(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985400
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】パルス負荷冷却のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
F25B9/00 311
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-556563(P2012-556563)
(86)(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公表番号】特表2013-522571(P2013-522571A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】FR2011050407
(87)【国際公開番号】WO2011110768
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】1051784
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】アイギー、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ブリエン、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】フォーブ、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ジャン−マルク
(72)【発明者】
【氏名】グリヨ、ダビド
(72)【発明者】
【氏名】エロワン、バンサン
【審査官】
横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−125772(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/024705(WO,A2)
【文献】
特開平03−244966(JP,A)
【文献】
特開平06−241594(JP,A)
【文献】
特開平08−159584(JP,A)
【文献】
特開平10−238889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
「トカマク」(11)の構成機器(1)、すなわち断続的にプラズマを生成するための設備(11)の構成機器(1)を冷却し、作動サイクル(3)へのヘリウム等の作動流体が供される冷却機(2)を使用するパルス負荷方法であって、
前記パルス負荷方法は、圧縮(12)、冷却及び膨張(22,11)、前記構成機器(1)との熱交換(32)、及び加熱の各工程を備え、
前記トカマク(11)がプラズマ生成段階にある場合においては、前記冷却機(2)によって生成される冷却能が相対的に高レベルへ増加しつつあるのに対し、前記トカマク(11)がもはやプラズマ生成段階の中にない場合においては、前記冷却機(2)によって生成される冷却能が、相対的に低レベルへ減少するものであり、
前記冷却機(2)によって生成される冷却能の増加が、前記トカマク(11)中のプラズマ開始の1ステップの間に生成された信号(S)に応じて自動的に引き起こされることを特徴とする、パルス負荷方法。
【請求項2】
前記トカマク(11)の中で観測できる物理的パラメータに予め設定した変化がある場合、信号(S)が生成されることを特徴とする、請求項1に記載のパルス負荷方法。
【請求項3】
次の物理的パラメータの少なくとも1つに予め設定した変化がある場合に、すなわち、前記トカマク(11)の内部温度の予め設定した上昇、トカマクをプラズマ生成段階に切り替えるための手動か自動の制御信号、圧力、及び/又は、電流、及び/又は電圧、及び/又は磁界計測に関連した電気的信号、あるいはカメラあるいは1つ以上の光ファイバーのような光学測定器によって伝えられた信号、により信号(S)が生成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパルス負荷方法。
【請求項4】
