(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続され、
ドキュメントの要求を受け入れて、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する記述情報送出手段と、
前記要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する選択手段と、
前記特定された要素データを、前記要素データ記述情報を特定する指示の送信元に宛てて送出する要素データ送出手段と、
を含み、
前記ドキュメント要素には順序が規定されており、
前記選択手段は、さらに、前記指示された要素データ記述情報に係るドキュメント要素の前または次のドキュメント要素に係る要素データ記述情報を特定し、当該特定した要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択するドキュメント提供装置。
ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続されるコンピュータを、
ドキュメントの要求を受け入れて、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する記述情報送出手段と、
前記要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する選択手段と、
前記特定された要素データを、前記要素データ記述情報を特定する指示の送信元に宛てて送出する要素データ送出手段と、
として機能させ、
前記ドキュメント要素には順序が規定されており、
前記選択手段として機能させる際には、さらに、前記指示された要素データ記述情報に係るドキュメント要素の前または次のドキュメント要素に係る要素データ記述情報を特定し、当該特定した要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択させるプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の情報処理装置では、章ごとに分割された本文ファイル(フローファイル)と、このフローファイルを含む、電子文書データを構成する複数のファイルについてのメタ情報(ファイル名やファイルサイズ等の情報)を記録しているメタ情報ファイルとを用い、当初はメタ情報ファイルを転送して、希望するフローファイルを選択させ、フローファイルと、フローファイルから参照されるデータを伝送することとしている(特許文献1の
図11等を参照)。
【0005】
しかしながら、従来の方法では、メタ情報ファイルが事前に定められた規則に従って記述されている必要があり、既に広く流通しているドキュメント(電子文書)のデータでは対応できないものがある。また、フローファイルを、ファイルが指定されるたびに取得するので、操作に対する応答がやや遅れてしまう。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、既存のドキュメントのデータであっても、予め区切られた位置のうち所望の位置から選択的にデータを取得して表示・再生することを可能とするドキュメント提供装置、端末、ドキュメント提供システム、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ドキュメント提供装置であって、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続され、ドキュメントの要求を受け入れて、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する記述情報送出手段と、前記要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する選択手段と、前記特定された要素データを、前記要素データ記述情報を特定する指示の送信元に宛てて送出する要素データ送出手段と、を含むこととしたものである。
【0008】
またここで、前記ドキュメント要素には順序が規定されており、前記選択手段は、さらに、前記指示された要素データ記述情報に係るドキュメント要素の前または次のドキュメント要素に係る要素データ記述情報を特定し、当該特定した要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択してもよい。
【0009】
また本発明の一態様に係る端末は、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続されるドキュメント提供装置と通信する端末であって、ドキュメントのコンテナを生成する手段と、ドキュメントの要求を前記ドキュメント提供装置に送出する手段と、当該要求に応答して受信される要素データ記述情報を前記生成したコンテナ内に格納するとともに、当該格納した要素データ記述情報のうちから利用者により選択された要素データ記述情報を特定する指示を前記ドキュメント提供装置に送出する手段と、当該指示に応答して前記ドキュメント提供装置から受信される要素データを受け入れて前記コンテナ内に格納する手段と、前記選択された要素データ記述情報と、当該選択された要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データとを用いてドキュメント要素の画像を生成して出力する手段と、を含むこととしたものである。
【0010】
