特許第5985424号(P5985424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985424
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20160823BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65G65/40 B
   B01J4/00 105A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-53523(P2013-53523)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-177342(P2014-177342A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106771
【氏名又は名称】シーシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 博宣
(72)【発明者】
【氏名】花田 心次
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−133173(JP,A)
【文献】 実開昭59−081313(JP,U)
【文献】 実開昭63−017136(JP,U)
【文献】 特開2001−138332(JP,A)
【文献】 特開2001−335152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G65/30−65/48
B01J4/00−7/02
C02F1/00−3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物に粉体を供給する粉体供給装置であって、
前記粉体を収容する容器が取り付けられる取付部と、前記粉体が流通する粉体流路と、前記粉体流路を開閉する開閉弁と、前記粉体流路の外部から前記粉体流路へ空気流路を通じて空気を送る送風部とを備え
前記開閉弁は、
前記粉体流路の流れ方向に対して交差する方向に沿って往復動可能な仕切弁本体と、前記仕切弁本体の前記往復動を案内する案内溝を有する弁支持部とを備える仕切弁であり、
前記仕切弁本体は、
前記仕切弁の開放状態において前記粉体流路となる弁貫通孔を有し、
前記空気流路は、前記仕切弁の開放状態では前記案内溝を含む一方で、前記仕切弁の閉鎖状態では前記弁貫通孔を含む構成とされていることを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記粉体流路は、前記開閉弁から鉛直下方に向かって延びる下側粉体流路を含むことを特徴とする請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記粉体流路を加振する加振部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記有機性廃棄物として厨房の排水に前記粉体を供給することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物に粉体を供給する粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機成分の分解を促進する微生物製剤を排水に供給する装置が知られている。特許文献1に開示される装置では、微生物製剤等が搬送水とともに収容される容器を備え、容器内の微生物製剤等はポンプにより吸い上げられて排水と混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−128386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微生物製剤等の粉体を排水等の有機性廃棄物に供給することは、上記特許文献1のように微生物製剤等を搬送水とともに供給するよりも、微生物製剤等を収容した容器の輸送コストや所定量の搬送水を加える手間を省くという観点から有利である。ところが、有機性廃棄物に粉体を供給する粉体供給装置では、例えば、有機性廃棄物から生じる湿気の影響を受け易くなる。すなわち、粉体流路が湿気の影響を受けることで、粉体の流動性の低下を招く結果、粉体の供給が不安定になり易くなる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、粉体を有機性廃棄物に安定して供給することの容易な粉体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する粉体供給装置は、有機性廃棄物に粉体を供給する粉体供給装置であって、前記粉体を収容する容器が取り付けられる取付部と、前記粉体が流通する粉体流路と、前記粉体流路を開閉する開閉弁と、前記粉体流路の外部から前記粉体流路へ空気流路を通じて空気を送る送風部とを備え、前記開閉弁は、前記粉体流路の流れ方向に対して交差する方向に沿って往復動可能な仕切弁本体と、前記仕切弁本体の前記往復動を案内する案内溝を有する弁支持部とを備える仕切弁であり、前記仕切弁本体は、前記仕切弁の開放状態において前記粉体流路となる弁貫通孔を有し、前記空気流路は、前記仕切弁の開放状態では前記案内溝を含む一方で、前記仕切弁の閉鎖状態では前記弁貫通孔を含む構成とされている。
