(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を給水装置の実施例について、
図1〜1
図4を用いて説明する。
【0017】
図1は、実施例給水装置の配管系統図を示したものでポンプ2台を例に示すが、1台でも3台以上でも良い。1は水源である受水槽であり、受水槽1は水道の配水管であってもよい。2は受水槽の水位検出手段であり、受水槽1内に設置した複数のレベルE1〜E5を検出する。1aは受水槽1に水道水を注入する例えばボールタップ、3−1、3−2は吸込み管、4−1〜4−4は仕切り弁、5−1はモータ6−1によって駆動され、吸込み管3−1を介して吸込み側の水を需要側へ送水するポンプ(ここでは1号機と呼ぶ)である。同様に5−2はモータ6−2によって駆動され、吸込み管3−2を介して吸込み側の水を需要側へ送水するポンプ(ここでは2号機と呼ぶ)である。
【0018】
8−1、8−2は逆止め弁、9は給水管、10は前記給水管9に取り付けられた内部に空気を有する圧力タンク、11(SW)は給水管9に備えられてここの圧力を検出し、これに応じて圧力信号を発する圧力検出手段(圧力センサ)である。7−1及び7−2は前記逆止め弁8−1及び8−2の上流側に位置し、給水管9の途中に設置した1号機側及び2号機側の流量スイッチであり、過少水量使用状態となると第1の接点を閉じる。また、流量スイッチ7−1及び7−2は2台目の始動流量又は停止流量となった時に第2の接点を閉じる。この流量スイッチは適宜必要に応じて使用される。
【0019】
12は、前記圧力検出手段11及び流量スイッチ7−1、7−2等の信号を取り込み、前記モータ6−1、6−2に運転指令信号出力する制御装置であり、詳細は後述する。尚、モータ6−1,6−2は商用電源で直接駆動する定速モータでも、インバータ等駆動する可変速モータであっても良い。
【0020】
図2は定速モータで駆動するポンプ2台を運転した場合の運転特性図であり、横軸に使用水量、縦軸に全揚程を示す。曲線Aはポンプ1台運転時のQ−H性能曲線、曲線Bはポンプ2台並列運転時の合成したQ−H性能曲線(圧力ヘッドを変えずに流量を2倍にして合成したもの)、本例では、同一ポンプ性能を有するポンプを2台並列運転した場合で示したが、性能が異なっても良い。
【0021】
ここで、PONはポンプの始動圧力ヘッドであり、2台目以降の始動指令を発する場合には、同時始動を避けるために所定時間の確認時間を設けている。即ち、1台目のポンプは始動圧力PON以下で始動し、2台目のポンプは始動圧力PON以下となったら、所定時間後に再度PON以下か確認し、真であれば2台目のポンプを始動させ、否であれば始動させず現状の運転状態を維持する。
【0022】
2台並列運転の状態から使用水量が減少してQ1未満となると、圧力センサの検出した給水圧力がPB以上となっているか所定時間で確認し、真であれば、先行した可変速ポンプ5−1を停止させ、5−2の1台運転に減台される。更に、使用水量が減少し、過少水量Qmin以下となると流量スイッチ7−2(5−1の場合は7−1)が閉じ、所定時間経過後にポンプは停止し、全停止となる。水の使用により、次に運転されるポンプは、過少水量で停止したポンプではなく、待機中の別のポンプとなり交互運転がなされる。
【0023】
3台目以降の始動については前述で明らかなので説明を省く。又、POFFはポンプの停止圧力ヘッドであり、2台目以降の停止指令を発する場合には、同時停止を避けるために所定時間の確認時間を設けている。この停止確認時間も、始動の場合と同じなので説明を省く。
【0024】
更に、Q1はポンプ1台始動時の水量、Q3はポンプ2台始動時の水量、Q2はポンプ1台停止時の水量、Q4はポンプ2台停止時(2台から1台に減台)の水量、Qminは流量スイッチによってポンプを停止する際の停止流量を示す。
【0025】
図3は可変速モータで駆動するポンプ2台を並列運転した場合を例にした運転特性図であり、
