(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レシートプリンタは、前記開閉扉検知部により前記開閉扉の閉状態が検知されたことを前記制御手段が認識した場合に、管理用レシート紙を発行することを特徴とする請求項1または2に記載の料金管理装置。
前記開閉扉に固定され、前記レシートプリンタの前記レシート紙の発行口に対向する位置に形成された取出連通口を介して送り出された前記レシート紙を収容する取出口ユニットを備え、
前記開閉扉が閉状態の時に前記レシートプリンタと前記取出口ユニットとの間には、前記発行口より下方に向かって隙間が形成され、
前記所定の用紙は、長尺の用紙を巻回して構成されたロール紙であり、
前記レシートプリンタにより前記ロール紙が引き出され、前記切断手段により部分切断されて発行された巻き癖の付いた前記レシート紙が前記隙間に入り込んだ状態で、前記レシートプリンタが前記管理用レシート紙を発行すると、前記レシート紙の巻き癖により該レシート紙が前記隙間に保持され、前記管理用レシート紙は前記取出連通口を介して前記取出口ユニットに送り出されることを特徴とする請求項3または4に記載の料金管理装置。
前記隙間を形成する前記レシートプリンタと前記取出口ユニットとの夫々対向する面の少なくとも一方には、弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の料金管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る料金管理装置の実施の形態について添付した図面を参照しながら説明する。この実施の形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0028】
(第1の実施形態)
図1及び
図2を参照して、本発明の料金管理装置の第1の実施形態としての駐車料金精算機1について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1の前扉が閉止された状態を示す外観斜視図であり、
図2は、前扉が開放された状態を示す外観斜視図である。以下、便宜上、
図1における左手前側を駐車料金精算機1の正面側(前側)とし、各図中において矢印で示した向きを基準として、前後、左右および上下の向きを規定して説明する。
【0029】
図1及び
図2に示される駐車料金精算機1は、例えばフラップ式駐車場の場内の一角に設置されている。駐車料金精算機1は、筐体2と、筐体2の前面に取り付けられた開閉扉としての前扉3と、により縦長直方体形状の外観を成している。また、駐車料金精算機1の筐体2及び前扉3の内部には、カード読取処理装置10と、レシートプリンタ11と、表示画面装置12と、紙幣識別装置13と、紙幣金庫14と、キー入力装置15と、硬貨識別装置16と、硬貨払出装置17と、硬貨金庫18と、取出口ユニット19と、が配設されている。
【0030】
筐体2は、金属製であり、左右に設けられた左側壁21及び右側壁22と、上下に設けられた天井部23及び底板部24と、背面側に設けられた後側壁25と、を屈曲及び溶接して中空箱型形状に形成されている。また、筐体2の正面側(前側)には、その全面に開口した前面開口部26が形成されている。
【0031】
筐体2の右側壁22の外側前方には、錠前ユニット27が設けられており、錠前ユニット27は、右側壁22に固定される本体部27aと、本体部27aに支持されるハンドル27bと、ハンドル27bよりも下方に設けられて筐体2の内部に突出する錠前シリンダ(図示せず)と、を備えている。本体部27aには、ハンドル27bを支持する部分よりも下方に凹部状の鍵挿入部27cが設けられている。鍵挿入部27cの上方には、錠前シリンダに接続された鍵穴(図示せず)が設けられ、この鍵穴に挿入した鍵(図示せず)を回転させることでハンドル27bが本体部27aから突出し、ハンドル27bの回転操作が可能となる。
【0032】
筐体2の右側壁22の前端、すなわち前面開口部26の右端には、鉛直方向に延びる右枠部22aが設けられている。右枠部22aの内側には、鉛直方向にスライド可能なロックスライド(図示せず)が組み込まれている。ロックスライドは、接続機構(図示せず)を介してハンドル27aに接続されており、ハンドル27aの回転操作に伴って鉛直方向にスライドするように構成されている。また、筐体2の左側壁21の前端部、すなわち前面開口部26の左端には、上下方向に亘って長蝶番ヒンジ21aが取り付けられている。
【0033】
底板部24には、通線口24aが貫通形成されている。通線口24aには、駐車料金精算機1の各構成要素と、複数のフラップ装置(図示せず)とを電気的に接続するケーブル(図示せず)が挿通するようになっている。
【0034】
筐体2の内部には、上下方向中央よりも下方に、略水平な棚板28が設けられている。棚板28は、筐体2の左側壁21と右側壁22との間に架設されており、筐体2の内部空間を上下に区画している。
【0035】
また、棚板28の上面のやや左方には、略鉛直な仕切板29が立設されている。仕切板29は、棚板28の上方において筐体2の内部空間を左右に区画している。従って、筐体2の内部空間は、仕切板29よりも右側の右側収容部2xと、仕切板29よりも左側の左側収容部2yと、棚板28より下側の底板部24の間の下側収容部2zと、に区画されている。なお、仕切板29の上端部は、筐体2の天井部23には接続されていない。このため、右側収容部2xと左側収容部2yとは、仕切板29の上端部と天井部23との間の空間を介して連通している。
【0036】
カード読取処理装置10は、左側収容部2yの上部において筐体2の左側壁21と仕切板29との間に挟み込まれて固定されている。カード読取処理装置10の前面には、カード挿入口10aが設けられている。なお、図示は省略するが、左側収容部2yの棚板28上の後方には縦長で上部が開口したカード回収箱が収容されている。例えば、カード読取処理装置10で一時駐車券やサービス券等のカード類を読み込んで(取り込んで)廃棄回収する場合、カード読取処理装置10の奥側の図示しない排出口から排出されたカード類は、カード回収箱に自然落下して回収されるようになっている。
【0037】
レシートプリンタ11は、右側収容部2xの棚板28の上面前端に沿った位置か、若しくは前端よりも若干手前に突出した位置に配置されている。レシートプリンタ11は、領収証等を印刷して、外部に出力(発行)する。
【0038】
次に、前扉3について説明する。前扉3は、筐体2の前面と略同一の大きさ及び形状に形成された扉前側壁30と、扉前側壁30の後面(内面)の外縁部に沿って後方に突設された矩形状の扉枠31と、を有している。なお、扉枠31は、後述する各部を配設できるように前後方向に十分な長さを取って形成されている。
【0039】
