(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発泡弾性層の外周に配置されたフッ素樹脂チューブを備え、軸線方向の中央から端部それぞれに向けて前記端部から前記中央側に50〜180mmの領域に存在する1つの変位点で外径増大率が変化するように外径が徐々に大きくなる最大で20〜40mmである逆クラウン形状の弾性ローラを製造する方法であって、
軸体の外周面に配置された発泡硬化体を、その外径が軸線方向の中央から前記変位点まで増大し、かつ前記変位点から端部まで減少するように、研磨する工程と、
前記研磨する工程で作製された発泡弾性層を厚さが20〜100μmのフッ素樹脂チューブで被覆する工程とを有する弾性ローラの製造方法。
前記研磨する工程は、前記中央部と前記変位点との外径差が0.01〜0.3mmで前記変位点と前記端部との外径差が0.01〜0.3mmで最大外径が20〜40mmとなるように前記発泡硬化体を研磨する工程であり、前記中央部と前記変位点との外径差が0.10〜0.20mmで前記変位点と前記端部との外径差が0.00mm超0.10mm以下である請求項1に記載の弾性ローラの製造方法。
【背景技術】
【0002】
複写機等の電子写真方式を採用する画像形成装置にあっては、像担持体の表面に形成された像例えばトナー像が記録体例えば転写紙の表面に転写されると、この記録体が定着装置に送られ、定着装置における互いに圧接して回転する弾性ローラ例えば定着ローラと加圧ローラとの間に挟持されつつ搬送され、そのトナー像が定着ローラ及び加圧ローラにより記録体の表面に固定画像として固定される。
このような定着装置における弾性ローラ、具体的には定着ローラ及び加圧ローラのうち少なくとも一方が、中央部では小さな外径であり、端部で大きな外径を有する所謂「逆クラウン形状」になっていると、定着ローラ及び加圧ローラの圧接部を通過する記録体にしわが発生することを抑制できることが知られている。
【0003】
例えば、引用文献1には「転写紙の皺のばし効果を有すると共に、転写紙の波打ち状態を阻止し、且つ定着、加圧ローラの寿命を長く保持できる定着装置を提供する」ことを目的として「互いに圧接して回転する定着ローラと加圧ローラとを有し、該ローラの一方が逆クラウン形状に整形されたローラの両端部外周を所定量カットし、ローラの最大径部を該ローラの端部より所定距離内側に形成したことを特徴とする定着装置」が記載されている(第2頁右上欄第5行〜第9行及び特許請求の範囲等)。
また、引用文献1には「中央部が最小径となり、両端部が最大径となった逆クラウン形状に形成された加圧ローラ120」が記載されている(第1頁右欄第13行〜第18行及び
図6)。なお、
図6に示される逆クラウン形状の加圧ローラ120及び引用文献1の定着ローラ及び加圧ローラはフッ素樹脂チューブを備えていない。
【0004】
引用文献2には「転写材Pにシワが生じることを防止するために、その長手方向中央部の外径が、最大外径部よりも小さくなるような逆クラウン形状であると共に、その最大外径部が、長手方向両端部よりも内側に位置するように構成されている定着ローラ10」が記載されている(段落番号0024欄及び
図3等)。引用文献2には「長手方向両端部の外径が最大、中央部の外径が最小となるような、いわゆる逆クラウン形状に構成」したローラが記載されている(0002欄及び
図7等)。
【0005】
ところで、引用文献1には
図6に示される逆クラウン形状の加圧ローラ120の具体的な製造方法に関する記載も、また引用文献1の定着ローラ及び加圧ローラについては「両端部外周を所定量カット」する方法以外の製造方法も記載されていない。また、引用文献2にも「定着ローラ10」及び
図7に示される逆クラウン形状のローラの製造方法に関する記載は一切ない。
【0006】
定着装置用弾性ローラのうちフッ素樹脂チューブ等の表面層を有する逆クラウン形状のローラは、通常、所望の逆クラウン形状に対応する形状の弾性層にフッ素樹脂チューブ等を被覆して、製造される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、この発明に係る弾性ローラの製造方法で製造される弾性ローラ(以下、この発明に係る弾性ローラと称することがある。)を説明する。この発明に係る弾性ローラは、画像形成装置の定着装置に装着される定着装置用の弾性ローラであって、具体的には、所望により他の部材例えば無端ベルト等を介して互いに軸線方向に沿って圧接するように配置される所謂「加圧ローラ」又は所謂「加熱ローラ」である。この発明に係る弾性ローラは、軸体の外周面に配置された発泡弾性層とこの発泡弾性層の外周面に配置されたフッ素樹脂チューブとを備えている。この発明に係る弾性ローラは、前記構成を有していればよく、発泡弾性層及びフッ素樹脂チューブに加えて接着剤層、表面層等を備えていてもよい。
