特許第5985460号(P5985460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985460
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
   G06F11/36 196
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-245143(P2013-245143)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-103166(P2015-103166A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】孫 震宇
【審査官】 多胡 滋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−134060(JP,A)
【文献】 特開2011−022774(JP,A)
【文献】 特開2007−213450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末と画像形成装置を模擬するシミュレーター装置を有するシミュレーションシステムにおいて、
前記操作端末は、
ジョブの実行要求を入力するジョブ実行要求入力手段と、
前記ジョブの実行要求を前記シミュレーター装置に送信するジョブ実行要求送信手段
を備え、
前記シミュレーター装置は、
前記ジョブの実行要求を受信するポート手段と、
前記画像形成装置で実行可能な前記ジョブのステータス遷移頻度を入力するステータス遷移頻度入力手段と、
前記ステータス遷移頻度により前記ジョブのステータス遷移を模擬するジョブステータス手段と、
前記ジョブステータス手段の前記ステータス遷移により前記ジョブのステータスを模擬的に遷移させるジョブステータスシミュレート手段と、
前記ジョブのエラー発生確率を入力するエラー発生確率入力手段と、
前記エラー発生確率からデバイスのステータスを模擬的に遷移させるデバイスアラート手段と、
前記ジョブステータスシミュレート手段により前記ジョブのステータスを模擬的に遷移させたジョブイベント遷移ステータスを作成するジョブイベント遷移ステータス作成手段と、
前記デバイスアラート手段により前記デバイスのステータスを模擬的に遷移させたデバイスイベント遷移ステータスを作成するデバイスイベント遷移ステータス作成手段と、
前記ジョブイベント遷移ステータスと前記デバイスイベント遷移ステータスをイベント遷移情報として前記操作端末に送信するイベンティングサーバー手段と
を備えることを特徴とするシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記操作端末は、
前記イベント遷移情報を受信するサービス手段と、
前記イベント遷移情報を表示するステータスモニター手段と
を備えることを特徴とする請求項に記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記操作端末は、
前記ジョブの実行要求を保存するジョブ実行要求データ保存手段を備え、
前記シミュレーター装置は、
前記イベント遷移情報を保存するイベント遷移情報データ保存手段を備える
ことを特徴とする請求項または請求項に記載のシミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を模擬するシミュレーション装置、及びそのシミュレーション装置を備えるシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、多機能プリンター、多機能周辺装置、又は複合機(Multifunction Peripheral)である画像形成装置とネットワークに接続されているPC(パソコン)などの操作端末は、画像形成装置のドライバーを搭載することで、画像形成装置に対してジョブの実行要求を送信し、また画像形成装置からジョブの実行結果を受信することができる。このため、新たな機能を備えた画像形成装置が開発されたときにはその画像形成装置に対応したドライバーが必要となり、また画像形成装置の機能を更新(バージョンアップ)したときにはドライバーの更新が必要となることがある。このため、ドライバーが開発または更新されたときには、ドライバーが正常に動作するかの確認試験を行わなければならない。しかし、このような動作の確認試験を行うためには、開発または更新されたドライバーからジョブの実行要求を画像形成装置または画像形成装置を模擬したシミュレーション装置に送信して確認する必要がある。