図2と同じ記号で示すものは同一のものを示している。Fは、
図1の給水系に最大水量を流した時の配管抵抗であり、給水圧力を所定圧力(例えば推定末端圧力一定制御)に制御する際の目標となるが、本実施例では直線近似している。
【0026】
曲線Aは例えば、インバータ周波数f0で運転した時のポンプ1台運転時のQ−H性能曲線、同様に曲線C、D、Eは、それぞれインバータ周波数f1、f2、f3で運転した時のポンプポンプ1台運転時のQ−H性能曲線である。曲線Bはインバータ周波数f0で運転した時のポンプ2台並列運転時のQ−H性能曲線(1台運転のQ−H曲線Aの全揚程を一定にして水量を2倍にして合成した曲線)である。
【0027】
曲線Gは、前記したように目標である抵抗F上に給水圧力が収斂するように圧力制御する際に、1台目のポンプを周波数f0で運転し2台目のポンプを周波数f4で運転して、前記抵抗F上のPBで交わるようにしたものである。曲線Bは周波数f0でポンプ2台並列運転時の合成したQ−H性能曲線である。ここで、PAは下限側目標圧力(又始動圧力Ponと等しくてもよい)、PBは中間の目標圧力、PCは上限の目標圧力である。又、周波数f3は下限側目標圧力PAを与える周波数、同様にf1、f2は中間の目標圧力を、f0(f0×2)は上限目標圧力PCを与える周波数であり、これらの値により座標を形成する。そして、目標であるFはこれらの座標を通る直線で近似される。
【0028】
次に、
図3で、可変速ポンプの作動について説明する。説明の便宜上、最初全ポンプは停止しているものとして説明を進める。需要側の水の使用により給水圧力が低下し、圧力センサ11の検出した圧力が、始動圧力PON(実施例ではPAとしているが異なっても良い)以下になると、可変速ポンプは5−1又は5−2が始動する。通常は1号機である5−1が先に始動する。始動後は、使用水量Qmin〜Q1の間はポンプ1台運転で抵抗F上に沿うよう推定末端圧力一定制御を行う。
【0029】
使用水量が増大してQ1を越えると、周波数がf0となり圧力センサの検出した給水圧力がPB以下となっているか所定時間で確認し、真であれば、可変速ポンプ5−2を始動させ2台並列運転となる。否の場合は、真となるまで前述の1台運転を続ける。ポンプ2台並列運転後は、使用水量Q1〜Q3の間は、抵抗F上に沿うよう推定末端圧力一定制御がなされる。
【0030】
さて、2台並列運転の状態から使用水量が減少しQ1未満となると周波数がf0以下となり、圧力センサ11の検出した給水圧力がPB以上となっているか所定時間で確認し、真であれば、先行した可変速ポンプ5−1停止させ、5−2の1台運転(減台)となる。更に、使用水量が減少して過少水量Qmin以下となると、流量スイッチ7−2(5−1の場合は7−1)が動作し、所定時間経過後にポンプは停止し全停止となる。この後、水の使用により次に運転するポンプは、最後に停止したポンプではなく、待機中の別のポンプ(上記では可変速ポンプ5−1)となり交互運転する。
【0031】
上記の所定時間とは、ポンプの始動頻度の抑制とポンプ無駄運転の解消を図った所定時間であり、詳細は後で述べる。更に、ここで言う推定末端圧力一定制御とは、前記したように抵抗Fを目標圧力とし、圧力センサの検出した給水圧力がこれに沿うようインバータを周波数制御してポンプの回転数を制御することである。3台以上のポンプの作動については、前述から明らかなので説明を省く。
【0032】
図4は、本発明実施例の定速モータで駆動するポンプ2台を並列運転した場合の制御回路図で、主に制御装置12の内部を示している。同図において、R、S、Tは電源、ELBは漏電遮断器であり、これ以降の系統の漏電保護を行う。R,Sは制御電源、52P1aは1号機ポンプモータIM用の開閉器の主回路接点、52P2aは2号機ポンプモータIM用の開閉器の主回路接点であり、後で述べる制御部CUからの開閉指令信号によりそのコイル52P1,52P2が励磁されることによって開閉する。49P1は1号機ポンプモータ用のサーマルリレー熱動素子部、49P2は2号機ポンプモータ用のサーマルリレー熱動素子部であり、過負荷によってこれらが動作することによって、その接点49P1b、49P2bを開き、過負荷からそれぞれ1号機ポンプモータ、2号機ポンプモータを保護する。
