図4に示す矢印A方向(順方向)への移動を示し、マイナス速度は、
図4に示す矢印B方向(逆方向)の移動を示す。
(b)は、テープ挿入検出センサ31の検知の有無を、“有”をHighレベル、“無”をLowレベルで示す。
(c)は、テープ押込み検出センサ45の検知の有無を、“有”をHighレベル、“無”をLowレベルで示す。
(d)は、スプロケット駆動モータ33の動作のON、OFFを、“ON”をHighレベル、“OFF”をLowレベルで示す。
(e)は、操作パネル48のローディングSW105(
図10A参照)のON、OFFを、“ON”をHighレベル、“OFF”をLowレベルで示す。
【0039】
以下、
図9を参照しながら各ステップを説明する。ここで、テープ挿入検出センサ31とテープ押込み検出センサ45は、常に、テープの有無を監視し、無から有、有から無に変化した時に、検知信号を供給カセット制御部37に出力している。
まず、プレローディング動作について説明する。
作業員は、テープ押えプレート38を取り外し、供給テープ60の先端部60aをテープシュート2S上に挿入し、第3スプロケット32の歯32h0とスプロケット孔64を嵌合するようにして、上からテープ押えプレート38を取り付ける。
次に、作業員は、操作パネル48のローディングSW105を押す。
【0040】
<状態(i)>
供給カセット制御部37は、ローディングSW105がONとなった場合には、テープ挿入検出センサ31とテープ押込み検出センサ45の検知結果がどちらも“無”の状態であれば、ローディングSW105がONとなって、所定のインターバル時間T1が経過した後、スプロケット駆動モータ33をONとする。また、スプロケット駆動モータ33のON動作と同時に、タイマーを起動する。
<状態(ii)>
供給カセット制御部37は、タイマーが所定時間T0経過後、スプロケット駆動モータ33をOFFとする。
<状態(iii)>
供給カセット制御部37は、スプロケット駆動モータ33をOFFにしてから、所定のインターバル時間T2が経過した後、テープ挿入検出センサ31が供給テープ“有”“無”のどちらであるかを確認する。
供給カセット制御部37は、テープ挿入検出センサ31の検知結果が“無”の場合には、スプロケット駆動モータ33をOFFのままとし、プレローディング動作を終了する。
<状態(iv)>
また、供給カセット制御部37は、テープ挿入検出センサ31の検知結果が“有”の場合には、スプロケット駆動モータ33をONとし、かつ、スプロケット駆動モータ47の回転動作を開始する(ステップS1に移行)。
【0041】
<ステップS1>
このとき、供給カセット制御部37は、スプロケット駆動モータ47を、予め設定されたテープ送り量に従って、回転させる。また、供給カセット制御部37は、供給テープ60の移動中(テープ送り中)に、テープ押込み検出センサ45の検知結果を監視する。
<状態(v)>
供給カセット制御部37は、テープ押込み検出センサ45の検知結果が“有”の場合には、所定のストローク移動完了を待たずに、スプロケット駆動モータ47をスローダウン停止(OFF)し、かつ、スプロケット駆動モータ47と連動して回転していたスプロケット駆動モータ33をOFFする。
また、供給カセット制御部37は、予め設定されたテープ送り量に従った回転動作が完了しても、テープ押込み検出センサ45の検知結果が“無”のままである場合には、フィーダ2を異常停止させ、スプロケット駆動モータ33をOFFする。
即ち、ステップS1では、スプロケット駆動モータ47と33が一緒に回転して、供給テープがフィーダ2内に挿入される。そして、テープ押込み検出センサ45が供給テープ60の先端部60aを検知した時点で、スプロケット駆動モータ33の回転を停止し、スプロケット駆動モータ47は強制的にスローダウン停止する。また、所定量の送り(所定量の回転)をしても、テープ押込み検出センサ45が供給テープ60の先端部60aを検知しなかった場合には、異常停止する。
【0042】
<ステップS2>