さらに本発明の別の態様に係るドキュメント提供システムは、ドキュメント提供装置と、端末と、を含み、前記ドキュメント提供装置は、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続され、ドキュメントの要求を前記端末から受け入れて、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元の端末に対して送出する記述情報送出手段と、前記端末から要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する選択手段と、前記特定された要素データを、前記要素データ記述情報を特定する指示の送信元である端末に宛てて送出する要素データ送出手段と、を含み、前記端末は、ドキュメントの要求を前記ドキュメント提供装置に送出する手段と、当該要求に応答して受信される要素データ記述情報を記憶するとともに、当該記憶した要素データ記述情報のうちから利用者により選択された要素データ記述情報を特定する指示を前記ドキュメント提供装置に送出する手段と、前記ドキュメント提供装置から受信される要素データを受け入れて記憶する手段と、前記選択された要素データ記述情報と、当該選択された要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データとを用いてドキュメント要素の画像を生成して出力する手段と、を含むこととしたものである。
【0011】
さらに本発明の別の態様に係るプログラムは、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報が生成され、当該要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報にて特定される要素データと、を保持するドキュメント保持部にアクセス可能に接続されるコンピュータを、ドキュメントの要求を受け入れて、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する記述情報送出手段と、前記要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を前記ドキュメント保持部から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する選択手段と、前記特定された要素データを、前記要素データ記述情報を特定する指示の送信元に宛てて送出する要素データ送出手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、既存のドキュメントのデータであっても、予め区切られた位置のうち所望の位置から選択的にデータを取得して表示・再生することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係るドキュメント提供システムは、
図1に例示するように、ドキュメント提供装置1と、端末2と、を含んで構成され、これらは互いにネットワーク等の通信手段を介して接続される。なお、
図1では端末2を一つしか図示していないが、端末2は複数あってもよい。また
図1では端末2は、無線アクセスポイントAPを介して接続されているものとしたが、有線にてネットワークに接続されていてもよい。
【0015】
ドキュメント提供装置1は、
図1に例示するように、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含んで構成される。本実施の形態では、この記憶部12がドキュメント保持部として機能し、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素ごとに、当該ドキュメント要素の提示に必要となる要素データを特定する情報を記述した要素データ記述情報と、各要素データ記述情報にて特定される要素データとが、記憶部12に保持されているものとする。
【0016】
制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の制御部11は、ドキュメントの要求を、通信部13を介して端末2から受け入れる。そして当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元の端末に対して送出する。
【0017】
またこの制御部11は、端末2から要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れると、当該指示により特定された要素データ記述情報をドキュメント保持部としての記憶部12から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象として選択する。そして制御部11は、当該特定された要素データを、要素データ記述情報を特定する指示の送信元である端末2に宛てて送出する。制御部11の詳しい動作については後に述べる。
【0018】
記憶部12は、ディスクデバイスやメモリデバイスを含んで構成される。この記憶部12は制御部11によって実行されるプログラムを記憶している。このプログラムは、コンピュータ可読かつ持続的(Non-transitory)な記録媒体に格納されて提供されるか、あるいはネットワーク等の通信手段を介して提供され、この記憶部12に格納されたものであってもよい。またこの記憶部12は制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0019】