【0033】
FUは制御回路の短絡保護用のヒューズ、SSは入、切スイッチ、TRは制御部CU(後述)の低電圧電源を作るためのトランスである。CUはCPU(中央演算部)、メモリM、設定部表示部OP、安定化電源Z、入出力回路部I/O1〜I/O3、アナログ入力回路部D/A及び入出力端子TB1〜TB6を備える制御部であり、プリント基板等で構成される。
【0034】
上記設定部表示部OPは、設定部(サイクル時間設定部)17と表示部18を備え、サイクル時間設定部)17では、運転モード選択、運天台数の入力、ポンプの始動頻度(回/台)の入力に基づいて、サイクル時間を設定し、設定されたサイクル時間はメモリMに記憶される。
【0035】
11は圧力検出手段であり、その検出圧力信号は入力端子TB4、アナログ入力回路部I/O3を介してCPUに取り込まれる。流量スイッチ7−1、7−2の開閉信号は、入力端子TB5,TB6を介してCPUに取り込まれる。これらの圧力信号及び流量スイッチの開閉信号はCPUを経由して記憶部Mに保存される。又、受水槽の水位検出手段2からの水位信号が入力端子TB2、入出力回路部I/O2を介してCPUに取り込まれ、記憶部Mに記憶される。
【0036】
図5は本発明実施例の可変速モータで駆動するポンプ2台並を列運転した場合の制御装置12の回路図である。
図4と同じ記号で示したものは同じものであるから説明を省く。
図5において、ELB1、ELB2は前述した漏電遮断器ELBと同じ機能を持ち、それぞれモータ6−1,6−2駆動系の漏電遮断器である。INV1、INV2はそれぞれモータ6−1、6−2を可変速駆動するインバータであり、表示部及び設定部を有するコンソールCONS1、CONS2を備える。
【0037】
可変速モータ6−1の駆動系のインバータINV1は、制御部CUからの指令によりモータ開閉器52P1が励磁されてその接点52P1aが閉じ、周波数指令信号f10が出力された時に運転を始める。このとき、到達信号f20を前記制御部CUに返す。尚、この到達信号f20を省略し指令信号f10と共用してもよい。可変速モータ6−2の駆動系のインバータINV2の動作についても、前記可変速モータ6−1の可変速駆動系と同じなので説明を省く。
【0038】
次に、以上で述べたことを制御部CUでどのように処理するかについて、タイムチャートの
図6、
図7、
図8、サイクル時間説明の
図9、フローチャートの
図10、
図11、
図12、
図13、メモリマップ
図14により詳細に説明する。尚、CPUの処理はプログラム(メモリに記憶されている)によって処理実行される。このプログラムの処理実行内容を示したものが、フローチャートである。
【0039】
実施例の詳細を説明する前に、説明の便宜上、先ずポンプの始動頻度について説明する。即ち、ポンプモータの始動頻度が多いと摩耗が早く寿命が短くなる。したがって、寿命等を考慮してポンプの始動頻度を1時間当たり12回程度としている。よって、実施例ではこれを12回として説明を進める。ここで、ポンプの運転時間と停止時間を合計した時間をサイクル時間と定義する。始動頻度を12回とすると、このサイクル時間(設計値)はポンプ1台運転の場合、5分(60分/12回)となる。又、ポンプ2台を交互運転する場合、このサイクル時間は2.5分(5分/2台)、ポンプ3台を交互又はロータリー運転する場合、このサイクル時間は1.7分(5分/3台)となる。ポンプ4台以上の場合は、既に自明なので説明を省く。設定されるサイクル時間の詳細は、
図9の通りとなる。
【0040】
