(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンジと、前記シリンジ内に配置されて当該シリンジから先端部を突出させることができるとともに突起が設けられたロッドと、前記ロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、前記突起に引っ掛かって前記ロッドの突出を規制するフックアームを有する規制部材と、前記フックアームに接触する押圧端部を有して当該押圧端部が前記フックアームを押し開く規制解除部材と、前記ロッドの先端部に押し込まれることで内容物を噴出させるピストンとを備え、
前記ロッドは、前記ロッドの軸線周りに前記突起を配置して1つの突起群を構成し、当該突起群が前記ロッドの軸線方向に間隔を置いて複数配置されているとともに、前記軸線方向に互いに隣り合う前記突起がオーバーラップしないように配置されたものであり、
前記規制部材は、前記フックアームが、前記ロッドの軸線周りに配置された前記突起に対応して配置されているとともに前記規制解除部材の前記押圧端部に押し込まれることで前記フックアームの押し開きを生起させる受圧端部を有するものであり、
前記規制解除部材は、前記押圧端部を前記軸線方向にスライドさせるとともに当該軸線周りに回転させるものである、シリンジ型噴出容器。
請求項1において、前記規制部材は、前記規制解除部材に接触して当該規制解除部材に対して押し込みに抗する付勢力を加える延長片を有するものである、シリンジ型噴出容器。
請求項1または2において、前記ピストンは、噴出口を有して前記シリンジに装着される筒体部の内部に配置されることで、着脱可能な噴出部を構成するものである、シリンジ型噴出容器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に従う、シリンジ型噴出容器の一実施形態である、点鼻薬噴出容器を詳細に説明する。
【0012】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態である、点鼻薬噴出容器(以下、「噴出容器」)である。噴出容器1は、操作器具1A(操作部)と、噴出部(カートリッジ)1Bを備える。
【0013】
操作器具1Aは、合成樹脂製またはガラス製のシリンジ10を有する。シリンジ10は、中空の胴部11の一端に環状の肩部12が一体に設けられている。また、シリンジ10には、肩部12を介して胴部11よりも径の小さい先端筒13が一体に設けられている。先端筒13の内側には、胴部11の内側に形成された空間に通じる内部通路が形成されている。また、シリンジ10には、先端筒13を取り囲む装着筒14が一体に設けられている。さらに、シリンジ10には、指掛け部15が一体に設けられている。
【0014】
操作器具1Aはまた、シリンジ10内に配置される合成樹脂製のロッド20を有する。ロッド20は、丸棒状のロッド本体21と、中空のロッドベース22とを有する。ロッド本体(ロッドの先端部)21とロッドベース22は、環状のフランジ23を介して一体に設けられている。ロッド本体21は、シリンジ10の先端部13に形成された内部通路を通して、先端部13から突出させる。
【0015】
ロッドベース22の外周面には、複数の突起24が一体に設けられている。突起24は、ロッド20の軸線(以下、「ロッド軸線」)Oを挟んで対向する2箇所の位置に配置して1つの突起群Pを構成している。2つの突起群Pは、ロッド軸線O方向に間隔を置いて複数配置される。本実施形態では、
図7(a)に示すように、突起24の後端(ロッド本体21側と反対側の端面)に、傾斜面24aが形成されている。また、2つの突起群P
1,P
2は、ロッド軸線O方向に間隔を置いて配置されている。また、互いに隣り合う突起群P
1,P
2の突起24は、ロッド軸線O周りにオーバーラップしないように(ロッド軸線Oに沿った同一軸線上に整列しないように)配置されている。本実施形態では、突起群P
1,P
2はそれぞれ、
図7(b)に示すように、ロッド軸線O周りに90度ずらして配置されている。すなわち、突起24はそれぞれ、ロッド軸線O周りにオーバーラップしないように、ロッド軸線O周りに90度の間隔で配置されている。
【0016】
加えて、ロッドベース22には、
図7(a)に示すように、各突起24に繋がる凹所25が形成されている。凹所25は、ロッド20のロッド本体21側と反対側の端面(以下、「ロッド20の後端面」)20eに至るまでロッド軸線Oに沿って伸びる。これにより、ロッドベース22には、突起24に対応する4つの凹所25が形成される。
【0017】
また、操作器具1Aは、
図1に示すように、付勢部材30を有する。付勢部材30は、シリンジ10内に配置されている。付勢部材30は、シリンジ10の先端筒13からロッド20のロッド本体21を突出させる方向(突出方向)にロッド20を付勢する。本実施形態では、付勢部材30は、ロッド20に設けたフランジ23を受圧面として、フランジ23に接触することによりロッド20を付勢する。付勢部材30は、例えば、金属製または合成樹脂製のリターンスプリングで構成する。