前記トカマク(11)がもはやプラズマ生成段階中にない場合、前記冷却機(2)が作動流体を液化し、またバッファリザーブ(4)の中に液化された流体を貯蔵する、少なくとも1つの期間を備え、選択的に活性化することができるヒータ(5)を介してリザーブ(4)中の液化された流体のレベルを閾値以下に維持し、そして、プラズマ段階が始められる場合、ヒータ(5)が非活性化される前、またリザーブ(4)中の液位が減少する前に、前記冷却機(2)によって生成された冷却能が増大し、すなわち、前記トカマクの中でプラズマに達していることを示す信号は、ヒータ(5)の非活性化、及びプラズマ生成の間、前記トカマクの構成機器(1)を冷却するための液体の気化に起因するリザーブ(4)の液位の低下に先行し、前記トカマクの中でプラズマに達していることを示す信号は、ヒータ(5)、及び前記トカマクの構成機器(1)をプラズマ生成に冷えることにより流動性の気化に起因するリザーブ(4)の中の液位の低下の非活性化に先行することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のパルス負荷方法。
【請求項5】
前記冷却機(2)によって生成された冷却能の低レベルへの減少は、前記構成機器(1)上の熱負荷における予め設定した変化、すなわち前記構成機器(1)の冷却要求における予め設定した変化に応じて自動的に引き起こされることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のパルス負荷方法。
【請求項6】
前記冷却機(2)によって生成された冷却能の減少が、次の少なくとも1つ、すなわち、前記構成機器(1)と作動流体の間の熱交換を確保する流体回路(7)の予め設定した温度(T)減少を示す信号、貯溜タンク中のヘリウム液位の増加、冷バイパスの開口部閾値、及び/又は冷却コンプレッサ若しくはタービンの閾値速度、に応じて自動的に引き起こされることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載のパルス負荷方法。
【請求項7】
前記作動サイクルにおける作動流体の少なくとも1つの圧力サイクルのレベルの変更、及び/又は、特に圧縮中の作動サイクルを用いたコンプレッサの回転速度の変更によって、冷却能の生成の増加又は減少を達成することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載のパルス負荷方法。
【請求項8】
生成された冷却能の増加又は減少は、前記冷却機によって消費された電力を直接あるいは間接的に変えることにより達成されることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載のパルス負荷方法。
【請求項9】
トカマク(11)の構成機器(1)を冷却し、ヘリウム等の作動流体の作動回路を構成する回路を備えた冷却機(2)を具備するパルス負荷冷却装置であって、前記冷却機(2)の回路は、
−少なくとも1のコンプレッサ(8)を具備し、作動ガスを圧縮するための圧縮ステーション(12)と、
−少なくとも1つの熱交換器(10)及び前記圧縮ステーション(12)から出力された作動ガスを膨張するための少なくとも1つの構成機器(1)を備えた予備冷却/冷却器(9)と、
−冷却された作動流体と前記構成機器(1)との間で熱交換するためのシステム(4、7、12)と、
−構成機器(1)で熱交換した流体を前記圧縮ステーション(12)へ戻すためのシステム(13、14、10)と、を備え、
該パルス負荷冷却装置は、前記トカマク(11)がプラズマ生成段階にある場合、冷却能を相対的に高レベルに急速に増加させるために、前記冷却機(2)によって生じる冷却能の調節を保証する冷却機(2)を制御するための電子ロジック(15)を備え、
前記トカマク(11)が、プラズマが開始される毎に起動信号(S)を出力するエミッタ(112)を備え、前記電子ロジック(15)が、信号の受取りにより前記冷却機(2)により生じた冷却能の増加を自動的に命じるための前記起動信号(S)を受け取る受信機を備えていることを特徴とする、パルス負荷冷却装置。
【請求項10】
前記トカマク(11)中で観測される物理的パラメータの値を測定し、プラズマが発生したかどうかを指示するセンサ(111)を備え、前記センサ(111)が電子制御ロジック(15)に入力を供給する目的でエミッタ(112)に信号を出力することを特徴とする、請求項9に記載のパルス負荷冷却装置。
【請求項11】
前記センサ(111)が次の少なくとも1つ、すなわち、前記トカマク(11)の内部温度又は外部温度を検出するためのセンサ、いわゆる「スタンバイ」段階からプラズマ生成段階へと前記トカマクが切り替わることを要請する手動又は自動の命令を検出するためのスイッチング・センサ、あるいは前記トカマクの設備の中にある他の電気的なセンサ、を備えていることを特徴とする、請求項10に記載のパルス負荷冷却装置。
【請求項12】
前記予備冷却/冷却器(9)が、作動サイクル中に液化された流体のバッファリザーブ(4)、リザーブ(4)の液化された流体のうちのいくらかを蒸発させるために選択的に活性化することができるヒータ(5)、及び前記リザーブ(4)の流体と前記構成機器(1)の間の選択的に熱交換させるための回路(7)とを備え、