さらに本実施の形態においてはこの記憶部12がドキュメント保持手段として機能するものとする。本実施の形態の一例では、ドキュメントはEPUB(国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF)による電子書籍用のファイルフォーマット規格)形式の電子書籍であり、ドキュメントを構成する複数のデータをZIPコンテナに格納したものである(
図2)。
【0020】
ドキュメントがEPUBデータである例において、ドキュメントを構成する複数のドキュメント要素は、mimetypeデータ(EPUBのメディアタイプを記述したデータ)及び、出版物リソース(Publication Resources)PRに含まれるデータであり、要素データ記述情報は当該出版物リソースPRのうち、EPUBコンテンツドキュメント(EPUB Content Documents)を構成するXHTMLファイルまたはSVGファイルその他、コンテンツを記述しているXHTMLファイルやCSS(Cascading Style Sheets)ファイル等、メディアデータ(画像データ、フォントデータ、音声データ、動画データ等)を除くデータ(
図2中でCDi(i=1,2,…)として示している)である。また要素データは、出版物リソースのうち、画像データ、フォントデータ、音声データ、動画データ等のメディアデータMDj(j=1,2,…)に相当する。ドキュメント要素は具体的には、ファイル形式が予め定められた形式(例えばXHTML,SVG,XML,CSS,またはmimetype等のテキスト形式)であることとして、メディアデータと区別すればよい。
【0021】
ここでコンテンツを記述するXHTMLファイルには、ドキュメントの文字列情報のほか、メディアデータ(MD)の参照情報が記述されて含まれている。本実施の形態ではこの参照情報が当該XHTMLファイルに基づく画像生成に必要な要素データを特定する情報として用いられる。
【0022】
なお、本実施の形態の以下の説明では、記憶部12がドキュメント保持手段として機能するものとして説明するが、このドキュメント保持手段は、ドキュメント提供装置1からアクセス可能に接続されたファイルサーバ等によって実現されてもよい。
【0023】
通信部13は、ネットワークインタフェースであり、ネットワーク等の通信手段を介して端末2との間で要求やデータを授受する。本実施の形態では、この通信部13は、端末2から受信した要求等を制御部11に対して出力する。またこの通信部13は、制御部11から入力される指示に従い、端末2に対してデータを送信する。
【0024】
端末2は、例えばスマートフォンや、パーソナルコンピュータ(PC)等、ドキュメントを構成するデータを受信し、当該データに従って表示するプログラムを実行するものである。このようなプログラムは電子書籍ビューアとして広く知られているので詳しい説明を省略する。
【0025】
また本実施の形態において端末2は、
図3に例示するように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24及び通信部25を含んで構成される。ここで制御部21は、CPUなどのプログラム制御デバイスであり、記憶部22に格納されたプログラムに従い、以下の処理を実行する。
【0026】
すなわちこの制御部21は、ドキュメントの要求をドキュメント提供装置1に送出し、当該要求に応答して受信される要素データ記述情報を記憶部22に記憶する。またこの制御部21は、当該記憶した要素データ記述情報のうちから利用者により選択された要素データ記述情報を特定する指示をドキュメント提供装置1に送出し、当該指示に応答してドキュメント提供装置1が送信する要素データを受け入れて記憶部22に記憶する。そして制御部21は、電子書籍ビューアとしての処理を実行し、上記選択された要素データ記述情報と、当該選択された要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データとを用いてドキュメント要素の画像を生成して、表示部24に出力する。
【0027】
記憶部22は、ディスクデバイスやメモリデバイス等である。この記憶部22は制御部21によって実行されるプログラムを記憶している。このプログラムは、コンピュータ可読かつ持続的(Non-transitory)な記録媒体に格納されて提供されるか、あるいはネットワーク等の通信手段を介して提供され、この記憶部22に格納されたものであってもよい。またこの記憶部22は制御部21のワークメモリとしても動作する。
【0028】
操作部23は、マウスやキーボード、タッチパネル等である。この操作部23は利用者の指示操作を受け入れて、当該受け入れた指示操作の内容を表す情報を、制御部21に対して出力する。表示部24は、ディスプレイ等であり、制御部21から入力される指示に従い、画像を表示する。
【0029】
通信部25は、ネットワークインタフェースであり、ネットワーク等の通信手段を介してドキュメント提供装置1との間で要求やデータを授受する。本実施の形態では、この通信部25は、利用者の指示に基づく要求等をドキュメント提供装置1に対して出力する。またこの通信部25は、ドキュメント提供装置1から受信したデータを制御部21に出力する。
【0030】
ここでドキュメント提供装置1の制御部11の動作について説明する。なお、以下の説明では、ドキュメントはEPUBのデータであるものとして説明するが、他の形式のデータであっても構わない。
【0031】