【0007】
この構成によれば、粉体流路の外部から粉体流路へ空気が送られることで、粉体流路における湿気の滞留が抑制される。また、送風部によって送られる空気により、案内溝や弁貫通孔の乾燥を促進させたり、案内溝や弁貫通孔に付着した粉体を除去したりすることが可能である。従って、例えば、案内溝に付着した粉体が除去されることで、仕切弁本体の移動が円滑に行われる。また例えば、弁貫通孔への粉体の付着が抑制されることで、粉体を排水に安定して供給することがさらに容易となる。
上記粉体供給装置において、前記粉体流路は、前記開閉弁から鉛直下方に向かって延びる下側粉体流路を含むことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、粉体は鉛直下方へ流動し易いため、開閉弁を通じた粉体は、より円滑に有機性廃棄物へ供給されるようになる。本出願において、粉体流路が下側粉体流路を含むとは、予め下側粉体流路を備えた粉体供給装置に限定されるものではなく、同装置の設置の際に下側粉体流路が接続される態様、すなわち設置方法を規定した粉体供給装置を含む。
【0009】
上記粉体供給装置において、前記粉体流路を加振する加振部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、粉体流路の振動によって粉体の流動が安定化される。
【0010】
上記粉体供給装置は、前記有機性廃棄物として厨房の排水に前記粉体を供給することが好ましい。厨房では温水を用いることがあるため、この排水に粉体を供給する粉体供給装置では、排水から生じる湿気の影響を受け易くなる。こうした環境下において、上記送風部を備えた粉体供給装置の使用は、粉体流路における湿気の滞留を抑制する点で特に有利である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粉体を有機性廃棄物に安定して供給することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における粉体供給装置の設置状態を示す概略図である。
図2】粉体供給装置の要部を示す概略図である。
図3】(a)は容器の口部を示す断面図であり、(b)は容器を開封した状態を説明する説明図である。
図4】(a)は封止具を示す斜視図であり、(b)はその断面図であり、(c)は封止具の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、粉体供給装置の一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、粉体供給装置11は、厨房の排水に粉体を供給する用途に用いられる。粉体供給装置11は、粉体を収容する容器71が取り付けられる取付部12と、粉体が流通する粉体流路13と、粉体流路13を開閉する仕切弁14と、粉体流路13の外部から粉体流路13へ空気を送る送風部15とを備える。
【0014】
<取付部>
取付部12は、容器本体72の口部73が挿入される挿入孔21を有している。挿入孔21には、取付溝22が周方向に沿って延設され、この取付溝22には、口部73と取付部12との間をシールするOリング83が係止される。挿入孔21の内底部分には、容器71を開封するための突起23が設けられている。この突起23は、挿入孔21の内壁を架橋するように連結する突起支持部24に支持されている。なお、取付部12は、台座部16に設けられている。
【0015】
<粉体流路>
粉体流路13は、取付部12から仕切弁14まで粉体を流通させる上側粉体流路31と仕切弁14から下方に延びる下側粉体流路32とを有する。上側粉体流路31は、取付部12と仕切弁14とを連結する連結部17に形成されている。上側粉体流路31は、取付部12から鉛直下方に向かって延設されている。本実施形態のように上側粉体流路31の内径寸法を部分的に縮径することで粉体の流通速度を調整されてもよい。
【0016】
下側粉体流路32は、仕切弁14から鉛直下方に向かって延設されている。下側粉体流路32は、仕切弁14に接続される管体接続部18、及び管体接続部18に接続される直管部19aに形成されている。下側粉体流路32は、排水が流入される流入口33を有している。この流入口33には、上方へ向けて延びる傾斜流路91が連通されている。こうした傾斜流路91は、直管部19aに接続される分岐部19bに形成されている。本実施形態では、直管部19aと分岐部19bとが一体に形成されたY字管19を用いている。Y字管19は、管体接続部18に、例えばねじで締め付け固定される。
