特許第5985422号(P5985422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985422
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】接地抵抗計および接地抵抗測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/20 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   G01R27/20
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-49908(P2013-49908)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-174137(P2014-174137A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 竜太
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−26896(JP,A)
【文献】 特開2009−52991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流を出力する電源と、
入力される電圧を分圧抵抗で分圧して測定する電圧計と、
前記電源および前記電圧計を並列に接続すると共に当該電源および当該電圧計の並列回路を、大地にそれぞれ接地された被測定接地極、第1補助接地極および第2補助接地極のうちから選択された任意の2極間に接続する第1接続動作、並びに当該電源を前記被測定接地極および前記第2補助接地極間に接続すると共に当該電圧計を前記被測定接地極および前記第1補助接地極間に接続する第2接続動作を実行可能に構成されたスイッチ部と、
合成抵抗算出処理、補助接地極接地抵抗算出処理、1次接地抵抗算出処理および2次接地抵抗算出処理を実行する処理部とを備え、
前記処理部は、前記合成抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第1接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値、前記被測定接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値、並びに前記第1補助接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した各2極間の交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第1補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、並びに当該第1補助接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値を算出し、前記補助接地極接地抵抗算出処理において、前記合成抵抗算出処理で算出した各合成抵抗値に基づいて前記第1補助接地極の前記接地抵抗の接地抵抗値を算出し、前記1次接地抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第2接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて当該被測定接地極の前記接地抵抗の抵抗値を仮接地抵抗値として算出し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理で算出した前記仮接地抵抗値を、前記補助接地極接地抵抗算出処理で算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される補正係数で補正することにより前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する接地抵抗計。
【請求項2】
前記処理部は、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後において、前記合成抵抗算出処理および前記補助接地極接地抵抗算出処理を実行し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後で実行した前記補助接地極接地抵抗算出処理でそれぞれ算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値の平均値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される係数を前記補正係数として使用する請求項1記載の接地抵抗計。
【請求項3】
交流電流を出力する電源と、入力される電圧を分圧抵抗で分圧して測定する電圧計と、前記電源および前記電圧計を並列に接続すると共に当該電源および当該電圧計の並列回路を、大地にそれぞれ接地された被測定接地極、第1補助接地極および第2補助接地極のうちから選択された任意の2極間に接続する第1接続動作、並びに当該電源を前記被測定接地極および前記第2補助接地極間に接続すると共に当該電圧計を前記被測定接地極および前記第1補助接地極間に接続する第2接続動作を実行可能に構成されたスイッチ部とを使用して、合成抵抗算出処理、補助接地極接地抵抗算出処理、1次接地抵抗算出処理および2次接地抵抗算出処理を実行することによって前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する接地抵抗測定方法であって、