【0018】
さらに、操作器具1Aは、ロッド20の突出を規制する中空の規制部材40を有する。規制部材40は、
図8(a)に示すように、大径部41と小径部42とを有し、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。
【0019】
大径部41は、規制部材40の軸線(本実施形態では、ロッド軸線Oと同軸)を挟んで対向する2箇所の位置に、突部41aが一体に設けられている。突部41aはそれぞれ、
図1に示すように、シリンジ10に形成した開口部16に引っ掛かって係止される。これにより、規制部材40は、シリンジ10内に配置される。加えて、大径部41は、
図8(b)に示すように、軸線O周りに間隔を置いて複数(本実施形態では、4つ)の延長片41bが一体に設けられている。延長片41bは、軸線Oに沿って小径部42側と反対側の向きに伸びている。
【0020】
小径部42には、フックアーム43が設けられている。フックアーム43は、フック43aを有する。フックアーム43は、
図1に示すように、フック43aがロッド20の突起24に引っ掛かって係止されることでロッド20の突出を規制する。フックアーム43は、ロッド20に設けた突起24に対応する位置に配置されている。本実施形態では、フックアーム43は、
図8(a)に示すように、軸線O周りの4箇所の位置に等間隔で配置されている。
【0021】
本実施形態では、
図1に示すように、ロッド20のフランジ23と規制部材40の大径部41との間には、付勢部材30が配置されている。付勢部材30は、その軸線O方向(本実施形態では、ロッド軸線Oと同軸)に対して圧縮された状態で配置されている。これにより、ロッド20は常時、シリンジ10の先端筒13から突出する向きに付勢されている。すなわち、本実施形態では、フックアーム43は、付勢部材30の圧縮によって生じた付勢力(復元力)に伴う、ロッド20の突出を規制している。
【0022】
さらに、フックアーム43は、
図8(b)の正面に位置するフックアーム43で示すように、小径部42に対して2つの連結部44を介して一体に設けられている。これにより、フックアーム43は、小径部42に対して2つの連結部44を基点に回動(揺動)させることができる。連結部44はそれぞれ、フックアーム43を連結部44周りの一方に回転させたときに捻り変形を生じ、フックアーム43の回転を解除したときは捻り変形に伴う復元力を生じさせる。これにより、フックアーム43は、連結部44周りの一方に回転させたのち、その回転を生起させる力を解除すると、連結部44の復元力によって初期位置(
図8(b)の破線で示すフックアーム43の位置を参照のこと)に復帰する。
【0023】
加えて、フックアーム43は、
図8(b)の破線で示すフックアーム43のように、そのフック43a側端部側と反対側の端部43b側が連結部44を基点に内向きに屈曲した形状をしている。これにより、フックアーム43は、その端部43bを受圧端部(以下、「受圧端部43b」)として、この受圧端部43bが、後述するように軸線O方向に押し込まれることにより、フックアーム43のフック43a側を押し開くことができる。本実施形態では、受圧端部43bは、フックアーム43の外面からフックアーム43の内面に向かって先細りする傾斜面で構成されている。
【0024】
なお、本実施形態では、ロッドベース22に、突起24に対応する4つの凹所25が形成されている。このため、フックアーム43を2つの連結部44を基点に回動(揺動)させたとき、フックアーム43の受圧端部43bは、ロッドベース22と干渉することがない。これにより、フックアーム43の正常な回動(揺動)が確保される。
【0025】
加えて、操作器具1Aは、
図1に示すように、フックアーム43を押し開く規制解除部材50を有する。規制解除部材50は、
図9(a)に示すように、ディスク状の押圧部51とともに外周壁52および内周壁53を有する。外周壁52および内周壁53は、押圧部51の軸線(本実施形態では、ロッド軸線Oと同軸)に対して間隔を置いて同軸配置されている。規制解除部材50は、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。
【0026】
規制解除部材50の外周壁52は、軸線Oを挟んで対向する2箇所の位置に、突部52aが一体に設けられている。突部52aはそれぞれ、
図1に示すように、シリンジ10に形成したスリット17に引っ掛かって係止されることにより、規制解除部材50は、シリンジ10内に配置される。
【0027】
規制解除部材50の内周壁53は、フックアーム43の受圧端部43bに接触する押圧端部53bを有する。押圧端部53bは、軸線Oを挟んで対向する2箇所の位置に配置されている。加えて、2つの押圧端部53bはそれぞれ、