供給カセット制御部37は、スプロケット駆動モータ47の回転停止後、所定のインターバル時間T3待機する。
<状態(vi)>
供給カセット制御部37は、所定のインターバル時間T3経過後、最小ピッチ(テーピング規格:1mmP)でのスプロケット駆動モータ47の逆転送り動作を、テープ押込み検出センサ45の検知結果が“無”になるまで繰り返す。
<状態(vii)>
供給カセット制御部37は、テープ押込み検出センサ45の検知結果が“無”になった場合には、スプロケット駆動モータ47の逆転送り動作を停止する。
供給カセット制御部37は、状態(vii)から所定のインターバル時間T4経過後、ステップS3に移行する。
即ち、ステップS2では、ステップS1でのオーバーラン量を鑑みて、供給テープ60の先端部60aの位置確定のため、テープ押込み検出センサ45が供給テープを検知しなくなる(検知範囲から外れる)まで、最小ピッチ送りによる逆回転動作で、供給テープ60を戻す。この時、スプロケット駆動モータ47は最小ピッチで逆回転するが、スプロケット駆動モータ33は、回転を停止(OFF)している。なお、第3スプロケット32は、ワンウェイクラッチ32Cにより逆転しないが、戻し量が微小(最小ピッチ)であること、及び、第3スプロケット32の歯32hの高さが低いことにより、第2スプロケット43に嵌合した供給テープ60は、スプロケット駆動モータ47の推力で、テープシュート2S上を下流方向に摺動して移動する。
【0043】
<ステップS3>
供給カセット制御部37は、予め設定されたステップS3送り駆動波形で、スプロケット駆動モータ47を所定の速度で回転し、所定量の高速テープ送り動作を行う(1回送り)。所定量は、ステップS2で先端部60aが停止した位置から、分離機構42のカッタ刃に到達する直前の位置までの送り量である。
即ち、ステップS3では、供給テープ60の先端部60aが分離機構42のカッタ刃直前の位置まで、所定量の一回送り動作によって、送り込まれる。これは、ステップS2で、先端部60aが所定の位置で停止したため、先端部60aの位置が確定されたことによる。カッタ刃と所定の位置間は設計寸法によって定められているので、その長さ分供給テープを下流方向に送れば、カッタ刃直前の位置に供給テープ60が移動できる。
【0044】
<ステップS4>
供給カセット制御部37は、予め設定されたステップS4送り駆動波形で、スプロケット駆動モータ47を回転し、テープ送り動作を行う(1回送り)。
なお、このステップS4送り駆動波形では、供給カセット制御部37は超低速及び超低加速度でスプロケット駆動モータ47を回転する。
即ち、ステップS4では、分離機構42のカバーテープ切り開きゾーンへの供給テープ挿入シーケンスで、“インサート→カバーテープ切り開き”(ラッセル処理)を行う。例えば、供給カセット制御部37は、スプロケット駆動モータ47を超低速及び超低加速度で回転し、所定量で一回送りする。この結果、超低速及び超低加速度で所定の送り動作を行うため、供給テープ60からカバーテープ61を剥がさずにラッセル状に開くことができる。
【0045】
<ステップS5>
供給テープ60に収納された部品の当該部品ライブラリ設定(送りピッチ)に従って、所定の送り量及び所定の送り回数で、スプロケット駆動モータ47を回転する。
即ち、ステップS5では、供給テープ60の先端部60aのポケット63の位置を吸着位置(取出口44)に頭出しするための合計所定数回のピッチ送り動作を行う。この時の送り量と送り回数は、供給テープの送りピッチごとに予め定められたデータテーブルを用いる。なお、データテーブルは、本体1の制御装置80に内蔵されており、供給カセット制御部37は、フィーダ信号コネクタ52dを介して、これら必要な情報を取り込んで使用している。
【0046】
次に、
図10A、
図10B、
図10C及び
図10Dによって、本発明のフィーダの操作パネルについて説明する。
図10Aは、本発明のフィーダ2の操作パネル48の操作パネル面100の一実施例を示す図である。
