(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る振動音響計測システムを示す概略図。
【
図2】実施形態に係る携帯端末による回転機械のビデオ撮影の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る元画像のエッジ情報と撮影画像のエッジ情報を表示したモデル図。
【
図5】実施形態に係る元画像のエッジ情報と撮影画像のエッジ情報を表示したモデル図。
【
図6】実施形態に係る元画像のマーカー情報と撮影画像のマーカー情報を表示したモデル図。
【
図7】実施形態に係る元画像のマーカー情報と撮影画像のマーカー情報を表示したモデル図。
【
図8】実施形態に係る携帯端末で回転機械を距離A´だけ離れた位置から撮影するモデル図。
【
図9】実施形態に係る携帯端末で回転機械を距離B´だけ離れた位置から撮影するモデル図。
【
図10】実施形態に係る携帯端末の周波数特性及び補正カーブを示すグラフ。
【
図11】実施形態に係る携帯端末の補正カーブ及び補正後の周波数特性を示すグラフ。
【
図12】実施形態に係る撮影画像、音響信号を関連付けて示す図。
【
図13】実施形態に係る制御PCと携帯端末との間で通信する情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態ついて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る振動音響計測システム1を示す概略図である。振動音響計測システム1は、携帯端末2、制御PC(Personal Computer)3を有する。
携帯端末2は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートホン、デジタルカメラ、ビデオカメラなどであるが、これらに限定されるものではない。携帯端末2は、後述する撮影機能、集音機能を有していればよい。携帯端末2は、制御部21、記憶部22、撮影部(撮影手段)23、集音部(集音手段)24、通信部25、表示部26を有する。
【0010】
制御部21は、携帯端末2内の各部の動作を制御する。制御部21は、対象検出手段211、信号処理手段212、信号解析手段213、記録制御手段214を有する。各手段の作用については後述する。記憶部22は、制御部21の動作プログラムを保存する機能を有する。また、記憶部22は、各種データを一時的に保存する機能を有する。撮影部23は、録画用の動画または静止画の撮影機能を有するセンサである。集音部24は、録音用の集音機能を有する音響マイクである。通信部25は、制御PC3と無線または有線で通信し、データを送受信する。表示部26は、画像等のデータを表示するディスプレイである。
【0011】
制御PC3は、制御部31、記憶部(記憶手段)32、通信部33、表示部34を有する。制御部31は、制御PC3内の各部の動作を制御する。制御部31の作用については、後述する。記憶部32は、制御部31の動作プログラムを保存する機能を有する。また、記憶部32は、各種データを一時的に保存する機能を有する。通信部33は、携帯端末2と無線または有線で通信し、データを送受信する。表示部34は、画像等のデータを表示するモニタである。
【0012】
次に、携帯端末2による計測対象である回転機械4のビデオ撮影について説明する。
図2は、携帯端末2による回転機械4のビデオ撮影の一例を示す図である。回転機械4は、一例として、ポンプ5が回転軸に接続されたモータ(電動機)である。なお、回転機械4は、これに限定されるものではない。また、振動音響計測システム1は、回転機械4に限られず、駆動により振動する機械に適用できる。
【0013】
携帯端末2は、回転機械4の音響診断時に、撮影対象である駆動中の回転機械4の外周面を撮影部23及び集音部24を用いてビデオ撮影する。撮影部23は、回転機械4の画像を撮影し、画像信号を取得する。集音部24は、回転機械4の放射音を計測し、音響信号を取得する。携帯端末2は、位置Aから位置Bにかけて回転機械4の外周を移動すると共に、連続的に回転機械4の外周面をビデオ撮影する。したがって、携帯端末2は、位置Aから位置Bにかけての移動時間分に相当する画像信号、音響信号を取得する。制御部21は、現在撮影している画像(以降、撮影画像という)の信号に基づく画像データ、現在計測している音響信号に基づく音響データを記憶部22に記録する。なお、携帯端末2の移動は、人手によって行なわれても、自動で行なわれてもよい。
