特許第5985277号(P5985277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5985277ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜および防水通気部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985277
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜および防水通気部材
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/28 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   C08J9/28CEU
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-150901(P2012-150901)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2013-253213(P2013-253213A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-107018(P2012-107018)
(32)【優先日】2012年5月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】石井 恭子
(72)【発明者】
【氏名】鮎澤 誠治
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−142680(JP,A)
【文献】 特開2010−110914(JP,A)
【文献】 特開2011−231321(JP,A)
【文献】 特開2009−073051(JP,A)
【文献】 特開2009−179656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と、前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜上に配置された固定用部材とを備え、
前記固定用部材が前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の通気領域を囲む接続領域において前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜に接続されている、防水通気部材であって、
前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が、フラジール数により表示した通気度をF[cm3/秒/cm2]、耐水圧をR[MPa]と表示したときに、以下の関係式(1a)、(2)及び(3)を満たし、
前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が単層膜である、防水通気部材。
1.0≦F≦4.0 (1a)
0.2≦R≦1.0 (2)
R≧−0.1F+0.5 (3)
ここで、フラジール数は、JIS L1096に規定されているフラジール形試験機により測定される値であり、耐水圧は、JIS L1092に規定されている耐水度試験機(高圧法)により測定される値である。
【請求項2】
以下の関係式(3a)を満たす、請求項1に記載の防水通気部材
R≧−0.1F+0.6 (3a)
【請求項3】
以下の関係式(2a)をさらに満たす、請求項1または2に記載の防水通気部材
0.5≦R≦1.0 (2a)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)多孔質膜およびこれを用いた防水通気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTFE多孔質膜は、PTFEファインパウダーと押出助剤である液状潤滑剤とを混合して得た混合物を押し出して成形し、得られた成形体をシート状に圧延し、圧延して得たPTFEシートから液状潤滑剤を除去し、液状潤滑剤を除去したPTFEシートを延伸して多孔化することにより、製造される。こうして得られたPTFE多孔質膜は、よく知られているとおり、ノード(結節)とフィブリル(繊維)とから構成された多孔構造を有する。
【0003】
電子機器および照明機器の筐体には開口部が設けられることがある。電子機器においては、開口部を通じ、筐体の内部に収容されたマイクロフォン、スピーカーなどの音響トランスデューサと筐体の外部との間を音響エネルギーが伝搬する。照明機器の筐体においては、開口部を通じ、発光体の発熱により膨張する空気が外部へと排出される。携帯電話に代表される小型の電子機器、および自動車のヘッドライトに代表される車両用照明機器には高い防水性が求められることがあるから、開口部からの水の侵入を防ぐ必要がある。このため、これらの機器の筐体の開口部には、耐水性と通気性(通音性)とを兼ね備えた防水通気部材が配置されることが多い。