扉枠31の左側後方端部には、筐体2の左側壁21の前端部に設けられた長蝶番ヒンジ21aに開閉動作自在に取り付けられている。すなわち、前扉3は、筐体2の前面開口部26を選択的に開閉することができるように構成されている。具体的には、扉枠31の右側部の内面側には、フック穴を備えた複数個のフック板(図示せず)が設けられている。フック板のフック穴に筐体2の右側壁22のロックスライドが係合することで、筐体2に対する前扉3の開放が規制される。一方、ハンドル27bを回転操作してロックスライドを鉛直方向にスライドさせ、フック穴に対するロックスライドの係合を解除することで、筐体2に対する前扉3の開放が許容される。
【0040】
前扉3の扉前側壁30には、上部左側に開口した表示画面用開口部3aと、表示画面用開口部3aの右隣りに開口したキー入力用開口部3bと、表示画面用開口部3aの下隣りに開口したカード挿入用開口部3cと、カード挿入用開口部3cの右隣りに開口した紙幣挿入口用開口部3dと、紙幣挿入口用開口部3dの下隣りに開口した硬貨投入口用開口部3eと、が厚み方向(前後方向)に貫通形成されている。表示画面用開口部3a、キー入力用開口部3b、カード挿入用開口部3c及び紙幣挿入口用開口部3dは、各々略矩形状の開口であり、前扉3の扉前側壁30の上部において格子状に整列して形成されている。硬貨投入口用開口部3eは、略円形の開口である。なお、カード挿入用開口部3cは、カード読取処理装置10と対応する位置に設けられている。これにより、カード読取処理装置10のカード挿入口10aは、
図1に示す前扉3の閉状態で、カード挿入用開口部3cに挿入されて前扉3(扉前側壁30)の前面側に露出するようになっている。
【0041】
さらに、前扉3の扉前側壁30の上下方向中央よりやや下方には、音声ガイダンス出力用のスピーカ55(
図3参照)のための複数の小径穴が並設されたスピーカ用開口部3fと、スピーカ用開口部3fの右斜め下方に開口した釣銭・領収証取出口3gと、が貫通形成されている。なお、釣銭・領収証取出口3gは、略矩形状の開口であり、開閉可能で且つ内部を視認可能な透明な材料で形成された取出口カバー32によって内面側から覆われている。また、取出口カバー32は、その上端部に設けられたヒンジ部33(
図6参照)を中心として後方に回動可能に扉前側壁30の内面側に取り付けられている。
【0042】
次に、前扉3に取り付けられる構成要素について説明する。
【0043】
図1及び
図2に示すように、前扉3の上部左側の内面側には、電装部品としての表示画面装置12が取り付けられている。表示画面装置12は、扉前側壁30の表示画面用開口部3aを内面側から覆うようにして設けられ、その前面に形成された矩形状の液晶表示部が、表示画面用開口部3aから露出し、外部から視認可能となっている。液晶表示部には、日付、曜日、時刻等とともに、「車室番号を入力して下さい。」等のガイダンスや駐車料金などの各種情報が表示されるようになっている。
【0044】
前扉3の上部右側の内面側には、紙幣識別装置13が取り付けられている。紙幣識別装置13は、売上金等の紙幣を収容する装置本体34と、装置本体34の下部前側に設けられた紙幣挿入口35と、を有している。
【0045】
紙幣挿入口35は、紙幣挿入口用開口部3dから前扉3(扉前側壁30)の前面側に露出しており、紙幣挿入口35から挿入された紙幣は、装置本体34内へと搬送されて紙幣金庫14内に収容されるようになっている。なお、紙幣金庫14は、装置本体34から取り外し可能となっている。また、紙幣金庫14の背面側には、紙幣金庫14が装置本体34から取り外されたこと(移動)を検知可能な紙幣金庫スイッチ36(
図3参照)が設けられている。なお、紙幣金庫スイッチ36に隣接して紙幣金庫施錠部37が装着されており、解錠用の鍵(図示せず)が無ければ紙幣金庫14を取り外すことができないようになっている。
【0046】
前扉3の上部右側の内面側には、キー入力装置15が、扉前側壁30と紙幣識別装置13の装置本体34との間に挟まるように取り付けられている。キー入力装置15のキー入力操作部15aは、キー入力用開口部3bから前扉3(扉前側壁30)の前面側に露出しており、外部(前側)から操作可能となっている。
【0047】
前扉3の内面側の紙幣識別装置13の下方には硬貨識別装置16が取り付けられており、硬貨識別装置16の前側に設けられた硬貨投入口16aは、硬貨投入口用開口部3eから前扉3(扉前側壁30)の前面側に露出している。また、硬貨識別装置16の下方には硬貨払出装置17が取り付けられており、硬貨識別装置16の下端部は、図示しない硬貨流通路を介して硬貨払出装置17の上端部に接続されている。硬貨識別装置16の硬貨投入口16aから投入された硬貨は、硬貨流通路を通って硬貨払出装置17に収容されるようになっている。また、硬貨払出装置17の左隣には、硬貨金庫18が取り付けられており、図示しない硬貨排出路を介して硬貨払出装置17に接続されている。硬貨払出装置17に蓄積された硬貨が満杯になった場合、硬貨払出装置17の硬貨排出路を通じて硬貨金庫18に硬貨が排出されるようになっている。なお、上記した紙幣金庫14と硬貨金庫18とが、金銭管理用金庫の具体例である。
【0048】
硬貨金庫18は、図示しない取付ブラケットを介して前扉3の内面側に固定されており、硬貨金庫18の背面側には、硬貨金庫18が取付ブラケットから取り外されたこと(移動)を検知可能な硬貨金庫スイッチ41(
図3参照)が設けられている。なお、硬貨金庫スイッチ41に隣接して硬貨金庫施錠部42が装着されており、解錠用の鍵(図示せず)が無ければ硬貨金庫18を取り外すことができないようになっている。なお、上記した紙幣金庫スイッチ36と硬貨金庫スイッチ41とが、金銭管理用金庫検知部の具体例である。
【0049】
図1、
図2及び
図6に示すように、前扉3の内面側の硬貨払出装置17の下方には、取出口ユニット19が取り付けられている。取出口ユニット19は、前方及び下方が開放された箱型形状を成した取出口枠44と、取出口枠44の内部下方に設けられた取出口ガイド45と、で構成されている。取出口ユニット19は、釣銭・領収証取出口3gの後側に配置されており、釣銭・領収証取出口3gを覆う取出口カバー32を開放することで、取出口ユニット19内の収容空間46に収容された釣銭や領収証を取り出せるようになっている。
【0050】
取出口枠44の後側壁44aには取出連通口47が開口している。取出連通口47は、レシートプリンタ10からのレシート紙が通過可能な横長矩形のスリット状に形成されている。レシートプリンタ11から発行される領収証類は、取出連通口47を介して取出口ガイド45に排出されるようになっている。また、取出口枠44の後側壁44aの下端には、斜め前方に折れ曲がった傾斜部44bが形成されている。さらに、取出口枠44の上端部は、硬貨払出装置17の下端部に対し離間して設けられており、硬貨払出装置17と取出口枠44とは、硬貨払出路43を介して連通している。この硬貨払出路43は、硬貨払出装置17から払い出される釣銭を通過させる程度の小さな流通路である。