前記合成抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第1接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値、前記被測定接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値、並びに前記第1補助接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した各2極間の交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第1補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、並びに当該第1補助接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値を算出し、
前記補助接地極接地抵抗算出処理において、前記合成抵抗算出処理で算出した各合成抵抗値に基づいて前記第1補助接地極の前記接地抵抗の接地抵抗値を算出し、
前記1次接地抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第2接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて当該被測定接地極の前記接地抵抗の抵抗値を仮接地抵抗値として算出し、
前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理で算出した前記仮接地抵抗値を、前記補助接地極接地抵抗算出処理で算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される補正係数で補正することにより前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する接地抵抗測定方法。
【請求項4】
前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後において、前記合成抵抗算出処理および前記補助接地極接地抵抗算出処理を実行し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後で実行した前記補助接地極接地抵抗算出処理でそれぞれ算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値の平均値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される係数を前記補正係数として使用する請求項3記載の接地抵抗測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地抵抗計であって、交流電位差計方式の接地抵抗計に関するものである。また、この接地抵抗計において実行される接地抵抗測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の接地抵抗計として、下記の非特許文献1に開示された接地抵抗計が知られている。図3に示すように、この接地抵抗計51は、電源(定電流源)2および電圧計3を内蔵し、定電流源2から大地Gに接地されている被測定接地極(接地極E)と補助接地極Cとの間に交流定電流I(電流値I1)を出力している状態において、接地極Eと補助接地極P(大地Gに接地されているもう一つの補助接地極)との間に発生する交流電圧Vepを電圧計3で測定し、電圧計3で測定された交流電圧Vepの電圧値と電流値I1とに基づいて、被測定接地極(接地極E)の接地抵抗Reの抵抗値を測定して出力部(表示部)9に出力(表示)可能に構成されている。
【0003】
また、この接地抵抗計51は、電圧計3で交流電圧Vepを測定する際に、図3に示すように、接地極Eの設置場所の環境(状態)に応じて例えば0V〜30Vの範囲で変化する地電圧Veを含んで測定することになる。また、この電圧計3は、同図に示すように、一般的にA/D変換器14を備えて構成されている。このため、このように変化する地電圧Veを含む交流電圧VepをA/D変換器14の最大定格入力の電圧範囲内(例えば、+1V〜−1V)まで降圧し得るように、この電圧計3には、通常、分圧抵抗11が内蔵されている。この場合、分圧抵抗11は、この例では一例として、直列接続された2つの抵抗RH,RLで構成されて、一対の入力端子3a,3b間に、抵抗RHが力端子3a側に位置するように接続されている。
【0004】
この電圧計3では、一対の入力端子3a,3b間に入力された交流電圧Vepは、分圧抵抗11の各抵抗RH,RLで分圧されて電圧Vv1に降圧され、この電圧Vv1はバッファ12を介して信号抽出器13に出力される。信号抽出器13は、バンドパスフィルタや、同期検波回路などで構成されて、地電圧Veの周波数成分を除去して交流定電流Iの周波数成分を抽出し、電圧Vv2としてA/D変換器14に出力する。A/D変換器14は、この電圧Vv2をサンプリングすることにより、波形データDvを処理部8に出力する。この場合、電圧Vv2は、接地抵抗Re(抵抗値もReで表すものとする)に交流定電流Iが流れることによって発生した電圧(Re×I)が分圧抵抗11で分圧されたものである。したがって、処理部8は、分圧抵抗11の分圧比の逆数で波形データDvを補正し、この補正後の波形データに基づいて、この電圧(Re×I)の電圧値(Re×I1)を算出し、最後に、これを既知の電流値I1で除算することにより、接地抵抗Reの抵抗値Reを算出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電池式デジタル接地抵抗計 MODEL 4105A 取扱説明書、共立電気計器株式会社ホームページ、[平成25年2月25日検索]、インターネット<http://www.kew-ltd.co.jp/jp/download/pdf/manual/4105A_IM_92-1499D_J.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記の接地抵抗計51には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、この接地抵抗計51の電圧計3では、上記したように分圧抵抗11が配設されているため、一対の入力端子3a,3b間の入力インピーダンスは、この分圧抵抗11を構成する各抵抗RH,RLの合成抵抗値(直列合成抵抗値)になる。また、接地抵抗計51では、この合成抵抗値が、外来ノイズの影響を受けにくい範囲内で、補助接地極P,Cの接地抵抗Rp,Rcの抵抗値(例えば数百kΩ。抵抗値もRp,Rcで表すものとする)よりも十分に大きい抵抗値(例えば、10MΩ程度)になるように規定されている。このため、定電流源2から出力されている交流定電流Iの一部はこの分圧抵抗11にも流れるものの、その電流値は、各極E,P間、各極E,C間、および各極P,C間に流れる各交流電流のいずれの電流値よりも十分に小さくなり、無視できるレベルになっている。これにより、この接地抵抗計51では、定電流源2から出力されている交流定電流Iの一部がこの分圧抵抗11に流れることに起因して生じる誤差については、無視できるように構成されている。
