(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5985533
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイのフレキシブル基板、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20160823BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20160823BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20160823BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20160823BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20160823BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20160823BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20160823BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H05B33/02
H05K3/46 B
H05K3/46 T
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/04
G09F9/00 338
G09F9/00 342
G09F9/00 302
G09F9/30 309
G09F9/30 317
G09F9/30 365
【請求項の数】32
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-89979(P2014-89979)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-37075(P2015-37075A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】201310349890.2
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514016599
【氏名又は名称】上海和輝光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】EVERDISPLAY OPTRONICS (SHANGHAI) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 添 旺
(72)【発明者】
【氏名】呉 建 霖
【審査官】
越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−517011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/10
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板を用意するステップと、
前記支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成するステップと、
前記第1のフレキシブル層の前記支持板側の反対側に、多層に堆積された薄膜からなるバリア層を形成するステップと、
前記バリア層の前記第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、前記第2のフレキシブル層と前記第1のフレキシブル層で前記バリア層を被覆するステップと
を含み、
前記第1のフレキシブル層と第2のフレキシブル層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、およびポリカーボネート(PC)の中の1つの材料である、同一の材料からなることを特徴とするフレキシブル基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持板は、ガラス支持板である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項3】
機械力により前記第1のフレキシブル層と前記支持板を離型する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項4】
前記バリア層は、多層に堆積された無機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項5】
前記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項6】
前記バリア層は、多層に堆積された有機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項7】
前記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、および炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項8】
前記バリア層は、多層に交互堆積された有機薄膜と無機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項9】
前記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸化アルミニウムの中の1つの材料からなり、
前記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、および窒化ケイ素の中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項8に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項10】
前記フレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられる
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmであり、
前記第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項12】
前記バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項13】
支持板と、
前記支持板の一側に形成される第1のフレキシブル層と、
