(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式IIの化合物をシリカ、シリカアルミネート及びアルミナから選ばれた無機支持体と反応させ、その反応を10分〜48時間にわたって20〜150℃で行なって反応生成物を生成する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
反応生成物を10分〜48時間にわたって20〜140℃でシリカ、シリカアルミノネート及びアルミナから選ばれた無機支持体と反応させる、請求項8又は9のいずれか1項記載の方法。
請求項1から13のいずれか1項記載の方法により得られる化合物を使用してその化合物を反応中に一種以上の反応体と接触させることにより反応を触媒作用することを含むことを特徴とする、酸触媒反応又は不均一触媒反応の供給原料を処理するための方法。
i)カルボン酸又は反応可能なカルボキシレート部分を含む化合物、及びii) アルコール基を含む化合物を含む供給原料を請求項1から13のいずれか1項記載の方法により得られる化合物をその供給原料と接触させることにより処理してカルボン酸又は反応可能なカルボキシレートを含む化合物をエステル化することを含む、請求項14又は15記載の方法。
【背景技術】
【0002】
化学工業では均一試薬及び触媒を置換するのに有効な不均一触媒についての増大する要求がある。この要求は一層厳格な環境規制、エネルギー消費を低下しようとする積極的な努力とともに固体及び液体の廃棄物レベルを回避し、低減する必要の結果である。例えば、硫酸、フッ化水素又はリン酸を置換し得る有効な不均一酸触媒についての要望がある。追加の利点として、処理の容易なことが挙げられる。何とならば、不均一酸触媒は直ぐに分離し得るが、一方、均一触媒は徹底的な処理及び分離を必要とし、こうして追加の廃棄物を生じるからである。更なる利点として、不均一触媒を再使用し得ること、所望の生成物の製造についての選択性並びに高い熱安定性及び物理的安定性が挙げられる。更なる潜在的な利点として、副反応を回避するように酸の強さを調整することが挙げられる。例えば、硫酸は精製される必要がある着色された生成物をしばしば生成する。その追加の精製方法は追加の廃棄物を不可避に生成し、また追加のエネルギー消費を不可避に必要とする。
スルホン酸含有ポリマー及びこれらの物質は金属イオンの除去による水性流の精製を含む種々の目的のために使用され、また固体酸触媒として使用される。最も普通の物質はスルホン化ポリスチレンポリマーをベースとする。このようなポリスチレンをベースとする系の化学的性質及び物理的性質がバイオ-ラド・ライフ・サイエンス・リサーチ・プロダクツカタログ1998/99、56-64 頁に記載されている。しかしながら、これらのポリスチレン樹脂の物理的性質及び化学的性質は欠点、例えば、有機ポリマー主鎖のためであると考えられる不十分な化学安定性及び熱安定性を有し得る。追加の問題、例えば、有機溶媒中の膨潤及び収縮だけでなく、高度に着色された望まれない副生物の生成がまた見られるかもしれない。膨潤は反応器のスペース使用効率及び生成収率に問題を生じるかもしれない。一般に、それらの不十分な熱安定性のために、これらのポリスチレン樹脂は80℃より上で時間の長さにわたって使用できず、こうしてそれらの一般の適用化能性を制限する。
【0003】
無機ポリマー系、例えば、シリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタンがまた機能化物質として開示されていた。活性官能基又は金属が種々の手段によりこれらの系に結合し得る。しかしながら、官能基が物理的に吸着されているにすぎない場合には多くの問題、例えば、低い官能基ローディング、使用し得る溶媒の範囲の制限、及び使用中又は放置時の官能基の除去が見られるかもしれない。これは官能基と支持体の表面原子の間のかなり弱い結合のためであると考えられる。フレームワークへの官能基のビルディングが一層丈夫な物質を与えるかもしれず、また一層高い官能基ローディングを可能にするかもしれない。しかしながら、このアプローチでは、出発物質だけでなく、このような出発物質を調製するための前駆体を直ぐに入手し得ることの重大な欠如がある。加えて、入手し得る前駆体からの好適な出発物質の調製のための合成方法が制限される。このような機能化物質をつくるために新規合成方法だけでなく、出発化合物を提供するようにとの要望が存する。加えて、たとえ、このような基質が入手し得るとしても、所望の固体物質をつくるための方法が不可避に多工程であり、複雑であり、しかも低収率そしておそらく精製し得ない生成物の低い官能基ローディングをもたらす。
【0004】
シリカに結合されたプロピルスルホン酸をベースとする酸触媒が米国特許第4552700号に報告されていた。これらの触媒をつくるための記載された方法は多くの化学工程及び中間体単離を伴ない、結果として、かなりのコスト及び製造の問題を有する。実際に、これらの方法はプロピルスルホン酸物質の調製に制限される。シリカに結合されたエチルスルホン酸をつくるための既存の化学は更に一層制限される。一つの可能なアプローチは最初に中間体(R
1O)
3SiCH
2CH
2SH又は[(R
1O)
3SiCH
2CH
2]
2S
nをつくり、単離するための多工程プロセス、続いて酸化及びグラフト化を伴なう。中間体が不安定かつ直ぐに入手し得ない(R