【0007】
しかしながら、接地抵抗計51では、その分圧抵抗11に関連する部分を簡易に表した図4に示すように、電圧計3の互いに直列に接続された分圧抵抗11の各抵抗RH,RLに対して、補助接地極Pの接地抵抗Rpが直列に接続される構成になっている。このため、電圧計3の一対の入力端子3a,3b間には、交流電圧Vepが分圧抵抗11の合成抵抗値と、接地抵抗Rpの抵抗値Rpとで分圧されて入力されるため、電圧計3は本来の交流電圧Vepよりも低い電圧を交流電圧Vepとして測定することになる。したがって、この交流電圧Vepに基づいて接地抵抗Reの抵抗値Reを算出する接地抵抗計51には、接地抵抗Reの測定精度が低下するという改善すべき課題が存在している。
【0008】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、電圧計において分圧抵抗を使用しつつ、被測定接地極の接地抵抗を高い精度で測定し得る接地抵抗計および接地抵抗測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1記載の接地抵抗計は、交流電流を出力する電源と、入力される電圧を分圧抵抗で分圧して測定する電圧計と、前記電源および前記電圧計を並列に接続すると共に当該電源および当該電圧計の並列回路を、大地にそれぞれ接地された被測定接地極、第1補助接地極および第2補助接地極のうちから選択された任意の2極間に接続する第1接続動作、並びに当該電源を前記被測定接地極および前記第2補助接地極間に接続すると共に当該電圧計を前記被測定接地極および前記第1補助接地極間に接続する第2接続動作を実行可能に構成されたスイッチ部と、合成抵抗算出処理、補助接地極接地抵抗算出処理、1次接地抵抗算出処理および2次接地抵抗算出処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記合成抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第1接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値、前記被測定接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値、並びに前記第1補助接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した各2極間の交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第1補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、並びに当該第1補助接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値を算出し、前記補助接地極接地抵抗算出処理において、前記合成抵抗算出処理で算出した各合成抵抗値に基づいて前記第1補助接地極の前記接地抵抗の接地抵抗値を算出し、前記1次接地抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第2接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて当該被測定接地極の前記接地抵抗の抵抗値を仮接地抵抗値として算出し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理で算出した前記仮接地抵抗値を、前記補助接地極接地抵抗算出処理で算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される補正係数で補正することにより前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する。
【0010】
また、請求項2記載の接地抵抗計は、請求項1記載の接地抵抗計において、前記処理部は、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後において、前記合成抵抗算出処理および前記補助接地極接地抵抗算出処理を実行し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後で実行した前記補助接地極接地抵抗算出処理でそれぞれ算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値の平均値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される係数を前記補正係数として使用する。
【0011】