一般的に小形給水装置は小形化するために、備えている圧力タックを10L程度の極小容量としている。このため、前記した始動圧力で始動し、停止圧力又は停止流量で停止するという運転方案だけでは、前記したサイクル時間を確保することが出来ない。即ち、サイクル時間が短くなって始動頻度が増加する場合がある。そこで、始動頻度を増加させないために、ポンプ停止条件が成立していても、タイマに可変設定された強制運転時間に基づき、引続きポンプを強制運転することが考えられる。しかし、この場合、常に強制運転するので無駄な運転となり電力を無駄に消費することとなる。
【0041】
これを解消するために、本発明実施例では、始動条件によって運転し、停止条件が成立するまでの時間である実運転時間と、タイマによる強制運転時間と、ポンプ停止時間との合計がサイクル時間となるよう制御する。以下この実施例について説明する。
【0042】
タイムチャートの
図6は、実施例1を説明したものである。即ち、実施例1では、一つ前の運転サイクルで、停止時間の後に始まった運転がサイクル時間t0を超えて運転した余時間Δt(サイクル時間より余分に運転した時間)を、現サイクルの強制運転時間を決定の際に加味し減ずるようにしたものである。
【0043】
図6において、t0はサイクル時間、t10は1号機の強制運転時間、t12は1号機の停止時間、Δt、Δt’は運転余時間、t10’は1号機の実際の運転時間、t20は2号機の強制運転時間、t22は2号機の停止時間、t20’は2号機の実際の運転時間である。
【0044】
圧力検出手段11は給水管9の圧力ヘッドを検出し、この検出された圧力ヘッドは前述したように記憶部Mに記憶される。又、記憶部Mには、予め始動圧力ヘッドPON、停止圧力ヘッドPOFF等のパラメータが記憶されている。両者は前述したCPUによって比較処理され、例えば時刻(1)において圧力検出手段11の検出した圧力ヘッドが、始動圧力ヘッドPON以下となったものとする。この結果、時刻(1)において1号機ポンプ(ここでは、1号機が先行ポンプを例にしている。)が始動する。即ち、制御部CUは出力回路部I/O1、出力端子TB1を介してポンプモータ開閉器52P1又は52P2あるいは両方にON信号を出力する。
【0045】
可変速モータの駆動によるポンプの場合、同時にCPUは、出力端子TB3を介して速度指令信号f10又はf30をインバータINV1、INV2に対して出力する。以下、定速ポンプも可変速ポンプも始動頻度の抑制及び無駄運転の解消は同様なので、インバータへの出力等の説明は省略し、共通内容のみ説明する。
【0046】
制御部CU内の演算部CPUでの強制運転時間t10の求め方は、
図6の最初のサイクル時間の時刻(1)で1号機の運転開始の後、サイクル時間t0から停止時間t12と一つ前のサイクルの1号機の運転余時間Δtとの両者を減じて求める。Δtは一つ前のサイクルの余時間であるが、初回は、このΔtが0であるから、t10=t0−t12である。したがって、停止時間t12後の強制運転時間t10はt0−t12となる。この強制運転時間t10は、時刻(1)で運転開始して、時刻(2)で運転停止する時間を示している。しかし、
図6では、時刻(2)で使用水量が多く圧力検出手段11が停止圧力POFFを検出していない状態を想定して示している。即ち、時刻(2)で強制運転時間t10の計時を終了しているが、運転は継続されている。そして、時刻(3)では、使用水量が少なく圧力検出手段11が停止圧力POFFを検出した状態を示している。このため、1号機ポンプは、時刻(3)で停止し、この停止までにサイクル時間t0に対し余時間Δtだけ余分に運転している。
【0047】
2号機ポンプは、時刻(3)において、前述の1号機同様に始動条件が成立し運転を始める。そして、前述同様に強制運転時間t20を、t20=t0−(t22+Δt)の減算で求める。この例の場合、時刻(3)での運転は2号機としては初回の運転であるため、Δtは0、停止時間のt22はt22>=t0であるとすると、上記減算結果の値が「負」の値となるため、t20(強制運転時間)を0とする。従って、時刻(4)において、停止条件が成立するとそのまま停止する。
