特許第5985443号(P5985443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985443
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20160823BHJP
   G08B 21/04 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/04
   G08B25/04 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-160397(P2013-160397)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-32093(P2015-32093A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瞳
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−067877(JP,A)
【文献】 特開平10−234083(JP,A)
【文献】 特開2008−158729(JP,A)
【文献】 特開2003−085682(JP,A)
【文献】 特開2009−151733(JP,A)
【文献】 特表2012−502341(JP,A)
【文献】 特開2015−022488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巡回作業者が巡回する巡回ルート内に設定された複数の巡回ポイントに設けられ、前記巡回作業者の前記複数の巡回ポイント中のi番目の巡回ポイントへの到達を検知して当該i番目の巡回ポイントの識別情報を含むセンサ出力信号を送信する位置検出センサと、
これらの位置検出センサからのセンサ出力を受信することにより前記巡回作業者の前記巡回ルート内の位置を特定する位置特定手段と、
この位置特定手段により特定された前記巡回作業者の位置から、前記巡回作業者の前記i番目の巡回ポイントから次のj番目の巡回ポイントへの移動時間を予測する移動時間予測手段と、
この移動時間予測手段により予測された移動時間から前記i番目の巡回ポイントにおける前記巡回作業者の作業時間を差し引いた歩行時間を算出する歩行時間算定手段と、
前記巡回作業者の履物に設けられ、そのセンサ出力を送信する圧力センサと、
この圧力センサから送信されたセンサ出力を受信して前記巡回作業者の歩行状態あるいは非歩行状態を判定する歩行状態判定手段と、
この歩行状態判定手段の出力および前記歩行時間算定手段の出力により前記巡回作業者の異常を判定する異常判定手段と、を備えた異常検知装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、前記歩行状態判定手段による非歩行状態と前記歩行時間算定手段により特定された歩行時間によって異常を検知する請求項1記載の異常検知装置。
【請求項3】
前記巡回ポイントの識別情報、前記巡回ポイント間の移動に要する移動時間、各巡回ポイントでの前記巡回作業者による所定の作業時間を前記巡回ポイント毎に対応付けて記憶するデータベースを更に備え、
前記異常判定手段は、
前記歩行時間算定手段により歩行期間内と判定されている間、前記歩行状態判定手段により前記巡回ポイント間の通過に要する時間が前記データベース内の対応する前記移動時間を超えたことの検出によって前記異常を検知する請求項1記載の異常検知装置。
【請求項4】
前記異常判定手段は、前記歩行時間算定手段により歩行停止期間内と判定されている間、正常と判定する請求項1記載の異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常検知装置に関し、特に予め定められた巡回ルートに従って巡回する作業者に発生する異常を検知する異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模工場ではオートメーション化が進み、作業員の定員数が減少傾向にあり、各作業員は広域かつ迅速な業務遂行が求められている。このような環境下において、工場等の作業現場での作業員の安全確保、とりわけ作業員に異常が発生した場合の作業者の安否検知システム構築の要求は高まっている。
【0003】