また、請求項3記載の接地抵抗測定方法は、交流電流を出力する電源と、入力される電圧を分圧抵抗で分圧して測定する電圧計と、前記電源および前記電圧計を並列に接続すると共に当該電源および当該電圧計の並列回路を、大地にそれぞれ接地された被測定接地極、第1補助接地極および第2補助接地極のうちから選択された任意の2極間に接続する第1接続動作、並びに当該電源を前記被測定接地極および前記第2補助接地極間に接続すると共に当該電圧計を前記被測定接地極および前記第1補助接地極間に接続する第2接続動作を実行可能に構成されたスイッチ部とを使用して、合成抵抗算出処理、補助接地極接地抵抗算出処理、1次接地抵抗算出処理および2次接地抵抗算出処理を実行することによって前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する接地抵抗測定方法であって、前記合成抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第1接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値、前記被測定接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値、並びに前記第1補助接地極および前記第2補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した各2極間の交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第1補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、当該被測定接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値、並びに当該第1補助接地極の接地抵抗および当該第2補助接地極の接地抵抗の合成抵抗値を算出し、前記補助接地極接地抵抗算出処理において、前記合成抵抗算出処理で算出した各合成抵抗値に基づいて前記第1補助接地極の前記接地抵抗の接地抵抗値を算出し、前記1次接地抵抗算出処理において、前記スイッチ部に対して前記第2接続動作を実行させつつ、前記電源から前記交流電流を出力させている状態において前記電圧計で測定される前記被測定接地極および前記第1補助接地極間の交流電圧の電圧値を取得すると共に、当該取得した交流電圧の電圧値と前記交流電流の電流値とに基づいて当該被測定接地極の前記接地抵抗の抵抗値を仮接地抵抗値として算出し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理で算出した前記仮接地抵抗値を、前記補助接地極接地抵抗算出処理で算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される補正係数で補正することにより前記被測定接地極の接地抵抗値を算出する。
【0012】
また、請求項4記載の接地抵抗測定方法は、請求項3記載の接地抵抗測定方法において、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後において、前記合成抵抗算出処理および前記補助接地極接地抵抗算出処理を実行し、前記2次接地抵抗算出処理において、前記1次接地抵抗算出処理の実行の前後で実行した前記補助接地極接地抵抗算出処理でそれぞれ算出した前記第1補助接地極の前記接地抵抗値の平均値および前記分圧抵抗の抵抗値で規定される係数を前記補正係数として使用する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の接地抵抗計および請求項3記載の接地抵抗測定方法では、合成抵抗算出処理を実行して、被測定接地極および第1補助接地極間、被測定接地極および第2補助接地極間、並びに第1補助接地極および第2補助接地極間の各合成抵抗値を算出し、補助接地極接地抵抗算出処理を実行して、各合成抵抗値に基づいて第1補助接地極の接地抵抗値を算出し、1次接地抵抗算出処理を実行して、被測定接地極の仮接地抵抗値を算出し、2次接地抵抗算出処理を実行して、この仮接地抵抗値を、補助接地極接地抵抗算出処理で算出した第1補助接地極の接地抵抗値および分圧抵抗の抵抗値で規定される補正係数で補正することにより被測定接地極の最終的な接地抵抗値を算出する。
【0014】
したがって、この接地抵抗計および接地抵抗測定方法によれば、電圧計において分圧抵抗を使用しつつ、第1補助接地極の接地抵抗の影響を排除して、被測定接地極の接地抵抗値を高い精度で測定することができる。
【0015】
請求項2記載の接地抵抗計および請求項4記載の接地抵抗測定方法によれば、1次接地抵抗算出処理の実行の前後で実行した補助接地極接地抵抗算出処理でそれぞれ算出した第1補助接地極の接地抵抗値の平均値および分圧抵抗の抵抗値で規定される係数を補正係数として使用するため、測定のタイミングによって多少変化する第1補助接地極の接地抵抗値をより安定した値として算出することができるため、補正係数の精度を高めることができる結果、被測定接地極の接地抵抗値をより高い精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】接地抵抗計1の構成を示す構成図である。
図2】接地抵抗計1の動作と併せて接地抵抗測定方法を説明するためのフローチャートである。
図3】接地抵抗計51の構成を示す構成図である。
図4】接地抵抗計1,51の分圧抵抗11に関連する部分を簡易に表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、接地抵抗計および接地抵抗測定方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
最初に、接地抵抗計1の構成について、図面を参照して説明する。
【0019】
接地抵抗計1は、図1に示すように、電源2、電圧計3、スイッチ部4、接続端子5,6,7、処理部8および出力部9を備え、第1補助接地極Pおよび第2補助接地極Cを用いて、被測定接地極(本例では、接地極E)の接地抵抗Reを3電極法によって測定する。
【0020】
電源2は、一例として、処理部8によって制御されて、一定の周波数であって一定の電流値(実効値)I1の交流定電流(一例として正弦波電流)を生成して、一対の出力端子2a,2bから測定電流Iとして出力する定電流源として構成されている(以下、「定電流源2」ともいう)。
【0021】