【0004】
なお、電子機器に用いられる防水通気部材は、防水通音部材とも称されるが、本明細書では、以降、防水通音部材を含む概念を示す用語として「防水通気部材」を使用する。
【0005】
防水通気部材用のPTFE多孔質膜の性能は、耐水性および通気性を指標として評価されるが、これら2つの特性はいわゆるトレードオフの関係にある。このため、PTFE多孔質膜を多層膜とすることにより、耐水性および通気性の双方に優れた防水通気部材を提供する試みが提案されている。
【0006】
特許文献1には、標準比重が2.16以上のPTFEからなる第1未焼成シートと標準比重が2.16未満のPTFEからなる第2未焼成シートとの積層体を圧着し、さらに延伸して、PTFE多孔質膜を製造することが提案されている。標準比重が大きい、言い換えれば分子量が小さいPTFEからは通気性に優れたPTFE多孔質膜が得られる傾向にあり、標準比重が小さい、言い換えれば分子量が大きいPTFEからは耐水性に優れたPTFE多孔質膜が得られる傾向にある。このような傾向を考慮し、特許文献1では、上記2種類のPTFEシートを組み合わせることにより、耐水性と通気性との両立が図られている。特許文献1の実施例の欄には、耐水圧が0.31〜0.33MPa、ガーレー数により表示した通気度が3〜5秒/100ml(フラジール数に換算すると0.31〜0.52cm3/秒/cm2程度)であるPTFE多孔質膜が得られたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−110914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2枚のPTFEシートを積層することによるPTFE多孔質膜の改良には限界がある。そこで、本発明は、耐水性および通気性がともに優れたPTFE多孔質膜を提供することを目的とする。本発明のまた別の目的は、改良されたPTFE多孔質膜を用いた新たな防水通気部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
フラジール数により表示した通気度をF[cm3/秒/cm2]、耐水圧をR[MPa]と表示したときに、以下の関係式(1)〜(3)を満たす、PTFE多孔質膜、を提供する。
【0010】
0.2≦F≦4.0 (1)
0.2≦R≦1.0 (2)
R≧−0.1F+0.5 (3)
【0011】
ここで、フラジール数は、日本工業規格(JIS) L1096に規定されているフラジール形試験機により測定される値であり、耐水圧は、JIS L1092に規定されている耐水度試験機(高圧法)により測定される値である。
【0012】
ただし、フラジール数は、JIS L1096に規定されている通気性測定法のB法(ガーレー試験法)により測定されるガーレー数により表示した通気度をG[秒/100ml]と表示したときに、以下の関係式(4)を用いてGを換算することによって算出できることが知られている。
【0013】
F=1.57/G (4)
【0014】
本発明は、さらに別の側面から、
PTFE多孔質膜と、前記PTFE多孔質膜上に配置された固定用部材とを備え、
前記固定用部材が前記PTFE多孔質膜の通気領域を囲む接続領域において前記PTFE多孔質膜に接続されている、防水通気部材であって、
前記PTFE多孔質膜が本発明によるPTFE多孔質膜である、防水通気部材、を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単層でありながらも耐水性および通気性の両方に優れたPTFE多孔質膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による防水通気部材の一形態を示す断面図(a)と平面図(b)である。
図2】本発明による防水通気部材の別の一形態を示す断面図である。
図3】本発明によるPTFE多孔質膜と従来のPTFE多孔質膜の耐水圧および通気度を表した図である。
図4】実施例14により得たPTFE多孔質膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5】実施例15により得たPTFE多孔質膜のSEM写真である。
図6】実施例16により得たPTFE多孔質膜のSEM写真である。
図7】比較例5により得たPTFE多孔質膜のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のPTFE多孔質膜は以下の製造方法により得ることができる。以下の方法は、本発明のPTFE多孔質膜の製造に適しているが、本発明のPTFE多孔質膜が以下の方法により製造されたものに限られるわけではない。
【0018】
本発明のPTFE多孔質膜の製造に適した本実施形態の方法は、
標準比重が2.19以下であるPTFEファインパウダーと液状潤滑剤とを含む混合物を、フラットダイを用いてシート状に押し出し、PTFEシートを得る工程Aと、