【0014】
この発明に係る弾性ローラは、現在よりコンパクト化・軽量化される点で、最大外径が20〜40mmであり、25〜35mmであるのが好ましい。
【0015】
この発明に係る弾性ローラは、通常、その発泡弾性層の軸線方向長さが300〜360mmである。この発明に係る弾性ローラは、定着装置に装着されたときに記録体にしわが発生することを抑止できる点で、外径が軸線方向の中央から、つまり弾性ローラの軸線における中点から端部それぞれに向けて徐々に大きくなる逆クラウン形状を有しており、さらに、その端部から中央側に50〜180mmの領域に存在する1つの変位点で外径増大率が変化する逆クラウン形状を有している。すなわち、この発明に係る弾性ローラは、中央部から変位点まで外径が第1外径増大率で増大する第1増大部と、この変位点から端部まで外径が第1外径増大率よりも大きな第2外径増大率で増大する第2増大部とを有し、この弾性ローラをその軸線を通る平面で切断したときに現れる断面形状が前記中点を中心にして軸線方向において実質的に対称になっている。このようにこの発明に係る弾性ローラは、円錐台形状の第1増大部と円錐台形状の第2増大部とが連接された構造を有している。ここで、「実質的に対称」とは幾何学的に正確に対称であることを意味するのではなく、この発明の目的を達成できる範囲内で対称であればよく、例えば、誤差が0.1mm以内であればよい。この変位点は、第1増大部と第2増大部とが連接する円周すなわち変位周であって、定着装置に装着されたときに記録体にしわが発生することを抑止できる点で、端部から中央側に向けて30〜60mmの領域にあるのが好ましい。
【0016】
この発明に係る弾性ローラは、中央部の外径と変位点の外径との外径差すなわち第1増大部の外径差が0.10〜0.20mmであり、0.13〜0.17mmであるのが好ましく、変位点の外径と端部の外径との外径差すなわち第2増大部の外径差が0.00mm超0.10mm以下であり、0.01〜0.05mmであるのが好ましい。第1増大部の外径差及び第2増大部の外径差それぞれが前記範囲内にあると、記録体へのしわ発生を抑制できる。
【0017】
このような逆クラウン形状を有するこの発明に係る弾性ローラは、画像形成装置の定着装置に加圧ローラ又は定着ローラとして装着される。特に記録体にしわが発生することを抑止できる点で高精細高速画像形成装置の定着装置に好適に装着される。
【0018】
この発明に係る弾性ローラは、アスカーC硬度(荷重1.0kg)が40〜60であるのが好ましい。加圧ローラ1AのアスカーC硬度(荷重1.0kg)が40未満であると現像剤を潰しきれずにうまく定着しない、定着ローラとの硬度バランスが悪いという問題がある一方で、60を超えると定着装置に装着されたときに定着ローラとの十分なニップ圧を確保できず、現像剤を所望のように記録体に定着させることができないことがある。加圧ローラのアスカーC硬度(荷重1.0kg)は、定着ローラとの十分なニップ圧を確保できる点で45〜60であるのが好ましく、50〜55であるのが特に好ましい。アスカーC硬度(1.0kg荷重)は、発泡弾性層の中央部の外周面に配置されたフッ素樹脂チューブの外周面を測定点としてJIS K6253に準拠して1.0kgの荷重をかけた状態で測定した値である。加圧ローラのアスカーC硬度は、例えば、発泡弾性層を形成する発泡ゴム組成物に含有されるゴム、発泡剤及び/若しくは添加剤の種類を選択し、並びに/又は、それらの配合量等を変更することにより、さらには発泡弾性層の成形条件等により、調整することができる。
【0019】
この発明に係る弾性ローラを具体的に説明する。この発明に係る弾性ローラの一例である弾性ローラ1は、
図1及び
図2に示されるように、軸体2と、軸体2の外周面に配置された発泡弾性層3と、
図2に示されるように、発泡弾性層3の外周面に配置されたフッ素樹脂チューブ4とを備えている。
軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
【0020】
発泡弾性層3は、その内部及び/又は外周面にセルを有している(
図1及び
図2には発泡弾性層3の外周面に開口したセルは図示していない。)。ここで、発泡弾性層3に有するセルは、発泡ゴム組成物に含有される発泡剤の発泡又は分解等によって生じる中空領域をいう。発泡弾性層3に有する複数のセルは、他のセルに接することのない若しくは連通することのない状態(独立セル状態と称する。)、他のセルに連通している状態(連通セル状態と称する。)、又は、前記独立セル状態と前記連通セル状態とが共存する状態の何れの状態にあってもよい。連通セルは破泡するのを避ける点で優れており、独立セルは反発弾性が良い点で優れている。この発明において、発泡弾性層のセルは、特定の反発弾性が得られれば連通セルでも可能であるが、独立セル状態にあるのが好ましい。