該パルス負荷冷却装置は、前記構成機器(1)の上の熱負荷を測定するセンサ(6)、すなわち冷やされる構成機器(1)の冷却要求の量の代表値の測定を行うセンサ(6)を備え、該センサ(6)は、電子ロジック(15)へ信号(T)を伝達する構成機器(1)の熱負荷の測定を行い、前記電子ロジック(15)は、前記構成機器(1)の熱負荷の予め設定した減少を示す信号(T)に応じて前記冷却機(2)によって生成された冷却能を相対的に低レベルに減少させるようにプログラムされていることを特徴とする、請求項9乃至11の何れか1項に記載のパルス負荷冷却装置。
【請求項13】
前記構成機器(1)の上の熱負荷を測定する前記センサ(6)が、次の少なくとも1つ、すなわち、前記構成機器(1)と作動流体の間の熱交換を選択的に確保する流動性の回路(7)の中の温度(T)を検出するためのセンサ、圧力検出器、前記ヒータに供給された電力を測定するための手段、又は冷却コンプレッサ及び/若しくはタービンの速度を測定するための手段を備えていることを特徴とする、請求項12に記載のパルス負荷冷却装置。
【請求項14】
前記電子ロジック(15)が、少なくとも作動サイクル中の作動流体の圧力サイクルのレベルを制御し、及び/又は、作動サイクル中、特に圧縮中に使用されるコンプレッサの回動速度を制御することにより、前記冷却機(2)によって生成された冷却能を変えるように構成されることを特徴とする、請求項9乃至13の何れか1項に記載のパルス負荷冷却装置。
【請求項15】
前記電子ロジック(15)が前記冷却機によって消費された電力を直接あるいは間接的に調節するように構成されることを特徴とする、請求項9乃至14の何れか1項に記載のパルス負荷冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、本発明はパルス負荷冷却方法及び冷却装置に関する。
【0002】
本発明は特に、「トカマク」、すなわち断続的にプラズマを生成するための設備の構成機器を冷却するパルス負荷方法であって、その方法は作動サイクルへのヘリウム等の作動流体が供される冷却機を使用するものに関し:圧縮;冷却と膨張;前記構成機器における熱交換;そして加熱、トカマクがプラズマ生成段階にある場合においては、冷却機によって生成される冷却能が相対的に高レベルへ増加しつつあるのに対し、トカマクがもはやプラズマ生成段階の中にない場合においては、冷却機によって生成される冷却能が、相対的に低レベルへ減少しつつある。
【0003】
本発明は、より詳しくは、トカマクの構成機器、すなわち断続的にプラズマを生成するための設備の構成機器を冷却するためのパルス負荷冷却方法及び冷却装置に関する。
【0004】
トカマク(「Toroidalnaya Kamera c Magnitnymi Katushkami」のロシアの頭字語)は、融解パワーを得るために必要な物理状態を生成することができる設備である。特に、トカマクは断続的にプラズマ、すなわち電気を通す電離気体を生成する。
【0005】
トカマクを冷却するための必要条件は、それらの非常に一時的な動作状態に依存する。
【0006】
トカマクは、不連続で、かつ、繰り返された爆発のプラズマを生成する。このプラズマは、要求があり次第、一定間隔もしくはランダムに周期的に生成される。
【0007】
このオペレーティング・モードは、「パルス負荷」冷却と呼ばれるものを要求する、すなわち、非常に本質的な冷却能は、非常に短い量の時(プラズマ生成段階中)に必要であり、この高い冷却要求は、冷却の必要がほとんどないより長い期間(次のプラズマが生成されるまで)の後に続く。
【0008】
したがって、トカマク冷却装置は、このオペレーティング・モードの必要条件を満たすように設計されている。したがって、これらの冷却装置は、プラズマ間の期間に液体ヘリウムを生成する「節約装置(economizer)」モードと呼ばれるものを使用する。生成された液体ヘリウムはリザーブ(reserve)に貯蔵され、プラズマ生成段階中にトカマクの構成機器を冷却するために沸騰することにより消費される。
【0009】
2つのプラズマ間の期間が十分に長い場合、次のプラズマの前に液体ヘリウムリザーブの最高液面位に到達している。その後、冷却装置の冷却能は縮小され、それによって、相当な量の動力を節約する。通常の解決方法では、冷却装置の力は、サイクルの圧力を下げる(すなわちその作動サイクル中のヘリウムの圧縮の圧力レベルを下げることによる)ことにより最小限にされる。
【0010】