【0051】
取出口ガイド45は、トレイ状に形成されており、その前端部を釣銭・領収証取出口3gの下端に接続し、後端部を取出口枠44の後側壁44aに接続している。また、取出口ガイド45は、後方に向かって下傾した状態で取り付けられている。
【0052】
次に、
図3を参照して駐車料金精算機1の電気的構成について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1の電気的構成を示すブロック図である。
【0053】
駐車料金精算機1は、CPU(Central Processing Unit)50と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のメモリ51と、を備えている。CPU50とメモリ51とは、バス52を介して相互に接続されている。CPU50は、メモリ51に記憶されたプログラムに従い、上記した各構成要素を制御する。なお、本発明の請求範囲にある制御手段の具体例がCPU50である。
【0054】
また、カード読取処理装置10と、レシートプリンタ11と、表示画面装置12と、紙幣識別装置13と、キー入力装置15と、硬貨識別装置16と、硬貨払出装置17と、ソレノイド(駆動装置)54と、スピーカ55と、フラップ制御部56と、がインターフェイス53に接続されている。さらに、インターフェイス53には、紙幣金庫スイッチ36と、硬貨金庫スイッチ41と、扉開検知スイッチ57と、ハンドル検知スイッチ58と、が接続されている。インターフェイス53に接続された各構成要素は、バス52を介してCPU50等に接続されている。
【0055】
フラップ制御部56は、駐車場内の各駐車スペースに設けられた複数のフラップ装置や車両検知センサ(いずれも図示せず)に接続されており、CPU50の制御の下、各フラップ装置のフラップ板(図示せず)の上げ下げが行われるようになっている。すなわち、駐車料金精算機1は、各フラップ装置の制御機能を有している。
【0056】
扉開検知スイッチ57は、前扉3が開放されたこと(及び前扉3の閉止されたこと)を検知するものであり、ハンドル検知スイッチ58は、ハンドル27bが前扉3の鍵によって回転操作可能に突出されたことを検知するものである。また、ソレノイド54は、上記したロックスライドの移動を制御するものである。具体的には、ソレノイド54は、前扉3の鍵の操作に加えて係員ID等が認証された際に、ロックスライドの移動が規制された状態から、図示しない動力伝達機構を介してロックスライドの移動を可能とする状態にするための駆動装置である。なお、扉開検知スイッチ57が開閉扉検知部の具体例であるが、扉開検知スイッチ57とハンドル検知スイッチ58との検知を合わせて、開閉扉検知部の具体例としてもよい。
【0057】
次に、
図4乃至
図6を参照して、レシートプリンタ11について詳細に説明する。
図4は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11においてロール紙70の切断前の状態を示す外観斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11の電気的構成を示すブロック図である。
図6は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11においてロール紙70の切断後の状態を示す断面図である。
【0058】
図4及び
図6に示すように、レシートプリンタ11は、例えば、サーマル方式のプリンタであり、主要な外観を成す本体ケース60の内部に、長尺の感熱紙を巻回して構成されたロール紙70を収容している。また、レシートプリンタ11は、ロール紙70の先端側を引き出しながら搬送するプラテンローラ61と、プラテンローラ61の上方に配設されたサーマルヘッド62と、プラテンローラ61の搬送方向下流側に配設されたカッター装置63と、を有している。
【0059】
本体ケース60は、略直方体形状であり、後方上部が斜めに面取りされている。また、本体ケース60の前面60aの上部には、左右方向に細長い矩形状の発行口60bが貫通形成されている。発行(印刷)されたレシート紙72は、この発行口60bから本体ケース60の外部に排紙されるようになっている。発行口60bの上下方向の長さ(以下、「縦幅」という。)は、上記した取出口ユニット19の取出連通口47の縦幅よりも小さく形成されている。また、前扉3を閉じた状態で、取出連通口47に向かい合う発行口60bは、取出連通口47の上下方向略中央よりもやや上側に位置している。
【0060】
本体ケース60の前面60aで、発行口60bの下側には、下辺部のヒンジ(図示せず)を中心に手前側に回動可能な蓋60cが取付けられている。ロール紙70が消費され紙切れした際には、係員が蓋60cを開けてロール紙70を交換(芯棒を取り出して新しいロール紙70を装着)することができるようになっている。
【0061】
サーマルヘッド62は、押圧機構(図示せず)によって、先端側を引き出されたロール紙70の引出し部71を挟んでプラテンローラ61に押圧されている。
【0062】
カッター装置63は、ロール紙70の引出し部71の上側に固定された固定刃63aと、引出し部71の下側に上下動可能に設けられた可動刃63bと、により構成されている。
【0063】
固定刃63aは、下方に向けた刃先が左右方向に略水平に配設されている。可動刃63bは、上方に刃先を向けて配設され、前方から見て左右両端が最も上方に突出しており、左右両端から左右方向中央に向かうに従って下傾した形状に形成されている。また、可動刃63bの左右方向中央部には、下方に矩形状に切り欠かれたカッター凹部63cが形成されている。
【0064】
次に、レシートプリンタ11の電気的構成について説明する。
図5に示すように、レシートプリンタ11は、電気的構成として、上記したインターフェイス53に接続されたデータ送受信部64と、データ送受信部64に接続された制御部65と、制御部65に接続された駆動部66と、を有している。
【0065】
駆動部66は、プラテンローラ61の回転駆動を制御する搬送部67と、サーマルヘッド62を制御するプリント部68と、カッター装置63(可動刃63b)の駆動を制御する切断部69と、から構成されている。
【0066】