1O)
3SiCH
2CH
2Clとの反応により低収率で生成し得る。これは現実的な工業的方法ではない。これらの中間体の合成が1968年にGornowiczら著J.Org.Chem 1968. 33, 2918-2924に報告され、再度精製工程を含む多工程化学方法を伴なった。ビニルトリメトキシシランがチオ酢酸とアゾビスイソブチロニトリルの加熱混合物に添加されて(CH
3O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)CH
3と(CH
3O)
3SiCH(CH
3)S-C(=O)CH
3の混合物を得た。次いで蒸留が(CH
3O)
3SiCH
2CH
2S-C(=O)CH
3をその副生物(CH
3O)
3SiCH(CH
3)S-C(=O)CH
3から分離するために必要とされた。第二工程は所望の化合物(CH
3O)
3SiCH
2CH
2SHを生成するためにナトリウムメトキシドによるこれらの化合物の処理を伴なった。(CH
3O)
3SiCH
2CH
2SHを調製するための別の方法がGB791609に記載された。この場合には、ビニルトリエトキシシランが紫外線の下で硫化水素とともに還流された。この方法の欠点はその反応が紫外線の不在下で非常に遅く起こることであり、この方法は大規模製造に適さない。
所望の中間体(R
1O)
3SiCH
2CH
2SO
3Hへの(R
1O)
3SiCH
2CH
2SH又は[(R
1O)
3SiCH
2CH
2]
2S
nの酸化は問題があり、この化学変換の成功の報告が文献に見られなかった。同様に、シラノール(HO)
3SiCH
2CH
2SO
3Hについての言及が見られなかった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施態様において、式IIの化合物の前駆体がビニルトリメトキシシラン及びチオ酢酸を含み、これらが一緒に反応させられ、次いでシリカ及び硝酸と接触させられて式Iの化合物を生成する。
更に、本発明は式I:
[(O
3/2)SiCH
2CH
2SO
3X]a[Si(O
4/2)]
b[VSi(O
3/2)]
c
[式中、
XはH、又はM(この場合、Mは遷移金属塩又は塩基金属塩である)であり、Vは必要により置換されていてもよく、かつC
1-22-アルキル基、C
1-22-アルキルアリール基、アリール基、C
2-20-アルキルスルフィドC
1-22アルキル基、C
2-20-アルキレンスルフィドアルキル基、C
2-20-アルキルスルフィドアリール基、C
2-20-アルキレンスルフィドアリール基から選ばれる基であり、そのシリケート酸素原子の自由原子価が
式Iのその他の基のケイ素原子、水素、線状もしくは分岐C
1-22-アルキル基、末端基R
3M
1O
1/2、架橋ブリッジ員の1個以上により、或いは鎖R
qM
1(OR
1)
gO
k/2もしくはAl(OR
1)
3-hO
h/2又はRAl(OR
1)
2-rO
r/2
(式中、M
1はSi又はTiであり、R及びR
1は独立に線状もしくは分岐C
1-12アルキル基、アリール基及びC
1-22アルキルアリール基から選ばれ、
kは1から3までの整数であり、qは1から2までの整数であり、かつgは0から2までの整数であり、その結果、g+k+q=4であり、
hは1から3までの整数であり、かつ
rは1から2までの整数である)、又は
オキソ金属橋かけ系(その金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)により飽和され、
a、b及びcはa:bの比が0.00001から100000までであり、a及びbが常に存在し、またcが0より大きい場合には、c対a+bの比が0.00001から100000までであるような整数である]
の化合物の製造方法を提供する。
末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖が使用される場合には、末端基、架橋剤又はポリマー鎖対a+b+cの比が0から999:1まで、好ましくは0,001から999:1まで、特に0.01から99:1までであることが好ましい。
【0009】
C
1-22-アルキル基、C
2-22-アルケニル基、C
2-22-アルキニル基、アリール基及びC
1-22-アルキルアリール基から選ばれる必要により置換されていてもよい線状又は分岐基、R基及びR
1基は独立に線状又は分岐であってもよく、かつ/又は1個以上の置換基で置換されていてもよいが、好ましくは水素原子及び炭素原子のみを含む。置換基が存在する場合、それらは独立にニトロ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルフィド、スルホキシド、スルホン、C
1-6-アルコキシ、C
1-22-アルキル又はアリール二置換ホスフィン、アミノ、アミノC
1-22-アルキルもしくはアミノジ(C
1-22-アルキル)又はC
1-22-アルキルホスフィン基もしくはホスホン基から選ばれてもよい。
C
1-22-アルキル基、C
2-22-アルケニル基、C
2-22-アルキニル基、アリール基及びC
1-22-アルキルアリール基から選ばれる必要により置換されていてもよい線状又は分岐基、R及びR
1が独立に線状又は分岐C
1-22望ましくはC
1-12-アルキル、C