前記PTFEシートを、前記工程Aにおける押し出し方向である前記シートの長手方向に沿って一対のロールの間を通過させて圧延する工程Bと、
前記PTFEシートを、前記シートの長手方向に直交する幅方向に延伸する工程Cと、
前記工程Bおよび前記工程Cにおいて圧延および延伸されたPTFEシートから前記液状潤滑剤を除去する工程Dと、
前記工程Dにおいて前記液状潤滑剤が除去されたPTFEシートを、当該シートの長手方向および幅方向のそれぞれについて延伸して、PTFE多孔質膜を得る工程Eと、を具備するPTFE多孔質膜の製造方法、である。この製造方法は、前記PTFE多孔質膜をPTFEの融点以上の温度で焼成する工程Fをさらに具備していてもよい。
【0019】
従来、PTFEファインパウダーと液状潤滑剤とを含む混合物は、基本的に丸棒状に押し出されていた。引き続き実施される圧延工程で丸棒体はシート状に押し広げられるため、PTFEシートを得ることだけを考えれば、混合物をシート状に押し出す必要はないためである。これに対し、本実施形態の製造方法では、混合物がフラットダイ(Tダイ)を用いてシート状に押し出される(工程A)。
【0020】
次いで、ダイから押し出されたPTFEシートが、その長手方向(MD方向;機械流れ方向;工程Aにおける押し出し方向に同じ)に沿って一対のロールの間を通過させて圧延される(工程B)。ロールを用いた圧延は従来から実施されていた。しかし、従来は、丸棒状に押し出されたPTFE成形体(PTFE棒状体)に対して圧延が行われていたため、PTFE成形体は、その長手方向に直交する幅方向(TD方向;機械流れ方向に直交する方向)に大きく押し広げられてシート状に成形されていた。
【0021】
これに対し、本実施形態では、予めシート状に押し出されたPTFE成形体(PTFEシート)が圧延される。このため、PTFEシートが引き延ばされる方向は、主として、ロール表面の回転方向、すなわちPTFEシートの長手方向となる。用いる装置は従来と基本的に同じであるが、PTFE成形体が受ける応力およびそれによる延伸の方向は、従来と相違する。
【0022】
工程Bは、幅方向についてのPTFEシートの長さを維持しながら行うことが好ましい。この場合、PTFEシートはその長手方向のみに引き延ばされることになる。この圧延は、具体的には、一対の圧延ロールよりもシート流れ方向の下流側に配置した引っ張りロールによりPTFEシートを引っ張りながら、そのPTFEシートを当該一対の圧延ロールの間を通過させて圧延することにより、実施することができる。このとき、引っ張りロールの回転速度を圧延ロールの回転速度よりもやや高く設定すると、PTFEシートがその幅方向の長さを一定に保ちながらその長手方向に延伸される。
【0023】
引き続き、圧延されたPTFEシートがその幅方向に延伸される(工程C)。この延伸により、PTFEシートは、長手方向および幅方向について、液状潤滑剤を含んだ状態で順次引き伸ばされることになる。
【0024】
この後の工程DおよびEは、基本的に、従来と同様に実施される。具体的には、まず、PTFEシートを加熱することにより液状潤滑剤が除去される(工程D)。引き続き、PTFEシートがその長手方向および幅方向に延伸され、PTFE多孔質膜が製造される(工程E)。工程Eは、PTFEの融点未満の温度で実施することが好ましい。その後、PTFE多孔質膜は、PTFEの融点以上の温度に加熱され、焼成されてもよい(工程F)。従来から実施されてきたように、工程Eにおいては、所望の特性が得られるように延伸倍率は適宜調整される。長手方向についての延伸倍率と幅方向についての延伸倍率との積により算出される延伸面倍率は、例えば4倍以上150倍未満が適切である。通気性と耐水性とを両立させるためには、延伸面倍率を16倍以上140倍以下、特に30倍以上140倍以下、場合によっては50倍以上140倍以下とすることが好ましい。ただし、高い通気性が要求されない場合には、延伸面倍率を16倍以上30倍未満としてもよい。
【0025】
上記工程を経て得られたPTFE多孔質膜の膜構造には従来のPTFE多孔質膜では観察されなかった新たな特徴が顕著に現れることがある。この特徴の発現には、フラットダイを用いた押し出し(工程A)と、長手方向および幅方向についてのPTFEシートの逐次湿式延伸(工程BおよびC)とが寄与していると考えられる。より具体的には、フラットダイの内部において加わる応力および逐次湿式延伸により加わる応力によって、PTFEファインパウダーのフィブリル化特性が影響を受け、これが膜の構造の変化の要因となっていると考えられる。
【0026】
この膜構造の特徴を、従来の典型的な製造方法、すなわち丸棒状に押し出したPTFE成形体をシート状に圧延し、幅方向への湿式延伸を実施することなく多孔化のための延伸を実施する製造方法、により得られたPTFE多孔質膜の膜構造と比較して述べると、以下のとおりとなる。
【0027】