【0017】
<仕切弁>
仕切弁14は、水平方向に沿って往復動可能な仕切弁本体41と、仕切弁本体41を支持する弁支持部42とを有する。弁支持部42は、仕切弁本体41を上下から挟み込むように配置される上側弁支持部43と下側弁支持部44とから構成される。
【0018】
上側弁支持部43には、上下に貫通する上側流通孔45aが形成され、この上側流通孔45aには上側粉体流路31を通じた粉体が流入される。
下側弁支持部44には、仕切弁本体41の往復動を案内する案内溝46が形成されている。案内溝46には、下側流通孔45bが上側流通孔45aと対向する位置に形成されている。なお、図示を省略するが、上側弁支持部43には、仕切弁本体41との間をシールするOリングが上側流通孔45aを取り囲むように設けられている。下側弁支持部44についても同様に、仕切弁本体41との間をシールするOリングが下側流通孔45bを取り囲むように設けられている。なお、少なくとも一方のOリングは省略されてもよい。
【0019】
仕切弁本体41はラックを有し、弁開閉用モータM1に設けられたピニオンの回転駆動で往復動される。すなわち、仕切弁14はラックアンドピニオン機構により動作する。
図2に示すように、仕切弁本体41は弁貫通孔47を有し、仕切弁14の開放状態では、上側流通孔45aと下側流通孔45bとが弁貫通孔47を介して連通される。
【0020】
<送風部>
図1に示すように、送風部15は、回転翼を有するファンモータM2と空気流路51とから構成される。ファンモータM2は、粉体流路13の外部の空気を取り込むとともに、空気流路51へ空気を送る。仕切弁14の閉鎖状態における空気流路51は、上側弁支持部43に形成される上側空気流路52、下側弁支持部44に形成される下側空気流路53、及び上側空気流路52と下側空気流路53とを連通するように配置される弁貫通孔47を含む。そして、下側空気流路53は、下側流通孔45bに連通されることで、下側粉体流路32に空気を送る。
【0021】
図2に示すように、仕切弁14が開放状態になると、上側空気流路52と下側空気流路53とは案内溝46によって連通される。すなわち、仕切弁14の開放状態における空気流路51は、上側空気流路52、案内溝46、及び下側空気流路53を含む。
【0022】
なお、本実施形態のように、空気流路51は粉体流路13の下流側へ向けて空気が吹き出されるように延設されて粉体流路13に開口されることが好ましい。
送風部15は、例えば、仕切弁本体41が開放位置へ向かう移動を開始してから閉鎖位置まで移動するまで空気を送るように制御されてもよいし、常時空気を送るように設定されてもよい。
【0023】
<加振部>
図1に示すように、粉体供給装置11は、粉体流路13を加振する加振部20をさらに備えている。加振部20の具体例は、特に限定されず、例えば、振動モータ、超音波振動子等により構成することができる。
【0024】
本実施形態の加振部20は、台座部16に固定される振動モータM3から構成されている。振動モータM3は、シャフトに偏心して取り付けられた分銅を備えている。
<制御部>
弁開閉用モータM1、ファンモータM2及び振動モータM3は、制御部61に電気的に接続されている。制御部61にはタイマが内蔵され、例えば、各モータの駆動時間、タイミング等を制御する。例えば、仕切弁14を開放する時刻、開放状態の継続時間は、制御部61によって制御される。また、制御部61を用いて、仕切弁14を開放するタイミングに応じてファンモータM2や振動モータM3を作動させるようにしてもよい。なお、ファンモータM2又は振動モータM3は、断続的に作動されてもよいし、常時作動されてもよい。
【0025】
<粉体供給装置の設置>
本実施形態の粉体供給装置11は、厨房に設けられた流し台の下のスペースに設置される。粉体供給装置11は、流し台からの排水が傾斜流路91に流入されるように配管される。粉体供給装置11は、例えば、台座部16に支持脚を設けることで支持させてもよい。
【0026】
粉体供給装置11の下流側には、グリストラップ92が設置されている。すなわち、傾斜流路91から流入口33を通じて流入した排水は、例えば側溝を介してグリストラップ92へ流入される。グリストラップ92では、排水中に含まれる油脂分が浮上分離されることで、グリストラップ92よりも下流側における油脂分の流出が抑制される。
【0027】
<容器>
次に、容器71の一実施形態について図3及び図4を参照して説明する。
図3(a)に示すように、取付部12に取り付けられる前の容器本体72は、口部73の先端部を覆う封止部82により封止されている。なお、容器本体72は、軽量化の観点から樹脂系材料から形成されることが好ましい。また、容器本体72の一部又は全体は、収容されている粉体が視認可能な透明性を有することが好ましい。
【0028】