2-22-望ましくはC
2-12-アルケニル、アリール及びC
1-22-アルキルアリール基から選ばれることが好ましく、これらの基が独立に線状又は分岐C
1-8-アルキル基、C
2-8-アルケニル基、アリール基及びC
1-8-アルキルアリール基から選ばれることが特に好ましい。
【0010】
好適な基R及びR
1が独立にC
1-6-アルキル基、例えば、メチル基もしくはエチル基、又はフェニル基である。qが0から2までであり、kが1から3までであり、かつgが0であることが好ましく、但し、g+k+q=4であることを条件とする。
好適なアルキル基の例として、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、n-デシル、n-ドデシル、シクロヘキシル、n-オクチル、シクロオクチル、イソ-オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソ-オクタデシル及びドコシルが挙げられる。好適なアルケニル基の例として、エテニル、イソ-プロペニル、シクロヘキセニル、オクテニル、イソ-オクテニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イソ-オクタデセニル及びドコセニルが挙げられる。
C
1-6-アルコキシは1個から6個までの炭素原子を有し、酸素原子に結合された直鎖又は分岐炭化水素鎖を表す。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ及びn-ブトキシが挙げられる。
アリールという用語は5員もしくは6員環状基、8-10員二環式基又は10-13 員三環式基(芳香族の特徴を有する)を表し、1個以上のヘテロ原子、例えば、N、O又はSを含む系を含む。好適なアリール基の例として、フェニル、ピリジニル、及びフラニルが挙げられる。“アルキルアリール”という用語が本明細書に使用される場合、その直前の炭素原子範囲はアルキル置換基のみに言及し、アリール炭素原子を含まない。好適なアルキルアリール基の例として、ベンジル、フェニルエチル及びピリジルメチルが挙げられる。
cが0であり、かつb:aの比が10,000から0.2までである化合物が好ましい。
【0011】
本発明の目的は生成物収率、コスト、規模及び/又は純度が商業上満足であり、かつ従来技術に対し改良されている式Iの化合物の製造に都合の良い工業規模の方法を提供することである。
いずれかの理論により束縛されたくないが、新規方法はビニルトリアルコキシシランへのチオアルカン酸のラジカル付加により進行して式II(R
1O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)R
2の化合物を提供すると考えられる。R
2に適した基はC
1-12-アルキル基又はアリール基であり、好ましい例はメチル、エチル又はフェニル基である。
一つの方法では、20-130℃の温度で0.1-48時間にわたる硝酸による(R
1O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)R
2(式中、R
1及びR
2の両方がメチルである)の処理、続いて60-130℃の温度で1-48時間にわたる溶媒、例えば、水又はトルエン(これらに限定されない)中のシリカの如き無機物質とのグラフト化反応が式Iの化合物(式中、cが0である)を生じる。無機物質とのグラフト化反応における化合物(R
1O)
3SiVのとり込みは式Iの化合物(式中、cが0より大きい)をつくるための方法を与える。この方法の利点として、単離及び精製を必要としない1工程反応における所望の中間体への式IIの化合物の脱保護及び酸化が挙げられ、その所望の中間体は水の如き安価な溶媒中で何らかの操作なしに向き物質に直ぐにグラフト化し得る形態であり、成分cがその方法に直ぐに添加でき、その製造がスケールアップでき、関係する中間体の単離なしで一つの反応器中で行なうことができ、その方法が高い生成物収率で進行する。
【0012】
また、本発明は式Iの化合物の新規前駆体化合物を提供し、その前駆体は式III[(R
4O)
3SiCH
2CH
2SO
3X](式中、XはH又はM(この場合Mは塩基又は遷移金属イオンである)から選ばれ、かつR
4は水素及びC
1-22アルキル基から選ばれる)のものである。
また、本発明は式IIの化合物を60-130℃の温度で0.1-12時間にわたって20-100%の硝酸と反応させることを含む式III[(R
4O)
3SiCH
2CH
2SO
3X]の化合物の製造方法を提供する。
これらの方法の別の変化において、0-110℃の温度で1-48時間にわたって硫酸を含む過酸化水素溶液による(R
1O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)R
2の処理、続いて60-130℃の温度で1-48時間にわたって溶媒、例えば、水(これに限定されない)中のシリカの如き無機物質とのグラフト化反応が式Iの化合物(式中、cが0である)を生じる。無機物質との反応における(R
1O)
3SiVの如き化合物のとり込みが式Iの化合物(式中、cが0より大きい)をつくるための方法を与える。
【0013】
別の方法において、60-130℃の温度で1-48時間にわたって溶媒又は溶媒の組み合わせ中のシリカの如き無機物質による式II (R