前記第1のフレキシブル層の前記支持板側の反対側に形成され、多層に堆積された薄膜からなるバリア層と、
前記バリア層の前記第1のフレキシブル層側の反対側に形成され、第1のフレキシブル層と共に前記バリア層を被覆する第2のフレキシブル層と
を含み、
前記第1のフレキシブル層と第2のフレキシブル層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、およびポリカーボネート(PC)の中の1つの材料である、同一の材料からなることを特徴とするフレキシブル基板。
【請求項14】
前記支持板は、ガラス支持板である
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル基板。
【請求項15】
前記第1のフレキシブル層と前記支持板は機械力により離型されるように形成される
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル基板。
【請求項16】
前記バリア層は、多層に堆積された無機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル基板。
【請求項17】
前記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項16に記載のフレキシブル基板。
【請求項18】
前記バリア層は、多層に堆積された有機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル基板。
【請求項19】
前記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、および炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項18に記載のフレキシブル基板。
【請求項20】
前記バリア層は、多層に交互堆積された有機薄膜と無機薄膜からなる
ことを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル基板。
【請求項21】
前記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸化アルミニウムの中の1つの材料からなり、
前記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、および炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる
ことを特徴とする請求項20に記載のフレキシブル基板。
【請求項22】
前記フレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられる
ことを特徴とする請求項13乃至21のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項23】
前記第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmであり、
前記第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである
ことを特徴とする請求項13乃至21のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項24】
前記バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである
ことを特徴とする請求項13乃至21のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項25】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のの製造方法により、フレキシブル基板を製造するステップと、
前記フレキシブル基板の前記支持板側の反対側に、表示ユニットを形成するステップと、
前記フレキシブル基板の、前記表示ユニットが形成された側に、グルーが塗布された蓋板を貼り付けることにより、前記表示ユニットをパッケージングするステップと、
機械力により前記フレキシブル基板とその支持板を離型するステップと
を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項26】
前記バリア層の、前記第1のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積は、前記表示ユニットの前記第2のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積より大きい
ことを特徴とする請求項25に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項27】
前記フラットパネルディスプレイは、有機ELディスプレイであり、
前記表示ユニットは、有機発光表示ユニットである
ことを特徴とする請求項26に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項28】
前記有機発光表示ユニットは、
前記第2のフレキシブル層の前記支持板側の反対側に、薄膜FETユニットを形成するステップと、
前記薄膜FETユニットの前記第2のフレキシブル層側の反対側に、OLEDユニットを形成するステップと、
前記OLEDユニットの前記薄膜FETユニット側の反対側に、薄膜パッケージング層を形成するステップとにより製造される
ことを特徴とする請求項27に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項29】
請求項13乃至24のいずれか一項に記載のフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の前記支持板側の反対側に形成される表示ユニットと、
前記フレキシブル基板の、前記表示ユニットが形成された側に、グルーを介して貼り付けられて、前記表示ユニットをパッケージングするための蓋板と
を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項30】
前記バリア層の前記第1のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積は、前記表示ユニットの前記第2のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積より大きい
ことを特徴とする請求項29に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項31】