第一に、フィブリルが小径化する。第二に、従来の膜構造におけるノードとしては判別しがたい程度に「ノード」が極めて小さくなり、膜単位体積当たりの「ノード」の個数が増加する。第三に、延伸方向以外の方向に延びるフィブリルの比率が高くなる、言い換えればフィブリルの配向がよりランダムになってフィブリルがより等方的に延びる。これらの特徴を見ると、PTFEファインパウダーがよりフィブリル化しやすくなったと考えるのが妥当である。そして、細いフィブリルが特定の方向への偏りが少ない状態で延び、しかもノードが小さく分割された膜構造は、基本的に、PTFE多孔質膜の耐水性および通気性の双方の改善に適している。特に、この膜構造を有するPTFE多孔質膜は、その通気性を向上させるために延伸面倍率を引き上げると、フィブリル化が顕著に促進されて通気性のみならず耐水性も向上することがある。
【0028】
原料としては、標準比重が2.19以下、特に2.16以下、であるPTFEファインパウダーを使用することが好ましい。標準比重(standard specific gravity)は、SSGとも称され、JIS K6892に規定される測定法により規定される比重であって、平均分子量と負の相関を示す傾向があることが知られている(標準比重が小さいほど平均分子量は大きくなる)。例えば、旭フロロポリマーズ社製フルオンCD−123は、標準比重2.155、平均分子量1200万、同社製フルオンCD−145は、標準比重2.165、平均分子量800万、同社製フルオンCD−1は、標準比重2.20、平均分子量200万である。
【0029】
本発明によれば、関係式(1)および(2)とともに、以下の関係式(3a)を満たすPTFE多孔質膜を得ることも可能である。
【0030】
R≧−0.1F+0.6 (3a)
【0031】
本発明によれば、関係式(2)および(3)とともに、関係式(1a)を満たすPTFE多孔質膜を得ることも可能である。このPTFE多孔質膜は、比較的高い通気性を要求する筐体(例えば自動車のヘッドランプ)への使用に適している。本発明によれば、関係式(1a)とともに関係式(2a)を満たすPTFE多孔質膜を得ることも可能である。なお、これらの関係式を満たせば関係式(A−3)および関係式(A−3a)は自動的に成立する。
【0032】
1.0≦F≦4.0 (1a)
0.5≦R≦1.0 (2a)
【0033】
防水通気部材は、その用途によっては、限られた範囲の通気性と極めて高い耐水圧とを求められることがある。例えば、音響エネルギーを主としてPTFE多孔質膜自体の振動を通じて伝搬させることを目的として薄いPTFE多孔質膜を使用する形態では、焦点を絞るべき主要な特性が耐水圧となる。本発明によれば、このような用途に適したPTFE多孔質膜を提供することも可能である。このPTFE多孔質膜は、例えば、以下の関係式(1b)および(2b)を満たすものとなる。なお、これらの関係式を満たせば関係式(3)は自動的に成立する。
【0034】
0.2≦F<1.0 (1b)
0.5≦R≦1.0 (2b)
【0035】
本発明によれば、Rが0.6以上であるPTFE多孔質膜を提供することもできる。Rの上限に特に制限はないが、0.9以下、さらに0.8以下であってもよい。
【0036】
本発明によれば、複数層のPTFE多孔質層を用いることなく、単層の状態において、PTFE多孔質膜の耐水性と通気性との双方を改善することが可能である。単層膜は、一般に複層膜よりも製造コストの面で有利である。PTFE多孔質膜を構成する層の数は、例えば走査型電子顕微鏡を用いた断面観察により定めることができる。
【0037】
以下、本実施形態の製造方法を構成する各工程をより詳細に説明する。工程AにおけるPTFEファインパウダーと液状潤滑剤との混合比は、例えばPTFEファインパウダー100質量部に対し、液状潤滑剤5〜50質量部、特に5〜30質量部が好適である。液状潤滑剤としては、従来から使用されてきた炭化水素油、例えば流動パラフィン、ナフサなどを使用すればよい。
【0038】
工程Aでは、PTFEファインパウダーを含む混合物の押し出しにフラットダイが用いられる。フラットダイ(Tダイ)としては、ストレートマニホールド型Tダイ、コートハンガー型Tダイ、フィッシュテール型Tダイが挙げられる。工程Aにおける押出成形は、熔融物の押出成形ではなく、助剤を混合したペーストの押出成形であるため、押し出すべき混合物の粘度が高い。このため、上記のダイの中では、フィッシュテール型Tダイ(フィッシュテールダイ)の使用が適している。
【0039】
工程Aにおいて押し出すPTFEシートの厚さは、0.5〜5.0mm、特に1.2〜2.0mmが適切である。
【0040】
工程Bでは、PTFEシートが液状潤滑剤を含んだ状態で圧延され、PTFEシートが押出時よりも薄く引き延ばされ、厚さが均一化される。この圧延は、例えば、PTFEシートの幅方向の長さが変化しないプロセスとして実施することができる。この場合、工程Bにおける圧延は、PTFEシートをその長手方向のみに引き延ばすプロセスである。