冷却装置の力も、周波数変換器(frequency variator)を使用する(すなわち、作動サイクルによるヘリウムの流量を選択的に減少させるか増加させる)ことで、サイクル流量を変更することにより減少させるか増加させてもよい。
【0011】
一般に、ヒータは液体ヘリウムリザーブの中に設けられる。このヒータは液位を一定に保つ、あるいは少なくとも最大閾値以下に保つように超過冷却能を消費するために動作させる。
【0012】
通常、パワー状態(生成された冷却能の増加又は減少)間の遷移はヒータの動作パワーに依存して、要求される、すなわち、ヒータの電気制御信号はサイクルの圧力設定値及び/または冷却装置の圧縮ステーションの変換器の周波数設定値を設定する「加熱曲線」を使用して解釈される。
【0013】
新しいプラズマが生成される場合、冷却装置は最大の冷凍パワーを(オペレータによる)手動で、あるいはヒータの「加熱曲線」の関数により、生成するために作られる。
【0014】
プラズマが消滅しており、要求される冷却能がより低い場合、より少ない冷却能を生成する状態への冷却装置の復帰は、パワーがヒータに供給されていない場合、一般に自動的に達成される。
【0015】
文献WO2009/02740512は、冷却装置によって生成された冷却能に基づいて、冷却装置によって消費機器に供給された低温力を調整する方法について記述する。
【0016】
これらのオペレーティング・モードは全体として満足したものであるが、冷却装置の電源消費は高いままである。
【0017】
本発明の1つの目的は、上に触れた先行技術の欠点の全てあるいはいくらかを緩和することである。特に、本発明の目的は、先行技術のものより優れた冷却方法及び冷却装置を提供することである。
【0018】
このため、本発明によって、さらに、上記前提部分の中で与えられた総括的な設定によって、トカマクの構成機器の冷却方法は、トカマク中のプラズマ開始の1ステップの間に生成された信号に応じて自動的に起動する冷却機によって生成された冷却能が増加することを本質的な特徴とする。
【0019】
このように本発明は、冷却装置の冷却能が自動的に調整されることを可能にすることで、液体ヘリウム消費を最小限にする。後述するように、本発明は、冷却装置の全面的な電源消費を減少させることを可能にする。特に、本発明は、冷却装置の最大の冷却能の使用時間の長さを縮小することを可能にする。
【0020】
これは、ヘリウムリザーブが影響される前に、プラズマの生成の予測による本発明によって得られてもよい。
【0021】
さらに、本発明の実施例は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい:
−トカマクの中で観測できる物理的パラメータに予め設定した変化がある場合に、信号は生成される;
−次の物理的パラメータの少なくとも1つの予め設定した変化がある場合に、信号は生成される:トカマクの内部温度の予め設定した上昇;トカマクをプラズマ生成段階に切り替えるための手動又は自動制御信号;圧力及び/または電流及び/または電圧及び/または磁界計測に関連した電気的信号;あるいは、カメラあるいは1つ以上の光ファイバ等の光学測定器によって供給された信号;
−トカマクがもはやプラズマ生成段階中にない場合、その方法は冷却機が作動流体を液化し、またバッファリザーブの中に液化された流体を貯蔵する、少なくとも1つの期間を備え、選択的に活性化することができるヒータを介してリザーブ中の液化された流体のレベルを閾値以下に維持し、そして、プラズマ段階が始められる場合、ヒーターが非活性化される前、またリザーブ中の液位が減少する前に、冷却機によって生成された冷却能が増大することにより、冷却能が生み出される、すなわち、トカマクの中でプラズマに達していることを示す信号は、ヒータの非活性化、及びプラズマ生成の間、トカマクの構成機器を冷却するための液体の気化に起因するリザーブの液位の低下に先行する;
−冷却機によって生成された冷却能の低レベルへの減少は、構成機器上の熱負荷における予め設定した変化(すなわち構成機器の冷却要求における予め設定した変化)に応じて自動的に起きる;そして
−冷却機によって生成された冷却能の減少は、自動的に次の少なくとも1つに応じて起きる:構成機器と作動流体の間の熱交換を確保する流体回路の予め設定した温度減少を示す信号;貯溜タンク中の液体ヘリウムの液位の増加;冷バイパスの開口部閾値;及び/または冷却コンプレッサかタービンの閾値速度。
【0022】
本発明は、さらにトカマクの構成機器の冷却のためのパルス負荷冷却装置、すなわち冷却機の回路であって、ヘリウム等の動作流体の動作回路を形成する回路を備えた冷却機を装備した冷却装置に関するものであってもよく:冷却機の回路は、
−少なくとも1つのコンプレッサを装備しているステーションであって、作動ガスを圧縮するためのステーション;
