(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報配信装置、情報配信システムおよび情報配信方法の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報配信装置、情報配信システムおよび情報配信方法が限定されるものではない。
【0011】
〔1.情報配信システムの構成〕
まず、実施形態に係る情報配信システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報配信システム1の構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る情報配信システム1は、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント2
1〜2
m(以下、無線LANアクセスポイント2と総称する場合がある)と、情報配信装置5とを備える。無線LANアクセスポイント2および情報配信装置5は通信ネットワーク6を介して相互に通信可能に接続される。通信ネットワーク6は、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。
【0013】
無線LANアクセスポイント2
1〜2
mは、例えば、小売店、飲食店、美容院・理容院、病院、ホテル、映画館、複合レジャー施設などの商業空間の他、駅、商店街、コンサートやスポーツなどが行われるイベント会場などを通信エリア4
1〜4
m(以下、AP通信エリア4
1〜4
mと記載する)とする。
【0014】
かかる無線LANアクセスポイント2は、無線LAN通信部を備えており、かかる無線LAN通信部によって、無線端末3
1〜3
n(以下、無線端末3と総称する場合がある)と相互に無線通信可能である。無線端末3のユーザは、AP通信エリア4
1〜4
mに進入することで、無線LANアクセスポイント2
1〜2
mを介して通信ネットワーク6に接続された情報配信装置5や他の装置から種々の情報を取得することができる。
【0015】
無線端末3は、例えば、無線LAN通信機能を搭載した端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレットPC(Personal computer)、ゲーム機などのように、通信ネットワーク6に接続されたサーバ装置へアクセスすることができる装置である。
【0016】
情報配信装置5は、通信ネットワーク6に接続された無線LANアクセスポイント2経由での無線端末3のアクセスを受け付け、この無線端末3に対して情報配信を行う。無線端末3に対して配信される情報は、各種のページ、動画コンテンツ、音楽コンテンツなどの各種情報が含まれる。また、情報配信装置5から配信されるページには動画広告やバナー広告など広告コンテンツが含まれる。なお、情報配信装置5は、無線端末3のアクセスを待たずに、無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ情報配信を行うこともできる。
【0017】
情報配信装置5は、無線端末3による無線LANアクセスポイント2経由での通信ネットワーク6の利用状態を示す利用情報を取得し、かかる利用情報に基づき、情報配信に関する条件を設定する。
【0018】
具体的には、各無線LANアクセスポイント2
1〜2
mは、それぞれAP通信エリア4
1〜4
m(以下、AP通信エリア4と総称する場合がある)内に存在する無線端末3
1〜3
mによる無線LANアクセスポイント2
1〜2
m経由での通信ネットワーク6の利用状態(以下、ネットワーク利用状態と記載する場合がある)を検出する。ネットワーク利用状態には、例えば、無線LANアクセスポイント2と通信ネットワーク6との間の通信のデータ量、無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3で取得されるコンテンツの種別が含まれる。
【0019】
無線LANアクセスポイント2
1〜2
mは、ネットワーク利用状態を示す利用情報を通信ネットワーク6経由で情報配信装置5へ定期的(例えば、5分毎)に送信する(ステップS1
1〜S1
m)。情報配信装置5は、無線LANアクセスポイント2
1〜2
mから利用情報を取得すると(ステップS2)、これらの利用情報に基づき、各無線LANアクセスポイント2単位で情報配信に関する条件を設定する(ステップS3)。
【0020】
情報配信に関する条件には、例えば、情報配信に対する対価や無線端末3に配信する情報などの条件が含まれる。情報配信に対する対価は、例えば、広告コンテンツの無線端末3への配信に対する対価であり、情報配信システム1の運営者から広告主に対して請求される広告料である。また、無線端末3に配信する情報の条件には、例えば、例えば、無線端末3へ配信する広告コンテンツの配信回数上限や配信対象の条件が含まれる。
【0021】
情報配信装置5は、ステップS3において設定された情報配信に関する条件に基づいて処理を各無線LANアクセスポイント2単位で実行する(ステップS4)。例えば、情報配信装置5は、広告コンテンツの無線端末3への配信に対する対価として決定した広告料を広告コンテンツの広告主に対する請求額として決済処理を行う。
【0022】
このように、実施形態に係る情報配信システム1は、無線端末3による無線LANアクセスポイント2経由でのネットワーク利用状態に応じて情報配信に関する条件を設定する。これにより、無線LANアクセスポイント毎の価値を適切に評価することができ、かかる評価結果に基づいてより適切に情報配信サービスを運用することができる。
【0023】
例えば、データ送受信量が多いほど通信ネットワーク6へのアクセスが多く広告配信の機会が多いことから、無線LANアクセスポイント2経由のデータ送受信量が多い無線LANアクセスポイント2経由のアクセスほど広告料を高くする。これにより、広告配信サービスでの広告料を適切に設定することができる。
