特許第5985433号(P5985433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5985433-成型固形燃料の製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985433
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】成型固形燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/04 20060101AFI20160823BHJP
   C10L 5/08 20060101ALI20160823BHJP
   C10L 9/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C10L5/04
   C10L5/08
   C10L9/00
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-91396(P2013-91396)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-214201(P2014-214201A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100146112
【弁理士】
【氏名又は名称】亀岡 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100167335
【弁理士】
【氏名又は名称】武仲 宏典
(74)【代理人】
【識別番号】100164998
【弁理士】
【氏名又は名称】坂谷 亨
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋一
(72)【発明者】
【氏名】重久 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】足立 強
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−116544(JP,A)
【文献】 特開2010−172840(JP,A)
【文献】 特開昭55−066987(JP,A)
【文献】 特開平10−043894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L,B01J,B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低品位炭を粉砕する粉砕工程と、
粉砕された低品位炭と溶媒油とを混合してスラリーを得る混合工程と、
前記スラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る脱水工程と、
前記脱水スラリーから前記溶媒油を分離してケーキを得る固液分離工程と、
前記ケーキを加熱して当該ケーキからさらに前記溶媒油を分離し、粉状改質炭を得る乾燥工程と、
成型機を用い、結合剤を添加・混合することなく前記粉状改質炭を加圧成型する成型工程と、
を備え、前記成型工程において前記成型機の表面に冷却材を噴霧することで冷却を施して前記成型機の表面温度を100℃以下に保持することを特徴とする成型固形燃料の製造方法。
【請求項2】
前記成型機を収容し、前記乾燥工程からの粉状改質炭の搬入箇所と前記成型機からの成型固形燃料の搬出箇所とを開放状態で設けた準密閉構造の成型室を備え、前記成型室内の湿度を85%以上に保持することを特徴とする請求項1記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項3】
前記冷却材として水を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項4】
前記成型工程を実施するに際し、前記成型機の前記表面に冷却材を噴霧する冷却材噴霧装置と、前記乾燥工程からの粉末状改質炭を成型原料として前記成型機へ搬送する原料供給ラインと、を備えていることを特徴とする請求項記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項5】
前記冷却材噴霧装置は、前記成型室内に収容されていることを特徴とする請求項4記載の成型固形燃料の製造方法。
【請求項6】