−少なくとも1つの熱交換器及び圧縮ステーションから出力された動作ガスを膨張するための少なくとも1つの構成機器を備えている予備冷却/冷却器;
−冷却された作動流体と構成機器との間で熱を交換するためのシステム;
そして
−構成機器で熱を交換した流体を圧縮ステーションへ戻すためのシステム、
トカマクがプラズマ生成段階にある場合、冷却能を相対的に高レベルに急速に増加させるために、前記冷却機によって生じた冷却能を確保して規制することで冷却機を制御するための電子ロジックを備えた冷却装置であって、その冷却装置は、トカマクはプラズマが始められようとしているごとに、起動信号を出力するエミッタを備え、電子ロジックは、信号の受取により冷却機により生じた冷却能の増加を自動的に命じるための前記起動信号を受け取る受信機を備えていることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の実施例は、以下の特徴の1つ以上を含んでもよい:
−冷却装置は、トカマクで観測できる物理的パラメータの値を測定し、プラズマに達したかどうかを示すセンサを備え、そのセンサは電子制御ロジックに入力を提供するためにエミッタに信号を出力する;
−センサは、次の少なくとも1つを備えている:トカマクの内部か外部温度を検出するセンサ;プラズマ生成段階への「スタンバイ」段階と呼ばれるものにトカマク・スイッチを手動あるいは自動コマンドを求めることを検出するためのスイッチング・センサ;
あるいはトカマクの計装の中にある他の電気的なセンサ;
−予備冷却/冷却器は、作動サイクル中に液化された流体のバッファリザーブ、ヒータ、それはリザーブの液化された流体のうちのいくらかを蒸発させるために選択的に活性化することができるヒータ、リザーブの流体と構成機器の間の選択的な熱交換のための回路を備え、冷却装置は構成機器上の熱負荷を測定するセンサを備え、電子制御ロジック、すなわち構成機器上の熱負荷の予め設定した減少を示す信号に応じて冷却機によって生成された冷却能を相対的に低レベルへ弱めるようにプログラムされている電子制御ロジックに信号を出力する構成機器上の熱負荷を測定するセンサ;
−構成機器上の熱負荷を測定するセンサであって、次の少なくとも1つを備え:すなわち、構成機器と作動流体の間の熱交換を選択的に確保する流体回路中の温度を検出するためのセンサ;圧力検出器;ヒータに供給された電力を測定するための手段;また冷却コンプレッサ及び/またはタービンの速度を測定するための手段;
−プラズマ生成段階中の構成機器における熱交換によって沸騰することにより消費されるように供給されている貯蔵された液体のバッファリザーブ;
−サイクル圧力(すなわち作動サイクル中にさらされる作動流体の圧縮の圧縮レベル)の変化、及び/または、サイクル流量(すなわち作動サイクルに通じる作動流体の流量)の変化によって得られる冷却機によって生じる冷却能の変化:そして
−サイクルの圧力と流量の変化は、冷バイパス、室温貯蔵タンク、及びタンク中の液体ヘリウムの消費の制御バルブの併用によって平滑化される。
【0024】
本発明はさらに上に、あるいは、下に記述した特徴のどんな組み合わせを備えた代替装置又は方法に関係があってもよい。他の特殊性及び利点は続きの記述、与えられた図を参照することで明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明によるトカマク冷却装置の構成及び動作を部分模式的に示している。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施例によるトカマク冷却装置の構成及び動作を部分模式的に示している。
【
図3】
図3は、プラズマPAが存在する場合、サイクル圧力P及び冷却されるトカマク構成機器上のサイクル圧力P及び負荷T1における時間tの関数(function)としての変化aを同じグラフに示している。
【
図4】
図4は、プラズマPAが存在する場合、サイクル圧力P及び
図2中の冷却装置のオプションの冷バイパスBにおける時間tの関数(function)としての変化を同じグラフに示している。
【
図5】
図5は、サイクル圧力P、平均サイクル圧力Pm、先行技術の冷却装置用の2つの連続プラズマ段階PAの冷却装置のリザーブの中の液位Nを時間tの関数(function)としての変化tを同じグラフに示している。
【
図6】
図6は、サイクル圧力P、平均サイクル圧力Pm、本発明の冷却装置用の2つの連続プラズマ段階PAの冷却装置のリザーブの中の平均液位Nを時間tの関数(function)としての変化tを同じグラフに示している。
【0026】
ここで、一般的な操作の原理を
図1を参照して記述する。