作業員が、操作パネル面100の選択したいレーンを選択し、レーン選択キー102を押してレーンを選択する。次に、作業員がローディングボタン105を1sec以上長押しすると、供給カセット制御部37は、その操作を認識して、レーンを選択する。
また、供給カセット制御部37は、作業員が、送りボタン103を押している間は、供給テープ60を順方向に送り、作業員が、戻しボタン104を押している間は、供給テープ60を逆方向に送る。また、供給カセット制御部37は、作業員が、ローディングボタン105を押すと、フィーダ2のローディング動作を開始する。
また、デジタル表示部101は、どちらのレーンが選択されているか、及び、ローディング動作中であるか、またはアンローディング動作中であるかを表示する。このように、通常、フィーダは、左右2レーンを持っており、それぞれ1つの供給テープを供給可能である。
【0047】
図10B〜
図10Dは、
図10Aのデジタル表示部101の詳細を示す図である。
デジタル表示部101の表示は、ローディング動作中は、7セグ表示がされる。表示は、所定の時間(例えば、0.5sec間)同じ表示が続き、
図10B→
図10C→
図10D→
図10B→・・・と順番に繰り返される。
また、ドット113、123、133が表示されていれば、第1のレーンが選択され、ドット114、124、134が表示されていれば、第2のレーンが選択されていることを示す。
【0048】
部品供給カート50が本体1にセットされている状態で、上述のローディング動作が行なわれる場合には、本体1は、各フィーダからローディング動作完了を受け、装着動作を開始することができる。
一方、部品供給カート50が本体1にセットされていない状態で、上述のローディング動作が行なわれる場合には、ローディング動作完了後、部品供給カート50を本体にセットし本体による装着処理を行なうことができる。
また、部品供給カート50が本体1にセットされていれば、本体は直ちに装着動作に移行することができる。
【0049】
上述のように、
図1〜
図10Dの実施例によれば、新規に供給テープをフィーダに挿入する際に、スプロケット穴間の累積ピッチ誤差があっても、電子部品を取出口に移動させる駆動スプロケットと供給テープのスプロケット孔とを確実に係合できる制御などを行なえる信頼性の高いフィーダ及びフィーダ制御方法並びに電子部品装着装置を実現することができる。さらに、段取り替え時の部品交換時間や、欠品時の部品補給時間を大幅に短縮することができる。
またさらに、第1と第2の2つのスプロケットによるテープ送りにより、テープ走行が安定で、剥離しないことで外乱が無く、送り位置(例えば、取出口44における電子部品4の位置)のロバスト性が向上する。
なお、上記実施例では、作業員が操作パネルを操作して、ローディング動作を開始したが、電子部品装着装置1が、自動的にローディング動作を開始するようにしても良い。
【0050】
最後に、部品供給カート50が本体1にセットされている状態で、上述のローディング動作が行なわれる場合には、本体1は、各フィーダからローディング動作完了を受け、装着動作を開始することができる。
一方、部品供給カート50が本体1にセットされていない状態で、上述のローディング動作が行なわれる場合には、ローディング動作完了後、部品供給カート50を本体にセットし本体による装着処理を行なうことができる。
また、部品供給カート50が本体1にセットされていれば、本体は直ちに装着動作に移行することができる。
また、本実施例では、テープ押込み検出センサ45の検出位置と装着ヘッド6の吸着ノズルによる取出口44の取出し位置までの距離が既知である。従って、先頭のポケット63に電子部品4が収納されている場合には、供給テープ60の先端部60aをテープ押込み検出センサ45が検出することにより、テープ先頭(先端部60a)のポケット63の装着ヘッド6の吸着ノズルによる取出し位置までの距離が判明する。なぜなら、第2スプロケット43のスプロケット歯43hが供給テープ60のスプロケット孔64に嵌合した状態であれば、各ポケット63の位置はスプロケット孔64即ちテープ先頭のポケット63の位置が分かるからである。このことから、当該ポケット63を取出口44の取出し位置に移動(テープ送り)させて停止させて、部品取出しに備える頭出しの動作をすることができる。