前記成型機からの成型固形燃料と未成型物である粉状改質炭とを篩い分けし分離する篩い装置と、前記篩い装置からの篩い下である粉状改質炭を前記原料供給ラインに戻すリサイクルラインと、を備えていることを特徴とする請求項4又は5記載の成型固形燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭、亜れき青炭などの低品位炭を原料とする成型固形燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉状の原料炭を加圧成型して成型炭を製造する方法として、従来、特許文献1(特開昭57−151696号公報)に記載された製造方法が知られている。この製造方法は、乾燥した粉状の成型原料炭とコールタールピッチ等の結合剤とを混練したものを加圧成型して、成型炭を製造する方法である。この製造方法は、成型機の成型モールド表面に水噴霧又はスチーム吹付けにより水の被膜を形成して加圧成型を行うことを特徴とするものである。
【0003】
この特許文献1に記載された製造方法の目的は、成型モールドからの成型炭の剥離不良を防止できるようにすることにある。そのため、この製造方法では、成型モールド表面に水の被膜を形成させることにより、成型モールド表面に対する前記結合剤の濡れ性が著しく阻害され、これに伴って結合剤の粘着力が低下する。その結果、成型モールドからの成型炭の剥離不良を防止できるようにしたものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法では、加圧成型に際し、粉状の原料炭に対して結合剤を添加する必要があり、成型コストの低減が課題であった。
【0005】
一方、結合剤を用いることなく粉状の原料炭を加圧成型して成型炭を製造する方法として、特許文献2(特開2010−116544号公報)に記載された製造方法が知られている。
【0006】
この特許文献2に記載された成型固形燃料の製造方法は、重質油及び溶媒油を含む混合油と粉砕された低品位炭とを混合してスラリーを得る混合工程と、このスラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得ること蒸発工程と、この脱水スラリーから溶媒油を分離してケーキを得る固液分離工程と、このケーキを加熱して当該ケーキからさらに溶媒油を分離し粉状の改質炭を得る乾燥工程と、この粉状の改質炭を加湿して含水率が3〜10wt%の加湿改質炭を得る加湿工程と、ダブルロール成型機によって粉状の加湿改質炭を加圧成型して、ブリケットの形態の成型固形燃料を得る成型工程と、からなる製造方法である。
【0007】
前記特許文献2に記載された製造方法では、前記加湿工程による水分付与により強度の高い成形物が得られているが、特に石炭の炭化度が低く、かさ密度の低い粉末炭を成型する場合、強度向上の効果が十分ではなく、改善の余地があった。
すなわち、前記特許文献2に記載された製造方法では、加圧成型に供される粉状の改質炭は、その温度が前記乾燥工程を経ることにより100℃以上の高温となっている。そして、ダブルロール成型機による加圧成型の際には、ダブルロール成型機のロール面と粉状の改質炭との間に摩擦が生じる。その結果、成型された成型固形燃料では、その表層部の温度がさらに高温となり、表層部と内部とで大きな温度差が生じる。このため、成型された成型固形燃料は、前記温度差に起因する歪が生じ、強度が低下することになり、この点において、前記特許文献2に記載の製造方法には改善の余地があった。
【0008】
また、前記特許文献2に記載された製造方法では、ダブルロール成型機による加圧成型の際には、前記加湿工程で付与された水分が成型固形燃料の表層部から蒸発する。その結果、成型された成型固形燃料では、その表層部と内部とで水分率の大きな差が生じる。このため、成型された成型固形燃料は、前記水分率の差に起因して強度が低下することになり、この点においても改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭57−151696号公報
【特許文献2】特開2010−116544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、低品位炭を原料とする成型固形燃料を製造するに際し、強度の高い成型固形燃料を得ることができる、成型固形燃料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