なお、測定電流Iは、後述する地電圧Veの周波数が通常50Hzまたは60Hzであるため、この周波数を避けた周波数(一例として、80Hz〜1kHz程度)に規定されている。また、定電流源2の各出力端子2a,2bは、スイッチ部4に接続されている。
【0022】
電圧計3は、一対の入力端子3a,3bに入力される交流電圧をサンプリングすることにより、交流電圧の波形データDvを生成して処理部8に出力する。また、電圧計3は、一例として、分圧抵抗11、バッファ12、信号抽出器13およびA/D変換器14を備えている。
【0023】
分圧抵抗11は、一例として直列接続された2つの抵抗RH,RLで構成されて、一対の入力端子3a,3b間に、抵抗RHが力端子3a側に位置するように接続されている。なお、発明の理解を容易にするため、抵抗RH,RLの各抵抗値についても、抵抗値RH,RLと表記するものとする。この構成により、分圧抵抗11は、入力端子3a,3bに入力されている交流電圧を一定の分圧比(本例では、RL/(RH+RL))で分圧することによって電圧Vv1に降圧して、バッファ12に出力する。なお、分圧抵抗11については、図示はしないが、3つ以上の抵抗を直列接続して構成したり、直列接続と並列接続とを組み合わせて構成したりすることもできる。
【0024】
バッファ12は、高入力インピーダンスで、かつ低出力インピーダンスに構成されて、入力した電圧Vv1を信号抽出器13に出力する。信号抽出器13は、バンドパスフィルタ回路や同期検波回路などで構成されて、電圧Vv1に含まれている周波数成分のうちの測定電流Iの周波数成分を抽出して(つまり、地電圧Veの周波数成分を除去して)、電圧Vv2としてA/D変換器14に出力する。A/D変換器15は、この電圧Vv2をサンプリングすることにより、上記した波形データDvを生成して、処理部8に出力する。
【0025】
スイッチ部4は、定電流源2および電圧計3と、3つの接続端子5,6,7との間に配設されている。また、スイッチ部4は、処理部8によって制御される複数の切替スイッチ(本例では一例として3つの切替スイッチ21,22,23)で構成されて、定電流源2および電圧計3を並列に接続すると共に定電流源2および電圧計3の並列回路を、接続端子5,6,7のうちから選択された任意の2つの接続端子間に接続する第1接続動作、並びに定電流源2を接続端子5および接続端子7間に接続すると共に電圧計3を接続端子5および接続端子6間に接続する第2接続動作を実行可能に構成されている。
【0026】
この場合、接続端子5は接地極Eに接続され、接続端子6は第1補助接地極Pに接続され、接続端子7は第2補助接地極Cに接続される。したがって、スイッチ部4は、第1接続動作では、定電流源2および電圧計3の並列回路を、大地Gにそれぞれ接地された接地極E、第1補助接地極Pおよび第2補助接地極Cのうちから選択された任意の2極間に接続する。また、スイッチ部4は、第2接続動作では、定電流源2を接地極Eおよび第2補助接地極C間に接続すると共に電圧計3を接地極Eおよび第1補助接地極P間に接続する。
【0027】
具体的には、本例では、スイッチ部4は、各切替スイッチ21,22,23が単極双投型(1回路2接点型)の切替スイッチで構成されている。また、切替スイッチ21は、そのコモン接点comが切替スイッチ23の一方の接点に接続されると共に定電流源2の出力端子2aに接続され、一方の接点が接続端子7に接続され、他方の接点が切替スイッチ22の一方の接点および切替スイッチ23の他方の接点に接続されると共に接続端子6に接続されている。
【0028】
切替スイッチ22は、そのコモン接点comが定電流源2の出力端子2bおよび電圧計3の入力端子3bに接続され、一方の接点が上記したように切替スイッチ21の他方の接点および接続端子6に接続され、他方の接点が接続端子5に接続されている。切替スイッチ23は、そのコモン接点comが電圧計3の入力端子3aに接続され、一方の接点が上記したように切替スイッチ21のコモン接点comに接続され、他方の接点が上記したように切替スイッチ21の他方の接点および切替スイッチ22の一方の接点に接続されると共に接続端子6に接続されている。
【0029】
処理部8は、CPUおよび内部メモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、図2に示す抵抗測定処理30(合成抵抗算出処理、補助接地極接地抵抗算出処理、1次接地抵抗算出処理、2次接地抵抗算出処理および出力処理を含む処理)を実行する。この場合、内部メモリには、分圧抵抗11を構成する各抵抗RH,RLの抵抗値RH,RLが予め記憶されている。
【0030】
出力部9は、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置で構成されて、処理部8が実行した抵抗測定処理30の結果を画面上に表示させる。なお、表示装置に代えて、外部機器との間でデータ通信を行う通信装置で出力部9を構成して、抵抗測定処理30での結果を外部機器に出力するようにしてもよい。
【0031】
次に、接地抵抗計1の動作と併せて、接地抵抗測定方法について、図1,2を参照して説明する。なお、図1に示すように、第1補助接地極Pおよび第2補助接地極Cは、大地Gに接地された接地極Eを基準として予め規定された位置(例えば、非特許文献1に開示されている精密測定時の位置)に接地されているものとする。また、抵抗Reは接地極Eの接地抵抗を示し、抵抗Rpは第1補助接地極Pの接地抵抗を示し、抵抗Rcは第2補助接地極Cの接地抵抗を示すものとする。
【0032】
また、発明の理解を容易にするため、接地抵抗Reの抵抗値を抵抗値(接地抵抗値ともいう)Reで表し、接地抵抗Rpの抵抗値を抵抗値(接地抵抗値ともいう)Rpで表し、接地抵抗Rcの抵抗値を抵抗値(接地抵抗値ともいう)Rcで表すものとする。また、接続端子5が接地極Eに、接続端子6が第1補助接地極Pに、接続端子7が第2補助接地極Cに予めそれぞれ接続されているものとする。
【0033】