レシートプリンタ11による一般的なレシート紙72の発行(印刷)手順について説明する。レシートプリンタ11のデータ送受信部64がCPU50の指令に基づいて送信されたプリントデータを受信すると、制御部65は駆動部66に印刷指令を出力する。駆動部66は、その印刷指令に従って搬送部67、プリント部68及び切断部69を制御する。そして、駆動部66は、搬送部67を駆動してロール紙70の引出し部71を搬送させながら、サーマルヘッド62の多数の発熱素子をON/OFFさせ、引出し部71に印刷情報73を印刷する。印刷情報73の印刷が終了すると、制御部65は、駆動部66を介して切断部69に切断指令を出力し、カッター装置63の可動刃63bを駆動する。そして、可動刃63bと固定刃63aとの間に挟み込まれたロール紙70の引出し部71の印刷された部分が切断されることで、レシート紙72が発行される。
【0067】
次に、
図4及び
図6を参照して、上記したレシートプリンタ11を有する駐車料金精算機1によって、領収証や各種の帳票等のレシート紙72を発行する場合の動作について簡単に説明する。まず、通常の駐車料金額の支払い証明として領収証を駐車場利用者が要求する場合、駐車場利用者は、利用料金の支払いを完了後、キー入力装置15のキー入力操作部15aにある領収証発行キー(図示せず)を押下する。このキー押下を受けて、駐車料金精算機1のCPU50は、レシートプリンタ11に領収証の発行指令を出力する。これにより、ロール紙70の引出し部71は、発行口60bから本体ケース60の外部に排出される。なお、レシート紙72には、予め設定されたヘッダー文字(駐車場名等)に引き続いて、駐車開始日時、精算日時、駐車料金、投入金額、釣銭金額等の印刷情報73が印刷される。
【0068】
そして、搬送されたロール紙70の引出し部71は、カッター装置63の可動刃63bが
図6に示す位置から一定のストローク分上昇移動することで切断され、レシート紙72が得られる。なお、通常の切断動作においては、可動刃63bのカッター凹部63cの水平下端部63dが、固定刃63aよりも上方に移動するように動作設定がなされており、引出し部71が完全に切断される。以下、このようなロール紙70の引出し部71の切断を「完全切断」と言うことにする。
【0069】
ここで、
図4に示す状態で完全切断がなされた場合は、
図6に示すように、ロール紙70(引出し部71)の先端部は、レシートプリンタ11の発行口60bの内部に残存し、発行されたレシート紙72は、取出口ユニット19の取出口ガイド45上に落下することになる。
【0070】
一方、完全切断時よりも可動刃63bの上昇移動のストロークを少なく制御することによって、カッター凹部63cの左右方向の幅だけを残して、ロール紙70の引出し部71を完全に切断しない状態のレシート紙72を得ることもできる(
図7参照)。すなわち、可動刃63bのカッター凹部63cの水平下端部63dが、固定刃63aよりも下方で停止するように動作設定がなされている。これにより、レシート紙72の後端には、左右方向中央部分に切断されずに残った連結部74と、連結部74の左右両端に切り込まれたスリット部75と、が形成される(
図7参照)。以下、このような切断を「部分切断」と言うことにする。
【0071】
図7は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11において部分切断が2回行われた状態を示す斜視図であり、
図8は、その断面図である。
【0072】
図7及び
図8に示すように、先に部分切断設定でレシート紙72aの発行を行った状態で、次のレシート紙72bの発行を行うと、前回発行されたレシート紙72aと今回発行されたレシート紙72bとは、連結部74によって連結された状態で排出される。なお、レシートプリンタ11の切断動作を一度、部分切断に設定すると、発行されるレシート紙72は延々と連結部74で連結された状態で出力される。また、
図4は切断前の状態であるが、部分切断を1回行った状態と全く外観上は同じである。
【0073】
次に、
図6、
図8乃至
図11を参照して、実際に領収証及び金銭情報の帳票を印刷するための構成及び動作について説明する。
図9は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1の制御手段(CPU50)の機能構成を示す説明図である。
図10は、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11の制御部65の設定機能の構成を示す説明図であり、
図11は、制御部65の印刷機能の構成を示す説明図である。なお、
図9乃至
図11は、夫々本発明の特徴を示す主たる機能だけをブロック図で示したものである。また、なお、
図6は通常の領収証を発行した状態を示し、
図8は係員が前扉3を開放して、金銭情報の帳票を発行した状態を示している。
【0074】
図9に示すように、駐車料金精算機1の制御手段としてのCPU50は、検知スイッチ解析50a、キー入力解析50b、表示画面データ生成50c、音声データ生成50d、精算処理50e、データ管理処理50f、レシート発行50g等の機能を有している。
【0075】
検知スイッチ解析50aとは、各部のスイッチ状態を常に監視する機能である。具体的には、CPU50は、検知スイッチ解析50aの機能により、扉開検知スイッチ57、紙幣金庫スイッチ36、硬貨金庫スイッチ41、ハンドル検知スイッチ58等のON/OFF状態を監視している。
【0076】
キー入力解析50bとは、キー入力操作部15aを介して利用者からのキー入力があった場合に、入力されたキーの種類を判断(認識)する機能である。具体的には、CPU50は、キー入力解析50bの機能により、図示しない精算キー又は車両を駐車した駐車スペースの番号をテンキーで入力したことを認識し、キー入力の順序等に基づき利用者からどのような指令があったのかを判断する。
【0077】
表示画面データ生成50cとは、キー入力解析50bの結果に対応したガイダンス等を表示画面装置12に表示する機能であり、音声データ生成50dは、ガイダンス等の内容を音声出力する機能である。
【0078】
精算処理50eとは、キー入力装置15により入力を受け付けた駐車スペース(車室)番号と当該駐車スペースへの入庫時刻等の情報に基づいて、表示画面装置12に駐車料金額や支払い金額等を表示すると共に、利用者からの支払い金額の確認や釣銭の発行等を行う機能である。
【0079】
データ管理処理50fとは、受領した金額や払い出した釣銭額等の履歴(金銭管理情報)やレシート紙72の発行回数等をメモリ51に記録する機能である。
【0080】
レシート発行50gとは、レシート発行指令を出力し、レシートプリンタ11にプリントデータを送信する機能である。
【0081】
図10に示すように、レシートプリンタ11の制御部65は、設定機能として、ヘッダ画像設定65a、搬送動作設定65b、カッター動作設定65c、プリント動作設定65d等の機能を有している。なお、レシートプリンタ11は、印刷動作の以前に各機能の設定を適切に行う必要がある。
【0082】