【0027】
図1に図式化された冷却装置は、従来の方法、すなわち冷却効果を生ずるように作動流体を作動サイクルにさらす回路を備えた冷却機2を備えている。例えば、作動流体はヘリウムを含んでいる、または、構成されている。単純のため、残りの記述において、この作動流体を「ヘリウム」と呼ぶ。
【0028】
冷却機2の回路は、ヘリウムを圧縮する少なくとも1つのコンプレッサ8を装備した、圧縮ステーション12を備えている。一旦、圧縮ステーション12から出力されたヘリウムは、冷却ユニット32に入る(予備冷却するユニット22を任意的に伴う)。冷却/予備冷却ユニット22,32は、後者を冷却するようにヘリウムで熱交換する1台以上の交換器を備えている。
【0029】
冷却/予備冷却ユニット22,32は、ヘリウムの膨張のために1台以上のタービンを備えている。好ましくは、冷却/予備冷却ユニット22,32はブレイトンサイクルを使用する。
【0030】
少なくともヘリウムのうちのいくらかは、冷却/予備冷却ユニット22,32から出力される前に液化され、回路4,7は液体ヘリウムと冷却されるトカマク構成機器1の間の選択的な熱交換を確保するために設けられる。構成機器1は、例えば超伝導磁石を使用して得られた磁界発生器及び/または1つ以上のクリオポンプを備えている。
【0031】
熱交換回路4,7、例えば、液化されたヘリウムのリザーブを貯蔵するタンク4と、ダクト7と、構成機器1と液体ヘリウムの間の間接の熱交換を確保する交換器を含んでもよい。
【0032】
少なくとも構成機器1で熱交換中に熱せられたヘリウムのうちのいくらかは、圧縮ステーションに戻される。圧縮ステーション12へ戻される間に、ヘリウムは交換器で冷却されてもよく、それは次には圧縮ステーション12からのヘリウム出力を冷却する。
【0033】
プラズマがトカマク11に生成される場合、構成機器1はより高い熱負荷(すなわち増加した冷却要求)にさらされる。したがって、冷却機2の冷却能を増加しなければならない。冷却装置は冷却機2を制御するための電子ロジック15を有し、それは前記冷却機2によって生じた冷却能が調整されることを特に可能にする。特に、電子ロジック15は、トカマク11がプラズマ生成段階にある場合、この冷却能が急速に増加されて相対的に高レベル(例えば最大の冷却効果を提供するレベル)になることを可能にする。同様に、電子ロジック15は、トカマク11がもはやプラズマ生成段階の中にない場合、この冷却能を減少させて相対的に低レベル(例えばプリセットされた最低レベル)へと制御する。
【0034】
冷却機2によって生じる冷却能の変化は、サイクル圧力P(すなわちヘリウムが作動サイクル中にさらされる圧縮12の圧力レベル)の変更により通常通りに得られる。
【0035】
もしサイクル流量の変更により要求されれば(すなわち、作動サイクルによってヘリウムの流量を変更することによって)、冷却機2によって生じる冷却能における変化も実行されてもよい。
【0036】
先行技術とは対照的に、本発明による冷却装置の装置2の冷却能の増加は、液体ヘリウムリザーブのヒータの加熱曲線についての情報に応じて引き起こされない。本発明によれば、この低い冷却能のオペレーティング・モードと高い冷却能のオペレーティング・モードの間の転換は、ヒータの加熱曲線に関する関連情報に関連のあるために予測される。
【0037】
特に、本発明による冷却装置では、トカマク11はプラズマに達している場合に信号Sを発するエミッタ112を備えている。この信号Sは電子ロジック15に(有線又は無線によって)送られる。このために、電子ロジック15は前記信号Sを受け取るためにレシーバを備えてもよい。この信号Sが受け取られる時、電子ロジック15は自動的に冷却機2によって生じた冷却能の増加を要求する。
【0038】
トカマクの中でプラズマに達していることを示す信号Sは、トカマク11で、あるいは、トカマク11の上流(及び先行技術の場合におけるトカマク11の下流ではない)で観測されるよりも物理的パラメータに基づいている。
【0039】
例えば、限定されることはないが、プラズマ段階がいつスタートしたか検知するようにモニタされた物理的パラメータは、次の少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、トカマクの内部温度用の閾値;電気制御信号;トカマクを開始するオペレータからの手動制御信号、あるいは他の等価な手段;また圧力及び/または電流及び/または電圧及び/または磁界計測。
【0040】