前記フラットパネルディスプレイは、有機ELディスプレイであり、
前記表示ユニットは、有機発光表示ユニットである
ことを特徴とする請求項29に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項32】
前記有機発光表示ユニットは、
前記第2のフレキシブル層の前記支持板側の反対側に形成される薄膜FETユニットと、
前記薄膜FETユニットの前記第2のフレキシブル層側の反対側に形成されるOLEDユニットと、
前記OLEDユニットの前記薄膜FETユニット側の反対側に形成される薄膜パッケージング層と
を含むことを特徴とする請求項31に記載のフラットパネルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイに関し、具体的には、フラットパネルディスプレイの基板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、自発光の特性を持っている。有機ELディスプレイに
は、非常に薄い有機材料の塗布層とガラス基板が採用いられており、電流が流れるときに有機材料が発光するようになる。さらに、有機ELディスプレイは、その表示画面の視野角度が大きく、電力節約効果も顕著であり、他の液晶ディスプレイは比べにならないほどの優位性を有する。
【0003】
有機ELディスプレイや他の応用として供される光源は、上記のような利点を有するものの、いくつかの考慮せざるを得ない要素及び制限条件があり、これにより、有機ELディスプレイの実際的応用が制限されるようになる。その考慮せざるを得ないことの1つとして、有機ELディスプレイが水蒸気や酸素に曝された場合、有機ELディスプレイの有機材料と構成素子にダメージを与えてしまう。有機ELディスプレイの有機材料は、水蒸気や酸素に曝されると、その有機電界発光材料自身の発光能力が低下するおそれがある。有機ELディスプレイの構成素子の場合、例えば有機ELディスプレイによく用いられる活性金属アノードが上記のような汚染物質に曝されると、時間の経過に伴って「ダークスポット」領域が発生してしまい、有機EL表示部品の使用寿命が減少する。したがって、有機ELディスプレイ及びその構成素子と材料を水蒸気や酸素などの汚染環境に曝さないことは非常に大事なことである。
【0004】
また、従来、フレキシブルな有機ELディスプレイの製造には、通常、硬質な支持板の上にフレキシブル基板を貼り付けて表示素子を製造し、当該表示素子を製造完了した後に硬質な支持板から取り外すような貼り付け‐取り外し方法が採用されている。具体的には、通常の方法として、接着剤で有機EL用プラスチック基板をガラス支持板の上面に貼り付けて、表示素子を製造完了した後、高エネルギーレーザビームでその裏面を走査して接着剤をエイジングさせ、その接着性能を低下させることによって、有機EL用プラスチック基板をガラス支持板から剥離する。しかしながら、このような方法において、高エネルギーレーザビームによる走査が必要であるため、生産性が低く、剥離の均一性も低下する。
【0005】
具体的には、
図1Aに示す従来技術におけるレーザビームにより離型された有機ELディスプレイの側面断面図を参照しながら説明する。具体的には、有機ELディスプレイは、支持板105と、シリコン層106と、フレキシブル層104と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー101及び蓋板100とを含む。そのうち、シリコン層106は、伝統的な堆積方法によって支持板105の一側に堆積される。フレキシブル層104は、シリコン層106の支持板105側の反対側に形成される。フレキシブル層104は、ポリイソプレンなどの有機重合材料からなる。有機発光表示ユニットは、薄膜FETユニット103と、OLED(有機発光ダイオード)ユニット102とを含む。薄膜FETユニット103は、フレキシブル層104の支持板105側の反対側に形成される。OLEDユニット102は、薄膜FETユニット103のフレキシブル層104側の反対側に形成される。蓋板100の底面にはパッケージンググルー101が塗布される。蓋板100の底面は、基板の有機発光表示ユニット形成側に貼り付けられる。パッケージンググルー101は、有機発光表示ユニットをパッケージングするためのものである。
図1Aには、さらに、有機ELディスプレイの製造が完了した後、高エネルギーレーザビームにより有機ELディスプレイの底面を走査することが示されている。
【0006】
図1Bは、従来技術における、レザービームにより離型された後の有機ELディスプレイの側面断面図である。具体的には、有機ELディスプレイは、支持板105と、シリコン層106と、フレキシブル層104と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー101と、蓋板100とを含む。レザービームにて有機ELディスプレイの底面を走査すると、シリコン層106が膨張してフレキシブル層104と分離することで、フレキシブル層104と支持板105とが離型する。離型後の有機ELディスプレイは、フレキシブル層104と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー101と、蓋板100とを含む。
【0007】
しかしながら、このような方法の場合、高エネルギーレザービームによる走査が必要となり、生産性が低く、生産コストが高くなるだけでなく、有機ELディスプレイの離型均一性も低い。また、有機ELディスプレイとその構成素子および材料が水蒸気や酸素などの汚染環境に曝されることを有効に防止することができない。
【0008】
図2Aは、従来技術における、機械力により離型された有機ELディスプレイの側面断面図である。具体的には、有機ELディスプレイは、支持板207と、接着剤層205と、ストリッピング層206と、フレキシブル層204と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー201と、蓋板200とを含む。そのうち、ストリッピング層206は、フレキシブル層204の支持板207に対向する側に形成される。接着剤層205は、支持板207とストリッピング層206との間に形成される。接着剤層205の面積は、ストリッピング層206の面積より大きい。接着剤層205のフレキシブル層204に対する密着度は、ストリッピング層206のフレキシブル層204に対する密着度より高い。フレキシブル層104は、ポリイソプレン、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機重合材料からなる。有機発光表示ユニットは、薄膜FETユニット203とOLEDユニット202とを含む。薄膜FETユニット203は、フレキシブル層104の支持板207側の反対側に形成される。OLEDユニット202は、薄膜FETユニット203のフレキシブル層204側の反対側に形成される。蓋板200の底面には、パッケージンググルー201が塗布される。蓋板200の底面は、基板の有機発光表示ユニット形成側に貼り付けられる。パッケージンググルー201は、有機発光表示ユニットをパッケージングするためのものである。
