(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の装置では、一点鎖線で示すように第1の搬送方向に搬送される用紙5の先端部が、その用紙5の搬送力により二点鎖線で示すように、送りロール4と押えコロ3とのニップ部に押し込まれ、用紙5の第1の搬送方向に向かう搬送力がゼロの状態から送りロール4の回転力で第3の搬送方向に向けて搬送開始される。
つまり、用紙5を第1の搬送方向に搬送する図示しない送りロールの送り出し部と、送りロール4と押えコロ3のニップ部との間の距離が用紙5の第1の搬送方向の長さよりも短く、前述の送りロールの送り出し部と案内プレート1との間の距離が用紙5の前述の長さよりも長く、用紙5の先端部が送りロール4と押えコロ3のニップ部に挿入され、用紙5の後端部が送りロールの送り出し部と離れたときに、用紙5は送りロール4の回転力で第3の搬送方向に向けて搬送開始される。
【0005】
用紙5を第1の搬送方向に間欠的に連続して搬送する場合に、先に搬送された用紙5と次に搬送された用紙5が送りロール4と押えコロ3のニップ部において重なることがなく、用紙の搬送を安定化させるには、二点鎖線で示す用紙5が第2の搬送方向に向けて、その用紙5の第2の搬送方向に向かう幅Hだけ搬送されてから、次の用紙5が送りロール4と押えコロ3のニップ部に送り込まれるようにしなければならない。
【0006】
送りロール4と押えコロ3で用紙5をニップして搬送するときの搬送速度は送りロール4の回転速度(周速)で決定される。
また、前述したように送りロール4と押えコロ3でニップした用紙5を、第2の搬送方向に搬送開始するときに、その用紙5は第2の搬送方向に停止した状態であるから、ゼロから前述した搬送速度まで加速されることになる。
この加速時間を短くするには、送りロール4の回転速度を速くすれば良いが、そのようにすると送りロール4と用紙5との間でスリップが発生するので、加速時間を短くするには限度がある。
なお、前述のスリップを発生し難くするには押えコロ3を重くすれば良いが、押えコロ3が重いと用紙5の先端部が送りロール4と押えコロ3のニップ部に入り込みづらくなってしまう。
【0007】
前述のことから、送りロール4と押えコロ3でニップした用紙5を前述の幅Hだけ搬送するには、その幅Hと送りロール4による搬送速度で決定される搬送時間に前述の加速時間を加えた時間がかかり、その送りロール4による搬送速度、加速時間には限度がある。
【0008】
このために、第1の搬送方向に搬送される用紙の搬送速度が速いと共に、その用紙の搬送間隔が短く、送りロール4と押えロール3のニップ部に用紙が短い時間間隔で送り込まれたとき、つまり、用紙が第1の搬送方向に高速度で搬送されるときに、先に送り込まれた用紙5が前述の用紙の幅Hだけ第2の搬送方向に搬送される以前に、次に搬送された用紙5の先端部が送りロール4と押えコロ3のニップ部に送り込まれ、そのニップ部で先に搬送された用紙5と次に搬送された用紙5が重なり、安定した用紙搬送ができない。
したがって、従来の装置では用紙を高速で搬送方向を転換して搬送できない。
【0009】
例えば、連続用紙を用紙カット部で枚葉紙にカットし、そのカットした用紙を第1の搬送方向に搬送するようにした場合には、その用紙が送りロール4と押えコロ3のニップ部に送り込まれる時間間隔が、用紙カット部で枚葉紙を1枚カットする時間に同一であり、カット速度により決まる物理的定数であり、そのカット速度を速くした場合には、前述のように先の用紙と次の用紙が送りロール4と押えコロ3のニップ部で重なることがある。
【0010】
本発明は前述の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、第1の搬送方向に高速度で搬送されるシートを、送りロールと押えコロのニップ部で重なることなく、確実に第2の搬送方向に搬送でき、シートを高速で搬送方向を転換して搬送できるようにしたシートの搬送方向転換装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを第1の搬送方向に搬送する第1搬送部と、
当該第1搬送部の送り出し側
に設けられ、
当該第
1搬送
部から送り出されたシート
を載せて第2の搬送方向に搬送する第2搬送部を備え、
当該第2搬送部は、シートを第2の搬送方向に搬送ガイドする搬送ガイドと、
上記第2の搬送方向
に対して当該搬送ガイド
側に傾斜した第3の搬送方向に
シートを搬送する複数の送りロールと、
当該送りロールの搬送ガイド寄りにニップした複数の押えコロを有し、