【0048】
時刻(5)において、1号機は始動条件が成立して運転を再開する。そして、制御部CU内のCPUで強制運転時間t10=t0−(t12+Δt)を減算で求める。ここで、Δtは一つ前のサイクルの余時間である。上記減算結果は「正」の値となるので、この減算結果を強制運転時間(t10)とする。時刻(5)〜(6)の過程では、途中で強制運転時間t10の計時を終了するタイミングがあるが、停止条件が成立せず運転を続け、時刻(6)において停止条件が成立して、ポンプが停止することを想定している。ここで、t10の後に最後に示すΔt’(Δtとは異なる長さとなる)は、このサイクルで発生した運転の余時間である。
【0049】
なお、時刻(5)で1号機の運転再開後、Δtを運転時間に付加しているが、これは一つ前のサイクルで余分に運転した余時間Δtを、今回のサイクルの強制運転時間t10(t10=t0−(t12+Δt))に加味したものである。
【0050】
このように、CPUはポンプ始動頻度を抑制し無駄な運転を軽減するため、強制運転時間をサイクル時間から一つ前の運転の余時間と直前の停止時間を減じて求め、前記強制運転時間の計時が終了し、停止条件が成立するまで運転を続けるように処理する。即ち、サイクル時間t0から一つ前の運転の余時間Δtと直前の停止時間t12又はt22を減じて強制運転時間t10又t20を求め、停止圧力POFFを検出してもt10又t20だけ運転する。従って、無駄な運転時間がより少なくなる。
【0051】
タイムチャートの
図7は、実施例2を説明したものである。
図6の例では、特定のポンプ、即ち、追従した2号機のみが無駄運転をせず運転時間が短い運転状態となり、1号機と2号機の運転負担の均一化を阻害している。よって、実施例2はこれの改善を図ったものである。即ち、直前の停止ポンプ停止時間を自己機の停止時間から測定する(実施例1で説明)のではなく、他機の停止から自己機が始動するまでの時間としたものである。時刻(4)において、始動条件が成立し2号ポンプが始動している。
【0052】
ここで、2号機の停止時間t22を、他機である1号ポンプの停止(時刻(3))から、自己機(2号機)の始動までの時間とし、サイクル時間t0からこれ(停止時間t22)と1号機の一つ前のサイクルの余時間Δtを減じて強制運転時間t20を求める。時刻(5)では、強制運転時間t20の計時は終了しているが、停止条件が成立せず運転を継続している。時刻(6)において、停止条件が成立するとポンプは停止する。したがって、2号機は強制運転時間t20の計時は終了から余時間Δt’だけ超過して運転している。
【0053】
本実施例では、無駄運転の解消という点では
図6よりは劣るが、1号機と2号機の運転負担はほぼ均一になる。
【0054】
タイムチャートの
図8は実施例3について説明したものである。本実施例は実施例2と同様に、直前の停止ポンプ停止時間を自己機の停止時間から測定するのではなく、他機の停止から自己機が始動するまでの時間としたものである。
【0055】
図8で、最初のサイクル時間で、1号機が強制運転時間t10経過後に余時間Δtの運転後に停止し、次の第2サイクル時間で、2号機が強制運転時間t20後に余時間Δt’の運転後に停止している。同様に第3サイクル時間と第4サイクル時間で、それぞれ1号機と2号機が強制運転時間t10またはt20後に余時間の運転後に停止している。
【0056】
そして、次の第5サイクル時間で1号機が運転されるが、その運転時の強制運転時間t10を0(ゼロ)としている。すなわち、1号機について第1と第3のサイクル時間で2サイクル連続してサイクル時間を超えて運転されているので、1号機の次のサイクル(第5サイクル時間)で制御部CU内の演算部CPUで強制運転時間t10を0と算出して出力する。これは、2号機についても同様であり、第2と第4のサイクル時間で2サイクル連続してサイクル時間を超えて運転されているので、2号機の次のサイクル(第6サイクル時間)で制御部CU内の演算部CPUで強制運転時間t20を0と算出して出力する。