本実施の形態の制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを実行することにより、機能的には、
図4に例示するように、要求受入部31と、記述情報送出部32と、選択部33と、要素データ送出部34とを含んで構成される。
【0032】
要求受入部31は、ドキュメントの要求を端末2から受け入れる。本実施の形態の一例では、この要求受入部31は、ドキュメント保持部である記憶部12に格納されたドキュメント(EPUBデータ)の一覧を端末2へ送出し、当該一覧のうちから選択されたドキュメントを特定する情報を、ドキュメントの要求として端末2から受信する。
【0033】
記述情報送出部32は、要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する。ドキュメントがEPUB形式であれば、要素データ記述情報は、mimetypeデータ、及び、出版物リソース(Publication Resources)PRのうち、メディアデータMDを除くEPUBパッケージドキュメント(EPUB Package Documents)であるOPF(XMLデータ)ファイル、EPUBコンテンツドキュメント(EPUB Content Documents)を構成するXHTMLファイル等CDi(i=1,2,…)、EPUBナビゲーションドキュメント(EPUB Navigation Documents)、EPUBスタイルシート(EPUB Style Sheets)等であり、記述情報送出部32は、要求されたドキュメントに対応するEPUBデータ(ZIPデータ)からこれらのXHTMLファイル等CDi(i=1,2,…)をすべて取り出して要求元に対して送出する。
【0034】
またこの記述情報送出部32は、META-INFディレクトリ内のXMLファイルを併せて送出してもよい。EPUBデータにおいて、META-INFディレクトリ内のXMLファイルはオプショナル(あってもなくてもよい)であり、また、そのメタデータの内容は任意に定義できるものである。
【0035】
選択部33は、端末2から要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を、ドキュメント保持部としての記憶部12から読み出す。ドキュメントがEPUB形式であれば、要素データ記述情報は、出版物リソース(Publication Resources)PRに含まれるデータであり、具体的には当該出版物リソースPRのうち、EPUBコンテンツドキュメント(EPUB Content Documents)を構成するXHTMLファイル等である。選択部33は、特定された要素データ記述情報を含むEPUBデータ(ZIPデータ)から、当該特定された要素データ記述情報であるXHTMLファイル等を取り出す。
【0036】
そして選択部33は、当該読み出した要素データ記述情報の内容を参照し、特定された要素データ記述情報を含むEPUBデータ(ZIPデータ)に含まれるデータのうち、当該要素データ記述情報中に記述されている情報で特定される要素データMDを送出対象として選択する。例えば読み出した要素データ記述情報に含まれる情報で特定される要素データがMDα,MDβの2つであれば、EPUBデータ内の出版物リソースPRに他の要素データMDγ等が含まれていても、選択部33は、読み出した要素データ記述情報に含まれる情報で特定される上記2つの要素データMDα,MDβを選択する。
【0037】
要素データ送出部34は、選択部33が選択した要素データ(出版物リソースのうち、画像データ、フォントデータ、音声データ、動画データ等のメディアデータ)を、当該要素データを含むEPUBデータ(ZIPデータ)から抽出する。そして要素データ送出部34は、要素データ記述情報を特定する指示の送信元となった端末2に宛てて、当該抽出した要素データを送出する。
【0038】
次に、端末2の制御部21の動作について説明する。端末2の制御部21は、
図5に例示するように、機能的に、ドキュメント要求部41と、要素要求部42と、要素データ処理部43と、画像生成部44とを含んで構成される。
【0039】
ドキュメント要求部41は、利用者により指定されたドキュメントの要求を、ドキュメント提供装置1に送出する。具体的にこのドキュメント要求部41は例えば、ドキュメント提供装置1から、当該ドキュメント提供装置1が提供可能なドキュメントの一覧を受け入れて表示部24に表示する。そして利用者がこの一覧からドキュメントを選択する操作を行うと、ドキュメント要求部41は、当該選択されたドキュメントの要求を、ドキュメント提供装置1に対して送出する。このような処理は、例えば広く知られているウェブ技術等により実現できるので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0040】
要素要求部42は、ドキュメントの要求に応答して、ドキュメント提供装置1から受信される要素データ記述情報を記憶部22に格納する。本実施の形態では、ドキュメント提供装置1は、ドキュメントのEPUBデータの要求に応答して、mimetypeデータのほか、出版物リソースのうち、メディアデータMDを除くXHTMLファイル等を送出する。要素要求部42は、ドキュメント提供装置1が送出したデータを受信して記憶部22に格納する。この際、要素要求部42は、受信したmimetypeデータを先頭としたZIPコンテナデータを記憶部22内に生成し、このZIPコンテナデータ内に、受信した出版物リソースのデータを記録する。
【0041】