【0021】
この発泡弾性層3のアスカーC硬度(荷重1.0kg)は20〜60であるのが好ましく、25〜45であるのが特に好ましい。発泡弾性層3のアスカーC硬度が前記範囲内にあると、ニップ幅が適当に保たれ、トルクにおいても最適な値を保持できるという効果が得られる。アスカーC硬度(1.0kg荷重)は、JIS K6253に準拠して、複数箇所を測定し、測定値を算術平均した値とする。
【0022】
この発泡弾性層3は、好ましくは50〜400μm、特に好ましくは70〜200μmの平均セル径を有している。発泡弾性層3が前記範囲内の平均セル径を有していると、フッ素樹脂チューブと協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整でき、画質が最適に保たれるという効果が得られる。例えば平均セル径を大きくすると弾性ローラの逆クラウン形状はケバ立ちの影響で振れが大きくなり安定しない傾向がある。
平均セル径は発泡弾性層の表面又は任意の面で切断したときの切断面において約20mm
2の領域を電子顕微鏡等で観察し、観察視野内に存在する各セルにおける開口部の最大長さを測定して、測定された最大長さを算術平均して得られた平均長さとして、求めることができる。
【0023】
この発泡弾性層3は、好ましくは105〜400%、特に好ましくは200〜300%の発泡倍率を有している。発泡弾性層3が前記範囲内の発泡倍率を有していると、フッ素樹脂チューブと協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整できるという効果が得られる。例えば発泡倍率を大きくすると弾性ローラの逆クラウン形状は硬度が低くなる為、フッ素樹脂チューブが収縮する事で影響を受けやすくなる傾向がある。
発泡倍率は、発泡弾性層の体積及び質量を常法によって測定し、これらから算出することができる。
【0024】
この発泡弾性層3は、好ましくは0.395〜0.7(g/cm
3)、特に好ましくは0.42〜0.6(g/cm
3)の密度を有している。発泡弾性層3が前記範囲内の密度を有していると、フッ素樹脂チューブと協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整でき、熱伝導率を下げることができ、ロールの熱容量を上げることができるという効果が得られる。例えば密度を大きくすると弾性ローラの逆クラウン形状は発泡弾性層の硬度が高くなり、収縮の影響を受けにくくなる傾向がある。
発泡弾性層において、平均セル径、発泡倍率及び密度は発泡弾性層を形成する発泡ゴム組成物に含有される発泡剤又は発泡ゴム組成物の硬化条件等により、調整することができる。
【0025】
フッ素樹脂チューブは、発泡弾性層3と協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整できるという効果が得られる点で、20〜150μm、好ましくは30〜100μmの厚さを有している。
【0026】
フッ素樹脂チューブは、軸線方向に一定で、発泡弾性層3における端部部分の外径との差が好ましくは0.1〜2mm、特に好ましくは0.5〜1.5mmとなる内径を有している。フッ素樹脂チューブが前記範囲の内径を有していると、発泡弾性層3と協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整でき、フッ素樹脂チューブの表面にシワが発生しにくいという効果が得られる。例えば内径を大きくすると弾性ローラの逆クラウン形状は達成できなくなる傾向がある。なお、フッ素樹脂チューブの外径が厚さ及び内径によって適宜に決定される。
【0027】
フッ素樹脂チューブが収縮性を有している場合には、発泡弾性層3と協働して弾性ローラを所望の逆クラウン形状に調整でき、フッ素樹脂チューブの表面にシワが発生しにくいという効果が得られる点で、長手方向に+3〜−3%、周方向に+5〜−5%であるのが好ましく、長手方向に+2〜−2%、周方向に+3〜−3%であるのが好ましい。
【0028】
また、フッ素樹脂チューブの破断伸びが150〜500%であるのが好ましく、200〜350%であるのが特に好ましい。この破断伸びは破断伸びはフッ素樹脂チューブから切り出されたJIS K6891に規定のダンベル状3号試験片(JIS K6251に準じる。ただし、ダンベル状3号試験片はその長手方向が樹脂チューブの軸線方向すなわち長手方向に沿うように切り出す。)を用いてJIS K6891に基づいて、引張速度200mm/min、測定温度25±2℃の条件の下で測定される値である。
【0029】