例えば、特許文献1のシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及び方法では、実機の時間経過、タイミングを再現し、またシミュレーション装置で実行する時間を短縮できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−258045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及び方法では、シミュレーション装置は、検証対象に実装されるハードウェアの処理を模擬するハードウェアモデルと、検証対象に実装されるソフトウェアの処理を模擬するソフトウェアモデルとを実現するためのハードウェア資源を備える装置を用意しなければならないので、コストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できるシミュレーター装置及びシミュレーターシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明のシミュレーションシステムは、操作端末と画像形成装置を模擬するシミュレーター装置を有するシミュレーションシステムにおいて、前記操作端末は、ジョブの実行要求を入力するジョブ実行要求入力手段と、前記ジョブの実行要求を前記シミュレーター装置に送信するジョブ実行要求送信手段を備え、前記シミュレーター装置は、前記ジョブの実行要求を受信するポート手段と、前記画像形成装置で実行可能な前記ジョブのステータス遷移頻度を入力するステータス遷移頻度入力手段と、前記ステータス遷移頻度により前記ジョブのステータス遷移を模擬するジョブステータス手段と、前記ジョブステータス手段の前記ステータス遷移により前記ジョブのステータスを模擬的に遷移させるジョブステータスシミュレート手段と、前記ジョブのエラー発生確率を入力するエラー発生確率入力手段と、前記エラー発生確率からデバイスのステータスを模擬的に遷移させるデバイスアラート手段と、前記ジョブステータスシミュレート手段により前記ジョブのステータスを模擬的に遷移させたジョブイベント遷移ステータスを作成するジョブイベント遷移ステータス作成手段と、前記デバイスアラート手段により前記デバイスのステータスを模擬的に遷移させたデバイスイベント遷移ステータスを作成するデバイスイベント遷移ステータス作成手段と、前記ジョブイベント遷移ステータスと前記デバイスイベント遷移ステータスをイベント遷移情報として前記操作端末に送信するイベンティングサーバー手段とを備えることを特徴としている
本発明のシミュレーションシステムの前記操作端末は、前記イベント遷移情報を受信するサービス手段と、前記イベント遷移情報を表示するステータスモニター手段とを備えることを特徴としている。
本発明のシミュレーションシステムの前記操作端末は、前記ジョブの実行要求を保存するジョブ実行要求データ保存手段を備え、前記シミュレーター装置は、前記イベント遷移情報を保存するイベント遷移情報データ保存手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシミュレーション装置及びシミュレーションシステムは、実際の画像形成装置や高価なハードウェア資源を備える装置を用いることなく、汎用のPCを画像形成装置のシミュレーター装置として使用することができるので、コストをかけずにドライバーの確認試験を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシミュレーターシステムの機能構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る印刷ジョブ実行要求処理部と印刷ジョブ模擬実行処理部のソフトウェア機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。実施形態は、画像形成装置を模擬するシミュレーター装置に操作端末から印刷ジョブの実行要求が送信され、シミュレーター装置が印刷ジョブの実行を模擬するものである。
【0010】
実施形態におけるシミュレーターシステム10の機能構成について、図1を用いて説明する。図1に示すシミュレーターシステム10は、ユーザーの操作入力が可能で、また操作結果や通知を表示可能な操作表示部を備えたPC/AT互換機等のPC、スマートフォン、携帯電話、またはタブレット端末である操作端末100、及びユーザーの操作入力が可能で、また操作結果や通知を表示可能な操作表示部を備えたPC/AT互換機等のPCであるシミュレーター装置200により構成され、操作端末100とシミュレーター装置200は、ネットワーク300で接続されている。ドライバーの動作を確認する試験担当者(以下、「ユーザー」という)が操作端末100から印刷ジョブの実行要求をシミュレーター装置200に送信する。また、シミュレーター装置200が印刷ジョブの実行要求を受信すると、予めユーザーが設定した印刷ジョブの状態であるステータスが遷移する頻度(以下、「ステータス遷移頻度」という)及び印刷ジョブの実行によるエラー発生確率(以下、「印刷エラー発生確率」という)に基づいて印刷ジョブの模擬実行を行い、印刷ジョブの遷移ステータスを操作端末100に送信する。
【0011】
まず、操作端末100の機能構成について図1を用いて説明する。図1に示すように操作端末100は、制御部110、補助記憶部120、操作表示部130、及びネットワーク通信部140を備え、これら各部はバスなどにより接続される構成となっている。
【0012】
制御部110は、RAMやROM等の主記憶手段、及びCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部110は、各種I/Oや、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)等のインターフェース、バスコントローラー等を含む総合的な操作端末100のコントロールを行う。制御部110には、印刷ジョブ実行要求処理部111が設けられている。印刷ジョブ実行要求処理部111は、ユーザーにより指定され印刷ジョブの実行要求をシミュレーター装置200に送信する。印刷ジョブ実行要求処理部111のソフトウェア機能構成については、後述する。