1O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)R
2の化合物の処理、続いて濾過、洗浄次いで20-130℃の温度で0.1-48時間にわたって硝酸との反応が式Iの化合物(式中、cが0である)を生じる。無機物質との反応における化合物(R
1O)
3SiVのとり込みが式Iの化合物(式中、cが0より大きい)をつくるための方法を与える。
これらの方法の利点は脱保護及び酸化が1工程で行い得ることを含み、成分cがその方法に直ぐに添加されて式Iの化合物(式中、cが0より大きい)をもたらすことができ、その製造がスケールアップでき、関係する中間体を単離しないで行なうことができ、その方法が高い生成物収率で進行する。
これらの方法における硝酸の濃度は20%から100 %まで変化でき、50-70 %が好ましい。
広範囲の溶媒及び溶媒の組み合わせが中間体と無機物質の間のグラフト化反応に使用でき、脂肪族又は芳香族炭化水素、アルコール、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、及び水が挙げられる。好ましい溶媒はトルエン及びキシレンである。好ましい無機物質として、シリカ、アルミナ及びシリカアルミネートが挙げられる。
式Iの化合物はまたシリカフレームワークの生成のためのゾルゲル方法を使用して調製し得る。20-100℃の温度で1-48時間にわたる硝酸による式II (R
1O)
3SiCH
2CH
2SC(=O)R
2の化合物の処理から得られた溶液が水性アルコール溶媒中でテトラメチルオルトシリケートと合わされる。その溶液が20-80 ℃で1〜30日間放置され、得られる固体が乾燥され、洗浄され、式Iの化合物(式中、c=0)の所望の粒子サイズに微粉砕された。式Iの化合物(式中、cが0より大きい)がテトラエチルオルトシリケートとともに(R
1O)
3SiVの添加により生成される。
【0014】
また、本発明は式I:
[(O
3/2)SiCH
2CH
2SO
3H]
a[Si(O
4/2)]
b[VSi(O
3/2)]
c
[式中、
Vは必要により置換されていてもよく、かつC
1-22-アルキル基、C
1-22-アルキルアリール基、アリール基、C
2-20-アルキルスルフィドC
1-22アルキル基、C
2-20-アルキレンスルフィドアルキル基、C
2-20-アルキルスルフィドアリール基、C
2-20-アルキレンスルフィドアリール基から選ばれる基であり、そのシリケート酸素原子の自由原子価が
式Iのその他の基のケイ素原子、水素、線状もしくは分岐C
1-22-アルキル基、末端基R
3M
1O
1/2、架橋ブリッジ員の1個以上により、或いは鎖R
qM
1(OR
1)
gO
k/2もしくはAl(OR
1)
3-hO
h/2又はRAl(OR
1)
2-rO
r/2
(式中、M
1はSi又はTiであり、R及びR
1は独立に線状もしくは分岐C
1-12アルキル基、アリール基及びC
1-22アルキルアリール基から選ばれ、
kは1から3までの整数であり、qは1から2までの整数であり、かつgは0から2までの整数であり、その結果、g+k+q=4であり、
hは1から3までの整数であり、かつ
rは1から2までの整数である)、又は
オキソ金属橋かけ系(その金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)により飽和され、
a、b及びcはa:bの比が0.00001から100000までであり、a及びbが常に存在し、またcが0より大きい場合には、c対a+bの比が0.00001から100000までであるような整数である]
の新規化合物を提供する。
末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖が使用される場合には、末端基、架橋剤又はポリマー鎖対a+b+cの比が0から999:1まで、好ましくは0,001から999:1まで、特に0.01から99:1までであることが好ましい。
【0015】
本発明の式Iの化合物は触媒、特に不均一酸触媒としての使用に適している。式Iの化合物は還元、脱離、アルキル化、重合、アリール化、アシル化、異性化、エステル化、エステル交換、脱離又は転位反応の供給原料の処理に適している。好適には、供給原料が処理され、その反応が本発明の方法により得られる化合物を使用してその化合物を供給原料中の一種以上の反応体と接触させてその反応を触媒作用することにより行なわれる。
好ましい実施態様において、その方法がi)カルボン酸又は反応可能なカルボキシレート部分を含む化合物、及びii) アルコール基を含む化合物を含む供給原料を本発明の方法により得られる化合物で処理し、その化合物及び供給原料を接触させてカルボン酸又は反応可能なカルボキシレート部分を含む化合物をエステル化することを含む。カルボン酸がC
1-22カルボン酸、好ましくはC
6-22カルボン酸を含むことが好ましい。好適なカルボン酸及び反応可能なカルボキシレート部分の例として、マレイン酸、無水酢酸、ドデカン酸、オクタン酸、オレイン酸が挙げられる。
【0016】
好適には、アルコール含有化合物がポリアルキレングリコール(好ましくは1〜100 のアルキレンオキサイド単位を有する)、例えば、400 の平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。アルコールはポリオール、好ましくはグリセロール、グリコール、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールを含んでもよい。アルコールはC