【0014】
次に、携帯端末2が取得した画像データ、音響データを用いた回転機械4の音響診断処理、管理処理について、各部の作用と共に説明する。携帯端末2は、通信部25を介して、音響診断処理に必要な情報(以降、解析情報という)を制御PC3からダウンロードしているものとする。解析情報は、計測対象である回転機械4の元画像、計測対象毎に登録されたエッジ部分の情報またはマーカー部分の情報、回転機械4の運転・機械諸元情報(回転数、軸受諸元、電動機が対象であればその極数、スロット数、スロットコンビ値、ポンプであれば羽枚数、案内羽枚数、ギアボックス又は歯車であれば全ての歯数)、後述するように信号解析手段213で音響信号を解析するための解析条件などのうち少なくとも1つを含む。なお、元画像とは、予め上記手法によりビデオ撮影されたものであって、初期設置時(正常時)における駆動していない計測対象である回転機械4の外周面の画像をいう。元画像は、予め携帯端末2が制御PC3にアップロードされていてもよい。
【0015】
対象検出手段211の作用について説明する。対象検出手段211は、計測対象である回転機械4の元画像を取得する。制御部21は、音響診断開始時に、制御PC3から元画像をダウンロードし、記憶部22に一時的に保存する。なお、元画像は、予め記憶部22に保存されていてもよい。
【0016】
対象検出手段211は、撮影画像と元画像を比較することで、撮影画像から、回転機械4の計測対象部位の特徴図形(一部)または全体像(全景)を検出(抽出)する。計測対象部位とは、回転機械4において予め登録された計測対象となる部位(例えば(回転機械4の負荷側)、フレームフィン(フレーム)、ファンカバー(反負荷側)など)である。つまり、対象検出手段211は、撮影画像中における回転機械4の計測対象部位の特徴図形または全体像の存在の有無(特徴図形または全体像との一致の有無)を解析し、判断する。なお、回転機械4に複数の計測対象部位がある場合、対象検出手段211は、撮影画像毎に異なる計測対象部位を検出すればよい。対象検出手段211は、撮影画像と元画像との比較を例えば画像マッチング技術によって判断する。主なアルゴリズムとしては、残差逐次検定法などである。なお、対象検出手段211が撮影画像中における計測対象部位の全体像の存在の有無を常に解析判断することは、処理時間が膨らむ要因となる。そのため、対象検出手段211は、撮影画像から計測対象部位の特徴図形を主として検出するようにしてもよい。
【0017】
次に、対象検出手段211が撮影画像から計測対象部位の特徴図形を検出する手法の一例について説明する。
図3は、一例となる計測対象部位(軸受ハウジング)の撮影画像の一例を示す図である。撮影画像から計測対象部位を検出する方法は、撮影画像から、計測対象部位の特徴図形であるエッジ部分41を求める方法、回転機器4のハウジングの外周面に取り付けられた回転機器4の型式を示す銘版42をマーカーとして応用する方法が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
エッジ部分41を求める方法について説明する。なお、対象検出手段211は、元画像から、元画像のエッジ部分41の情報(以降、元画像のエッジ情報という)を導くことができる。さらに、対象検出手段211は、撮影画像から、例えば、画像微分と2値化処理により、撮影画像のエッジ部分41の情報(以降、撮影画像のエッジ情報という)を導くことができる。上記のように、対象検出手段211は、元画像のエッジ情報と、撮影画像のエッジ情報を取得する。
【0019】
図4は、元画像のエッジ情報と、撮影画像のエッジ情報を同時に表示したモデル図である。つまり、対象検出手段211は、元画像のエッジ情報を撮影画像に重畳させる。
図4中の実線は、撮影画像のエッジ情報であり、破線は、元画像のエッジ情報である。
図5は、背景の撮影画像を削除し、撮影画像のエッジ情報と元画像のエッジ情報だけを同時に表示したモデル図である。対象検出手段211は、撮影画像のエッジ情報と元画像のエッジ情報を比較、検査することにより、撮影画像中における特徴図形の存在の有無を判断できる。一例として、対象検出手段211は、撮影画像のエッジ情報を収縮させてマッチングを行えば元画像のエッジ情報と一致させることができる。つまり、対象検出手段211は、撮影画像及び元画像のエッジ情報に基づいて、撮影画像から計測対象部位を検出する。対象検出手段211が、撮影画像のエッジ情報が元画像のエッジ情報と一致したと判断した場合、制御部21は、音響診断処理を起動する。つまり、制御部21は、撮影画像のエッジ情報と元画像のエッジ情報とのパターンマッチングにより、ビデオ撮影時に自動的に音響診断処理を起動する。なお、対象検出手段211が、撮影画像のエッジ情報が元画像のエッジ情報と一致しないと判断した場合、制御部21は、撮影画像のエッジ情報が予め設定された計測対象部位ではないと判断し、音響診断処理を起動しない。