【0009】
図2Bは、従来技術における、機械力により離型された後の有機ELディスプレイの側面断面図である。具体的には、有機ELディスプレイは、支持板207と、接着剤層205と、ストリッピング層206と、フレキシブル層204と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー201と、蓋板200とを含む。ストリッピング層206および接着剤層205それぞれのフレキシブル層204に対する密着度の差異を利用して、有機ELディスプレイの製造プロセス終了後に、密着度の低いストリッピング層206を含まない外側の部分を切り除くことで、フレキシブル層204と支持板207とを分離することができる。離型後の有機ELディスプレイは、フレキシブル層204と、有機発光表示ユニットと、パッケージンググルー201と、蓋板200とを含む。
【0010】
しかしながら、このような方法によれば、その剥離均一性が低い。また、有機ELディスプレイとその構成素子および材料が水蒸気や酸素などの汚染環境に曝されることを有効に防止することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題を解決するためのフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイのフレキシブル基板及びフレキシブル基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による1つの様態は、フレキシブル基板の製造方法を提供し、支持板を用意するステップと、上記支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成するステップと、上記第1のフレキシブル層の上記支持板側の反対側に、多層に堆積される薄膜からなるバリア層を形成するステップと、上記バリア層の上記第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、上記第2のフレキシブル層と上記第1のフレキシブル層で上記バリア層を被覆するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、上記支持板は、ガラス支持板である。
好ましくは、機械力により上記第1のフレキシブル層と上記支持板を離型する。
【0014】
好ましくは、上記第1のフレキシブル層と第2のフレキシブル層は、高透光性・耐高温性の同一の材料からなる。
【0015】
好ましくは、上記高透光性・耐高温性の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)の中の1つの材料である。
【0016】
好ましくは、上記バリア層は、多層に堆積される無機薄膜からなる。
好ましくは、上記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。
【0017】
好ましくは、上記バリア層は、多層に堆積される有機薄膜からなる。
好ましくは、上記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる。
【0018】
好ましくは、上記バリア層は、多層に交互堆積される有機薄膜と無機薄膜からなる。
好ましくは、上記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなり、上記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる。
【0019】
好ましくは、上記フレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられる。
好ましくは、上記第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmであり、上記第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。
【0020】
好ましくは、上記バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
本発明による他の様態は、フレキシブル基板を提供し、支持板と、上記支持板の一側に塗布形成される第1のフレキシブル層と、上記第1のフレキシブル層の上記支持板側の反対側に形成され、多層に堆積される薄膜からなるバリア層と、上記バリア層の上記第1のフレキシブル層側の反対側に塗布形成され、第1のフレキシブル層と共に上記バリア層を被覆する第2のフレキシブル層とを含む。
【0021】
好ましくは、上記支持板は、ガラス支持板である。
好ましくは、上記第1のフレキシブル層と上記支持板は機械力により離型されるように形成される。
【0022】
好ましくは、上記第1のフレキシブル層と第2のフレキシブル層は、高透光性・耐高温性の同一の材料からなる。
【0023】
好ましくは、上記高透光性・耐高温性の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)の中の1つの材料である。
【0024】
好ましくは、上記バリア層は、多層に堆積される無機薄膜からなる。
好ましくは、上記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。
【0025】
好ましくは、上記バリア層は、多層に堆積される有機薄膜からなる。
好ましくは、上記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる。
【0026】
好ましくは、上記バリア層は、多層に交互堆積される有機薄膜と無機薄膜からなる。
好ましくは、上記無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなり、上記有機薄膜は、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素の中の1つの材料からなる。
【0027】
好ましくは、上記フレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられる。