1-C
22、好ましくはC
6-C
12モノアルコールであってもよく、線状、例えば、オクタン-1-オール、又は分岐、例えば、2-エチルヘキサノールであってもよい。
式Iの化合物(式中、Xが水素である)は多種の反応、特に通常酸触媒作用される反応、例えば、アルデヒドとケトンの縮合反応、ケタール化及びアセタール化反応、オレフィンの脱水、広範囲の転位反応及びフラグメント化反応、異性化、エステル化及びカルボン酸エステルのエステル交換を触媒作用するのに有益であることがわかった。特別な利点は物質が安定なシリカフレームワーク及び反応が高温及び高圧で行なわれることを可能にするスルホン酸基の強い酸強度の利点を併有することである。
本発明が今本発明の例示実施例を参照して詳しく記載されるであろう。
【0017】
実施例1
ビニルトリメトキシシラン(42.9mL、240 ミリモル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(2mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(26.6mL、312 ミリモル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、210mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で510mLの容積に希釈した。シリカ(171g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x500mL)次いでメタノール(3x500mL)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、c=0)を得た。
【0018】
実施例2
ビニルトリメトキシシラン(42.9mL、240 ミリモル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(2mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(26.6mL、312 ミリモル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持した。次いでディーン-スタークヘッドを追加し、過剰のチオ酢酸(7mL)を蒸留により除去した。その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、210mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で490mLの容積に希釈した。シリカ(180g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x500mL)次いでメタノール(3x500mL)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、c=0)を得た。
【0019】
実施例3
ビニルトリメトキシシラン(166.5mL、1.09モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(5mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(100mL、1.42モル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、470mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で2.34Lの容積に希釈した。ブチルトリメトキシシラン(9.72g、54.5ミリモル)及びシリカ(779g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x2.3L)次いでメタノール(2x2.3L)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、Vがブチルである)を得た。
【0020】
実施例4
ビニルトリメトキシシラン(83.3mL、545 ミリモル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(2mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(50.0mL、710 ミリモル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計6時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、230mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で500mLの容積に希釈した。メタノール(500mL)中のテトラエチルオルトシリケート(363mL、1.64モル)の溶液を添加し、その混合物を14日間にわたって50-60 ℃で加熱した。固体を粉砕し、水次いでメタノールで洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、c=0)を得た。