図3(b)に示すように、封止部82は、容器71が取付部12に取り付けられる際に、突起23に向けて押圧されることにより破断される。このように封止部82は、突起23の押圧で破断し得るように構成されることで、容器71の取り付けの際に開封される。本実施形態の封止部82は、ゴム系材料から構成され、その収縮力に抗して張設される。ゴム系材料としては、例えば、天然又は合成ゴムや各種エラストマーが挙げられる。ゴム系材料には各種添加剤が含有されていてもよい。
【0029】
図4(a)及び図4(b)に示すように、本実施形態では、封止部82とOリング83と一体となった封止具81が口部73に装着される。Oリング83は、封止部82と同様にゴム系材料から構成され、封止部82の外周を取り囲むように封止部82に一体化されている。図3(a)及び図3(b)に示すように、Oリング83は、口部73の外周面に形成された係止溝74に係止される。なお、図4(c)に示すように、装着前の封止具81において封止部82は弛みを有していてもよい。
【0030】
容器71に収容される粉体としては、環境保護の観点から、微生物製剤が好適に用いられる。微生物製剤は、市販品から適宜選択して用いることができる。微生物製剤の機能としては、例えば、油脂分解機能、洗浄機能、及び消臭機能が挙げられる。なお、粉体として、微生物製剤以外の粉体を用いてもよい。微生物製剤以外の粉体としては、天然又は合成の機能剤であり、例えば、洗浄剤、消臭剤、殺菌剤、害虫忌避剤、及び殺虫剤が挙げられる。こうした粉体は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、粉体には、例えば、分散剤、賦形剤、消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0031】
こうした粉体を収容した容器71は、複数準備されることが好ましい。この場合、粉体供給装置11に装着した容器71内の粉体を使い切った際には、容器71を交換することで粉体供給装置11に粉体を補充することができる。なお、粉体を使い切った容器71を粉体供給装置11から取り外し、その容器71に粉体を直接補充することもできる。
【0032】
<粉体供給装置の使用状態>
次に、粉体供給装置11の使用状態を作用とともに説明する。
図1に示すように、粉体供給装置11の使用状態では、粉体を収容した容器71が取付部12に取り付けられる。このとき、粉体は、上側粉体流路31から上側流通孔45aへ流入する。上側流通孔45aから下側流通孔45bへの粉体の流入は、仕切弁本体41によって抑止されている。そして、例えば、予め設定された所定の時刻になったとき、弁開閉用モータM1の作動により仕切弁本体41が移動され、仕切弁14は開放状態とされる。
【0033】
図2に示すように、仕切弁14が開放状態になると、上側流通孔45aと下側流通孔45bとは弁貫通孔47を介して連通し、上側流通孔45aから下側流通孔45bへ粉体が流通する。続いて、例えば仕切弁14が開放状態とされてから所定時間経過したとき、弁開閉用モータM1の作動により仕切弁本体41が移動され、仕切弁14は再び閉鎖状態とされる。
【0034】
以上のように粉体供給装置11は、断続的に粉体を供給することができる。こうした粉体供給装置11は、送風部15を備えるため、粉体流路13における湿気の滞留が抑制される。例えば、仕切弁14の開放状態において粉体流路13に空気が送られることで、粉体流路13を逆流する湿気と粉体との接触が抑制されるとともに、粉体流路13の乾燥が促進される。また例えば、仕切弁14の閉鎖状態において粉体流路13に空気が送られることで、粉体流路13の内壁における結露の発生が抑制されるとともに、粉体流路13の乾燥が促進される。
【0035】
さらに、本実施形態の空気流路51は、仕切弁14の閉鎖状態では、図1に示すように弁貫通孔47を含む流路である一方で、仕切弁14の開放状態では、図2に示すように案内溝46を含む流路となる。このように仕切弁本体41の位置に応じて異なる空気流路51が形成される。仕切弁14の閉鎖状態では、送風部15により送られる空気によって、例えば、弁貫通孔47及びその周囲を乾燥させたり、弁貫通孔47及びその周囲に付着した粉体を除去したりすることが可能である。一方、仕切弁14の開放状態では、送風部15により送られる空気によって、案内溝46を乾燥させたり、案内溝46に付着した粉体を除去したりすることが可能である。
【0036】
こうした粉体供給装置11を用いて、例えば微生物製剤を排水に供給することで、側溝等の排水路に付着した有機成分やグリストラップ92で分離された有機成分の分解が促進される。また、有機成分に基づく臭気を抑制することも可能である。厨房の排水は有機成分として油脂分を含むため、少なくとも油脂分の分解を促進する微生物製剤が好適に用いられる。
【0037】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)粉体供給装置11は、取付部12、粉体流路13、仕切弁14、及び送風部15を備えている。この構成によれば、粉体流路13の外部から粉体流路13へ空気が送られることで、粉体流路13における湿気の滞留が抑制される。これにより、粉体の流動性が維持され易くなるため、粉体を排水に安定して供給することが容易となる。従って、例えば、仕切弁14の開閉を繰り返して、所定量の粉体を断続的に供給する際に、その供給毎の供給量のばらつきが抑制される。すなわち、粉体の供給精度を高めることが可能となる。