【0020】
次に、銘板42をマーカーとして応用する方法について説明する。銘板42は、回転機械4の表面の所定位置に配置されている。銘板42は、形状の単純な記号または文字などの識別情報がマーカーとして予め書き込まれている。なお、銘板42にではなく、回転機械4の表面にマーカーが予め記入されていてもよい。なお、対象検出手段211は、元画像から、元画像の銘板42の情報(以降、元画像のマーカー情報という)を導くことができる。さらに、対象検出手段211は、撮影画像から、撮影画像の銘板42の情報(以降、撮影画像のマーカー情報という)を導くことができる。上記のように、対象検出手段211は、元画像のマーカー情報と、撮影画像のマーカー情報を取得する。
【0021】
図6は、元画像のマーカー情報と、撮影画像のマーカー情報を同時に表示したモデル図である。つまり、対象検出手段211は、元画像のマーカー情報(破線)を撮影画像に重畳させる。
図7は、
図6に示す撮影画像から撮影画像のマーカー情報だけを切り出し、元画像のマーカー情報と比較するモデル図である。対象検出手段211は、撮影画像のマーカー情報と元画像のマーカー情報を比較、検査することにより、撮影画像中における特徴図形の存在の有無を判断できる。一例として、対象検出手段211は、エッジ部分41を求める方法の場合とは逆に、撮影画像のマーカー情報を拡大させてマッチングを行えば元画像のマーカー情報と一致させることができる。つまり、対象検出手段211は、撮影画像及び元画像のマーカー情報に基づいて、撮影画像から計測対象部位を検出する。対象検出手段211が、撮影画像のマーカー情報が元画像のマーカー情報と一致したと判断した場合、制御部21は、音響診断処理を起動する。つまり、制御部21は、撮影画像のマーカー情報と元画像のマーカー情報とのパターンマッチングにより、ビデオ撮影時に自動的に音響診断処理を起動する。なお、対象検出手段211が、撮影画像のマーカー情報が元画像のマーカー情報と一致しないと判断した場合、制御部21は、撮影画像のマーカー情報が予め設定された計測対象部位ではないと判断し、音響診断処理を起動しない。なお、制御部21は、撮影画像のマーカー情報に基づいて、回転機械4の種別を識別できるだけでなく、計測対象部位(電動機の場合、軸受カバー、フレームフィン、ファンカバーなど)も特定できる。これは、銘板42には回転機械4毎に異なるマーカー(形状)が表記されているためである。
【0022】
さらに、対象検出手段211は、撮影画像と元画像を比較することで、携帯端末2による回転機械4の撮影位置(携帯端末2が撮影画像を取得するためにビデオ撮影した回転機械4との距離)を検出できる。つまり、対象検出手段211は、撮影画像と元画像が一致すると判断した場合、撮影画像中における計測対象部位の位置と大きさから、撮影位置を検出(推定)する。例えば、対象検出手段211は、
図7に示す撮影画像のマーカー情報の寸法Aと、元画像のマーカー情報の寸法Bとを比較する。対象検出手段211は、撮影画像中の計測対象部位と元画像中の計測対象部位との形状の相違に基づいて、撮影画像の撮影位置が元画像の撮影位置とどの程度異なっているかを定量的に判断する。対象検出手段211は、判断結果に基づいて、撮影画像の撮影位置の情報を補正する。
【0023】
ここで、撮影位置の特定手法の一例について説明する。
図8は、携帯端末2で回転機械4を距離A´だけ離れた位置から撮影するモデル図である。
図9は、携帯端末2で回転機械4を距離B´(>A´)だけ離れた位置から撮影するモデル図である。対象検出手段211は、距離B´だけ離れた位置での撮影画像よりも、距離A´だけ離れた位置での撮影画像を大きな画像として取得できる。対象検出手段211は、元画像のエッジ情報のサイズと、撮影画像のエッジ情報のサイズを比較することにより、撮影画像の撮影位置を特定し、撮影画像の撮影位置を補正できる。なお、
図8、9は、エッジ部分41を求める方法に関する図を示しているが、銘板42をマーカーとして応用する方法であっても同様である。