このようなニーズに対応する手段として、作業者が加速度センサとGPS機能を有する携帯電話と、工場内に通信回線を有するPHSからなる端末機を所持し、管理者側の制御装置において、前記端末機から送られてくる端末情報をもとに、作業者の異常発生を検知する異常検知支援システムが知られている(特許文献1参照)。また、携帯端末、カメラおよび監視装置を備え、転倒した人の位置を正確に特定するための転倒検知システムが知られている(特許文献2)。さらに、靴底に設けられた圧力センサにより利用者の側方転倒を検知する動作安定支援装置(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−159239号公報
【特許文献2】特開2007−18101号公報
【特許文献3】特開2012−11136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、加速度センサを用いた異常検知システムでは正常に歩行中の作業者を異常と認識するなどの誤検知が多いという大きな欠点を有している。また、携帯端末、カメラおよび監視装置を備えた転倒検知システムでは、カメラ映像を用いるため、工場のように複雑な形状の大型装置が多数設置されている場所においては検出できない箇所が存在し、それを補うためには多数のカメラを設置する必要があるなど実用的でない。さらに、特許文献3に記載の動作安定支援装置では転倒検知システムにより転倒自体の検知は可能であっても作業者の異常事態を検知し管理者側へ発信することはできない。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み、工場内等の予め定められた巡回ルートに沿って巡回する作業者の行動を正確に監視し、転倒などの異常が発生した場合、速やかに発報する異常検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、本発明の一実施形態によれば、巡回作業者が巡回する巡回ルート内に設定された複数の巡回ポイントに設けられ、前記巡回作業者の前記複数の巡回ポイント中のi番目の巡回ポイントへの到達を検知して当該i番目の巡回ポイントの識別情報を含むセンサ出力信号を送信する位置検出センサと、これらの位置検出センサからのセンサ出力を受信することにより前記巡回作業者の前記巡回ルート内の位置を特定する位置特定手段と、この位置特定手段により特定された前記巡回作業者の位置から、前記巡回作業者の前記i番目の巡回ポイントから次のj番目の巡回ポイントへの移動時間を予測する移動時間予測手段と、この移動時間予測手段により予測された移動時間から前記i番目の巡回ポイントにおける前記巡回作業者の作業時間を差し引いた歩行時間を算出する歩行時間算定手段と、前記巡回作業者の履物に設けられ、そのセンサ出力を送信する圧力センサと、この圧力センサから送信されたセンサ出力を受信して前記巡回作業者の歩行状態あるいは非歩行状態を判定する歩行状態判定手段と、この歩行状態判定手段の出力および前記歩行時間算定手段の出力により前記巡回作業者の異常を判定する異常判定手段と、を備えた異常検知装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予め定められた巡回ルートを巡回する巡回作業者に異常が発生したことを正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る異常検知装置のブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る異常検知装置に用いられるデータベースの対応関係のデータ例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る異常検知装置に用いられるデータベースの記憶内容の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る異常検知装置の異常検知動作を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る異常検知装置の異常判定処理の原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る異常検知装置について図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
実施形態1.