【0038】
(2)粉体流路13は、仕切弁14から鉛直下方に向かって延びる下側粉体流路32を含む構成とされている。この構成によれば、粉体は鉛直下方へ流動し易いため、仕切弁14を通じた粉体は、より円滑に排水へ供給される。
【0039】
(3)粉体供給装置11は、粉体流路13を加振する加振部20(振動モータM3)をさらに備える。この構成によれば、粉体流路13の振動によって粉体の流動が安定化される。これにより、粉体を排水に安定して供給することがさらに容易となる。
【0040】
(4)粉体供給装置11は、厨房の排水に粉体を供給する。ここで、厨房では温水を用いることがあるため、この排水に粉体を供給する粉体供給装置11では、排水から生じる湿気の影響を受け易くなる。こうした環境下において、上記送風部15を備えた粉体供給装置11の使用は、粉体流路13における湿気の滞留を抑制する点で特に有利である。
【0041】
(5)下側粉体流路32には、排水から生じる湿気が充満し易く、結露が生じ易い。この点、本実施形態の空気流路51は、下側粉体流路32に連通されているため、結露が生じ易い箇所を優先して乾燥できる点で有利である。なお、排水が温水である頻度が高い場合といった下側粉体流路32に湿気が特に充満し易い使用条件の場合には、送風部15によって常時空気を送ることで粉体を排水に安定して供給することがさらに容易となる。
【0042】
(6)送風部15の有する空気流路51は、仕切弁14の開放状態では案内溝46を含む一方で、仕切弁14の閉鎖状態では弁貫通孔47を含む構成とされている。この構成によれば、送風部15によって送られる空気により、案内溝46や弁貫通孔47の乾燥を促進させたり、案内溝46や弁貫通孔47に付着した粉体を除去したりすることが可能である。従って、例えば、案内溝46に付着した粉体が除去されることで、仕切弁本体41の移動が円滑に行われる。また例えば、弁貫通孔47への粉体の付着が抑制されることで、粉体を排水に安定して供給することがさらに容易となる。
【0043】
(7)下側粉体流路32は、排水が流入される流入口33を有している。この流入口33には上方に向けて延びる傾斜流路91が連通される。この場合、下側粉体流路32において排水が流入される位置を予め設定することができる。
【0044】
(8)粉体供給装置11は、直管部19aと分岐部19bとが一体に形成されたY字管19を備える。これにより、粉体供給装置11の排水系への接続が容易となる。
(9)粉体として、排水に含まれる有機成分の分解を促進する微生物製剤を用いることで、例えばグリストラップ92の清掃の手間を軽減したり、有機成分に基づく臭気を抑制したりすることが可能である。
【0045】
(10)取付部12は、口部73を封止する封止部82を破断させて容器71を開封する突起23を備えている。この場合、容器71を取付部12に取り付ける際に、容器71の開封も行うことができるため、容器71を取り付ける際の粉体の飛散を抑制することができる。従って、粉体供給装置11に粉体を補充する作業を円滑に行うことができる。
【0046】
(11)封止具81は、封止部82とOリング83とを有し、ゴム系材料から形成されている。封止部82は、その収縮力に抗して口部73の先端部を覆うように設けられる。この構成によれば、Oリング83の装着とともに封止部82の装着を行うことができる。そして、封止部82は、突起23により破断されるとOリング83へ向かって収縮する。ここで、口部73の先端に破断後の封止部82が存在すると、粉体の流出が妨げられる。この点、封止部82は、破断とともに収縮するため、口部73の先端に残留し難くなる。これにより、粉体をより安定して流出させることができる。
【0047】
(12)口部73は係止溝74を有するため、封止具81の装着に際して、封止具81の位置決めが容易となる。従って、封止部82の収縮力に抗した装着を容易に行うことができる。また、封止具81が装着された容器71では、Oリング83が係止溝74に保持されることで、封止具81の口部73からの脱離が抑制される。また、Oリング83が係止溝74に保持されることで、封止部82の破断の際には、Oリング83へ向けた封止部82の収縮が促進される。このように係止溝74は、口部73から粉体を安定して流出させる点でも有利である。
【0048】
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記下側粉体流路32は、流入口33を有しているが、この流入口33を省略してもよい。すなわち、下側粉体流路32の下端に、排水を流通する流路が連なるように粉体供給装置11を設置されてもよい。
【0049】