要素データ処理部43は、要素要求部42が記憶部22内に生成したZIPコンテナデータから、通常のEPUBデータを処理すると同様の方法でドキュメント要素を検出する。具体的に、この検出ではドキュメント要素の順序を規定する目次データ(TOCタイプのデータ)を参照して、章(チャプタ)等のドキュメント要素を検出する。要素データ処理部43は、検出したドキュメント要素(章等)の一覧を表示部24に出力して利用者に選択をさせる。
【0042】
利用者が当該表示された一覧から所望のドキュメント要素を選択すると、要素データ処理部43は、選択されたドキュメント要素に係る要素データ記述情報を特定する。具体的にEPUBではドキュメント要素ごとにXHTMLファイルが生成されるので、要素データ処理部43は、選択されたドキュメント要素に対応するXHTMLファイルを特定し、当該XHTMLファイルを特定する指示をドキュメント提供装置1宛に送出する。
【0043】
要素データ処理部43は、当該指示に応答してドキュメント提供装置1から受信される要素データを受け入れて、記憶部22内に記憶する。具体的にこの要素データ処理部43は、受信した要素データ(ここではメディアデータMD)を、ドキュメントのZIPコンテナデータ内に追加して記録する。
【0044】
画像生成部44は、要素データ処理部43の処理において利用者が選択したドキュメント要素に係る要素データ記述情報と、要素データ処理部43がドキュメントのZIPコンテナデータ内に追加した要素データとを用いてドキュメント要素の画像を生成して、表示部24に出力する。この処理は、一般的なEPUBデータに基づく章の表示の処理と同様であるので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0045】
本実施の形態のドキュメント提供システムは、以上の構成を基本的に備えてなり、次のように動作する。なお、以下の動作例においても、ドキュメントがEPUBデータである場合を例として説明するが、本実施の形態のドキュメント提供システムにおいて提供されるドキュメントは必ずしもEPUBデータである必要はない。
【0046】
利用者が端末2を操作して、ドキュメントの一覧を要求すると、
図6に例示するように、端末2がドキュメント一覧の要求をドキュメント提供装置1へ送出する(S1)。ドキュメント提供装置1は、ドキュメント保持手段としての記憶部12に格納されたドキュメント(EPUBデータ)の一覧を端末2へ送出する(S2)。
【0047】
端末2では、当該一覧を受信して表示する。利用者がこの一覧からドキュメントを選択する操作を行うと、端末2は、当該選択されたドキュメントの要求(選択されたドキュメントを特定する情報)を、ドキュメント提供装置1に対して送出する(S3)。ドキュメント提供装置1では、ドキュメントを特定する情報を、ドキュメントの要求として端末2から受信し、当該要求されたドキュメントを構成するドキュメント要素に係る要素データ記述情報を要求元に対して送出する(S4)。ここでは、要求されたドキュメントのEPUBデータのうち、mimetypeデータ、及び、メディアデータMDを除くXHTMLファイル等CDi(i=1,2,…)等の要素データ記述情報が送出される。
【0048】
端末2では、ドキュメント提供装置1から受信される要素データ記述情報を記憶部22に格納する(S5)。具体的に端末2は、受信したmimetypeデータを先頭としたZIPコンテナデータを記憶部22内に生成し、このZIPコンテナデータ内に、受信した要素データ記述情報を記録する。
【0049】
そして端末2は、当該記憶部22内に生成したZIPコンテナデータから、通常のEPUBデータを処理すると同様に、目次データ(TOCタイプのデータ)を参照するなどして、章(チャプタ)等のドキュメント要素を検出する(S6)。そして端末2は、当該検出したドキュメント要素(章等)の一覧を表示部24に出力して利用者に選択をさせる(S7)。
【0050】
利用者が当該表示された一覧から所望のドキュメント要素を選択すると、端末2は、選択されたドキュメント要素に係る要素データ記述情報(XHTMLファイル)を特定し、当該XHTMLファイルを特定する指示(当該XHTMLファイルのファイル名等でよい)をドキュメント提供装置1宛に送出する(S8)。
【0051】
ドキュメント提供装置1は、端末2から要素データ記述情報の一つを特定する指示を受け入れて、当該指示により特定された要素データ記述情報を、ドキュメント保持部としての記憶部12から読み出す。そして当該読み出した要素データ記述情報の内容を参照し、特定された要素データ記述情報を含むEPUBデータ(ZIPデータ)に含まれるデータのうち、当該要素データ記述情報中に記述されている情報で特定される要素データMDを送出対象として選択する(S9)。
【0052】
そしてドキュメント提供装置1は、処理S9にて選択した要素データ(出版物リソースのうち、画像データ、フォントデータ、音声データ、動画データ等のメディアデータ)を、EPUBデータ(ZIPデータ)から抽出し(S10)、端末2に宛てに当該抽出した要素データを送出する(S11)。
【0053】
端末2では、要素データを受け入れると、当該受信した要素データ(ここではメディアデータMD)を、ドキュメントのZIPコンテナデータ内に追加して記録する(S12)。そして処理S7にて利用者が選択したドキュメント要素に係る要素データ記述情報と、ドキュメントのZIPコンテナデータ内に追加した要素データとを用いてドキュメント要素の画像を生成し(S13)、表示部24に出力する(S14)。