これに限らず、上記のようにテープ先頭のポケット63を取出し位置に停止させてから、取出口44の取出し位置のポケット63を、装着ヘッド6に設けられたカメラで1ピッチ送る度に撮像し、撮像した画像からポケット63に電子部品4が収納されているかを認識処理して把握するようにしても良い。即ち、画像認識処理によって、ポケット63が部品無しから部品有りの状態となったときにテープ送りを停止させて頭出しをするようにすれば良い。このようにすることで、電子部品4が先頭のポケット63に収納されていない場合にも、新しいテープ60がローディングされた最初の装着ヘッド6の吸着ノズルによる取出しで電子部品4を取出すことができる。
また、このように頭出ししたポケット63自身、若しくは、このポケット63内の電子部品4の部品供給エリア13における位置を、撮像した画像から認識処理によって把握し、この把握した位置を装着ヘッド6の吸着ノズルを部品取出しの際の位置決めしても良い。また、ポケット63内の部品の有無認識による頭出しをせずに、先頭のポケット63を部品取出し位置に停止させた段階で部品取出し位置をカメラで撮像し、部品もしくはポケット63自身の位置を認識処理して把握してこの位置に装着ヘッド6の吸着ノズルの部品取出しのための位置決めをしても良い。
また、本実施例ではラッセル処理することにより部品取出し部におけるポケット63の上部のカバーテープ61を除去する(即ち、電子部品4を露出させ)分離機構について説明した。しかし、これに限らず、カバーテープ61を供給テープ60から除去して電子部品4を露出する分離機構等であってもても適用することができる。
【実施例3】
【0059】
以下、本発明の第3の実施例について説明する。実施例3においても、
図1で説明した電子部品装着装置1、
図2で説明したフィーダカート50、及び
図3で説明した供給テープ60、
図4で示したフィーダ2、
図5B〜
図5C及び
図7Aで示した第3スプロケットと、
図6B〜
図6C及び
図7Bで示した第2スプロケットを用いる。
本ローディング動作は、既に電子部品4が装填されて部品装着に使用されているフィーダ2の供給テープ60に加え、次の供給テープ60’をセットしておき、現在使用中の供給テープ60が無くなると、自動的に次の供給テープ60’をローディングするものである。
【0060】
図14A〜
図14Dは、本発明のフィーダにおけるローディング動作の一実施例をについて説明するための図である。
図14A〜
図14Dでは、現在既に供給テープ60がフィーダにセットされ、電子部品装着装置1(
図1参照)が、部品装着動作を継続中である。
図14Aに示すように、作業員は、まず、テープ押えプレート38を取り外し、現在使用中の供給テープ60の途中を持ち上げ、テープ押えプレート38の上を通るようにする。次に、次に使用する供給テープ60’の先端部60a’をテープシュート2S上に挿入し、第3スプロケット32の歯32h0とスプロケット孔64を嵌合するようにして、上からテープ押えプレート38を取り付ける。
なお、電子部品装着装置1の制御装置80は、受信したバーコード情報により、セットすべきフィーダ情報と一致するか否かを判定する。制御装置80は、バーコード情報とフィーダ情報が一致すれば、そのまま作業を継続するように動作し、不一致であれば、アラームを出力し、作業員に注意を促すと共に、予備の供給テープ60’がこのフィーダ2にセットされたとは認識しない。
【0061】
使用中の供給テープ60の終端部60”がフィーダ2内に進入し、テープ挿入検出センサ31を通過すると、テープ挿入検出センサ31が、供給テープ60“無”を検知し、検知の都度、制御装置80に送信する。制御装置80は、供給テープ60“無”の状態が所定の送り量の間継続した場合には、供給テープ60の終端部60”が通過したと判定する。