【0024】
また、無線LANアクセスポイント2経由のデータ送受信量が多い無線LANアクセスポイント2経由のアクセスほど情報配信料を安くする。情報配信料は、例えば、動画コンテンツや音楽コンテンツなどの無線端末3への提供料であり、無線端末3のユーザまたは無線LANアクセスポイント2の管理者に請求される料金である。
【0025】
以下、情報配信システム1を構成する無線LANアクセスポイント2および情報配信装置5について、さらに詳細に説明する。
【0026】
〔2.無線LANアクセスポイント2〕
まず、無線LANアクセスポイント2の構成について具体的に説明する。
図2に示すように、無線LANアクセスポイント2は、無線LAN通信部21と、通信部22と、制御部23と、記憶部24とを有する。制御部23は、さらに、中継部25と、端末検出部26と、通信検出部27とを有する。
【0027】
無線LAN通信部21は、例えば、対象とする空間(例えば、飲食店やイベント会場などの空間)がそのAP通信エリア4となるように設置される。かかる無線LAN通信部21は、無線LAN通信を行う通信インタフェースであり、無線LAN通信機能を搭載した無線端末3との間で情報の送受信を行う。なお、無線LANとして、例えば、IEEE802.11によって規定される無線LANなどがあるが、かかる規格の無線LANに限定されるものではない。
【0028】
通信部22は、通信ネットワーク6に接続され、通信ネットワーク6を介して情報配信装置5や他の装置(例えば、ウェブサーバ、メールサーバ、FTPサーバなど)との間で情報の送受信を行う。かかる通信部22は、通信ネットワーク6との接続を有線または無線で行う。
【0029】
制御部23は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。また、制御部23は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)によって内部の記憶装置に記憶されたプログラムがRAMを作業領域として実行されることで、中継部25、端末検出部26および通信検出部27として機能する。なお、制御部23の構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0030】
〔2.1.中継部25〕
中継部25は、例えば、無線端末3から無線LAN通信部21を介して取得した情報を通信部22から情報配信装置5やウェブサーバ(図示せず)などの装置(以下、通信ネットワーク側装置と記載する)へ送信し、また、通信ネットワーク側装置から通信部22を介して取得した情報を無線LAN通信部21から無線端末3へ送信する。
【0031】
なお、無線LANアクセスポイント2から通信ネットワーク側装置への情報送信は、例えば、無線LANアクセスポイント2に割り当てられる通信ネットワーク6のアドレスを送信元アドレスとし、通信ネットワーク側装置に割り当てられる通信ネットワーク6のアドレスを送信先アドレスとしたパケット通信により行われる。通信ネットワーク6のアドレスは、例えば、通信部22に割り当てられるアドレスである。
【0032】
〔2.2.端末検出部26〕
端末検出部26は、無線端末3から送信される無線パケットを無線LAN通信部21を介して取得することで、無線端末3の存在を検出する。無線端末3から送信される無線パケットは、例えば、プローブ要求、アソシエーション要求などであり、さらに、無線LANアクセスポイント2と無線端末3との間でセッションを確立した後に無線端末3から送信されるデータフレームやコントロールフレームなども含む。なお、プローブ要求は、無線端末3が周囲にある通信可能な無線LANアクセスポイント2を探すために出すための無線パケットであり、アソシエーション要求は、無線端末3から無線LANアクセスポイント2への接続要求のための無線パケットである。
【0033】
また、端末検出部26は、AP通信エリア4内に予め設定された閾値時間以上滞在している無線端末3を検出し、かかる無線端末3の端末IDを通信検出部27へ通知する。なお、端末IDは、例えば、無線端末3の無線LAN通信部のMACアドレスであり、無線パケットに付加されて無線端末3から送信される。また、上記閾値時間は、例えば、情報配信装置5からの設定要求に含まれる情報に基づき決定される。
【0034】
さらに、端末検出部26は、AP通信エリア4内に予め設定された閾値時間以上滞在している無線端末3の滞在時間の情報を端末情報として中継部25、通信部22および通信ネットワーク6を介して情報配信装置5へ送信する。端末情報には、無線端末3の端末IDおよび滞在時間が含まれる。
【0035】
なお、端末検出部26は、無線端末3のAP通信エリア4内での滞在時間を、例えば、無線端末3との間でセッションが確立してから無線端末3との通信が終了するまでの期間とする。端末検出部26は、無線端末3から切断要求があった場合や、無線端末3と無線LAN通信部21との間で無線パケットを送受信できなくなった場合に、無線端末3との通信が終了したと判定する。
【0036】
〔2.3.通信検出部27〕
通信検出部27は、無線端末3と通信ネットワーク側装置との間で中継部25を介して行われる通信の状態を検出する。具体的には、通信検出部27は、無線端末3のアクセス先、通信プロトコル、コンテンツ種別およびデータ送受信量を検出して、アクセス情報テーブルに設定する。
【0037】
図3は、記憶部24に記憶されたアクセス情報テーブルの一例を示す図である。
図3に示すように、アクセス情報テーブルは、「端末ID」毎に、「アクセス時刻」、「アクセス先」、「プロトコル」、「コンテンツ種別」および「データ送受信量」の情報が関連付けられた情報である。なお、
図3に示す例では、端末IDを「T1」などで、通信ネットワーク側装置のURLを「URL−A」などで表しているが、説明の便宜上区別するために付した符号であり、かかる符号に限定される趣旨ではない。