接地抵抗計1では、処理部8が、図2に示す抵抗測定処理30を実行する。この抵抗測定処理30では、処理部8は、まず、合成抵抗算出処理を実行する(ステップ31)。この合成抵抗算出処理では、処理部8は、接地極Eおよび第1補助接地極P間の合成抵抗(合成接地抵抗)Rep(=Re+Rp)、接地極Eおよび第2補助接地極C間の合成抵抗(合成接地抵抗)Rec(=Re+Rc)、並びに第1補助接地極Pおよび第2補助接地極C間の合成抵抗(合成接地抵抗)Rpc(=Rp+Rc)の各抵抗値(合成抵抗値)を一例としてこの順に算出する。
【0034】
なお、以下では、発明の理解を容易にするため、合成接地抵抗Repの抵抗値を抵抗値(合成接地抵抗値ともいう)Repで、合成接地抵抗Recの抵抗値を抵抗値(合成接地抵抗値ともいう)Recで、合成接地抵抗Rpcの抵抗値を抵抗値(合成接地抵抗値ともいう)Rpcで表すものとする。
【0035】
具体的には、処理部8は、合成接地抵抗Repの合成接地抵抗値Repの算出に際して、まず、スイッチ部4に対する制御を実行して、切替スイッチ23を破線で示される接続状態(コモン接点comが一方の接点に接続される状態)に移行させ、切替スイッチ21を実線で示される接続状態に移行させ、かつ切替スイッチ22を実線で示される接続状態に移行させる。これにより、接地抵抗計1は、定電流源2および電圧計3が並列に接続されると共に、この並列回路がスイッチ部4を介して接続端子5および接続端子6間、つまり接地極Eおよび第1補助接地極P間に接続される接続状態に移行する。
【0036】
次いで、処理部8は、定電流源2に対する制御を実行して、測定電流Iを出力させる。この測定電流Iは、定電流源2の出力端子2aから、スイッチ部4の切替スイッチ21、接続端子6、第1補助接地極P、大地G、接地極E、接続端子5およびスイッチ部4の切替スイッチ22を経由して定電流源2の出力端子2bに戻る電流経路に流れる。
【0037】
電圧計3は、交流電圧Vepの電圧値を測定して、その波形データDvを処理部8に出力する。この場合、接地極Eおよび第1補助接地極P間には、これら2つの極E,Pの各接地抵抗Re,Rpに電流値I1に規定された測定電流Iが流れることによって発生する電圧((Re+Rp)×I)と地電圧Veとの加算電圧((Re+Rp)×I+Ve)が発生している。
【0038】
電圧計3では、分圧抵抗11がこの加算電圧を分圧して電圧Vv1として出力し、信号抽出器13がバッファ12を介して入力される電圧Vv1に含まれている測定電流Iの周波数成分を抽出して電圧Vv2として出力する。これにより、電圧Vv2は、電圧((Re+Rp)×I)に比例した電圧として出力される。A/D変換器14は、この電圧Vv2をサンプリングすることにより、この電圧Vv2の波形データDv(つまり、電圧((Re+Rp)×I)に比例した電圧の波形データDv)を生成して、処理部8に出力する。
【0039】
次いで、処理部8は、少なくともこの電圧Vv2の1周期分の波形データDvを電圧計3から取得し、この波形データDvに分圧抵抗11の分圧比(RL/(RH+RL))の逆数を乗算する補正を行うことによって分圧抵抗11での分圧の影響を排除して、電圧計3の一対の入力端子3a,3b間に入力されている交流電圧Vepの波形データを算出する。また、処理部8は、この波形データに基づいて、接地極Eおよび第1補助接地極P間に発生する交流電圧Vep(地電圧Veを含まない状態での電圧)の電圧値(実効値)を算出する。
【0040】
続いて、処理部8は、この算出した交流電圧Vepの電圧値を測定電流Iの電流値I1で除算することにより、接地極Eおよび第1補助接地極P間の合成接地抵抗値Rep(=Re+Rp)を算出して、内部メモリに記憶する。最後に、処理部8は、定電流源2に対して測定電流Iの出力を停止させる。これにより、合成接地抵抗Repの合成接地抵抗値Repの算出が完了する。
【0041】
また、処理部8は、合成接地抵抗Recの合成接地抵抗値Recの算出に際して、まず、スイッチ部4に対する制御を実行して、切替スイッチ22,23については上記の接続状態のままとし、切替スイッチ21を破線で示される接続状態(コモン接点comが一方の接点に接続される状態)に移行させる。これにより、接地抵抗計1は、定電流源2および電圧計3の並列回路が、スイッチ部4を介して接続端子5および接続端子7間、つまり接地極Eおよび第2補助接地極C間に接続される接続状態に移行する。
【0042】
次いで、処理部8は、合成接地抵抗Repの算出のときと同様にして、定電流源2に対する制御を実行して、測定電流Iを出力させると共に、このときに電圧計3から出力される地電圧Veの成分を含まない波形データDvに基づいて、接地極Eおよび第2補助接地極C間に発生する交流電圧Vec(地電圧Veを含まない状態での電圧)の電圧値(実効値)を算出する。
【0043】
続いて、処理部8は、この算出した交流電圧Vecの電圧値を測定電流Iの電流値I1で除算することにより、接地極Eおよび第2補助接地極C間の合成接地抵抗値Rec(=Re+Rc)を算出して、内部メモリに記憶する。最後に、処理部8は、定電流源2に対して測定電流Iの出力を停止させる。これにより、合成接地抵抗Recの合成接地抵抗値Recの算出が完了する。
【0044】
また、処理部8は、合成接地抵抗Rpcの合成接地抵抗値Rpcの算出に際して、まず、スイッチ部4に対する制御を実行して、切替スイッチ21,23については上記の接続状態のままとし、切替スイッチ22を破線で示される接続状態(コモン接点comが一方の接点に接続される状態)に移行させる。これにより、接地抵抗計1は、上記の定電流源2および電圧計3の並列回路が、スイッチ部4を介して接続端子6および接続端子7間、つまり第1補助接地極Pおよび第2補助接地極C間に接続される接続状態に移行する。
【0045】
次いで、処理部8は、合成接地抵抗Repの算出のときと同様にして、定電流源2に対する制御を実行して、測定電流Iを出力させると共に、このときに電圧計3から出力される地電圧Veの成分を含まない波形データDvに基づいて、第1補助接地極Pおよび第2補助接地極C間に発生する交流電圧Vpcの電圧値(実効値)を算出する。
【0046】