さらに、フッ素樹脂チューブの破断強度が3〜150MPaであるのが好ましい。この破断強度はフッ素樹脂チューブから切り出されたJIS K6891に規定のダンベル状3号試験片(JIS K6251に準じる。ただし、ダンベル状3号試験片はその長手方向が樹脂チューブの軸線方向すなわち長手方向に沿うように切り出す。)を用いてJIS K6891に基づいて、引張速度200mm/min、測定温度25±2℃の条件の下で測定される値である。このように前記破断強度及び前記破断伸びは樹脂チューブの軸線方向すなわち長手方向における破断強度及び破断伸びである。
【0030】
フッ素樹脂チューブは、フッ素樹脂で形成されていればよく、例えば、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)等が挙げられ、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)が特に好ましい。
【0031】
この発明に係る弾性ローラの製造方法を説明する。この発明に係る弾性ローラの製造方法は、この発明に係る弾性ローラ、すなわち前記逆クラウン形状の弾性ローラを製造できる。
【0032】
この発明に係る弾性ローラの製造方法は、軸体の外周面に配置された発泡硬化体を、その外径が軸線方向の中央から前記変位点まで増大し、かつ前記変位点から端部まで減少するように、研磨する工程と、前記研磨する工程で作製された発泡弾性層を厚さが20〜100μmのフッ素樹脂チューブで被覆する工程とを有している。
【0033】
この発明に係る弾性ローラの製造方法の一例として、前記弾性ローラ1を製造する方法(以下、一製造方法と称することがある。)を、説明する。
【0034】
この一製造方法においては、まず、軸体2の外周面に配置された発泡硬化体を有するローラ原体を作製する。このローラ原体は発泡ゴム組成物を軸体の外周面で発泡硬化して発泡硬化体を形成する工程で作製される。
【0035】
一製造方法においては、軸体2を準備した後に、軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を押出成形による連続加熱成形、プレス、インジェクションによる型成形等によって、加熱成形する。
【0036】
発泡ゴム組成物の加熱成形においては、まず、軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を配置する。軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を配置する方法としては、例えば、押出機等により軸体2と発泡ゴム組成物とを一体に分出して軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を配置する方法、また、軸体2を収納する金型に発泡ゴム組成物を注入して軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を配置する方法等が挙げられる。これらの中でも、押出機等により軸体2と発泡ゴム組成物とを一体に分出しする方法が、作業が容易で連続して行うことができる点で、好ましい。
【0037】
発泡ゴム組成物は、ゴムと、発泡剤と、所望により各種添加剤等とを含有する組成物が好ましく挙げられる。ゴムは各種ゴムを採用できるが、それらの中でもシリコーンゴムであるのが好ましい。シリコーンゴムを含有する発泡ゴム組成物として、ビニル基含有シリコーン生ゴムと、シリカ系充填材と、発泡剤と、付加反応架橋剤と、付加反応触媒と、反応制御剤とを含有し、所望により、さらに、有機過酸化物架橋剤と耐熱性向上剤と各種添加剤とを含有する付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が好ましい。このような付加反応型発泡シリコーンゴム組成物として、例えば特開2008−076751号公報に記載されている付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0038】
このようにして軸体2の外周面に発泡ゴム組成物を配置した後、この状態を維持しつつ軸体2ごと発泡ゴム組成物を加熱する。発泡ゴム組成物の加熱は発泡ゴム組成物に含まれるゴム、例えばビニル基含有シリコーン生ゴムが架橋し、発泡剤を含有する場合にはそれ分解又は発泡するのに十分な条件で行われればよい。例えば付加反応型発泡シリコーンゴム組成物は、通常、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等により、170〜500℃程度、特に200〜400℃に加熱され、数分以上1時間以下、特に5〜30分間、加熱される。この発泡ゴム組成物は、所望により、さらに二次加熱が行われてもよい。二次加熱によって発泡弾性層3の物性が安定する。二次加熱は、例えば、前記の条件で架橋された発泡ゴム組成物を、さらに、押出成形された状態のままで、例えば、180〜250℃、好ましくは190〜230℃で、1〜24時間、好ましくは3〜10時間にわたって、又は、金型を用いて、例えば、130〜200℃、好ましくは150〜180℃で、5分以上24時間以下、好ましくは10分以上10時間以下にわたって、再度加熱されることによって、行われる。
