【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を、本発明の方法が、シャフトが第1の所定の速度値に達した時に燃焼が適切に行われない場合に実行される再試行ステップであって、
始動装置と点火装置が停止される停止ステップと、
燃料が燃焼室に噴射され、点火装置が作動される第2の点火ステップであって、シャフトの回転速度が第2の所定の速度値に達した時に実行される第2の点火ステップと、
シャフトを回転駆動するために始動装置が再度作動される第2の始動ステップと
を含む再試行ステップをさらに含むことにより達成する。
【0008】
したがって、再試行ステップは、タービンエンジンの点火が失敗した場合に実行される。
【0009】
点火ステップおよび始動ステップの時に、燃料は、主噴射装置によって噴射されるか、もしあれば、主噴射装置と同様に始動噴射装置によって噴射される。始動噴射装置は、主噴射装置と別個の装置としてもよいし、主噴射装置に組み込まれてもよい(2回路式主噴射装置)。
【0010】
タービンエンジンの点火不良は、本明細書では、シャフトが第1の所定の速度値に達した時に十分な熱を発生させる燃焼が行われていない状態として定義される。このような状況下では、シャフトの速度は、非常に遅い速度値と、第1の所定速度値と第2の所定の速度値との間にある他の速度値との間の値として定義された「始動」ウィンドウとして周知の速度ウィンドウ外にある。
【0011】
また、第2の点火ステップと第2の始動ステップは、減速ステップの後に実行される。
【0012】
したがって、再試行ステップは、
タービンエンジンの第1の点火が失敗した場合にタービンエンジンを新たに始動させるステップであることがわかる。このステップは、有利には、始動装置が停止された結果、シャフトの回転速度が減速し、再度点火ウィンドウに入るまで十分に減速した時に実行される。
【0013】
さらに、本発明により、シャフトの回転速度が点火ウィンドウ内でより長い時間維持されるので、始動の機会を最大にすることができる。
【0014】
本発明では、シャフトの回転速度は、第2の点火ステップを実行する前に始動装置を停止することによって点火ウィンドウに戻される。すなわち、シャフトは停止ステップ時に減速する。
【0015】
燃料の噴射は、停止ステップ時に停止されるのが好ましいが、これに限定されない。
【0016】
変形形態では、第2の点火ステップと第2の始動ステップは同時に実行されてもよい。
【0017】
好ましくは、限定的ではないが、ヘリコプタ式航空機のターボシャフトエンジンの場合、第1の所定の速度値は、最大エンジン速度の15%〜20%の範囲内にあり、第2の所定の速度値は、最大エンジン速度の10%〜15%の範囲内にある。
【0018】
有利には、停止ステップは、シャフトが第1の所定の速度値に達した時に測定された燃焼室の出口の温度が第1の所定の温度値未満である場合に実行される。
【0019】
燃焼室の出口で測定される温度は、燃焼が正確に行われているか(すなわち、主噴射装置(複数可)が正確に点火されているか否か、および/または始動噴射装置(複数可)が正確に点火されているか否か)を決定するという観点から有利な指標となる。
【0020】
したがって、第1の所定の温度値は、温度が燃焼室の出口で第1の所定の温度値より高い温度が測定された場合に、燃焼室は非常に高い確率で正確に点火されていることを示すように選択される。
【0021】
逆に、第1の所定の温度値未満の温度が測定された場合、非常に高い確率で燃焼室が点火されていないことになる。
【0022】
好ましくは、限定的ではないが、第1の所定温度値は、150℃〜250℃である。
【0023】
変形形態では、第1の所定の温度値は、第1の点火ステップの開始時のタービンエンジンの温度から決定される。例えば、第1の所定の温度値は、第1の始動の試みの開始時のタービンエンジンの温度より高い約100℃に相当する温度にしてもよい。
【0024】
したがって、第1の点火ステップ時に燃焼室の点火不良が生じ、この不良が燃焼室の出口の温度を測定することで検出された場合、始動装置と点火装置は、シャフトの速度が第2の所定の速度値未満になるまで停止され、その後、第2の点火ステップが実行される。
【0025】
有利には、第2の始動ステップは、第2の
点火ステップから一定の時間が経過した後に実行される。
【0026】
利点としては、シャフトの回転速度を再度上昇させる前に主噴射装置(または、もしあれば始動噴射装置)が正確に点火されるのを確認することで、燃焼室が点火されずに点火ウィンドウを再び出るリスクを抑えることができるということである。
【0027】
好ましくは、第2の始動ステップは、燃焼室の出口の温度が第2の所定の温度値に達した時に実行される。
【0028】
この検査により、主噴射装置および/または始動噴射装置が正確に点火されたか確認することができる。
【0029】
この第2の所定の温度値は、第1の所定の温度値未満である。第2の所定の温度値は、好ましくは、50℃〜150℃である。
【0030】
変形形態では、第2の所定の温度値は、第2の点火ステップの開始時のタービンエンジンの温度から決定される。例えば、第2の所定の温度値は、第2の点火ステップの開始時のタービンエンジンの温度より高い約25℃に相当する温度にしてもよい。
【0031】
有利には、第2の始動ステップは、第2の点火ステップと同時に実行される。
【0032】
第2の始動ステップ後、シャフトの速度は再度上昇し、本発明では、シャフトが第1の所定の速度値に再度達した時に燃焼室内で燃焼がまだ正確に行われていない場合、上述の再試行ステップが繰り返される。
【0033】
有利には、始動装置と点火装置は、シャフトが第3の所定の速度値に達した後に停止される。
【0034】
第2の所定の速度値より高い第3の所定の速度値は、シャフトの速度が第3の所定の速度値に達した時に、確実にタービンエンジンが自律的に動作するように選択される。
【0035】
この時点で、燃料は、主噴射装置のみによって噴霧される。
【0036】
好ましくは、第3の所定の回転速度値は、最大エンジン速度の30%〜65%である。
【0037】
変形形態では、再試行ステップは、連続して点火不良が発生した場合に複数回繰り返されてもよい。しかし、この再試行の回数を制限するのが有利であり、適切な制御手段によって自動的に行われるのが好ましい。非限定的な例として、ヘリコプタエンジンの場合、始動を試みるのは2回のみ(第1の始動ステップと再試行ステップ)とするのが好ましいが、これに限らない。
【0038】
好適な実施形態では、燃焼室はさらに始動噴射装置を含み、始動噴射装置は、主噴射装置(複数可)とは別個のものであるのが好ましい。第1の点火ステップ時に、始動噴射装置は、燃料を燃焼室に噴射する。
【0039】
したがって、この実施形態では、このようなタービンエンジン(例えば、ヘリコプタターボシャフトエンジンとしてよいが、これに限らない)は、始動噴射装置と呼ばれる1つまたは複数の専用噴射装置を利用して始動されることがわかる。タービンエンジンを始動させるために、これらの噴射装置からの火炎が主噴射装置(複数可)で構成される主噴射システムに連続して伝播される。
【0040】
この実施形態では、始動噴射装置は、停止ステップおよび再試行ステップの時に停止されるのが好ましいが、これに限らない。
【0041】
さらに、この実施形態では、始動噴射装置は、第2の点火ステップ時に燃焼室に燃料を噴射する。
【0042】
本発明はさらに、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される時に本発明の始動方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムに関する。本発明はさらに、上述のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0043】
最後に、本発明は、本発明の記憶媒体を含むタービンエンジンコンピュータを提供する。
【0044】
以下の非限定的な例として挙げられた実施形態の説明を読めば、本発明はより十分に理解され、本発明の利点はより明らかになるであろう。添付図面を参照しながら説明する。