【0038】
「端末ID」は、無線端末3の識別情報であり、無線パケットに付加されて無線端末3から送信される。かかる端末IDは、例えば、無線端末3の無線LAN通信部のMACアドレス(Media Access Control address)である。
【0039】
「アクセス時刻」は、無線端末3が通信ネットワーク側装置にアクセスした時刻を示す情報であり、例えば、無線端末3から通信ネットワーク側装置宛の無線パケットを無線LAN通信部21で受信した時刻がアクセス時刻として設定される。
【0040】
「アクセス先」は、無線端末3のアクセス先である通信ネットワーク側装置の情報であり、例えば、通信ネットワーク側装置の通信ネットワーク6のURL(Uniform Resource Locator)である。通信ネットワーク側装置としては、例えば、情報配信装置5の他、通信ネットワーク6に接続された図示しないウェブサーバ、FTPサーバおよびメールサーバなどがある。
【0041】
「プロトコル」は、無線端末3と通信ネットワーク側装置との間で行われる通信のプロトコルである。通信ネットワーク6がIPネットワークである場合、「プロトコル」は、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、SIP(Session Initiation Protocol)などである。
【0042】
「コンテンツ種別」は、無線端末3が通信ネットワーク側装置から取得するコンテンツの種別を示す情報である。通信ネットワーク6がIPネットワークである場合、「コンテンツ種別」は、例えば、「ウェブページ」、「文書ファイル」、「メール」などの情報である。なお、「コンテンツ種別」は、例えば、無線端末3が通信ネットワーク側装置から取得するコンテンツを再生するアプリケーションの種別であってもよい。
【0043】
「データ送受信量」は、無線端末3が通信ネットワーク側装置からコンテンツを取得するために通信ネットワーク側装置との間で送受信したデータの総量である。かかるデータ送受信量は、無線LANアクセスポイント2と通信ネットワーク側装置との間の通信のトラヒックと言い換えることもできる。なお、データ送受信量に代えて、通信ネットワーク側装置から無線端末3へのデータ送信量を用いることもできる。通信ネットワーク側装置から無線端末3へのデータ送信量は、無線LANアクセスポイント2でのデータ受信量と言い換えることもできる。
【0044】
図3に示す例では、例えば、端末ID「T1」の無線端末3が無線LANアクセスポイント2を介して「URL−A」をアクセス先として、「HTTP」プロトコルにより、「ウェブページ」を閲覧し、そのためのデータ送受信量が「0.2MB(メガバイト)」であることを示している。
【0045】
通信検出部27は、端末検出部26から取得した端末IDの無線端末3を、情報配信装置5への通知対象の無線端末3(以下、通知対象端末と記載する)とする。すなわち、通信検出部27は、AP通信エリア4内に予め設定された閾値時間以上滞在している無線端末3を通知対象端末とする。
【0046】
通信検出部27は、記憶部24のアクセス情報テーブルに設定されたアクセス情報のうち、通知対象端末のアクセス情報を取得し、かかるアクセス情報を利用情報として中継部25、通信部22および通信ネットワーク6を介して情報配信装置5へ送信する。
【0047】
例えば、
図3に示すアクセス情報テーブルにおいて、端末ID「T1」、「T2」の無線端末3が通知対象端末であり、端末ID「T3」の無線端末3が通知対象端末でないとする。この場合、通信検出部27は、端末ID「T1」、「T2」の無線端末3のアクセス情報は利用情報として情報配信装置5へ送信するが、端末ID「T3」の無線端末3のアクセス情報は情報配信装置5へ送信しない。
【0048】
なお、通信検出部27は、通知対象端末のアクセス情報として、通知対象端末がAP通信エリア4に進入してからのアクセス情報を利用情報として情報配信装置5へ送信する。なお、通信検出部27は、通知対象端末がAP通信エリア4に進入してから閾値時間経過した後のアクセス情報を利用情報として情報配信装置5へ送信することもできる。
【0049】
このように、無線LANアクセスポイント2は、AP通信エリア4内に予め設定された閾値時間以上滞在している無線端末3のアクセス情報を利用情報として情報配信装置5へ送信することにより、情報配信装置5に対して無線端末3による無線LANアクセスポイント2経由のネットワーク利用状態を通知することが可能となる。
【0050】
〔3.情報配信装置5の構成〕
次に、実施形態に係る情報配信装置5の具体的構成について説明する。
図4に示すように、情報配信装置5は、通信部30と、記憶部31と、制御部32とを有する。さらに、記憶部31は、配信情報DB41と、AP情報DB42とを有し、制御部32は、配信部51と、取得部52と、設定部53と、決済処理部54とを有する。
【0051】
通信部30は、NIC(Network Interface Card)等のインタフェースである。制御部32は、通信部30および通信ネットワーク6を介して、無線LANアクセスポイント2や、無線LANアクセスポイント2を介した無線端末3との間で各種の情報を送受信する。
【0052】
配信情報DB41およびAP情報DB42は、例えば、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶装置である。なお、配信情報DB41およびAP情報DB42を一つのDBとしてもよい。また、AP情報DB42に記憶される各種のIDは、「A1」や「T1」などの符号を用いて説明するが、説明の便宜上区別するために付した符号であり、かかる符号に限定される趣旨ではない。
【0053】