【0039】
このようにして軸体2の外周面に配置された発泡硬化体は発泡弾性層3と基本的に同様のアスカーC硬度(荷重1.0kg)、平均セル径、発泡倍率、密度を有している。
【0040】
一製造方法においては、次いで、ローラ原体の発泡硬化体を研磨する工程を実施する。この研磨する工程は、研磨後の外径が軸線方向の中央から製造予定の弾性ローラの変位点に対応する変位点まで増大し、かつこの変位点から端部まで減少するように、発泡硬化体を研磨して発泡弾性層とする。すなわち、
図3に示されるように、発泡弾性層3は自身の軸線方向の中央から端部に向けて変位点まで外径が徐々に増大する円錐台形状の外径増大層と前記変位点から端部まで外径が徐々に減少する逆円錐台形状の外径減少層とを有している。そして、この発泡弾性層3は、最大外径が20〜40mmの範囲内にあって、中央部及び変位点の外径差すなわち外径増大層の外径差が0.01〜0.70mmで、変位点及び端部の外径差すなわち外径減少層の外径差が0.01〜0.10mmである。このような形状及び寸法に発泡硬化体が研磨されると、発泡弾性層3と協働して所望の逆クラウン形状を有する弾性ローラを製造できる。ここで、最大外径が25〜36mmであるのが好ましく、外径増大層の外径差が0.05〜0.5mmであるのが好ましく、外径減少層の外径差が0.02〜0.05mmであるのが好ましい。発泡硬化体の研磨は、研磨機、研削機等を用いて乾式又は湿式で実施され、条件等は特に限定されない。
【0041】
この一製造方法においては、フッ素樹脂チューブを準備する。フッ素樹脂チューブは前記した通りである。
【0042】
この一製造方法においては、次いで、ローラ原体の発泡弾性層3に準備したフッ素樹脂チューブを配置する。このとき発泡弾性層の外周面及びフッ素樹脂チューブの内周面に接着剤を塗布してもしなくてもよい。
【0043】
フッ素樹脂チューブの配置は、例えば、加圧下で発泡弾性層を圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する加圧挿入法、減圧下で発泡弾性層を圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する減圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを半径方向に拡径させて発泡弾性層をその内部に挿入する減圧拡径法等によって、実施できる。なお、発泡弾性層の硬度が高い場合には加圧挿入法よりも、減圧挿入法又は減圧拡径法が速やかに発泡弾性層をフッ素樹脂チューブに挿入できる点で、好ましい。加圧挿入法における加圧環境は例えば0.15〜0.48MPaに設定でき、減圧挿入法における減圧環境は例えば3hPaに設定できる。また減圧拡径法において、フッ素樹脂チューブを拡径させる減圧環境として例えば0.3〜1.0MPaの減圧環境が挙げられ、拡径させたフッ素樹脂チューブ内に発泡弾性層を挿入した後に減圧環境を解除するとフッ素樹脂チューブが発泡弾性層の外周面に密着配置される。この配置する工程において、発泡弾性層は接着剤が塗布されていない場合には、フッ素樹脂チューブを必要以上に延伸する必要がなく、前記したフッ素樹脂チューブの薄肉化による耐久性低下をいう問題を未然に防止できる。加圧挿入法における加圧装置としては、例えば、特開2008−299185号公報の
図4及び
図5に示す「加圧装置10」等が挙げられ、減圧挿入法における減圧装置としては、例えば、特開2008−299185号公報の
図6及び
図7に示す「減圧装置30」等が挙げられる。
【0044】
このようにしてフッ素樹脂チューブで発泡弾性層3を被覆すると、外径増大層と外径減少層とを有する発泡弾性層3はフッ素樹脂チューブで圧縮されて、外径増大層と外径減少層との連接部すなわち変位点が外径減少層の最大外径すなわち端部外径よりも小さくなるまで収縮する。このようにして収縮した発泡弾性層3は前記弾性ローラ1と同様の逆クラウン形状及び寸法になる。
【0045】
このようにしてローラ原体の発泡硬化体を所定形状及び寸法に研磨すると発泡弾性層3は厚さ20〜100μmのフッ素樹脂チューブが被覆されるだけで収縮して所望の逆クラウン形状に変形する。このようにして弾性ローラ1を製造できる。
【0046】