好ましくは、上記第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmであり、上記第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。
【0028】
好ましくは、上記バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
本発明の更なる他の様態は、フラットパネルディスプレイの製造方法を提供し、上記フレキシブル基板の製造方法により、フレキシブル基板を製造するステップと、上記フレキシブル基板の上記支持板側の反対側に、表示ユニットを形成するステップと、 上記フレキシブル基板の、上記表示ユニットが形成された側に、グルーが塗布された蓋板を貼り付けることにより、上記表示ユニットをパッケージングするステップと、機械力により上記フレキシブル基板とその支持板を離型するステップとを含む。
【0029】
好ましくは、上記バリア層の、上記第1のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積は、上記表示ユニットの上記第2のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積より大きい。
【0030】
好ましくは、上記フラットパネルディスプレイは、有機ELディスプレイであり、上記表示ユニットは、有機発光表示ユニットである。
【0031】
好ましくは、上記有機発光表示ユニットは、上記第2のフレキシブル層の上記支持板側の反対側に、薄膜FETユニットを形成するステップと、上記薄膜FETユニットの上記第2のフレキシブル層側の反対側に、OLEDユニットを形成するステップと、上記OLEDユニットの上記薄膜FETユニット側の反対側に、薄膜パッケージング層を形成するステップとにより製造される。
【0032】
本発明の更なる他の様態は、フラットパネルディスプレイを提供し、上記フレキシブル基板と、上記フレキシブル基板の上記支持板側の反対側に形成される表示ユニットと、グルーが塗布され、上記フレキシブル基板の、上記表示ユニットが形成された側に貼り付けられて、上記表示ユニットをパッケージングするための蓋板とを含む。
【0033】
好ましくは、上記バリア層の上記第1のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積は、上記表示ユニットの上記第2のフレキシブル層が貼り付けられる側の面積より大きい。
【0034】
好ましくは、上記フラットパネルディスプレイは、有機ELディスプレイであり、上記表示ユニットは、有機発光表示ユニットである。
【0035】
好ましくは、上記有機発光表示ユニットは、上記第2のフレキシブル層の上記支持板側の反対側に形成される薄膜FETユニットと、上記薄膜FETユニットの上記第2のフレキシブル層側の反対側に形成されるOLEDユニットと、上記OLEDユニットの上記薄膜FETユニット側の反対側に形成される薄膜パッケージング層とを含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、フレキシブル層に覆われ、多層に堆積された薄膜からなるバリア層を利用することで、有機ELディスプレイ、及びその構成素子と材料が水蒸気や酸素などの汚染環境に曝されることを防止することができる。また、機械力によりフレキシブル層と支持板とを簡単に離型することができ、製造プロセスを簡略化することができる。本発明は、各種類の汚染源からの汚染を有効に防止することができ、有機ELディスプレイの素子を保護することができる。
【0037】
例示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明することにより、本発明の上記およびその他の特徴と利点を一層明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】従来技術における、レザービームで離型された有機ELディスプレイの側面断面図である。
【
図1B】従来技術における、レザービームで離型された後の有機ELディスプレイの側面断面図である。
【
図2A】従来技術における、機械力により離型された有機ELディスプレイの側面断面図である。
【
図2B】従来技術における、機械力により離型された後の有機ELディスプレイの側面断面図である。
【
図3A】本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造プロセスにおける変化を示す側面断面図である。
【
図3B】本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造プロセスにおける変化を示す側面断面図である。
【
図3C】本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造プロセスにおける変化を示す側面断面図である。
【
図3D】本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造プロセスにおける変化を示す側面断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5A】本発明の第1の実施例に係るフラットパネルディスプレイの側面断面図である。
【
図5B】本発明の第2の実施例に係るフラットパネルディスプレイの側面断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施例に係るフラットパネルディスプレイの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、例示の実施形態について、図面を参照しながら全体的に説明する。ただし、例示の実施形態は様々な態様で実施することができ、ここで記述する実施形態に限らないことを理解すべきである。ここで、下記のような実施形態により、本発明を全面的かつ完全的なものとするとともに、例示の実施形態の思想を全面的に当業者に伝えることができる。図面において、より明確にするために、領域と層の厚さを誇張して図示している。図面において、同一の符号は同一または相当の構成を示し、それに対する詳しい説明は省略する。
【0040】
図3A、
図3B、
図3C、及び
図3Dは、本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造過程における変化を示す側面断面図である。
【0041】