制御部32は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。また、制御部32は、CPUまたはMPUによって内部の記憶装置に記憶されたプログラムがRAMを作業領域として実行されることで、配信部51、取得部52、設定部53および決済処理部54として機能する。なお、制御部32の構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0054】
〔3.1.配信部51〕
配信部51は、コンテンツを配信情報DB41から取得し、無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ送信する。例えば、配信部51は、無線端末3が情報配信装置5へアクセスした場合に、無線端末3の要求に応じたコンテンツを配信情報DB41から取得し、要求元の無線端末3へ送信する。
【0055】
配信情報DB41には、ウェブページ、動画コンテンツ、音楽コンテンツなどのコンテンツの他、広告コンテンツが記憶されている。配信部51は、無線端末3の要求に応じたコンテンツを配信情報DB41から取得し、かかるコンテンツに広告コンテンツを付加して要求元の無線端末3へ送信する。
【0056】
例えば、無線端末3の要求に応じたコンテンツがウェブページであれば、所定位置に広告コンテンツを埋め込んだウェブページを要求元の無線端末3へ送信する。また、無線端末3の要求に応じたコンテンツが動画コンテンツであれば、所定再生位置に広告コンテンツを埋め込んだ動画コンテンツを要求元の無線端末3へ送信する。
【0057】
〔3.2.取得部52〕
取得部52は、無線LANアクセスポイント2から送信される利用情報を取得すると、かかる利用情報をAP情報DB42の利用情報テーブルに設定する。
【0058】
図5は、AP情報DB42に記憶される利用情報テーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、「AP−ID」毎に利用情報が設定される。利用情報は、通知対象端末のアクセス情報であり、「端末ID」、「アクセス時刻」、「プロトコル」、「コンテンツ種別」および「データ送受信量」の情報が関連付けられた情報である。
【0059】
「AP−ID」は、利用情報を送信した無線LANアクセスポイント2の識別情報であり、例えば、無線LANアクセスポイント2の通信部22に割り当てられる通信ネットワーク6のアドレスである。例えば、通信ネットワーク6がインターネットである場合、AP−IDは、IPアドレスである。取得部52は、無線LANアクセスポイント2から送信される利用情報の送信元アドレスからAP−IDを判定する。
【0060】
このように、情報配信装置5は、各無線LANアクセスポイント2から送信される利用情報を利用情報テーブルに設定することで、無線端末3による各無線LANアクセスポイント2のネットワーク利用状態を示す利用情報を蓄積する。なお、取得部52は、利用情報テーブルにおいて、「アクセス先」の情報も「端末ID」等に関連付けて設定できる。
【0061】
また、取得部52は、無線LANアクセスポイント2から端末情報を取得し、AP−IDと関連付けてAP情報DB42に記憶する。取得部52は、例えば、端末情報の送信元アドレスからAP−IDを判定する。
【0062】
そして、取得部52は、AP情報DB42に記憶された端末情報および利用情報テーブルに基づき、各無線LANアクセスポイント2でのネットワーク利用状態を示す利用状態情報テーブルを更新する。
【0063】
図6は、AP情報DB42に記憶される利用状態情報テーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、利用状態情報テーブルは、「AP−ID」毎に、「時間帯」、「データ送受信量」、「アクセス端末数」、「平均滞在時間」および「価値ポイント」の情報が関連付けられて記憶される。
【0064】
「AP−ID」は、無線LANアクセスポイント2の識別情報であり、利用状態情報テーブルの「AP−ID」と同じである。
【0065】
「時間帯」は、「朝」、「昼」、「夜」の3つに分類される。「朝」は、例えば、午前5時から午前11時までの時間帯であり、「昼」は、例えば、午前11時から午後5時までの時間帯であり、「夜」は、例えば、午後5時から午前5時までの時間帯である。なお、
図6に示す時間帯は一例であり、時間単位や曜日単位など種々の区分に分けるようにしてもよい。
【0066】
「データ送受信量」は、対応する時間帯に、無線LANアクセスポイント2経由での無線端末3と通信ネットワーク側装置との間で送受信される通信パケットの1時間あたりの総量である。
図6に示す例では、例えば、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2経由での無線端末3と通信ネットワーク側装置との間のデータ送受信量は、朝の時間帯では3000MB(メガバイト)/hであり、昼の時間帯では4000MB/hであり、夜の時間帯では、2000MB/hである。
【0067】
「アクセス端末数」は、対応する時間帯に、無線LANアクセスポイント2経由で通信ネットワーク側装置と通信した無線端末3の1時間あたりの数である。
図6に示す例では、例えば、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2経由で通信ネットワーク側装置と通信した無線端末3の数は、朝の時間帯では251台/hであり、昼の時間帯では273台/hであり、夜の時間帯では、324台/hである。
【0068】
「平均滞在時間」は、無線LANアクセスポイント2経由で通信ネットワーク側装置と通信した無線端末3のAP通信エリア4での平均滞在時間である。取得部52は、AP情報DB42に記憶された端末情報に基づき、平均滞在時間を求める。
【0069】
「価値ポイント」は、無線LANアクセスポイント2の時間帯毎の価値を示す情報であり、例えば、無線LANアクセスポイント2経由で通信ネットワーク6にアクセスする無線端末3に対する情報配信に与える価値を示す情報である。