この発明に係る弾性ローラは所望の逆クラウン形状及び寸法を有しているから、この発明の目的をよく達成できる。
この発明に係る弾性ローラの製造方法は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0047】
次に、この発明に係る弾性ローラを備えた定着装置(以下、この発明に係る定着装置と称することがある。)及び画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、
図4を参照して、説明する。
図4に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、前記像担持体31の周囲に配置された、帯電手段32例えば帯電ローラ、露光手段33、現像手段40、転写手段34例えば転写ローラ及びクリーニング手段37と、記録体の搬送方向下流側に定着装置35とを備えている。この現像手段40は、従来の現像手段と基本的に同様に形成され、具体的には、
図2に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
画像形成装置における従来の定着装置は、通常、定着ローラを低硬度に加圧ローラを高硬度にしてニップ幅及びニップ圧を確保しているが、この発明に係る定着装置は、定着装置35のように、アスカーC硬度(荷重1.0Kg)は20〜35の範囲にある低硬度の定着ローラ53と、この発明に係る加圧ローラの一例である低硬度の加圧ローラ56とを有する加熱定着装置である。すなわち、この定着装置35は、
図2にその断面が示されるように、記録体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻回された無端ベルト55と、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接する加圧ローラ56と、無端ベルト55に非接触となるように配置され、無端ベルト55を介して外部から定着ローラ53を加熱する加熱手段57とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。
無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着装置35に適合するように調整することができる。加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。この定着装置35においてこの発明に係る加圧ローラが加圧ローラ56として装着されている。前記加熱手段57は、ハロゲンヒーター及び反射板等を用いた輻射加熱方法、加熱器等を直接接触させて加熱する直接接触加熱方法、並びに、誘導加熱方法等が採用される。この加熱手段57は、定着ローラ53における軸線方向の長さとほぼ同じ長さを有する部材であり、定着装置35のいずれに配置されてもよいが、
図2に示されるように、定着ローラ53の表面より一定の間隔を隔てて定着ローラ53に略並行に配置されるのがよい。前記誘導加熱方法には加熱用コイルが用いられ、この加熱用コイルは、通常、フェライト等の強磁性体で、スイッチング電源用として用いられている代表的な形状であるI型、E型及びU型等に形成され、導線が巻かれて成る。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を記録体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
この発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電手段32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給されて静電潜像が現像され、この現像剤像が像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録体36上に転写される。この記録体36は定着装置35に搬送され、現像剤像が永久画像として記録体36に定着される。このようにして、記録体36に画像を形成することができる。
この発明に係る定着装置35及び画像形成装置30は、加圧ローラ56としてこの発明に係る加圧ローラが採用されているから、現像剤を記録体に定着させる定着性に優れると共に消費電力が小さい。
この発明に係る加圧ローラ、定着装置及び画像形成装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、加圧ローラ1において、発泡弾性層3は、単層構造とされているが、この発明においては二層以上の複層構造とされてもよい。
画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