上記第2搬送部は、送りロールと押えコロでシートをニップすることで、
当該シートを第3の搬送方向に搬送して
上記搬送ガイドに
当接させた後、
当該搬送ガイドに沿って第2の搬送方向に搬送し、
上記送りロールと押えコロのニップ部と、
上記送り出し部との間の距離
を、上記シートの第1の搬送方向の長さよりも長くすると共に、上
記送り出し部と
上記ニップ部との間に、
上記送り出し部から第1の搬送方向に搬送されたシートを
上記送りロール
における上記ニップ部よりも上記第1の搬送方向の上流側の部位に向けて
案内するシート案内部を設け、
上
記送り出し部を離れたシートの先端部が
上記ニップ部に送り込まれる以前に、
回転している送りロールに接するようにしたことを特徴とするシートの搬送方向転換装置である。
【0012】
本発明のシートの搬送方向転換装置においては、上記搬送ガイドと押えコロを、送りロールの軸線方向に平行移動自在とすることができる。
【0013】
このようにすれば、シートの第1の搬送方向の長さに応じて搬送ガイドと押えコロを送りロールの軸線方向に平行移動することで、その押えコロと送りロールのニップ部と第1搬送部の送り出し部との間の距離を調整できるから、第1の搬送方向の長さが異なるシートを第1の搬送方向から第2の搬送方向に転換して搬送できる。
【0014】
本発明のシートの搬送方向転換装置においては、上記シート案内部を、第1の搬送方向に移動自在とすることができる。
【0015】
このようにすれば、シートの第1の搬送方向の長さが著しく短い場合や、シートの第1の搬送方向の搬送速度、第3の搬送方向の搬送速度、シートの材質、厚さ、サイズなどに応じてシート案内部を適正位置とすることが可能である。
【0016】
本発明のシートの搬送方向転換装置においては、上記搬送ガイドと押えコロを、電動機を駆動源とした移動機構で送りロールの軸線方向に移動自在とし、
上記シート案内部を、電動機を駆動源とした移動機構で第1の搬送方向に移動自在とし、
上記各移動機構の電動機を制御装置にて独立して制御することで、搬送ガイドと押えコロの位置及びシート案内部の位置を自動的に制御するようにできる。
【0017】
このようにすれば、シートのサイズ、第1・第2の搬送方向の搬送速度、シートの材質、厚さなどの条件に対応して搬送ガイド、押えコロ、シート案内部の位置設定が数値的に管理して適正位置とすることができ、通常作業時には難しい調整作業を排除することができ作業者の熟練度への依存性を排除することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1搬送部で第1の搬送方向に搬送されたシートは、その先端部が送りロールと押えコロのニップ部に送り込まれる以前に送りロールと接触し、第3の搬送方向への搬送速度が生じた状態で送りロールと押えコロのニップ部に送り込まれるから、短時間で所定の搬送速度まで加速されると共に、急加速が緩和されて無理のない加速ができる。
したがって、第1の搬送方向に高速度で搬送されるシートを、その先に搬送されたシートと次に搬送されたシートが送りロールと押えコロのニップ部で重なることなく、確実に第2の搬送方向に搬送でき、シートを高速で搬送方向を転換して搬送できるから後処理工程へ独立分離した形で高効率に送り込むことができるため、単位時間ごとの処理可能なシート枚数が増量され、システムとしての処理能力を高めることができる。
また、搬送部におけるシート搬送トラブルが減少し、安定性、調整の容易性など作業性、操作性が改善される。
また、搬送部における損紙の発生も防止でき、製品の生産コストも改善される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を
図1〜
図5に基づいて説明する。
シート10を第1の搬送方向(矢印a方向)に搬送する第1搬送部20と、その第1搬送部20の送り出し側に設けられシート10を第2の搬送方向(矢印b方向)に搬送する第2搬送部30と、第1搬送部20の送り出し側に設けたシート案内部40を備えている。
シート10は長方形や正方形の4つの端面で囲まれた矩形状である。
第1搬送部20は、図示しないフレームに設けた下コンベア21と上コンベア22をニップした搬送コンベアで、その下コンベア21と上コンベア22でシート10をニップ(挟持)することで第1の搬送方向に搬送される。下コンベア21が上コンベア22よりも第1の搬送方向に突出している。
この第1搬送部20は送りロールにニップロールをニップしたロールタイプでも良い。