【0021】
実施例5
ビニルトリメトキシシラン(17.1mL、95ミリモル)及び及びチオ酢酸(10.6mL、125ミリモル)の混合物を合計7時間にわたって室温(18-28 ℃)でUV照射して撹拌した。次いでその溶液を濃硝酸の撹拌溶液(68%、85mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で200 mLの容積に希釈した。シリカ(65g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x200mL)次いでメタノール(3x200mL)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、c=0)を得た。
【0022】
実施例6
75 Lの反応器にチオ酢酸(6.93kg、91モル)及びトルエン(10.70L)を添加した。撹拌を適用し、その溶液を90℃に加熱した。ビニルトリメトキシシラン(10.37kg、70モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(150mL)を30分間にわたって徐々に添加した。tert-ブチルペルオキシド(合計で400mL)を毎時添加しながらその溶液を更に4時間にわたってこの温度で還流下で撹拌し、次いで冷却した。この溶液を500Lの反応器中のシリカ(50kg)及びトルエン(120L)の撹拌混合物に添加した。その混合物を4時間にわたって加熱、還流し、その反応で生成されたメタノールを除去した。その混合物を冷却し、濾過した。固体をメタノールで洗浄し、乾燥させた。次いで固体を4時間にわたって114 ℃の硝酸の撹拌溶液(69%、150L)に添加して式Iの物質(式中、c=0)(56.5kg)を得た。
【0023】
実施例7
ビニルトリメトキシシラン(1.037kg、7モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(150mL)を90℃でメルカプト酢酸(0.693kg、9.1モル)及びトルエン(1.7L)の撹拌溶液に添加した。その溶液を4時間にわたって還流下で撹拌し、次いで室温に冷却した。ドデシルトリメトキシシラン(0.1モル)とともにこの溶液をシリカ(5kg)及びトルエン(12L)の撹拌混合物に添加した。その混合物を4時間還流し、この期間中にその反応で生成されたメタノールを除去した。その混合物を冷却し、濾過した。固体をメタノールで洗浄し、乾燥させた。次いで固体を4時間にわたって114 ℃の硝酸の撹拌溶液(69%)に添加して式Iの物質(式中、Vがドデシルである)(56.5kg)を得た。
【0024】
実施例8
ビニルトリメトキシシラン(166.5mL、1.09モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(5mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(100mL、1.42モル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、470mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で2.34Lの容積に希釈した。2-オクチルスルフィドエチルトリメトキシシラン(54.5ミリモル)及びシリカ(779g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x2.3L)次いでメタノール(2x2.3L)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、Vが2-オクチルスルフィドエチルである)を得た。
【0025】
実施例9
ビニルトリメトキシシラン(166.5mL、1.09モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(5mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(100mL、1.42モル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、次いで濃硝酸の撹拌溶液(68%、470mL)に室温で滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を更に90分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で2.34Lの容積に希釈した。2-オクタデシルスルフィドエチルトリメトキシシラン(54.5ミリモル)及びシリカ(779g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x2.3L)次いでメタノール(2x2.3L)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、Vが2-オクタデシルスルフィドエチルである)を得た。
【0026】
実施例10