図6に示す例では、理解を容易にするために、価値ポイントが1〜10までの範囲で設定されるが、かかる範囲に限定されるものではなく、価値ポイントは種々の範囲で設定可能である。価値ポイントは、設定部53によって設定される値であり、以下、具体的に説明する。
【0070】
〔3.3.設定部53〕
設定部53は、利用状態情報テーブルに設定された情報に基づき、各無線LANアクセスポイント2の時間帯毎の評価ポイントを算出する。評価ポイントの算出モードとして、第1〜第3算出モードがある。かかる算出モードは、例えば、情報配信システム1のサービス運営者によって設定される。
【0071】
設定部53は、第1算出モードに設定されている場合、利用状態情報テーブルに設定されたデータ送受信量に応じた評価ポイントを算出する。例えば、設定部53は、データ送受信量が10000MBを超えるまで、1000MB単位で評価ポイントを1ポイントずつ増加する。例えば、設定部53は、データ送受信量が3000MBであれば、評価ポイントを3とする。また、設定部53は、データ送受信量が10000MBを超える場合には、評価ポイントを10とする。なお、データ送受信量に応じた評価ポイントを算出すればよく、かかる決定方法に限定されるものではなく、種々の算出ルールを用いることができる。
【0072】
設定部53は、第2算出モードに設定されている場合、利用状態情報テーブルに設定されたデータ送受信量とアクセス端末数に応じた評価ポイントを算出する。例えば、設定部53は、データ送受信量をアクセス端末数で除算し、さらに所定の係数K2を乗算することで、評価ポイントを算出することができる。
【0073】
例えば、K2=0.3とした場合、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2の時間帯「朝」の評価ポイントは、3.59(=3000÷251×0.3)である。なお、データ送受信量とアクセス端末数に応じた評価ポイントを算出すればよく、かかる決定方法に限定されるものではなく、種々の算出ルールを用いることができる。例えば、データ送受信量に基づいた値に、アクセス端末数に応じた値を例えば重み付けを行うことで、評価ポイントを決定することもできる。
【0074】
設定部53は、第3算出モードに設定されている場合、利用状態情報テーブルに設定されたデータ送受信量とアクセス端末数と平均滞在時間に応じた評価ポイントを算出する。例えば、設定部53は、データ送受信量をアクセス端末数で除算し、さらに、平均滞在時間と所定の係数K3を乗算することで、評価ポイントを算出することができる。
【0075】
例えば、K3=0.05とした場合、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2の時間帯「朝」の評価ポイントは、2.99(=3000÷251×5×0.05)である。なお、データ送受信量とアクセス端末数と平均滞在時間に応じた評価ポイントを算出すればよく、かかる決定方法に限定されるものではなく、種々の算出ルールを用いることができる。例えば、データ送受信量に基づいた値に、アクセス端末数および平均滞在時間に応じた重み付けを行うことで、評価ポイントを決定することもできる。
【0076】
設定部53は、上述した第1〜第3算出モードに対し、さらに、送受信されるコンテンツの種別に応じた重み付けを行うことができる。コンテンツの種別は、上述したように、例えば、ウェブページ、文書ファイル、メールなどがある。
【0077】
設定部53は、例えば、利用状態情報テーブルに設定されたデータ送受信量のうちウェブページに関するデータ送受信量が占める割合に応じた重み付けを行うことができる。この場合、設定部53は、例えば、ウェブページに関するデータ送受信量が占める割合が60%以上であれば重み付け値を1.2とし、40%以上60%未満であれば重み付け値を1.0とし、20%以上40%未満であれば重み付け値を0.8とし、20%未満であれば重み付け値を0.5とする。
【0078】
そして、設定部53は、第1〜第3算出モードで求めた評価ポイントにコンテンツの種別に応じた上記の重み付け値を乗算した結果を最終的な評価ポイントとする。このようにすることで、例えば、広告配信がウェブページを主として行われるような場合に、無線LANアクセスポイント2の価値を適切に判定することができる。
【0079】
なお、設定部53は、コンテンツの種別に応じた重み付けに代えて、プロトコルの種別に応じた重み付けを行うこともできる。例えば、設定部53は、利用状態情報テーブルに設定されたデータ送受信量のうちHTTPによるデータ送受信量が占める割合に応じた重み付けを行うことができる。この場合も、HTTPによるデータ送受信量が占める割合が多いほど、重み付け値を大きくする。これにより、例えば、広告配信がウェブページを主として行われるような場合に、無線LANアクセスポイント2の価値を適切に判定することができる。
【0080】
なお、利用状態情報テーブルに設定するデータ送受信量の集計時にコンテンツやプロトコルの種別を考慮することもできる。この場合、取得部52は、所定のコンテンツ種別(例えばウェブページ)や所定のプロトコル(例えば、HTTP)に対応するデータ送受信量のみを集計した結果をデータ送受信量として利用状態情報テーブルに設定する。これにより、上述した重み付けを行うことなく、無線LANアクセスポイント2の価値を適切に判定することができる。
【0081】
設定部53は、このように算出した評価ポイントに基づいて、無線LANアクセスポイント2毎に時間帯単位で、配信部51の情報配信に関する条件(以下、配信条件と記載する)を設定する。
【0082】
配信条件は、配信情報DB41に記憶された配信条件テーブルに基づいて設定される。設定部53は、かかる配信条件テーブルから評価ポイントに対応する配信条件を選択して、無線LANアクセスポイント2毎に時間帯単位で、配信条件を設定する。