図1は本実施形態に係る異常検知装置のブロック図である。本実施形態に係る異常検知装置は、予め定められた巡回ルートRT内の複数例えばN個の地点である巡回ポイントP(P1、…、Pi、Pj、…、PN)にそれぞれに設けられた位置検出センサ10(10−1、…、10−i、10−j、…、10−N)を備えている。巡回ルートRTはこれに沿って巡回作業者が歩行しつつ、各巡回ポイントにおいて予め定められた作業を行う。N個の巡回ポイントは、巡回ルートを複数(N−1)個の巡回区間に区分する。ここで、各巡回ポイントには、N個の位置検出センサ10が巡回ルートの開始地点から終了地点に向かって順次配列されている。位置検出センサ10は、巡回作業者が複数の巡回ポイント中のi番目の巡回ポイントPiに到達し又は接近した場合(以下単に到着という。)、これを検知して、i番目の巡回ポイントPiの識別情報を含む出力信号を巡回ルートRTとは別の場所に設けられた監視センタCNに送信する。位置検出センサ10には例えばRFID(radio frequency identification)用のリーダライタが用いられ、巡回作業者が保持するICチップが埋め込まれた電磁誘導式のカード18との間で近距離(周波数135kHz又は13.56MHzでは数cm〜数m)の無線通信を行う。各位置検出センサ10は電磁波を常時送信しており、巡回ポイントにおいて巡回作業者のカード18が位置検出センサ10に接近すると、カード18が位置検出センサ10からの電磁波を受信し、位置検出センサ10は非接触でカード18から受信した固有IDデータを出力するようになっている。
【0012】
次に、監視センタCNにおいては、各巡回ポイントPに設置された位置検出センサ10からの出力信号を受信する受信手段26が設けられている。受信手段26はN個の位置検出センサ10のそれぞれに接続され、各センサ出力信号を収集する。受信手段26は、巡回作業者が特定の巡回ポイントPに到達したことを示す情報と位置検出センサ10を識別するIDとを対応付けた作業者位置特定信号を出力する。この受信手段26により受信された前記センサ出力信号は、巡回作業者の巡回ルートRT内における位置を特定する作業者位置特定演算手段20に供給され、巡回作業者の位置が特定される。
【0013】
監視センタCN側の異常検知装置には、巡回ルートRT内における各巡回ポイントPの識別情報、各巡回ポイント、例えばPiから次の巡回ポイントであるPjに移動するのに要する移動時間A、各巡回ポイントでの巡回作業者による所定の作業時間Bを巡回ポイント毎に対応付けたデータベース11が備えられている。
【0014】
図2はデータベース11の記憶内容を物理的な巡回ルート上に重畳して表示した図である。例えば巡回ポイントPiの対応関係は、ポイント情報「Pi」に対して、(A)巡回ポイントPi−Pj間の巡回作業者の移動時間10分、(B)巡回ポイントPiにおいて巡回作業者に割当てられた作業時間5分が対応付けて記憶されている。
【0015】
ここで巡回ポイントPiにおいて巡回作業者に割当てられた作業時間とは、例えば巡回ポイントに設置されている工場内の設備機器のメータの読み取り、各種のボタン操作、又は指差し称呼の実行などの点検作業Bである。巡回ポイントPi−Pj間の巡回作業者の移動時間とは巡回作業者が到着後、必要な作業を終え、ポイントPiを離れて歩行により次のポイントPjへ到着するまでの予め割当てられたトータル時間Aである。データベース11には他の巡回ポイントh、j、kについても同様な対応関係が記憶されている。
【0016】
監視センタCN側の異常検知装置には、さらに、作業者位置特定演算手段20により特定された巡回作業者の位置情報と、データベース11から読みだされた、巡回ルートRTの各巡回ポイントにより区画された各区間の情報から次の巡回ポイントに移動するのに要する移動時間を予測する移動時間予測手段21が設けられている。
【0017】
この移動時間予測手段21は巡回ポイント間、例えば、Pi−Pj間の移動に要する時間をデータベース11に記憶された移動時間増減情報データを参照して予測する。
【0018】
図3はデータベース11に記憶された移動時間増減情報データの一例を示す図である。巡回ルートRTにおける巡回ポイント間の移動時間に対しては、季節による日照時間の変動、各巡回ポイントに設置された工場設備毎に稼動時間が異なること、雨天時の屋外巡回は中止される等の変動要因が存在する。このためデータベース11にはこれらの変動要因を元に移動時間を増減させる時間増減情報が予め記憶している。
【0019】
移動時間予測手段21は、データベース11から日時データ及び天候データに基づく移動時間増減情報データを読込み、例えば、ポイントPjについて冬季、夜間あるいは雨天時にはポイントPkへの移動時間9分を0分に変更するという演算を行う。また、例えばポイントPkについて、データベース11から読みだされたポイントPkと次のポイントPL間の移動時間10分に2分を加算して移動時間を12分に増やすという演算を行なう。