ビニルトリメトキシシラン(166.5mL、1.09モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(5mL)の混合物を20分間にわたってチオ酢酸(100mL、1.42モル)の撹拌溶液に還流温度(86℃)で滴下して添加した。還流を合計3時間にわたって維持し、その溶液を冷却し、水中の硫酸(10%、450mL)に添加した。過酸化水素(30%、376mL、4.36モル)を滴下して添加した。添加が完結した後、その混合物を30分間にわたって加熱、還流し、次いで脱イオン水で2.34Lの容積に希釈した。シリカ(779g)を添加し、その混合物を6時間にわたって還流して撹拌し、次いで冷却した。濾過した固体を水(3x2.3L)次いでメタノール(2x2.3L)で洗浄し、乾燥させて式Iの化合物(式中、c=0)を得た。
【0027】
実施例11
マレイン酸(23.2g、0.2モル)、2-エチルヘキサノール(78.10g、0.6モル)、及び実施例1からの化合物(0.38g、0.4質量%)の混合物を減圧(約200 ミリバール)下で撹拌しながら油浴で130 ℃で加熱した。18時間後、その混合物を冷却し、濾過して触媒を回収し、分析して存在する97%のジエステルを示した。
【0028】
実施例12
マレイン酸(23.2g、0.2モル)、2-エチルヘキサノール(78.10g、0.6モル)、及び実施例3からの化合物(0.38g、0.4質量%)の混合物を減圧(約200 ミリバール)下で撹拌しながら油浴で120 ℃で加熱した。18時間後、その混合物を冷却し、濾過して触媒を回収し、存在する97%のジエステルを分析した。
【0029】
実施例13
オレイン酸(42.0g、148ミリモル)、グリセロール(8.0g、87ミリモル)、及び実施例8からの化合物(0.5 g、1質量%)の混合物を穏やかな窒素流(約0.1L/分)下で撹拌しながら150 ℃に加熱した。24時間後、その混合物を冷却し、触媒を濾別した。淡黄色の油を通常の滴定技術により分析し、<0.1のヒドロキシ価を有することがわかった。
【0030】
実施例14
オレイン酸(42.0g、148ミリモル)、グリセロール(8.0g、87ミリモル)、及び実施例1からの化合物(0.5 g、1質量%)の混合物を穏やかな窒素流(約0.1L/分)下で撹拌しながら150 ℃に加熱した。24時間後、その混合物を冷却し、触媒を濾別した。淡黄色の油を通常の滴定技術により分析し、<0.1のヒドロキシ価を有することがわかった。
【0031】
実施例15
ドデカン酸(19.4g、96.9ミリモル)、ポリ(エチレングリコール)(平均分子量400、22.4g、56.0ミリモル)、及び実施例1からの化合物(0.4 g、1質量%)の混合物を穏やかな窒素流下で撹拌しながら油浴で120 ℃で加熱した。21時間後、その混合物を冷却し、濾過して触媒を回収し、分析してドデカン酸の完全な転化を示した。
【0032】
実施例16
ドデカン酸(19.4g、96.9ミリモル)、ポリ(エチレングリコール)(平均分子量400、22.4g、56.0ミリモル)、及び実施例6からの化合物(0.4 g、1質量%)の混合物を穏やかな窒素流下で撹拌しながら油浴で120 ℃で加熱した。21時間後、その混合物を冷却し、濾過して触媒を回収し、分析してドデカン酸の完全な転化を示した。
【0033】
実施例17
オクタン酸(46.2g、320ミリモル、3.2当量)、トリメチロールプロパン(13.8g、103ミリモル、1当量)、及び実施例1からの化合物(0.06 g、0.1質量%)の混合物を撹拌しながら油浴で140 ℃で加熱した。24時間後、その混合物を冷却し、濾過して触媒を回収し、分析してジエステル(17%)及びトリエステル(83%)へのアルコールの完全な転化を示した。
【0034】
実施例18
1-オクタノール(40mL、252ミリモル)、無水酢酸(26mL、278ミリモル)、及び実施例1からの化合物(0.6 g、1質量%)の混合物を16℃で2時間撹拌した。その溶液を濾過し、過剰の無水酢酸を蒸留により除去して1-オクチルアセテートを唯一の生成物として得た。
【0035】
実施例19
75Lの反応器にチオ酢酸(6.93kg、91モル)及びトルエン(10.70L)を添加した。撹拌を適用し、その溶液を90℃に加熱した。ビニルトリメトキシシラン(10.37kg、70モル)及びジ-tert-ブチルペルオキシド(150mL)を30分間にわたって徐々に添加した。ジ-tert-ブチルペルオキシド(合計で400mL)を毎時添加しながらその溶液を更に4時間にわたって還流下で撹拌し、次いで冷却した。この溶液を500Lの反応器中のシリカ(50kg)及び硝酸 (120L)の撹拌混合物に添加した。その混合物を2〜6時間にわたって加熱、還流し、その反応で生成されたメタノールを除去した。その混合物を冷却し、濾過した。固体を水及びメタノールで洗浄し、乾燥させて式Iの物質(式中、c=0)(56.5kg)を得た。
触媒の安定性をメタノール中で200 時間還流することにより試験した。触媒はその試験前のローディングについてこの試験後に同様の最終の酸ローディングを有し、優れた安定性を示した。
【0036】
実施例20
混合物を12〜24時間還流した以外は、実施例19の操作を繰り返した。触媒の安定性を試験し、酸ローディングを保持することを示し、優れた安定性を示した。200 時間を越えて、触媒が実施例19の触媒よりも長い期間にわたってその酸ローディングを維持し、一層高いレベルの安定性を示した。