【0057】
また、上記強制運転時間t10またはt20を0と算出するのは、2サイクル連続してサイクル時間を超えて運転される場合は、超える都度、強制運転時間を0に算出される。
【0058】
本実施例3によれば、余時間による運転サイクルを連続しないようにして、無駄運転を解消している。なお、無駄運転の解消という点では
図6よりは劣るが、
図7よりは改善している。また、余時間による運転サイクルを連続しないようにすることで、始動頻度を所定値に管理するができる。本実施例では、連続サイクルを2サイクルとしているが、これに限らない。
【0059】
図9について説明する。
図9の運転モードは設定部17により設定され、その内容が記憶無Mに記憶される。同図において、ポンプが1台の場合は、運転モード(制御装置CUにより選択が可能であるが、1台のため選択の余地がない)は、このポンプによる単独自動運転であり、始動頻度を12回/時間とすると、これを満足するサイクル時間は5分(60/12)である。ポンプが2台の場合、運転モードは、単独運転、交互運転、並列運転を選択することができる。単独運転は前記と同じなので説明を省く。交互運転及び並列運転は、2台のポンプ交互に切り替えるので、サイクル時間は2.5分(60/(12×2))となる。ポンプが3台以上の場合、図示から明らかなので説明を省略する。
【0060】
フローチャートの
図10は、定速ポンプ2台の動作を説明するフロー図であり、機器構成は前述した
図1、
図2、
図4に対応している。110ステップにおいて、初期設定を実行し、特に、t10(1号機強制運転時間)、t11(1号機実際の運転時間、タイムチャートのt10’のデータが入る)、t20(2号機強制運転時間)、t21(2号機実際の運転時間、タイムチャートのt20’のデータが入る)をリセットし、Δt1(1号機一つ前の運転時間の余時間、タイムチャートでは全てΔtで表現しているが、処理上1号機と2号機を分けて添字1,2を付記)、Δt2を0セットし、t12(1号停止時間)、t22(2号停止時間)のフラグをセットしておく。又、サイクル時間t0は、
図9に示すポンプ台数と運転モードにより設定され記憶部Mに記憶されている。本実施例はポンプ2台交互運転の例であり、t0=2.5分となっている。
【0061】
112ステップで割り込みが許可されると、
図12に示している割り込み処理(A)(B)が順番に実行される。ここでは、要点のみ説明する。即ち、
図12の処理(A)において、
図4、
図5に示すコンソール(表示および操作部)OPの操作部17のキースイッチ(例えばパラメータ設定用)が押される都度、151,153、155ステップの順に処理が進み、
図14に示す各パラメータが設定される。156ステップでは初期設定で説明したものと同じサイクル時間t0が設定され、157,158ステップで記憶部Mに保存される。このようにすれば、随時、パラメータの設定変更が可能となる。160ステップでは割り込み処理より割り込み前の処理部位へ戻る処理が実行される。
【0062】
同様に処理(B)において、163ステップでは、前記したt11、t12、t21、t22、t10’、t20’のタイマ計時処理を実行する。これは、後で詳細に述べるがメーン処理(例えば
図10、
図12)でタイマ計時フラグをセット(イネーブルとする)することで、計時処理が開始される。164ステップでは、圧力センサ、流量スイッチ、インバータ周波数等のデータ及び信号を検出し、記憶部Mの(ネーム)AN0、AN1、FLSW1、FLSW2、に記憶される(詳細はメモリマップ
図14による)。165ステップでは、割り込み処理より割り込み前の処理部位へ戻る処理が実行される。
【0063】
これらの割り込み処理(A)(B)は例えば100ms毎に定期に実行される。メーン処理の113ステップに戻ると、ここでは記憶部Mからt0が読みだされる。
【0064】