ヘッダ画像設定65aとは、レシート紙72が利用者向けの領収証の場合に常に印刷される駐車場名や企業ロゴ等を予めヘッダ画像として制御部12内の記憶領域(図示せず)に記憶しておく機能である。
【0083】
搬送動作設定65bとは、例えば印刷動作の際にロール紙70(引出し部71)の端から何mmの位置から印刷を開始するか、印刷を終えた後で何mmの余白を持たせるか、或いは切断した後に何mmフィードさせるか等の初期設定を行う機能である。
【0084】
カッター動作設定65cとは、ロール紙70の引出し部71を切断する場合に、可動刃63bの移動距離(移動量)を設定する機能であり、完全切断か部分切断かを選択的に切換える機能を有している。
【0085】
プリント動作設定65dとは、サーマルヘッド62の余熱状態や詳細な印刷性能(解像度等)に係る設定を行う機能である。
【0086】
図11に示すように、レシートプリンタ11の制御部65は、印刷機能として、受信データ解析65e、文字生成65f、図形生成65g、プリントデータ生成65h、レシート紙切断65i、レシート紙搬送65j等の機能を有している。
【0087】
受信データ解析65eとは、データ送受信部64で受信されたデータがプリントデータであるか、他の設定変更データであるかを解析して識別する機能である。
【0088】
文字生成65f及び図形生成65gとは、プリントデータから印刷する文字及び図形を生成する機能である。なお、図形生成65gの機能で生成する図形には、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等の2次元コードも含まれる。
【0089】
プリントデータ生成65hとは、文字及び図形をロール紙70(の引出し部71)上に実際に印刷するドット配列のデータを生成する機能である。
【0090】
レシート紙切断65iとは、ロール紙70(引出し部71)を設定された条件(完全切断又は部分切断)で切断する機能であり、レシート紙搬送65jとは、レシート紙72をプリントデータや設定されたフィード条件等によって適宜搬送移動させる機能である。
【0091】
次に、
図6、
図8乃至
図11を参照して、利用者が、駐車料金精算機1で駐車料金の精算を行い、領収証を得る場合について説明する。
【0092】
まず、事前作業として、係員は、レシートプリンタ11の制御部65の設定機能を用いて、ヘッダ画像、搬送動作、カッター動作及びプリント動作について予め設定を行う。これにより、設定された条件で領収証の印刷や搬送が行われる。ここでは、カッター動作設定65cは上記した「完全切断」に設定されている。
【0093】
駐車場の利用者は、キー入力操作部15aを用いて所定のキー入力操作を行う。ここでは、利用者が、駐車料金精算機1で駐車料金精算を行うために、駐車スペース番号の入力に続いて精算キーを押下したと共に、領収証を得るために領収証発行キーを押下したものとする。
【0094】
CPU50は、キー入力解析50bの機能によって、利用者から駐車スペース番号の入力と精算キーが押下されたことを判断(認識)し、表示画面データ生成50cの機能によって、表示画面装置12に料金精算に対応したガイダンスを表示させる。ガイダンスは、例えば「料金をお支払いください。領収証が必要な場合は領収証発行キーを押して下さい。」等の文字表示である。また、CPU50は、同時に音声データ生成50dの機能によって、同様の音声出力をスピーカ55に出力する。
【0095】
その後、CPU50は、精算処理50eの機能によって、表示画面装置12に駐車料金額を表示する。利用者は、表示画面装置12の表示を見て、紙幣挿入口35や硬貨投入口16aから駐車料金を挿入(投入)する。なお、このとき、表示画面装置12には、支払い金額等が表示される。
【0096】
CPU50は、精算処理50eの機能によって、受領した金額が、駐車料金以上である場合には次の工程に移行し、駐車料金未満である場合には表示画面装置12の駐車料金の表示を維持する。また、CPU50は、精算処理50eの機能によって、必要に応じて釣銭の払出等を行う。
図6では、レシート紙72の排出に先立って、釣銭硬貨Cが硬貨払出装置17から硬貨払出路43を通じて払い出された状態を示している。なお、CPU50は、データ管理処理50fの機能によって、受領した金額や払い出した釣銭額等の履歴を金銭管理情報としてメモリ51に記録する。
【0097】
また、CPU50は、キー入力解析50bの機能によって、利用者から領収証発行キーが押下されたことを判断(認識)し、レシート発行50gの機能によって、レシート発行指令(この場合は領収証発行指令)を出力すると共に、レシートプリンタ11にプリントデータを送信する。
【0098】
レシートプリンタ11の制御部65は、受信データ解析65eの機能として、CPU50のレシート発行50gの機能により送信されてきたプリントデータを認識する。そして、制御部65は、文字生成65f及び図形生成65gの各機能によって文字及び図形を生成し、プリントデータ生成65hの機能によってこの文字及び図形からドット配列のデータを生成する。制御部65は、駆動部66を介して、このドット配列のデータに基づきサーマルヘッド62を制御して、ロール紙70の引出し部71に印刷処理を実行させる。なお、印刷が終了した引出し部71(レシート紙72)の先端部は、取出口ユニット19の取出連通口47を通って収容空間46に進出している。
【0099】
そして、制御部65は、レシート紙切断65iの機能によって、カッター装置63の可動刃63bを駆動させ、ロール紙70の引出し部71の印刷部分を完全切断する。これにより、発行されたレシート紙72は、取出口ユニット19の後面の取出連通口47を通じて取出口ガイド45上に排出される。
【0100】
利用者は、取出口カバー32を押し開けて収容空間46に手を挿入し、取出口ユニット19の取出口ガイド45上に排出されたレシート紙72を釣銭硬貨Cと一緒に掻き出すようにして取り出すことができる。
【0101】
次に、
図7乃至
図11を参照して、係員が、金銭管理情報の帳票としてのレシート紙72を発行する場合について説明する。
【0102】
まず、係員は、錠前ユニット27を開錠し、突出させたハンドル27bを回転操作して筐体2側のロックスライドと、前扉3のフック板のフック穴との係合を解除する。これにより、筐体2に対して前扉3が開放される。その際、ハンドル検知スイッチ58は、ハンドル27bが回転操作可能に突出されたことを検知し、その後、扉開検知スイッチ57は、前扉3が開放されたこと(前扉3の開閉)を検知する。これらの検知結果は、CPU50の検知スイッチ解析50aの機能によって逐次判断されている。なお、前扉3を開放して作業を行うことを予め許可された係員であるか否かを確認した後に、前扉3の開放が可能となるようにしてもよい。この場合、前扉3の開放を許可された係員か否かは、係員が所持するIDカードをカード読取処理装置10により読み取ることでIDを認証するか、又は、キー入力装置15のキー入力操作部15aでの予め登録された暗証番号の入力を受けて認証するか等により行われる。そして、認証された場合に、CPU50がソレノイド54を駆動してロックスライドの移動規制を解除すると、ロックスライドに連結されたハンドル27bの回転操作が可能となる。このような、高度なセキュリティ制限をかける運用形態をとることもできる。