図3Aは、支持板301、及び第1のフレキシブル層311を示す。第1のフレキシブル層311は、支持板301の上面に塗布される。支持板301は、ガラス支持板である。第1のフレキシブル層311の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層311は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、あるいはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0042】
図3Bは、支持板301、第1のフレキシブル層311、及びバリア層302を示す。第1のフレキシブル層311は、支持板301の上面に塗布される。、バリア層302は、第1のフレキシブル層311の支持板301側の反対側の面に形成され、すなわち、
図3Bに示された第1のフレキシブル層311の上面に形成される。
図3Bに示すように、バリア層302の面積は、第1のフレキシブル層311の面積より小さい。バリア層302は、多層に堆積された薄膜からなる。好ましくは、バリア層302は、多層に堆積された無機薄膜からなる。無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料から形成される。1つの変形例において、バリア層302は、多層に堆積された有機薄膜からなっても良い。有機薄膜は、例えば、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの有機ケイ素系材料の中の1つの材料から形成される。さらなる1つの変形例において、バリア層302は、多層に交互堆積された有機薄膜と無機薄膜からなっても良い。そのうち、無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムなどの材料の中の1つの材料からなり、上記有機薄膜は、例えば、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの有機ケイ素系材料の中の1つの材料からなる。
【0043】
図3Cは、支持板301、第1のフレキシブル層311、バリア層302、及び第2のフレキシブル層312を示す。第1のフレキシブル層311は、支持板301の上面に塗布される。バリア層302は、第1のフレキシブル層311の支持板301側の反対側の面に形成され、即ち
図3Cに示された第1のフレキシブル層311の上面に形成される。第2のフレキシブル層312は、バリア層302の第1のフレキシブル層311側の反対側の面に塗布され、即ち
図3Cに示されたバリア層302の上面に塗布される。
図3Cに示すように、第2のフレキシブル層312の面積は、第1のフレキシブル層311の面積と同一である。バリア層302の面積は、第1のフレキシブル層311の面積より小さい。バリア層302は、多層に堆積された薄膜からなる。バリア層302の応力パラメータは、5〜200MPaである。第2のフレキシブル層312の厚さは、10〜100μmである。第2のフレキシブル層312は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0044】
図3Dは、支持板301、フレキシブル層310、及びバリア層302を示す。フレキシブル層310は、支持板301の上面に塗布される。バリア層302は、フレキシブル層310に覆われる。第1のフレキシブル層(
図3Cに示す符号311を参照)、及び第2のフレキシブル層(
図3Cに示す符号312を参照)は、共に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の同一の材料からなり、両層により、フレキシブル層310を構成する。
図3Dに示すフレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられることが好ましい。また、機械力によりフレキシブル層310と支持板301とを直接に分離することができる。
【0045】
図4は、本発明の第1の実施例に係るフレキシブル基板の製造方法を示すフローチャートである。
図4は、具体的に四つのステップを含む。
【0046】
ステップS101において、1つの支持板を用意する。支持板は、ガラス支持板である。
【0047】
ステップS102において、支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成する。第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0048】
ステップS103において、第1のフレキシブル層の支持板側の反対側にバリア層を形成する。バリア層は、多層に堆積された薄膜からなる。バリア層が第1のフレキシブル層に接触する面積は、第1のフレキシブル層が支持板に接触する面積より小さい。バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
【0049】
ステップS104において、バリア層の第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、バリア層が第2のフレキシブル層及び第1のフレキシブル層に覆われるようにする。第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第2のフレキシブル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの、第1のフレキシブル層と同一の高透光性・耐高温性の材料からなる。第2のフレキシブル層は、第1のフレキシブル層と共にフレキシブル層を構成し、バリア層を保護する。
【0050】
上記ステップS101乃至ステップS104により製造されたフレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられることが好ましい。また、機械力によりフレキシブル層と支持板を直接に分離することができる。
【0051】
上記実施例の1つの好ましい例において、以下の4つのステップを実行する。
ステップS101Aにおいて、1つの支持板を用意する。支持板は、ガラス支持板である。
【0052】
ステップS102Aにおいて、支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成する。第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0053】
ステップS103Aにおいて、第1のフレキシブル層の支持板側の反対側にバリア層を形成する。バリア層は、多層に堆積された有機薄膜からなる。有機薄膜は、例えばテトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの、有機ケイ素系材料の中の1つの材料からなる。バリア層が第1のフレキシブル層に接触する面積は、第1のフレキシブル層が支持板に接触する面積より小さい。バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