そして、114ステップでは先行機ポンプの始動条件が成立しているか否かの判定を真となるまで実行する。始動条件が成立すると次の115ステップへ進み、次発機が1号機か2号機か判定する。次発機が1号機とすれば、116ステップ以降へ処理が進む。2号機の場合は、1号機の説明で明らかなので図示及び説明を省いている。
【0065】
116ステップでは1号機の始動処理を実行する。117ステップではタイマーt10’(1号機の運転時間の計測)フラグをセットし計時処理を開始する。結果はt11にも保存している。具体的には前述した
図12(B)の163ステップの処理がなされる。118ステップでは、タイマーt12(1号機直前停止時間の計測)の計時を満了し、記憶部Mに記憶しておく。このタイマーt12の計時開始は前述した110ステップ、即ち電源投入(電源ON)時である。停止時間の計時開始は、初回は電源投入時、初回以外は後で述べるがポンプ停止からである(125ステップ参照)。
【0066】
以上の前処理の後、119〜121ステップで始動頻度抑制及び無駄運転を押さえるためのポンプ強制運転時間の演算、設定処理を実行する。即ち、119ステップでサイクル時間t0(ここでは2.5分に設定されている)と直前の停止時間t12+Δt1(一つ前のサイクルの運転余時間)とを比較する。この余時間はΔt1は初回は初期設定で0に設定され、次回からは後で述べるが125ステップで演算され設定されている。この結果、t10<=t12+Δt1であれば120ステップで強制運転時間t10に0が設定される。t10>t12+Δt1であれば121ステップでt10=t0−(t12+Δt1)の演算処理を実行する。具体的には、サイクル時間t0より直前の停止時間t12と一つ前のサイクルの運転時間余時間Δt1を減じて、これを強制運転時間とする。又、119ステップにおいて、t0−(t12+Δt1)の直接演算を実行し、負のフラグが立ったら、120ステップでt10を0にし、そうでなければ121ステップで演算した結果をt10に保存する別の処理としても良い。
【0067】
これらの処理の後、122ステップで使用水量が少なく停止条件が成立しているかどうかの判定を実行する。即ち、流量スイッチFLSW1がon(例えば10L/min以下でon、15L/min以上でoff)しているか判定する。判定の結果、NOであれば、追従機運転処理へ進む。YESであれば次の123ステップで強制運転時間t10+余時間Δt1との和と実際の運転時間t10’(=t11)とを比較する。比較した結果、t10’<t10+Δt1であれば、追従機運転処理へ進む。t10’=>t10+Δt1となったら、次の124ステップで停止処理を実行する。
【0068】
この後、125ステップへ進み、ここで、次の処理備えて運転時間の余時間Δt1(=t10’−(t10+Δt1))の演算処理を実行し記憶部Mに保存しておく。この演算式の意味は、次のサイクルの運転余時間Δt1を、直前の運転時間t10’から直前の強制運転時間t10と一つ前の運転余時間Δt1を減じて求め、この値に置き換えることである。この後、タイマーt10’(実際の運転時間)t11の計時値及びこれのフラグをリセットし、タイマーt12(直前の停止時間)計時値をリセットし、これのフラグをセットし停止時間計時を開始する。
【0069】
126ステップでは、交互切替処理(次発機を休止ポンプに入れ替える処理、この場合、1号機から2号機に切り替える)を実行して、114ステップへ戻り処理を続ける。前記した追従機運転処理とは、図示を省略しているが、
図2で説明した並列運転導入処理(1台運転から2台並列運転へ)、並列解除処理(2台運転から1台運転へ)を言う。並列導入条件が成立しなかった場合は、122ステップへ戻り、停止条件が成立するまで1台運転を続ける。更に、122ステップでは停止条件を流量スイッチとしたが、圧力センサによる給水圧力を検出し、
図2に示す停止圧力POFF以上となったか判定する方法でも良い。
【0070】