【0021】
第2搬送部30は、第1の搬送方向に間隔を置いて設けた第2の搬送方向に向かう一対のフレーム31と、この一対のフレーム31間に、第2の搬送方向に間隔を置いて回転自在に設けたほぼ第1の搬送方向に向かう複数の送りロール32と、この各送りロール32の第1搬送部20の送り出し部20aと反対側に渡って設けた搬送ガイド33と、この搬送ガイド33に前述の送り出し部20a方向に向けて設けた横向板34と、この横向板34に第2の搬送方向に間隔を置いて自重で落下するように回転自在に設けられ、送りロール32に接している複数の押えコロ35を有している。
【0022】
複数の送りロール32は図示しない駆動源で回転駆動されると共に、第1の搬送方向と平行に対して搬送ガイド33に向けて傾斜し、シート10を第3の搬送方向に向けて搬送する。つまり、傾斜ロールで、この複数の送りロール32で傾斜ロールコンベアを構成している。
この複数の送りロール32の周面が第2搬送部30の搬送面で、その搬送面(送りロール32の周面)は第1搬送部20の送り出し部20aよりも下方に位置している。
【0023】
横向板34には押えコロ35が入り込む穴34aが搬送ガイド33に沿った一直線上に間隔を置いて複数有し、この各穴34aに押えコロ35が回転自在で、自重により落下して送りロール32に接するように設けてある。
つまり横向板34は押えコロ35の位置を決めるものである。
【0024】
送りロール32と押えコロ35のニップ部と第1搬送部20の送り出し部20aとの間の距離Lは、シート10の第1の搬送方向の長さよりも長く、一点鎖線で示すように、そのシート10の後端10aが送り出し部20aと離されたとき(つまり、送り出し完了したとき)にシート10の先端10bが送りロール32と押えコロ35のニップ部に送り込まれないようにしてある。
【0025】
シート案内部40は、第1搬送部20の送り出し部20aと、送りロール32と押えコロ35のニップ部との間に設けてある。
このシート案内部40のシート案内面41は、送り出し部20a側の一端部41aから搬送ガイド33側の他端部41bに向けて順次低くなるように斜めで、第1搬送部20の送り出し部20aから第1の搬送方向に送り出しされたシート10の先端10bがシート案内面41に当接し、そのシート10の先端10bを第1搬送部20の搬送力でシート案内面41に沿って送りロール32に向けて順次移動する。
そして、二点鎖線で示すように、シート案内面41の後端部41b付近において送りロール32に接する。
【0026】
この実施の形態では、シート案内部40のシート案内面41は一端部41aから他端部41bに向けて滑らかに湾曲している。
また、シート案内部40は板状としてある。
【0027】
この実施の形態では横向板34に補助案内板36が前述の送り出し部20aに向けて斜め上方に傾斜して設けてある。
この補助案内板36はシート案内部40の他端部よりも上方に位置して重なり合うようにしてある。
そして、シート10の先端部分がカールしている場合でも送りロール32と押えコロ35のニップ部に確実に送り込みできるようにしてある。
【0028】
次にシート10の搬送方向を転換する動作を説明する。
第1搬送部20の送り出し部20aから第1の搬送方向に送り出しされたシート10は、その先端10bがシート案内部40のシート案内面41に沿って移動し、二点鎖線で示すように、その先端10bがシート案内面41の他端部41b付近まで移動すると、シート10の先端部が送りロール32の表面に接触する。
送りロール32は回転しているので、
図3に示すようにシート10の先端部には摩擦力により第3の搬送方向(矢印c方向)に向かう搬送力が発生する。
【0029】
このとき、
図3に示すようにシート10の後端部が第1搬送部20にニップされた状態(下ベルトコンベア21と上ベルトコンベア22で挟持されている状態)であるから、シート10は全体が第3の搬送方向に移動することはないが、
図3に仮想線で示すように、シート10の中間部に曲がりが生じながら先端部が変位する。
【0030】
そして、一点鎖線で示すように、シート10の後端10aが第1搬送部20の送り出し部20aから離れてニップが解放された時点で、前述の搬送力によってシート10の全体が
図4に示すように斜めの姿勢となる。このとき、シート10に前述した曲がりが残っていたとしても、その曲がりは後述するように搬送ガイド33に当接した後に矯正される。