図1に示すように、2つのフックアーム43の受圧端部43bに対応するように設定されている。
【0028】
本実施形態では、
図9(b)に示すように、規制解除部材50の内周壁53に、軸線Oを挟んで対向する2箇所の位置に突出部53aを設け、この突出部53aの端部を押圧端部53bとして構成している。また、本実施形態では、押圧端部53bは、突出部53aの内面から突出部53aの外面に向かって先細りする傾斜面で構成されている。さらに、本実施形態では、
図1に示すように、規制解除部材50の押圧端部53bを構成する傾斜面は、フックアーム43の受圧端部43bを構成する傾斜面と平行に構成されている。
【0029】
規制解除部材50は、シリンジ10に対して軸線O方向にスライドさせることができる。本実施形態では、スリット17は、
図1に示すように、軸線O方向に伸びている。これにより、規制解除部材50は、シリンジ10に対して軸線O方向にスライドさせることができる。規制解除部材50のスライド量は、規制解除部材50をスライドさせたとき、押圧端部53bがフックアーム43の受圧端部43bを押し込んで、フックアーム43を押し開けるように設定されている。本実施形態では、押圧部51にストッパ54を設け、このストッパ54をシリンジ10の後端部10eに接触させることで、規制解除部材50のスライド量を制限する。
【0030】
また、本実施形態では、
図1に示すように、規制解除部材50をシリンジ10に組み付けたとき、規制部材40に設けた延長片41bが、規制解除部材50の外周壁52と内周壁53との間に配置される。加えて、延長片41bは、その先端部が規制解除部材50の押圧部51に接触したとき、図示のように撓み変形を生じている。すなわち、規制部材40に設けた延長片41bは、規制解除部材50に対して押し込みに抗する付勢力を加える。これにより、規制解除部材50の初期位置は、
図1に示すように、シリンダ10に対して押し込み可能な位置に位置決めされる。これにより、規制解除部材50の押圧部51を延長片41bの付勢力に抗して押し込むと、規制解除部材50は、スリット17に沿って軸線O方向にスライドさせることができ、その押し込みを解除されると、延長片41bの付勢力(復元力)により、初期位置に復帰させることができる。
【0031】
加えて、規制解除部材50は、シリンジ10に対して軸線O周りに回転させることができる。本実施形態では、スリット17は、軸線O周りに90度伸びている。これにより、規制解除部材50は、シリンジ10に対して軸線O周りに回転させることができる。規制解除部材50の回転量は、規制解除部材50を回転させたとき、2つの押圧端部53bがそれぞれ、2つのフックアーム43の受圧端部43bに対応するように設定されている。本実施形態では、スリット17を軸線O周りに90度の範囲で形成することで、規制解除部材50の回転量を制限する。
【0032】
さらに、本実施形態では、シリンジ10と規制解除部材50とに、誤回転防止手段Mが設けられている。誤回転防止手段Mは、規制解除部材50を一定以上の力で回転させると、回り止めが解除されて、自由に回転させることができるように設定されている。誤回転防止手段Mとしては、例えば、互いに乗り越え可能に引っ掛かる引っ掛け手段が挙げられる。誤回転防止手段Mは、シリンジ10と規制解除部材50のそれぞれの、スリット17の周方向内縁付近に配置されることで、フックアーム43の受圧端部43bと、規制解除部材50の押圧端部53bとの軸線O回りの位置決めを可能にする。本実施形態では、
図9(a)に示すように、規制解除部材50の外周壁52に、規制解除部材50の押圧端部53bに対して軸線O周りに90度の間隔で、軸線Oに沿って伸びる4つの縦リブ55を設ける一方、シリンジ1の内周面の、スリット17の周方向内縁の両側付近にそれぞれ、スリット17の一方の周方向内縁から他方の周方向内縁に向かって間隔(例えば、縦リブ55の周方向幅分)を置いて、軸線Oに沿って伸びる縦リブ18(
図1)を設け、規制解除部材50をシリンジ10に対して軸線O周りに捻ったとき、縦リブ55が縦リブ18を乗り越えることで、規制解除部材50の自由な回転を可能にし、あるいは、規制解除部材50の縦リブ55がシリンジ10の縦リブ18を乗り越えるとともに、規制解除部材50の突部52aがスリット17の周方向内縁によって、それ以上の回転を阻止されることで、規制解除部材50の押圧端部53bをフックアーム43の受圧端部43bに対して軸線O周りに位置決めすることを可能にする。このため、誤回転防止手段Mは、少なくとも1つのスリット17の周方向内縁の両側、二箇所に設けることが好ましい。
【0033】
操作器具1Aは、上述のように構成される。他方、噴出部1Bは、