この有利な特徴は、プラズマ生成段階の始まりが検知されることを可能にし、トカマクの核心(プラズマ生成部位)と冷却装置(冷却される構成機器1)の熱インターフェースとの間の熱負荷の移動の時定数を利用することを可能にする。このように、冷却装置は、構成機器1に対するその影響が観測される前に、増加した冷却要求を予想するためにシステムの慣性を考慮に入れる。
【0041】
したがって、本発明によって、増加した熱負荷が現われる場合、冷却装置の最大能力が直ちに利用可能なように、冷却能状態の変化が生じる。
【0042】
好ましくは、冷却能の変化(例えば、サイクル圧力及び/または流量の変更により達成された)は急ではなく(全部か零の変化でない)、緩やか、例えば、少なくとも部分的に平滑な変化となる。
【0043】
図3は、このタイプの動作、時間「t」の関数がプラズマ(曲線PAのピーク)を表わす信号PAに先行するサイクル圧力P(デバイス2の冷却能を高めるために、最大圧力は設定値PMAXにセットされる)の増加を示す。
図3は、さらに構成機器1が液体ヘリウムリザーブ4に加えた熱負荷の変化を表わす曲線T1を示しており、すなわち、この負荷曲線T1は、構成機器1から消される熱を表わす。再び構成機器1によって加えられた熱負荷T1が減少する場合、低圧設定値(最小圧力)に到達するまで、圧力設定値Pは、好ましくは負荷と同じ割合で最適な方法で縮小されてもよい。
【0044】
このオペレーティング・モードでは、超過冷却能は、熱負荷の有効な増加の前に短時間提供される。この超過熱出力は、生成され、あるいは冷却器から圧縮ステーションにいくらかのヘリウムを戻す冷バイパスシステムによるどんな過剰液も蒸発させるヒータによって調整されてもよい。しかしながら、そのような冷バイパス式はオプションである。
【0045】
しかしながら、サイクル圧力及び流量における変化は、冷バイパス弁30の、室温貯溜タンク、及びタンク4中の液体ヘリウムの消費の併用によって有利に平滑にされる(そのような冷バイパスの典型的なオペレーティング・モードは文献WO2009/024705に述べられている)。この解決法は、ヒータの無視できない電源消費を防ぎ、冷却ユニットで温度差の振幅を適切に制限することをさらに可能にする。
【0046】
ヒータ及び/または冷バイパスの使用は、冷却ユニット32の熱交換器の温度を下げるためにどんな超過冷却能も使用することを可能にする。これは、冷却ユニット32のステージのタービンを通る流量が縮小されることを可能にする。
【0047】
図5及び
図6は、先行技術に対する本発明の利点を実証する。
【0048】
図はそれぞれ、与えられたグラフにおいて、サイクル圧力P、平均サイクル圧力Pm、2つのプラズマ段階に連続して(2つの連続したピーク)にさらされた冷却装置用の液体リザーブ中の液体ヘリウムの液位Nを時間tの関数(function)としての変化を同じグラフに示している。
図5は、先行技術(ヒータの加熱曲線における変化に依存するサイクル圧力の増加)によるオペレーションを示す。
図6は、本発明(サイクル圧力の増加、トカマクの中でプラズマに達する1ステップの間に生成された信号Sに対応したサイクル圧力の増加)によるオペレーションを示す。
【0049】
これらの曲線の比較によれば、本発明が、冷却装置の圧縮ステーション12の平均操作圧力が、著しく下げられる(約10%)のを可能にすることを示す。
【0050】
本発明は、このようにして、一連のプラズマ発生のための冷却装置の全面的な電源消費を次第に削減する。
【0051】
したがって、発明者が先行技術で観測したように、ヒータの「加熱曲線」だけが使用された時、装置2の冷却能状態の変化はプラズマによる熱負荷より遅れた。本発明は、デバイス2の冷却能と冷却要求との間の整合を改善することを可能にする。これは減少間に得られる:すなわち、
−液体ヘリウムの消費(
図5及び6の中の液位N参照);そして
−圧縮ステーション(上記参照)の電源消費。
【0052】
図2は、特別の典型的な冷却装置2(この例に制限されない)へ本発明を適用したものを示す。
【0053】
図2中の冷却装置の圧縮ステーション12は3つのコンプレッサ8を備えている。
【0054】
示されるように、圧縮ステーション12は緩衝収容タンク16への液体水素の転換のためにダクト18を備えるようにしても良い。バルブ17のシステムは、作動回路と緩衝収容タンク16の間のヘリウムの転換を調整することを可能にする。同様に、従来の方法で、それぞれのバルブを装備したダクト19はある圧縮ステージに圧縮したヘリウムを選択的に戻すことを確保するように提供されてもよい。
【0055】
圧縮ステーション12から出力された後に、ヘリウムは、ヘリウムが1台以上の交換器10を備えた熱交換によって冷やされ、任意にタービンの中で膨張し、予備冷却ユニット22へ導入される。バルブを装備したダクト20は、圧縮ステーション12に選択的にヘリウムを戻すために提供されてもよい。