これと同時に、シート10の送りロール32によって第3の搬送方向に向けて搬送される。このときの搬送力(つまり、搬送速度)はシート10の自重による送りロール32との摩擦力に見合う値で、送りロール32と押えコロ35でニップして搬送するときの搬送力(つまり、搬送速度)よりも小さい。
【0031】
前述のようにしてシート10が第3の搬送方向に搬送されることで、
図5に示すようにシート10の先端部が送りロール32と押えコロ35のニップ部に送り込まれ、送りロール32の回転により前述の搬送力よりも強い搬送力で第3の搬送方向に搬送される。
そして、シート10の先端部10bが搬送ガイド33に接し、その搬送ガイド33に沿って第2の搬送方向に搬送される。
【0032】
このように、シート10の先端部が送りロール32と押えコロ35のニップ部に、第3の搬送方向に搬送されながら送り込まれるので、その送りロール32と押えコロ35でニップしたシート10を第3の搬送方向に搬送開始するときに、シート10の第3の搬送方向への搬送速度がゼロではなく、前述した搬送速度を有しているから、所定の搬送速度まで加速する時間が短い。
【0033】
したがって、送りロール32と押えコロ35のニップ部に送り込まれたシート10を、そのシート10の第2の搬送方向に向かう寸法である幅Hだけ第2の搬送方向に移動する時間が短く、第1の搬送方向に高速度で搬送されるシート10を、送りロール32と押えコロ35のニップ部で重なることなく、確実に第2の搬送方向に搬送できる。
【0034】
前述のように、シート10の先端部が送りロール32と押えコロ35でニップされる以前に、そのシート10を送りロール32によって第3の搬送方向に向けて搬送する距離が長くなると、送りロール32と押えコロ35でニップして第3の搬送方向に搬送したときに、そのシート10の先端10bの全長を搬送ガイド33に接して正しい搬送姿勢に矯正できず、シート10を第2の搬送方向に正しく搬送できないことが発生することがある。
【0035】
例えば、
図5に示すようにシート10の先端10bと搬送ガイド33となす角度θが大きくなると、搬送ガイド33の長さには限度があるから、そのシート10を第3の搬送方向に搬送してもシート10の先端10bの全面を搬送ガイド33に接して第2の搬送方向に向かう正しい姿勢にできないことがある。
【0036】
このことを防止するには、シート10の先端部が送りロール32に接触するタイミングを調整し、シート10が送りロール32で送りロール32と押えコロ35のニップ部まで第3の搬送方向に搬送される距離を適正の値の範囲内とすれば良い。
つまり、シート10の第1の搬送方向への搬送速度、送りロール32による第3の搬送方向への搬送速度、第1搬送部20の送り出し部20aから送りロール32と押えコロ35のニップ部までの距離、シート10の第1の搬送方向の長さに応じて、前述のタイミングを調整すれば良い。
【0037】
そこで、本発明は、搬送ガイド33とともに押えコロ35の第1の搬送方向の位置を調整できると共に、シート案内部40の第1の搬送方向の位置を調整できるようにすることで、前述の条件が異なる場合でもシート10が送りロール32で、送りロール32と押えコロ35のニップ部まで第3の搬送方向に搬送される距離を適正の値の範囲として、シート10を正しい搬送姿勢に矯正できるようにした。
【0038】
例えば、搬送ガイド33の下部に送りロール32が入り込む切欠部33aを形成することで、搬送ガイド33を送りロール32の軸線方向に平行移動可能とし、その搬送ガイド33の移動機構50を設けてある。
この移動機構50は、搬送ガイド33の上部にナット部材51を送りロール32の軸線方向に向けて取り付け、このナット部材51に螺合した移動用ネジ軸52を一対のフレーム31に渡って軸受53で回転自在に支持し、その移動用ネジ軸52を回転することで搬送ガイド33が送りロール32の軸線方向に平行移動するようにする。
一方のフレーム31に電動機54を取り付け、この電動機54で移動用ネジ軸52を回転するようにしてある。
【0039】
シート案内部40を第1の搬送方向に移動可能とし、移動機構60で第1の搬送方向に移動できるようにする。
例えば、シート案内部40にナット部材61を取り付け、このナット部材61に螺合した移動用ネジ軸62を一対のフレーム31間に渡って軸受63で回転自在に支持し、その移動用ネジ軸62を回転することでシート案内部40が第1の搬送方向に平行移動するようにする。
一方のフレーム31に電動機64を取り付け、この電動機64で移動用ネジ軸62を回転するようにしてある。
【0040】
次に、前述の調整動作を説明する。