【0103】
CPU50は、扉開検知スイッチ57によって前扉3の開放が検知されたことを認識すると、レシートプリンタ11に対して、カッター動作設定65cの設定変更を指示する。具体的には、CPU50は、カッター動作設定65cを上記した「部分切断」に設定変更するような指令をレシートプリンタ11に出力する。この設定変更の指令は、レシートプリンタ11のデータ送受信部64を介して制御部65により受信される。制御部65は、カッター動作設定65cの機能によって、「部分切断」が実行されるようにカッター装置63の可動刃63bの移動量を設定し、その設定を制御部65の記憶領域(図示せず)に記憶する。なお、扉開検知スイッチ57が前扉3の閉止を検知するか、当該前扉3の閉止の検知に加え、さらにハンドル検知スイッチ58がハンドル27bの収容を検知するとCPU50は、自動的にカッター動作設定65cを「完全切断」に設定変更する。
【0104】
ここで、金銭管理情報の帳票としてのレシート紙72を発行するには、以下の2通りの操作方法がある。なお、金銭管理情報は、CPU50のデータ管理処理50fの機能によってメモリ51に記録されている。
【0105】
まず、金銭管理情報の帳票発行を手動で操作する場合、係員は、表示画面装置12に表示されたメンテナンス設定操作画面(図示せず)の指示に従ってキー入力装置15のキー入力操作部15aを用いて所定の入力操作を行う。この係員からの手動入力により、CPU50は、レシート発行50gの機能によって、金銭管理情報の帳票としてレシート紙72を出力(発行)することができるようになっている。
【0106】
また、他の方法として、紙幣金庫14又は硬貨金庫18を取り外すことで自動的に帳票発行が行われる。具体的には、係員が紙幣金庫施錠部37又は硬貨金庫施錠部42を解錠し、紙幣金庫14又は硬貨金庫18を取り外したことを紙幣金庫スイッチ36又は硬貨金庫スイッチ41が検出する。CPU50は、この検出結果を認識し、該当する金庫14,18の内部に収容された合計金額等を、メモリ41に記録された履歴データから読み出す。これにより、CPU50は、レシート発行50gの機能によって、金銭管理情報の帳票としてのレシート紙72を出力(発行)することができるようになっている。
【0107】
上記した2つの操作方法の何れかを実行することにより、ロール紙70の引出し部71は部分切断されて、連結部74で繋がった状態のレシート紙72が発行される。
図8では、例えば、紙幣金庫14が先に取り外されることで発行されたレシート紙72aと、その後に硬貨金庫18が取り外されることで発行されたレシート紙72bと、まだ発行されていないロール紙70の引出し部71と、が夫々連結部74で繋がっている状態を示している。なお、
図8では、金銭管理情報の帳票としてのレシート紙72a,72bが発行された状態を示しており、前扉3は開放され、レシートプリンタ11の発行口60bの前方も開放された状態となっているため、前扉3が閉状態における前扉3及び取出口ユニット19の位置を二点鎖線で示している。
【0108】
そして、係員は、レシート紙72bを摘んで前方に引っ張ることで、レシート紙72bと引出し部71との間の連結部74を切断し、レシート紙72a及びレシート紙72b(連結部74で連結された状態)を得ることができる。
【0109】
以上の本実施形態に係る駐車料金精算機1によれば、駐車場の利用者が操作可能な通常の状態(前扉3の閉じた状態)において、利用者が領収証等の発行要求をした場合には、レシート紙72が、自動的に完全切断され、取出口ユニット19の収容空間46に収容される。これにより、利用者は、容易にレシート紙72を受け取ることができる。
【0110】
一方で、前扉3が開いた状態で行なわれるメンテナンス等の際には、レシート紙72(72b)は、部分切断されてレシートプリンタ11内の引出し部71に対して連結部74で繋がった状態で発行される。これにより、発行されたレシート紙72が、レシートプリンタ11の発行口60bから落下してしまうことを防止することができる。また、これにより、複数種のメンテナンス毎(例えば、紙幣金庫14と硬貨金庫18とを順番に取り外す等)に、複数のレシート紙72a,72bが発行される場合、係員は、各レシート紙72a,72bを常に個別に保持する必要がなく、まとまった状態で保持することができる。従って、例えば、発行されたレシート紙72が風に飛ばされる等して紛失することを防止することができる。また、各レシート紙72a,72bは、連結部74で僅かに繋がった状態であるため、係員は、容易に連結部74を切断することができる。これにより、レシート紙72毎に分割することができ、レシート紙72を個別に保管することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る駐車料金精算機1によれば、前扉3の開状態を検知してレシートプリンタ11のカッター動作設定65cの設定を変更することができると共に、金銭管理用の金庫(紙幣金庫14や硬貨金庫18)を取り外した時に自動的にレシートプリンタ11によりレシート紙72が発行される。また、複数の金銭管理用の金庫がある場合、個々の金庫を取り外す度に、個々に自動的なレシート紙72の発行が行われる。これにより、駐車料金精算機1を管理する係員にとって、管理容易性及び利便性を向上させることができる。なお、自動的に発行される金銭管理情報の帳票としてのレシート紙72には、上述した金庫内に収容された合計金額だけでなく、金庫を取り外した時刻や作業者のID番号等が含まれていてもよい。また、必ずしも金庫内の合計金額を含まなくともよい。
【0112】
(第2の実施形態)
以下、
図12乃至
図15を参照して、本発明の第2の実施形態に係る駐車料金精算機1について説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11において複数のレシート紙72a,72bが発行され、前扉3が閉止された状態を示す断面図である。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11において管理用レシート紙76が発行された状態を示す断面図であり、
図14は、その斜視図である。
図15は、本発明の第2の実施形態に係る駐車料金精算機1のレシートプリンタ11が発行した管理用レシート紙76を示す説明図である。なお、第1の実施形態に係る駐車料金精算機1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