請求項1の発明は、低品位炭を粉砕する粉砕工程と、粉砕された低品位炭と溶媒油とを混合してスラリーを得る混合工程と、前記スラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る脱水工程と、前記脱水スラリーから前記溶媒油を分離してケーキを得る固液分離工程と、前記ケーキを加熱して当該ケーキからさらに前記溶媒油を分離し、粉状改質炭を得る乾燥工程と、成型機を用い、結合剤を添加・混合することなく前記粉状改質炭を加圧成型する成型工程と、を備え、前記成型工程において前記成型機の表面に冷却材を噴霧することで冷却を施して前記成型機の表面温度を100℃以下に保持することを特徴とする成型固形燃料の製造方法である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の成型固形燃料の製造方法において、前記成型機を収容し、前記乾燥工程からの粉状改質炭の搬入箇所と前記成型機からの成型固形燃料の搬出箇所とを開放状態で設けた準密閉構造の成型室を備え、前記成型室内の湿度を85%以上に保持することを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の成型固形燃料の製造方法において、前記冷却材として水を用いることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項記載の成型固形燃料の製造方法において、前記成型工程を実施するに際し、前記成型機の前記表面に冷却材を噴霧する冷却材噴霧装置と、前記乾燥工程からの粉末状改質炭を成型原料として前記成型機へ搬送する原料供給ラインと、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4記載の成型固形燃料の製造方法において、前記冷却材噴霧装置は、前記成型室内に収容されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の発明は、請求項4又は5記載の成型固形燃料の製造方法において、前記成型機からの成型固形燃料と未成型物である粉状改質炭とを篩い分けし分離する篩い装置と、前記篩い装置からの篩い下である粉状改質炭を前記原料供給ラインに戻すリサイクルラインと、を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明による成型固形燃料の製造方法では、成型工程において、成型機の表面に冷却材を噴霧することで冷却を施して、成型機の表面温度を100℃以下に保持するようにしている。これにより、成型された成型固形燃料は、冷却材を噴霧しない場合に比べ、その表層部と内部との温度差が小さいので、歪の発生が抑制される。その結果、強度の高い成型固形燃料を得ることができる。
【0019】
また、本発明による成型固形燃料の製造方法では、前述したように成型機の表面温度を100℃以下に保持するとともに、成型工程を行う準密閉構造の成型室内に加湿を施して成型室内の湿度を85%以上に保持するようにしている。これにより、成型された成型固形燃料は、前述したように歪の発生が抑制されることに加え、加湿によって水分の蒸発が抑制されることでその表層部と内部との水分率の差が小さいので、成型固形燃料の均質化が図られる。その結果、強度の高い成型固形燃料を得ることができる。
【0020】
また、本発明による成型固形燃料の製造方法では、成型機の表面に噴霧する前記冷却材として水を使用するようにしている。水は、高い比熱と蒸発潜熱を持つため冷却効果が高く、また、コスト的にも安価なため、冷却材として好ましいものである。さらに、前述のように低品位炭を油中脱水して得られた粉末の改質炭は、表面が疎水性(親油性)となっているため、例えば潤滑油のような有機系の冷却材では、冷却材と粉末改質炭とが馴染むことで前記成型機のロールへの噛み込みが悪くなり高強度の成形物が得られない可能性がある。冷却材として水を使用することで、ニップアングル(成形機への食い込み角度)を下げてロールへの噛み込み性を改善し、より高い強度の成形物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の製造方法の実施に用いる成型固形燃料の製造装置の全体構成を示すブロック図である。
図2図1における成型部の構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について実施例を含めてより詳しく説明する。図1は本発明の製造方法の実施に用いる成型固形燃料の製造装置の全体構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、成型固形燃料の製造装置100は、低品位炭(原料炭)を粉砕する粉砕部1と、前記粉砕された低品位炭と溶媒油とを混合してスラリーを得る混合部2と、前記スラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る脱水部3と、前記脱水スラリーから溶媒油を分離してケーキを得る固液分離部4と、前記ケーキを加熱して該ケーキからさらに溶媒油を分離し、粉状改質炭を得る乾燥部5と、前記粉状改質炭を、結合剤を添加・混合することなく加圧成型してブリケットの形態の成型固形燃料を得る成型部6と、を備えている。以下、この製造装置100を用いて行う本実施形態による成型固形燃料の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