【0013】
補助記憶部120は、フラッシュメモリー等からなる補助記憶装置で、制御部110が実行する処理のプログラムやデータを記憶する。補助記憶部120には、シミュレーター装置200に送信する印刷ジョブ実行要求データを保存する印刷ジョブ実行要求データ保存エリア121(ジョブ実行要求データ保存手段)が設けられている。
【0014】
操作表示部130は、操作表示パネルを備え、ユーザーの操作を入力し、また操作結果や通知を表示する。
【0015】
ネットワーク通信部140は、ネットワーク300に接続するための着脱可能なLANインターフェースを備えている。LANインターフェースには、TCP/IP、AppleTalk、SMB等の各種ネットワークプロトコルのインテリジェントな送受信を行うネットワーク部を含んでいる。
【0016】
次に、シミュレーター装置200の機能構成について説明する。図1に示すようにシミュレーター装置200は、制御部210、補助記憶部220、操作表示部230、及びネットワーク通信部240を備え、これら各部はバスなどにより接続される構成となっている。
【0017】
制御部210は、RAMやROM等の主記憶手段、及びCPU等の制御手段を備えている。また、制御部210は、各種I/Oや、USB等のインターフェース、バスコントローラー等を含む総合的なシミュレーター装置200のコントロールを行う。制御部210には、印刷ジョブ模擬実行処理部211が設けられている。印刷ジョブ模擬実行処理部211は、操作端末100から印刷ジョブ実行要求を受信すると、画像形成装置の印刷ジョブを模擬的に実行する処理を行い、印刷ジョブの遷移ステータスを操作端末100に送信する。印刷ジョブ模擬実行処理部211のソフトウェア機能構成については、後述する。
【0018】
補助記憶部220は、フラッシュメモリー等からなる補助記憶装置で、制御部210が実行する処理のプログラムやデータを記憶する。補助記憶部220には、操作端末100に送信する印刷ジョブのイベント遷移情報データを保存する印刷ジョブイベント遷移情報データ保存エリア221(イベント遷移情報データ保存手段)が設けられている。
【0019】
操作表示部230は、操作表示パネルを備え、ユーザーの操作を入力し、また操作結果や通知を表示する。
【0020】
ネットワーク通信部240は、ネットワーク300に接続するための着脱可能なLANインターフェースを備えている。LANインターフェースには、TCP/IP、AppleTalk、SMB等の各種ネットワークプロトコルのインテリジェントな送受信を行うネットワーク部を含んでいる。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る操作端末100の印刷ジョブ実行要求処理部111とシミュレーター装置200の印刷ジョブ模擬実行処理部211のソフトウェア機能構成について、図2を用いて説明する。印刷ジョブ実行要求処理部111は、ドライバー部111a(ジョブ実行要求入力手段)、ランゲージモニター部111b(ジョブ実行送信手段)、サービス部111c(サービス手段)、及びステータスモニター部111d(ステータスモニター手段)のソフトウェア機能から構成されている。また、印刷ジョブ模擬実行処理部211は、ポート部211a(ポート手段)、イベンティングサーバー部211b(イベンティングサーバー手段)、ユーザーインターフェース部211c(ステータス遷移頻度入力手段、エラー発生確率入力手段)、ジョブステータス部211d(ジョブステータス手段)、PJL(Print Job Language)パーサー部211e、ジョブステータスシミュレーター部211f(ジョブステータスシミュレート手段)、ジョブイベントパブリッシャー部211g(ジョブイベント遷移ステータス作成手段)、及びデバイスアラートパブリッシャー部211h(デバイスアラート手段、デバイスイベント遷移ステータス作成手段)のソフトウェア機能から構成されている。
【0022】
ドライバー部111aは、画像形成装置を模擬するシミュレーター装置200に対して印刷ジョブを送信して模擬的に実行させるときに、印刷ジョブ実行要求を操作表示部130から受け付ける画像形成装置のドライバーである。
ランゲージモニター部111bは、印刷ジョブのジョブ識別IDを取得し、また印刷ジョブから画像形成装置のシミュレーター装置が実行可能なPJLデータを作成する処理部である。
サービス部111cは、印刷ジョブの実行要求などの事象(イベント)に関する情報(以下、「イベント情報」という)の送信、またはイベントのステータスが遷移したときの情報(以下、「イベント遷移情報」という)を受信する処理部である。
ステータスモニター部111dは、イベント遷移情報を操作表示部130に表示する処理部である。
【0023】
ポート部211aは、操作端末100からPJLデータを受信する専用のポートである。
イベンティングサーバー部211bは、操作端末100からイベント情報を受信し、イベント遷移情報を操作端末100に送信する処理部である。
ユーザーインターフェース部211cは、ユーザーが操作表示部230から設定したステータス遷移頻度及び印刷エラー発生確率を入力する処理部である。