【0041】
工程Bにおける圧延は、具体的には、一対の圧延ロールよりもシート流れ方向の下流側に配置した引っ張りロールによりPTFEシートを引っ張りながら、そのPTFEシートを当該一対の圧延ロールの間を通過させて圧延することにより、実施することが好ましい。このとき、引っ張りロールの回転速度を圧延ロールの回転速度よりもやや高く設定すると、PTFEシートがその幅方向の長さを一定に保ちながらその長手方向に延伸される。
【0042】
工程BにおけるPTFEシートの圧延は、圧延前の幅方向の長さに対する圧延後の幅方向の長さが90〜110%、好ましくは95〜105%の範囲となるように、実施することが好ましい。本明細書では、幅方向の長さの変化が上記範囲内にある場合に、「幅方向の長さを維持しながら」圧延したものとする。
【0043】
工程Bにおいては、圧延後のPTFEシートの厚さを、50〜2000μm、特に100〜900μmとすることが好ましい。また、工程Bでは、PTFEシートの厚さを、圧延前の厚さと比較して、70%以下、例えば5〜60%とすることが好ましい。
【0044】
工程Cでは、PTFEシートが液状潤滑剤を含んだ状態でその幅方向に延伸される。この延伸は、従来から幅方向への延伸に多用されてきたテンターを用いて実施するとよい。工程Cにおける延伸倍率は、1.2〜10倍、特に2.0〜8.0倍、とりわけ5.0〜8.0倍が適当である。この延伸倍率が低すぎると、膜構造を十分に変化させることが難しくなる。他方、この延伸倍率が高すぎると、長手方向における強度低下や膜厚の不均一化が生じることがある。
【0045】
工程Dでは、幅方向に延伸したPTFEシートから液状潤滑剤が除去される。この工程は、従来どおり、PTFEシートを乾燥させることにより、具体的には液状潤滑剤を含むPTFEシートを液状潤滑剤の除去に適した温度に維持することにより、実施するとよい。乾燥に適した温度は100〜300℃程度である。
【0046】
なお、工程Bにおける圧延および工程Cにおける延伸は、PTFEシートに液状潤滑剤が保持された状態で実施する必要がある。このため、PTFEシートの温度を、100℃以下、好ましくは60℃以下に保ちながら実施することが好ましい。
【0047】
工程Eでは、液状潤滑剤を除去したPTFEシートがその長手方向および幅方向に逐次延伸されて多孔化する。長手方向および幅方向への延伸には、従来どおり、それぞれ、ロールの回転速度の相違を利用するロール延伸法、テンターを用いるテンター延伸法により実施するとよい。長手方向への延伸と幅方向への延伸とはいずれを先に実施しても構わない。
【0048】
工程Eにおける延伸倍率は、得られるPTFE多孔質膜の膜構造および膜特性に大きな影響を与える。工程Eにおける延伸倍率は、所望の膜特性に応じて、適宜、適切に設定すればよい。適切な延伸倍率は、工程Eに至るまでの各工程における圧延、延伸などの条件に応じて変化するため、その好ましい範囲を一律に述べるのは難しいものの、通常は、その長手方向への延伸倍率については2〜50倍、特に4〜20倍が、その幅方向への延伸倍率については3〜70倍、特に4〜30倍が好適である。長手方向への延伸(縦延伸)の倍率と幅方向への延伸(横延伸)とを積算して求められる倍率、すなわち延伸面倍率の好ましい範囲は上記に例示したとおりである。
【0049】
工程Eにおける延伸は、PTFEの融点(327℃)未満の温度、例えば60〜300℃、特に110〜150℃で実施することが好ましい。工程Eにおける延伸により細いフィブリルの生成が促進される。
【0050】
工程Fでは、PTFE多孔質膜がPTFEの融点以上の温度に加熱される。この加熱工程は、一般に「焼成」と呼ばれ、PTFE多孔質シートの強度の向上をもたらす。焼成温度は327〜460℃が適切である。
【0051】
本発明によるPTFE多孔質膜の膜厚は、特に制限されないが、1μm〜300μm、さらには2μm〜50μmが好適である。
【0052】
本発明によるPTFE多孔質膜は防水通気膜として適した特性を有する。以下、図面を参照しながら、本発明による防水通気部材の実施形態について説明する。
【0053】
図1に示す防水通気部材は、PTFE多孔質膜1と、通気を確保するべき筐体にPTFE多孔質膜1を固定するための固定用部材2とを備えている。固定用部材2は、PTFE多孔質膜1の通気領域3を囲む接続領域においてPTFE多孔質膜1に接続されている。固定用部材2のPTFE多孔質膜1に接続された面と反対側の面は、筐体に設けられた開口部を囲むように筐体の表面に接合され、筐体にPTFE多孔質膜1を固定する。この状態で、筐体の開口部および通気領域3内の膜1を通過する空気によって筐体の通気性が確保され、PTFE多孔質膜1の耐水性によって筐体への水の侵入が防止される。
【0054】
図1ではリング形状の固定用部材2が用いられているが、固定用部材2の形状がリング形状に限られるわけではない。また、図1に示した固定用部材2は両面テープであるが、固定用部材2の形状がテープ形状に限られるわけでもない。固定用部材2として、筐体の開口に嵌合可能に成形された樹脂部材を用いてもよい。