【0054】
ステップS104Aにおいて、バリア層の第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、バリア層が第2のフレキシブル層及び第1のフレキシブル層に覆われるようにする。第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第2のフレキシブル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの、第1のフレキシブル層と同一の高透光性・耐高温性の材料からなる。第2のフレキシブル層は第1のフレキシブル層と共にフレキシブル層を構成し、バリア層を保護する。
【0055】
上記ステップS101A乃至ステップS104Aにより製造されたフレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられることが好ましい。また、機械力によりフレキシブル層と支持板を直接に分離することができる。
【0056】
上記実施例の1つの変形例において、以下の4つのステップを実行する。
ステップS101Bにおいて、1つの支持板を用意する。支持板は、ガラス支持板である。
【0057】
ステップS102Bにおいて、支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成する。第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0058】
ステップS103Bにおいて、第1のフレキシブル層の支持板側の反対側にバリア層を形成する。バリア層は、多層に堆積された無機薄膜からなる。無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。バリア層が第1のフレキシブル層に接触する面積は、第1のフレキシブル層が支持板に接触する面積より小さい。バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
【0059】
ステップS104Bにおいて、バリア層の第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、バリア層が第2のフレキシブル層及び第1のフレキシブル層に覆われるようにする。第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第2のフレキシブル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの、第1のフレキシブル層と同一の高透光性・耐高温性の材料からなる。第2のフレキシブル層は、第1のフレキシブル層と共にフレキシブル層を構成し、バリア層を保護する。
【0060】
上記ステップS101B乃至ステップS104Bにより製造されたフレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられることが好ましい。また、機械力によりフレキシブル層と支持板を直接に分離することができる。
【0061】
上記実施例の更なる1つの変形例において、以下の四つのステップを実行する。
ステップS101Cにおいて、1つの支持板を用意する。支持板は、ガラス支持板である。
【0062】
ステップS102Cにおいて、支持板の一側に第1のフレキシブル層を塗布形成する。第1のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の材料からなる。
【0063】
ステップS103Cにおいて、第1のフレキシブル層の支持板側の反対側にバリア層を形成する。バリア層は、多層に交互堆積された有機薄膜と無機薄膜からなる。そのうち、無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。上記有機薄膜は、例えば、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの、有機ケイ素系材料の中の1つの材料からなる。バリア層302が第1のフレキシブル層に接触する面積は、第1のフレキシブル層が支持板に接触する面積より小さい。バリア層の応力パラメータは、5〜200MPaである。
【0064】
ステップS104Cにおいて、バリア層の第1のフレキシブル層側の反対側に第2のフレキシブル層を塗布形成して、バリア層が第2のフレキシブル層及び第1のフレキシブル層に覆われるようにする。第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第2のフレキシブル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの、第1のフレキシブル層と同一の高透光性・耐高温性の材料からなる。第2のフレキシブル層は第1のフレキシブル層と共にフレキシブル層を構成し、バリア層を保護する。
【0065】
上記ステップS101C乃至ステップS104Cにより製造されたフレキシブル基板は、有機ELディスプレイに用いられることが好ましい。また、機械力によりフレキシブル層と支持板とを直接に分離することができる。
【0066】
そのうち、バリア層302を構成する多層に堆積された無機薄膜、或いは多層に交互堆積された無機薄膜と有機薄膜は、以下の異なる材料の組み合わせによって形成されることができる。例えば、多層に堆積された無機薄膜は、窒化ケイ素/酸化ケイ素、窒化ケイ素/酸窒化ケイ素、窒化ケイ素/酸化ケイ素/窒化ケイ素、窒化ケイ素/酸窒化ケイ素/窒化ケイ素、酸化アルミニウム/酸窒化ケイ素、或いは、酸化アルミニウム/酸窒化ケイ素/酸化アルミニウムなどのような組み合わせによって形成されることができる。多層に交互堆積された無機薄膜と有機薄膜は、窒化ケイ素/テトラエトキシシラン/窒化ケイ素、窒化ケイ素/ヘキサメチルジシロキサン/窒化ケイ素、窒化ケイ素/ヘキサメチルジシラザン/窒化ケイ素、窒化ケイ素/オクタメチルシクロテトラシロキサン/窒化ケイ素、窒化ケイ素/炭酸化ケイ素/窒化ケイ素、窒化ケイ素/炭窒化ケイ素/窒化ケイ素、酸化アルミニウム/テトラエトキシシラン/酸化アルミニウム、酸化アルミニウム/ヘキサメチルジシロキサン/酸化アルミニウム、酸化アルミニウム/ヘキサメチルジシラザン/酸化アルミニウム、酸化アルミニウム/オクタメチルシクロテトラシロキサン/酸化アルミニウム、酸化アルミニウム/炭酸化ケイ素/酸化アルミニウム、或いは、酸化アルミニウム/炭窒化ケイ素/酸化アルミニウムなどのような組み合わせによって形成されることができる。