続いて、処理部8は、この算出した交流電圧Vpcの電圧値を測定電流Iの電流値I1で除算することにより、第1補助接地極Pおよび第2補助接地極C間の合成接地抵抗値Rpc(=Rp+Rc)を算出して、内部メモリに記憶する。最後に、処理部8は、定電流源2に対して測定電流Iの出力を停止させる。これにより、合成接地抵抗Rpcの合成接地抵抗値Rpcの算出が完了し、合成抵抗算出処理が完了する。
【0047】
次いで、処理部8は、補助接地極接地抵抗算出処理を実行する(ステップ32)。この補助接地極接地抵抗算出処理では、処理部8は、算出した各合成接地抵抗値Rep,Rec,Rpcに基づいて、下記の3元連立1次方程式(式(1)〜(3))を解くことで、接地極Eの接地抵抗値Re、第1補助接地極Pの接地抵抗値Rpおよび第2補助接地極Cの接地抵抗値Rcを算出して、内部メモリに記憶する。これにより、補助接地極接地抵抗算出処理が完了する。なお、この補助接地極接地抵抗算出処理では、少なくとも第1補助接地極Pの接地抵抗値Rpを算出すればよいため、接地抵抗値Rpのみを内部メモリに記憶するようにしてもよい。
Rep=Re+Rp ・・・ (1)
Rec=Re+Rc ・・・ (2)
Rpc=Rp+Rc ・・・ (3)
【0048】
また、この補助接地極接地抵抗算出処理では、上記のように接地極Eの接地抵抗値Reについても算出されるが、接地極Eの接地抵抗値Reは、第1補助接地極Pの接地抵抗値Rpや第2補助接地極Cの接地抵抗値Rcと比較して、通常、極めて小さい値である。具体的には、接地極Eは接地工事の基準に適合するように適切な施工方法を採用して接地されるため、その接地抵抗値Reは大きくても500Ω以下、実際には10Ω以下の低い値になっている。一方、各補助接地極P,Cは、例えば、接地抵抗計1の使用者が接地抵抗計1に付属の金属製の接地棒を大地Gに差し込んで構成される簡易な接地極であるため、それらの接地抵抗Rp,Rcは通常、上記のように数百kΩという大きい値になっている。したがって、補助接地極接地抵抗算出処理では、各接地抵抗Rp,Rcについては十分な精度で算出できるが、接地抵抗値Reについては各接地抵抗Rp,Rcの精度よりも低い精度で算出される。したがって、補助接地極接地抵抗算出処理で算出される接地抵抗値Reを、接地極Eの本来の接地抵抗値Reとすることは困難となる。
【0049】
次いで、処理部8は、1次接地抵抗算出処理を実行する(ステップ33)。この1次接地抵抗算出処理では、処理部8は、まず、スイッチ部4に対する制御を実行して、切替スイッチ21を破線で示される接続状態に移行させ、かつ切替スイッチ22,23を実線で示される接続状態に移行させる。これにより、接地抵抗計1は、定電流源2がスイッチ部4を介して接続端子5および接続端子7間、つまり接地極Eおよび第2補助接地極C間に接続され、かつ電圧計3がスイッチ部4を介して接続端子5および接続端子6間、つまり接地極Eおよび第1補助接地極P間に接続される接続状態に移行する。
【0050】
次いで、処理部8は、定電流源2に対する制御を実行して、測定電流Iを出力させる。この測定電流Iは、定電流源2の出力端子2aから、スイッチ部4の切替スイッチ21、接続端子7、第2補助接地極C、大地G、接地極E、接続端子5およびスイッチ部4の切替スイッチ22を経由して定電流源2の出力端子2bに戻る電流経路に流れる。
【0051】
この場合、図4に示すように、接地極Eの接地抵抗Reに測定電流Iが流れることによって発生する電圧(Re×I)と地電圧Veとの加算電圧(Re×I+Ve)は、第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの存在により、この接地抵抗Rpの抵抗値Rpと、電圧計3に内蔵されている分圧抵抗11の抵抗値(RL+RH)とで分圧されて、電圧計3の一対の入力端子3a,3b間に交流電圧Vepとして入力される。すなわち、交流電圧Vepは、以下の式(4)で表される。
Vep=(Re×I+Ve)×α ・・・ (4)
ここで、α=(RL+RH)/(RL+RH+Rp)
【0052】
したがって、電圧計3では、分圧抵抗11が、この交流電圧Vepを分圧して電圧Vv1として出力する。この場合、電圧Vv1は、以下の式(5)で表される。
Vv1=(Re×I+Ve)×α×RL/(RL+RH) ・・・ (5)
【0053】
次いで、信号抽出器13が、バッファ12を介して入力される電圧Vv1に含まれている測定電流Iの周波数成分を抽出して電圧Vv2として出力する。この場合、電圧Vv2は、以下の式(6)で表されるように、電圧(Re×I)に比例した電圧として出力される。
Vv2=Re×I×α×RL/(RL+RH) ・・・ (6)
【0054】
続いて、A/D変換器14が、この電圧Vv2をサンプリングすることにより、この電圧Vv2の波形データDv(つまり、電圧(Re×I)に比例した電圧の波形データDv)を生成して、処理部8に出力する。
【0055】
次いで、処理部8は、少なくともこの電圧Vv2の1周期分の波形データDvを電圧計3から取得すると共に、この波形データDvに分圧抵抗11の分圧比(RL/(RH+RL))についての逆数を乗算する補正を行うことによって、分圧抵抗11の分圧の影響を排除した交流電圧Vepの波形データを算出する。このようにして算出された波形データは、下記式(7)で表される電圧の波形データである。
Re×I×α ・・・ (7)
【0056】
処理部8は、この波形データに基づいて、接地極Eおよび第1補助接地極P間に発生する交流電圧Vep(地電圧Veを含まない状態での電圧)の電圧値(実効値:Re×I1×α)を算出し、この算出した交流電圧Vecの電圧値を測定電流Iの電流値I1で除算することにより、接地極Eの仮接地抵抗値Re1(=Re×α)を算出して、内部メモリに記憶する。最後に、処理部8は、定電流源2に対して測定電流Iの出力を停止させる。これにより、1次接地抵抗算出処理が完了する。
【0057】