【0055】
図2に示す防水通気部材は、PTFE多孔質膜1とともに、複数の固定用部材2a,2bを備えている。固定用部材2a,2bは、固定用部材2(図1)と同様、膜面に直交する方向から観察したときにリング状の形状を有し、PTFE多孔質膜1の両主面において通気領域3を囲んでいる。この防水通気部材は、例えば電子機器の筐体の内部における使用に適している。この場合、例えば、固定用部材2aは筐体内部に配置される機器(例えばスピーカ)に接合され、固定用部材2bは筐体の開口部を囲むように筐体の内面に接合される。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるわけではない。
【0057】
参照例1
PTFEファインパウダー(旭フロロポリマーズ社製「フルオンCD−123N」(S
SG2.155))100重量部に液状潤滑剤(ドデカン)19重量部を均一に混合し、
この混合物を丸棒状に予備成形した。次いで、この成形体を、フィッシュテールダイを装着した押出機を用いてシート状に押し出した。押し出したPTFEシートの厚みは1.5mm、幅は20cmであった。
【0058】
さらに、PTFEシートを1対の金属圧延ロールの間を通過させて圧延した。この圧延は、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。圧延して得たPTFEシートの厚みは0.2mmであった。
【0059】
引き続き、テンターを用い、圧延したPTFEシートを、液状潤滑剤を含んだままの状態でその幅方向に3倍に延伸した。その後、延伸したPTFEシートを150℃に保持して液状潤滑剤を除去した。
【0060】
次いで、液状潤滑剤を除去したPTFEシートを、2軸延伸機を用い、300℃の雰囲気中において長手方向および幅方向にそれぞれ4倍ずつ延伸し、未焼成PTFE多孔質膜を得た。液状潤滑剤を除去してから実施した延伸の延伸面倍率は16倍である。
【0061】
最後に、未焼成PTFE多孔質膜を、熱風発生炉を用いて380℃で焼成し、帯状のPTFE多孔質膜を得た。このPTFE多孔質膜の厚さは30μmであった。
【0062】
参照例2
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を5倍とした以外は参照例1と同様にして、厚さ17μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0063】
参照例3
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を7倍とした以外は参照例1と同様にして、厚さ11μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0064】
参照例4
PTFEファインパウダーとしてデュポン社製「601A」、SSG2.150を用いた以外は参照例1と同様にして、厚さ20μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0065】
参照例5
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を5倍とした以外は参照例4と同様にして、厚さ17μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0066】
参照例6
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を7倍とした以外は参照例4と同様にして、厚さ14μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0067】
(実施例7)
液状潤滑剤を除去したPTFEシートの長手方向および幅方向への延伸倍率をそれぞれ8倍とした以外は参照例1と同様にして、厚さ9μmのPTFE多孔質膜を作製した。この実施例では、液状潤滑剤を除去してから実施した延伸の延伸面倍率が64倍となる。
【0068】
(実施例8)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を5倍とした以外は実施例7と同様にして、厚さ5μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0069】
(実施例9)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を7倍とした以外は実施例7と同様にして、厚さ3μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0070】
参照例7
液状潤滑剤を除去したPTFEシートの長手方向および幅方向への延伸倍率をそれぞれ8倍とした以外は参照例4と同様にして、厚さ6μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0071】