【0020】
移動時間予測手段21により予測された移動時間は歩行確認区間演算手段22に供給される。歩行確認区間演算手段22は、後述するように、移動時間予測手段21により予測された移動時間Aから巡回ポイントPiにおける作業者の作業時間Bを差し引いた歩行時間Cを算出する。歩行時間Cは、後述するように、巡回作業者が作業後に次の巡回ポイントへ到着するまでの異常判定指定時間として用いられる。
【0021】
次に、本実施形態に係る異常検知装置においては、巡回ルートRT内の巡回作業者の履物14に装着された複数個、例えばM個の圧力センサ15を備えている。
【0022】
M個の圧力センサ15は巡回作業者の一足の履物14の中敷きに設けられている。圧力センサ15は例えば静電容量式の薄厚のセンサであり、感知面と、この感知面の下部に設けられた可動電極とを有し、この可動電極が荷重によって下方に変位するときの静電容量の変化によって圧力値を出力する。これらの圧力センサ15は巡回作業者の足が接地しているとき中敷きを通して荷重の大きさに応じた計測値を出力し、圧力センサ15に接続された図示しない電波送信器によって、圧力センサ15の識別情報ととともに無線信号として送出する。
【0023】
監視センタCN側の異常検知装置には、各圧力センサ15からの電波を受信する受信器23が設けられている。受信器23を介して受信された各圧力センサ15からの計測値データは、歩行状態/非歩行状態判定演算手段16に供給される。歩行状態/非歩行状態判定演算手段16は、各圧力センサ15からの計測値の時間変化によって歩行状態又は非歩行状態を判定する。歩行状態の判定は、足の蹴り上げや踏み込みの際に接地圧が周期的に観測される場合、歩行状態であると判断し、接地圧が変化せずほぼ一定の場合には、非歩行状態と判定する。ここで、非歩行状態とは巡回作業者がかがんだ状態、立ったままメータを読んでいる場合、椅子等に座って機器を操作している場合、あるいは誰かと立ち話をしている場合など、一か所に留まっている場合を意味している。この非歩行状態の判定は、足の蹴上げ時の接地圧と踏み込み時の接地圧との区別が観測されず、これらの接地圧の周期的な変化が観測されないことによって行われる。
【0024】
さらに本実施形態に係る異常検知装置は、監視センタCN側において、歩行状態/非歩行状態判定演算手段16の出力および歩行確認区間演算手段22の出力が供給され、これらの出力から巡回作業者の異常を判定する作業者異常判定手段24と、この作業者異常判定手段24により異常と判定されたときに警報を報知する異常告知手段25とを備えている。また、本実施形態に係る異常検知装置は、異常検知装置の全体を制御する制御装置30が設けられている。この制御装置30は、CPU、ROM、RAM等を備え、ROMに記憶されたプログラムによってCPUを動作させることにより、異常検知装置の全体を制御して、巡回作業者の異常状態を検知する。
【0025】
次に上述の構成の本実施形態に係る異常検知装置の異常判定動作を図1および図4を参照して説明する。図4は本実施形態に係る異常検知装置の異常検知動作を説明するためのフローチャートである。制御装置30は、ステップA1において作業者による巡回ルートRTの巡回開始を検知する。この巡回開始は、図示しないが、例えば巡回作業者が巡回ルートRT内のスタート地点における最初の巡回ポイントに立ったことを作業者位置特定演算手段20が検出することにより、検知される。
【0026】
このステップA1では、移動時間予測手段21は、制御装置30の制御下で、データベース11から前述した巡回作業者の異常判定に必要な各種のデータを読みだす。
【0027】
次いでステップA2において制御装置30は、繰返し変数r(r=1、2…、h、i、j、k…)を1にセットし、ステップA3において作業者異常判定手段24を用いて、巡回ポイントP1、P2間で異常の有無を判定する。作業者異常判定手段24は異常がないと判定すると、YESルートを通り、ステップA4において繰返し変数rを1つ増加する。そしてステップA5においてその繰返し変数rが最終の巡回ポイント値であるかどうかを判断する。ステップA5において繰返し変数rが最終の巡回ポイント値でない場合、作業者異常判定手段24はNOルートを通り、ステップA3の処理に戻って実行する。以降、作業者異常判定手段24は繰返し変数rが値i−1になるまでステップA3からステップA5の処理を繰出し実行する。
【0028】