続いて、処理部8は、2次接地抵抗算出処理を実行する(ステップ34)。この2次接地抵抗算出処理では、処理部8は、1次接地抵抗算出処理で算出した仮接地抵抗値Re1(=Re×α)を、補助接地極接地抵抗算出処理で算出した第1補助接地極Pの接地抵抗値Rpおよび電圧計3に内蔵されている分圧抵抗11の抵抗値(RL+RH)で規定される補正係数βで補正することにより、接地極Eの正しい接地抵抗値Reを算出する。
【0058】
この接地抵抗計1のように電圧計3に分圧抵抗11が内蔵されている構成では、上記したように、接地極Eの接地抵抗Reに測定電流Iが流れることによって発生する電圧(Re×I)と地電圧Veとの加算電圧(Re×I+Ve)は、接地抵抗Rpの抵抗値Rpと分圧抵抗11の抵抗値(RL+RH)とで分圧されて、電圧計3の一対の入力端子3a,3b間に入力される。これにより、上記の1次接地抵抗算出処理で算出される接地極Eの仮接地抵抗値Re1は、上記したように、本来の接地抵抗値Reに係数αを乗算した値として、つまり、本来の接地抵抗値Reよりも小さい抵抗値として算出される。
【0059】
このため、処理部8は、この2次接地抵抗算出処理において、係数αの逆数(1/α=(RL+RH+Rp)/(RL+RH))を上記の補正係数βとして使用して、下記式(8)に示すように、この補正係数βを1次接地抵抗算出処理で算出した仮接地抵抗値Re1に乗算する補正を行う。これにより、処理部8は、接地極Eの最終的な接地抵抗値Reを算出し、内部メモリに記憶する。以上により、2次接地抵抗算出処理が完了する。
Re1×β=Re×α×1/α=Re ・・・ (8)
【0060】
最後に、処理部8は、出力処理を実行して、2次接地抵抗算出処理で算出した接地抵抗Reの接地抵抗値Reを、出力部9の画面上に表示させる(ステップ35)。これにより、抵抗測定処理30が完了する。
【0061】
このように、この接地抵抗計1および接地抵抗測定方法では、合成抵抗算出処理(ステップ31)を実行して、接地極Eの接地抵抗Reおよび第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの合成抵抗値Rep(=Re+Rp)、接地極Eの接地抵抗Reおよび第2補助接地極Cの接地抵抗Rcの合成抵抗値Rec(=Re+Rc)、並びに第1補助接地極Pの接地抵抗Rpおよび第2補助接地極Cの接地抵抗Rcの合成抵抗値Rpc(=Rp+Rc)を算出し、補助接地極接地抵抗算出処理(ステップ32)を実行して、各合成抵抗値Rep,Rec,Rpcに基づいて第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの接地抵抗値Rpを算出し、1次接地抵抗算出処理(ステップ33)を実行して、定電流源2から測定電流Iを出力させている状態において電圧計3で測定される接地極Eおよび第1補助接地極P間の交流電圧Vepの波形データDvを取得すると共に、この波形データDvに基づいて算出した交流電圧Vepの電圧値と測定電流Iの電流値I1とに基づいて接地極Eの仮接地抵抗値Re1を算出し、2次接地抵抗算出処理(ステップ34)を実行して、この仮接地抵抗値Reを、補助接地極接地抵抗算出処理で算出した第1補助接地極Pの接地抵抗値Rpおよび分圧抵抗11の各抵抗RH,RLの各抵抗値RH,RLで規定される補正係数βで補正することにより接地極Eの最終的な接地抵抗値Reを算出する。
【0062】
したがって、この接地抵抗計1および接地抵抗測定方法によれば、電圧計3において分圧抵抗11を使用しつつ、第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの影響を排除して、接地極Eの接地抵抗値Reを高い精度で測定することができる。
【0063】
なお、上記の接地抵抗計1および接地抵抗測定方法では、1次接地抵抗算出処理(定電流源2を接地極Eおよび第2補助接地極C間に接続し、かつ電圧計3を接地極Eおよび第1補助接地極P間に接続して接地極Eの接地抵抗Reを測定する処理:ステップ33)の実行前に、ステップ31,22を実行することで第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの抵抗値Rpについての算出を1回だけ実行する構成を採用しているが、1次接地抵抗算出処理の実行後であって、2次接地抵抗算出処理の実行前に、ステップ31,22を再度実行して第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの抵抗値Rpを2回算出し、この2つの抵抗値Rpについての平均値を算出し、この平均値を補正係数βを構成する抵抗値Rpとする構成を採用することもできる。
【0064】
この構成によれば、測定のタイミングによって多少変化する第1補助接地極Pの接地抵抗Rpの抵抗値Rpをより安定した値として算出することができるため、補正係数βの精度を高めることができる結果、接地極Eの接地抵抗値Reをより高い精度で測定することができる。
【0065】
また、上記の接地抵抗計1では、電圧計3の一対の入力端子3a,3b間に入力される交流電圧Vep,Vec,Vpcから測定電流Iについての周波数成分を抽出する手段として、電圧計3に信号抽出器13を設ける構成を採用しているが、信号抽出器13を省いて(併せてバッファ12を省くこともできる)、A/D変換器14が電圧Vv1を直接入力して波形データDvに変換し、処理部8が、この波形データDvからデジタル処理によって測定電流Iについての周波数成分を抽出する構成を採用することもできる。
【0066】
また、上記の接地抵抗計1では、電源2として定電流源を使用する構成を採用しているが、電源2として、出力している測定電流Iの電流値を処理部8に出力する機能を備えた電圧源(または、電圧源と、この電圧源から出力されている測定電流Iの電流値を測定して処理部8に出力する電流計と)で構成することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 接地抵抗計
2 定電流源
3 電圧計
4 スイッチ部
8 処理部
C 第2補助接地極
E 接地極
I 測定電流
P 第1補助接地極
Rc,Re,Rp 接地抵抗
Vec,Vep,Vpc 交流電圧
図1
図2
図3
図4