【0024】
なお、携帯端末2がオーバーレイ表示方法により回転機械4をビデオ撮影した場合、対象検出手段211は、上記の撮影位置の特定処理を省略してもよい。オーバーレイ表示方法は、表示部26にある計測対象部位の元画像(静止画)を半透明で表示させながらビデオ撮影する方法である。携帯端末2は、表示部26には元画像が半透明に表示されるので、元画像と重なるように回転機械4をビデオ撮影すれば、元画像の撮影位置で撮影画像を容易に撮影できる。なお、携帯端末2は、表示部26にある計測対象部位の元画像のエッジ情報(またはマーカー情報)を半透明に表示させ、元画像のエッジ情報(またはマーカー情報)と重なるように回転機械4をビデオ撮影すれば、元画像の撮影位置で撮影画像を容易に撮影できる。
【0025】
次に、信号処理手段212の作用について説明する。信号処理手段212は、集音部24がビデオ撮影時に計測した放射音に基づく音響信号をデジタルの音響信号に変換する際、携帯端末2(集音部24)に応じた周波数特性、撮影位置に応じた信号レベルの双方を補正(調整)する。
【0026】
周波数特性の補正について説明する。携帯端末2の周波数特性(音響計測機能)は、一般の騒音計とは異なり、計測周波数帯域(10〜100000Hz)全域で一定(フラット)とは限らない。周波数特性は、帯域によっては減衰する場合もある。計測したい音の帯域が減衰する場合、携帯端末2は、回転機械4の状態を正しく判断することができない。そこで、信号処理手段1221は、周波数特性を補正する。例えば、信号処理手段1221は、対象検出手段211で検出した対象機械4(そのID)に基づいて、信号検出レンジ(電圧)、離散化周期(計測周波数帯域)を調整する。
【0027】
図10は、携帯端末2が1〜10000Hzのスイープ信号(音響信号)を計測し、FFT(Fast Fourier Transformation)解析を実施した結果(横軸周波数、縦軸FFTレベル)の一例となる周波数特性(実線)及びこれを補正する補正カーブ(破線)を示すグラフである。
図10から分かるように、周波数特性のレベルは、一定ではなく、帯域毎に携帯端末2(集音部24)の感度が異なる。そこで、制御部21は、周波数特性から波線で示すような補正カーブを予め求めておき、記憶部22に保存しておく。なお、補正カーブは、周波数特性を反転させたものである。信号処理手段1221は、記憶部22に保存されている補正カーブを用いて、音響信号の周波数特性(計測時減衰または増幅分)を補正する。
【0028】
図11は、
図10で示した補正カーブの波形(実線)及び補正後の周波数特性(破線)を示すグラフ(横軸周波数、縦軸FFTレベル)の一例である。補正後の周波数特性は、全帯域で一定のレベルに補正される。信号処理手段1221は、計測した音響信号に対して補正カーブを適用して補正することで、全帯域で一定のレベルになるように音響信号を補正することができる。つまり、補正カーブは、特に減衰してしまう帯域であっても、この帯域について増幅させるように予め設定された状態で記憶部22に保存されている。そのため、携帯端末2は、全ての帯域で各回転機械4が発する微小な異常音も音響診断(記録解析)することが可能にある。
【0029】
撮影位置に応じた信号レベルの補正について説明する。信号処理手段212は、対象検出手段211で特定した撮影位置(距離)の違いに応じて信号レベルを補正する。つまり、信号処理手段212は、距離の比に応じて信号レベルを補正する。例えば、信号処理手段212は、予め回転機械4からの距離をずらしながら信号レベルを計測し、信号レベルの減衰又は増幅の程度を予め求めたテーブルを用いることで、より高い精度で音響信号の信号レベルを補正できる。
【0030】
次に、信号解析手段213の作用について説明する。
図12は、
図2に示す手法により携帯端末2でビデオ撮影した際に得られる撮影画像、音響信号の同期を取って関連付けて示す図である。
図12の音響信号のグラフは、横軸に時間、縦軸に信号レベルを示している。信号解析手段213は、対象検出手段211が回転機械4の各計測対象部位において、撮影画像の中における元画像の有無及び撮影位置を特定できるので、各測定対象部位の撮影画像(連続撮影したファイルから切り出した画像)、その撮影位置情報、同時に計測した音響信号との関係(撮影タイミング)の同期を取って設定(ひも付け)できる。したがって、信号解析手段213は、対象検出手段211が撮影画像から計測対象部位を検出した場合、以下のように、音響信号を予め設定された解析条件(状態判定値)に基づいて解析し、計測対象部位の状態を診断する。なお、信号解析手段213は、計測対象部位毎に音響信号を解析する。