また、定着装置35及び画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(直径17mm×長さ370mm、SUM22)をトルエンで洗浄し、プライマー「No.101A/B」(信越化学工業株式会社製:商品名)を塗布した。プライマー処理した軸体をギアーオーブンを用いて180℃の温度にて30分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、プライマー層を形成した。
【0049】
ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填材との混合物(信越化学工業株式会社製のシリコーンゴム組成物「KE−904FU」)100質量部、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)2.0質量部と、付加反応触媒としての白金触媒適量と、有機系発泡剤「アゾビス−イソブチロニトリル」1.0質量部と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業株式会社製:商品名)3質量部とを適量とを、二本ロールで十分に混練して、付加反応型非発泡シリコーンゴム組成物を調製した。
【0050】
次いで、プライマー層を形成した軸体2と準備した付加反応型発泡シリコーンゴム組成物とを押出成形機にて一体分出し、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて付加反応型発泡シリコーンゴム組成物を250℃で10分間加熱して発泡架橋させた。その後、さらに、ギアーオーブンを用いて、200℃で7時間にわたって発泡架橋後の付加反応型発泡シリコーンゴム組成物を二次加熱し、常温にて1時間以上放置して、ローラ原体を作製した。このローラ原体の発泡硬化体は外径30mm及び軸線方向長さ340mmのストレート形状であった。
【0051】
次いで、この発泡硬化体を円筒研削機で下記寸法の外径増大部及び外径減少部となるように研削して略面対称形の発泡弾性層とした。
変位点:端部から中央側に51.5mm
外径増大部の最小外径(中央外径):25.07mm
外径増大部の最大外径及び外径減少部の最大外径(変位点外径):25.21mm
外径減少部の最小外径(端部外径):25.19mm
中央部と変位点との外径差:0.14mm
変位点と端部との外径差:0.019mm
【0052】
なお、発泡硬化体及び発泡弾性層のアスカーC硬度(荷重1.0kg)は36、平均セル径は150μm、発泡倍率は290%、密度は0.5g/cm
3であった。
【0053】
次いで、収縮性を有するPFAチューブを準備した。このPFAチューブは、軸線長さ312mm、内径24mm、厚さ30μmで、内径と発泡弾性層3の端部部分の外径との差が0.5〜1.5mm、収縮度が−1.8%であった。
【0054】
次いで、このPFAチューブを前記のようにして発泡弾性層3の外周面に配置して弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有し、アスカーC硬度(荷重1.0kg)は49であった。
弾性ローラの軸線方向長さ:340mm
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.88mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):25.00mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.05mm
中央部と変位点との外径差:0.12mm
変位点と端部との外径差:0.05mm
【0055】
(実施例2)
PFAチューブの厚さを50μmと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.83mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):24.98mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.05mm
中央部と変位点との外径差:0.15mm
変位点と端部との外径差:0.07mm
【0056】
(実施例3)
PFAチューブの厚さを100μmに変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.78mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):24.95mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.04mm