シート10の第1の搬送方向の長さ(サイズ)に合わせて搬送ガイド33を送りロール32の軸線方向に平行移動し、第1搬送部20の送り出し部20aと、送りロール32と押えコロ35のニップ部との距離を、シート10の前述の長さよりも長くすると共に、シート10の送りロール32による送りロール32と押えコロ35のニップ部までの搬送距離を適正な値とする。
【0041】
シート10の前述の長さが短い場合には、前述のように調整した結果、送りロール32と押えコロ35のニップ部がシート案内部40に接近し過ぎて、前述の適正なシート搬送距離が得られず、最悪の場合にはシート10の先端部が送りロール32と押えコロ35のニップ部に直接送り込まれることがある。
この場合には、シート案内部40を第1搬送部20に向けて移動し、そのシート案内部40のシート案内面41の一端部41aを第1搬送部20の送り出し部20aに接近すると共に、他端部41bを送りロール32と押えコロ35のニップ部と離隔する。
【0042】
このようにすることで、第1搬送部20の送り出し20aから第1の搬送方向に送り出しされたシート10の先端10bが直ちにシート案内面41に接触して下方に移動することで、そのシート10の先端部が直ちに送りロール32に接触する。
そして、シート10の後端10aが第1搬送部20の送り出し部20aを離れてニップを解放されると、そのシート10は送りロール32によって第3の搬送方向に向かう搬送力を受け、送りロール32と押えコロ35のニップ部に到達する以前に第3の搬送方向に向かう搬送速度が発生する。
この速度が設定の速度(前述のニップ部までの搬送距離に見合う速度)となった状態で、送りロール32と押えコロ35のニップ部に送り込まれ、さらに加速されて所定の搬送速度となる。
【0043】
したがって、送りロール32と押えコロ35でニップされて初めて第3の搬送方向への搬送速度が発生する場合に比較して、前述のようにシート案内部40の位置を調整した場合には、シート10の先端部が送りロール32に接触開始するタイミングが早まり、前述のように第3の搬送方向への搬送速度が生じた状態で送りロール32と押えコロ35のニップ部に送り込まれ、短時間で所定の搬送速度まで加速されると共に、急加速が緩和されて無理のない加速ができる。
【0044】
これにより、シート10の第3の搬送方向の加速が、短時間でスムーズに行われ、先に搬送されたシート10と次に搬送されたシート10が送りロール32と押えコロ35のニップ部で重なることがなく、シートの搬送方向転換が高速で行うことが可能となる。
【0045】
シート案内部40の第1の搬送方向の位置、つまり、送りロール32と押えコロ35のニップ部からの距離は、第1搬送部20によるシート10の第1の搬送方向への搬送速度に応じて変化するが、低速時から高速時の全範囲で問題の出ないような位置を設定し、低速度から高速時に渡って、その設定した位置とすることができる。
【0046】
また、高速時の速度を高いレベル(速い速度)に設定することを優先する場合には、シート案内部40を、目標とする速度で連続稼動が可能な位置に設定することができる。
【0047】
また、シート案内部40の位置を、第1搬送部20によるシート10の第1の搬送方向への搬送速度に応じて適正位置とすることもできる。
この場合には、前述した搬送速度と適正位置をセットしたコントローラと、シート案内部40の位置を検出する手段と、搬送速度を検出する手段を備えた制御装置とを設け、その検出した位置、搬送速度をコントローラに入力し、搬送速度の変化に対応してコントローラが電動機64を駆動制御してシート案内部40の位置が搬送速度に見合う適正位置に制御する。
【0048】
また、シート案内部40の適正位置は、シート10の材質(紙質)、長さ、幅(サイズ)、シート厚さ、送りロール32による搬送速度などの諸条件により変化するため、条件ごとに試運転して適正位置を確認してデータを保存する。
そして、条件が変わるごとに保存したデータに基づいてシート案内部40を移動して適正位置とする。
例えば、前述のコントローラにデータを記憶し、条件をコントローラに入力することで、コントローラにより電動機64を駆動制御して適正位置に移動する。
【0049】
前述した移動機構50,60は電動機による自動ではなく、手動による移動としても良い。
例えば、
図6に示すように移動用ネジ軸52,62にハンドル55,65を取り付け、そのハンドル55,65を手で操作することで回転するようにする。
前述のシート案内部40のシート案内面41は滑らかに湾曲した形状として、よりスムーズに案内できるようにしたが、
図6に示すように直線形状としても良い。