次に、使用中の供給テープ60の電子部品4が未装填の部分が取出口44に到達すると、制御装置80は、部品無しによる連続吸着異常の発生を認識する。例えば、制御装置80は、吸着異常が3回連続した場合に、電子部品が無いと認識する(図示しない装着ヘッド6に搭載されたセンサあるいは部品認識カメラ19の認識により検出する。)。
制御装置80は、テープ挿入検出センサ31が終端部60”の通過を検知せず、部品無しによる連続吸着異常の発生を認識した場合には、標準の異常処理を行う。
しかし、制御装置80は、テープ挿入検出センサ31が終端部60”の通過を検知し、かつ、部品無しによる連続吸着異常の発生を認識した場合には、使用中の供給テープ60の電子部品を使い切ったと判定して、以降の動作を行う。
(1)使用中の供給テープ60の強制送り出し動作
(2)次の供給テープ60’の自動ローディング動作
【0062】
まず、(1)使用中の供給テープ60の強制送り出し動作を、
図15によって説明する。
図15は、本発明のフィーダにおける強制送り出し動作の一実施例をについて説明するための図である。
制御装置80は、上述したように、使用中の供給テープ60の電子部品を使い切ったと判定した場合には、まず、使用中の供給テープ60を強制的に、順方向に送り出す。
例えば、制御装置80は、フィーダ2の供給カセット制御部37を制御して、スプロケット駆動モータ47を順方向(矢印A方向)に高速で連続回転させ、一気に供給テープ60を排出する。なお、供給テープ60は、第1スプロケット41の歯41hを外れると駆動できないが、高速連続回転による慣性と、後から送り出される次の供給テープ60’が押す力によって、矢印A方向に排出される。
【0063】
次に、(2)次の供給テープ60’の自動ローディング動作を開始する。
ただし、供給カセット制御部37は、ローディングSW105がONとなった場合ではなく、制御装置80からのコマンドによってプレローディング作業を実行する。即ち、供給カセット制御部37は、制御装置80からの自動ローディング動作の起動を受け付けて、スプロケット起動モータ33を回転させ、所定時間経過後にテープ挿入検出センサ31をチェックして、供給テープ60が検知された場合には、そのまま連続的にローディング動作を継続させ、ローディング作業を実行する。なお、供給カセット制御部37は、所定時間経過後にテープ挿入検出センサ31をチェックして、供給テープ60が検知されなかった場合には、ローディング動作を開始せず、アラームを出力し、ローディング動作を中止する。
自動ローディング動作については、本明細書の実施例1で説明した状態<i>〜状態<iv>の動作(
図9参照)を実行し、以下、ステップS1に移行する。以降の動作は、
図9で説明した通りなので、説明を省略する。
なお、強制送り出し動作中は、操作パネル48のデジタル表示部101に、
図16に示すように、強制送り出し動作中であることを示す「tr」が表示される。
また、強制送り出し動作中または自動ローディング動作中に、作業員が、操作パネル48のいずれかのボタンを押すと、作業が途中で中断されるようにしている。
【0064】
次に、本実施例を
図13の本発明の電子部品装着装置における自動ローディング動作の一実施例のフローチャートによって説明する。
図13の動作は、制御装置80が、本体1の各機器、並びにフィーダ2の供給カセット制御部37及び他の機器を制御して実行する。
【0065】
ステップS801では、連続吸着異常(部品無し)が発生したか否かを判定する。否であれば、ステップS888の処理に移行し、通常の処理を実行する。発生した場合には、ステップS802の処理に移行する。
ステップS802では、テープ挿入検出センサ31が終端部60”を検知したか否かを判定する。否であれば、ステップS888の処理に移行し、通常の処理を実行する。終端部60”を検知した場合には、ステップS803の処理に移行する。