中央部と変位点との外径差:0.17mm
変位点と端部との外径差:0.09mm
【0057】
(実施例4)
変位点を端部から中央側80mmに変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に80mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.86mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):25.03mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.05mm
中央部と変位点との外径差:0.17mm
変位点と端部との外径差:0.02mm
【0058】
(実施例5)
最大外径を32mmに変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):31.89mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):32.01mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):32.05mm
中央部と変位点との外径差:0.12mm
変位点と端部との外径差:0.04mm
【0059】
(実施例6)
収縮性のないPFAチューブを用いたこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。このPFAチューブは、軸線長さ312mm、内径24mm及び厚さ30μmで、内径と発泡弾性層3の端部部分の外径との差が0.5〜1.5mmであった。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.93mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):25.01mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.06mm
中央部と変位点との外径差:0.08mm
変位点と端部との外径差:0.05mm
【0060】
(比較例1:外径20mm未満)
最大外径を18mmに変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):17.88mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):18.00mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):18.05mm
中央部と変位点との外径差:0.12mm
変位点と端部との外径差:0.05mm
【0061】
(比較例2)
発泡硬化体を外径25mmのストレート形状に研磨したこと以外は実施例1と基本的に同様にして弾性ローラを製造した。得られた弾性ローラは下記寸法の第1増大部及び第2増大部を有する面対称形の逆クラウン形状を有していた。
変位点:端部から中央側に51.5mm
第1増大部の最小外径(中央外径):24.65mm
第1増大部の最大外径及び第2増大部の最小外径(変位点外径):25.00mm
第2増大部の最大外径(端部外径及び最大外径):25.12mm
中央部と変位点との外径差:0.35mm
変位点と端部との外径差:0.12mm
【0062】
(しわ発生)
実施例1〜6及び比較例1、2で製造した各加圧ローラを、表面温度185℃に設定した加熱ローラに対して、押込み量(加圧ローラの半径及び加熱ローラの半径の和と圧接後の軸線間距離との差分)が1.065mm(発泡弾性層3の端部11Aの厚さに対する圧縮率が30%)となるように、軸線方向に沿って並行に圧接させた。この圧接状態を維持したまま定着ローラを180rpmの回転数で24時間回転させた後に各加圧ローラにおけるフッ素樹脂チューブ4の状態を評価した。具体的には、回転された後の加圧ローラが60℃以上の温度にある間に、その表面に皺、亀裂等の有無を確認する(第1表において「皺等の発生評価」と表記する。)。評価基準は、フッ素樹脂チューブ4に皺、セル模様及び亀裂のいずれも目視で確認できず、フッ素樹脂チューブ4が光沢を有していた場合を「◎」、フッ素樹脂チューブ4にセル模様のみが目視で確認された場合を「○」、フッ素樹脂チューブ4に実用上許容できる程度の皺のみが目視で確認された場合を「△」、フッ素樹脂チューブ4にセル模様及び実用上許容できない程度の皺に加えて亀裂も目視で確認でき、フッ素樹脂チューブ4が光沢を有していなかった場合を「×」とする。この評価が「△」以上であると、実機テストにおいてもフッ素樹脂チューブの状態が実用上許容できるものとする。
【0063】
【表1】