図12に示すように、係員が、連結部74で繋がった状態で発行されたレシート紙72a,72bを、レシートプリンタ11の発行口60bから取り除くことなく(筐体2内部に残して)前扉3を閉じた場合には、これらのレシート紙72a,72bは、レシートプリンタ11の前面と、取出口ユニット19の取出口枠44の外側後面との間に形成された隙間Sに挟まれた状態で臨むこととなる。このような場合、新たなレシート紙72の発行を正常に行うことができない。このような不具合を解決するためには、例えば、上記の隙間Sにレシート紙72が存在することを検知するセンサ等を別途設け、このセンサがレシート紙72を検知した場合に、画面表示や音声等でレシート紙72を取り除くことを係員に促すことが考えられる。しかしながら、このようなセンサを設けることは、駐車料金精算機1のコストアップにつながる。
【0114】
そこで、第2の実施形態例に係る駐車料金精算機1では、レシートプリンタ11の前面側に発行口ガイド80を設けると共にレシート紙72が入り込んで保持されるような隙間Sを形成することにより、上記の不具合を解決している。
【0115】
この発行口ガイド80は、平面視で矩形の板状に形成されており、レシートプリンタ11の発行口60bの直上に固定されている。また、発行口ガイド80は、前方に向かって下傾しており、取出口枠44の取出連通口47を通じて先端部が収容空間46に僅かに突出するように設けられている。
【0116】
図12に示すように、前扉3が閉じた状態において、隙間Sを形成するレシートプリンタ11(本体ケース60)の前面60aと、取出口枠44の外側後面44cとは、互いに平行で平滑な面を成している。なお、平滑な面(前面60a,外側後面44c)とは、レシート紙72が挟まって破れない程度の凹凸を含む面を指している。
【0117】
この隙間Sは、ロール紙70から切断されて巻き癖が付いているレシート紙72bを挟むようにして保持し、レシート紙72bが自重で落下しない程度の間隔(距離)となるように形成されている。従って、前方(外向き)に膨らんで湾曲形状となったレシート紙72bは、若干平坦にされて隙間Sに進入し、自身の復元力(反発力)によってレシートプリンタ11の前面60aと取出口枠44の外側後面44cとに当接し押圧されたような状態で、隙間Sに保持されている。
【0118】
第2の実施形態例に係る駐車料金精算機1では、前扉3を閉じた後に、例えば、係員がレシート紙72a,72bを取り忘れたことに気が付いた場合等において、前扉3が閉じられ、レシート紙72a,72bが隙間Sに入り込んだ(挟まれた)状態のままで、係員がメンテナンス操作を継続して行えるようになっている。具体的には、駐車料金精算機1のCPU50は、データ管理処理50fの機能の一部として所定データを出力し、レシート発行50gの機能によって管理用レシート紙76を発行し、レシート紙72a,72bを回収(レシート紙回収動作)することができるようになっている。なお、所定データには、予め設定された印刷情報73等や空白(印刷しない)情報が記録されている。また、管理用レシート紙76には、印刷情報73等が印刷された管理票(例えば、作業完了証明書等)や、空白情報により印刷されずにフィード搬送して出力された余白票が含まれる。
【0119】
以下、
図13及び
図14を参照して、レシート紙回収動作について説明する。
【0120】
まず、係員は、前扉3の鍵を操作してハンドル27bを突出させる。すると、CPU50は、駐車料金精算機1をメンテナンスモードとし、表示画面装置12にメンテナンスモードのガイダンスを表示し、キー入力操作部15aのキーに対応したメンテナンスメニューを表示する。次に、係員は、キー入力装置15のキー入力操作部15aにある管理票発行機能に対応するキーを押下する。すると、CPU50は、キー入力解析50bの機能によって、係員から管理票発行が指示されたことを判断(認識)する。そして、係員が前扉3を閉止すると、通常は自動的にカッター動作設定65cが「完全切断」に設定変更されるのだが、係員からの管理票発行指示があった場合、CPU50は、レシートプリンタ11に対し、カッター動作設定65cを「部分切断」にすることを指示する。そして、CPU50は、レシート発行50gの機能によって、管理用レシート紙76として、予め設定された文字情報(例えば、係員のID番号や作業完了時刻)等を印刷した紙片又はロール紙70の引出し部71をそのまま何も印刷せずにフィード搬送させた余白の紙片等を発行するようにレシートプリンタ11に指示する。
【0121】
レシートプリンタ11(制御部65)は、受信データ解析65eの機能によって受信データを解析して、プリント部68の機能によって管理票を印刷し、又はレシート紙搬送65jの機能によって余白票をフィード搬送させて、管理用レシート紙76を発行する。つまり、レシートプリンタ11は、キー入力操作部15aを介して入力操作されたことをCPU50が認識した場合に、管理用レシート紙76を発行するようになっている。
【0122】
管理用レシート紙76は、隙間Sに保持されたレシート紙72bに下方への移動がある程度制限されるため、発行口ガイド80に沿って前方に向かって下傾して収容空間46に突出するように送り出される。具体的には、管理用レシート紙76が前方に搬送(発行)されると、レシート紙72bと管理用レシート紙76との間の連結部74で折れ曲がり、この折れ曲がった部分が、取出連通口47から収容空間46に突出した状態となる。
【0123】
そして、係員は、取出口カバー32を押し開けて収容空間46に手を挿入し、取出連通口47から突出した管理用レシート紙76を摘んで前方に引き出す。すると、管理用レシート紙76と発行口60b内の引出し部71との間の連結部74が切断され、隙間Sに挟まれたレシート紙72a,72bが引き出される。このとき、取出口枠44の下端には傾斜部44bが形成されているため、この引き出しの際にレシート紙72a,72bが取出口枠44の後側壁44aの下端に引っ掛かってしまうことを防止することができる。なお、管理用レシート紙76の前後方向の長さL(
図15参照)は、レシート紙72の前後方向の長さよりも短く、収容空間46内に係員が手を挿入して摘める程度の長さで十分である。なお、隙間Sにレシート紙72が挟まっていない場合であっても、係員からの管理票発行指示によって他の作業内容を印刷した作業完了証明書としての管理用レシート紙76を発行するようにしてもよい。この場合、管理用レシート紙76には、例えば、
図15に示すように、係員のID番号や作業完了時刻を含んだ情報を印刷することが好ましい。
【0124】