ステップS802では、制御装置80は、該当するフィーダ2の供給カセット制御部37に強制送り出しコマンド((1)使用中の供給テープ60の強制送り出し指令)を出力し、強制送り出し動作を開始する。
ステップS804では、強制送り出しコマンドがクリアされたか否かを監視する。クリアされた場合には、ステップS805の処理に移行し、否であれば、ステップS888の処理に移行し、通常の処理を実行する。作業員によって、操作パネル48のいずれかのボタンが押された場合に発生する。また、例えば、強制送り出しコマンドのクリアは、強制送り出し動作中に、フィーダ2に異常があった場合に発生する。
【0066】
ステップS805では、フィーダ2に異常があるか否かをチェックする。
ステップS806では、異常があった場合には、ステップS888の処理に移行し、異常処理を実行し、否であれば、ステップS807の処理に移行する。
ステップS807では、テープ挿入検出センサ31の検知情報を確認する。
ステップS808では、テープ挿入検出センサ31が供給テープ有と検知した場合には、ステップS809の処理に移行し、供給テープ無し(検知無し)の場合には、ステップS888の処理に移行し、通常の処理を実行する。
【0067】
ステップS809では、制御装置80は、該当するフィーダ2の供給カセット制御部37にローディングコマンド(指令)((2)次の供給テープ60’の自動ローディング動作)を出力し、自動ローディング動作を開始する。
ステップS810では、自動ローディングコマンドがクリアされたか否かを監視する。クリアされた場合には、ステップS811の処理に移行し、否であれば、ステップS888の処理に移行し、通常の処理を実行する。作業員によって、操作パネル48のいずれかのボタンが押された場合に発生する。また、例えば、自動ローディングコマンドのクリアは、ローディング動作中に、フィーダ2に異常があった場合に発生する。
【0068】
ステップS811では、フィーダ2に異常があるか否かをチェックする。
ステップS812では、異常があった場合には、ステップS888の処理に移行し、異常処理を実行し、否であれば、ステップS813の処理に移行する。
ステップS813では、吸着可能な状態に遷移し、電子部品4の吸着を開始する。
【0069】
上述の実施例3によれば、作業員は、現在のテープが無くなってから次の供給テープをセットするように待機する必要はなく、供給テープ60が無くなる前に、いつでも都合の良い時に、次の供給テープ60‘をセットできるので、効率よく作業ができ、自動的にローディングが実行されるため、段取り替え時の部品交換時間を大幅に短縮することができる。
【0070】
実施例1乃至実施例3によれば、後続補給のための供給テープを、物理的に繋がない。即ち、接続のためのスプライシングテープが不要である。
また、使用中の供給テープが有る状態で、次の供給テープをいつでも補給ユニットにセットすることができる。
また、補給タイミングの監視をシビアにする必要がなく、作業員の拘束時間を削減することができる。
また、消耗品としてのスプライシングテープが不要となるため、ランニングコストを削減することができる。即ち、材料費を削減することができる。
また、部品切れが発生したレーンへの部品補給(供給テープのセット)もフィーダを抜かずに装填が可能となった。
また、従来は、作業員のスキルに左右されていたスプライシング通過率(詰まりによるチョコ停(装置稼働率変動)発生)の影響を排除すると共に、自動ローディング動作により信頼性が向上した。
また、テープ先端部のカット位置を決められた位置で行うことにより、送りピッチの違う供給テープでも、所定の吸着位置にポケット位置を自動で頭出しすることが可能であるため、従来実施していたテープ装填後の送り位置チェックが不要である。
さらに、電子部品装着装置としては、ACV対応であるため、照合のとれていない部品は、自動ローディング動作を禁止することができる。そして、後続補給部品も、従来のスプライシング後続テープと同様に、照合操作ができ、自動ローディング動作を禁止することができる。