【0083】
図7は、配信情報DB41に記憶された配信条件テーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、配信条件テーブルは、「評価ポイント」毎に、「広告料」、「広告配信数上限」および「配信対象条件」の情報が関連付けられた情報である。
【0084】
配信部51が実行する配信条件の設定モードとして、第1〜第3設定モードがある。かかる設定モードは、例えば、情報配信システム1のサービス運営者によって設定される。
【0085】
設定部53は、第1設定モードに設定されている場合、配信条件テーブルに設定された広告料の条件を配信条件に設定する。例えば、設定部53は、評価ポイントが10である無線LANアクセスポイント2経由での無線端末3への配信部51による広告コンテンツを配信する場合、配信1回当たりの広告料を3円に設定する。また、設定部53は、評価ポイントが8である無線LANアクセスポイント2に関しては、配信1回当たりの広告料を2.2円に設定する。これにより、無線LANアクセスポイント2の価値に応じた適切な広告料を設定することができる。
【0086】
設定部53は、第2設定モードに設定されている場合、配信条件テーブルに設定された広告配信上限の条件を配信条件に設定する。例えば、設定部53は、評価ポイントが10である無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ配信部51によって広告コンテンツを配信する場合、一つの広告コンテンツに対する配信数の上限を300回とする。また、設定部53は、評価ポイントが8である無線LANアクセスポイント2に関しては、配信数の上限を500回とする。これにより、評価ポイントに関わらず広告料が同じであっても、評価ポイントの高い無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ配信する広告コンテンツを複数の広告コンテンツに振り分けることができ、広告主間の公平を期することができる。
【0087】
設定部53は、第3設定モードに設定されている場合、配信条件テーブルに設定された配信対象条件を配信条件に設定する。例えば、設定部53は、評価ポイントが10である無線LANアクセスポイント2経由でアクセスした無線端末3のうち、「条件1」を満たす無線端末3に対して配信部51により広告コンテンツを配信する。また、評価ポイントが8である無線LANアクセスポイント2経由でアクセスした無線端末3のうち、「条件3」を満たす無線端末3に対して配信部51により広告コンテンツを配信する。
【0088】
配信対象条件は、例えば、無線端末3の機種名、画面サイズ、無線端末3のWAN側のキャリア(携帯電話の通信会社)などであり、設定部53は、無線端末3の端末IDに基づいて、機種名や画面サイズなどを判定する。このようにすることで、例えば、より広告効果の高いと推定される無線端末3へ広告コンテンツの配信を行うことができる。
【0089】
また、配信対象条件として、無線端末3の電池残量などを選択することもできる。なお、この場合、無線端末3の制御部が無線端末3の電池残量の情報を無線LANアクセスポイント2へ送信し、無線LANアクセスポイント2が情報配信装置5へ送信することによって、情報配信装置5の制御部32により取得される。このようにすることで、例えば、電池残量が心配で広告コンテンツに注意が向かない無線端末3への広告コンテンツの配信を抑制することができる。
【0090】
なお、上述では、第1〜第3設定モードに分けて説明したが、2以上の設定モードを設定することもできる。例えば、設定部53は、広告料と配信対象条件とを配信条件として設定することができる。
【0091】
ここでは、広告コンテンツの配信条件を説明したが、設定部53は、ウェブページの配信条件を設定することもできる。例えば、設定部53は評価ポイントに応じて配信するウェブページの内容、色、レイアウトなどを変更することもできる。
【0092】
このように評価ポイントに対応する情報配信の配信条件が設定された後に、例えば、広告主端末(図示せず)から広告配信の注文があると、設定部53は、広告配信の注文で指定される広告コンテンツを配信ルートになる無線LANアクセスポイント2を設定する。
【0093】
広告配信の注文には、広告主が希望する広告料、配信回数、配信地域などの広告条件の情報が含まれており、設定部53は、かかる広告条件の情報に基づいて、広告コンテンツの配信ルートとなる無線LANアクセスポイント2を設定する。
【0094】
例えば、広告料として、2.2円/回とする広告条件が含まれている場合、設定部53は、評価ポイントが「8」である無線LANアクセスポイント2のうち、広告条件で指定された地域に配置された無線LANアクセスポイント2経由でアクセスした無線端末3を広告コンテンツの配信対象とする。
【0095】
なお、設定部53は、複数の無線LANアクセスポイント2を一つの無線LANアクセスポイント2群としてグルーピングし、かかる無線LANアクセスポイント2群経由でアクセスした無線端末3を広告コンテンツの配信対象とすることもできる。この場合、無線LANアクセスポイント2群の評価ポイントは、無線LANアクセスポイント2群に含まれる無線LANアクセスポイント2の評価ポイントの平均値である。なお、設定部53は、グルーピングする際には、評価ポイントが所定の範囲(例えば、評価ポイントが3ポイントの差の範囲内)にある無線LANアクセスポイント2に限りグルーピングすることもできる。また、設定部53は、無線LANアクセスポイント2のグルーピングを、所定の地域の範囲内にある無線LANアクセスポイント2に限定することもできる。
【0096】
〔3.4.決済処理部54〕