第2の実施形態に係る駐車料金精算機1によれば、発行口ガイド80は、レシートプリンタ11の発行口60bの直上に固定されているため、隙間Sに入り込むまでの過程において、レシート紙72が取出連通口47よりも上方向に移動することを規制している。このため、前扉3を閉めた際に、レシート紙72が上方に舞い上がり、隙間Sに折れ曲がって挟まるようなことを防止することができる。これにより、隙間Sに入り込んで保持された(留まった)レシート紙72(72a,72b)を適切に引き出すことができる。また、取出連通口47は、その縦幅を発行口60bよりも大きく、且つ下方向に伸ばした矩形穴であるため、係員が管理用レシート紙76を摘み出す際に、取出連通口47の下端で管理用レシート紙76(レシート紙72)のスリット部75が引っかかって連結部74が切断されてしまうことを有効に防止することができる。なお、少なくともレシートプリンタ11側の取出連通口47の下端部は、バリ取りや面取りなどの処理を施したり、傾斜させた形状とすることが好ましい。
【0125】
また、第2の実施形態に係る駐車料金精算機1によれば、発行済みのレシート紙72a,72bは、隙間Sを形成するレシートプリンタ11の前面60aと取出口枠44の外側後面44cとに軽く当接し挟み込まれるようにして隙間Sに保持された状態であるため自重で落下することがない。このため、管理用レシート紙76は、隙間Sに臨むレシート紙72a,72bの重さにより下方に引っ張られることなく、取出口ユニット19の取出連通口47を通って収容空間46に突出する。また、隙間Sを形成するレシートプリンタ11(本体ケース60)の前面60aと取出口枠44の外側後面44cとは平滑面であるため、各面60a,44cとレシート紙72a,72bとの間には、レシート紙72a,72bが自重で落下しない程度の摩擦力のみが働いている。従って、レシート紙72a,72bを引き出す際には、レシート紙72a,72bを繋ぐ連結部74が切断される程の負荷はかからず、レシート紙72a,72bを円滑に隙間Sから取り去ることができる。
【0126】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態の変形例に係る駐車料金精算機1では、
図15に示すように、管理用レシート紙76を管理運用上の作業完了証明書として発行することができる。例えば、各金庫14,18内の現金の回収を行ったことを証明する金銭管理情報の自動発行の他に、係員が独自に操作する帳票類の発行があった場合に、最後に前扉3を閉じた後に作業完了証明書として管理用レシート紙76を発行するように設定しておく。すなわち、係員に作業完了証明書の収集を義務付けるといった管理運用を採用することができる。これにより、この作業完了証明書として管理用レシート紙76を取得していない場合には、発行された金銭管理情報や他の情報のレシート紙72を取り忘れた可能性があることを係員が認識することができる。
【0127】
この場合、CPU50が前扉3の開状態の際に少なくとも1回(1回以上)は何らかのレシート紙72の発行(印刷)が実施されたことを認識し、且つ、CPU50が検知スイッチ解析50aの機能によって、駐車料金精算機1の扉開検知スイッチ57が開状態から閉状態への変化を検出したことを認識した場合に、管理用レシート紙76(作業完了証明書等)を自動的に発行するようにすることが好適である。すなわち、レシートプリンタ11は、先にレシート紙が発行され且つ扉開検知スイッチ57により前扉3の閉状態が検知されたことをCPU50が認識した場合に、管理用レシート紙76を発行するようになっている。なお、前扉3の開状態で1回以上のレシート紙72の発行が行われたか否かは、CPU50が、メモリ51に記録されたレシート紙72の発行回数等を参照することにより認識される。もちろん、前扉3が開状態でレシート紙72の発行が実施されない(隙間Sにレシート紙72が挟まっていない)場合であっても、他の作業内容を印刷した作業完了証明書として、管理用レシート紙76を自動的に発行するようにしてもよい。例えば、
図15に示すように、係員のID番号や作業完了時刻を含めて、係員が管理者に管理用レシート紙76を提出するように義務付ける運用も有用である。
【0128】
また、この場合、前扉3を閉じた時(ハンドル27bは未収納)に管理用レシート紙76の発行の指令が実行され、ハンドル27bが収納されたことをハンドル検知スイッチ58が検知した時にレシートプリンタ11のカッター動作設定65cの機能によって部分切断から完全切断に切り替わるようにする。これにより、前扉3が閉じてハンドル27bが収納されていない場合はメンテナンス作業が継続している状態であり、ハンドル27bが収納されると完全にメンテナンス作業が完了した状態になるという扱いをすることで、CPU50の各種制御の複雑化を防止することができる。
【0129】
なお、上記した各実施形態(変形例含む)において、隙間Sを形成するレシートプリンタ11の前面60aと取出口枠44の外側後面44cとの少なくとも一方に軽い樹脂性の板バネや可撓性を有する柔らかなクッション材等を設けて(貼付して)もよい。これにより、レシート紙72が複数枚連結していても、前扉3を閉じた際に、自重で落下することなく隙間Sに留まり易くなり、レシート紙72の回収を適切に行うことができる。その際の隙間Sの内面全体にクッション材等を介在させず、部分的に介在させるだけでもよい。例えば、取出口枠44の外側後面44cに縦長状のリブを形成することでも、上記と同様なレシート紙72の保持効果を十分に期待することができる。
【0130】
なお、隙間Sの距離(レシートプリンタ11の前面60aと取出口枠44の外側後面44cとの間隔)は、最も狭い場合はレシート紙72の厚み以上であればよく、最も広い場合はレシート紙72の最も短い発行状態における最も大きな径で巻き癖の付いた湾曲形状(カール状態)のレシート紙72が進入可能、且つレシート紙72の自重が掛かっても落下せず保持可能な距離(間隔)に形成されている。なお、各実施形態では、例えば、最も短い発行状態のレシート紙の長さLが40mmで、最も大きな径が最大径時(新品時)の直径60mmのロール紙70であれば、巻き癖の付いた湾曲形状の幅(弧の頂点から2つの端点を結ぶ割線に下ろした垂線の長さ)は約6.4mmとなる。そこで、各実施形態では、湾曲形状の反発力による保持力を得るために、その半分の3mmの隙間Sを構成することで、レシート紙72の良好な挟み保持状態を得ることができている。
【0131】
上記した本発明の各実施形態(変形例含む)では、フラップ式駐車場に用いられる駐車料金精算機1について説明したが、例えば、ゲート式駐車場において車両退場時の駐車料金を管理する出口料金精算機や、駐車場に設置される事前精算機に本発明の構成を適用しても良い。また、例えば、自動販売機や券売機等、駐車場以外の場所に設置される料金管理装置に本発明の構成を適用しても良い。さらに、各管理装置の設置場所は、屋外であっても良いし、屋内であっても良い。