・前記粉体供給装置11は、Y字管19を備えているが、別途Y字管19を準備して設置されてもよい。すなわち、前記粉体供給装置11は、下側粉体流路32を予め備えているが、別途下側粉体流路32を準備して設置されてもよい。
【0050】
・前記上側粉体流路31及び下側粉体流路32の少なくとも一方は、鉛直下方に対して傾斜するとともに自重や加振によって粉体が流動し得る流路に変更されてもよい。
・前記空気流路51は、仕切弁14を貫通しているが、仕切弁14を回避するように形成した空気流路に変更されてもよい。
【0051】
・前記空気流路51は、上側粉体流路31に空気を送る空気流路に変更されてもよい。この場合であっても、仕切弁14の開放状態で上側粉体流路31に空気を送ることで、粉体流路13における湿気の滞留が抑制される。
【0052】
・前記送風部15から常時空気を送る場合、例えば、仕切弁14の閉鎖状態では仕切弁14の開放状態よりも出力を低減するように制御されてもよい。
・前記案内溝46は、下側弁支持部44に形成されているが、上側弁支持部43に形成されてもよいし、上側弁支持部43と下側弁支持部44との両方に形成されてもよい。
【0053】
・前記仕切弁本体41は、粉体流路13に対して直交する方向に沿って往復動されているが、粉体流路13に対して傾斜する方向に沿って往復動されるように変更することもできる。また、仕切弁本体41は、送りねじ機構により往復動されるように変更されてもよい。
【0054】
・前記実施形態では、開閉弁として仕切弁14を採用しているが、この仕切弁14は、例えばバタフライ弁、ロータリー弁等に変更されてもよい。また、開閉弁は、電動弁に限らず、電磁弁であってもよい。
【0055】
・前記加振部20を設けずに粉体供給装置を構成されてもよい。
・前記制御部61の代わりに、スイッチの手動操作で仕切弁14、送風部15等が作動される構成を採用されてもよい。
【0056】
・前記取付部12には、突起23が設けられているが、突起23を省略し、予め開封した容器71を取付部12に取り付けてもよい。
・前記取付部12には、一つの突起23が設けられているが、複数の突起23を設けてもよい。突起23の形状についても、封止部82を破断し得る形状であれば特に限定されない。
【0057】
・封止部82は、例えば、アルミ箔等の金属箔、和紙、洋紙等の紙、樹脂系フィルム又はシート等から形成することで、突起23の押圧で破断し得るように構成されてもよい。また、封止部82は、単独種の材料から構成されてもよいし、複数種の材料を組み合わせて構成されてもよい。また、封止部82は、突起23の押圧による破断を促進する薄肉部を有していてもよい。
【0058】
・Oリング83は省略されてもよい。この場合、封止部82は、例えば接着や溶着で口部73に固定することができる。
・前記粉体供給装置11は、流し台の下のスペースに設置されるが、例えば、側溝の上方やグリストラップ92の上方に設置されてもよい。但し、側溝やグリストラップ92の清掃作業の妨げとならないように、流し台の下のスペースに設置されることが好ましい。
【0059】
・前記粉体供給装置11は、厨房の排水に粉体を供給する用途に用いられるが、厨房以外の各種排水に粉体を供給する用途に用いることもできる。さらに、粉体供給装置11は、排水以外の有機性廃棄物に粉体を供給する用途に用いることもできる。排水以外の有機性廃棄物としては、例えば、生ごみ、落ち葉、糞尿等が挙げられる。
【0060】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記粉体供給装置において、前記開閉弁は、前記粉体流路の流れ方向に対して交差する方向に沿って往復動可能な仕切弁本体と、前記仕切弁本体の前記往復動を案内する案内溝を有する弁支持部とを備える仕切弁であり、前記仕切弁本体は、前記仕切弁の開放状態において前記粉体流路となる弁貫通孔を有し、前記送風部の有する空気流路は、前記仕切弁の開放状態では前記案内溝を含む一方で、前記仕切弁の閉鎖状態では前記弁貫通孔を含む構成とされている粉体供給装置。
【0061】
(ロ)前記粉体供給装置において、前記有機性廃棄物は厨房の排水であり、前記下側粉体流路は、前記排水が流入される流入口を有する構成、又は、前記下側粉体流路の下端に前記排水を流通する流路が連なる設置態様とされる粉体供給装置。
【0062】
(ハ)前記粉体供給装置において、前記取付部は、前記容器の有する口部を封止する封止部を破断させて前記容器を開封する突起を備える粉体供給装置。
(ニ)前記粉体供給装置に用いられる容器であって、容器本体と、前記容器本体の有する口部を封止する封止部とを備え、前記封止部は、前記口部の外周に設けられるOリングと一体とされた封止具として前記口部に装着され、前記封止具はゴム系材料から構成され、前記封止部は、その収縮力に抗して前記口部の先端部を覆うように設けられた容器。
【符号の説明】
【0063】
11…粉体供給装置、12…取付部、13…粉体流路、14…仕切弁(開閉弁)、15…送風部、20…加振部、32…下側粉体流路、71…容器。
図1
図2
図3
図4