図1に示すように、内容物(本実施形態では、点鼻薬)Cが充填された充填部(カートリッジ)として機能するとともに、内容物Cを噴出させることができる。
【0034】
噴出部1Bは、
図1に示すように、合成樹脂製の外筒61を有する。外筒61は、小径部61aと大径部61bとを一体に有し、大径部61bの末端部(小径部61a側と反対側の端部)は、外筒61の後端部61cを構成する。後端部61cは、外筒61の軸線(本実施形態では、ロッド軸線Oと同軸)周りを周回する環状の突起部に形成されている。また外筒61は、小径部61aの先端部(大径部61b側と反対側の端部)に、噴出口1aが形成されている。噴出口1aは、例えば、図示せぬオーバーキャップによって密封することができる。
【0035】
また、外筒61の大径部61bは、
図1に示すように、その内側にシリンジ10の先端筒13を収容する収容部として構成される。外筒61の後端部61cは、(雄)ねじ部として機能する。後端部61cは、装着筒14の内側に形成された(雌)ねじ部14sに取り外し可能に螺合する。これにより、噴出部1Bは、
図1に示すように、シリンジ10の装着筒14に螺合させることで、操作器具1Aに対して取り外し可能に装着させることができる。なお、シリンジ10と外筒61との接続は、凹凸によるアンダーカット嵌合などの既存の手段を選択することもできる。
【0036】
また噴出部1Bは、外筒61の内側に配置される合成樹脂製の内筒62を有する。内筒62の内側には、スピンエレメント63が配置されている。スピンエレメント63は、噴出口1aに向かう内容物Cの流れを旋回流にする。
【0037】
加えて、噴出部1Bは、ピストン64を有する。ピストン64は、内筒12の内側に液密状態を維持しつつスライド可能に配置されている。ピストン64は、スピンエレメント63とともに内筒62内に内容物Cを充填する液室Sを形成する。これにより、噴出部1Bは、図示せぬオーバーキャップを装着させることにより、操作器具1Aに対して着脱可能なカートリッジとして構成することができる。ピストン64には、ロッド20のロッド本体21が接触する。これにより、ピストン64は、ロッド20の突出動作にあわせてスピンエレメント63に向かってスライドする。
【0038】
次に、本実施形態の使用方法を説明する。
【0039】
使用者は初め、
図1の初期状態から、例えば、人差し指と中指をシリンジ10の指掛け部15に引っ掛けるとともに、親指を規制解除部材50の押圧部51をあてがうことで、噴出容器1を片手で保持する。
【0040】
次いで、
図1の矢印の方向に、規制解除部材50の押圧部51を押し込むと、規制解除部材50の突部52aがシリンジ10のスリット17に沿ってスライドすることにより、規制解除部材50の押圧端部53bが、突起群P
1の突起24に対応する2つのフックアーム43の受圧端部43bをそれぞれ押し込む。すると、フックアーム43が連結部44を基点に回転することで押し開かれる。このため、
図2に示すように、フックアーム43のフック43aとロッド20に設けた突起群P
1の突起24との引っ掛かりが解除される。このとき、ロッド20は、一定の速度で短時間に、
図2に示すように、付勢部材30の付勢力(復元力)によってシリンジ10の先端筒13からさらに突出する。このため、ロッド20のロッド本体21に接触するピストン64も、
図2に示すように、一定の速度で短時間に、スピンエレメント63に向かってスライドしながら内容物Cを圧送する。すなわち、スピンエレメント63には、内容物Cが、あたかも蓄圧(圧縮)された状態から瞬時に開放されたような大きな力を受けた流れとして流入する。これにより、噴出口1aからは、安定した霧状の内容物Cを噴出させることができる。
【0041】
ここで、
図3は、
図2の噴出容器1を同
図2に示すD方向から示したものである。規制解除部材50に対する最初の押し込みによって、ロッド20に設けた突起群P
1の2つの突起24とこれらに対応するフックアーム43のフック43aとの引っ掛かりが解除されたとき、突起群P
2の突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43aはそれぞれ、ロッド20とともに突出してきた突起群P
2の突起24に突き当たって引っ掛かることで当該突起24を抜け止め保持する。すなわち、ロッド20の突出は、
図3に示すように、規制部材40の4つのフックアーム43のうち、ロッド20に設けた突起群P
2の突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43aが突起群P
2の突起24に引っ掛かることで制限される。これにより、ロッド20の突出量(内容物Cの噴出量)は、突起群P
1と突起群P
2との間の軸線O方向の寸法で規定することができる。
【0042】
規制解除部材50の押し込みを解除すると、規制解除部材50の押圧部51には、
図3の矢印に示す方向に、規制部材40の延長片41bの付勢力(復元力)が加わる。これにより、