<粉砕工程>
まず、低品位炭(原料炭)を、粉砕部1に供給して粉砕する。粉砕部1は、粉砕機で構成されている。粉砕された低品位炭の粒子径は、例えば、0.05〜3mm程度であり、平均粒子径で数百マイクロメートル程度である。ここで、原料炭である低品位炭は、例えば水分率25〜65質量%の水分を含有し、脱水してその利用促進が望まれるものである。そのような低品位炭としては、褐炭、亜れき青炭などが挙げられる。褐炭には、ビクトリア炭、ムリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭などがある。亜れき青炭には、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガウ炭、エココール炭などがある。
【0025】
<混合工程>
次に、混合部2において、溶媒油と前記粉砕された低品位炭とを混合してスラリー(粉砕された低品位炭と溶媒油との流動性のある混合体)を得る。粉砕された低品位炭と溶媒油との質量比(粉砕された低品位炭/溶媒油)は、乾燥・無水炭基準で0.5以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上であり、4以下が好ましい。混合部2は、低品位炭と溶媒油とを混合するための混合槽、及びこの混合槽に備えられる攪拌機などから構成されている。脱水のための熱媒体となる前記溶媒油としては、スラリーとしてのハンドリング性、低品位炭の細孔内への侵入容易性などの観点から、例えば軽沸油が用いられる。なお、水分蒸発温度での安定性を考慮して、沸点100℃以上、300℃以下の石油系油を使用することが推奨される。石油系油としては、灯油、軽油、重油などが挙げられる。また、溶媒油に必要に応じて重質油を含有させた混合油としても良い。重質油としては、沸点が300℃以上の油が挙げられる。重質油の具体例としては、例えば、アスファルト、タール等が挙げられる。なお、混合部2に戻される循環油の成分のほとんどは溶媒油分であるが、この循環油にはわずかながら重質油分が含まれる場合がある。
【0026】
<脱水工程>
次に、脱水部3において、前記混合部2で得られたスラリーを加熱して脱水し、脱水スラリーを得る。脱水部3は、前記混合部2で得られたスラリーを予熱するための予熱機、及び予熱されたスラリーを昇温させるための蒸発器などから構成されている。蒸発器では、圧力0.2MPa〜0.5MPa、温度120℃〜160℃の加圧加熱条件にて油中脱水が行われる。また、この蒸発器からは、スラリー中の低品位炭に含まれていた水分が排水として排出される。
【0027】
<固体分離工程>
次に、固液分離部4において、脱水スラリーから溶媒油を分離して泥状のケーキを得る。固液分離部4は、固液分離機から構成されている。この固液分離機としては、例えば、分離効率向上の観点から、遠心分離法により脱水スラリーをケーキと溶媒油とに分離する遠心分離機を用いる。なお、沈降法、濾過法、圧搾法などの形式の固液分離機を用いてもよい。脱水スラリーから分離回収された溶媒油は、循環油として混合部2に戻される。混合部2に戻された溶媒油は、混合部2でのスラリーの調整に再利用される。
【0028】
<乾燥工程>
次に、乾燥部5において、前記固液分離部4で分離されたケーキを加熱して該ケーキから溶媒油を分離する。これにより、ケーキは粉状改質炭となる。また、ケーキから分離回収された溶媒油は、循環油として混合部2に戻される。乾燥部5は、乾燥機、及びガス冷却器などから構成される。乾燥機は、その内部で被処理物を連続的に搬送しつつ当該被処理物を加熱するものが用いられ、例えば、ドラム内面に複数の加熱用スチームチューブが軸方向に配設されたスチームチューブ式ドライヤが用いられる。
【0029】
前記乾燥機内でケーキを加熱し、このケーキ中の溶媒油を蒸発させる。そして、蒸発した溶媒油は、キャリアガスにより前記乾燥機から前記ガス冷却器へ移送される。ガス冷却器へ移送された溶媒油は、ガス冷却器内で凝縮させて回収し、循環油として混合部2に戻される。
【0030】
<成型工程>
次に、成型部6において、表面に多数のポケットを有する成型機を用い、前記乾燥部5で得られた粉状改質炭を、これに結合剤を添加・混合することなく加圧成型してブリケットの形態の成型固形燃料を得る。この場合、成型機の前記表面に冷却材を噴霧することで冷却を施して成型機の表面温度を100℃以下に保持する。成型機の表面温度を100℃以下とするのは、成型された成型固形燃料の表層部と内部との温度差を小さくすることで成型固形燃料での歪の発生を抑制することにより、強度の高い成型固形燃料を得るためである。冷却が施される成型機表面温度の下限値としては、特に制限はないが、20℃〜25℃程度の常温である。実際には、成型原料の温度と離れすぎると、逆にひずみがでるので、好ましい下限値は60℃程度である。なお、成型原料温度が100℃以上であれば、成型機表面の温度は80℃〜100℃程度が好ましい。