(実施例11)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を5倍とした以外は参照例7と同様にして、厚さ4μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0072】
(実施例12)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を7倍とした以外は参照例7と同様にして、厚さ3μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0073】
参照例8
圧延後のPTFEシートの厚みが0.4mmとなるように金属圧延ロールの間隔を調整した以外は参照例7と同様にして、厚さ10μmのPTFE多孔質膜を作製した。この圧延も、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。
【0074】
(実施例14)
PTFEファインパウダーとしてダイキン社製「ポリフロンF−104」、SSG2.17を用いた以外は実施例7と同様にして、厚さ30μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0075】
(実施例15)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を5倍とした以外は実施例14と同様にして、厚さ3μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0076】
(実施例16)
液状潤滑剤を含んだままの状態で実施する幅方向への延伸の倍率を7倍とした以外は実施例14と同様にして、厚さ2μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0077】
(比較例1)
圧延した後の液状潤滑剤を含んだ状態にあるPTFEシートをその幅方向に延伸する工程を省略した以外は参照例1と同様にして、厚さ120μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0078】
(比較例2)
圧延した後の液状潤滑剤を含んだ状態にあるPTFEシートをその幅方向に延伸する工程を省略した以外は参照例4と同様にして、厚さ110μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0079】
(比較例3)
圧延した後の液状潤滑剤を含んだ状態にあるPTFEシートをその幅方向に延伸する工程を省略した以外は実施例7と同様にして、厚さ20μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0080】
(比較例4)
圧延した後の液状潤滑剤を含んだ状態にあるPTFEシートをその幅方向に延伸する工程を省略した以外は参照例8と同様にして、厚さ50μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0081】
(比較例5)
圧延した後の液状潤滑剤を含んだ状態にあるPTFEシートをその幅方向に延伸する工程を省略した以外は実施例14と同様にして、厚さ40μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0082】
(比較例6)
圧延後のPTFEシートの厚みが0.6mmとなるように金属圧延ロールの間隔を調整した以外は比較例3と同様にして、厚さ60μmのPTFE多孔質膜を作製した。この圧延も、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。
【0083】
(比較例7)
圧延後のPTFEシートの厚みが0.8mmとなるように金属圧延ロールの間隔を調整した以外は比較例4と同様にして、厚さ80μmのPTFE多孔質膜を作製した。この圧延も、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。
【0084】
(比較例8)
圧延後のPTFEシートの厚みが0.4mmとなるように金属圧延ロールの間隔を調整した以外は比較例5と同様にして、厚さ50μmのPTFE多孔質膜を作製した。この圧延も、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。
【0085】
(比較例9)
PTFEファインパウダー(ダイキン社製「ポリフロンF−104」、SSG2.17)100重量部に液状潤滑剤(ドデカン)19重量部を均一に混合し、この混合物を丸棒状に予備成形した。次いで、この成形体を、丸棒状にペースト押出しした。押し出したPTFEシートの直径は44mmであった。
【0086】