【0056】
その後、ヘリウムは冷却ユニットへ導入される。ヘリウムは1台以上の交換器10を備えた熱交換によって冷やされ、1台以上のタービン11で任意に膨張する。上に説明したように、バルブ30を装備した冷バイパスダクト31は圧縮ステーション12に膨張したヘリウムを戻すために設けてもよい。
【0057】
液化されたヘリウムは、主としてリザーブ4に貯蔵される。液体ヘリウムのこのリザーブ4は、冷却される構成機器1における熱交換用の冷却予備を形成する。例えば、冷却はポンプ122を装備した閉ループ回路7によって生じる。
【0058】
示されるように、液化されたヘリウムのうちのいくらかは、補助リザーブ24を形成する別のタンクに供給するためにリザーブ4(バイパスダクト21及びバルブ23)の上流側から転換されてもよい。(オプションである)液体ヘリウムの補助リザーブは、設備(あるいは他の熱負荷を冷却すること)のクリオポンプ・システム25に使用されてもよい。例えば、構成機器1の冷却回路はこの他の熱負荷25への液体ヘリウムの転換のための回路を含んでもよい。
【0059】
その後、リザーブ4及び24からの加熱されたヘリウム出力は、圧縮ステーション12に戻される。ヘリウムはその戻り中に冷却/予備冷却ユニット32,22の交換器10を冷却するために使用されてもよい。
【0060】
電子ロジック15(それはマイクロプロセッサを含んでもよい)は冷却能を調整するために圧縮ステーションに接続される。前記電子ロジック15もこのリザーブの中のヘリウムの液位を調整するためにリザーブ4のヒータに接続される。
【0061】
本発明によれば、トカマク11は、トカマク11で観測できる物理的パラメータの値を測定し、かつ、プラズマにいつ達したかを示すセンサ111を備えている。電子ロジック15のレシーバ115へのセンサ111からの信号は、エミッタ112によって中継される。
【0062】
有利には、冷却装置と構成機器1の間に流れる流体を含んでいる回路7中の温度センサ6は、さらに電子ロジック15の入力に供給される。測定された温度Tが減少する場合(すなわち、冷却要求がプラズマ段階終了により減少する)、電子ロジック15は冷却能設定値を低下させる。もちろん、プラズマ段階の終了は、他の手段によっても、例えばヒータ5の加熱曲線によって、トカマク中で測定されたパラメータによって、あるいは例えば冷却コンプレッサ又はタービン速度等の冷却装置の内部観察可能対象、他の手段によって検知されてもよい。特に、それがタービン速度を調整しないように慎重に選ばれれば、これらの速度は当然冷却要求に依存して変化し、したがって、液体ヘリウムに適用されている熱負荷を示すだろう。
【0063】
これら2つのパラメータ(プラズマ段階の後において、プラズマ段階がスタートしようとしていること、及び、温度を示す信号S)は、フィードフォワード制御計画(すなわち次の少なくとも1つ)で使用されてもよい:
−作動サイクル中の圧力設定値曲線;
−オプションのサイクル変換器(作動サイクル中のヘリウム流量の制御用)の周波数の制御曲線;そして
−冷バイパス30が開いている程度、
例えば、電子ロジック15に統合されて、デジタル・コンピュータによって設定されてもよい。デジタル・コンピュータは、例えば単純なパラメータ化することができる整数論的関数排他的論理和を使用する内部状態予測モデル(arithmetic function or else an internal state prediction model )により、電源消費を最適化する目的でより良い調整ができる。
【0064】
図4は、冷却装置が冷バイパス(
図2中の参照符号30及び31を参照)を有する場合の動作を示す。プラズマに達していることを示す信号がデバイス2、15によって受け取られる場合、最大圧力P設定値は圧縮ステーション12へ与えられる。この瞬間では、冷却機2はまだその縮小されたオペレーティング・モードにある。また、冷バイパス弁30は開いている(基準温度Trefの増加、バルブが開いている程度の増加及び曲線B参照)。
【0065】
冷バイパスが開いているという事実は、冷却装置の力を制限する。圧縮ステーション12によって加えられた実際の圧力及び影響した結果は、圧縮ステーションを調整するために使用されるデジタル制御方法に依存するだろう。その調整は予め設定された内部モデル、「PID」制御あるいは多変数制御(LQR制御等)を使用してもよい。
【0066】
リザーブ4の上の熱負荷が増加する場合、冷バイパス弁30は閉まっている。バイパスの温度Trefは構成機器1に最大の冷却能を供給するように減少する。
【0067】
その圧力の最適なレギュレーションが得られる。これは多大な省電力に帰着する。