【0031】
成型機表面に冷却を施して成型機表面温度を100℃以下に保持するには、成型機表面に冷却材を噴霧することで成型機表面を冷却することがよい。成型機表面に噴霧される冷却材としては、水を使用することが好ましい。その理由は、冷却材としての水は、高い比熱と蒸発潜熱を持つため冷却効果が高く、また、コスト的にも安価なことに加え、改質炭粉末の成形部への噛み込み性を改善することができるためである。水噴霧量は、成型固形燃料の生産量に対する噴霧水量の重量割合が0.1%以上とする。この0.1%を下回ると、成型機表面の十分な冷却効果が得られないためである。前記水噴霧量の上限値は、5.0%程度である。なお、成型固形燃料の生産量に対する噴霧水量の重量割合は、0.2%〜2.0%が好ましい。
【0032】
前記成型機としては、ダブルロール成型機が挙げられる。ダブルロール成型機は、2つの円筒形のロールが水平に隣接する構造となっており、ロールは上方から隣接点に向う方向に回転する。双方のロールの外周表面には、アーモンド形状をなす楕円形のブリケットの型枠となるポケット(モールド)が多数設けられている。これらのポケットは、回転する双方のロールの間で同期するように配置されている。ダブルロール成型機の双方のロールの外周は接触せず、最近接部位である隣接点でも例えば2mm程度の間隙が存在する。
【0033】
図2図1における成型部の構成の一例を概略的に示す図である。
【0034】
図2に示すように、成型部6は、原料供給装置(原料切り出し装置)63bを有するダブルロール成型機63と、ダブルロール成型機63のロール63a表面(ロール63a表面には多数のポケットが設けられている)に冷却材としての水を噴霧する水噴霧装置64と、前記乾燥部5からの粉状改質炭を成型原料としてダブルロール成型機63へ搬送する原料供給ライン62と、ダブルロール成型機63からの成型固形燃料と未成型物である粉状改質炭とを篩い分けし分離する篩い装置65と、篩い装置65からの篩い下である粉状改質炭を前記原料供給ライン62に戻すリサイクルライン66と、ダブルロール成型機63と水噴霧装置64とを収容し、前記乾燥部5からの粉状改質炭の搬入箇所と前記ダブルロール成型機63で成型された成型固形燃料の搬出箇所とを開放状態で設けてなる準密閉構造の成型室61と、により構成されている。前記水噴霧装置64は、ダブルロール成型機63のロール63a表面に対して水を霧状に噴霧する複数の水噴霧ノズルを備えている。
【0035】
このように構成される成型部6では、前記水噴霧装置64により、ダブルロール成型機63のロール63a表面に冷却を施してロール63a表面温度を100℃以下に保持するようにしている。また、成型室61内に加湿を施して成型室61内の湿度を85%以上に保持することが好ましい。この場合、加湿を施すために前記水噴霧装置64に代えて、成型室61内に加湿機などの適宜の加湿手段を設けるようにしてもよい。なお、成型室61内の湿度は、高ければ高いほど良く、上限値としては、100%としても良い。
【0036】
このように、ロール63a表面温度を100℃以下に保持することにより、成型された成型固形燃料は、冷却材を噴霧しない場合に比べ、その表層部と内部との温度差が小さいので、歪の発生が抑制される。また、成型室61内の湿度を85%以上に保持することにより、成型された成型固形燃料は、水分の蒸発が抑制されることでその表層部と内部との水分率の差が小さいので、成型固形燃料の均質化が図られる。その結果、強度の高い成型固形燃料を得ることができる。
【0037】
また、前記リサイクルライン66により、篩い装置65からの加湿された粉状改質炭を前記原料供給ライン62に戻し、成型原料として前記乾燥部5からの粉状改質炭に混合するようにしたので、ダブルロール成型機63への成型原料に対する加湿をより容易にすることができる。また、さらに、水噴霧装置64によりロール63a表面に水を噴霧することにより、ロール63aでの改質炭粉末の噛み込み性を改善することができ、また、ダブルロール成型機63での騒音・振動(ロール63aのポケットから空気が排出される際に発生する破裂音やロールの振動)を抑制することができる。
【実施例】
【0038】
以下、成型工程における水噴霧による効果を確認するため、加圧成型を行って成型固形燃料を製造する実験を行った。
【0039】