さらに、丸棒状の成形体を150kNで30分間プレスして厚さ0.2mmのシートとし、さらに1対の金属圧延ロールの間を通過させて圧延した。この圧延は、圧延の前後においてPTFEシートの幅方向の長さに変化がないように、圧延ロールの下流側に配置したロールを用いてPTFEシートをその長手方向に引っ張りながら実施した。以降は比較例1と同様にして、厚さ80μmのPTFE多孔質膜を得た。
【0087】
(比較例10)
液状潤滑剤を除去したPTFEシートの長手方向および幅方向への延伸倍率をそれぞれ4倍とした以外は比較例5と同様にして、厚さ120μmのPTFE多孔質膜を作製した。
【0088】
(比較例11)
PTFEファインパウダーとして旭フロロポリマーズ製「フルオンCD−1」、SSG2.20を用いた以外は実施例7と同様の方法により、PTFE多孔質膜の作製を試みた。しかし、長手方向および幅方向についてそれぞれ8倍に延伸したところ、膜が破断した。
【0089】
(比較例12)
PTFEファインパウダーとして旭フロロポリマーズ製「フルオンCD−1」、SSG2.20を用いた以外は実施例8と同様の方法により、PTFE多孔質膜の作製を試みた。しかし、液状潤滑剤を含んだままの状態で幅方向に5倍の倍率で延伸したところ、膜が破断した。
【0090】
各実施例、参照例1〜8および比較例1〜10から得たPTFE多孔質膜について、耐水圧および通気度を測定した。耐水圧は、JIS L1092に規定されている耐水度試験機(高圧法)により測定した。また、通気度は、JIS P8117に規定されているガーレー試験機によりガーレー数G[秒/100ml]を測定し、関係式(4)を用いてGをフラジール数Fに換算した。ただし、通気度が高いPTFE多孔質膜については、測定の精度を上げるために、ガーレー数の測定を100mlではなく300mlの空気を用いて実施し、この結果から100mlの空気がPTFE多孔質膜を通過する時間を算出し、ガーレー数Gを求めた。300mlの空気を用いた場合には、得られた値の1/3の数値を関係式(4)のGに代入した。結果を表1に示す。
【0091】
測定した耐水圧および通気度を図3に示す。図3における○および●は実施例および参照例を、×は比較例をそれぞれ示す。また、Eとともに付与されている数字は実施例の番号であり、Cとともに付与されている数字は比較例の番号である。
【0092】
図3に破線矢印で示したように、圧延後の厚さを変えることによって、PTFE多孔質膜を厚膜化すると、耐水圧は高くなるが通気度は低くなる。このように、耐水圧と通気度とは、通常、トレードオフの関係があるため、その両方を改善することは難しい。また、図3に一点鎖線の矢印で示したように、ダイからの押出形状を丸棒からフィッシュテールダイによるシート状に変更しただけでは通気度は却って低下する。各比較例は、図3に実線で示した直線よりも下方に存在する(R<―0.1F+0.5)。
【0093】
各比較例と対比すると、各実施例のPTFE多孔質膜は、単層膜でありながらも、耐水性および通気性が高いレベルでバランスがとれており、図3の直線よりも上方にプロットされている(R≧―0.1F+0.5)。
【0094】
実施例の中でも、標準比重2.16以下のPTFEファインパウダーを用い、工程Cにおける延伸(湿式延伸)の倍率を5.0倍以上に設定し、工程Eにおける延伸(乾式延伸)の面倍率を50倍以上140倍以下として得た実施例8,9,11,12のPTFE多孔質膜は、フラジール通気度Fが1〜4cm3/秒/cm2であって耐水圧Rが0.5〜1MPaの特性を示し、耐水性および通気性がとりわけ高いレベルで両立していた。
【0095】
図3には、乾式延伸の面倍率を16倍(50倍未満)とした参照例をグループAとして、標準比重が2.17(2.16超)であるPTFEファインパウダーを用いた実施例をグループBとして表示し、湿式延伸の倍率を3倍(5倍未満)とした実施例および参照例を黒丸(●)により示した。これらのグループに含まれる実施例および参照例と比較すると、実施例8,9,11,12は耐水性および通気性のバランスに優れていることが理解できる。
【0096】
【表1】
【0097】
実施例14〜16から得たPTFE多孔質膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図4図6に示す。また、比較例5から得たSEM写真を図7として示す。いずれのSEM写真も紙面上下方向が長手方向(MD方向)である。図4図6のPTFE多孔質膜の膜構造は、従来の製法から得られたPTFE多孔質膜の膜構造(図7)と比較すると、小径化したフィブリル、ノードとしては判別しがたい程度に小さい多数の「ノード」、および延伸方向以外の方向に伸びるフィブリルの増加によって特徴づけられる。
【符号の説明】
【0098】
1 ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)多孔質膜
2、2a、2b 固定用部材
3 通気領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7