決済処理部54は、上述のように広告配信の注文に対して広告コンテンツの配信対象を設定した後、広告コンテンツの配信が指定回数に達すると、注文主に対する広告料の請求を行う。具体的には、決済処理部54は、設定された広告料に配信回数を乗じた金額を請求する広告料とし、かかる広告料を決済処理するための情報を決済サーバ(図示せず)に送信することで、注文主に対する広告料の請求を行う。
【0097】
また、決済処理部54は、有料のコンテンツを無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ配信した場合、配信したコンテンツの料金を決済処理するための情報を決済サーバ(図示せず)に送信することで、無線端末3のユーザまたは無線LANアクセスポイント2の管理者に料金の請求を行う。
【0098】
〔4.情報配信システム1の処理フロー〕
次に、実施形態に係る情報配信システム1による情報処理の手順について
図8および
図9を参照して説明する。
【0099】
〔4.1.無線LANアクセスポイント2の処理フロー〕
まず、無線LANアクセスポイント2の情報処理の一例について、
図8を参照して説明する。
図8は、無線LANアクセスポイント2における情報処理の一例を示すフローチャートである。かかる動作は、無線LANアクセスポイント2の制御部23によって繰り返し実行される処理である。
【0100】
図8に示すように、無線LANアクセスポイント2の制御部23は、情報転送要求があったか否かを判定する(ステップS21)。制御部23は、無線端末3から通信ネットワーク側装置宛の情報を無線LAN通信部21で受信した場合、または、通信ネットワーク側装置から無線端末3宛の情報を通信部22で受信した場合に、情報転送要求があったと判定する。
【0101】
制御部23は、情報転送要求があったと判定すると(ステップS21;Yes)、要求に応じた転送処理を行う(ステップS22)。例えば、制御部23は、無線端末3から通信ネットワーク側装置宛の情報を無線LAN通信部21で受信した場合、通信部22から通信ネットワーク6に対し通信ネットワーク側装置宛へ情報を転送する。また、制御部23は、通信ネットワーク側装置から無線端末3宛の情報を通信部22で受信した場合、無線LAN通信部21から無線端末3宛へ情報を転送する。
【0102】
ステップS22の処理が終了すると、制御部23は、アクセス情報テーブルを更新する(ステップS23)。例えば、端末ID「T1」の無線端末3が通信ネットワーク6に接続されたウェブサーバのウェブページにアクセスして、ウェブページを取得した場合、そのデータ送受信量が0.2MBであり、アクセス時刻が12時1分21秒であれば、
図3に示すように、アクセス情報テーブルを更新する。
【0103】
情報転送要求がないと判定した場合(ステップS21;No)、または、ステップS23の処理が終了した場合、制御部23は、無線LAN通信部21との間の通信が終了した無線端末3があるか否かを判定する(ステップS24)。通信が終了した無線端末3があったと判定すると(ステップS24;Yes)、制御部23は、通信が終了した無線端末3の端末IDを含む端末情報を情報配信装置5へ送信する(ステップS25)。
【0104】
通信が終了した無線端末3がないと判定した場合(ステップS24;No)、または、ステップS25の処理が終了した場合、制御部23は情報処理を終了する。
【0105】
〔4.2.情報配信装置5の処理フロー〕
次に、情報配信装置5の情報処理の一例について説明する。
図9は、情報配信装置5における情報処理の一例を示すフローチャートである。かかる動作は、情報配信装置5の制御部32によって繰り返し実行される処理である。
【0106】
図9に示すように、制御部32は、無線端末3から情報送信要求(例えば、ウェブページの送信要求)を受信したか否かを判定する(ステップS30)。情報送信要求があったと判定すると(ステップS30;Yes)、制御部32は、情報送信要求に対応する情報(例えば、ウェブページ)に広告コンテンツを設定して要求元の無線端末3へ送信する(ステップS31)。
【0107】
無線端末3から情報送信要求を受信していないと判定した場合(ステップS30;No)、または、ステップS31の処理が終了した場合、制御部32は、無線LANアクセスポイント2から利用情報を取得したか否かを判定する(ステップS32)。利用情報を取得したと判定した場合(ステップS32;Yes)、制御部32は、利用情報テーブルを更新する(ステップS34)。
【0108】
一方、利用情報を取得していないと判定すると(ステップS32;No)、制御部32は、無線LANアクセスポイント2から端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS33)。端末情報を取得したと判定すると(ステップS33;Yes)制御部32は、端末情報をAP情報DB42に記憶する(ステップS35)。
【0109】
端末情報を取得していないと判定した場合(ステップS33;No)、または、ステップS34、S35の処理が終了した場合、制御部32は、利用状態情報テーブルの更新タイミイングとなったか否かを判定する(ステップS36)。利用状態情報テーブルの更新タイミイングは、例えば、所定周期(例えば、1日、2日、1週間など)毎に到来するタイミングであり、設定により変更することができる。
【0110】
利用状態情報テーブルの更新タイミイングとなったと判定すると(ステップS36;Yes)、制御部32は、AP情報DB42に記憶している利用情報テーブルおよび端末情報に基づいて利用状態情報テーブルを更新する(ステップS37)。そして、制御部32は、更新した利用状態情報テーブルに基づいて、無線LANアクセスポイント毎に配信条件を設定する(ステップS38)。なお、グルーピングにより無線LANアクセスポイント群が設定されている場合には、制御部32は、無線LANアクセスポイント2群単位での配信条件を設定する。
【0111】