図4に示すように、規制解除部材50は、シリンジ10に対する初期位置(
図1に示す位置と同様の位置)に自動的に復帰する。本実施形態のように、規制部材40の延長片41bを付勢要素として構成した場合、部品点数の削減を図ることができる。ただし、延長片41bは、リターンスプリングなどの別体の付勢部材として構成することもできる。なお、突起群P
1の突起24に対応する2つのフックアーム43は、規制解除部材50が初期位置に復帰するのに伴い、連結部44の復元力によって、小径部42に対する初期位置(
図8(b)の破線で示すフックアーム43の位置)に自動的に復帰する。なお、この場合、フックアーム43は、フック43aが突起24の傾斜面24aに沿ってスライドすることで、緩やかに復帰する。
【0043】
残りの内容物Cを噴出させたいときは、先ず、
図4の矢印に示すように、規制解除部材50をスリット17に沿って軸線O周りに時計回りまたは反時計回りに回転させる。本実施形態では、上述のとおり、規制解除部材50の回転量は、スリット17に沿って軸線O周りに90度の範囲である。このため、
図5に示すように、規制解除部材50の2つの押圧端部53bはそれぞれ、ロッド20に設けた突起群P
2の突起24に対応する2つのフックアーム43の受圧端部43bに整列する。
【0044】
次いで、
図5の矢印に示すように、規制解除部材50の押圧部51を再度押し込むと、ロッド20に設けた突起群P
2の突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43a側が連結部44を基点に押し開かれることで、
図6に示すように、突起群P
2の突起24とフックアーム43のフック43aとの引っ掛かりが解除される。このときも、ロッド20は、一定の速度で短時間に、
図6に示すように、付勢部材30の付勢力(復元力)によってシリンジ10の先端筒13からさらに突出する。すなわち、この場合も、スピンエレメント63には、内容物Cが、あたかも蓄圧(圧縮)された状態から瞬時に開放されたような大きな力を受けた流れとして流入する。これにより、噴出口1aからは2回目も、安定した霧状の内容物Cを噴出させることができる。
【0045】
本発明によれば、上記した噴出容器1のように、既定量(本実施形態では、突起群P
1と突起群P
2との間の軸線O方法の寸法で既定された量)の内容物Cを安定した噴出状態で多段階(本実施形態では、2段階)に噴出させることができる。また、本発明によれば、上記した噴出容器1のように、操作器具1Aから噴出部1Bを、内容物Cが充填されたカートリッジとして分けて使用することができる。加えて、本発明によれば、上記した噴出容器1のように、噴出部1Bには、内容物Cの噴出を安定させる手段(機構)を必要としないので、コスト面で有効である。
【0046】
なお、シリンダ10に形成したスリット17は、
図5(b)に示すように、シリンダ10の内周面に、軸線O周りに設けた環状突起(アンダーカット)19に置き換えることができる。この場合、規制解除部材50に設けた突部52aは、環状突起19との引っ掛かりによって、環状突起19に沿ってスライド可能に抜け止め保持される。これにより、規制解除部材50は、シリンジ10に対して軸線O周りに360度回転させることができる。
【0047】
またシリンダ10に形成したスリット17を環状突起(アンダーカット)19に置き換えた場合、誤回転防止手段Mは、例えば、シリンジ10の内周面に設けた縦リブ19を、軸線O周りに間隔(例えば、縦リブ55の周方向幅分)を置いて配置し、これら2つの縦リブ19の間で、規制解除部材50の縦リブ55を乗り越え可能に規制するように構成する。この場合も、規制解除部材50をシリンジ10に対して軸線O周りに自由に回転させることができるとともに、規制解除部材50の押圧端部53bをフックアーム43の受圧端部43bに対して軸線O周りに位置決めすることができる。なお、この誤回転防止手段Mは、シリンダ10にスリット17を形成した場合にも適用することができる。
【0048】
上述したところは、本発明の実施形態を例示的に示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、上述の実記形態のように、突起24とフックアーム43をそれぞれ、軸線Oを挟んで対向する位置に配置するように構成すれば、ロッド20を安定して突出させることができるが、突起群Pを構成する突起24の個数は、少なくとも1つとすることができ、アームフック43の個数についても、少なくとも1つとすることができる。また、突起群Pの個数についても、2つ以上であればよい。また噴出部1Bは、操作器具1Aに対して取り外せないように構成することも可能である。また、本発明によれば、噴出部1A内に、スピンエレメント63に替えて、メッシュリングを内蔵させることにより、内容物Cを泡状に噴出させることもできる。