次に、ここで巡回作業者が巡回ポイントPiに到達した時点を想定して、巡回作業者の異常の有無を検出する動作について、図5を参照して説明する。図5においてAは巡回作業者が巡回ポイントPi、Pj間の移動にかかると予測された総時間を表す。Bは巡回ポイントPiでの巡回作業者の作業時間を表す。これらの時間データは図1に示す移動時間予測手段21によりデータベース11から読みだされる。この場合、移動時間予測手段12は、前述したように、データベース11から日時データ及び天候データに基づく移動時間増減情報データを読込み、巡回ポイントPiから次の巡回ポイントPjへの総移動時間を予測する演算を行う。
【0029】
前述したように、移動時間予測手段21により予測された総移動時間Aおよび作業時間Bは歩行確認区間演算手段22に供給される。そして歩行確認区間演算手段22は、移動時間予測手段21により予測された移動時間Aから巡回ポイントPiにおける作業者の作業時間Bを差し引いた歩行時間Cを算出する。この歩行時間Cは、巡回作業者が作業後に次の巡回ポイントへ到着するまでの歩行による移動時間であり、作業者異常判定手段24により異常判定を行うために指定された時間、すなわち異常判定指定時間Cとして用いられる。
【0030】
他方、歩行状態/非歩行状態判定演算手段16から巡回作業者が巡回ポイントPiに到達した後において、歩行状態か非歩行状態かの判定結果を作業者異常判定手段24に供給する。歩行状態/非歩行状態判定演算手段16からの判定結果が、非歩行状態である場合、作業者異常判定手段24による異常の有無の判定は分かれる。すなわち、図5の非歩行状態Iで示すように、非歩行状態Iが作業時間B内において判定された場合、作業者異常判定手段24はこれを正常と判断する。具体的には図5の作業時間B中において、巡回作業者の履物14に装着された圧力センサ15の出力が停止していたとしても、作業者異常判定手段24は必ずしも異常状態ではないと判断する。その理由は、前述したように、巡回作業者は作業時間B内においてはかがんだ状態あるいは立ったままメータを読んでいるか、椅子等に座って機器を操作しているかあるいは誰かと立ち話をしているか等、一か所に留まっている場合が多いためである。
【0031】
次に、歩行状態/非歩行状態判定演算手段16からの判定結果が、図5の非歩行状態IIに示すように、異常判定指定時間C内において巡回作業者が非歩行状態と判定された場合、作業者異常判定手段24は巡回作業者に異常が生じたと判断する。すなわち、巡回作業者が巡回ポイントPiでの作業を終えてから巡回ポイントPjに到着するまでの時間C内で歩行が困難になったことを歩行状態/非歩行状態判定演算手段16が検知すると、作業者異常判定手段24は図4のステップA3のNOルートを通り、ステップA6において図1に示す異常告知手段25により、異常を告知し、アラームを鳴動させる等の特定の方法を実行して作業者の異常判定動作を終了する。
【0032】
また、巡回作業者が、巡回ポイントPiでの作業を終えてから異常判定指定時間Cが経過しても巡回ポイントPjに到着してない時にも、作業者異常判定手段24は巡回作業者に異常が生じたと判断、上記と同様に異常を告知して異常判定動作を終了する。
【0033】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、位置検出センサ10は電磁界誘導式であったが、赤外線センサ、光センサ及びその受信器等が用いられてもよい。また、位置検出センサ10としては、押しボタン式など、巡回作業者が押釦を手動で押すことにより、巡回ポイントへの到達を監視センタCN側の異常検知装置に伝達することも可能である。
【0034】
また、圧力センサ15としては静電容量式のセンサ以外に、半導体式の圧力センサを用いてもよい。巡回作業者の履物14にRFIDタグを装着することで、巡回作業者の個人認証を行うようにしてもよい。
【0035】
さらに、歩行状態/非歩行状態判定演算手段16は通常歩行の他に小走り状態等種々の変形歩行状態に対しても対応させることにより、判定の精度を向上させることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…位置検出センサ、11…データベース、14…履物、15…圧力センサ、16…歩行状態/非歩行状態判定演算手段(歩行状態判定手段)、18…カード、20…作業者位置特定演算手段、21…移動時間予測手段、22…歩行確認区間演算手段、23…受信器、24…作業者異常判定手段、25…異常告知手段、26…受信手段。
図1
図2
図3
図4
図5