利用状態情報テーブルの更新タイミイングとなっていないと判定した場合(ステップS36;No)、または、ステップS38の処理が終了した場合、制御部32は、情報処理を終了する。
【0112】
〔5.変形例〕
上述した実施形態では、無線LANアクセスポイント2から無線端末3へ利用情報と端末情報とを送信するものであるが、情報配信装置5において、無線端末3による各無線LANアクセスポイント2のネットワーク利用状態を把握できる構成であればよい。例えば、無線LANアクセスポイント2は、無線端末3との無線パケットのヘッダ(例えば、送信元アドレス、送信先アドレス、プロトコル、データ量などを含む)の情報を情報配信装置5へ送信し、かかるヘッダの情報に基づいて情報配信装置5で無線端末3による各無線LANアクセスポイント2のネットワーク利用状態を把握してもよい。
【0113】
また、通信ネットワーク側装置として、例えば、情報配信装置5の他、通信ネットワーク6に接続された図示しないウェブサーバ、FTPサーバおよびメールサーバなどがあるとしたが、無線LANアクセスポイント2から情報配信装置5へのアクセスに対して判定してもよい。この場合、情報配信装置5で無線端末3との間の通信によって無線端末3による各無線LANアクセスポイント2のネットワーク利用状態を把握することができ、したがって、情報配信装置5において、無線LANアクセスポイント2から利用情報や端末情報を取得する必要がない。なお、情報配信装置5には、ウェブサーバ、FTPサーバおよびメールサーバなどの種々の機能を持たせることができる。
【0114】
制御部32は、評価ポイントの算出モードにおいて、各無線端末3のデータ送受信量を集計し、無線端末3のデータ送受信の偏差(例えば、標準偏差)を算出した結果に基づいて、評価ポイントを算出してもよく、また、第1〜第3算出モードで算出された評価ポイントに重み付けを行うこともできる。例えば、制御部32は、無線端末3のデータ送受信の標準偏差が少ないほど重み付け値を大きくする。
【0115】
また、制御部32は、統計処理により無線端末3のアクセス先の分布を求め、かかる分布に基づいて評価ポイントを算出してもよく、また、第1〜第3算出モードで算出された評価ポイントに重み付けを行うこともできる。例えば、制御部32は、無線端末3のアクセス先のばらつきが少ないほど重み付け値を大きくする。
【0116】
また、制御部32は、第2算出モードや第3算出モードで、アクセス端末数に基づく評価ポイントの算出を行うが、アクセス端末数ではなく、存在端末数に基づいて評価ポイントを算出してもよい。なお、存在端末数は、AP通信エリア4内に存在しているが、無線LANアクセスポイント2経由で通信ネットワーク6にアクセスしていない無線端末3の数である。
【0117】
〔6.効果〕
実施形態にかかる情報配信システム1において、配信部51(配信手段の一例)が、通信ネットワーク6に接続された無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ情報配信を行い、取得部52(取得手段の一例)が、無線端末3による無線LANアクセスポイント2経由のネットワーク利用状態を示す利用情報を取得し、設定部53が、取得部52によって取得された利用情報に基づき、配信部51の情報配信に関する条件を設定する。
【0118】
かかる構成により、無線LANアクセスポイント2毎の価値を適切に評価することができ、かかる評価結果に基づいてより適切に情報配信サービスを運用することができる。例えば、無線端末3によって無線LANアクセスポイント2経由での通信ネットワーク6へのアクセスが頻繁に行われる場合、かかる無線LANアクセスポイント2経由で無線端末3へ情報配信の機会が多いため、無線LANアクセスポイント2の評価を高くし、かかる評価に応じた配信条件を設定することで、無線LANアクセスポイント2の価値に応じた情報配信を行うことができる。
【0119】
また、設定部53が、取得部52によって取得された利用情報に基づき、配信部51による情報配信に対する対価を設定する。
【0120】
かかる構成により、無線LANアクセスポイント2の価値に応じた対価を適切に設定することができる。例えば、広告配信において、無線LANアクセスポイント2の価値に応じた広告料を設定することで、適切に広告配信サービスを運用することができる。
【0121】
また、設定部53は、取得部52によって取得された利用情報に基づき、無線端末3に配信する情報を設定する。
【0122】
かかる構成により、無線LANアクセスポイント2の価値に応じた配信条件で情報を配信することができる。
【0123】
また、利用情報には、無線LANアクセスポイント2を介した通信のデータ量の情報が含まれる。
【0124】
かかる構成により、例えば、データ送受信量が多いほど通信ネットワーク6へのアクセスが多く広告配信の機会が多いことから、無線LANアクセスポイント2を介した通信のデータ量に基づいて情報配信に関する条件を設定することで、無線LANアクセスポイント2の価値を適切に設定することができる。
【0125】
また、利用情報には、無線LANアクセスポイント2を介した通信で無線端末3が取得するコンテンツの種別情報が含まれる。
【0126】
かかる構成により、例えば、情報配信の対象となるコンテンツに対する無線LANアクセスポイント2の価値を適切に判定することができる。例えば、無線LANアクセスポイント2経由での無線端末3のアクセスのうち、情報配信の対象となるコンテンツに対してアクセスが多い場合には、情報配信の機会が多いことから、情報配信の対象となるコンテンツに対する無線LANアクセスポイント2の価値を適切に判定することができる。
【0127】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0128】
上述した情報配信装置5は、それぞれ複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。