【0067】
図5Aは、本発明の第1の実施例のフラットパネルディスプレイの側面断面図である。具体的には、フラットパネルディスプレイは、フレキシブル基板、表示ユニット、パッケージンググルー304、及び蓋板305を含む。
【0068】
フレキシブル基板は、支持板301、フレキシブル層310、及びバリア層302を含む。支持板301は、ガラス支持板である。
【0069】
フレキシブル層310は、第1のフレキシブル層(
図3Cに示す符号311を参照)、及び第2のフレキシブル層(
図3Cに示す符号312を参照)を含む。第1のフレキシブル層、及び第2のフレキシブル層の厚さは、10〜100μmである。第1のフレキシブル層、及び第2のフレキシブル層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソプレン(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、或いはポリカーボネート(PC)などの高透光性・耐高温性の同一の材料からなる。
【0070】
バリア層302は、多層に堆積された薄膜からなる。バリア層302の応力パラメータは、5〜200MPaである。好ましくは、バリア層302は、多層に堆積された無機薄膜からなる。無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。1つの変形例において、バリア層302は、多層に堆積された有機薄膜からなっても良い。有機薄膜は、例えば、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの有機ケイ素系材料の中の1つの材料からなる。更なる1つの変形例において、バリア層302は、多層に交互堆積された有機薄膜と無機薄膜からなっても良い。そのうち、無機薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、或いは酸化アルミニウムの中の1つの材料からなる。上記有機薄膜は、例えばテトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、炭酸化ケイ素、或いは炭窒化ケイ素などの有機ケイ素系材料の中の1つの材料からなる。
【0071】
表示ユニットは、有機発光表示ユニットであり、薄膜FETユニット321、OLEDユニット322、及び薄膜パッケージング層323を含む。
【0072】
そのうち、第1のフレキシブル層は、支持板301の上面に塗布される。バリア層302は、第1のフレキシブル層の支持板301側の反対側の面に形成される。第2のフレキシブル層は、バリア層302の第1のフレキシブル層側の反対側の面に形成される。第2のフレキシブル層と第1のフレキシブル層からなるフレキシブル層310は、バリア層302を被覆するようになる。
図5Aに示すように、バリア層302の面積は、フレキシブル層310の面積より小さい。薄膜FET単元321は、フレキシブル層310の支持板301側の反対側に形成される。OLEDユニット322は、薄膜FETユニット321のフレキシブル層310側の反対側に形成される。薄膜パッケージング層323は、OLEDユニット322の薄膜FETユニット321側の反対側に形成される。蓋板305の底面には、パッケージンググルー304が塗布される。蓋板305の底面は、基板の、有機発光表示ユニットが形成された側に貼り付けられる。パッケージンググルー304は、有機発光表示ユニットをパッケージングする。
【0073】
図5Bは、本発明の第2の実施例に係るフラットパネルディスプレイの側面断面図を示す。具体的には、フラットパネルディスプレイは、フレキシブル基板、表示ユニット、パッケージンググルー304、及び蓋板305を含む。フレキシブル基板は、支持板301、フレキシブル層310、バリア層302を含む。フレキシブル層310は、第1のフレキシブル層(
図3Cに示す符号311を参照)、及び第2のフレキシブル層(
図3Cに示す符号312を参照)を含む。表示ユニットは有機発光表示ユニットであり、薄膜FETユニット321、OLEDユニット322、及び薄膜パッケージング層323を含む。
【0074】
機械力によりフレキシブル層310を支持板301から剥離する。例えば、切除プロセスによってフレキシブル層310を支持板301から剥離することができる。支持板301とフレキシブル層310が分離された後、フレキシブル基板は、フレキシブル層310、及びバリア層302を含む。フラットパネルディスプレイは、フレキシブル層310、バリア層302、表示ユニット、パッケージンググルー304、及び蓋板305を含む。
【0075】
図6は、本発明の第2の実施例に係るフラットパネルディスプレイの製造方法を示すフローチャートである。具体的には、
図6は4つのステップを示す。
【0076】
ステップS201において、1つのフレキシブル基板を製造する。当該フレキシブル基板は、
図4に示すステップS101〜S104により製造される。具体的には、フレキシブル基板は、支持板、フレキシブル層、バリア層を含む。フレキシブル層は、第1のフレキシブル層、及び第2のフレキシブル層を含む。表示ユニットは有機発光表示ユニットであり、薄膜FETユニット、OLEDユニット、及び薄膜パッケージング層を含む。
【0077】
ステップS202において、フレキシブル基板の支持板側の反対側に表示ユニットを形成する。好ましくは、フラットパネルディスプレイは、有機ELディスプレイであり、表示ユニットは、有機発光表示ユニットである。有機発光表示ユニットは、薄膜FETユニット、OLEDユニット、及び薄膜パッケージング層を含む。薄膜FETユニットは、フレキシブル層の支持板側の反対側に形成される。OLEDユニットは、薄膜FETユニットのフレキシブル層側の反対側に形成される。薄膜パッケージング層は、OLEDユニットの薄膜FETユニット側の反対側に形成される。
【0078】
ステップS203において、グルーが塗布された蓋板を、フレキシブル基板の表示ユニットが形成された側に貼り付けることで表示ユニットをパッケージングする。
【0079】
ステップS204において、機械力によりフレキシブル基板とその支持板を離型する。具体的には、切除工程によってフレキシブル層を支持板から剥離する。
【0080】
以上、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明した。本発明は、上記開示された実施形態に限定されるものではないと考えられるべきであり、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での様々の変更及び同等な配置を含む。