[実施例1]
原料の低品位炭として、インドネシアの褐炭であるムリア炭を使用した。前記粉砕部1において、これをハンマークラッシャーにより最大粒子径:3mm以下、平均粒子径:約0.5mmに粉砕した。この粉砕された低品位炭について、微粉炭の分離処理を行なって平均粒子径:約0.1mm以下の微粉炭を分離除去にした。そして、前記混合部2において、微粉炭が分離除去された後の低品位炭と、溶媒油としての灯油とを混合してスラリーを得た。この場合、溶媒油と粉砕された低品位炭との重量比は、乾燥・無水炭基準で1.7となるようにした。このようにして得られたスラリーから出発して、前記の脱水部3、固液分離部4及び乾燥部5での各工程を実施して粉状改質炭を得た。
【0040】
そして、得られた粉状改質炭を前記図2に示す構成の成型部6に搬入し、水噴霧装置64によってダブルロール成型機63のロール63a表面に水噴霧を行うことにより、ロール63a表面温度を90℃に保持するとともに、成型室61内の湿度、詳しくはダブルロール成型機63のロール63a周辺の湿度を99%に保持し、成型工程を実施して成型固形燃料を得た。
【0041】
結果を表1に示す。ここで、表1において、ロール表面温度は、非接触式温度計を用いて測定したものである。また、「成型機下の湿度」は、ダブルロール成型機63のロール63aとその下方の篩い装置65との間の空間での湿度を測定したものである。「水噴霧量」は、前述したように、成型固形燃料の生産量に対する噴霧水量の重量割合である。また、「成型原料」の温度、水分率は、前記原料供給ライン62における前記原料供給装置63bへの直前の箇所での成型原料について、測定したものである。また、「リサイクル粉」の温度、水分率は、前記篩い装置65からの篩い下である粉状改質炭について測定したものである。ロール63aの直径は1000mmであり、ロール63a表面に設けられたポケットの容積は、1個あたり15cmである。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、実施例1では、水噴霧を行わない場合(後述の比較例2)に比べて、その約2倍の105kgf(≒1030N)という圧壊強度の高い成型固形燃料が得られた。
【0044】
[比較例1]
実施例1の場合と同様にして得た粉状改質炭を図2に示す構成の成型部6に搬入して成型工程を実施した。実施例1の成型条件と異なる点は、水噴霧量が0.05%(実施例1:1.0%)、水噴霧によるロール表面温度が110℃(実施例1:90℃)、及び水噴霧による成型機下の湿度が70%(実施例1:99%)、である。
【0045】
この比較例1では、これらの成型条件が本発明で規定する要件(水噴霧量:0.2%以上、ロール表面温度:100℃以下、成型室内の湿度:85%以上)から外れている。このため、比較例1では、得られた成型固形燃料の圧壊強度は、72kgf(≒706N)で実施例1の約70%であり、実施例1に比べて相当に低い値であった。
【0046】
[比較例2]
実施例1の場合と同様にして得た粉状改質炭を図2に示す構成の成型部6に搬入し、水噴霧と篩い下のリサイクルとを行うことなく成型工程を実施した。
【0047】
水噴霧を実施しない比較例2では、ロール表面温度が本発明で規定する100℃以下を大幅に上回る値となり、成型室61内の湿度が本発明で規定する85%以上を大幅に下回る値となった。このため、得られた成型固形燃料の圧壊強度は、54kgf(≒530N)という実施例1の約50%の値であった。また、比較例2では、ロール表面に水噴霧を行わないため、ダブルロール成型機63での騒音・振動が発生した。
【0048】
[比較例3]
実施例1の場合と同様にして得た粉状改質炭を図2に示す構成の成型部6に搬入し、水噴霧に代えてオイル噴霧を行って(ただし、篩い下のリサイクルは実施せず)成型工程を実施した。噴霧に使用したオイルは、一般の低粘度タイプの機械油である。オイルは、比熱が低く、蒸発潜熱が水に比べ低いものである。
【0049】
この比較例3では、ロール表面温度と成型室内の湿度が本発明で規定する要件から外れており、得られた成型固形燃料の圧壊強度は、実施例1の約75%程度であった。
【0050】
以上、説明したように、本発明による成型固形燃料の製造方法によれば、低品位炭を原料として強度の高い成型固形燃料を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…粉砕部
2…混合部
3…脱水部
4…固液分離部
5…乾燥部
6…成型部
61…成型室 62…原料供給ライン 63…ダブルロール成型機
63a…ロール 63b…原料供給装置 64…水噴霧装置 65…篩い装置
66…リサイクルライン
100…成型固形燃料の製造装置
図1
図2