ジョブステータス部211dは、ステータス遷移頻度により印刷ジョブのステータスを実行待ち、実行中、または実行完了などに模擬的に自動遷移させる処理部である。
PJLパーサー部211eは、PJLデータをプログラムで扱えるデータに変換する処理部である。
ジョブステータスシミュレーター部211fは、ジョブ識別IDに対する印刷ジョブのステータス遷移を設定した印刷ジョブステータス遷移データを作成する処理部である。
ジョブイベントパブリッシャー部211gは、印刷ジョブステータス遷移データからユーザーが認識可能な印刷ジョブイベント遷移情報を作成する処理部である。
デバイスアラートパブリッシャー部211hは、印刷エラー発生確率によりデバイスにイベントが発生したときに出力される警告(以下、「デバイスアラート」という)を模擬したユーザーが認識可能なデバイスイベント遷移情報を作成する処理部である。
【0024】
次に、本発明の実施形態に係るジョブ模擬実行の手順について図2を用いて説明する。まず、ユーザーは、操作端末100の操作表示部130から印刷ジョブの実行要求を行うと、操作表示部130からジョブ実行要求が制御部110に出力され、制御部110がジョブ実行要求を印刷ジョブ実行要求データ保存エリア121に保存し、ドライバー部111aに出力する。また、ユーザーは、シミュレーター装置200の操作表示部230からステータス遷移頻度及び印刷エラー発生確率を入力すると、操作表示部230からステータス遷移頻度及び印刷エラー発生確率がユーザーインターフェース部211cに出力される。以下、図2に示すステップ順に説明する。
【0025】
(ステップS101)
まず、操作端末100において、ドライバー部111aは、印刷ジョブ実行要求を操作表示部130から入力する。
【0026】
(ステップS102)
次いで、ドライバー部111aは、印刷ジョブ実行要求の印刷ジョブをランゲージモニター部111bに出力する。
【0027】
(ステップS103)
次いで、ランゲージモニター部111bは、印刷ジョブを入力すると印刷ジョブのジョブ識別IDを取得し、ジョブ識別IDをサービス部111cに出力する。
【0028】
(ステップS104)
次いで、ランゲージモニター部111bは、印刷ジョブをPJLデータに変換してジョブ識別IDを設定すると、シミュレーター装置200のポート部211aに送信する。
【0029】
(ステップS105)
次いで、サービス部111cは、ランゲージモニター部111bからジョブ識別IDを入力すると、ジョブ識別IDの印刷ジョブに対する実行要求となるイベント情報をシミュレーター装置200のイベンティングサーバー部211bに送信する。
【0030】
(ステップS106)
次いで、シミュレーター装置200において、ポート部211aは、PJLデータを受信すると、PJLデータをPJLパーサー部211fに出力する。
【0031】
(ステップS107)
次いで、ユーザーインターフェース部211cは、ユーザーが操作表示部230から設定したステータス遷移頻度及び印刷エラー発生確率を入力する。
【0032】
(ステップS108)
次いで、ユーザーインターフェース部211cは、ステータス遷移頻度をジョブステータス部211dに出力する。
【0033】
(ステップS109)
次いで、ユーザーインターフェース部211cは、印刷エラー発生確率をデバイスアラートパブリッシャー部211hに出力する。
【0034】
(ステップS110)
次いで、ジョブステータス部211dは、ステータス遷移頻度に基づいて印刷ジョブのステータスを実行待ち、実行中、または実行完了などに模擬的に自動遷移させる。
【0035】
(ステップS111)
次いで、PJLパーサー部211eは、ポート部211aからPJLデータを入力すると、PJLデータを実行可能なデータに変換してジョブ識別IDを取り出し、ジョブステータスシミュレーター部211fに出力する。
【0036】
(ステップS112)
次いで、ジョブステータスシミュレーター部211fは、PJLパーサー部211eからジョブ識別IDを入力し、また、ジョブステータス部211dから印刷ジョブの模擬的なステータス遷移を入力すると、ジョブ識別IDに対するステータス遷移を設定した印刷ジョブステータス遷移データを作成し、ジョブイベントパブリッシャー部211gに出力する。
【0037】
(ステップS113)
次いで、ジョブイベントパブリッシャー部211gは、ジョブステータスシミュレーター部211fから印刷ジョブステータス遷移データを入力すると、ユーザーが認識可能な印刷ジョブイベント遷移情報に変換し、イベンティングサーバー部211bに出力する。
【0038】
(ステップS114)
次いで、デバイスアラートパブリッシャー部211hは、ユーザーインターフェース部211cから印刷エラー発生確率を入力すると、印刷エラー発生確率からユーザーが認識可能なデバイスイベント遷移情報を作成し、イベンティングサーバー部211bに出力する。
【0039】
(ステップS115)
次いで、イベンティングサーバー部211bは、ステップS105で操作端末100から送信されたイベント情報を受信し、またジョブイベントパブリッシャー部211gから印刷ジョブイベント遷移情報と、デバイスアラートパブリッシャー部211hからデバイスイベント遷移情報を入力すると、これらの情報を設定したイベント遷移情報を、イベント情報を送信した操作端末100のサービス部111cに送信する。また、イベンティングサーバー部211bは、イベント遷移情報を印刷ジョブイベント遷移情報データ保存エリア221に保存する。