【0054】
また、本実施の形態のある例では、端末2は処理S6の後、検出したドキュメント要素のうち、最初のドキュメント要素(最初の章など)に対応するXHTMLファイルを特定する指示をドキュメント提供装置1宛に送出してもよい。この場合、ドキュメント提供装置1は、最初のドキュメント要素に対応する要素データ記述情報であるXHTMLファイルを参照し、このXHTMLファイル内に記述されている情報で特定される要素データを、EPUBデータ(ZIPデータ)から抽出し、端末2に宛てに当該抽出した要素データを送出する。そして端末2側では、記憶部22内に生成した、ドキュメントのZIPコンテナデータ内に受信した要素データを追加し、当該最初のドキュメント要素に係る画像を生成して表示出力する。その後、端末2は順次、第2番目のドキュメント要素,第3番目のドキュメント要素…について、それぞれに対応するXHTMLファイルを特定する指示をドキュメント提供装置1宛に送出し、それぞれのドキュメント要素に係る画像を生成して表示するための要素データをドキュメント提供装置1から受信し、記憶部22内に生成した、ドキュメントのZIPコンテナデータ内に追加していく。
【0055】
この例では、上記処理の間に(例えば第i番目のドキュメント要素についての要素データを要求して取得する処理の間に)、利用者がドキュメント要素(章等)の一覧を表示する指示を行ったときには、処理S7以下の処理を実行すればよい。またその際、処理S14の終了後は、再度、第i番目のドキュメント要素についての要素データを要求して取得する処理から順に、上記処理を行う。なお、上記処理S7にて利用者が既に選択したドキュメント要素については、改めて対応する要素データを取得する処理を実行する必要はない。
【0056】
この例によると、端末2が、要求したドキュメントに係るすべての要素データ記述情報と、当該要素データ記述情報に含まれるすべての要素データ記述情報で特定される要素データとを受信したときに、ドキュメントの完全なEPUBデータが端末2の記憶部22にダウンロードされた状態となる。
【0057】
また、本実施の形態によると、特定の形式のメタデータを用意せずに、ドキュメントに含まれる目次データ(TOCタイプのデータ)などからドキュメント要素の一覧を検出し、当該一覧から利用者がランダムに選択したドキュメント要素に係る要素データを要求する。つまり、既存のドキュメントのデータであっても、予め区切られた位置のうち所望の位置から選択的にデータを取得して表示・再生することが可能となる。
【0058】
[順序の情報の利用]
またドキュメント提供装置1ではさらに、
図6の処理S11以降において、対応するドキュメントに含まれる目次データ(TOCタイプのデータ)を参照して、指定された要素データ記述情報に係るドキュメント要素の前または次のドキュメント要素に係る要素データ記述情報を特定し、当該特定した要素データ記述情報をドキュメント内から読み出して、当該読み出した要素データ記述情報に記述された情報で特定される要素データを送出対象としてさらに選択し、当該選択された前または次の少なくとも一方のドキュメント要素に係る画像を生成、表示するための要素データを端末2宛に送出することとしてもよい。これにより、ドキュメントの内容に添った順序で利用者がドキュメントの内容をブラウズすることを想定してドキュメントの要素を予め取得しておくことができ、表示等の処理を迅速に行うことができるようになる。
【0059】
[ドキュメント要素の順序を規定する情報の別の例]
またここでの例では、ドキュメント要素や、その順序を、目次データ(EPUBにおけるTOCタイプのデータ等)から検出することとしていたが、本実施の形態はこれに限られない。例えば端末2は、ドキュメント提供装置1から受信した要素データ記述情報のファイル名が予め定められたパターンに合致する要素データ記述情報の各々が、それぞれのドキュメント要素に対応するものとし、当該ドキュメント要素に対応する要素データ記述情報についての順については、ファイル名を用いて所定順(アルファベット順、五十音順など所定の順序)に並べ替え、並べ替えて得られた順序をドキュメント要素の順序としてもよい。例えば、予め定めたパターンとして、文字列「CHAP」と数字文字が連接され、拡張子がxhtmlであるXHTMLファイルがドキュメント要素に対応する要素データ記述情報であるとして定めることとすればよい。この例では、CHAP01.xhtmlや、CHAP12.xhtml等が、ドキュメント要素に対応する要素データ記述情報であると判断され、TOC.xhtml等はドキュメント要素に対応する要素データ記述情報でないものとして扱われる。
【0060】
また本実施の形態のある例においては、メタデータが用意されている場合は、当該メタデータを参照して要素データ記述情報を補充してもよい。例えば選択部33が、端末2から受け入れが指示により特定された要素データ記述情報を読み出すとともに、メタデータを読み出す。そして要素データ記述情報の内容を参照し、特定された要素データ記述情報を含むEPUBデータ(ZIPデータ)に含まれるデータのうち、当該要素データ記述情報中に記述されている情報で特定される要素データMDを送出対象として選択するとともに、読み出したメタデータを送出対象として選択してもよい。
【0061】
さらにメタデータにドキュメント内のファイルを指定する情報(URL等)が含まれる場合、選択部33は、メタデータそのものを送出対象とするのではなく、当該情報で指定されるファイルを送出対象としてもよい。