フローチャートの
図11は、可変速ポンプ2台の動作を説明する図であり、機器構成は前述した
図1、
図3、
図5に対応している。又、本図は
図10の110〜121ステップは、同じであるから説明を省く。130〜133、140、141ステップの処理は、
図3で説明した推定末端圧力一定制御処理である。
【0071】
130ステップで目標圧力H0(ここでは、説明の便宜上H0を使用、例えば、
図3に示す抵抗Fが前述した3座標(PA、f3)(PB、f0とPB、f4)(PC、f0)から直線近似した演算式が目標であり、現在周波数をこの演算式に代入すると目標値が求まる。この目標値がH0、初期値はPAであり初期設定により予め設定されている。)を記憶部Mより読み出し、131ステップで圧力センサの検出したデータH(ここでは、説明の便宜上Hとしているが、記憶部にはAN0として記憶されている。)を読み出し、132ステップで前記両者を比較する。比較した結果、次のように処理する。
H0+α<H ならば 133ステップで減速処理。
H0−α<=H<=H0+α ならば 140ステップで目標圧力更新処理(前述のように現在周波数を演算式に代入)。
H0−α>H ならば 141ステップで増速処理。
ここで、αは不感滞であり通常は1〜2m。
【0072】
減速処理を実行した後、134ステップでインバータ周波数が最低周波数fmin以下か判定する。YESであれば、135、136ステップで停止条件が成立したか判定し、停止条件が成立していれば137ステップで停止処理を実行する。これらの処理は
図10の122〜124ステップの処理と同じなので詳細説明を省く。
【0073】
以上の説明は、実施例全般と実施例の1〜3について説明したものである。実施例4について説明する。これは、入力されたポンプ台数(台)、ポンプ始動頻度(回/h)に基づいてサイクル時間を自動的に求めるようにしたものである。具体的には、
図13に示す処理をメーン処理の110ステップの初期設定、割り込み処理の155ステップで実行すればよい。ここで、ポンプ台数n1、始動頻度n2、運転モードMODEは予め記憶部Mに記憶されている。運転可能台数n3は変数である。
【0074】
170、171、172ステップでそれぞれポンプ台数n1、始動頻度n2、運転モードMODEをそれぞれ記憶部Mより読み出す。説明の便宜上、前述の例に合わせ、ポンプの台数n1は2台、始動頻度n2は12回/時間、運転モードMODOは交互Bとする(
図9参照)。173ステップにおいて、n1が1か判定する、n1は2であるから、177、178ステップへと処理が進む。178ステップでMODEがA(単独)か判定する。MODEはBなので、180,181ステップへと進む。181ステップで運転可能台数n3に2(運転間可能台数は2台である)を設定する。この後、175ステップへ進みここで、サイクル時間t0をt0=60/(n2Xn3)と演算処理して求める。結果は2.5分(60/(12X2))となる。
【0075】
実施例2について説明する。ポンプ運転直前の停止時間を、他機の停止から自己機の運転するまでの時間としたものである。これは、メーン処理では図示を省略しているが、2号機の処理(1号機125ステップに対応する処理)でポンプが運転を停止した時より停止時間を計時するタイマt22の計時を開始し、118ステップの処理でt22の満了処理を実行すれば良い。2号機の処理は省いているが、この場合は1号機と逆の処理を実行すれば良い。
実施例3について説明する。これは、2サイクル連続して、ポンプの運転時間がサイクル時間を越えた場合は、越える都度強制運転時間を0とするタイマ設定手段を具備したものである。これは、実施例2の処理に加え、メーン処理の119ステップの処理の前に、ポンプの運転時間t10’とサイクル時間t0とを比較する処理を追加し、t10’>=t0ならば、2回のカウントアップ処理実行し、YESであれば120ステップへ進み、そうでなければ、121ステップへ進む処理を追加すれば良い。