【0040】
(ステップS116)
サービス部111cは、イベンティングサーバー部211bからイベント遷移情報を入力すると、イベント遷移情報をステータスモニター部111dに出力する。
【0041】
(ステップS117)
ステータスモニター部111dは、サービス部111cからイベント遷移情報を入力すると、操作表示部130に表示する。
【0042】
以上のような実施形態のシミュレーターシステム10において、シミュレーター装置200の操作表示部230からユーザーがステータス遷移頻度を設定することで、ジョブステータス部211dがステータス遷移頻度により印刷ジョブのステータスを実行待ち、実行中、または実行完了に模擬的に自動遷移させることができる。これにより、ジョブステータスシミュレーター部211fがジョブ識別IDに対応する印刷ジョブのステータス遷移を模擬することができる。また、シミュレーター装置200の操作表示部230からユーザーが印刷エラー発生確率を設定すると、デバイスアラートパブリッシャー部211hが印刷エラー発生確率によりデバイスにイベントが発生したときに出力されるデバイスアラートを模擬することができる。従って、印刷ジョブ実行要求処理部111を図2に示すようなソフトウェア構成とすることで、ユーザーは、印刷ジョブを模擬的に実行する処理を行い、また印刷ジョブやデバイスのステータスを実際に遷移しているように確認することができる。また、印刷模擬実行処理部211を図2に示すようなソフトウェア構成とすることで、印刷ジョブとデバイスのステータスを実際に遷移しているように模擬することができる。
【0043】
なお、実施形態のシミュレーターシステム10においては、1台の操作端末100と1台のシミュレーター装置200により構成される例について説明したが、この構成に限定されず、例えば、複数の操作端末100と1台のシミュレーター装置200、または複数の操作端末100と複数のシミュレーター装置200を備える構成とすることも可能である。このように複数の操作端末100を備えるときには、操作端末100からシミュレーター装置200にジョブ識別IDだけでなく操作端末100の識別IDを送信することで、シミュレーター装置200は、PJLデータとイベント情報を送信した操作端末100に対してイベント遷移情報を送信することができる。
【0044】
また、実施形態の操作端末100の印刷ジョブ実行要求処理部111には印刷ジョブ実行要求データが保存され、シミュレーター装置200の印刷ジョブイベント遷移情報保存エリア221には、印刷ジョブイベント遷移情報が保存されるので、ユーザーは印刷ジョブをシミュレーション装置200で実行させたシミュレーション結果を容易に検証することができる。
【0045】
また、実施形態においては、印刷ジョブの実行要求を模擬する処理について説明したが、これに限定されず、文書データを画像データに変換するジョブや画像データをFAXで送信するジョブなどの画像形成装置で実行可能なジョブを模擬することができる。また、このように異なる要求種別のジョブを模擬するときには、ユーザーはステータス遷移頻度や印刷エラー発生確率をそのジョブに対応したステータス遷移頻度やエラー発生確率に変更することができる。
【0046】
このような本発明のシミュレーション装置及びシミュレーションシステムは、実際の画像形成装置や高価なハードウェア資源を備える装置を用いることなく、汎用のPCを画像形成装置のシミュレーター装置として使用することができるので、コストをかけずにドライバーの確認試験を実施することができる。
【0047】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、画像形成装置の模擬に好適であるが、画像形成装置に限られるものではなく、ジョブを実行できる装置一般の模擬に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10・・・・・シミュレーターシステム
100・・・・・操作端末(PC)
110・・・・・制御部
111・・・・・印刷ジョブ実行要求処理部
111a・・・・ドライバー部
111b・・・・ランゲージモニター部
111c・・・・サービス部
111d・・・・ステータスモニター部
120・・・・・補助記憶部
121・・・・・印刷ジョブ実行要求データ保存エリア
130・・・・・操作表示部
140・・・・・ネットワーク通信部
200・・・・・シミュレーター装置
210・・・・・制御部
211・・・・・印刷ジョブ模擬実行処理部
211a・・・・ポート部
211b・・・・イベンティングサーバー部
211c・・・・ユーザーインターフェース部
211d・・・・ジョブステータス部
211e・・・・PJLパーサー部
211f・・・・ジョブステータスシミュレーター部
211g・・・・ジョブイベントパブリッシャー部
211h・・・・デバイスアラートパブリッシャー部
220・・・・・補助記憶部
221・・・・・印刷ジョブ実行結果データ保存エリア
230・・・・・操作表示部
240・・・・・ネットワーク通信部
300・・・・・ネットワーク
図1
図2