【0031】
信号解析手段213は、予め設定された特定周波数の信号の判断レベルと信号処理手段212で補正された音響信号とを比較する。さらに、信号解析手段213は、回転機械4の設定回転数情報を元に、音響信号の中の回転n次成分を求め、実回転数を検出する。さらに、信号解析手段213は、機械固有のパラメータ(軸受では軸受パス周波数、ギアボックスでは歯当たり周波数、ポンプでは羽切り周波数など)のレベルから異常の有無を判断する。つまり、信号解析手段213は、予め設定された解析条件に基づいて、回転機械4の各計測対象部位における状態を診断する。
【0032】
なお、前記信号解析手段213は、計測対象部位及び撮影位置のうち少なくとも1つに応じて、計測対象部位毎または撮影位置毎またはこれらの組み合わせ毎に設定された診断アルゴリズム(診断方法)を自動的に切り替えて(追加して)起動して解析条件を変更し、音響信号を解析する機能を備えていてもよい。一例として、信号解析手段213は、アンバランスを全部位に等しく実施すると設定し、ビデオ撮影時、軸受カバーが撮影対象に入ってきた時に、自動的に軸受診断機能(軸受診断アルゴリズム)を起動する。他の例として、信号解析手段213は、フレームを撮影するタイミングでは、電磁騒音、アンバランス異音の解析処理を自動的に起動する。上記のような信号解析手段213の機能は、音響マイクだけの計測ではできない機能である。
【0033】
次に、記録制御手段214の作用について説明する。記録制御手段214は、計測タイミング毎(ビデオ撮影毎)に電子ファイルを作成する。つまり、記録制御手段214は、信号解析手段213で関係づけられた撮影画像と音響信号を含む測定結果を一つの電子ファイルとして記憶部22に記録する。さらに、記録制御手段214は、ビデオ撮影時、計測対象部位毎に測定結果の電子ファイルを作成する。つまり、記録制御手段214は、対象検出手段211が撮影画像中に測定対象部位(例えば特徴となるエッジ情報、マーカー情報)が存在することを特定する都度音響診断処理を起動すると、計測対象部位毎に、測定結果を一つの電子ファイルとして記憶部22に記録する。
上記のような携帯端末2の各部の処理により、音響診断処理は、終了する。その後、制御部21は、通信部25を介して、記録制御手段214が記憶部22に記録した測定結果に解析情報を付加した診断結果ファイルを制御PC3にアップロードする。
【0034】
次に、制御PC3の制御部31の作用について説明する。制御部31は、音響診断処理時に、ユーザの要求に応じてまたは自動で、携帯端末2との間で各種情報を送受信する。
図13は、制御PC3と携帯端末2との間で通信する情報の例を示す。制御部(送信手段)31は、通信部33を介して、音響診断処理開始前に、携帯端末2にダウンロードする解析情報を送信する。なお、解析情報は、記憶部32に保存されている。
【0035】
さらに、制御部(受信手段)31は、通信部33を介して、音響診断処理終了後に、携帯端末2からアップロードされる診断結果ファイルを受信する。制御部31は、診断結果ファイルを記憶部32に記録する。さらに、制御部31は、診断結果ファイルに含まれる撮影画像から、自動的に回転機械4の計測対象部位を特定し、診断結果ファイルを計測対象部位毎に管理された場所(電子ファイルフォルダ)に保存する。したがって、制御PC3は、診断結果ファイルが誤って別の電子ファイルフォルダに転送されることを防止できる。
【0036】
なお、制御部31は、診断結果ファイルがアップロードされた際に、表示部34に診断結果ファイルの情報を表示してもよい。さらに、制御部31は、診断結果ファイルに含まれる撮影画像を確認し、測定結果の矛盾の有無をチェックするようにしてもよい。
上記のような制御PC3の処理により、管理処理は、終了する。
【0037】
本実施形態によれば、回転機械4の音響診断処理、管理処理を自動化できる。さらに、回転機械4の測定機器である携帯端末2は、可搬性に優れているため、より簡便に回転機械4の振動現象をビデオ撮影できる。したがって、監視員による回転機械4の監視負担を軽減でき、回転機械4の損傷事故を未然にかつ容易に防ぐことができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。